2022年12月31日土曜日

名言

責任も根拠も持たず冬の雷
凍つくや認知が作る境界線
北颪(おろし)認知革命武器とせん
冬の月未踏のサウナ行基(ぎょうぎ)の湯
サウナから風呂始まりて冬星座

■名言
ボーリンクブルック 曰く
「欲望と感情は人間性のバネである。
 理性はそれを統制し、調節するブレーキだ。」

シャンフォール 曰く
「自尊心は多くの美徳の源泉である。
 虚栄心はほとんどすべての悪徳・悪癖の源泉である。」

エスター・コルウィル 曰く
「もし私が一人の時間を一切持てず、
 ずっとチームでの仕事や
 育児ばかりをしていたとしたら、
 いい上司、いい母でいることは難しいと思います。
 周りに対して寛容でいられるのは、
 自分と向き合う時間を確保することができているからです。」

モンゴルの諺
「山が高いからといって、戻ってはならない。
 行けば超えられる。
 仕事が多いからといって、ひるんではいけない。
 行えば必ず終わるのだ。」

スティーブ・ウォズニアック 曰く
「幸福になることが
 人生の唯一の目的です。
 そして一日に何回微笑むかが、
 その人の人生を測る
 唯一の尺度です。」

ココ・シャネル 曰く
「下品な服は服が目につくだけなのに、
 上品な服は女を引き立たせる。」

2022年12月30日金曜日

名言と「羚羊(かもしか)」

冬林檎届けてくれる人のをり
ヴィーナスに似た大根の惚れ惚れと
熱々の愛がぎっしり冬のパイ
蔦枯れる費用をかけた葬儀より
雪纏う桑の実二つ縮こまる

■名言
松原泰道 曰く
「『無駄をしない』は、
 浪費をしないという消極的な意味だけでなく、
 積極的に時間も物も活かして使うこと。」

林修 曰く
「人が変われるとしたら、
 変わらなければと気づいた瞬間以外にはない。」

中村天風 曰く
「筆を洗ったまっ黒なコップの水も、
 水道の蛇口のところに置いて、
 ポタリポタリと水を落とせば、
 一晩のうちにきれいになってしまう。」

■一分季語ウンチク 羚羊(かもしか)
「羚羊(れいよう)」と書いて
「かもしか」と読みます。
「羚羊」は偶蹄目ウシ科の動物なわけですが
普通の鹿等に比べて毛も生えていて
正面から見ると辺りの毛が
モサッとしているところに愛嬌があります。
またお尻を見た時に尻尾が短く
お尻が白くなっているところも
愛嬌のある出で立ちとなっています。
個人的な体験で恐縮なのですが
岩手県一関市の藤沢町という所に
以前句会ライブで伺ったことがありまして
朝会場に向けて移動している最中に
私、「羚羊」に遭遇しました。
国の特別天然記念物として指定されているのですが
こんな人里にうっかり出てくるのかと
驚いた記憶がございます。
岩手の方良い生き物と暮らしておりますね。

2022年12月29日木曜日

名言と尻二字三角パス

冬日向心のうぶ毛ゆらりゆら
メンディング瞑想のごと冬の夜
冬の雁合図もなしに一斉に
神無月大麻使用の自衛官
(幼稚園児)正月前電子マネーの稽古せり

■夏井いつき俳句チャンネル
【第6回尻二字三角パス①】また正人に尻二字「ん◯」が当たります
臥蚕眉(がさんび)の関羽のやうな甘藷(さつまいも)   熊の谷まさる
芋呑んだやうな蝮(まむし)のぬめりかな   家藤正人
鉄床雲(かなとこぐも)ぐんぐん世界は奇型なる   夏井いつき
鳴神(なるかみ)や犬小屋に頭つつこんで   朗善

■名言
ココ・シャネル 曰く
「人生がわかるのは
 逆境にあるとき。」

リチャード・M・ニクソン 曰く
「人間は負けたら
 終わりなのではない。
 やめたら終わりなのだ。」

トーマス・モア 曰く
「天が癒すことの
 できない悲しみは、
 地上にはありえない。」

表三郎 曰く
「人間の一生は、
 『問い』のレベルで決まる。」

三木清 曰く
「目的のある娯楽は真の娯楽にならない。
 娯楽には目的がなくて、
 しかもそれは生活にとって合理的なものである。」

野村克也 曰く
「不器用は器用に勝る。」

2022年12月28日水曜日

お役立ち哲学と造語

戦争を父は語らず最期まで(無季句)
人骨に群がる二羽の冬の鳥
浮かぶ人浮かばない人冬の海
寿命とは切り花のごと暮易し
蓄膿症のアナウンサー冬の靄

■ロッチと子羊 
今日のお役立ち哲学
和辻哲郎哲学の要約
「趣味は探しても見つかりません。
 自分の内側にすでにあるのです。」
和辻哲郎の言葉
「趣味は自分の中にすでにあります。
 本当に気持ちいいと
 感じるものに目を向けましょう。」

セネカ哲学の要約
「今にこだわると時間が逃げていきます。
 むしろ過去とじっくり向き合うことで
 時間は無限に広がり不安が和らぎます。」
セネカの言葉
「不安をなくすためには
 自分が歩んできた過去(みち)を
 振り返ってみましょう。
 それが未来への
 自信につながるはずです。」

■造語
▪マン・レイの作りだした造語
桃 peche & 風景 paysage = ペサージュ pechege
balai(バレエ ほうき)と ballet(バレエ)は 同じ発音
Pain peint(塗られたパン)
同じ発音が繰り返される言葉遊びから発想を得た。
言葉を表現の要素と思考していた。

▪最近の経済現象シュリンクフレーションとは
日本語でいうステレス値上げのこと。
(英語: shrinkflation)とは、
小売りされる商品の価格は変わらないまま
その内容量がシュリンク(収縮)していく経済現象である。
shrink(縮小)と inflation(インフレ)の合成語であり、
インフレの形態の一つである。

2022年12月27日火曜日

題「味」

冬陽射し懐紙にのせた柴の雪
冬日陰色鮮やかに藪柑子(やぶこうじ)
控えめの冬の庵を雪花咲く
陶器との一期一会しづり雪
冬の庵や吸いきる音の響きをり

NHK短歌 題「味」
選者 佐佐木定綱 ゲスト 山崎ナオコーラ 司会 星野真里
レギュラー 元髙克樹 矢花黎 カン・ハンナ

■冒頭の短歌
牛丼の果てにひとつの詩を見つけ七味をかけてかき込んでいる
佐佐木定綱

■入選九句 題「味」
星野石垣(いしがき)島で初めて食みたるゴーヤチャンプルー苦味を知りし新婚の夜
浜田ゆり子
ぼんやりと画面の指紋ぬぐう夜後味悪い電話を終えて 
栗本悦子
瞳(め)に映る一つひとうにかぶりつき吾子は世界を味見している
神守彩枝
味噌汁を啜る音だけの食卓でふたりひとしく傷ついている
よだか
会議室のコーヒーボタン押すたびに薄くなりゆく青春の味
井上武明
カン屋上で育てた社員食堂の野菜はどれも標準語の味
川越羽流(はる)
北風を味方につけて少年は冬の第一走者となりぬ
檜澤(ひざわ)さくら
あの頃の何でもなれる気がしてた私に会える梅のおにぎり
鈴木ベルキ
💮山崎ママレードジャムの点字をなぞるたび指が味覚を記憶していく
住吉和歌子

■佐佐木先生の短歌というドラマ
歌に秘められたドラマをひも解き深く味わう

相談室に飲みし熱き茶美味かりしをしみじみと言ふ退学の後に
伊藤一彦「海号の歌」

やわらかい言葉と思い言葉
小説はエピソードで「重さ」を作る。
短歌は言葉自体の「重さ」「軽さ」を使って物語を作る。
今回の歌を深く味わうためのポイント
肉体感覚が記憶と結びつくことで
歌はいきいきとして現実味を帯びてくる

山崎さんの目標
「誰にでもわかる言葉で誰にでもかけない文章を書きたい。」

■佐佐木定綱さんからの宿題
題「味」で歌を詠んでください

子の作るカレーライスで人生を終わりにしたいこの味が好き
山崎ナオコーラ

■短歌武者修行

グルグルと胃をもてあそぶたい焼きのキムチの香りはふすまに溶けて
矢花黎
たいやきが吐き出すチーズとキーマカレー鋳型の外で垂れるのを待つ
元髙克樹

2022年12月26日月曜日

テーマ「スポーツ」

冬の朝主菓子(おもがし)食みて濃茶なお
冬の朝黒文字清め送りをり
冬陽射し正客次客すでに座し
冬ざるる干菓子お盆へ鎮座せり
冬日陰ガラスのごとき有平糖

NHK俳句 題「スポーツ」
選者 堀本裕樹 ゲスト 稲村亜美 司会 武井壮

■冒頭の俳句
スケートの両手ただよひつつ止まる
森賀まり

■あなたのエピソード、俳句にします
テーマ「スポーツ」
炎天下スタート台で待つ合図
添削(緊張感を出す。プールは夏の季語。「で」は説明になる。)
プールギラギラスタート台に待つ合図

ゴール来て応援団の息白し
添削(説明を避ける。ものを情景で見せる。語順を推敲する
   冬の季語 息白しの傍題 白息を使う。あと4音に動詞4音を入れる。)
白息(しらいき)のあふるるゴールテープ前

■入選六句 テーマ「スポーツ」
回る飛ぶ信じ合ふペアスケーター   
松岡由香里 季語 スケーター
ホームランボール降り来る小春かな
山多左夢(さむ) 季語 小春
枯蟷螂(かれとうろう)やをら追ひ出しテニスかな
伊藤欣次 季語 枯蟷螂
槍投げてまた槍投げてしぐれけり
平林茂 季語 時雨
体ごと繋ぐ襷(たすき)や息真白(いきましろ)
山岸嘉春 季語 息白し
💮息白く百メートルの時空待つ
来地宇須(らいちうす) 季語 息白し

■ゲストのエピソード、俳句にします
燃え尽きた熱い気持ちをリメンバー
稲村亜美 添削
また熱くなる魂や手打ち炎(も)ゆ
堀本裕樹 (炎ゆ 夏の季語)

2022年12月25日日曜日

聖句と名言

十二月和敬清寂旨として
一陽来復を願う柚子の香
冬の暮真行草を使い分け
北窓塞ぐ一華開五葉(いっかごようをひらく)
冬の星表具は黒子縁の下

クリスマスなので聖句を記載したかったのですが…。
聖句はみんな命令形なのですね。
クリスチャンの方は寛容な人と申しましょうか、
神を信じ切っておられるのでしょうか…。
自分で思考することを忘れてはいけないのでは…❓
戦争の原点を見た気がしました。
解釈と言う名のもとに責任転嫁しているのでは…❓

バーナード・ショウ 曰く
「私にとっては人生には
 美もなければロマンスもありません。
 人生あるがままのものです。
 そうして私は人生を
 あるがままに受け入れるつもりです。」

露の団姫 曰く
「『我慢』という名の思考停止は
 問題解決につながりません。」

エドワードF.ベンソン 曰く
「自分自身に正直であることは
 なんと困難なことだろう。
 他人に正直である方がはるかにやさしい。」

ジョン ラスキン 曰く
「人々が機嫌よく働くためには
 次の三つが必要だ。
 仕事に向いていること、
 働きすぎないこと、そして
 やればうまくいくと感じていること。」

ヘンリー・キッシンジャー 曰く
「私は自分に宗教心があるとは思いません。
 しかし私は、人間が理解できない
 さまざまな力の存在を信じていますし、
 本質的に不可知の部分があることも信じています。
 したがって、人間は常に、
 畏敬の念と謙虚さをもつ必要があるのです。」

J・ニューマン 曰く
「人生がやがて終わることを
 恐れるなかれ
 人生がついに始まらぬことを
 真に恐れよ。」

2022年12月24日土曜日

イルミネーションで一句

人はみな神を内包クリスマス
あの世には何もなし大根洗ふ
父の背は荒野に似たり寒落暉
冬茜内出血の日々下降
播州織のつむぐ未来や冬星座

■プレバト纏め 2022年12月22日
イルミネーションで一句

永世名人 富美男のお手本
梅沢富美男
冬木立シャンパン色にさざめきぬ
(おっちゃんらしくないお洒落な句、
「さざめきぬ」光と風の表現が美しい。)

永世名人 村上のお手本
村上健志
垂直にシャンパンの泡クリスマス
(シャンパンとクリスマスを「近い」と感じさせないテクニック。
 小さな発見を大切に詠んでいる。)

特待生昇格試験
北山宏光
ルミナリエ咥えて外す黒手套
(「ルミナリエ」で広い光景・光の感じ・季節の気分が伝わる。
 焦点の絞り方が良い。私感 素晴らしいの一言!)

1位 秋元真夏
独りきり煌めく街が冬の棘
添削(人によっては「煌めく」は注意されないんですね。
  「冬の棘」は素晴らしいと思った。誰の知恵かな❓)
一人ゆく煌めく街は冬の棘
傷心や煌めく街は冬の棘

2位 村田秀亮
街騒(まちさい)に凍てし手の振る誘導棒
添削(助詞と助動詞の選択ミス。
   「に」は説明的「や」で切り離す。
   「の」ではなく手に持っている時は「に」
   「凍てし」の「し」は過去。
   季語の鮮度を上げるには「凍つる」。)
街騒つる振る誘導棒

3位 酒井美紀
静寂に響くダイヤモンドダスト
添削(「響く」は「響けり」とわざと余らせる。
   1音余るが、最後が長い季語のため、
   1音の字余りで勢いに吸収させるという技を使う。)
静寂に響けりダイヤモンドダスト

4位 アンミカ
iPhoneの光に胸がRing a Ding Dong
添削(季語がない。アルファベットが多くてキラキラしている。
   お洒落な気分が表現されている。)
iPhoneの光よ雪よRing a Ding Dong

次回はグランドチャンピオン大会冬麗戦!
という事なのですが、HPにはまだ掲載されていません。
放送日時は2023年1月12日(木)よる7時とだけ…。

2022年12月23日金曜日

中井久夫と市村正親の言葉と「しずり」

真剣に遊べや遊べ冬日向
霜柱力の限り生ききらん
大衆へ挑戦状や冬の潮
息白し鼓舞し闘い続けても
虫嗄(か)るる己を知りて何とする

■中井久夫の言葉
「治療とは
 それぞれのために心をこめて、
 そのひとだけの一品料理を
 つくろうとすることである。」

■市村正親氏の言葉 情熱大陸 より
「他人の激しい人生を
 虚構の中で本当のように生きてみたい。」

「俳優はね。泣かせるんであって
 本人が泣いちゃいけないの。」

■一分季語ウンチク しずり
「しずり」とは「しずり雪」のことで
元々は古語でした。
動詞「垂る(しずる)」を名詞にした言い方が
「しずり」になります。
雪が枝からドサッと落ちていったり
何か動いた拍子に落ちたり
あるいは陽に当たって段々溶け始まていったものが
ズズズッと解けていって落ちる
この瞬間の音の話になってくるわけです。
「しずり」といっただけでその雪の様子であるとか
何かにのっているあるいは落ちる音
そんな要素まで含んでいる季語になっています。
何か一句作ってみたくなりますね。

2022年12月22日木曜日

名言とお役立ち哲学

冬哀れメッシのタトゥーごとき足
我が足とメッシの腕の寒牡丹
猫かぶり軽んじる店隙間風
青き空鳥の目線は木守柿
目を閉じて向き合えぬ人浮寝鳥

■ロッチと子羊 より
お役立ち哲学

スピノザ哲学の要約
「希望を持ち続けるには
 手に入れないことです。」
(希望を持ち続けるには開けないこと。)
「希望はかなわないからこそ
 ワクワクドキドキを
 持ち続ける事ができるのです。」

アリストテレス哲学の要約
「‟テロス„にまでさかのぼれば
 勝利のプレッシャーは軽くなります。」
(テロスとは目的。)
「勝利へのプレッシャーを感じた時は
 目的をしっかり確認すれば
 心が軽くなるでしょう。」

■名言
楠木正成 曰く
「珍膳も毎日向かえば味旨からず。」

慈雲 曰く
「一切の法はみな
 わが心より造りなすものなり
 地獄も畜生も
 わが心の内の苦なり。」

浅田次郎氏 曰く
「日本語の基本、
 いい文章を書く心構えは、
 いかに最少の文章で
 最大の世界を言い表すかっていうこと。」

2022年12月21日水曜日

名言と芭蕉の句と尻二字三角パス

殻かぶり座り続けん寒苦鳥(かんくちょう)
舟宿の浮かぶ風景冬の月
冬夕焼今は昔の光線画
冬景色ランプの灯りくっきりと
冬の雷今さら(岡本)太郎迫りくる

■夏井いつき俳句チャンネル
【尻二字三角パス】皆さんから届いた『がさ』で始まる俳句

ガサ入れは隣や秋の夜のマテ茶   羽流
ガサエビや甘味で溢れ頬落ちる   広島じょーかーず
画才ある姉の礼状梨二つ   迫田妙子
画才あらば春月に羽描き加ふ   北藤詩旦
ガサゴゾと0点詰める夜寒かな   野菜α
ガサガサと大道具撤去して秋   キスマイファン マッサン
ガサガサは砂利しか獲れず夏や朝   初めての正助
がさつなる女の冷蔵庫にブラ   ヨシコ ウサミ
臥蚕眉(がさんび)の関羽のやうな甘藷(さつまいも)   熊の谷のまさる
ガサ超ゆる荷役のヤクや凍てゆるむ   池之端モルト
ガサゾンの砂利道抜けて冬隣   Y.イノウエ
がさついた地丘白粉花(おしろいばな)搾(しぼ)む   オコヤマ2000
蛾さわさわ過るキャンプの夜の便所   田野こみち
蛾三匹養うために読む図鑑   平良かれい
が、去るとき何を思うや曼殊沙華   小野とらのは
ガサージャは名コメディアン春の暮   まゆバア

■名言
ジェームズ・アレン 曰く
「人々が幸せを求めて
 旅に出ようとしていても
 ついて行ってはいけません
 幸せとはあなたの内側に
 あるものなのですから。」

ゲーテ 曰く
「われわれの持っている天性で、
 徳となりえない欠点はなく、
 欠点となりえない徳もない。」

L・アンアエウス・セネカ 曰く
「怒りから己れ自信を抑制するには、
 人が怒っているのを
 冷静に観察することである。」

■松尾芭蕉の句
歳暮ぬ笠きて草履はきながら   
水とりや氷の僧の沓(くつ)の音

2022年12月20日火曜日

題「プレゼント」

キリアン・エンバペ選手へ
世界が是認二十三歳冬木の芽
鷹揚に泰然自若に冬を蹴る
一分で二発のゴール決めた冬
キーパーの動き見透かすPK戦(無季句)
授賞式笑顔の消えた得点王(無季句)

NHK短歌 題 プレゼント 
選者 江戸雪 ゲスト 景井ひな 司会 星野真里
レギュラー 元髙克樹 矢花黎 カン・ハンナ

■冒頭の短歌
まっさおなリボンのように血管をまといて君は冬の小箱よ
江戸雪

■恋のフレーズ短歌
プレゼントのイメージを七音のフレーズで表すと❓

カン・ハンナ 日曜の午後
デカいサイコロ 景井ひな
ここで開けてよ 星野真里
赤文字が定型 江戸雪作
受け取ればここで開けてよ初雪の日曜の午後デカいサイコロ

入選九首 テーマ プレゼント
サンタ来る聖夜の小児病棟に髭の似合わぬ研修医たち
田中昭三八(あきさや)
待つ日々も待たれる日々もそわそわと夕日に映える赤いリボンは
るりこ
プレゼントいつ渡そうか粉雪がかけられたようなスイーツは来て
田中佳(よし)
③カンきみからのプレゼントだと言い聞かせひとりで帰る光の並木
早川和博
デパートに婚約指輪買いに来て君の左手つくづく見たり
大和嘉晃
星野この冬はキーホルダーを贈り合う自分をひらく鍵と一緒に
佐藤氷魚(ひぎょ)
💮景井下を向く時も笑顔になれそうであなたと靴を贈り合いたい
澪那本気子(みおなまじこ)
ちょっといいタオルをあげてめっちゃいいティッシュをもらうクリスマス会
吉村おもち
「忘れる」をプレゼントされ母さんはしあわせだった記憶だけ持つ
雨雨雨汰(あまさめうた)

