2026年8月4日火曜日

100分de名著 親鸞❝教行信証❞③

日本列島災害級の暑さかな

酷暑日の記録更新夏休み

熱中症命を守る行動を

夏の風過疎もエアコン稼働せり

40度お薄に氷浮かべけり

 

100de名著 親鸞❝教行信証❞③「実存的改読」がもたらすもの

釈徹宗 伊集院光 阿部みちこ

 

信楽(しんぎょう)を獲得(ぎゃくとく)することは

如来選択(せんじゃく)の願心(がんしん)より発起(ほつき)

 

念仏を軸とした普通の暮らしが仏道

 

往生した極楽浄土から菩薩となって戻る

 

死をも超えて続く仏道を親鸞の中に生み出した

 

親鸞による独創的な仏教典籍(てんせき)の読み方・受け止め方を味わいたい

「実存的改読」

難しい親鸞の思想体系も私たちの暮らしに根づいている 

信巻③序文

それおもんみれば、信楽を獲得(ぎゃくとく)することは、

如来選択の願心より発起す。

身心を開闡(かいせん)することは、

大聖(だいしょう)(釈尊)矜哀(こうあい)の善巧(ぜんぎょう)より顕彰せり。

 

信楽:阿弥陀仏の願いをそのまま受け入れる心

大変受動性の高い思想

 

「無量寿経」の第十八願(至心信楽の願)

(現代語訳)

至心信楽の本願(第十八願)の文は、「無量寿経」に次のように説かれている。

「わたしが仏になったとき、あらゆる人々が、まことの心で信じ喜び、

わたしの国に生まれると思って、たとえば十声念仏して、もし生まれることが

できないようなら、わたしは決してさとりを開くまい」

 

第十八願(至心信楽の願)

衆生が真実の心を持ち(至心)信じ喜び(信楽)浄土に生まれたいと願って(欲生)

仏が真実の心を持ち(至心)送る信心の喜びを受け入れる心(信楽)

衆生を浄土に招き入れようとする心(欲生)

「ただし、五逆の罪を犯したり、正しい法を謗(そし)るものだけは除かれる」

 

五逆の罪

・父を殺す事

・母を殺す事

・阿羅漢を殺す事

・仏を傷つけ血を流す事

・僧団の和合を壊す事

 

正しい法を謗るもの(誹謗正法):仏教の正しい教えを軽んじ否定する事

悪人は救われない?

 

抑止門(おくしもん):悪行を犯さないためにあらかじめ戒める教え(抑止力)

罪人も悪人も救われる

仏教の教えの中に経典に基づくものとしてあると立証

根拠としたのが「王舎城の悲劇」父を死に至らしめた阿闍世(あじゃせ)

釈迦の教団乗っ取りを企む 提婆達多(だいばだつた)

阿闍世が救われるという「涅槃経」の文章を延々と引用

月愛三昧(がつあいざんまい):優しい月の光のような釈尊の深い慈悲の心

最後、阿闍世は自分の中に「無根の信」が芽生えたと言う

信心は仏から届くんだという論の立て方

デジタルタトゥー:インターネット上で公開されたか見込みが

半永久的に残り続ける現象を指す造語

 

二河白道(にがびゃくどう)

白く細い道 ためらうことなく この細い道を進みなさい

ためらわずに こっちに来なさい わたしがあなたをまもります

「二河白道」の真実の信心

版画家の棟方志功や漫画家の水木しげるが

「二河白道」を題材に作品を制作している

火の河は怒り・恨み 水の河は過剰な欲望

極楽浄土 阿弥陀仏 白い道(他力の信心) 釈尊 娑婆 悪鬼(私たちがいる社会)

これを作ったのは 善導(中国唐時代の僧)

 

釈尊 細い道を進みなさい

阿弥陀仏 こっちに来なさい

ひとつの仏道を歩む者にとっての心理劇

アレゴリー(寓話)

独生独死 独去独来(どくしょうどくし どっこどくらい)

孤独な限界状況 その時に聞こえてくる声を受け入れるのが真実の信心

人知を超えるものの声に耳を傾ける

 

(現代語訳)

つつしんで、真実の証(しょう)を顕せば、それは他力によって与えられる

功徳の満ちた仏の位であり、この上ないさとりという果である。(中略)

