2026年10月9日金曜日

わたしの日々が、言葉になるまで 最終回

 

青き目の庭師の腕の秋日和

半纏(はんてん)の襟を正して秋の庭

露地分ける橋を渡りて蹲踞(つくばい)へ

柔らかな秋の陽射しや障子越し

赤と黒枝絡ませた秋の松

 

■わたしの日々が、言葉になるまで 最終回 

島本理生 清原果耶 阿部真央 劇団ひとり 桐山照史

 

●恋はときめき 愛はぬくもり それって本当?

清原 憧れの作家に対面!清原は島本のどこが好き?

「誰の人生に対しても否定的じゃない 許される感覚」

 

愛にまつわる名言

「恋」とはさように、自己本位なものです。

(中略)

見返りを求めず、相手本意なのが「愛」です。

美輪明宏「美輪明宏のごきげんレッスン」

 

愛は忍耐を伴う 向き合い続ける意思がないと愛って大変 恋は執着 

自分自身に不足感があると恋になりやすい ❝恋は埋めるもの❞

自分の欠けを埋めるために相手を搾取してしまう 阿部真央

 

手に入らないから自分の想像力で相手の知らない部分を埋める

恋は想像 愛は生身 島本理生 

 

あぁ こんなのダメだって分かってはいるけど 

心が「貴方しかいないんだ」と叫んでうるさいよ

あぁ 恋はいつだって甘い鎖だね

息も出来ぬほど縛られてるの まだこの手だけは離さないで

阿部真央「今夜は眠るまで」

 

島本理生が描く切ない❝愛❞の定義

原点に立ち戻って書いた「ノスタルジア」

「自分にとっての愛とは、指先が触れたと思った瞬間にはもう離れていて」

「はい」

「なにか、一瞬の点滅のような、常に失われていく、ノスタルジア

みたいなものかもしれません」

島本理生「ノスタルジア」

 

幻想や想像力に助けてもらうのが❝恋❞

現実を見る勇気を持つのが❝愛❞ 島本理生

 

思いやるからこそ手放す強さ 愛とは手放すもの 

まだそばにいたい さみしい 子育てで知った愛 愛は離れていく強さ 

自分の中で完結させようとする強さ 阿部真央

 

どんな人でもエキスパートになれないのが恋愛 劇団ひとり

 

恋愛作品を書く人は恋多き人? 恋をしている人の話を聞き続けても書ける

 

●本音が言えない時うまい返しの言葉

本音が言えないときのうまい返し シチュエーション

 

●「謝罪の名文」から気持ちが伝わる言葉を考える!

今月お返しできなくなりました。大変悲しくなりましたが、

どうぞかんべんして下さい。と思つてゐます。

坂口安吾から隠岐和一への手紙

 

君はとるようにとってくれればいい。君は君らしくこの事実を

とってくれるだろう。

自分の方は勿論君を尊敬し君に対して友情を失いはしない。

武者小路実篤「友情」

 

謝らなくていいので繰り返さないでほしい 島本理生

 

大人気マンガで描かれたライバルからの謝罪

思い通りに行く事なんか一つもなかった

てめェの強さと自分の弱さを理解してく日々だった

言ってどうにかなるもんじゃねェけど

本音だ 出久(いずく) 今までごめん

堀越耕平「僕のヒーローアカデミア」

 

文豪が送った謝罪の手紙

泣きごとに似て、けふの太宰はあまり立派でもございませんが、

何卒、叱らないで下さい。この二、三日、とても苦しいのです。

太宰から井伏への手紙

 

貴兄から借りたお金返さねばならないと思つて要心してゐたのですが、

ゆうべ原稿料を受取ると友達と会ひみんな呑んでしまひ、

今月お返しできなくなりました。大変悲しくなりましたが

どうぞかんべんして下さい。小生こんど競馬をやろうかと

思つてゐますよ。近況御知らせまで。

坂口安吾から隠岐和一への手紙

 

謝罪の評価基準

大きくわけるとこの様に

 心から申しわけない度

 なんでオレがあやまるんだよ ふざけるな度

 形式的に頭下げとくか度

 いやだけど会社の為だ度

 あやまってこの場をのがれたい度

「こち亀」

 

謝罪は保身を孕む 劇団ひとり

土下座は効果があるのか?