■恋バナ短歌
若き日の恋の形は誰だって割れてしまったチョコに似ている
カン・ハンナ 添削
若き日の恋の形は不揃いに割れてしまったチョコに似ている

友の手作りチョコがあの子を経由して私の舌でとけて放課後
星野真里 添削
友達の恋があの子を経由して私の舌でとけて放課後

月輪(げつりん)は赤く錆ゆきうらぎったショコラのにおいよみがえりくる
江戸雪(月輪は時のこと 江戸雪先生渾身の作とお見受けしました)

■短歌武者修行! 元髙克樹 矢花黎 カン・ハンナ
「食を詠む」

たいやきにキーマカレーを詰め込んで吐き出したとこ口に運んで
元髙克樹

2022年12月19日月曜日

兼題「咳」

霜柱電力会社よお主まで
冬の月変体仮名の息遣い
冬の夜連綿の高野切(こうやぎれ)
冬の夜息吹きかけん小鍋立て
仇となる親切心をからっ風

NHK俳句 兼題 咳
選者 星野高士 ゲスト 三倉茉奈 司会 武井壮

冒頭の俳句
咳の子のなぞなぞあそびきりもなや   中村汀女

■会いたい俳人、12人 中村汀女
我に返り見直す隅に寒菊赤し   中村汀女

中村汀女女史の言葉
玄関の式台を拭いていてふっと気がつくと
いつもそこには寒菊がある
ああ今年もあるなそれこそ「我に返り」ですわ
あああそこにもあるなと思ったときに
思ったことをそのまま
言ったのがわたしの最初の俳句だないわば
心にあったものをね十七文字に預ける
本当は心のうちにそういうもの
いつも私たちは持っているかもしれませんよ
それを引っ張り出すか
引っ張り出さないかのさかい

咳の子のなぞなぞあそびきりもなや   中村汀女

中村汀女女史の言葉
私の次男のそうですねまだ4つぐらいの時の
句でございますね
ちょっと相手になってなぞなぞをやりはじめますと
いつまででも「もっともっと」と言ってね
きりもなく遊んであるわけにもいかない
何かそわそわとしていることがね子どもにも
すまなかったような気が致しますけど

ゆで玉子むけばかがやく花曇   中村汀女

入選九句 兼題 咳
💮咳ひとつ消えゆくまでの広さかな   岩橋潤
白湯飲んで咳の治まる雨の窓   竹内木形子(こけし)
寄席太鼓前座の席のまじりたる   中村起一
星ひとつ飲み込むやうに咳ひとつ   じゃすみん
武井咳込むやビロードの椅子やはらかし   内藤由美
終電の発車のベルに咳一つ   鈴木由花子
咳一つ残し消えたる旅の僧   古矢敏光
この咳は仲間と思ふ交差点   碩(せき)真由美
三倉咳の子のそれでも向ふ机かな   望月勝男

■吾子俳句
小学校に上がるくらいまでの子供を詠む

左手に破魔矢右手は吾子の手を   星野高士
冬の朝吾子好きなもの好きになる   星野高士

2022年12月18日日曜日

観光バスで一句

冬日向睡魔が支配待ち時間
自分の価値は自分で決める冬銀河
冬の月歪みと弱み好機とす
誘う蜜ありの群がるヤッコソウ
人参や個性豊かに伸び伸びと

プレバト纏め 2022年12月15日
観光バスで一句

永世名人村上のお手本
村上健志
補助席に場札と蜜柑バスの旅
(場札が効果的。「バスの旅」は伏線・補填。
「蜜柑」を中七に置き主役に立てた。地味だが確かな技。)

永世名人への道
千原ジュニア
バス見えてバス停の毛布を畳む
(見えてから畳むの叙述の是非。散文的、説明になりやすい。
詩的な関係が欲しい。滋味・心情の豊かさがある。)

特待生昇格試験
篠田麻里子
ズワイガニ無音の宴50分
添削(「50分」の具体的な時間が良い。リアリティがある。
   臨場感が足りない。)
ずわい蟹食む音のみの50分

1位 森迫永依
冬晴の小樽ことりっぷの折り目
(ことりっぷは旅のガイドブック。着地の「折り目」で映像を作っている。)

2位 勝村政信
雪道にLINEスタンプバスの跡
添削(LINEスタンプと比喩する発想が楽しい。
  下五は「タイヤの跡」が正しい表現。)
雪道LINEスタンプバスの跡

3位 鈴木絢音
音もない銀世界の停留所
添削(季語がない。辞書好きなら型や俳句の知識を入れれば出来る。)
音もないぽつんと雪の停留所
ふるさとやぽつんと雪の停留所
失恋やぽつんと雪の停留所

4位 畠中悠
寒窓に浮く子どもの絵帰路のバス
添削(寒窓は冬の寂しい窓で漢詩の一節。季語としては弱い。)
窓に子の落書き冬の帰路のバス

次回のお題は「イルミネーション」

2022年12月17日土曜日

はぴかちゃん歯いく大賞と名言

それぞれが持つ待ち時間冬日向
通院を付き添う二人冬の朝
冬ぬくし意識遠のく待合室
コート脱ぎ腕捲りせり冬日差
忙しそうな振りする人の冬落暉

■第19回はぴかちゃん歯いく大賞(R4.11.27放送)
小学生の部 優秀賞
くちびるにますい一分夏の夕   酒井仁
歯みがき中クモが一匹部屋のすみ   木田光
フッ素ぬり地図を覚える夏の午後   三木規生
歴代のぬけた歯を見る油照り   松村柚葉

中・高校生の部 優秀賞
歯科医院金属音と向日葵と   宇都宮妃南
歯がきれいわかめうどんがいとおかし   石川善生
青嵐失語の祖父の自慢の歯   渡邊真悠子💮
叔母の抱く甥の歯固め雨休み   渡部明香

一般の部 優秀賞
山滴り健脚自慢の歯しみる   吉川匡希
開院はまだかとせがむ溽暑(じょくしょ)の歯   磯川紀美子
爽やかに九十歳の良く噛みて   はくたいさん
冬ざれやしんと時待つ親知らず   高松増美

ユニーク賞
歯のゆくえわからないままプール出た   中川宗志郎
親知らず抜くかと会議夏の夜   河野葵
歯みがきは青竹ふみて十二分   中本栄子

優秀賞特選
ぬいた歯の根っこが長い夏の雲   岡﨑天寧(あまね)
親知らず四か所はえる雲の峰   畔地(あぜち)みなみ

はぴか大賞
祖父も父も吾も子も桃を食う犬歯   浅野勇一郎

■名言
A.ファーブル=リュス 曰く
「人生は我々に期待どおりのものをくれるが、
 それは意外なところで、意外な方法で、意外な時に行われる。」

ラ=ロシュフーコー 曰く
「真の勇気は、
 目撃者のいない場合に示される。」

ヘンリー・ヴァン・ダイク 曰く
「同じ習慣を繰り返す限り
 次のステップには進めません。」

2022年12月16日金曜日

短日と穴場の投句先

ピラカンサ紅き実をつけ冬の庭
凍てつくや耳を侵攻高き声
敏感に音に反応凍る耳
冬日向ずっと泣いてる赤ん坊
赤ちゃんの声がだんだん冬の月

■一分季語ウンチク 短日
まさに文字通り短い日
冬になると日照時間が短くなり
その短さ、気忙しさなども
含んだ季語になっています。
同じ季語を別の言い方して
「日短」という言い方もあります。
その場合は、「日」の後に半拍くらい切れ
と言いますか一拍おいて「日 短か」
なんていう5音で読みといった
用法もあります。
ちなみに今年2022年の冬至は
12月22日となっていて
その日が一年で最も日が短いと
いう事になるわけです。
残り2022年「日短」を
共に過ごしてまいりましょう。

■夏井いつき俳句チャンネル
【穴場の投句先】競争率の低いところに投句したい

「発掘忌日季語辞典」
子規忌(9月19日)糸瓜忌 獺祭忌 

俳句aあるふぁデジタル
https://haikualpha.jp/kijitsukukigo/

おそ松くん忌 さくらももこ忌 百円札忌 
オオカミ忌 中村哲忌 
今後一緒に作っていきたいのだそうです。

2022年12月15日木曜日

お役立ち哲学

継承し想像続けん冬北斗
取り返しのつかない嘘鎌鼬(かまいたち)
冬の波孤独な心理表出す
(付藻茄子)次世代へ芸を凝らさん冬の星
冬ぬくし過疎への移住また増加

ロッチと子羊より
お役立ち哲学
弁証法 全ての矛盾解消のヒントになる
ヘーゲル 曰く
「全ての物事には必ず
 正と反という矛盾する存在がある
 でも互いを対立させず
 アウフヘーベンすれば
 高みを目指せるであろう」(ヘーゲル哲学の要約)
アウフヘーベンとは「止揚」
矛盾を高みにあげて解決する。

蹴落とす⇨ライバルとの切磋琢磨(承認)

ヘーゲル 曰く

「物事の矛盾に悩んだときは
 互いを対立させず
 アウフヘーベンして高みに持ち上げれば
 解決するだろう」

エリアーデ 曰く
「人はみんな
 ホモ・レリギオーススなので
 聖なるものを求めます。
 でも、それは
 俗から逃れられない存在だからです」(エリアーデ哲学の要約)

ホモ・レリギオースス⇨人間・宗教
人間は宗教的な生き物
世界は二つの理(こだわ)りで成り立っている
それが聖と俗
聖と俗はセットで片方だけでは成り立たない
聖なるものを求めすぎて俗を疎かにしている

俗である日常にしっかり向き合うことで
聖なるものはより輝きを増す

エリアーデ 曰く
「人は聖なるものを求めます
 でも聖を輝かせるには
 俗にしっかり向き合いましょう」

2022年12月14日水曜日

岡本太郎の言葉

イマジンを受け取った日日短し
理想記すレノン・ウォールの冬の意思
冬の壁愛を受け継ぐレノン・ウォール
レノン・ウォール監視カメラに見守られ(無季句)
短景やレノン・ウォールへ思い込め

■新美の巨人 より
岡本太郎の言葉
「壁は自分自身だ」

「他人が笑おうが
 笑うまいが
 自分の歌を歌えばよい」

「孤独が君を強くする」

「何か全く新しいもの世界に
 今まで存在しなかったものを作りたい」

「これだ全身が叫んだ
 撃って来る物
 それは画面の色や
 線の魅力ばかりではない
 その奥から
 たくましい芸術家の精神が
 ビリビリとこちらの
 全身に伝わって来る
岡本太郎著「青春ピカソ」

「未知の風物でありながら
 自分の根源に
 めぐりあうような
 いいようのない
 生命のノスタルジアを
 おぼえるのだ」
岡本太郎著「沖縄文化論」

「僕がこれを作った
 日本の伝統に存在しない何か
 最も身近な縄文にすらない何か
 西洋の美学からも日本の美学からも
 外れていたかった」

雷神 1995年(未完) 岡本太郎記念館
太郎が最後まで取り組んでいた作品。
鮮やかな色使い、躍動する線と形、
まだ完成していません。

「岡本太郎は生涯作品を売りませんでした。
 それは、芸術は誰もが見られる場所にあるべきだ」
と、考えていたから…。

■日曜美術館 アートシーン より
岡本太郎の言葉
「芸術は爆発だ!」

「真剣に命がけで遊べ」

「なま身の自分に賭ける」

「孤独こそ人間が強烈に生きるバネだ」

「人々に寄り添う芸術」

「同じことをくりかえすくらいなら死んでしまえ」

2022年12月13日火曜日

題「スイーツ」

背には毛衣(けごろも)マイナス無限大
冬至梅絵日記のごと描き続け
冬の月個性封印頂点へ
好きだけの表現押しくら饅頭
冬暖(あたたか)竹で組まれた蓮華座

NHK短歌 題 スイーツ
選者 笹公人 ゲスト 林田洋平 司会 星野真里
レギュラー 元髙克樹 矢花黎 カン・ハンナ

冒頭の短歌
高校生カップルの削るロングパフェに隠れ給える誕生釈迦像
笹公人

短歌の穴埋め挑戦!~グルメで一首~
いつまでも子供でいなよ夕ぐれの窓辺に冷えるチェリーボンボン
笹公人
女 カン・ハンナ
シラフ 林田洋平
こつぶ 星野真里

■入選九句 テーマ スイーツ 
バスク風チーズケーキを出すシェフを「焦げても平気」と祖母は励ます
犬山裕之
マカロンを端から端まで買う金曜生きてるだけでみんな満点
つきこ
「消毒液買ってきたよ」と妻が言う「ショートケーキ」に俺は聞こえた
岩崎純史(じゅんし)
スイーツの店を検索する冬の町にあふれる仏語の調べ
山口正剛(せいごう)
落ち葉踏む音だと思いつつ食めば晩秋の季語となるミルフィーユ
風花雫(かざはなしずく)
もう顔も思い出せない友達と砂場に埋めたジェリービーンズ
有村鹿乃子
安曇野で食べた林檎の天ぷらはアリスもきっと好きになるはず
臼井慶子
クレープをブーケのように持ったまま行きたいところ彼日(かのひ)の砂丘
北入(きたいり)はるか
💮クリスマスまではもたない気がしてる分厚く切ってしまうシュトレン
長井めも

■短歌侍 武者修行! 元髙克樹 矢花黎 カン・ハンナ
「食を詠む」
キーワード 鋳型(いがた)

■歌人のグルメ
一枚のショコラで十日は生きむぞとそんな十日の得(え)がたきものを
今野寿美

■短歌ボナペティ!
キーワード かじる

手のひらに夢があるようドーナッツをかじれば虹の形へ変わる
カン・ハンナ

カラースプレーチョコまぶされてかじられて完成形のドーナッツと俺
星野真里

幼な子のミイラはドーナツかじりつつ遠き土星の地震を語る
笹公人

2022年12月12日月曜日

兼題「クリスマス」

未来へと大川組子寒昴(かんすばる)
都鳥よりよく生きるための選択
冬の朝水平線を持ちて生く
落葉時妙見山のヤッコソウ
弥之助を小弥太受け継ぎ冬日和

NHK俳句 兼題 クリスマス
選者 井上弘美 ゲスト 山崎怜奈 司会 武井壮

■冒頭の俳句
少年に藁のにほへる聖夜劇   井上弘美

■俳句ナビ クリスマス
表記を工夫する
穴埋めクイズに挑戦
胡桃割りて妻と足るなり降誕祭   星野麥丘人(ばきゅうじん)
派手なもの着てそわそわとクリスマス   花谷和子

これを買ひこれを買ひ買ふクリスマスケーキ   三村純也

この出逢ひこそクリスマスプレゼント   稲畑汀子

■入選九句 兼題 クリスマス
大樹みな聖樹となりぬ時計台   中田かおり
聖夜の灯アクリル板にうつる僕   押見げばげば
バラードへ移る聖夜の駅ピアノ   酒谷百合子
大潮の海原蒼きクリスマス   大内菅子
噴水を照らす光やクリスマス   有村次夫
クリムトの金の雪降る聖夜かな   古関聰(あきら)
シャンパン抜けば星の音する聖夜かな   真尾公子
💮山崎読み聞かす聖樹の下(もと)や「ぐりとぐら」   木村弘美
武井クリスマス生後七日の仔犬来る   近藤由香子

■俳句ナビ 添削コーナー
病室の隅に小さな聖樹置き
添削
病室の片隅クリスマスツリー

ロウソクの火の温かき聖夜かな
添削
一本の燭(しょく)あたたかき聖夜かな

欠航の星降る島のクリスマス
添削
欠航の島に聖夜の星降れり

クリスマス実は恋しい出汁の味   山崎怜奈
添削
だし風味ふつと恋しきクリスマス

2022年12月11日日曜日

方丈記と徒然草&兼題「手袋」

角度なきスペースへシュート決む(2022.11.23)
悲劇から歓喜のドーハへ冬の陣(2022.11.23)
でかい主語用いる人や露凍る
単数を複数に変え冬をデモ
北颪(きたおろし)環境保護という思想

■方丈記と徒然草 より
つれづれの骨は禅尼の障子なり   江戸川柳

ここに至りては、貧富、分(わ)く所無し。
究竟(くきやう)は、理即(りそく)に等し。
大欲は、無欲に似たり。
「徒然草」第二百十七段
究竟(悟りの境地) 理即(迷いの境地)
徒然草とは(散文の俳諧)

■ギュッと!四国
夏井いつきの俳句道場 兼題 手袋
兼題「手袋」は冬の季語 傍題は「手套(しゅとう)」

ギュッと!特選
手袋欲し海峡のただ黒ければ   みずな
(目の前にない手袋の存在を認識させている。)

秀作
手袋に楽譜歓喜の歌いよよ   森桜佳
手袋落つ消毒液の斜め下   坂本梨帆
引き出しの手袋三つみな左   秋白ネリネ

佳作
てぶくろのクマさんなでる小さき手   海香
てんてんとのこる手袋日は落ちて   おんま
脱ぎ捨てし子の手袋はグーの形   外町よしのり
進路面談暮れる教室に手袋   ふみえ
手袋のいつも右手の見当たらず   佐渡爺
かたわれの残る手袋捨てきれず   矢野いろは

2022年12月10日土曜日

たい焼きで一句&名言

柿すだれ冬の風受けゆっさゆさ
強くして脆(もろ)き権力隙間風
陽が昇るあるべきようは暮易し
冬の空今を生きろと呼吸根
冬の風ラッキョウ畑紫へ

■プレバト纏め 2022年12月8日
たい焼きで一句

俳句名人昇格試験
森口瑤子
長ゼリフ終へ差し入れの鯛焼
添削(7・5・4の韻律の是非。短調な調べではご褒美にならない。)
長ゼリフ終へたり差し入れ鯛焼

立川志らく
余命を知りたい焼きを腹から食う
添削(「知り」→「食う」と展開する叙述の是非。
   「余命知る」と終止形で言い切り、「食らう」で締めくくる。
   「食らう」で何と余命は理不尽なのかという思いを匂わせる。)
余命知るたい焼きを腹から食らう

永世名人への道
藤本敏史
買い食いの鯛焼野球強豪校
(「強豪校」と限定したことで読む人の想像力が掻き立てられる。)

次回のお題は「観光バス」

■名言
中村天風 曰く
「健康や運命というものは、
 それを消極的に考えない人々にのみ恵与されるよう、
 宇宙心理ができている。」

星新一 曰く
「ニュートンは
 『どうやって法則の発見を』と聞かれ、
 『考え続けて』と答えた。
 執念、ここが大事なのだろう。」

柴田智昭 曰く
「一つの方法に
 固執する必要はありません。
 臨機応変に
 別のルートを行けばいい。
 夢を叶える道筋は
 一つじゃない。」

2022年12月9日金曜日

名言

虹色の雫抱くや龍の玉(無季句)
お大師をほのかに染めた冬紅葉
愛犬と般若心経冬の寺
吊るされた渋柿揉まん青き空
違えをり皇帝ダリア冬を咲く

■名言
中国の諺 曰く
「身体の老いは怖れないが、
 心の老いが怖ろしい。」

タキトウス 曰く
「何かを気にもとめなければ、
 それでその事は力を失う。
 何かに腹を立てるのは、
 それが事実と認めたことになる。」

ジェームズアレン 曰く
「人が手にするものは、
 その入手を願い祈るものではなく
 公正な報酬として受け取るものである
 人の願いや祈りは、
 彼の思考や行いがそれと調和した場合のみ
 かなえられる。」