さて、煩悩にまみれ、迷いの罪に汚れた衆生(しゅじょう)が、

仏より回向(えこう)された信と行とを得ると、

たちどころに大乗の正定聚(しょうじょうじゅ)の位に入るのである。

正定聚の位にあるから、浄土に生れて必ずさとりに至る。

 

ニルヴァーナ(サンスクリット語)

煩悩の火が吹き消された状態の安らぎ悟りの境地

 

阿弥陀仏信仰の本質を求めて

 

臨終正念:臨終に際して心が乱れることなく 

阿弥陀仏の来迎や浄土への往生を期する状態

 

法然・親鸞は死に方がこの教えの本質ではない

本質は今 私がここで生きるための教え

 

現世正定聚(げんせいしょうじょうじゅ)

正定聚:仏となる身と定まった悟りの境地・人々

親鸞は来世ではなく今ここでと説いた

他力の信心を得た時点で間違いなく浄土に往生できる身となる

(浄土への往生が)決まったからこそ「知恩報徳」に暮らしていこう

普通に暮らしていくのが仏道そのものになっていく

 

近江商人(現在の滋賀県) 三方よしもこの背景から生まれた

売り手よし 買い手よし 世間よし 

倫理観・経営理念を持って商売に励んでいた

誰もが幸せになるようにと願う倫理観 三方よし

この背景には信仰や信心があった

 

浄土真宗とビジネス界 

初代 伊藤忠兵衛(1842-1903)

幕末から明治時代にかけて活躍した近江商人 大手総合商社の創業者

 

船場:大阪経済の中心地 浄土真宗の寺院(北御堂と南御堂)がある

司馬遼太郎は紀行文集「街道をゆく」の中で

「おかげさまで」は近江商人が広めたと書いた

 

常に今 私がここで 何をすべきかが問われている

 

還相回向(げんそうこう):阿弥陀仏の力(他力)によって浄土に往生したものが

再び迷いの世界(この世)に還ってきてすべての人々を救済するはたらき

 

浄土から戻って人を救う?

 

回向(えこう):自分が積んだ善行や功徳を他者に振り向けること

往相回向(おうそうえこう):阿弥陀仏のはたらきによって

             すべての人が浄土に往生する事

還相回向(げんそうこう):浄土に往生した人が再びこの世界に戻り

            人々を浄土へ導く事

 

(現代語訳)

二つに、還相の回向というのは、思いのままに衆生を教え導くという

真実の証にそなわるはたらきを、他力によって恵まれることである。

これは必至補処の願(第二十二願)より出てきたものである。

この願をまた一生補処の願と名づける。

また還相回向の願とも名づけることもができる。

 

曇鸞(どんらん)(中国の僧)は「無量寿経」の第二十二願から

この世に帰って利他行為を行うと解釈

こういう還相回向の捉え方は親鸞によって構築された

救えなかった苦しむ人のために

死をも超えて続く仏道

 

自利利他:他者を利することが自分自身の利益になる

2026年8月3日月曜日

兼題「墓参」&テーマ「アイスクリーム」

日本でのサトテル人気規格外

サトテルや心理読み切り逆転へ

振り切った観客席へ飛び込まん

サトテルや期待に応え本塁へ

ヒッティングマーチと共にサトテルが

(個人的にサトテルを夏の季語としました)

 

NHK俳句 兼題「墓参」

選者:堀田季何 レギュラー:庄司浩平 司会:柴田英嗣

年間テーマ「もっと俳句のコリをほぐします」

 

・歳時記と実感が合わない

桜:春の季語 北海道での満開は初夏

その土地の目の前にあるものは歳時記より優先して読むべき

現地のTPOが大事

 

桜 ①櫻咲くのかこの道にこの修羅に   五十嵐秀彦

深掘り!その土地ならではの季節の言葉をどう生かす?

