黒松を赤い羽毛が忙しなく
日向ぼこ定住決めた渡り鳥
蒼き空交喙鳥(いすか)真冬に求愛す
冬木立苔敷詰めて住処とす
松かさを交差した嘴で食む
■スイッチインタビュー 浅野忠信×山田五郎EP2
▽大ヒットドラマ「将軍」秘話
第82回ゴールデングローブ賞 助演男優賞 受賞
樫木藪重役 浅野忠信
浅野忠信という❝器❞
浅野 自分で言うのも変ですけど得意な分野だなって
役作りしている最中からいけるっていう感触はありました
キラキラしているヒーローみたいな役ってやったことないんです
一癖ある人とか何か抱えている人みたいな役が多い
そういう意味ではそっちだった藪重はいけると思った
書かれている事実は悪者 それ以上僕が「俺が悪いんだぞ」
ってやるとうるさいなとちゃんと普通にしていなきゃいけない
みんな藪重がずる賢いやつだし悪者だっていうのは分かるけど
よく見て下さい 「悪いのは周りの人です」そこに気づいた時に
意外とピュアで素直な人なんだなって見えてきて
山田 本当にずる賢い奴はあたふたしない 全体に凄く何とかしましたね
あのドラマはお金をかけた時代劇 日本では撮れない
浅野 僕が吊るされて上に行く時は撮影できる時にしてねと言っておいた
僕がクレーンで上がった後で打ち合わせが始まる 怖い思いをしていた
授賞式でのスピーチ(2025年1月 ロスアンジェルス)
Maybe you don’t know me.I’m an actor from Japan.and my name is
Tadanobu Asano.
浅野 アメリカのスタッフから授賞式にノミネートされるって
エミー賞が取れなかったのですが 余りにもいけるって言われていたから
いけるつもりでいっっちゃった 取れないじゃんって思って
物凄く落ち込んだ その前に英会話レッスンやっていて 物凄く丁寧な
スピーチを考えていた ハリソン・フォードさんもいるし
俺がとれるわけがない スピーチが全部ぶっ飛んで 頭真っ白になって
「ヤバい何を言ったらいいんだ」ステージに立った時に みんなの
見る目が「おまえ誰?」って顔してたんですよ
山田 「Maybe you don’t know me.」的な
浅野 SODA!やっていてよかったなと思いました ここで喜ばないと
いつ喜ぶんだろう 今までのアメリカだけじゃない 日本での
キャリアも含めて「自分のやってきた事って間違いじゃなかった」
って実感できました
山田 最高の瞬間ですね
1973年横浜生まれ 母方の祖父はアメリカ人 金髪でよく笑う子だった
山田 「いだてん」の時のあの政治家も相当悪い奴 嫌な奴でしたね
浅野 とことんいっていいんだ ゴーサインが出たなと思った
主人公たちは「いい者」としている どうやってやるの?
「僕とことんいっていいってゴーサイン出てますよ」
おもしろかった 役を演じる喜びと「僕が悪者やっていいって
言われて来た人です」っていう喜びがあった
顰蹙を買っていいっていうのが最大限に面白い
他の俳優さんたちはその役を通じて共感を得なきゃいけない所がある
(SHOGUNの)藪重でも川島さん「いだてん」でも顰蹙を
買わなきゃいけない 現場でもやっちゃいけない事を
とことんやっていい役割だと思っている みんながやらない事を
率先してやれる それはめちゃくちゃ面白い 監督から
「違います」って言われても「そりゃそうだよ 違う事を
やりに来ている」って感じなのでそれはめちゃくちゃ面白い
2021年 独立
山田 基本「浅野忠信」どの役やっても いい意味で
浅野 役はまず自分に落とし込んで作る 本当に自分抜きでは考えられない
山田 「浅野忠信」っていう器に入れるわけですからね
浅野 「おかえりモネ」のあの役でも 役をいただいた時に自分と
全く違うんですけど ある種似た状態にあるなと思えた コロナ禍だったり
自分の父親の事件があったり 自分の中でも 何か空っぽになった
気持ちがあって あの役はもう僕以外に空っぽな状態「今の自分
だったらできる」震災に対して僕が俳優としてできる事ってなんだろう?
やっと震災に対しての 僕の気持ちを表す事ができる それを
見てくれた人のリアクションを僕はちゃんと受け止めるべきだと思えた
本当に自分のその感覚がなければあの役はできなかった
山田 (台詞で)「立ち直らねえぞ」
浅野 良い台詞をいただきました 台本になると纏めようとしたり収めて
美しくしがちあそこで「俺は立ち直らねえぞ」っていう台詞を読んだ時
「まさにこれなんです」って思いました 僕からは出てこない台詞
ですし 彼には物凄く重要な台詞
浅野 コロナ前までは父親と仕事していた 厳しく断らせてくれない
僕も「修行したいな」っていうのがあった 脚本がつまらないものは
率先してやるようにしていました だから(僕の所に)来たんですよね
面白くしてほしいって事ですよね じゃあやってみましょう
僕も修業の身ですから はみ出さない事には進まない そのはみ出す
練習をさせて貰った だから本当に無茶な役なほどやっていました
山田 お父様がマネジメントやられていた頃と 今とで違います?
浅野 違います もうこれ以上止めようと思いました そういうやり方を
そのタイミングで「SHOGUN」をいただいたんで もう引き出し
満杯です いけますと 嫌われてもいいやと思った だから
物凄い断ってますね 本当に感じる役しかやりたくない 今までの
修行期間で不可能な事に十分 自分は挑んできた
「いいかげんやめろ」って言われた気がした 本当に自分がやりたい役
って何だろう やりたい役と出会うって事に前向きに向き合わないと
失礼になる 50歳の何でもない1人の男 僕と同じような男が
どう振る舞うのかを作っていきたい 世の中の事件に絡めていない
話がいい
山田 普通の話に普通の50歳のおっさんとして それも意外に見たことのない
浅野忠信かもしれない
浅野 若い頃に生意気だった「役者なんかやる事ないじゃん」
絵描きだったら絵の練習したり 俳優も演技の練習はするけど
俳優の練習って何だろうって思った時 この生活以外ないなと思った
山田さんとお話しする 皆さんと新たな出会い 1人になって
落ち込むとか 「全部役者の練習じゃん!」っておもって
そうすると「やる事ないな」と バンドをちゃんとやらなきゃ
絵を描かなきゃ そうすると「何かをやっている人」になる
役が来た時 「あの時のこれに当てはめられる」「絵を描いて
いる時の自分と同じだ」何かやってなきゃって思いました
俳優のために
山田 浅野忠信っていう器はすげーな
映画撮ればいいじゃん
浅野 俳優ってやっぱりゼロからの仕事じゃないな 本当にたった1人で携帯
置いて 1人で作っている作品 俳優として1人で作品を作ったら
どうなるんだろう
山田 楽しいらしいじゃん 映画撮るのって 人間の最高の道楽って
建築と映画撮る事だって
浅野 建築はやってみたい どうしても住む所って考えて建てがち
ではなくて本当に自分の絵の中で見てみたい景色を建ててみたい
山田 建ててみたいね建ててみたいな
浅野 夢の中で見た家があって 白い何でもない庭スペースがあって
どんどん階段で下りていく家 それを作りたい
山田 押入れの奥に穴があって そこを通っていくと違う部屋に出る
古い洋館みたいな部屋 凄い好き 閉所恐怖症で穴が凄く
怖いんだけどその部屋に行きたいから通っていく
浅野 模型だけでも作ってほしいと思っちゃいました
山田 まずい事聞いちゃったな
最高の時間になりました…。感謝感謝感謝…。