デモクリトス 曰く
「快と不快こそ、
 有益なものと無益なものを分ける
 境界線である。」

ハワードシュルツ 曰く
「私は成功していても
 イラついている人を数多く知っています。
 不満や妬みでいっぱんな人達を。」

ココ・シャネル 曰く
「実際にどう生きたかということは
 大した問題ではないのです。
 大切なのは、
 どんな人生を夢見たかということだけ。
 なぜって、夢はその人が死んだ後も
 いき続けるのですから。」

2022年12月8日木曜日

名言と流黐

鐘氷る顔を失くしたるハルキウ
ジグザグの天気予報よ紅葉散る
(伊藤若冲)冬の山賽の河原の地蔵さま
冬日和眠る若冲石峰寺(せきほうじ)
ソーラーでにっこり山羊の日向ぼこ

■名言
パブロ・ピカソ 曰く
「私はいつも自分の
 できないことをしている。
 そうすればできるようになるからだ。」

J・D・サリンジャー 曰く
「何でもそうだけど、
 あんまりうまくなると、
 よっぽど気をつけないと、
 すぐこれ見よがしになってしまうものだ。
 そうなったら、
 うまくも何ともなくなる。」

リヒテンベルグ 曰く
『「こうすればよかった…。」
 と思い悩むのは、
 人のなしうる最悪のこと。』

■一分季語ウンチク 流黐(ながしもち)
この「黐」は鳥黐を指すのもです。
昔、童話の「かちかち山」なんかで
タヌキを捕まえるのに鳥黐を使った
何て言う表記しているバージョンもありますが
あの鳥黐です。
黐の木からとった粘り気のあるこの液体を
木の枝や縄なんかに塗りつけたものを
川に流して川にやって来た鴨などの
水鳥を捕まえるそういう狩猟法のことなのです。
果たして今でもやっているのでしょうか❓
そして果たして今現在でも
いろいろ鳥獣保護が叫ばれている昨今
やっていい狩猟法なのでしょうか
色々現状が気になる季語でございます。

2022年12月7日水曜日

凩と場所を示す助詞「で」「に」

いつの世も世を儚(はかな)みて冬の靄(もや)
小さきこと儚んどるな北颪(おろし) 
冬耕(とうこう)や儚んどりてなんとする
斜線上の夢追いかけんたま風
露凝る(つゆこる)や抑える人に育まれ

■一分季語ウンチク  凩
この漢字一字で「こがらし」と読む場合もあれば
木に枯れると書いて「木枯」と
二文字で表記する場合もあります。
冬の訪れを告げる寒く厳しく吹き付けてくる
冷たい風、木も枯らすばかりの冷たい風です。
この「凩」は非常に俳人心を
刺激する季語でもありまして
歳時記を見ると錚々(そうそう)たる例句が
たくさん並んでいます。
その中でも芥川龍之介の
「木枯らしや目刺しに残る海の色」
なんかの句はとても有名です。
「凩」という季語は情報量を含んだ季語でもあり
立ったこの一字によって冷たさ、厳しさ
その風の吹きつけてくる強さなんかも
伝わってくる季語です。
うっかり俳句初心者なんかだと
「凩が吹く」とか「ピューピュー」とか
そんなベタなところやってしまいそうな
恐ろしさもあります。

■夏井いつき俳句チャンネル
【添削】プレバト!!ではすごい考えて添削をしている?

助詞の解説
時雨るるやジュニアシートで待つポテト   藤本敏史
おぼろ夜や荷馬車で眠る象使い   藤本敏史

米洗ふ前蛍の二つ三つ
(へ、をではなく「で」比較)

場所を示す助詞 で 活動の場所 動作 飛んでいる
        に 持続行為の行われる場所 存在 静 止まっている

荷馬車で眠る ⇨ 荷馬車に眠る
ジュニアシートで ⇨ ジュニアシートに 待つは静的な動作だから

2022年12月6日火曜日

題「イベント」

冬の夜独りで食べるチョコレート
カピバラと柚子の共演露天風呂
冬日和近くて遠きわが心
冬の雲街のリビング丸の内
北窓塞ぐ黄昏は憧れへ

NHK短歌 題 イベント
選者 栗木京子 レギュラー 元髙克樹 矢花黎 
司会 小沢一敬

■冒頭の短歌
ベルリンの壁崩壊し二十年チョコの壁割るイベント見たり
栗木京子

強い意思を表す
(例)~だ ~ではない ~するぞ
状況説明をする部分をいかに抑えるかが大事

■Lesson1
強い意思を表す
もう二度とこんなに多くのダンボールを切ることはない最後の文化祭
小島なお

■Lesson2
視聴者のエピソードを短歌に
汗滲む鉢巻そっと締め直しカメラ片手に君へと走る
元髙克樹

心臓が飛び出しそうな私など知る由もなし君との写真
矢花黎

体育祭忘れることない片思いこの先誰かに恋したとしても
小沢一敬 添削
忘れない体育祭の片思いこの先誰かと恋に落ちても

■入選歌紹介 テーマ イベント
吟行を兼ねる短歌のイベントに遊覧者で皆指を折る
中谷眞理
ドーランで顔を白くし友達と河原町まで歩いたハロウィン
酒井柚秋(ゆずき)
会場を埋める人波想像する祭り前夜の役場のデスク
イトウカンタ
ペンライト緑つくかと確認し明日は彼らと初めての地へ
石井七海(なつみ)
ギター弾く君が浴びてる歓声に粉れて呼び捨てするよ今日だけ
藤原はるか
💮秋晴れのクラシックカーフェスタへと令和の車が列を成したり
水沢穂波

■NHK短歌×らじらーSATURDAY コラボ企画
あなたも短歌侍 ベスト3発表 テーマ 幸せ

元髙克樹の上の句
つけ麺を覆い尽くしたトッピング

3位
部活後の胃はブラックホール   川越羽流(はる)
2位
明日この子を寮まで送る   ふるのさわ
大賞
見てるあなたが私のカロリー   石田萌
番外編
ラー油にうずら自家製チャーシュー   菅田琳寧(りんねい)
行列耐えた先のオアシス   佐々木大光(たいこう)

矢花黎の上の句
眠い目をこすりながらも家を出る

3位
洗面所から父の遠吠え   早川和博
2位
ポーロッポーポうお座が一位   相内あみ
大賞
チャリで帰れぬとこへ飛び発つ   サザナミインコ
番外編
頂点取りに「いってらっしゃい」   菅田琳寧
オレンジロード子供が笑う   佐々木大光

■短歌対決!
泣き叫び震える母の手を父が握りしめた日僕の誕生日
元髙克樹 添削
泣き叫び震える母の手を父が握りしめた日僕が生まれた

リハの後作業進めるデスクでも僕にとってはステージなのだ
矢花黎 添削
リハの後作業進めるデスクこそ僕にとってはオンステージだ

頑張った通信簿見せる食卓で褒められるまで箸は持たない
小沢一敬

2022年12月5日月曜日

兼題「狸」

冴える星マッキンゼーに物申す
冬ぬくし果蔬涅槃図(かそねはんず)に見る成仏(じょうぶつ)
軋む声つくり笑顔の霜夜かな
冬の陽やあたためらるる背と心
独り食ぶ納豆汁の熱きこと

NHK俳句 兼題 狸
選者 髙柳克弘 ゲスト パンク町田 司会 武井壮

■冒頭の俳句
子と待つや檻(おり)の狸の腹鼓(はらつづみ)
高柳克弘

テーマ 俳句と映像
冬の季語 狸罠(たぬきわな) 狸汁 狸狩(たぬきがり)

狸汁座中の一人ふと消えぬ   佐藤紅緑(こうろく)

洗熊(あらいぐま)里を求めて狸霧中(たぬきむちゅう)   パンク町田

■入選九句 兼題「狸」
切手買ふ狸の町の郵便局   近藤恵美子
まんまるがつぼまってこの狸穴   馬場ひろみ
駐在の逃げ腰見抜き狸の子   田中由紀子
夜に弾む缶ぽっくりは狸かな   橘美和
💮狸住む校庭に花いちもんめ   平井修一
武井そこに雪あるかに歩く狸かな   佐藤研哉
パンクぢいちゃんの狸のはなし椹(さわら)風呂   梁田(やなだ)輝子
狸供養して県道のパトロール   佐藤茂之
木々に天狭く狸の道案内   田中勲

■お題動画で一句
海ゆけば小舟のごとき狸かな   武井壮

身震いに水溜まり出来濡れ狸   高柳克弘

2022年12月4日日曜日

サイエンスZERO「エアロゾル」

冬に逝く鳥インフルのこうのとり
冬の雲カメラ目線のツキノワグマ
冬の星ポジション取りの巧い人
動機あり実行集合深雪晴(みゆきばれ)
隙間風佳き経験は忘れけり

■サイエンスZERO
エアロゾルとは空気中を漂う小さなほこり
異常気象を予測するカギとなるかもしれないらしい。
エアロゾルは雲の芯となる。

霾(つちふる)やからくれなゐの日を溶かし   風慈音
(季語は霾 黄砂のこと)
声のなき粒子の集ふ秋の空   ギル

雲粒を並べて秋の見本帖   夏井いつき

好物はおしろい春の雲ふえる   片野瑞木
雪は色失ふ刹那(せつな)たなごころ   浦野紗知
理科室の秋思を雲にする実験   高尾里甫
(季語 秋思 秋の頃の物思い)
星のくず燃えて溶け込み幾千里   足立光司
エアロゾルの溢るる泪流れ星   葦屋蛙城
(季語 流れ星 秋)
霾(つちふる)やからくれなゐの日を溶かし   風慈音
(季語 霾 春 黄砂 
 太陽に光は空気の分子やエアロゾロで散乱される。
エアロゾルが多いともっと強く太陽が真っ赤になる。)
数時間生きた粒子や夏怒涛   そまり
街を雹雲は孤独の集合体   いさな歌鈴
(季語 雹 夏)
野を焼きて草木虫のエアロゾル   けーい○
柚子のこのしぶきのつぶにあるうしは   古瀬まさあき
なにもかもあなた任せの秋の雲   Early Bird
満月が赤銅色になる不思議   いとみ
ひとりなのいつしよにはるのくもにならう   青海也諸

漂へるものに秋冷とびつきぬ   夏井いつき

井上咲楽!うるさすぎ!耳が痛い!
二度と使わないで欲しい!

■夏井いつき俳句チャンネル より
【謝罪】北山くん、ごめんね。
ポロポロと食べ放題だ雪あられ   北山宏光(初登場)

サングラス外して対す海の青   横尾渉
高めから紫陽花覘く俺634(むさし)   北山宏光(2回目)

Kis My-Ft2のプレバトの出演は北山宏光君が最初でした。

2022年12月3日土曜日

カラオケで一句

振り抜いた堂安決めん同点弾(無季句)
諦めぬ三苫と田中の止めかな(無季句)
冬の靄(もや)判断下すホークアイ
最前線を前田奔走冬日和
森保の支配的中冬青空

プレバト纏め 2022年12月1日
カラオケで一句

永世名人 富美男のお手本
梅沢富美男
榾(ほた)の宿主十八番の夢芝居
添削(榾とは囲炉裏やかまどの薪のこと。画角が緩(ゆる)い。)
くべて主十八番は「夢芝居」
くべて十八番といふを唸り出す

永世名人 村上のお手本
村上健志
暖房や(間奏約30秒) 
添削(「約」を削り季語に情報を入れると面白みが増す。)
暖房が熱い(間奏30秒)

永世名人への道
千原ジュニア
カラオケの二番の途中コート脱ぐ
(強いリアリティーがある。季語「コート」を主役に立てている。)

1位 村上佳菜子
忘年会1人のためにラブソングを
添削(「を」は気持ちを強調している。作者の意図を尊重。)
忘年会人のためにラブソングを

2位 山口もえ
初雪やこの恋届け歌にのせ
添削(「よ」で詠嘆を重ねる。)
初雪に歌うよこの恋よ届け

3位 徳光和夫
指先に沈む夕陽やママの冬
添削(沈まない夕日はない。
   スナックのママである事を詠み込む。)
「再会」を絶唱ママの冬夕陽
「再会」を絶唱ママの冬夕焼

4位 那須川天心
ひと晩で忘れるからOK年の暮れ
添削(添削しようにも季語以外の材料がなさ過ぎ。)
忘年会

次回のお題は「たい焼き」

2022年12月2日金曜日

女の一生&人生とは?&名言

一体化できるや否や冬の陣
チューニング点も線をも波とする(無季句)
木の天辺で鳴く笹鳴(ささなき)やじゃっじゃっじゃ
ヤマガラや雨の止み間の枯野かな
雨に濡れ輝くもみじきらっきら

■女の一生
二十代は美しく
三十代は強く
四十代は賢く
五十代は豊かに
六十代は健康に
七十代はしなやかに
八十代はつややかに
九十代は愛らしく
そしていぶし銀のように
美しい百歳へ

■人生とは…。
心、更に、答ふる事、無し。「方丈記」
(生きる意味はとうとうみつからなかった。方丈記の結論)

一人(いちにん)の主にも逢わなかった。森鴎外「妄想」

遍(へ)歴(めぐ)りていづくにか行く
わが魂(たま)ぞはやも三十(みそじ)に近しといふを
中島敦「遍歴」

読書だけでは人生の真実には辿り着けない。
というのが結論。

■名言
アラン 曰く
「我々は、今だけ耐え忍べばよい。
 過去はもうないし、
 未来はまだないのだから。」

スティーブ・ジョブズ 曰く
「過去を振り向いてばかりではダメだ。
 自分がこれまで何をして
 これまでに誰だったのかを受け止めた上で、
 それを捨てればいい。」

ロングフェロー 曰く
「感情は深く静まっている。
 表面に浮かぶことばは、
 怒りのかくされている場所を教える
 浮標である。」

2022年12月1日木曜日

よみ旅!In岩手(後編)&納豆

そちこち破壊神仏分離しぐれ月
冬凪や象に腰掛け仏さま
懸命に命生ききる帰り花
冬の陽や一番乗りの駐車場
十分の冬空遙か逆さ虹

■夏井いつきのよみ旅!In岩手(後編)

秋空に白球とどろくホームラン   野球少年A の父
秋の風追い風のって伸びる球   野球少年B

子等の分人畝(ひとうね)増やし大根まく   小野伊豫(いよ)
鰯雲たばこ休みのカレーパン   髙橋まゆみ
秋風に揺れるササラは稲穂かな   菊池浩之
秋の暮れ思いもつまるタンスかな   及川洋
未知探し遠くに望む天の川   酒井大裕
晩秋も人手不足のハンバーガー屋   菊池良太

聞かない耳を持て   ROLAND
(知りすぎないことが個性を持つ方法)

秋夕焼け工事だらけの陸奥よ   鈴木萌晏(もあ)

■一分季語ウンチク 納豆
塩辛納豆と呼ばれる種類のものが
冬の季語にあたります。
この塩辛納豆と言うのは
蒸した大豆に麹黴とつけ
発行させて作るやり方になります。
「納豆を作る」という夏の季語もありますが
夏に麹黴をつけて作った納豆
仕上がってくるのが3~4カ月後にあたる
この冬になります。
この乾燥させて作るタイプの「納豆」
大徳寺納豆や寺納豆などと呼ばれるようです。
かつては寺院で作られていたことから
この名前がついたようです。

2022年11月30日水曜日

同性を好きなった時&将来が見えない時に読む本

瑞祥(ずいしょう)の彩雲の出る冬の空
冬めくや無視し続ける能力と
冬の星ソーシャルメディアリテラシー
柿落葉ずっと一人で生きてきた
冴ゆる夜(さゆるよ)やKPIを無視する力

■理想の本棚 同性を好きになった時に読む本
▪「弟の夫」著者 田亀源五郎
家族を失いまた新しい家族になっていく物語。
同性を好きになった家族を日常の積み重ねの中で受け入れてゆく。
日常の積み重ねの中で理解、寛容という形になっていく。

▪「わたしはオオカミ」著者 アビー・ワンバック
女子サッカー界のレジェンドからのメッセージ。
名門女子大バーナードの卒業式祝辞から生まれた本。
古いルールを捨て、悔いなき人生にする
とびきり「クール」で「しなやか」な8つの方法。
自分が自分らしくどう生きるべきなのか
独りではない。狼の群れであれ。
ひとりではなく連帯しようと励ますスピーチ。

▪「カミングアウト・レターズ」編 RYOJI+砂川秀樹
カミングアウトしようとしている人、された人、
両方に読んでほしいノンフィクション。
19通の手紙のやり取りをまとめた本。
まるで俺、人を殺してしまったと言われたように響いた。
一生嘘つくなんて、僕にはできなかったんだ。
あなたのかたちでいい。幸せになりなさい。
いま、家族に知っててもらえてすごく幸せだから。
これからも宜しくね。

■理想の本棚 将来が見えない時に読む本
▪女の一生 著者 伊藤比呂美

森本薫「女の一生」より
誰が選んでくれたものでもない
自分で選んだ道ですもの

モーパッサン「女の一生」
人生は、皆が思うほど
良いものでも悪いものでもない

そこで、伊藤比呂美は
作者は二人とも男だしどうせなら
自分たちの「女の一生」を作りたかった 
キャッチコビーは「あたしはあたし」の潔さ
「あなたはあなた」と考えられるようになると
相手を尊重しつつ受け入れられる
恋愛とは「あなたは私」と勘違いすること。
自分らしく生きていくと良いと思います
正直な回答に説得力がある

▪十皿の料理 著者 斉須政雄
手に取った仕事を自分の理想に近づける
技術者になりたての頃、シェフから仕事をまかされて
ソースやオードブルを作っている人、
お菓子を作っている人たちが、
生まれながらの名人のように思えました。
誰もがそういう力を
兼ね備えているように見えました。
見ている自分のつたなさがつらくて
自分もそうなれるかと羨ましく、不安でした。
たとえ同じになれなくても、
階段を少しずつ上がりながら近づきたいと思いました。
その工程で僕が得た最大の宝物は、
「なにごともやってみなくては分からん」
ということを知ったことです。

▪永遠の詩02 茨木 のり子 著者 茨木のり子
自分の感受性くらい自分で守ればかものよ

モノローグ(独白)よりダイアローグ(対話)を
大切にする人でした。

倚(よ)りかからず
もはや
出来あいの思想には倚りかかりたくない
もはや
できあいの宗教には倚りかかりたくない
もはや
できあいの学問には倚りかかりたくない
もはや
いかなる権威にも倚りかかりたくはない
長く生きて
心底学んだのはそれぐらい
じぶんの耳目
じぶんの二本の足のみで立っていて
なに不都合のことやある
倚りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ

自分の感受性くらい 茨木のり子
ばさばさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもがひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

自分を鼓舞する力が記されていた。
Yの箱(Yとは30年前に亡くなった茨木の夫・安信のイニシャル)
彼女の未発表の作品が入れられていた。
その箱に入っていたのは夫への恋慕の作品だった。
他人には強く生きろと言っていた彼女の本心が記されていた。
あなたの元に早く行きたいという…。茨木…。
茨木のり子の強い部分と弱い部分が記されることで
一人の詩人としての魅力が増しています。

2022年11月29日火曜日

題「運」

獅子の背の文殊菩薩よ冬日和
冬ぬくし象に鎮座普賢菩薩
無理のない関わり持ちて冬の月
冬茜背景となる山水よ
KPIを計る時間軸冱(い)つ

NHK短歌 題「運」
選者 佐佐木定綱 ゲスト向井地美音 司会 星野真里
レギュラー カン・ハンナ 元髙克樹 矢花黎

■冒頭の短歌
おれの名のラベルが貼られ液体のおれが奥へと運ばれてゆく
佐佐木定綱

暑いけどAKBはもっと熱い   向井地美音

■入選九首 題「運」
青白き光を運ぶ器なり過疎の夜をゆくコミュニティバス
増田いぬ
子育ての戦友なりしベビーカー運ばれ行くを黙(もく)し見送る
海瀬(かいせ)安紀子
満員の朝の電車は運賃に体力気力が上乗せされます
糸賀きな
💮二度折ったデニムの裾に運ばれて夜に零(こぼ)れる砂の粒たち
久藤さえ
太陽としての我が子を向日葵のように親らが見る運動会
友常甘酢
便箋の透かし模様は世界地図インクがパナマ運河を渡る
堂本明代
運送の途中で起きた事故らしい子豚の歩く高速道路
伊藤喜博
めいめいの水平線を保ちつつ給食トレーを席まで運ぶ
丹羽祥子(しょうこ)
お手製のおみくじはみな大吉で運は5歳に作られている
田茂(たも)博之

■佐佐木先生の「短歌というドラマ」
歌に秘められたドラマをひも解き深く味わう
次々に走りすぎ行く自動車の運転する人みな前を向く
奥村晃作「三歳幼虫」
(SNSがかなり面白い!と佐佐木頼綱先生談)
ただごと歌
日常の風景を比喩などを使わず平易な言葉で詠む
子供の視点で歌っている
常識になってしまって僕らがもう見えていない部分を見ている
今回の歌を深く味わうためのポイント
「ただごと歌」には世の中の常識を
改めて考えさせる視点が描かれている

■佐佐木定綱さんからの宿題
題「運」で歌を詠んでください
ついついとヒートテックに手を伸ばす寒さが運ぶ冬の匂いで
向井地美音

■短歌侍 特別編 NHK短歌×らじらー!SATUADAY
コラボ企画への道
あなたも短歌侍 テーマ「幸せ」下の句選考
元髙克樹 選
つけ麺を覆い尽くしたトッピング
これがしゃかいじんの力だよ 遠藤翆
「黄身が1番好きだ」と言えた 落単大学生

矢花黎 選
眠い目をこすりながらも家を出る
ポーロッポーポうお座が一位 相内あみ
前髪ハネた幸運の女神 甘夏せと香
いつものあの子がベビーカー降り ながひさ

ベスト3は次週公開
佐々木大光&菅田琳寧も出演!