 

うりずん ②うりずんや波ともならず海ゆれて   正木ゆう子

うりずん:沖縄特有の季節 2月下旬頃から沖縄の梅雨入り頃まで

おれずみ:沖縄の季節風、加藤清正の家紋、または折り込み済みの略

地貌(ちぼう)季語:一般的な歳時記には載っていない、日本各地の暮らしや

風土に根差した固有の季節感や方言を表す言葉のこと。

俳人の宮坂静生氏が提唱し、集めている。

代表的なものに「木の根明く」「逆さ寒」「のれそれ」などがある。

 

笹起きる ③笹起きる誰も知らない墓二つ   中山ヒロ子

笹起きる:春の季語 積もった雪の重みが消えて、笹が起き上がる様子を指す。

 

木の根明()く ④木の根明く胎児はなにを見てをるや   宮坂静生(しずお)

木の根明く:雪国の春の訪れを告げる仲春(2月〜3月頃)の季語。

木の根のまわりの雪がいちはやく解け、円状に土があらわになる現象を指す。

 

ツボポイント 実感が最優先

 

・実践

映像を見てそれぞれの地貌季語が表す季節と情景を考えよう!

しばれる 冬の季語

Aしばれると皆言ひ交す夜空かな   櫂未知子

 

常念坊 春の季語 長野県の常念岳の山肌に現れる「雪形」を表す季語

B霜くすべ常念岳のみそなはす 小澤實

(霜くすべ:春の季語 みそはなす:ご覧になる)

 

気嵐 冬の季語 晩秋から冬にかけて、海や川などの水面から

湯気のように霧が立ち上る幻想的な自然現象を指す

C昇る旭を待つ気嵐の船灯り   深谷雄大

 

まとめ その土地ならではの情景を積極的に読もう

 

・特選六句発表 今週の兼題「墓参」

 墓参幽かに残る𱁬(たいと)の名   三河三可

(「たいと(𱁬)」という漢字は非常に特殊なため、一般的なスマートフォンや

パソコンの画面では文字化けして表示できない 総画84画 現在幻となっている漢字)

墓参教え子ふたりキーツ読む   池野宗子(みねこ)

(ジョン・キーツ(John Keats)は、1795年生まれのイギリスの詩人)

それぞれの高さに傘や墓参   葉村直

火のやうに花濡れてゐる墓参   元野おぺら

ラジオ消そうよ墓洗う時ぐらい   加藤幸龍

 墓洗うかゆいところはないですか   竹林貞子

 

・柴田 庄司の歩み

夏に桜を詠む   柴田

常念坊を見てみたい   庄司

 

NHK短歌 テーマ「アイスクリーム」

選者:横山未来子 レギュラー:菊池銀河・横田真子 司会:ヒコロヒー

年間テーマ「三十一音、次の扉へ」

 

・今回のテーマは「リズムで遊ぼう」

定型を基本にしながらリズムに変化をつけたり崩したりする技法

 

ふりかへり またふりかへり ひとすぢの かなしみのなかへ おりてゆく夜

永井陽子「樟の木びうた」

リフレイン:リズムを整えたり印象的にする効果がある

リフレインによって口ずさみたくなるような心地良い美しい韻律も出ている

 

新品のレジャーシートをひろげれば意外とちいさくて笑いあう

伊波真人「ブルーアワー」

意外とちいさ くて笑いあう 7音 7音 

句またがり:1つの言葉が2つの句の間をまたいでいること

9音 5音とすることで強調される

句またがりは根底に定型のリズムがあるからこそいきる技法

 

日向なる髪あたたかし遠ければ方位つかめぬ鳥のこゑする

横山未来子「花の線画」

句切れ:一首の中にある文としての意味の切れ目のこと

句切れのある場所によって 初句切れ 二句切れ 三句切れ 四句切れがある

句切れの位置や句切れのあるなしによって

同じ三十一音でもリズムの変化を生み出すことができる

この句では二句目までは日向で髪に陽が当たり暖かいという触角の表現

三句目以降は方角がよく分からないが鳥が鳴いているという聴覚の表現

句切れはリズムの変化だけでなく場面を展開する事にも使える

 

・入選六首 テーマ「アイスクリーム」

一席 私 毛づくろいする猫のごと日だまりのベンチでなめるアイスクリーム

小仲翠太

アイスには賞味期限は無いらしい 君が残していったしろくま

今井遼

天井の節を見つめて食べ終わるアイスの棒をまだ噛んだまま

今井久里

反抗期の娘が食べているらしい深夜に消える庫内のアイス

弓立悦

デザートのバニラアイスは子どもだけ若かった夏の父、夏の母

久藤さえ

 まだかたいアイスクリームをゆっくりと母の話で解かしてる夜

Yohei

 