やってみたら大したことではなかった 

次から毎回約束を守る方が100倍大変 島本理生

 

▲大好きで楽しみな番組だったのに終わっちゃうとか…。

残念でなりません。

2026年10月8日木曜日

あの本、読みました? 中野信子

秋の水落ちて溜まりて流れ来る

色変える露地の飛び石秋の雨

飛濤亭(ひとうてい)貴人口(きにんぐち)より秋の風

貴人口屈むことなく秋日和

肩寄せて土足で茶の湯秋日和

 

■あの本、読みました?今こそ読むべし【脳に良い本】脳科学者・中野信子が熱弁披露

中野信子 鈴木保奈美、山本倖千恵

 

脳に良い本って?

TOM(Theory of Mind) 相手の考え・感情などを推測し理解する能力

脳に悪影響をもたらす本の読み方

「空気」をテーマに中野信子おすすめ本を伺う

テーマは「空気」

・空気を読むのに疲れたら読む本

「翻訳できない世界の言葉」の一文

エラ・フランシス・サンダース著前田まゆみ訳/創元社

PALEGG(ポーレック):パンののせて食べるもの、なんでも全部。

この言葉は、炭水化物の万能選手、つまり「パン」にのせたりはさんだりして

食べるものをなんでもさします。

そう考えると、ノルウェー語は(サンドイッチに関しては)

かなり曖昧で、同時に寛大だと思います。

チーズ、肉、ピーナッツ、バター、レタス、

なんでも、みんなpaleggなのですから。

 

・時代の空気を変えた本

「窓際のトットちゃん 新組版」黒柳徹子著/講談社文庫

例えば、朝礼で行進をするときに、頭の毛を二本のおさげにして、

それぞれの尻っぽを、後ろから、両方の、わきの下から出し、

腕で、はさんで、見せびらかして歩いてみたり、

(中略)

また、ある日は、誰かから、牛肉は大きな肉の固まりが、

鈎(かぎ)からぶら下がってると聞くと、朝から一番たかい鉄棒に

片手だけで、ぶら下がって、いつまでも、そのままでいる。

(中略)

でも校長先生は、そういう事件が起きたときに、

絶対に、パパやママを呼び出すことはなかった。

(中略)

トットちゃんに機会あるごとに、

「君は本当は、いい子なんだよ」といった。

 

・「最高に空気をよまない主人公」がいる本

森博嗣の連作ミステリー「Vシリーズ」探偵役・瀬在丸紅子

刑事から殺人事件の進捗を聞くため皆が集まったシーンで…

「それでは、まず、乾杯いたしましょう」

紅子はグラスにビールを注ぎ入れてから言う。

「皆さん、よろしくて?誰のためでもなく、なんのためでもなく、

誰にも願わず、何も祈らず、乾杯!」

全員がグラスを持ち上げ、口に運ぶ。

 

●本好きさんと本屋さんぽ

「月の影 影の海〔上〕十二国記」小野不由美著/新潮文庫

 

「幸福人生まっしぐら」宇野千代著/大和文庫

宇野千代は執着を手放す「メタ認知」の天才である!中野信子

 

「100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集」福井県立図書館著・編/講談社

図書館利用者さんの「覚え違いタイトル」の実例を集めた作品

「衝撃の巨人」「下町のロボット」「とんでもなくクリスタル」

「昔からあるハムスターみたいな本」「なんかが強く吹きすぎてる本」

 

「神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡」

ジュリアン・ジェインズ著 柴田裕之訳/紀伊国屋書店

単文:主語と述語のペアが1つの文

複文:1つの単文の中に単文が組み込まれている文

 

「黒猫の三角」森博嗣著/講談社文庫

一年に一度決まったルールのもとで殺人事件が発生 Vシリーズ1作目の作品

本のタイトルは数学用語「クロネッカーのデルタ」をもじったもの

 

「万葉集 全訳注原文付(一)」中西進著/講談社文庫

万葉研究の第一人者による全訳

 

「らせん」鈴木光司著/角川ホラー文庫

 

理工書・コンピュータ書コーナー

鈴木保奈美選

「世界史は数学でできている」横山明日希著/SBクリエイティブ

 

中野信子選

「金融数学入門」冨島佑允著/講談社

金融に使われる数学をわかりやすく紹介

 

中野信子女史 今年5月に新刊「新版 空気を読む脳」を出版

「空気」の正体に迫る!