2022年11月28日月曜日

題「屋内」

冬の朝エビデンスなき現実よ
(エミリー・オスター女史)二児の母子育ての経済凍る
高い自己肯定感や冬ざるる
観察し俯瞰の続く冬の対象
冬ぬくし観察眼で社会性

NHK俳句 題「屋内」
選者 堀本裕樹 ゲスト 荒井良二 司会 武井壮

どつぷりとつかりてこその炬燵かな   中嶋秀子

■あなたのエピソード俳句にします
テーマ「屋内」
原文の中に含まれていた冬の季語 
毛糸編む(毛糸) 悴(かじか)む ストーブ
悴みて父に編みたる腹巻よ   堀本祐樹

円卓を囲むおおざら衣被(きぬかつぎ)   里中和子
添削(衣被 秋の季語 映像を見せた添削)
円卓の大皿の衣被かな

■入選六句 テーマ「屋内」
雑炊が好きと足もてお腹の子   
猪田宗孝(季語 雑炊)
図書室の本に冬日の温みかな   
宮本ヒロ子(季語 冬日)
冬の蚊の埃のごとく天井に
野上卓(季語 冬の蚊)
短日(たんじつ)や野良着のままで立つ厨(くりや)
佐藤強(季語 短日)
鋤焼(すきやき)の席を外さぬ中居かな
髙橋芳承(ほうしょう)(季語 鋤焼)
💮六人が今は二人の炬燵かな
宗像(むなかた)眞知子(季語 炬燵)

■ゲストのエピソード、俳句にします
洞窟に絵を描くここち冬ともし   堀本祐樹
(季語 冬の灯・冬灯ふゆともし)

「必要な言葉を見つける。絵画と俳句は似ている。」
荒井良二さんの言葉です。
荒井良二さんのことは「ほぼ日刊イトイ新聞」で
存じ上げていたのですが想像通りの方でした。
最高に素敵な方でした。

2022年11月27日日曜日

光クラブ&御成敗式目

ありのまま写し伝えん寒牡丹
寝息立て落葉の上の親子猫
冬陽射し浴びて落葉と眠る猫
鳥の襲撃瞬間捉う木守柿(きもりがき)
枯桜スキャンされたる老いた人

■にっぽん!歴史鑑定「東大生の闇 光クラブ事件の謎」より
闇金融界の風雲児 東大生社長 山崎晃嗣
「人生は劇場である
 僕はそこで脚本を書き
 演出し主役を演じる」

「東大生社長」という役を演じきっていたため
罪悪感を全く感じなかった。
学生である自分が投資家から莫大な金を集め
それを平身低頭となって借りに来る人たちに
貸すことに満足していた。
騙すことで自尊心を満たしていたのかもしれない。

営業部長、秘書の裏切りからほころびが見え始めた。
青酸カリを服用に自殺。

「高利貸冷たいものと聞きしかど死体さわれば氷カシ(高利貸)」
山崎晃嗣

https://ja.wikipedia.org/wiki/光クラブ事件

■御成敗式目 
鎌倉幕府の基本法典。
貞永元年(1232)、執権北条泰時が評定衆に命じて編纂(へんさん)させたもの。
51か条からなる。
源頼朝以来の慣習法・判例などを規範とし、
行政・訴訟などに関して定めた武家最初の成文法。
後世の武家法の基本となった。貞永式目。

知恵泉 より
▪悪口は争いのもととなるため重大なものは
 流罪とし軽い場合でも牢に入れる
▪人に暴力をふるうことは
相手の恨みを買うためその罪は重い
▪領内の農民が逃亡したからといって
 その妻子を捕まえ家財を奪ってはならない

清水克行氏
しかし、鎌倉武士の倫理観からすれば
他人から悪口を言われ裁判に訴えるというのは卑怯。
(悪口を)言われた瞬間に斬れるのが武士としての正しいやり方。
そういう武士を矯正するのが北条泰時の役目だった。
泰時は厳罰だけではなく緩刑化も執り行った。
不倫に関しては以前より寛大な刑となった。
以後、寺子屋の教科書にもなった。

2022年11月26日土曜日

ピザ窯で一句

伸びやかに空間目指す尾白鷲
冬の雨Chromeまでも反抗期
冬の山廃仏毀釈そこかしこ
冬浅し神輿上下に滝入りへ
初霜よ白装束の神輿入り

プレバト纏め 2022年11月24日
ピザ窯で一句


永世名人 富美男のお手本
梅沢富美男
ピザに焼く上顎の皮雪催
添削(皮が不要。
   オノマトペだと3音を4音にして字余りになっても気にならない。
   句またがりにし季語を主役に立てる。)
ピザに焼く上顎雪催しんしん

特待生昇格試験
北山宏光
雪催煤切れを待つ耳赤く 
添削(情報の詰め込み過ぎ。雪催(もよい)冬の季語 
   今にも雪が降りだしそうな天気のこと。)
石窯の煤切れを待つ雪催

馬場典子
ピザカッターの先に居るずわい蟹 
添削
ピザカッターの先ずわい蟹のかたまり
ピザカッターの先ずわい蟹のこんもり
ピザカッターの先のずわい蟹を睨む
ピザカッターの先のずわい蟹をどうする

1位 高瀬愛奈
冬銀河打ち上げピザはナポリ風
(季語の冷たさ・美しさと対比された中七下五。
 冬銀河 冬の季語 冬の夜空にかかる天の川のこと。)

2位 渡辺満里奈
400℃火の如赤き父のセーター
添削
ピザ窯の火のいろ父のセーター

3位 坂井良多
炭ドームチーズとトマトの一騎討ち
添削(炭は冬の季語。トマトは夏の季語。幼稚な擬人化。)
ピザ窯はチーズとトマトの一騎討ち

4位 大貫勇輔
炭火前早く運べとサラミの目
添削
炭火爆(は)づピザのサラミ目のごとく

次回のお題は「カラオケ」

2022年11月25日金曜日

戦禍の中の俳句

感動のなき教科書冬暖か
駐車場溢れる冬陽きらっきら
お買い得車走らせ冬の朝
冬の陽やインド映画の3時間
石集め想像の旅冬星座

■ETV特集 戦禍の中の俳句

うつくしき空より飛来ロケット我らに
子ら遊ぶ紙飛行機で防空壕
色失せた凍える女地平線が震える
七月の暮れ去年の切株で薪を割る
遠い停車場風に吹かれしタンポポが
古い写真我より若き祖母夢に出づ
特別軍事作戦サラダに油少なめに
ペイントボードの痣長く見つめたら別の惑星
「生きてます」息子の手紙光跳ね
文化キャンセル昇る日なき地夜に沈む
未耕作沃野を覆う黒い鳥
星の光街の灯空に去ったよう
掌にミサイルかけら痛い
砲撃後看板なしで通り分からず
子ら遊ぶ紙飛行機で防空壕
耳詰まる突如の静寂雪は血に
サイレン吠え中庭で犬が泣く
二月川面の穴ルーシの水すべて黒し
星月夜キエフを向きて祈りけり
須磨寺に別の寒さのありにけり
ロシア語の「武士道」頁の間に乾いたゴキブリ
流氷を貪欲に運ぶトミ川最後の雪
ずんずんと夏を流すや最上川   子規
公園に兵士幾度の触れる空の軸
川 幼き日流れに反し雲泳ぐ
木の匂い一番強い暴風後
こほろぎが髭をかつぎて鳴にけり   一茶
古池や蛙飛びこむ水の音
かたつむりそろそろ登れ富士の山   一茶
瓶の魚岸辺の絶景海を乞う
無間の原今年は特に赤い彼岸花
長き冬古い教科書捨てずにおく

翻訳する方もそれを読む方も俳句に精通していないと
成立しない番組だと思いました。
静寂を「せいじゃく」と読んでおられましたが
「しじま」ではないでしょうか❓

■光泉寺(美馬市)「友情の碑」
三宅速(はやり)へ アインシュタインより
「ふたりはともに人の世の恐ろしい
 迷いの犠牲となって、ともに亡くなった。」

2022年11月24日木曜日

お役立ち哲学とAI×俳句④

バブル崩壊急転直下冬のドル
冬の月自然の動き未完成
神在祭(かみありまつり)無自覚の思い込み
惜命忌(しゃくみょうき)音符のように軽やかに
冬の山巨木の回廊風冴ゆ

■ロッチと子羊 より
お役立ち哲学
ホッファー 曰く
「教室で教えうるすべてのことは
 遊び場で互いに教え合うことに
 比べれば無に等しい。」
「私はいつも5歳という時期が
 黄金時代だと感じている。
 我々は皆 5歳の時には天才だ。」

ルソー 曰く
「子供が小さいうちは、自分のために
 生きられるようにしてあげてください。」
(15歳から他者への配慮、共感力を身につければ良い。)

ハーバーマス 曰く
「大人の会話とは、対等でかつ
 合意を目指すものです。」
(子どもという意識がある限り対等にはならない。)

■夏井いつき俳句チャンネル
【AI×俳句④】『王国の蝶』の一句からAIが作った画像が...

月はいま濡れたる龍の匂ひせり   夏井いつき
Moon smells like a wet dragon just now.

太陽の恐ろし蝶の口恐ろし   夏井いつき
Scary sun butterfly’s grotesque mouth horror.

凍滝や火を噴く龍を眠らせて   夏井いつき
Frozen cataract sleeping dragon inside.

題「心移り」

霊場の門扉彩る冬紅葉(太龍寺)
冬空へ西陽を浴びて燃ゆる櫨(はぜ)
茶の花や鳥のさえずり子らの声
柿落葉穴こさえても懐石に
山茶花の心尽くしのおもてなし

NHK短歌 題「心移り」
選者 江戸雪 ゲスト 山崎静代 
司会 星野真里 レギュラー カン・ハンナ

■冒頭の短歌
結ばれる日はもうなくて冬空にかすむ飛行機見上げておりぬ
江戸雪

■恋のフレーズ短歌
心移りのイメージを七音のフレーズで表すと
カン・ハンナ 目を見てくれぬ
山崎静代 ミスチルの歌
戻らぬ季節 星野真里
もう今は目を見てくれぬ秋となりミスチルの歌 戻らぬ季節

入選九首 テーマ 心移り
特急の切符二枚で指宿へ隣にきみの姿はなくて
知己凛(ちこりん)
君と買った夏の詩集が褪せていく誰かが悪いわけでもなくて
大野恭敬(やすたか)
まぶたには新しい色本当はきみに見せたい光だったな
福山桃歌
心って離れるものだ青すぎるプールの壁をまっすぐに蹴る
小池ひろみ
ねえどこまで巻き戻したらいいのかなカメラロールの君に訊ねる
檜澤さくら
好きだったところを嫌いになっていくレタスひりひり削ぎ取りながら
薄暑なつ
ひっそりと三面鏡に映りこみ心移りを見透かすこけし
片井俊二
あいまいな相槌ばかり返されて色づく銀杏並木が痛い
広木登一(とういち)
💮ケアンズの南十字座指差した君をそのまま凍らせたかった
相内あみ

■恋バナ短歌
まだ我はどこにも行かず羽化のあと木に残る蝉の抜け殻のよう
カン・ハンナ 添削
まだ我はどこにも行かず葉の裏に残った蝉の抜け殻のよう

暮れてゆく部屋の光量吸い尽くすブルーライトの結婚報告
星野真里
暮れ方の部屋の光量吸い尽くすブルーライトの結婚報告

胸と胸はなれてゆくよさびしさの空蝉(うつせみ)だけを君に渡して
江戸雪

短歌侍特別編
NHK短歌×らじらー!SATURDAY
コラボ企画への道
栗木京子先生 元髙克樹 矢花黎 
ベスト3を選出 テーマ 幸せ
数を絞り込んでいく
独自性があって発見があって
まとめすぎていない下の句を選ぶ

元髙克樹
つけ麺を覆い尽くしたトッピング
 小麦の香りを湯気に含ませ
 明日の浮腫みはないものとする
 白飯追加であとかたもなく
 部活後の胃はブラックホール
 箸で崩せば香るあごだし
 上の句のレベル高すぎるよーーー
 見てるわたしがわたしのカロリー
 みたいでなかなか「ごめん」が出ない 星野真里

矢花黎
眠い目をこすりながらも家を出る
 背負うギターの重力2倍
 食パン咥えヒロインなりきる
 洗面所から父の遠吠え
 赤城颪でああ、目が覚めた
 チャリで帰れぬとこへ飛び発つ
 のぞみ5号がマチネへ連れてく
 (マチネとは昼公演のこと)
 歩道の隅にもふもふの犬
 肩にとまれよ君に似た鳥 江戸雪

2022年11月23日水曜日

名言

氷る頬パラグライダー水の丸
山愛の水車(うすば)回さん冬の駅
ヘルシーとジャンクの両立風花
ビッドレスマーケットへと冬の陣(2022年11月)
冬樹の葉落ちるスピード早過ぎて 

■名言
アルフレッド・スローン 曰く
「人生そのものが
 試行錯誤の過程である。」

エレノア・ローズヴェルト 曰く
「歴史は私たち自身の手でつくるのです。
 人間は希望を持つ方がより知的です。
 できないと言っていては
 何事も達成できません。」
1962年11月7日(78歳)死去

マルティン・ルター 曰く
「明日、世界が終わるとしたら
 今日、私は林檎の木を植える。」

アン・サリヴァン 曰く
「どんなささやかな成功も、
 他人の目には触れない、
 挫折や苦難の道を経ているもの。」

ベンジャミン・フランクリン 曰く
「金は良い召使いでもあるが、
 悪い主人でもある。」

ソロー 曰く
「都会の暮らし
 何百万人もの人々がいるのに、
 みな孤独。」

2022年11月21日月曜日

兼題「返り花」

遍路道冬の参拝雲辺寺
ゴンドラが冬を行き交う箸蔵寺
神山の廃校銀杏の曲線
冬色のグラデーションの街闊歩
冬の道パステルカラーひしめかん

NHK俳句 お題「返り花」
選者 星野高士 ゲスト 金子三勇士 司会は武井壮

■冒頭の俳句
近づけば歩み去る人返り花   池内友次郎

■会いたい俳人、12人 池内友次郎
池内友次郎は「音人間」
明治39年高浜虚子の次男として生まれる
昭和2年パリ音楽院に入学 平成3年没

流れゆく大根の葉の早さかな   高浜虚子
この俳句にも音楽を入れています。
「音楽の音が僕とても好きでした。
 大変美しいものですよ。音と言うのは
 特に楽器の音 心にしみわたるような瞬間は
 しばしば僕は味わいました。」
早春の耳美しき音のみ聴く   池内友次郎
(底辺に見えない音がある。と星野高士氏)

「返り花」とは小春日和のあたたかさに
季節でないのに咲く花のこと。

■入選九句 兼題「返り花」
武③ダム湖にも立つ夕波や返り花   吉次薫
雨雲の上は晴天返り花   山口誠
💮悔いは残さぬ一輪の返り花   平本雅子
船乗りの留守の庭先返り花   前田憲治
さよならを確かめてゐる返り花   青田奈央
返り花こんなところと云ふところ   伊佐治秀一
海光の一番ホーム返り花   村田浩
忘れたきことばかりなり返り花   竹内一二(かずじ)
ゲ②雨粒に色をうつして返り花   河添美羽

■ハンガリーで詠まれた俳句の紹介
冬の朝澄んだ晴れ空光る水
日本語訳 金子三勇士

2022年11月20日日曜日

歴史探偵「正岡子規」

冬めくやもののあわれと寄り添へり
なきものをあると思わん冬浅し
抜け落ちて行く記憶はいずこ惜命忌
紅葉散る今日も今日とて漢意(からごころ)
冬の日や月なき空に曜(よう)浮かぶ (曜とは星のこと)

歴史探偵「正岡子規」より
佐藤二郎(所長) 近田雄一(探偵)

明治版SNSに迫っていました。面白かった!
文学の一大革命に迫る
20代の子規
俳句の方字数少けれども意味深くして遥に面白し
「古池や蛙飛びこむ水のおと   松尾芭蕉」
静かという言葉を使わず静けさを伝えた
これこそが俳句の奥深さだ

一部をあげて全体をあらわし
あるいは さみしくと言わないで
さみしいように見せるのが
優れた詩の趣だと思い至り
思わず机をたたいて
「古池や」の句の味を知って喜んだ
「筆まかせ」より 子規22歳

五七五のリズム
調子よきか如く
聞く人におもしろく感せしめ
「真砂集」より

四季のおじいさんが漢詩の得意な人で
お殿様の先生だったりして
子規は筋がよくて褒められた

ことばをたくさん覚えていくということは
世界をいろんなふうに表現できる
そういう道具をいっぱい見つけてくることに
非常に関心のあった人だと思います。

子規の考えた野球用語
Striker 打者
Runner 走者
Direct ball 直球
Fly ball 飛球

当時の俳句を痛烈に批判した
卑俗陳腐(品がなくて俗っぽくて古くてつまらない)
「俳諧大要」正岡子規

昔の俳句は似通った俳句が多かった 
パターン化していた
月の秋の宿とやみがく玉椿
月もいくよみがえる宿の玉椿

いい言い方をするとポピュラーな単語を多く使った俳句
悪い言い方をすると使い古された単語を
集めたような俳句が多いなという印象

如何に同様の趣向にして
如何につまらぬ趣向かが
一讀して直に感ぜざる者無かるべし。
「ホトトギス」より

俳句をものせんと思はゞ
思ふまゝをものすべし
巧を求むる莫(なか)れ
他人に恥かしがる莫れ
「俳諧大要」より

五月雨を集めて早し最上川   松尾芭蕉
五月雨や大河を前に家二軒   与謝蕪村
子規は写生の観点から見ると蕪村の方が優れている

人に伝わる俳句のコツ
① 実体験を題材にする
② 日常を言葉にする

バツイチの総菜ひとつ秋の暮   野里哲

妻が居て息子と戯れ酒極上   佐藤二郎所長
添削(季語を入れる)
妻が居て息子と戯れ新酒かな   句陀仏(所長の俳号)