・歌人への道

列車風(ふう)前髪揺らして遠ざかる君のうなじはバニラの香り

菊池銀河 添削

列車風(ふう)に髪吹かれつつ遠ざかる君のうなじはバニラの香り

 

冷凍庫開けて見つけたチョコアイス薄く削ってソッと戻した

横田真子 添削

冷蔵庫の隅に見つけたチョコアイス薄く削ってソッと戻した

(動詞が4つあるので行動の説明のように感じられる)

 

名句鑑賞

向日葵は金の油を身にあびてゆらりと高し日のちひささよ

前田夕暮(ゆうぐれ)「生くる日に」

 

・いちご摘み

見えざりし利手(ききて)地球回しおり梅雨の国に指湿りつつ

廣野翔一(好きな歌人 佐藤弓生)

チェンジアップをおしえてくれる手のひらにつつまれている小さな地球

貝澤駿一(好きな歌人 石川啄木)

歌集「ダニーボーイ」第70回現代歌人協会賞 受賞

〈化学死んだ〉〈数学死んだ〉生きてくれればいいが死にすぎだろう

「ダニーボーイ」木阿弥書店より

 

小さい時から僕は野球をやっていて短歌よりも長くやっているんですけれども

チェンジアップという変化球は力を抜いて投げることが重要な変化球で

子どものこわばった心境とかストレートしか投げられない

素直で頑固な子どもの心をほぐしていくような そういう優しい手のひらがあり

その手のひらの中に野球ボールを地球に例えておさまっている 

小さな世界も今思うと愛おしかったななんてことを覚えています

 

摘んだのは「地球」子どもたちへのまなざし

2026年8月2日日曜日

わたしの日々が、言葉になるまで 町田そのこ 川尻蓮

暑き日よメッシュの涙丸き背よ

スペインの無敵艦隊夏制す

水流れ光煌めく夏の庭

夏空を鬼百合の花俯かん

夏の月人知を超える声を聞く

 

■わたしの日々が、言葉になるまで 7月放送分 ぎゅぎゅっと詰め合わせスペシャル

町田そのこ 川尻蓮 eill みりちゃむ 劇団ひとり 桐山照史

 

悔しさ

努力は平気で裏切る 流した汗はウソを吐く なんなんだ この悔しさは

「ひゃくえむ」魚豊

 

自分の限界を感じた「悔しさ」

俺もどっかで 何か劇的な活躍ができるんじゃないかって

一瞬だけでもヒーローになれるんじゃないかって

勘違いしてたんだなあ

「ハイキュー!!」

 

キツい時間が良い時間となるかわからないのが現実 川尻

 

何万文字もかけて表現しているものを SNS140文字で表現している

「クソッ!」って思う この悔しさを原動力にしないと

この怒りは消化できない 「悔しさ」により怒りで書き続けている

幸せな気持ちで小説書いていない

町田

 

「悔しい現実」と向き合えている?

すぐ行動してしまう ちゃんと凹むからPositiveに変換

闇落ちしないの?一瞬は真の闇落ちではない。町田

 

浅く考えろ 世の中舐めろ 保身に走るな 勝っても攻めろ

俺は俺を認める 速ぇよ俺には勝てない 

現実が何かわかってなきゃ 現実からは逃げられねぇ

現実に対して目を塞いで立ち止まるのと 

目を開いて逃げるのは大きな違いだ

…きっと現実を直視するのは とてつもなく恐ろしいことだ

認めたくねぇことも認めなきゃいけねえ

でも本当に現実を変えたいなら…否定するには向き合った上で

やらねぇとダメだ じゃなきゃ 目を閉じて立ち尽くすことになる

「ひゃくえむ」

 

「現実」=敗北の理由

自分が負けた理由と向き合わないといけない

負けた理由は自分でもわかっている

「悔しい現実」は逃げる理由にもなる

現実から逃げるためならいくらでも理由はつけられる

闘う理由を作るのはしんどい

言い訳ばっかりして現実から逃げていると

成功ってどんどん遠ざかっていく 町田

 

1回ちゃんと負けて悔しい思いをすることが大事 ひとり

傷つく前に言葉に救われると糧にならない

 