空気とは集団の意思を個人の意思よりも優先させられる圧力

お互いが空気を読むとポテンヒットとなる

 

「新版 空気を読む脳」の一文 中野信子著/講談社

私たちの社会では「空気を読めないやつを攻撃してもよい」という

論理が罷り通ることがあります。

(中略)

「空気」が決定をくだすとき、そこには個人の責任が存在が存在しません。

「空気がそうさせた」という状態です。しかし、空気を読まない者が

現れると、周囲は「自分で判断し、責任をとらなければならない状況」

に引きずり出されます。

この不快感と恐怖が、逸脱者への攻撃(制裁)というかたちに変換されます。

「空気を読まないやつ=ルールを破ったやつ」

というレッテルが貼られると、攻撃する側は「自分たちは秩序を守っている」

という正義感を得ます。ここにおいて、

いじめや排斥は「正当な防衛」へとすり替わります。

空気に支配される日本

脳内のある物質が深く関わる

セロトニントランスポーター:セロトニンを回収・リサイクルする

多い⇨楽観的 少ない⇨悲観的 と夏特徴がある

セロトニントランスポーターが日本人は極めて少ない

 

セロトニン:別名「幸せホルモン」とも呼ばれ 不安やイライラを押さえ

精神の安定や安心感の源となる脳内の物質

 

空気は幻想 幻想に対しておびえている状態

 

私感

「空気」を読めるのは適応している証拠

中野さんと保奈美さんは適応しておられないのですね。

保奈美さんは若い頃、空気を読んでいたと思っていたとか…。

歳を重ね新しい戦略で人間関係を構築しておられるとか…。

 

中野さんは「空気を読めない」と感じて生きてきたらしい。

自分の脳の事が知りたくて脳科学者になったとか…。

 

空気を読むことを強いられる日本 空気とどう向き合う?

「空気」を❝読む❞のではなく❝作る❞

「空気」を作るために❝ぬるま湯❞を差す こういう人が日本では勝ち組

中野さんは⇧の行為に夢中だとか…。

確かに中野さんは聞こえない振りとか、聞いてない振りをよくされていますよね。

 

「空気」を読むのに疲れたあなたへ

同調圧力に負けそうな人へひと言「負けるが勝ち」中野さん

 

2026年10月7日水曜日

真相の館 国防

糸撚鯛(いとよりだい)の水揚げ始む午前2時

津田港を糸撚鯛が踊り出す

疎ましき親の視線や草の花

従兄から留守に届いた今年米

新米へ舌鼓打つ夕餉かな

 

■真相の館 国防の真相

2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻は

5年以上続いている

ウクライナは自国の領土と主権を守るために抵抗

ロシアは西側諸国の脅威から国を守るためとしているが

多くの国が侵略だと非難している

 

世界にはおよそ200の国がありますがそのほとんどが国を守るために軍隊を保有

 

奥山真司

どの国も世界平和が欲しい 問題は価値感が違う 

世界平和のイメージがみんな違う 現実には侵略が起きている

やっぱり軍事力が必要 

 

民主主義:国民主権の考えのもと国民が選挙などを通じて

政治に参加して国の意思決定をする

民主主義をキーワードに国防・自衛について見ていく

 

国防と民主主義のつながりが強い国 スイス 永世中立国

ドイツ・イタリア・フランスに囲まれている

200年に渡って平和を維持 国防に力を入れている

スイス軍:兵士 約15万人(予備役含む) 徴兵制(女性は志願制)

国土の7割の山岳地形をいかして国を守っている

ヨーロッパの中で中立を保つのは覚悟がいる

他国の戦争に巻き込まれず自分たちの国をしっかり守る

自分たちで全てやらなくてはいけない 実力を訓練で見せつけている

その制度を支えているのが徴兵制度

スイスの徴兵制度は

対象:18歳以上の男性 4カ月の基礎訓練・10年間試練を継続

貸与された銃は各家庭で保管 

男性は日常生活を続けながら兵士として国を守る

市民生活の延長線上に軍事がある 社会と軍の垣根がない

国民投票で直接民主制をとっていて軍隊に関することも国民投票で決めている

1989年 軍隊を廃止するかどうか 結果64%が反対 36%が賛成

よって軍隊の存続が決定しました

2013年 徴兵制を廃止するかどうか 結果73%が反対 27%が賛成

軍隊の装備も国民投票で決める 1993年戦闘機F/A-18を導入するかどうか

⇨国民投票により導入が決まった

 

国防と民主主義のつながりがどのように生まれたのか

自分たちの国は自分たちで守る

フランス革命 1789年 それまで政治は王や貴族が行っていたが

⇨市民が行うようになった 軍隊の持ち主が変わった

軍隊が王や貴族のもの⇨自分たち市民のものになった

戦争をするかどうか 話し合いをしないといけない

戦争や軍事と民主主義の関係は深い 戦争のあり方が変化

戦争に動員される人数が劇的に変わる 

 