六月八日
僕は蚕を飼ひ
桑を少し摘みて
田植に行く。
「ホトトギス」より

「誰でも自分の言葉で発信すべきだ。」と子規。
明治は個人が自分の力で
生きていく時代だっていうこと
あなたも作家になるって言うことです。
誰もが作り手になり誰もが情報の発信者になる。
今のSNSと近いものがある。

子規のレガシーは俳句のそうですけど
生きているというふうに見ることができる。
井上泰至

2022年11月19日土曜日

神宮外苑の銀杏で一句

子ライオン個性を持ちて冬陽射し
強がりてカメラ目線の子ライオン
門構え額縁のごと冬紅葉
床の間へ茶の花二輪いきいきと
クーデター聞く者もなく憂国忌

プレバト纏め 2022年11月17日
神宮外苑の銀杏で一句

永久名人 富美男のお手本
梅沢富美男
吾子踏みぬ銀杏落葉の無尽なり
添削(子の年齢を描写すべき。「無尽」の名詞止めで光景が広がる。)
銀杏落葉歩きはじめた子に無尽

永世名人への道
千原ジュニア
銀杏落葉やカチンコの渇いた音
添削(「乾」ではなく「渇」を選んだのが上手い。
   「渇」は満たされない思い、イライラする
   強く欲しいなどの心情を表す漢字。
   霏々とは雪や雨などがしきりに降る様子。)
カチンコの渇きや銀杏落葉霏々(ひひ)

特待生昇格試験
森口瑤子
足踏みを五回枯葉の音愉快 
(季語を音として聞かせている。
 数詞が「枯葉」を音として聞かせる伏線になっている。)

1位 二階堂高嗣
初霜やオーディション会場不安
(「初」にはその年最初に迎える華やかな気持ちもある。
 霜をサクサクと踏む不安げな音と
 会場に向かう晴れがましい気持ち。不安な心情が表現されている。)

2位 大友康平
肩ぐるまズシン嬉しや日脚(ひあし)伸ぶ
添削(「嬉し」に「や」は大袈裟。ほのぼのとさせたほうが良い。
   措辞のトーンを弱め季語に軸足を置くと良い。
   日脚伸ぶとは年も明けて、少しずつ日が長くなることをいう。晩冬)
肩ぐるまズシンと嬉し日脚伸ぶ

3位 小倉優子
秋夕焼5kmポストの兄を追う
添削(助詞「の」は読み手を色々と迷わせる。)
ゴールは5km兄を追う秋夕焼

4位 ダイアン・ユースケ
黄葉が頬にうつりし無邪気顔
添削(子が一人なら動作を書く。)
子は駆ける銀杏黄葉の只中を

次回のお題はピザ窯。

2022年11月18日金曜日

よみ旅!in岩手(前編)と柳葉魚

冬浅し沈み行く景へ逆光
審美眼越谷の雪極めけり
雪景色ジョブズ嵌った新版画
新版画愛したジョブズ雪の寺
雪晴や美の原点は巴水かな

■夏井いつきのよみ旅!in岩手(前編)
銀河の日日煙待つ小さき手   濱田かづえ

新作のグッズ発売柳叟忌(りゅうそうき)   前川さおり
(柳叟忌は民俗学者 柳田國男の命日)

急降下セピア色なり秋の朝   前川敬子

坊やの手ホップ跳ねるや笑みこぼれ   袴田大輔

ホップの香りとはさみどりに爽やかに   夏井いつき

蓮池(はせき)の地手繰(たぐ)り寄せたや時と夢   運萬治男

秋の雨映画チケットにぎりしめ   スーパーヒーロー2号(木村紘菜)

どう思われるかよりどうありたいか ROLAND

語るたび死の影遠く秋の空   堀切初

■一分季語ウンチク 柳葉魚(ししゃも)

冬の味覚としてポピュラーな
食卓にのぼる魚でもあります。
この「柳葉魚」は北海道でも
よく獲れる魚となっています。
実は日本の固有種という事になるのだそうです。
何か一杯いてよいものかと思いきや
そんな希少なとちょっと驚きます。
しかし近年漁獲量がかなり
減っているようでして2021年は記録的な
不漁ともなったようです。
冬の「柳葉魚」10月~11月に獲れるものは
脂肪分が身から減ってメスは卵を抱えている
「子持ち柳葉魚」と呼ばれることもあります。
あの一つの卵の一括りの中には
4千から1万匹程度の卵を抱えているそうです。
何とか漁獲量を保全していただきたいものです。

2022年11月17日木曜日

種田山頭火と寺田寅彦と平櫛田中と西行とAI×俳句③

冬雲雀生命力の溢れをり
大クスのみなぎる命冬の空
冬の風主幹にできた空洞へ
裸木の表皮を覆う深き苔
青き空眉山へ独り石蕗(つわ)の花

■夏井いつき俳句チャンネル
【AI×俳句③】『AIの気持ちが分かってきた』AIが作る画像を予想

鶴食うてより言の葉のおぼつかな   夏井いつき

龍を呼ぶための鬼灯(ほおずき)鳴らしけり   夏井いつき

金閣も金の葉持つや松手入   鉈煮(ナニサエル・ローゼン)
Pine trees cut and trim surrounding a golden house leaves of gold and green.
(訳:ローゼン・千津)

お神輿や胸毛に白髪混じりある   朗善千津

ふゆにはわたしも犬になるはず   アダム5歳

■西行―語り継がれる漂泊の歌詠み
「願はくは花の下にて春死なんそのきさらぎの望月のころ」
何度も自死を試し死を美化した西行を
どうしてここまで日本人は好きなのでしょうか❓
自死はいけないとの教えと真逆をやった人なのに…。
水のごとく生きるのを良しとしているのでは…❓
それと、テロリストを美化しています。私には理解不能です。
いい加減、忠臣蔵を美化するのは止めて欲しいです。

「六十七十ははなたれこぞうおとこざかりは百から百から」
平櫛田中(ひらぐしでんちゅう)
夢のある人、やるべきことがある人は長生きしてください。
痛みをこらえ傷つきぼろぼろになっても生きながらえるだなんて…。
私は耐えられません。
生きている間全力疾走するので、
どうか早く人生の幕が閉じられますように…。(祈)

■俳句
梟(ふくろう)や口真似すれば杜の中
寺田寅彦
ふくろうはふくろうでわたしはわたしでねむれない
種田山頭火

2022年11月16日水曜日

兼題「秋鯖」と成田悠輔氏の言葉

ささやかな願いの先の冬北斗
目を閉じて毛繕いせり冬の猫
冬の朝湿った空気ずっしりと
梟(ふくろう)の柔らかき毛やぬくぬくと
痛風のティラノザウルス凍(いて)つきて

■ギュッと!四国 夏井いつきの俳句道場
兼題「秋鯖」
▪解説
「鯖」は夏の季語。産卵を終えた鯖が秋に向かえ脂がのり
美味しくなるので「秋鯖」として独立した季語になった。

▪選句ポイント
率直な描写と心情

▪ギュッと!特選
竹串に秋鯖一本の愉快   伊藤柚良

▪秀作
晴れと褻(け)の間の青や秋鯖は   みうら朱音
ターナー島見つつ秋鯖釣つてをる   岩宮鯉城
弁当の秋鯖午後は外回り   のりのり
秋鯖を焼く香床屋の雑誌まで   森静香
秋鯖やぷくりと焦げた皮の反り   北欧小町
秋鯖と小さき嫉妬ぷしゅぷしゅと   一久恵

▪佳作
「秋鯖」にのぼり取り替え定食屋   阿波オードリー
白ワイン然(さ)らば秋鯖イタリアン   るう子
じふじふと嫉妬も焼ける秋鯖や   巳智みちる
(夏井いつき先生の添削を見せて欲しかった。)

参照:
https://www.nhk.jp/p/gyuttoshikoku/ts/7MXVZZ52K3/blog/bl/pKyjJXApJB/bp/p58X8BBQq5/

■成田悠輔氏 曰く
「とっととYou-Tubeを閉じて職場に戻れ」

2022年11月15日火曜日

ドライブスルーで一句

11月12日記載漏れ
冬の月テロを美化する日本人
冬星座全ての句は遺言なり
冬ぬくし心ありきの言葉あり
寒桜異なる時間の概念
冬の海他人の話を聞けぬ人

プレバト纏め 2022年11月10日
ドライブスルーで一句

永世名人富美男のお手本
小さき手のピクルスつまみ出す小春   梅沢富美男
添削(「手」「つまむ」は情報が重複。
詠むべきは「手」ではなく「指」。)
ピクルスはパパに小春のハンバーガー

永世名人への道
時雨るるやジュニアシートで待つポテト   藤本敏史
添削(「で」は動的、「に」は静的な動詞が続く。
   「や」の詠嘆は大袈裟。時雨の特性を「また」で表現。)
時雨またジュニアシートに待つポテト

冬の星信号待ちのポテト2本   横尾渉
添削(語順が違う。)
ポテト2本信号待ちの冬の星

1位 レイザーラモンRG
星の入東風(いりごち)今夜の恋をくれた人
添削(細川たかし「北酒場」の引用では胸を張れない。)
星の入東風よ今夜の恋ひとつ

2位 矢花黎
助手席でポテト抱える息白し
添削(「で」は「へ」に変えることで
   運転席の窓が開いて助手席へ渡す動作が見える。
   開いている窓から冷たい風が入ってくる様子がわかる。)
助手席へ渡すポテトや息白し

3位 勝俣州和
冬の朝我慢しきれずはしご芋
添削(中七の説明、はしご芋の造語は不要。
   芋は俳句では里芋を指す。)
ドライブスルー冬のポテトをはしごして

4位 松嶋尚美
初雪日湯気たつ郷まで道中宴
添削
初雪の道中楽し温泉へ

次回のお題は「神宮外苑の銀杏」

題「イタリア料理」

マスクつけ個の可能性抑制さる
息白し未来は予測不能かな
敷松葉もてなす心そこかしこ
黄花亜麻(きばなあま)故人の意思はいつまでも
冬鷺や羽ばたく五羽の餌探し

NHK短歌 題「イタリア料理」
選者 笹公人 ゲスト ベリッシモ・フランチェスコ 今野大輝
レギュラー カン・ハンナ 元髙克樹 矢花黎 司会 星野真里

▪冒頭の短歌
イタ飯屋の壁に抱き合う小天使(エンゼル)がわんぱく相撲に見えるまで飲む
笹公人

▪テーマ「歌人のグルメ」
短歌の穴埋め挑戦!~グルメで一首~
伸びてゆくチーズのような未練など時のナイフが切ってくれるさ
笹公人
カン・ハンナ 冷めた空気
ベリッシモ・フランチェスコ ハンナとベリ
星野真里 ピザカッター

▪入選九句 テーマ「イタリア料理」
「前世はイタリア人やパエリアが十八番の髭面夫の真顔
吉田知子
フライパンにニンニクの香の立ちのぼるイタリアオペラの序曲のごとく
兼松正直
💮ベランダに育つバジルとオレガノと青紫蘇ここに国境はない
ともえ夕夏(ゆうか)
楽しげに水鉄砲で遊んでるボンゴレになる定めを知らず
冨見井高志
永遠に恋にならない相手とは気にせず頼むイカスミパスタ
澪那本気子(みおなまじこ)
そう言えばフォークとスプーン使っていた昭和の頃のスパゲッティは
毘舎利(びしゃり)愛子
「ボンジョルノ!」覚えた単語で挨拶と意気込む我に「イラッシャイマセ!」
内山真二
ピザが来て友達が来て酒が来てみんな帰ったあとピザ残る
中村美夏
エクストラバージンオリーブオイルって美少女戦士みたいに叫ぶ
麻倉遥

▪短歌侍 特別編 NHK短歌らじらー!SATURDAY
コラボ企画への道
あなたも短歌侍
眠い目をこすりながらも家を出る   矢花黎
つけ麺を覆い尽くしたトッピング   元髙克樹

眠い目をこすりながらも家を出る
朝日を浴びてみんなのもと   今野大輝

▪歌人のグルメ
元日の郵便受けに入りてゐし「ピザ」のチラシの沁みてかなしも
小池光

▪短歌ボナペティ ゲスト ベリッシモ・フランチェスコ
キーワード 愛
生ハムを食めば描けるドロミティは母国の愛を象(かたど)っている
カン・ハンナ
葉書にはドロミティ山脈生ハムは今も好きだよ愛していたよ
星野真里
生ハムはイタリアの花「愛してる」の代わりに今日も皿に咲かせる
笹公人

2022年11月14日月曜日

兼題「冬紅葉」

自分しか愛さない人冬ざるる
愛しても愛されなくて月冴ゆる
冬の景当てる光の角度かな
ラジオ体操精だす夫冬の朝
肌荒る秩序を招き停滞へ

NHK俳句 兼題「冬紅葉」
選者 井上弘美 ゲスト 山崎怜奈 司会 武井壮

▪冒頭の俳句
山門に果つる琴坂(ことざか)冬もみぢ   井上弘美

俳句ナビ 冬紅葉
秋の季語 紅葉 楓
春の季語 花楓(もみじ咲く)
冬の季語 散紅葉
夏の季語 青楓

▪入選九句 兼題「冬紅葉」
大(おお)門は喪にのみ開く冬紅葉   吉川佳生(よしお)
杣人(そまびと)が薪を割る音冬紅葉   井深靖久
托鉢(たくはつ)に若き息あり冬紅葉   二木(ふたつぎ)雅弘
猛稟(もうきん)のけふは来ぬ日や冬紅葉   神保(じんぼ)と志ゆき
袋田(ふくろだ)の飛沫(しぶき)の中に冬紅葉   菊池和正
山崎 廃寺裏(はいじうら)怒るがごとき冬紅葉   林璋(あきら)
💮武井 石垣に大火の跡や冬紅葉   山下清実
白神(しらかみ)の峰の収まる冬紅葉   天童光宏
青空へ挽歌のように冬紅葉   八田昌代

▪俳句ナビ 添削コーナー
祖母の家古道彩る冬紅葉   山崎怜奈
添削(静止画が動画になった)
祖母がり(許)へ古道彩る冬紅葉

黒門に紅(べに)を映して冬紅葉
添削
黒門に映すくれなゐ冬紅葉

切通し青空細し冬紅葉
添削(三段切れ、「き」でも調べが良くない、標記の効果も考慮する)
冬紅葉あをぞら切通し

2022年11月13日日曜日

夏井いつきのよみ旅!in青森(後編)

響き合う謝する心や冬芽かな
冬氷る砧の音の響きをり
冬に逝く超新星のごと輝きて(ガリレオガリレイ)
寒昴あなたを想うたまゆらの(かすかの意)
冬の夜あるやなしやのささめごと(ひそひそばなし)

夏井いつきのよみ旅!in青森(後編)
だまされだおっほの甘さにしげァはしる   柾谷伸夫
「おっほ」は「にごり酒」秋の季語
胃液が上がってくる状態が「しげァはしる」
津軽弁と南部弁は全然違う
津軽弁まいね(ダメだ) 南部弁わがね(ダメだ)

混浴の火照り(ほてり)も引けて虫時雨(むししぐれ)   竹田有理沙
「虫時雨」秋の季語
大沢温泉(岩手県花巻市)1200年の歴史がある無色透明の湯

秋の朝めかぶみそ汁かーままけー   秋元優子
「かー」というのは「さあ」とか「はいどうぞ」とかという意味

秋の朝鳴くはうみねこいや赤子   イカドンパパ

新涼や山粧(よそお)いの支度かな   山ガールこと野田友美
「新涼・山粧い」秋の季語

母の碗(わん)浮かぶせんべい秋の月   木村聡
八戸せんべい汁(南部せんべいを煮込んだ郷土料理)
南部せんべいは小麦粉を原料としたせんべい。八戸発祥といわれる)
やませ(北日本の太平洋側で春から夏にかけて吹く冷たい風)
八戸では200年以上前から朝・晩ごはんで食べる家庭料理
主食の代わりだった
昔からエコSDGsをやってた

祭りの夜出せぬ歓声身に染む音(ね)   石橋元平
通称日本一の山車祭りともよばれています
八戸三社大祭 2016年ユネスコ無形文化遺産に登録
八戸の山車は小さい状態から大きい状態にトランスフォームする
祭りでは27台の山車が集まり練り歩く
山車は毎年作り替えられる
山車を作るのは八戸の地元住民たち
八戸の山車作りは職業も違うし世代も違うし
男女関係なくみんなが集まって作る

三百年目の秋我ら南部たり   夏井いつき

2022年11月11日金曜日

名言と「冬珊瑚」

山の冬したたり落ちる雫の音 
冬の夜ぐにゃり歪んだ時計あり
日つまる時間の概念起源とす
冬の夜使い込まれた用の美と
うつむいて未来を見つむ冬の波

■名言
野口英世 曰く
「努力だ、勉強だ、それが天才だ。」

小林正観 曰く
「相手をまるごと認めると
 お互いにラクになれます。」

夏目漱石 曰く
「人間の目的は、生まれた本人が
 本人自身のためにつくったものでなければならない。」

■一分季語ウンチク 冬珊瑚
「珊瑚」と言う名前はついていますが
海の中の珊瑚ではありません。
じゃんるは「植物」にあたり
「冬珊瑚」または「玉珊瑚」という呼び名もあります。
もとはブラジルが原産の小低木なのですが
日本では草木のように扱われています。
冬になりと実をつけるのですが
その実が緑から鮮やかなオレンジ色に
熟していき花の少ない冬ですから
余計に鮮やかなオレンジ色が目立つと
そういう植物になっています。
また別名を「竜の玉」と呼ぶこともあるのですが
俳句で「竜の玉」と言った場合は
これは別の季語になります。
「蛇の髭の実」を指すことが多い。
ですのでこの季語を使う場合は
「冬珊瑚」あるいは「玉珊瑚」と言った方が
誤解も少なく良いかと思います。

2022年11月10日木曜日

名言と一橋桐子の俳句

牛腸茂雄(ごちょうしげお)氏へ 
秋雲や見知らぬ人に見つめられ 
秋景色匂いの残る写真かな
秋真昼孕んだ母と子の笑顔
背負った重荷おろした世界渡り鳥
吾の起源探しあぐねん草の花

■一橋桐子の犯罪日記より 

罪じゃない闘っただけ秋蛍   桐子
桐一葉ひらり笑って終わりたい   桐子
さようならパチンコ台も秋めいて   桐子
許されぬ罪の重さぞ霧深し   桐子
秋桜が好き自由に生きるから   桐子

■名言
大石順教 曰く
「しないことと、
 できないこととは違う。」

御木徳近 曰く
「『一体どれだけ努力すればよいか』
 という人があるが、
 『君は人生を何だと思うか』
 と反問したい。
 努力して創造していく間こそ
 人生なのである。」