ギャル語

1990年代初頭 日本を襲った出来事 バブル崩壊

暗い世間に光を灯したのがギャル 新たな文化まで作り出した ギャル語

マジでキレる5秒前⇨MH5エムケーファイブ

イケてるメンズ⇨イケメン

当時のメールは文字数制限があり 短い言葉で伝える必要があった

1990年代に流行したギャル語

タクる:タクシーに乗る

ジコチュー:自己中心的

ウーロン茶:ウザいロン毛茶髪男子

ギャルの枠を超えて世間に広まった

チョーベリーグッド⇨チョベリグ 新語・流行語大賞トップテン

 

キャパい:キャパシティオーバー

もう限界を折らわす言葉 ヤバいと同じ感覚で使われる

 

やーやー:相槌 

「うん」だと強い印象を与えるが「やーやー」だと相手に圧を感じさせない

 

じょっしゃー:「やったー」「よっしゃー」

「じよ」にすることでかわいくノリもよくなる

 

わほー:間を埋める言葉

    会話が止まったときや挨拶でも使う

 

ギャルの言葉はオノマトペ

フワフワとかキュルキュルとか 簡単な言葉で共感を表す

ギャル語の魅力 フワッとした言葉で共感を表す

ギャル語は条件反射

 

ギャルは自分で幸せをつかみ取っていく生きもの

 

孤独ってNegativeな言葉に聞こえるけど 実は大切な時間

自由にも感じる ひとりを恐れ ひとりを求めるのか

孤独とは一体何なのか

 

孤独大好き 1人の時間がないとダメな方

集団の中の孤独を感じると 居場所がなくなる気がする

 

宇多田ヒカル「一度もグループに属したことがない」

散らかった部屋に帰ると 君の存在で 自分の孤独確認する

誰かの為じゃなく 自分の為にだけ 優しくなれたらいいのに

宇多田ヒカル「For You

 

人と比べて初めて孤独を味わえてしまう 川尻

自分の心は共感は得られるけど共有は出来ない eill

 

2021年本屋大賞受賞 52ヘルツのクジラたち 町田そのこ

孤独の匂いは肌でも肉でもなく、心に滲みつくものなのだ。

この匂いを消せたと言うひとがいたら、

そのひとは豊かになったのだと思う。

海にインクを垂らせば薄まって見えなくなってしまうように、

心の中にある水が広く豊かに、海のようになれば、

滲みついた孤独は薄まって匂わなくなる。

そんなひとはとてもしあわせだと思う。

 

集団の中の孤独を感じて いまだにそのときのツラさ

孤独の虚しさ・悲しさを覚えている

汚れみたいな感情 自分が受けた痛みや苦しみは大事に残していい

誰かの苦しみやインクに気づける

誰かに気づいていけるものにしたいな

 

自分の中にあるもので薄めていく eill

 

二十億光年の孤独 谷川俊太郎 20歳に発表したデビュー作

人間の存在や儚さ 宿命的に抱える孤独 宇宙視点から表現

 

人類は小さな球の上で

眠り起きそして働き

ときどき火星に仲間を欲しがったりする

火星人は小さな球の上で

何をしてるか 僕は知らない

(或はネリリし キルルし ハララしているか)

しかしときどき地球に仲間を欲しがったりする

それはまったくたしかなことだ

万有引力とは

ひき合う孤独の力である

宇宙はひずんでいる

それ故みんなはもとめ合う

宇宙はどんどん膨らんでゆく

それ故みんなは不安である

 

二十億光年の孤独に

僕は思はずくしゃみをした

 

思考と現実の差を楽しむもの 思考には宇宙が広がっている

外から見るとボーッとしているだけ くしゃみぐらいにしかなっていない

2026年8月1日土曜日

あの本、読みました?原田マハ

暑き日よ時の記憶が蘇り

塞がれて生まれくる夏の空間

足元を垂直に掘り夏に合う

夏の空どの絵もみんな堀文子

縦列の旋律放つ夏の夜

 

■あの本、読みました?