国民総動員令 1793年 発令 18歳~25歳の未婚男性が軍隊に動員された

多くの犠牲者 社会全体を巻き込む戦争になっていく 戦争の大規模化

 

アメリカ軍と民主主義の関係 

アメリカ軍 兵士約210万人(予備兵・州兵含む/志願制)

アメリカ軍の苦い経験 ベトナム戦争1965~1975年

❝共産主義勢力の拡大を防ぎ 自由主義を守るため❞

ジャングルの枯葉剤を散布 ナパーム弾による空爆

ベトナム人の死者 300万人以上

アメリカ兵の死者も5万人以上

実態が報道されると市民から疑問の声が巻き起こり始めた

❝自由の守り抜く戦いなのか?❞国民の支持を失いベトナムから撤退

❝アメリカの価値感じゃない❞❝単なる虐殺じゃないか❞

戦い方を変化させていった 精密誘導兵器に注力し始めた

人道的に戦わなくてはならない 戦いを❝なるべくクリーン❞に

社会の価値感が軍事行動に影響を及ぼす 

 

日本の事情

日本には自衛隊がある その自衛隊について

日本政府の見解 自衛隊:自衛のための必要最小限の実力組織

自衛隊:自衛官約30万人(予備軍含む/志願制)

専守防衛が基本 自衛隊の誕生した経緯

太平洋戦争終結 1945年8月15日 アメリカは軍隊を解体

日本国憲法 公布 1946年11月3日 国民主権が実現

戦争の放棄 戦力の不保持 を憲法に定めた

朝鮮戦争 勃発 1950年 アメリカ軍が朝鮮半島へ

警察予備隊 設立 1950年 保安隊に再編 1952年

自衛隊発足 1954年 

日本の民主化は戦後に始まった 

軍事・戦争と民主主義の関係を自分ごととして考える時間がなかった

自分たちだけで決められる状況でもなかった

自衛隊は❝話し合い❞の上にある

 

国防についての意見

・防衛力を強化すべき

・外交に力を入れるべき

・武力に頼るべきではない 等

 

話し合いを行う上で何が大切か

❝民主主義や社会❞と❝軍事❞を結びつけて考える経験が薄い

❝私たちがどうする❞という話をしてこなかった

みんなで決めるしかない 誰かが命令して決める事じゃない

ひとつの正解があるわけがない 意見の対立があるのは正常なこと

分断を起こして対話をやめてはいけない

民主主義 みんなで行う歴史的な決断を最初から最後まで自分ごとにする 

2026年10月6日火曜日

100分de名著 ハクスリー❝素晴らしい新世界❞③

秋の暮回避可能か?水破産

秋の原水に生かされ破壊され

釣瓶落し(つるべおとし)躙口と貴人口(きにんぐち)

秋陽射し敷いた白砂反射せり

秋澄むや暮らしの中の滝の音

 

■100分de名著 ハクスリー❝素晴らしい新世界❞③言葉が共有できなくなる時

堤未果 伊集院光 阿部みちこ

バーナード レーニナ ジョン リンダ

 

ジョンとレーニナが見に行った映画は触感映画 Feelie

「きみはああいうものは観るべきじゃないと思う」(略)

「ああいうものって?」

「ああいうおぞましい映画だよ」

「おぞましい?」レーニナは心底驚いた。

「だって素敵だったじゃない」

「あれは下等なものだ」ジョンは憤慨した。「下劣なものだ」

「どういう意味かわからない」

「この質問に答えて。あなたは本当にわたしが好きなの、どうなの」

ジョンはちょっと黙りこんだ。それからごく低い声で答えた。

「きみを世界の誰よりも愛している」

「じゃ、なぜ そう言ってくれなかったのよ」

「“写真の誘惑も、私の純潔な胸を溶かして情欲の渦と化し、

婚礼の日の喜びを鈍らせるまねはさせません”。絶対に!絶対に!」と

ジョンは決意を叫びあげた。

「もう、お馬鹿さん!」とレーニナは言った。

「あなたが欲しくてたまらなかったのよ。(略)」

ジョンはレーニナの両手首をつかみ、自分の肩から引きはがした。

それから腕をぐんと伸ばしてレーニナを乱暴に突き離した。

「いったいなんなの」レーニナの声は悲鳴に近かった。

その悲鳴で目が醒めたというように、

ジョンはレーニナの両肩を掴んで揺さぶった。

「淫売め!」と叫んだ。「淫売め!“恥知らずの淫売め!”」

「ああ、やめて。やめて」

ジョンが力いっぱい突き放したので、レーニナはよろめいて倒れた。

「行け」ジョンは威嚇するようにレーニナを見おろした。

「僕の目の前から消えろ。さもないと、殺す」

「すばらしい新世界」黒原敏行訳

 