勝海舟 曰く
「やるだけのことはやって、
 後のことは心の中で、
 そっと心配しておれば良いではないか。
 どうせなるようにしかならないよ。」

2022年11月9日水曜日

三十一文字にかけた夏~熱闘!短歌甲子園~

はんなり気取る山茶花や風に舞う
ガラス窓張りつくヤモリ長き夜
重荷降ろさん秋の越路と広き空
懐かしく愛おしくあり秋景色
何気ない会話重ねん秋の空

三十一文字(みそひともじ)にかけた夏~熱闘!短歌甲子園~

先生が間鴨(あいがも)ならば親にして斜め後ろを歩いてみたい

また伸びた?そう近づいて背比べ恋する想いは負けてないよと

牧水・短歌甲子園

征服したはずの歴代将軍に首を取られる第一問目

「超新星 爆発したことを知るあなたの髪の異常な短さ」
岡田優羽
午後八時までの時間を妹が無限に食べるにんじんしりしり
関谷ななみ
真夜中の今のソファーで父を待つハハの寝息はダースベイダー
岡田優羽

俵万智女史の言葉
「言葉を自分の心に投げ入れたときに
 自分ってこんなことを考えていると気づく
 言葉の技術を持っていると
 心が見えやすくなる
 言葉を磨いておくことは良いこと。」 

永井敦也君(筑波大学付属高校2年生)の言葉
「詠んだ人の心にずっと残り続ける短歌を目指していて
 単純に共感を誘うなら恋した瞬間や失恋した瞬間とか
 みんなの心に残る一部の人に強く残るもの
 自分の札はついた状態で短歌が世に残る
 遺言だと思う
 一部の人に強く残ればいいと思う」 

モータルな隙間デパートの紙袋だけ詰め込んで隠そうとする
酒井宏太郎
リリカルな寝息、グラスのアイスキューブ、南極の映像、あ、天使の間
永井敦也

俵万智女史の言葉
「スタートに心があるから表現の冒険がちゃんと下支えされる。」 

遅々として迷える祖父の散歩道飛行機雲は夕闇に消え
藥丸涼花
恋などにしたくないので少年を悪くないのに悪友と呼ぶ
藥丸涼花
希死念慮かおる白夜のような朝内服薬よりあなたの抱擁
古谷明希歩 
100年の眠りから醒(さ)めた恋人が掠(かす)れた声で呟くHello
永井敦也
「俺ら無敵」誰かが言ってたその言葉ペダル蹴りこの青空を駆(か)く
三井幸乃
太ももの間にぬっとつくられるあの娘のバミューダトライアングル
畠山来夢
「眠くない?」「うん眠くない」「そうなんだ、俺も」「君も?」「うん、寝たくない」
久保瑞葉
人道と呼ばれる弾雨(だんう)の夕闇を走る母親のまなざしは獣(けもの)
古谷明希歩
死ね死なぬ一心不乱の戦争を巨人の瞳はどう映すのか
齋藤健弥
後悔を吸って膨らみぐずぐずの一人とり残された天カス
岡田優羽
ハイライト一人になって思い出す君の作った造語からくり
酒井宏太郎
超新星爆発したる恋心何億年後に君に届くか
岡田優羽

筑波大学付属高校の生徒の短歌に魅了されました。
新風を吹き込むというとんでもないことをやってのけました。
期待しています。

2022年11月8日火曜日

題「ケンカ」

一心にたわわな葡萄喰らう栗鼠
大空へ秋桜ゆれて背伸びせん
秋の声高貴の中のぬくもりが
秋澄むや立ち上がろうと息止めて
暗き山雪の階段一歩ずつ

■NHK短歌 題「ケンカ」
選者 栗木京子 レギュラー 本髙克樹 矢花黎 司会 小沢一敬

▪冒頭の短歌
口喧嘩する男女ゐて車窓にはとぎれとぎれに桜木の見ゆ
栗木京子

▪短歌侍への道
ユーモアを感じさせる
客観的な視点が必要

▪Lesson1 ユーモアを詠む
言ひ合ひののちの蹴り合ひ殴り合ひそのみなもとの腋毛(わきげ)!の一声(ひとこゑ)
大松達知

▪Lesson2 視聴者のエピソードを短歌に
ポイント ユーモアを詠む

妹とオモチャをめぐる大喧嘩泣かし泣かされ溢れた「ごめんね」
元髙克樹 添削(対句)
妹とオモチャをめぐる大喧嘩溢れた涙溢れた「ごめんね」

「ごめんなさい」顔を歪めて言うキミと共に泣いてる姉に威厳無し
矢花黎

もう二度と遊ぶもんかと言うはずが妹を見たら出てきた「ごめんね」
小沢一敬 添削
もう二度と遊ぶもんかと言うはずが泣くに溢れる「ごめんね」

▪入選歌紹介 テーマ ケンカ
ぴかぴかのイスをみんなで取り合った保育園児の朝の騒動
吉川修一
助手席で「車いいね」と喜ぶ母買う時あんなに怒っていたのに
ととや
ほっとする腹が立ってる僕はまだAIにないものを持っている
畑依裕(のりひろ)
はるばると月の砂漠を行くような喧嘩のあとの喉の渇きよ
佐々木ウメ
ひきこもる自分とケンカをするたびに殴り続ける照明のヒモ
雨雨雨汰
一席 ケンカ腰ではないことを文末の「ね」の一文字にそっと託して
須山暢彦

▪Lesson3 出演者のエピソードを短歌に
今回は矢花黎君のエピソード
ポイント 客観的な視点に立つ

飼い犬に舐められてなどなるものか強気に出るも頬舐める君
小沢一敬

菜箸を離した刹那凶暴なチワワ消えてもまだ怒る僕
矢花黎 添削
菜箸からささみを奪い凶暴なチワワ消えてもまだ怒る僕

盗難と咬傷(こうしょう)にまで見舞われて追いかけ回すうちの愛犬
元髙克樹 添削
盗難と咬傷にまで見舞われてでも愛犬とたわむれている

▪短歌対決
ポイント ユーモアを詠む

助手席で「利き手側」だとキレる母真逆に進む左利きの父
元髙克樹 添削
助手席で「利き手側」だとキレる母真逆に進む父は左利き

作業中デスクトップの時止まり「応答無し」に一人で文句
矢花黎 添削
作業中デスクトップの時止まり「応答して」となだめて怒る

怒鳴り声聞こえて部屋を飛びだせば揃いのスーツで漫才稽古
小沢一敬

▪短歌侍 特別編 NHK短歌×らじらー!SATURDAY
あなたも短歌侍
ふたりが考えたテーマは 幸せ

元髙克樹君の上の句(欲望)
つけ麺を覆い尽くしたトッピング
小沢一敬さんの下の句
つけ麺を覆い尽くしたトッピング「肉」「ねぎ」「メンマ」メインは「空腹」

矢花黎君の上の句(人生観)
眠い目をこすりながらも家を出る
小沢一敬さんの下の句
眠い目をこすりながらも家を出る自転車で行く赤とんぼの田

今生きていな幸せの瞬間を書く
2人の個性が出た良い上の句

次回はらじらー!の収録現場に密着!

2022年11月7日月曜日

兼題「鯛焼」

浮寝鳥冬陽を浴びてゆらりゆら
冬めくや間近と彼方行き来せん
冬の風見知らぬ人のまなざしよ
社会とは表裏一体冬浅し
ゆとりなき時間を生きる冬の月

■NHK俳句 兼題「鯛焼」
選者 髙柳克弘 ゲスト May‘n(メイン) 司会 武井壮

▪冒頭の俳句
取り落としたる鯛焼きを一叩(はた)き   高柳克弘

▪俳句と映像
動画を観ながら俳句を楽しむ

鯛焼のあんこの足らぬ御所の前   大木あまり
たい焼きをはんぶんこした君がいや   めいん(たい焼き親善鯛使)

▪入選九句 兼題「鯛焼」
株価より今は鯛焼に集中   野口真砂輝
職場家職場鯛焼家職場   きみどり
こゝろ足冷えて鯛焼依存症   深澤洋子
鯛焼に海を見せたる観覧車   山田知明
鯛焼のあとなにを言ふ妻の口   湯口正彦
再開の握手のぬくみ鯛焼は   松本健
鯛焼に風を欲しがる口の中   覚正一徳(かくしょういっとく)
💮鯛焼も加(くわ)へ避難所夜のまどゐ   村松正敏
(まどゐとは集まりのこと。)
成長痛のズックの囲む鯛焼きや   新井知世

▪お題の動画で一句
鯛焼を売る一坪もなき処   武井壮
しくじりの鯛焼かんらかんらかな   高柳克弘
(かんらかんら とは 大らかな笑い。)

2022年11月6日日曜日

名言とAI×俳句

秋に後(おく)るるインスタは眩し過ぎ
紅葉散るたらいうどんや内子町
秋の空田に立ち止まる藁の象
山茶花のはんなりとした佇まい
風にまかせる秋草のある白磁

■夏井いつき俳句チャンネル
【AI×俳句②】AIが作る画像が俳句に失礼?
失敗例
梅一輪一輪ほどの暖かさ   服部嵐雪
梅咲いて庭中に青鮫が来ている   金子兜太
オオカミに蛍が一つ付いていた   金子兜太
(Awolf;one firefly clung to the wolf)
成功例
冬の井戸猫集まりて解散す   朗善千津
(winter water well cats gathered for a while then dismissed)

AIにとっては叙述が大事。
若干、AIの名誉回復となる。

■名言
柳生宗矩(むねのり) 曰く
「平常心を持って
 一切のことを成す人、
 これを名人と言うなり。」

フジ子・へミング 曰く
「不器用な人がやったら、
 器用な人にはできないことができるはず。」

岡倉天心 曰く
「見せびらかすのではなくてほのめかすということ、
 これが無限なるものの秘訣なのだ。」

2022年11月5日土曜日

スーパーマーケットの鮭で一句

運動会アドレナリンの溢れ出す
秋の陽や仙厓の絶筆宣言(碑)
秋澄むや熱量込めて一歩ずつ
身に入(し)むや道化師のごと吾を作り
秋空はるか人間は波である

プレバト纏め 2022年11月3日
スーパーマーケットの鮭で一句

永世名人富美男のお手本
梅沢富美男
大中小弁当箱に鮭の秋
添削(助詞「に」は「の」。語順が逆。)
鮭の秋弁当箱大中小

永世名人への道
横尾渉
金秋のローンチ駅のおむすび屋
(「ローンチ」はビジネス用語。面白い取り合わせ。
 「おむすび」が豊かな実りの金秋と響き合っている。
 対句の型もよい。見えないところに小さな響き合い。)

特待生昇格試験
皆藤愛子
エコバッグに新米5kg(キロ)雨の帰路
(上五「に」は必要な字余りの助詞。
 「キロ」の同音異義語の韻がさりげなく効いている。)

1位 山西惇(あつし)
稽古場で台詞繰(く)る間の鮭にぎり
添削(鮨を連想する下五は「おにぎりは鮭」とし
   「で」を「に」に変える。
   最後は「繰る台詞」で抑える。)
にぎりは鮭稽古場繰る台詞

2位 新妻聖子
冬ちかし焼くか煮込むか鮭一尾
添削(季語が二つ入っている。上五の季語は不要。
   語順も逆の方が良い。
   「か」を最後に入れることでリズムが出る。)
鮭一尾焼くか煮込むか酒あるか
鮭一尾焼くか煮込むか友呼ぶか

3位 みちょぱ
駄々こねる子を背に伸ばす切り身鮭
添削(誤読を誘うので、語順を変え母の動作「買う」を書く。)
背には駄々こねる子鮭の切り身買う

4位 ニシダ(ラランド) 西田亘輝
針供養抜きつ切身を妹に
添削
妹に鮭の小骨を抜いてやる

次回のお題は「ドライブスルー」

2022年11月4日金曜日

夏井いつきのよみ旅!in青森(前編)

用の美は名もなき人の秋の声
秋の空キウイ鈴なり揺れる棚
何にでも表裏あり地虫鳴く
秋の暮質素倹約旨として
平等に降り注ぎたる秋陽かな

夏井いつきのよみ旅!in青森(前編)

つがる 青森生まれ 甘みが強いのが特徴

ROLAND 俺に惚れて赤くなってる

未希ライフ 弘前市の工藤さんが育成 
大河ドラマ「いのち」の主人公にちなんだ名前

ROLAND りんごがいちばん好きな果物

がっぱ雨薬掛けでぎねでたんだでね   米沢昇司
(物凄い雨が降ってきて薬掛けする機械がぬかるみにはまり大変だ)
このリンゴの違いがわがるのなだけ

里祭子等にあつちやのほたこかな   藤田豊子   
里祭(秋の季語) あっちゃはお母さん ほたこはへそくり
わいは(津軽弁) 「あら」「まあ」など驚いた時に使う

今一度思いをよせてバチ握る   多田智貴

太棹三本津軽の秋の澄みわたる   夏井いつき

みちのくのそばと紅葉とアップルパイ   髙谷文
紅葉(秋の季語) アップルパイタクシーの運転手さん
弘前のご当地タクシーでアップルパイコンシェルジュがお店を案内
アップルパイは明治7年アメリカ人宣教師が紹介した

ROLAND 人生が5回あったら1回はタクシードライバーやりたい

新米ほくほく新天地の独居   井上裕太
井上裕太さんは専門は博物館学
大学では博物館の歴史や展示方法を教える

半ズボンかぶりつくきみ歯さ挟まる   実土里
とうもろこし とうきび きび きみ 
嶽きみ 岩木山のふもと嶽地区で栽培 甘さが特徴

ROLAND 情熱がないところに感動は生まれない

私から一言 
ありのままの自分を出さないと心は通じない。
ぶりっこは止めることから始めないと…。

私感
俳句の番組なのに季語をいれていない俳句を選定すると言う暴挙。
無季句として選定されたのでしょうか❓
これが青森県民なのですね。物凄く解りました。

2022年11月3日木曜日

AI×俳句と松陰辞世の句と「露時雨」

未熟から成熟へ秋の夕焼
二つある蛇の交尾器冬となり
朝寒し(蛇の交尾器)尖ったガラス細工めく
(辻井伸行くん)音楽の神に守られ天高し
院展の膨らみ過ぎた乳房かな

■夏井いつき俳句チャンネル
【AI×俳句①】俳句を元にAIが生成した画像

古池や蛙飛び込む水の音
ラフカディオ・ハーンの英訳
Old pond-frogs jumped in-sound of water.
ドナルド・キーンの英訳
The ancient pond a flog leaps in the sound of the water.

金子兜太
犬の睾丸ぶらぶらつやつやと金木犀
この英訳はAIは映像化できない。
SensitiveなWordは生成できないから…。

■吉田松陰辞世の句
身はたとひ
武蔵の野辺に
朽ちぬとも
留め置かまし
大和魂

■一分季語ウンチク 露時雨
梅雨ではなく夜露とか梅雨が降りるの露です。
この「露時雨」には2つの意味があると
歳時記を参照すると書いてあります。
一つには秋になって地面が冷えて露が降りてくる
その露が地面まで落ちて時雨が通りかかったかのように
地面が濡れているさまを「露時雨」というという説と
もう一つは草などに降りた露が時雨のようにさぁっと
今まさに落ちていくっていうその状態のことを
「露時雨」と言う二つの解説があります。
実際に「露時雨」をどちらの場面で使おうと思ったのか
そういったことを意識しながら作句してみたいものですね。

2022年11月2日水曜日

桐子の俳句と幸田文の言葉

等伯の出迎え受けん秋の展
冬となり風魅るための樹木あり
霜降や粗末な家の優美かな
秋畑治療を終えたコウノトリ
秋深し自尊心をも高め合い

■一橋桐子の犯罪日記 より
禁断の誘いに乗るか夏の崖   一橋桐子
我は刑務所きみはハワイの夏怒涛   一橋桐子
指で蜘蛛潰せり後ろめたき夜は   宮崎知子
決戦の時は迫れり時鳥(ほととぎす)   一橋桐子
イチゴ大福かじる最後の晩餐に   一橋桐子
スマイルの君はいずこに桐の花   三笠隆
ほたるほたる超えてはならぬ一線ぞ   一橋桐子

■幸田文の山茶花への言葉
「少しちぢれ気味の花びら、
 いかにも鄙(ひな)びてすっきりしない。」

「野暮は野暮なりにいじらしいほど
 正直に染まった花弁、
 これが淡い匂いを吐いてきどりがない。」

「ものがみな色を失ってしまう
 冬の入り口の不安な気持ちが
 ほっと助かるおもいがします。」

2022年11月1日火曜日

タンカツ「水戸農業高校」

晩秋を振り返りつつ進みをり
菊残る樋(ひ)を持つ刀煌めかん
秋の山幕開け開始人もまた
時代超え化学反応秋惜しむ
晩秋や水の流れを持つ硯

NHK短歌
タンカツ 「〜水戸農業高校〜」
本髙克樹 矢花黎 小島よしお

① テーマ 農業
休みなく稲を育てる実習が美味しく食べるためのスパイス
本髙克樹 添削
休みなく稲を育てる実習が美味しく食べるための源流

ピンと張り手で刈り取った一束を少しはにかみ見せた生徒よ
矢花黎

💮台風の過ぎさりし後(のち)茨城に稲穂の束は悠然と立つ
小島よしお

② テーマ 寮生活
💮我が名前付けた牛舎を持つ夢を友と語らう相部屋の隅
矢花黎

畜産の本を開いた十五歳スクールバッグ我が身一つと
本髙克樹 添削
畜産の本を開いた十五歳この世にバッグと我が身が一つ

母親に会えぬさびしさ抱えても明日もみんなと六時半起き
小島よしお 添削
ペットにも母にも会えずつらいけど明日もみんなと六時半起き

③ テーマ 命
オシャレより牛糞運ぶ女子高生僕に伝えた命の重み
矢花黎
オシャレより牛糞運ぶ女子高生静かに告げる命の重み

💮二年半育てた牛を食すから ブラッシングに力がこもる
本髙克樹

出荷まで今日も元気に走らせる豚部の汚れた緑のつなぎ
小島よしお

2022年10月31日月曜日

歳時記食堂~おいしい俳句いただきます2022秋~

国宝の持つ美のエネルギー秋高し
財の力浴びてこその(美術)展覧会 降り注がれて
美術展見返り美人のお見送り
我が子より若い女(こ)連れて秋の芝
痛みから解き放たれん秋曇

NHK俳句
「一橋桐子の犯罪日記」とのコラボ月間!
歳時記食堂~おいしい俳句いただきます2022秋~
女将 西村和子 お客様 松坂慶子 常連客 古坂大魔王 若旦那 加藤諒

台風や今日は一日セット撮影   松坂慶子

一品目(鱸の昆布じめ)
大鱸(おおすずき)なり鱗(うろこ)金鱗銀   清崎敏郎
息をつぎ息をつぎては法師蟬(ほうしぜみ)   清崎敏郎

二品目(林檎の炊き込みごはん)
林檎の木ゆさぶりやまず逢いたきとき   寺山修司

同人集に書かれていた寺山修司の俳句
草笛を吹けり少女に信ぜられ
頬つけて楡の木ゆする別れ来て
うつむきて影が髪梳く復活祭
わが夏帽どこまで転べども故郷

中学から高校へかけて
最も大きい比重を
占めていたのは、俳句だった。
寺山修司著「誰か故郷を想はざる」より

少年歌
万緑へよごれし孤児が火を創る
燕の巣母の表札風に古り
秋の曲梳く髪おのが胸汚す
花蕎麦や雲の日向は故郷めく

海唱抄
望遠鏡かなし雪崩は日の果てへ
山鳩啼く祈りわれよりも母ながき
雪おろす望郷の果て海青し

古い字が多用されていたため全ては残すことができませんでした。

葱坊主どこをふり向きても故郷   寺山修司

三品目(干し柿のクリームチーズ挟み)
柿百個ひとりの空に吊るしけり   多胡恵美子

お支払い
おかあさん今年も柿がなりました   松坂慶子

2022年10月30日日曜日

辞世の句と遺言川柳とおしゃべり俳句

傷持つ人に傷つけられて茨の実
晩秋や何はともあれ黙に伏す
秋うらら容儀神妙満たしをり
星月夜技は無限スクラッチ
スーパーへベンツ横づけ秋日和

■【成田悠輔vs無念の死】社会人のための「死」入門【なんで最期に、それ呟いたんですか?】
https://www.youtube.com/watch?v=Xq10eQ34m2Q