世界を旅した気分に浸れる本~NY・パリ・スイス~原田マハ

原田マハ 鈴木保奈美 山本倖千恵

 

「本日は、お日柄もよく」原田マハ著/徳間文庫

OL二ノ宮こと葉が、伝説のスピーチライター

久遠久美の祝辞に感動し弟子入りする物語。

 

旅行中の保奈美にオススメした本 ボストンからニューヨーク

The Modern モダン」原田マハ著/文春文庫

本を読んで旅に深みが 保奈美

森川麻美の出勤を通して描かれたニューヨークの朝の風景

 

鈴木保奈美の新作エッセイ「中途半端な旅人は語る」

 

マハはニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art、通称MoMA)に勤務 

森美術館からの派遣で半年間だった

 

The Modern モダン」の一文 原田マハ著/文春文庫

地下鉄Eラインに乗り、「五番街/五十三丁目」駅で降りる。

地上に出てすぐ目の前にあるドーナツスタンドで、

紙カップ入りの珈琲とドーナツを買う。

ドーナツをかじりながら、コーヒーで流し込んで、MoMAへと向かう。

スタッフ用入り口は六番街寄りにあるのだが、そこに到着するまでに

ドーナツとコーヒーの朝食は終わらせる。

スタッフ用入り口に設置してある大きなゴミ箱に、空になった紙カップを

投げこんで、エレベーターに乗り込む。

それが麻美のニューヨークでの朝食の「儀式」だった。

ニューヨーカーは、それが特権だとばかりに、朝、マンハッタンの

ストリートを早足で歩きながら紙カップのコーヒーを飲むのだ。

麻美も、意気揚々と真似をした。ドーナツスタンドやデリで売られている

コーヒーは、いったい誰がデザインしたものなのか、

皆同じ紙カップに入っていた。青地に白いギリシャの唐草模様と、

茶色の文字―We Are Happy To  Serve You.

喜んであなたにサービスいたします、と書かれたコーヒーカップで、

ミルクと砂糖のたっぷり入ったコーヒーを飲むのがニューヨーカーの

証しのように思われた。

ニューヨーク以外では見たことのない、決してうまいデザインとは

いえないこの紙カップが、麻美は好きだった。

最初は捨てるのに抵抗を感じたくらい、気に入っていた。

 

ニューヨークの朝のコーヒー

描写はリアル それをカッコ好いと思わせるニューヨーカー

 

「楽園のカンヴァス」の一文 原田マハ著/新潮文庫

車はやがてバーゼル市内に入った。バーゼルの市街地では

歴史的建造物が維持され、古いものは十四世紀から

そこにあるままだという。堅牢な石造りの建物の数々は、

町の風情を一層豊かなものにしている。

(中略)

夏の夕刻、バーゼル市街はまだ十分に明るい。徐々にオレンジ色が

増す空を映して、ライン川は滔々と流れている。

川岸にデッキチェアを出して、ワインを飲んで歓談する市民の

姿もちらほら見える。ティムと織絵を乗せたキャデラックが、

ライン川のほとりにたたずむ最高級ホテル「三人の王」の

正面入り口で停まった。ドアマンが後部座席のドアを開け、

ベルボーイがふたり、すっ飛んできた。入り口ではホテルの支配人、

ヨーゼフ・リヒャルがふたりを出迎えた。

(中略)

「夕食のご手配はいかがいたしましょう。当ホテルのレストランか、

あるいは市内のスイス料理店などのご予約も承りますが」

「私は何もいりません。今日はもう、休みたいので」

織絵が弱々しく笑って言った。

「私も…いや、私は、そうだな、橋の近く、ライン川沿いに魚料理の

店がありましたね。あそこで軽く食べようかな。

毎年、アートフェアの時期に立ち寄るんだ。

(中略)

「ああ『トロイメライ』ですね、あそこのフォレレ・ブラウは絶品ですよ。

お時間はいかがいたしましょう」「では八時に」

 

アートの街・バーゼル

最高級ホテルで破産宣告!?

絶品フォレレ・ブラウ

 

「ジヴェルニーの食卓」原田マハ著/集英社文庫

モネ・マティス・ドガ・セザンヌ。4人の印象派の巨匠たちの、

創作の秘密と人生を鮮やかに切り取った短編集。

ジヴェルニーに移り住み、青空の下で庭の風景を描き続けた

クロード・モネ。その傍には義理の娘、ブランシュがいた。

制作を続けた彼の眼には何が映っていたのか。

 