“恥知らずの淫売め!” シェイクスピアの「オセロー」

妻デジデモーナの浮気を疑い 主人公オセローが言う言葉

実は妻は無実 オセローの部下の陰謀 思い込みで妻を罵倒する台詞を

ジョンに言わせている レーニナが暮らす社会には貞操という概念がない

「すぐに性愛」が推奨 共通の言葉がないことは「対話」がなくなる

言葉が共有されないときに起こること 「会話」はしているが「対話」は

していない 正しさをぶつけあっているだけ 

 

バーナード ヘルムホルツ ジョン リンダ

 

ヘルムホルツ「ほら、俺はフレーズを創り出すのが得意だろう-

画鋲の上に座ったみたいに、聞いたとたん飛びあがりそうになる言葉、

睡眠教育で教えこまれる文句みたいに、当たり前のことなのに

斬新で刺激的に思える言葉を創るのがさ。

でも、それだけじゃ充分じゃない気がするんだよ。(略)」

「何か重みがない。もっと重みがあることを言える気がするんだ。

重みがあって、張りつめていて、激しいこと。言葉というものは、

うまく使えばX線のようになれるーなんでも透かして見ることができる。

でも、共同体合唱や嗅覚器官研究の最新成果について読者の心を透かし

見るような記事を書いて、それが何になる。空疎なことについて

いいものが書けるんだろうか。」

 

ジョンと意気投合 

 

「あの大昔の作者シェイクスピアはなぜあんな見事なプロパガンダが書けたのか。

きっともう堪らないようないかれた状況をたくさん経験したからだろうな。

やっぱり傷ついたり、混乱したりということは必要なんだよ。

そうでなきゃ、本当に優れた、X線みたいに本質を突き通すフレーズは

思いつけるものじゃない。でもさ、お父様、お母様というのがなあ!」

ヘルムホルツは首を振った。

「もうその言葉だけで笑っちゃうものな。それに若い男と女がくっつく、

くっつかないで大騒ぎするやつなんかいるわけないんだし」

「やっぱりあれはだめだな。俺たちは別の種類の狂気と暴力を題材にしないと。

でも、それはどういうものだろう。何かあるだろうどこで見つかるだろう」

しばらく黙っていたがやがて首を振った。

「わからない。俺にはわからないよ」

 

言葉のプロに芽生える疑問

エドワード・バーネイズ:広報・宣伝活動の専門家 精神分析医フロイトのおい

著書「プロパガンダ」(1928)

 

レーニナとジョンは完全に分断

ヘルムホルトとジョンは半分だけ共感 半分は分かり合えない

ヘルムホルツとバーナードが感じているもの 孤独

二人の孤独は質が違う 

ヘルムホルツの場合は詩を書く

自分の孤独な感情をヘルムホルツは詩を書いた

自分が教える学生の教材に紛れ込ませた

人間には「問い」が芽生える 社会への「問い」はタブー

問いを持つことは管理する側から危険分子

自主規制している

 

死を悲しまない社会

リンダは現実逃避で麻薬ソーマを濫用

終末医療病院 

 

悲鳴を聞きつけて看護師長が救助にやってきた。

「いったい何をしてるんです」激しい語気で詰問する。

「子供を殴るなんて承知しませんよ」

「こいつらをベッドに近づけるな」ジョンの声は憤慨のために震えていた。

「この汚いガキどもはここで何してるんだ。まったくひどいじゃないか!」

「ひどいですって?どういう意味ですか。死に慣れる条件づけ教育を

受けているんですよ。いいですか」喧嘩腰の口調で通告する。

「これ以上教育の邪魔をするなら、警備員さんたちに放り出して

もらいますからね」

 

「あの人死んだの?」「死んだの?」

子どもたちは死が怖くなくなる条件づけ教育を受ける

死を悲しまない社会はとりかえのきかない人がいなくなる社会

私たちが思い込んでることって どこまでが私たちが感じたもので

どこまでが刷り込まれたものか これがわかりにくくなっている

問いを続けること

2026年10月5日月曜日

兼題「霧」&テーマ「食卓」

恒例の木箱の梨が届きけり

天候不順今年の秋果味如何に

父の香が脳裏をよぎる秋の宵

亡き父がいつも残した唐辛子

月暈やぬるめの燗を時間かけ

 