辞世の句
つひにゆく道とはかねて聞きしかど昨日今日とは思はざりしを昨日今日とは
在原業平
思ふこと言はでぞただにやみぬべき我と等しき人しなければ
在原業平
身はたとい武蔵の野辺に朽ちるとも 留めおかまし大和魂
吉田松陰

■日本財団 遺言の日.jp: 第7回遺言(ゆいごん)川柳応募サイト
https://xn--u9jv32nhwwqof.jp/

これむっちゃ面白そう考えますとも…。

2021年第6回 ゆいごん川柳受賞作品
大賞
思い出に 浸ってペンが よく止まる
ペンネーム:すみれさん 69歳/愛知県

入選
遺言を 書いたはいいが どこいった
ペンネーム:ごんぬさん 19歳/岡山県
訂正印 だらけの父の 遺言書
ペンネーム:永井径さん 56歳/福島県
あの世とも 出来たらいいね オンライン
ペンネーム:ホタルさん 68歳/自営業

佳作
AIじゃ 書けない愛の 遺言書
ペンネーム:リンさん 44歳/滋賀県
恋文に 似た感ありき 遺言状
ペンネーム:恋文子さん 52歳/愛知県
遺言書 読めば親父の 声がする
ペンネーム:MSさん 61歳/千葉県
相続の 家族会議も オンライン
ペンネーム:もえぴーの夫さん 60歳/東京都
叙勲無し けれど遺贈に 名を刻む
ペンネーム:松風さん 75歳/東京都
人生の 感謝のしるし 遺贈寄付
ペンネーム:アオキテラヒさん 57歳/埼玉県

政治犯が最後に残す漢詩 「臨刑詩」
王朝時代の中国では、政治犯として処刑される要人が多かった。
そうした中で、もし政治犯として処刑される際には、
自分の思いをきちんと整理し漢詩として残すことが、
ある種の作法として定着していった。
https://www.sougiya.biz/kiji_detail.php?cid=442

■夏井いつき俳句チャンネル
おしゃべり俳句 第9回 後編
【おしゃべり俳句ベスト5】第9回のベスト5の中に人生の応援句がありました

そんなときもあるよね!秋の空   友達の次女(5歳)
ふゆにはわたしも犬になるはず   アダム(5歳)
はるちゃん、金魚ちゃんになっちゃったねぇ   日々の茶めしの息子(2歳半)
にぎやかなはたけもんしろちょうがいる   大史華家(5歳)
羽化した蛾さびたおうちのいろでした   小物打楽器

2022年10月29日土曜日

セルフのうどん店で一句

腰の低いR指定秋日射
ひらがなに託す国宝秋の夢
(三日月宗近)刀剣に連なる夕日秋の暮
機能美よ隠した苦労秋の声
短刀のリサイクルをや秋懐

■プレバト纏め 2022年10月27日
セルフのうどん店で一句

永世名人富美男のお手本
秋寒や焦げた天麩羅箸の先   梅沢富美男
(「焦げた」の語順が映像をフォーカス。
 小林一茶「秋寒や行く先々は人の家」と同様の
 1つの世界が描けている。)

特待生昇格試験
露の世のいつぽん長きうどんかな   春風亭昇吉
(「露」だけで秋の季語。
 「露の世」に人生の儚さ・思いが意味に乗っかってくる。
 元々「かな」は読み手に投げかける詠嘆。
 昇吉さんの俳句大好きです。本当に素敵です。)

更待(ふけまち)やぶっかけすすり出港す   中田喜子
(さりげない時間の経過を表現。
 陰暦9月20日夜10時頃に出る半分欠けた月。
 夜が更けて出る月。)

1位 二階堂高嗣
夕月夜一人暮らしの光熱費

2位 こがけん
行く秋やうどん繰る子の箸高く
添削
箸高くうどん繰る子や秋は行く

3位 森迫永依
秋の夜たゆたう湯気メガネ曇らせ
添削
秋の夜のうどんに曇る眼鏡かな

4位 勝村政信
出番待つ揚げ物軍隊秋の宵
添削
揚げ物も万端うどん屋の秋宵(しゅうしょう)

次回のお題は「スーパーの鮭」

■勝村の舞台に感動して詠んだ12句
汗と薔薇   夏井いつき
舞台には椅子と机と夏の月
若臭き汗もまぶしきネクタイも
汗疹華やか騎士の衣装の首苦し
夏星やにせの剣に紙の雛
椅子蹴って喚(わめ)けば第三場の薔薇
金髪のカツラを叩きつけ裸
台詞ふつ飛ぶドライアイスの霧深く
煙草ふかしふかす暑苦しき暗転
鏡引き寄せれば吾の汗に曇る
それ俺のブラシ楽屋に臭ふ汗
薔薇老いてお疲れさまといふ哀しび
喝采のかすか手のひらには胡蝶

2022年10月28日金曜日

世界脳卒中デーということで…。

10月29日は世界脳卒中ディだそうです。
ということで大学病院にて頂きました。
トートバックとボールペンとティッシュペーパーです。
長年、通っているのですが初めていただきました。
嬉しい…。



名言と「火恋し」

持ち寄った知を組み合わせ秋惜しむ
彫眼の先を見つめん秋の寺
秋の雲何故に玉眼浄楽寺
秋深む威圧を持ちて巳神像(みしんぞう)
うすら寒メモに残らん筆圧の文字

■名言
王陽明 曰く
「人の才能や気性は
 みな同じということはない。
 立派な人は人を型にはめたりしない。
 進取の気性に富む人はそれを生かし、
 律儀な人はその頑なな性格をいかして
 立派な人物に育てるのがよい。」

スティーブ・ウォズニアック 曰く
「幸福になることが
 人生の唯一の目的です。
 そして一日に何回微笑むかが、
 その人の人生を測る
 唯一の尺度です。」

ベンジャミン・フランクリン 曰く
「幸福であるには二つの路がある。
 欲望を減らすか持ち物を増やすか
 どちらでもよろしい。」

■一分季語ウンチク 火恋し
この火を恋う心
段々寒さが募ってきて
冬が近づいてそろそろ火鉢を出そうか
そろそろ暖炉をつけようか
そんな心持ちになる
そしてそれに備えを始めていく
それが「火恋し」という季語です。
実際に句を作るうえで
注意したいポイントとして
この「火恋し」音数でいったら
ひこいしの4音なのですが
これを時折「ひ こいし」と
1音空白の様に使って
「ひぃこいし」の5音のように数える
というケースもあります。
その場合、この字を書いていいのか
小さい「ぃ」を入れるべきなのか
悩んだりするのですが
その微妙な間をどうするかみたいなことを
考えながら俳句を作っていくというのも
この季語にチャレンジする上での
一つ大切なポイントになってくるのかもしれません。

2022年10月27日木曜日

名言とおしゃべり俳句

言葉にはできない思い寒露かな
冬近しため息ついて項垂れて
言えなくて「もっと愛して」冬隣
行く秋やコードはすでに恋と愛
それぞれの持つ美しさ柿紅葉

■名言
牧野昇 曰く
「回り道が近道のことがある。
 それが人生だ。」

勅使河原三郎氏 曰く
「孤立をすることを選び
 恐れることを選び
 汝自身であれ。」

黒田官兵衛 曰く
「武芸に凝って、
 ひとり働くことを好むのは、
 匹夫の勇といって、小心者の嗜みであり、
 大将の武道ではない。」

■夏井いつき俳句チャンネル
【おしゃべり俳句】子どもが実物のパンダを見たときの気づき

第9回おしゃべり俳句
「おちゅきちゃまがちゅいてきてるよ」どうちて?
看板のあそこにシロアリいるんやな
おせち料理ぼく好き嫌いするで
海の中金色にキラキラしてる(夏の星)
(夏休み)方言っていいよねカッコいい
ねえばあばパンダはあんがい白くない
猿祭りバナナはすてきな月になる

2022年10月26日水曜日

一橋桐子と金子兜太とお役立ち哲学

秋気澄む死と向き合いて生き抜かん
死を想い生を想わん天高し
未練などある筈もなく秋の空
秋の日やイドラの鎧装着し
暮の秋生ごみのごと廃棄せり

■一橋桐子の犯罪日記
青嵐刑務所かいや結婚か   一橋桐子
虹消えて私はただの道化師か   一橋桐子
雷鳴や私が誘拐犯なんて   一橋桐子

■新美の巨人
よく眠る夢の枯野が青むまで   金子兜太

■ロッチの子羊
今日のお役立ち哲学
吉田松陰 曰く
「リーダーに必要なのは
 上からでもない下からでもない
 フラットに相手を見る力なのです。」

フッサール 曰く
「SNSで文字文字しそうになったら
 客観情報をエポケー(判断中止)
 自分の直接の経験を信じましょう。」

懐疑主義においては、
エポケーは“suspension of judgment“
「判断を留保すること」を意味する。
もし真理が到達不可能なものだったり、
到達しにくいものだったりするなら、
判断を急ぎすぎるとかならず
誤ることになるであろうからである。

2022年10月25日火曜日

題「鳥」

蚯蚓(みみず)鳴く人が基本となりにけり
レバナスへ夢を託さん秋深し
秋の京女の曳く人力車
しないことできないことの秋暮れる
イッタラにこころ解けし秋の朝

NHK短歌 題「鳥」
選者 佐佐木定綱 ゲスト 米本学仁(たかと) 司会 星野真里
レギュラー カン・ハンナ 本髙克樹 矢花黎

■冒頭の短歌
棄てられた弁当を喰う自由など深く味わい飛べよ斑鳩(いかるが)
佐佐木定綱

訪れた旅館のマスク入れに短歌が書かれていた。
此の里に悲しきものの二つあり範頼の墓と頼家の墓と
正岡子規

■入選九句
守るべき暮らしを思う鳥の巣をマニュアル通り撤去するたび
溝口のぞみ
「鶴」だけがいつも出しゃばるわが名前羽交い絞めして欄におさめる
大武千鶴子
飛び立てば 群れとなるほかなき雁の列(つら)の一羽が少しはづれる
高原晴子
💮読みかけの本をひらけばゆっくりとふくらみ戻る一枚の羽根
栗本悦子
夏庭の真昼の航海終えた夜はただ湯に浮かぶ黄色のあひる
冨岡照恵
やまどりの黒き胸筋切りひらき取り出されたる銃弾光る
原田浩生
雨に濡れ襟の逆立つ鳩ふたり二号車両のホームに並ぶ
茂木健志
折り紙で子供と作るプテラノドンとぶのが下手な翼竜だった
五十嵐眞佐子
わずかばかり鳥の軌道にのってからゆっくり紙飛行機は墜ちる
西鎮(しゃうちん)

■佐佐木先生の短歌というドラマ
歌に秘められたドラマをひも解き深く味わう
雲雀(ひばり)の血すこしにじみしわがシャツに時経てもなおさみしき凱歌(がいか)
寺山修司
この短歌は読み手によっていろいろな解釈が許される広がりのある歌
今回の歌を深く味わうためのポイント
詠まれる「鳥」を変えて
全く別のドラマを想像するのもだいご味のひとつ

■佐佐木先生からの宿題
真っ暗な天井の黒を解(ほど)いていく雀の声とまな板の上のダンス
米本学仁

■短歌侍武者修行
課題 動きを入れて臨場感を出す(動作を詠む)

ホールドに第一関節引っ掛けて進む勇気か落ちる覚悟か
本髙克樹
ギリギリと削れる爪でつかんでるそり立つ壁の赤いホールド
矢花黎

2022年10月24日月曜日

テーマ「芸術」

秋雲よ記憶の中で育まれ
秋湿り日々美化させて過去を生く
かりそめの筆遊び(ふですさび)せり秋日和
偶然を見落とすなかれ秋意かな
自立した自分が基本秋麗

NHK俳句 兼題「芸術」
「一橋桐子の犯罪日記」とのコラボ月間。
選者 堀本裕樹 ゲスト 木村多江 司会 武井壮

■冒頭の俳句
音楽に乗って檸檬の香りけり   堀本祐樹

■季語から読み解くドラマの俳句
君失せてモノクロの日々昼寝覚(ひるねざめ)   三笠隆

昼寝覚(昼寝の傍題) 夏の季語 けだるさを表現

例題
昼寝覚雲を目に入れまた眠る   大野林火

■入選六句 テーマ「芸術」
毬栗(いがぐり)に絵画教室ざわつきぬ   
西爽子(そうこ) 季語 毬栗(栗の傍題)

指先の秋思煌めくバレリーナ
猪俣ま悠 季語 秋思

朝顔を描く朝顔に囲まれて
谷村高夫 季語 朝顔

彫像の顔に生まるる良夜かな
吉野敬子 季語 良夜

亡き妻のぬり絵は壁に秋の声
禪寳(ぜんぽう)居士 季語 秋の声

特選 秋麗モデルの喉に髪の影
高木統(おさみ) 季語 秋麗

■あなたのエピソード、俳句にします テーマ「芸術」
季語に想いを託す
視聴者のエピソード
子が描きしママはぐるぐる秋うらら   堀本祐樹

木村多江さんのエピソード
ニット着てドラマ撮る間の風涼し   堀本祐樹
風涼し 夏の季語(凉しの傍題)

2022年10月23日日曜日

名言と夏目漱石英訳「方丈記」

秋陽嗅ぎこくりこくりと駐車場
落合集落山肌染める蕎麦の花
秋深む基本はひとり生きていく
秋の蛇脱皮重ねて育まん
秋の音緊張持ちて夕凪へ

■名言
乃木希典 曰く
「人は愚かな者で
 幸福に馴れると幸福を忘れ、
 富貴に馴れると富貴を忘れるものじゃ。」

浅田次郎 曰く
「何を言ってやがる
 手足の揃ったおまえに
 出来ないことはひとつもない
 人間は出来ないと思ったら
 まっすぐに歩くことだって
 できやしねぇんだ。」

本田圭佑 曰く
「サッカーをやめても
 人として周りが慕ってくれるような
 存在でいたい。」

■夏目漱石英訳「方丈記」
資料の部屋
http://www.horae.dti.ne.jp/~tadn/shiryoo.htm

英訳 『方丈記』 いわゆる南方熊楠 訳
http://www.horae.dti.ne.jp/~tadn/hoojooki-minakata.pdf
英訳 『方丈記』 夏目漱石 訳
http://www.horae.dti.ne.jp/~tadn/hoojooki-sooseki.pdf
英訳 『方丈記』 J. M. Dixon 訳
http://www.horae.dti.ne.jp/~tadn/hoojooki-dixon.pdf
盤渓永琢 『心經抄』
http://www.horae.dti.ne.jp/~tadn/shingyoo-02.pdf
佐藤春夫訳詞 『支那歴朝名媛詩鈔車塵集』
http://www.horae.dti.ne.jp/~tadn/shajinshuu-zen.pdf
津田雄次「Sir Gawain and the Green Knight における Old Norse 語彙と物語の解釈について」
http://www.horae.dti.ne.jp/~tadn/TSUDA%20YUJI%20ARTICLE.PDF

■夏目漱石 方丈記の英訳の和訳
https://think0298.stars.ne.jp/natsume_souseki_hojioki.html

2022年10月22日土曜日

名言と写真俳句入りカレンダー

踏む秋や音を外したハウスダンス
体重はボールに載せて秋を舞え
連なるヘルの現場検証秋黴雨(あきついり)
なきいすか山へ山へとフルスイング
午後一番の池越えショット秋麗

■名言
ルーシー・M・モンゴメリ
「一生懸命やって勝つことの
 次にいいことは、
 一生懸命やって負けること。」

アントニー・デ・メロ 曰く
「今この瞬間にあなたが
 無常の喜びを感じていないとしたら、
 理由はひとつしかない。
 自分が持っていないもののことを
 考えているからだ。
 喜びを感じられるものは、
 全てあなたの手の中にあるというのに。」

スティーブ・ジョブズ 曰く
「常識?
 あ~凡人が仲良く生きるためのルールか!」

■夏井いつき俳句チャンネル
【2023年カレンダー完成】写真俳句からキスマイの話に?

洞窟の中に野菊を置きにゆく   夏井いつき
みな潮の匂いに干して盆の家   夏井いつき

写真俳句の神髄は掛け算!と夏井いつき塾長。
千賀健永君は写真俳句の中で
「これを実践していた!」と豪語していたそうです。

2022年10月21日金曜日

名言と「鉢の仔」

丸は濃く四角は薄く秋を描く
澄む秋や型に拘ることなかれ
秋の声勝負の好きな日本人
木と鉄の織り成すフォーム秋の空
炎蒸(えんじょう)にしがみつかれた秋の朝

■名言
佐藤愛子 曰く
「何のマイナスもない人生を歩いていたら、
 考えない人間ができちゃう、」

三木清 曰く
「人は軽蔑されたと感じる時によく怒る。
 だから自信のある者はあまり怒らない。」

渋沢栄一 曰く
「事業には信用が第一である。
 世間の信用を得るには、
 世間を信用することだ。
 個人も同じである。
 自分が相手を疑いながら、
 自分を信用せよとは虫のいい話だ。」

■一分季語ウンチク 蜂の仔
地域によってはこの「鉢の仔」を食べる
ということもあるのでしょうけれども
私の住んでいる愛媛県松山市では
そんなにお目にかかる機会はない食材
となっています。
秋の歳時記に収録されている「鉢の仔」は
地蜂、クロスズメバチの幼虫の事なのだそうです。
地中に巣を作っており、それを10月頃に
巣を煙攻めにしてとるのだそうです。
個人的な体験としては蜂の幼虫を食べたことは
あるのですがその時は幼虫を炙った燻ったものを
食べさせていただきました。
試しに食べて見たら豚の脂身とクリームチーズを
こんがり焼いたような味わいでした。
興味のおありの方は是非一食。

2022年10月20日木曜日

藤原信也の旅 死を想え、生を想え。

月渡るまだやれることありますか
秋の星憧れよりも足もとを
稲光暴きださん煩悩が
秋の夢スマホ100%(パー)吾は20
しけ寒(ざむ)や声うら返し笑み作り

日曜美術館より
死を想(おも)え、生を想(おも)え。 
写真家・藤原新也の旅

犬が人の遺体を食べる写真のキャッチコピーに
「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ」

死体の灰には、階級制度がない。

遠くから見ると、
ニンゲンが燃えて出すひかりは
せいぜい六○ワット三時間。

ちょっとそこのあんた、顔がないですよ

此の世は彼の夜である。
天国もある。
地獄もある。     

ひとはみな、あまねく照らされえいる。

その景色を見て、わたしの髑髏(しゃれこうべ)がほほえむの

(言葉の写真)

ニンゲンは犬に食われるほど自由だ

祭りの日の聖地で印をむすんで死ぬなんて
なんとダンディな奴だ。

あの人がさかさまなのか、
わたしがさかさまなのか。

ありがたや、
一皮(いっぴ)残さず、骨の髄まで。

光の中で、正気にもどる。

おーい。

こんなところで死にたいと思わせる風景が
一瞬目の前を過る事がある。

母の背は、荒野に似る。

少年の孤独
包み込む
湯気の音聞き耳立てる
老い。

人体はあらかじめ
仏の象(かたち)を内包しています。

寿命とは、切り花の
限りある命のようなもの。

あの人骨を見たとき、
病院では死にたくないと思った。
なぜなら、
死は病ではないのですから。

死のとき、
闇にさまようか
光に満ちるか
心がそれを選びとる。

死とは、死を賭(と)して
周りの者を導く、
人生最後の授業。

死を想え、生を想え。
(プラス思考)