「ジヴェルニーの食卓」の一文 原田マハ著/集英社文庫

高さ五メートルほどの天井にはめこまれたガラスの窓からは

早春の淡い陽光が降り注ぎ、室内を白々と照らしている。

アトリエの壁三面には横三、四メートルもあるカンヴァスを

複数枚連ねて描かれた作品が二点、設置されていた。

いま、まさにモネが描き進めている「装飾壁画」、

睡蓮の池を描いた連作である。ひとつの作品は、真昼の池。

鏡のように青く澄み渡り、さかさまの白い雲を映して静まり返る水面。

ところどころにぽつぽつと浮かぶ水連は、空のただなかに花開き、

かすかに呼吸しているかのようだ。もうひとつは、二本のしだれ柳が

並ぶ池のほとり。ごくささやかな風が、長く伸びた柳の枝葉を

揺らして、いましも通り過ぎていくようだ。睡蓮の花々も、

微風を受けようと可憐な白い顔を上げている。

湿気を帯びたやわらかな空気と水のにおい。

漣の上でぴちぴちとはねる光。遠く草原を渡って、

たったいまこの池にたどりついた六月の風。

 

クロード・モネは父親? ファンからの反響 情景描写で意識している事

メモは書き留めない

 

アコヤ貝の外套膜と貝殻を丸く削って作った「核」を

アコヤ貝の体内に移植する作業

「全てが円くなるように」の一文 原田マハ著/幻冬舎
リタと私は海咲さんの肩越しに、その神秘的な作業をじっくりと見た。

作業台の上にあるスタンドにアコヤ貝が固定されている。

少し広げられた口に編針のようなスティックで慎重にピースを載せた

核を入れる。
(
中略)

核入れを完了した貝は湾に戻され、それから二年ほどかけて貝の内部で

真珠が作られる。―ということだった。

作業の様子は「移植手術」そのもので手先の勘も重要なのだろうとわかった。

(中略)

しかしながら海の中で育てられ、貝自体が自発的に真珠を作るのだから、

養殖ではあっても天然の真珠と科学的には変わりはない。

ここへ来るまでに、リタも私も関連書類やネットで調べて、

真珠の形成についてはひと通り頭に入れてきたつもりだったが、

実際に養殖の現場に立ち会ってみると、何か神聖な場面を

目撃したような心持ちになった。

パソコンもスマホもいかなる電子機器もこの場所にはなかった。

青い海と小高い丘と清々しい青空を背景に、素朴な学び舎の

ごとき建屋で、職人たちがひとつひとつていねいに貝を取り上げ、

黙々と手を動かしている。自然の営みと人の手仕事がひとつになって、

あの美しい真珠をこの世にもたらしているのだ。

 

神秘の作業 真珠養殖

作中に海女さんが登場

 

「全てが円くなるように」の一文 原田マハ著/幻冬舎

海の申し子のごとき女性たちと、思いがけずににぎやかな女子会となった。

波留子さんはアワビや岩牡蠣、市場で予約して買ってきたという

伊勢海老までをクーラーボックスから取り出して、私たちの歓声を誘った。

渚さんと海咲さんがそちらを炭火コンロで焼いて、忙しくビールを注いだり

日本酒を開栓したり、精一杯私たちをもてなしてくれた。

パチパチはぜる炭火の上で、アワビと牡蠣がジュージューと音を立てる。

香ばしい磯の香りが部屋いっぱいに漂う。

リタは牡蠣の殻に溜まった焼き汁を吸い上げて、「ほんっとに、最高!」

と何度も口にした。「わたしはなあ、アワビでも牡蠣でもアコヤ貝でも、

貝がかわゆうてかわゆうて。貝はなあ、海からの贈りものなんよ」

ほんのり酔いの回った目をして、波留子さんが言った。

「貝は、私らの人生の一部なんや」「もう。お母さん、大げさやで」

渚さんが笑った。それから、言い添えた。

「人生の一部とちゃうやん。人生の全部やに」

 

タイトルに込めた思い

 

原作・脚本・監督 映画を作った

「無用の人」

50歳の美術館学芸員・聡美の物語。

亡き父から誕生日に届いた荷物をきっかけに父の晩年の姿や

自身への深い愛情を知る。

 

「キネマの神様」原田マハ著/文春文庫

お蔵入りになっていた脚本の発見をきっかけに、ギャンブル漬けの

ダメ親父が映画への情熱を取り戻し、家族と共に再生していく物語。

 

映画の原体験は「男はつらいよ」

文章と映像の違い 原田マハさんは展開型