広―い
景色の中
ふたつの
小さな
脈拍。

香港入国‼
自撮りなので
顔がでかい。

ここは金融街のメインストリート。

習近平もこれだ‼

絶食の果て。40回の断食の結果
自分の糖尿病も治り
結果オーライ‼

ケンカがはじまる‼
近づく。

殴り合いのケンカがはじまった。
右の足が気狂い状態。
正面からストロボを炊くとコイツ
は私に向かって来た。

神社札に似ている。

革命は美しい。
そういう点景が至るところにある。
日本の学生運動にはこれがなかった。

追伸
18日裁判所の決定により金鐘の一部(約十メートル四方)
のバリケードの撤去がはじまる。学生側は沈黙。

西の雨傘運動。
東の空傘運動。(Halloween)
どっちも切実なのだ

嗚呼!
目に前に
あの世が
満ちている。

雲に道を訊く。

枯れ逢う。

遺影撮ると
レンズ向け
君の眼
私の命
見ている。

私感
こころに突き刺さる言葉の数々…。
飾られた軽い言葉に辟易…。

2022年10月19日水曜日

名言とお役立ち哲学

山吹に染める銀杏道浄寺
銀杏に埋め尽くされた境内
善知識求めて会える訳もなく(無季句)
野路の秋蛙はいつも座りをり
(仙厓義梵)かすれ文字四角三角丸と印(無季句)

■ロッチと子羊
今日のお役立ち哲学

孟子 曰く
「仁政さえ実践できればきちんと伝わります。」

ジェイムズ 曰く
「恐怖によって
 行動が制限されるのではなく
 行動が恐怖を生み出しているのです。」

エラスムス 曰く
「マジメ過ぎることで
 臆病になるぐらいなら
 時には❝愚か❞になることで
 突破しましょう。」

ベーコン 曰く
「人が正しいイメージを
 得るには❝イドラ❞を
 取り除く必要があります。」
(イドラとは正しい認識を妨げる偏見や先入観。)

■名言
三木清 曰く
「孤独は山になく街にある。
 一人の人間にあるのではなく
 大勢の人間の『間』にあるのである。」

大原敬子 曰く
「すべてを捨てると、
 新しい道が開けます。」

西田文郎 曰く
「他者への感謝、誰かのためにという気持ちは、
 持っている以上の力をその人に発揮させる。」

2022年10月18日火曜日

題「束縛・嫉妬」

経済の動脈硬化秋渇き
秋草や寝そべり族のはびこらん
秋の草アバター越しの自己主張
月の雲アルコリズムを追いかけて
買い場は株安円高北北斗

NHK短歌 題「束縛・嫉妬」
選者 江戸雪 momohaha 司会 星野真里 
レギュラー カン・ハンナ 本髙克樹 矢花黎

■冒頭の短歌
きらきらと君が見つめている虹の悪口を言うぼくのくちびる
江戸雪

■恋のフレーズ短歌
笑ってる隣の子誰じりじりと私だけ見て ハンカチをかむ
    Momohaha    カン・ハンナ 星野真里

■入選九首 テーマ「束縛・嫉妬」
嫉妬などしてないようにひと褒めるハイビスカスの花の陰より
濱田道子
うめ味のガムを噛みつつ微笑んであの子とデートかそれはよかった
原拓
夏の日の藤棚の蔭何でもないどってことない嫉妬なわけない
石井宏子
ラインには既読がつかず折り紙の風鈴がくるくる震え出す
涸れ井戸
あなたから誰かへ宛てたハートマーク挽き肉にして今夜は餃子
甘夏せと香
伏せられたスマホに触れる世界一知らなくていいきみを知るため
星野珠青
💮便箋に筆圧だけで浮き上がる私ではない誰かへの文字
奈々帆
嫉妬して嫉妬して狂いそうな夜は林檎の皮がするする剥ける
吉行直人
おねえちゃん休みたいなという娘をブランケットに包み抱く夜
毛糸

■恋バナ短歌
二人でも楽しめるから無人島の楽園を出ずずっと遊ぼう
カン・ハンナ
恋人になりたいわけじゃない彼の緊急連絡先でありたい
星野真里
終わらないドライブをする僕たちは寄り道しながら星へと向かう
江戸雪

■短歌侍武者修行 テーマ「励ます」
ボルダリングを体験
動作を詠む
体の動きを詠むことで臨場感を伝える
本髙克樹 矢花黎

迷うほど指に食い込むホールドは遠く見えても5cmとなり
矢花黎
(カン・ハンナさんのアドバイス
要素が多すぎて臨場感が薄れる。
「迷うほど」というのが伝わらない。
必死につかんでいる状態の動作が見えてくると面白い。)

元髙克樹
体句を使う。と告げる。
栗木京子先生の「観覧車」
観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日(ひとひ)我には一生(ひとよ)
が例として出されていました。
対句とは表現が似ている句を並べる技法。
行き止まるのか離す勇気か。と悩む元髙克樹君。
下の句の繰り返しができてくると面白い。
とアドバイスするカン・ハンナさん。

兼題「星月夜」

団塊の介護難民秋の陣
(中田駅)秋の駅車輪を模した車止め 
朝鳥わたる気が付けばプアジャパン
気がつけば倍速消費夜長かな
鑑賞から消費へと変わる価値観

NHK俳句 兼題「星月夜」
土曜ドラマ「一橋桐子の犯罪日記」コラボ月間!
選者 星野高士 ゲスト 由紀さおり 司会 武井壮

■冒頭の俳句
子のこのみ今シューベルト星月夜   京極杞陽

母からの受け継ぐ小袖こぼれ梅   由紀さおり

■会いたい俳人、12人
京極杞陽(1908~1981)
旧豊岡藩主京極家長男として東京に生まれる。
欧州遊学中に高浜虚子と出会い俳句を始める。俳誌「木兎」主宰

高浜虚子が選んだ俳句
美しく木の芽の如くつつましく   京極杞陽

入選九句 兼題「星月夜」
これからの事を語らふ星月夜   岡部正彦
星月夜言葉足らずの帰り道   そまり
星月夜大河のごとき瀬戸の海   老人日記
ギター背に急ぐ少女や星月夜   田口堯久(たかひさ)
母に聞く父の晩年星月夜   有村次夫
💮小走りに抜けし喧騒(けんそう)星月夜   中野誠一
鍵穴に鍵滑り込む星月夜   堀田福朗
盛り塩の溶けぬ花街星月夜   有坂貴男
地上にもこんなに明かり星月夜   佐々原幸子

一橋桐子の犯罪日記②の俳句
わが夢を取り戻したしぶらんこ漕ぐ   桐子
蔦若葉聖母のように君の愛   三笠隆
悪人は成敗すべし春の雷   桐子
もう一度やり直せたら春の波   桐子
わが罪を知る人は無し夕霞   宮崎知子
春風に笑えば君も微笑むか   桐子
雨に泣き風に笑えよ桐の花   宮崎知子
夏近しいま闘いのゴング鳴る   桐子

2022年10月16日日曜日

令和相聞歌と「茘枝(れいし)」

秋の夜年相応の鑑賞よ
稲雀雑務の価値の真価とは
名ばかりの百円ショップ秋曇
東福寺ぎんもくせいの香のなかへ
秋の雲お玉の住んだ無縁坂

■一分季語ウンチク「茘枝(れいし)」

茘枝は「れいし」と読みます。
楊貴妃も好んだとされるライチは果物。
甘いわけなのですが、歳時記に収録されている
「荔枝」はゴーヤのことなのです。
苦瓜と書くとあの苦い味が蘇ってきます。
読み間違いの多そうな季語。
よいうのも一つ頭に置いておくと
ちょっと知的に楽しい。

■夏井いつき俳句チャンネル
【令和相聞歌】恋多き妹の愛の句は...? より

令和相聞歌の作品応募はこちら↓
https://www.reiwasoumonka.com/

ローゼン千津さんが好きな愛の俳句
蛍草コップに飾るそれも愛   夏井いつき

数少ないローゼン千津さんの愛の俳句
いつのまにこんなに好きに草いきれ   朗善千津

棒アイス舐めているのが夫です   夏井いつき

真実とかポエムは細部を小さく描く
あえて直積的な言葉を入れるとリアルをなくす

令和相聞歌 第3回 最優秀賞
軽率になんの取り柄もないと言う
君はきれいに僕の名を書く   ツナ好

2022年10月15日土曜日

金秋戦決勝 大谷翔平で一句

秋夕焼蒔かれた場所で枯れ行かん
時重ねすだち阿波より羽州(うしゅう)へと
それぞれの11年よさやけかれ
虫聞かん自由と孤独紙一重
秋暁や退屈と言う贅沢よ

プレバト纏め 2022年10月13日
金秋戦決勝 大谷翔平で一句

1位 藤本敏史
大きく振りかぶって秋爽の只中に
添削(「に」がない方が良い。)
大きく振りかぶって秋爽の只中

2位 村上健志
大谷の球大谷が打つ案山子

3位 春風亭昇吉
白秋の雲穿ぐ右投げ左打ち
添削
白秋の雲裂く右投げ左打ち
白秋の雲撃つ右投げ左打ち

4位 横尾渉
総立ちのフェンウェイパーク星月夜
(「フェンウェイパーク」とは、ボストンにある野球場。
 メジャーリーグ球場としては歴史が最も古い球場。)

5位 松岡充
天高し野球ノートの三箇条
(大谷選手の野球ノートに書かれたお父さまの教えとは
 ① 一生けんめい元気に声を出す
 ② 一生けんめいキャッチボールをする
 ③ 一生けんめい走る
 だったそうです。)

6位 千原ジュニア
秋立つや十七画の名を吾子に

7位 梅沢富美男
ポケットにゴミ爽涼(そうりょう)のユニフォーム
添削(1位をドブに捨てた句。「に」では既にゴミが入っている。
   「ポケット・ユニフォーム」の情報が重なっている。

スポーツが分かる名詞を一語「マウンド」を入れる。
マウンドのゴミ爽涼のポケット

8位 森口瑤子
四番打者四球を選ぶ子規忌かな
添削
バッターは四番子規忌四球選

9位 立川志らく
巌流無念しおれた菊人形
添削
巌流無念しおれた菊人形
小次郎の無念しおれた菊人形

10位 皆藤愛子
打ちまくる大谷生姜擦る私
添削(名を片仮名にするとメジャーリーグの空気が出る。)
生姜擦る今日も大谷打ちまくる
今日も打つ大谷私は生姜擦る
今日もつオオタニ生姜擦る

2022年10月14日金曜日

理想的本棚と兼題「椎茸」

秋の夜悲喜交々の無縁坂
海陽のミズトラノオの群れて咲く
星月夜凹凸ありて成り立ちて
振りかざす正義はあるや秋の声
螻蛄(けら)鳴くや我慢する人しない人

■理想的本箱
□「ひどい失恋をした時に読む本」で紹介した3冊
「お目出たき人」武者小路実篤
明治末期の一途すぎる男の片思い。

「くまちゃん」角田光代
風変わりな男にふりまわされる現代女性の仕事と恋愛を描いた表題作のほか、登場人物たちが順番に失恋していく、連作短編集。

「掌の小説」川端康成
スケッチのような掌編として見つめる男の未練の心を描いた「写真」を含む、122遍が収録された掌編小説集。

□「もっとお金が欲しいと思った時に読む本」で紹介した3冊
「贅沢貧乏」森茉莉
“お金に換えられないぜいたく”をつづった女性作家のエッセイ。

「買物絵本」五味太郎
“買物”に付随する諸相をのぞき見られる絵本。

「父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。」ヤニス・バルファキス
父親が娘に語るという形式で格差の根源をドラマチックに語る経済書。

https://www.nhk.jp/p/ts/578Q5K3X59/ より

■ギュッと!四国 夏井いつきの俳句道場
兼題「椎茸」(秋の季語)

ギュッと!特選
椎茸や典座(てんぞ)の笊(ざる)は陽(ひ)のにほひ   深山むらさき

秀作
椎茸はかんぴょうの横収まりぬ   マーゴとレニー
椎茸を干して知足(ちそく)の暮らしぶり   ひだまり
貧乏や手には夕陽(ゆうひ)と椎茸と   句保田凡
つきだしの椎茸つつき愚痴を聞き   深山ほぼ犬

佳作
椎茸や籠(かご)にあふれる道の駅   吉河好
しわくちゃな干し椎茸と祖母の手と   環
椎茸で泣いた息子がもう二十歳   山とも

ポイント
気持ちは書かないで気持ちを伝える工夫が大切。

2022年10月12日水曜日

瀬戸内寂聴句集と「秋の湖(うみ)」

秋麗人それぞれの役目あり
湯に浸かり秋の深まり虫の声
秋の夜腰にあてた手上下せり
自分だけにしか見えない星明り
カンナ咲く夕日が照らす吉野川

■句集「ひとり」瀬戸内寂聴 より
紅葉燃ゆ旅立つ朝の空(くう)や寂
子を捨てしわれに母の日喪のごとく
御山のひとりに深き花の闇

句集のあとがき
「百年近い生涯、こうして私は苦しいときや辛いとき、
 自分を慰める愉しいことを見いだしては、
 自分を慰め生き抜いてきた」

句集の題名「ひとり」は、
大好きな一遍上人の言葉からもらった。
「生ぜしもひとりなり
 死するもひとりなり
 さればひととともに住すれども
 ひとりなり
 添いはつべき人
 なきゆえなり」

■一分季語ウンチク 秋の湖(うみ)

俳句を始めて何でこの字をこんな読み方をするの
っていう単語に出会う瞬間ありますよね?
独特の読み方をする。
この「湖」の一次に対して「うみ」という
2音で読むということにも俳句をやって
驚かれる方いらっしゃるかと思います。
なぜこの「秋の湖」と言う季語がわざわざ
一本たっているかと言いますと
夏の湖(なつのうみ・なつのみずうみ)
と言う季語もあるのですが
「秋の湖」になった時にはその湖の周辺に
色づいた秋色をした木々にあるいは空や山が
広がっておりその秋めいた景色を湖が映している
その事を特別に扱ってわざわざ一つの季語
となっている訳なのです。
仮にこれが「夏の湖」だと夏の緑の力強さが映っている。
秋は彩の「秋の湖」な訳なのです。

2022年10月11日火曜日

徳島彫刻集団60周年記念野外彫刻展

 「徳島彫刻集団60周年記念野外彫刻展」へ行ってきました。

お気に入りの作品を載せておきます。
























パンフレット⇩



題「調理」

優劣も勝ち負けもなし芸術に(無季句)
秋の声肯定せねば生きられず
秋の空居場所求めて彷徨いて
秋麗内なるものを外向きに
現実か❓非現実か❓秋の夢

NHK短歌 題「調理」
選者 笹公人 ゲスト 水田信二 
レギュラー 元髙克樹 矢花黎 カン・ハンナ 司会 星野真里

■冒頭の短歌
紙袋にはみ出す葱見て奥さんに「今夜はすき焼き?」と聞けた昭和よ
笹公人

■短歌の穴埋め挑戦!~グルメで一首~
網駕籠(あみかご)に野菜盛られてキッチンは邪馬台国の宴のごとし
笹公人
カン・ハンナ 中秋節
水田信二 畑座のあと
星野真里 鬼の退治の

■入選九首 テーマ 調理(買い出し含む)
父の求め来し皮付きの牛たんの色と太さに魘(うな)さるる子ら
犬山裕之
オムレツを濡れおしぼりで繰り返し練習した日々昭和の昔
中野賢一
暑い日に限って父は汗だくになりつつラーメン作りはじめる
長谷井慶子
💮調味料実験のごと正確に測りてをれば妻に笑はる
南浦義勝
静謐(せいひつ)な漁師町にある祖母の家海を調理してきた台所
田中佳
弥生人の煮炊きで煤(すす)けた素焼土器昨日焦がした鍋思い出す
稲田新吾
亡き夫の折りしページはそのままに美味しかったよ蛸の天ぷら
簾田淳美
見てくれは味と無縁ぞ大津港吊るし切り見るアンコウ料理
上原厚美
包丁が切れなさすぎと律子さんは研ぎ道具持ちて娘の家へ
三瓶敦子 

■短歌侍武者修行 元髙克樹 矢花黎
ボルタリングに挑戦
動作を詠む
体の動きを詠むことで臨場感を伝える

■歌人のグルメ
大鍋に放り込むのはかつての恋よくもよくもと木べらを回す
松村由利子

■短歌ボナペティ
キーワード 鰯
黒ずんだ今日のイワシ鍋で煮て青く光った昨日を飲み込む
カン・ハンナ
手際よく鰯をつみれに変えてゆく俺を眺める人なき夜に
星野真里
刺身用の鰯をつみれにして食めばひとりの夜も染みてかなしも
笹公人

2022年10月10日月曜日

兼題「流星」

あるがまま思いのままに草の花
秋の声命吹き込む動き在り
秋あわれ倒れ転びて立ち上がり
蚯蚓鳴く尊重し合う動き聞く
星月夜心の中を型とせん

NHK俳句 兼題「流星」
選者 井上弘美 ゲスト 戸田菜穂 司会 武井壮

■冒頭の俳句
星飛んで水瓶(すいびょう)おもき観世音   井上弘美

ドラマ「一橋桐子の犯罪日記」とコラボ。

■一柳桐子の犯罪日記 娑婆(しゃば)に未練なし より
遺されて象は青空ばかり見る
雨に泣き風に笑えよ桐の花   宮崎知子
万引きをしたら刑務所イチゴ大福
捨てる神拾う神ありあたたかし
捨てる神ばっかりなんて春寒し
秋桜が好きよ私は弱いから
風薫るI miss youのEメール   三笠隆
蝶ひらり塀を超えれば極楽ぞ
春の夢娑婆に友なし未練なし

■入選九句 兼題「流星」
白馬鑓(はくばやり)天空の湯に星走る   北岡正幸
この夜のエンドロールや流れ星   木原トモ
星流るなにもかも忘れた祖母に   未補
実朝の海は漆黒流れ星   小髙正子
屋久杉の樹冠掠(かす)むる流れ星   𠮷田靖子
夜通しの流星ゲルの子の寝息   杉浦正恵
💮星飛んで水の地球に届かざる   川上ひと志
流星を溜むる伝説山にの沼   鵜澤(うざわ)正信
獅子座流星群老象が群れを去る   高原良南(りょうなん)

友よさらば二度とは会えぬ夜の流星   戸田菜穂
添削
友よさらば二度とは会えぬ流星よ

2022年10月9日日曜日

俳句甲子園

比類なき今を生き抜くほしづくよ
生き甲斐を持ちて人生秋日和
最明寺見頃の萩や声を聴く
百三十の株を揺らせん萩の花
天高し集団自決いかように

夏井いつき俳句チャンネル
■【俳句甲子園】下五で組長を魅了した高校生の俳句 より

最優秀賞受賞俳句
草いきれ吸って私は鬼の裔(すえ)   阿部なつみ
(元々住んでいた人のことを「鬼」と言う。
虐げられるものである。
裔は「すえ」ではなく「えい」と読むことに拘る先生も…。
「えい」と読むことで精神的柱が建つ。)

小澤實先生の最優秀賞
露草に十年先の来てをりぬ   谷田部慶
(露草自身の強さ、しなやかでしぶとく、したたかで柔らかい花。
それを踏まえての季語の持つ味わいが違ってくる。
ディぺートになりにくい。)

西村麒麟先生の最優秀賞受賞
七月や雲なき空が鳥鍛へ   荒川理生(りき)
(最後の審査に残してくれた喜び、感謝があった。
下五の終わり方が優れている。
オリジナリティーとリアリティーを手にした句。)

■【俳句甲子園】大会を通して組長が高校生に伝えたいこと

岸本尚毅先生個人賞
龍淵に潜む眼鏡に小さき螺子(ねじ)   南幸佑

夏井いつき先生個人賞
熟を出て良夜の中の母に寄る   角田光

神野紗希先生個人賞
朝の駅ゼラチン質の七月です   阿部縁(ゆかり)