■NHK俳句 兼題「霧」

選者:堀田季何 レギュラー:庄司浩平 司会:柴田英嗣

年間テーマ「もっと俳句のコリをほぐします」

 

・コリのお悩み 見慣れない句がある 

読み方のコツで見慣れない句がわかってくる

詩的飛躍

①   ポストまで歩けば二分走れば春   鎌倉佐弓

詩心を感じられる言葉を入れて当たり前から飛躍する

直覚造型

②   銀行員等朝より螢光(けいこう)す烏賊のごとく   金子兜太

烏賊:夏の季語 螢烏賊:春の季語 作者も元銀行員だった 昭和の情景

常識を超えて「ハッ」と思い至ったものを句にする

象徴

③   冬木の枝しだいに細し終(つい)に無し   正木浩一

自分の残り少ない命を思って象徴的に詠んだ

「象徴」抽象的なものを具体的なものに置き換える

ずらし

④   国家より透明であり虫の闇   高野ムツオ

虫の闇:秋の季語

「透明」「国家」 「透明」「虫の闇」を合わせている

「虫の闇」の透明は秋の澄んだ心地 闇だが透明感がかなりある

「透明」の意味をずらして合わせた

1つの言葉を使って異なる世界を重ね合わせることで

読者の中に新しい視点を生む

掛詞

⑤   しをるるは何かあんずの花の色   貞徳

あんずには杏と案ずるの意味を重ね持たせた掛詞(かけことば)である

 

ツボポイント

パターンを知ってどんどん読もう

 

・実践 「詩的飛躍」に挑戦!

ポストまで歩けば二分走れば春   鎌倉佐弓

サイネリア待つといふこときらきらす   鎌倉佐弓

 

葡萄食べ紫色に染まる指   柴田英嗣 ▼

葡萄食べ異国の風に染まる指

葡萄食べチュニスに染まる指  堀田季何 添削

 

秋の朝仕事終わって何しよう   庄司浩平

秋の朝仕事終わればビッグバン

まとめ:幅広く読み 幅広く詠む

 

・今週の兼題「霧」特選六句発表

霞:春の季語 霧:秋の季語

凍結の卵子の匂い霧時雨   猪俣ま悠(まゆ)

霧深く濃くパンゲアを縫合す   翡翠(かわせみ)工房

霧ぶすま蕎麦汁(そばつゆ)黒き嫁ぎ先   堀雄貴(ゆたか)

(霧ぶさめ:秋の季語)

合図待つ兵の嚏(くさめ)や霧の原   刈田陽子

(嚏:くしゃみの事)

霧霧霧震源霧霧霧霧霧   夏風かをる

火のやうな放馬は霧へそれつきり   播磨陽子

 

柴田 庄司の歩み

柴田英嗣 常識は捨てちゃおう

庄司浩平 食わず嫌いは止めよう

 

次回のNHK俳句 兼題「秋の暮」

選者:星野高士 レギュラー 松井玲奈 司会 柴田英嗣

 

■NHK短歌 テーマ「食卓」

選者:横山未来子 レギュラー:菊池銀河、横田真子 司会:ヒコロヒー

年間テーマ「三十一音、次の扉へ」

 

今回のテーマ「結句のおさめ方」

枇杷の花みればふれたくなる指を揃へてゐたり手袋の内に

横山未来子「とく来りませ」

倒置法:言葉の順序を普通とは逆にする表現方法

倒置でおさめた結句には最後の言葉を印象づけるような効果がある

 

結晶に指すべらせてふるさとに雨を降らせる気象予報士

木下龍也「つむじ風、ここにあります」

体言止め:名詞などで結句をおさめる

体言止めには結句の言葉にクローズアップするような効果がある

 

私の胸を温めてゐた光去り六畳間には夕暮れがくる

澤村斉美

結句が動詞の終止形

ほの暗くなってきた感じや時間の推移が伝わる

夕暮れを擬人化した感じも伝わって動きが出る

私の胸を温めてゐた光去り六畳間へと来たる夕暮れ

結句のおさめかたによって一首全体のイメージが変わる

結句を考えることは一首にとって大事

 

・入選六首 テーマ「食卓」

一席 私 二十年吾(わ)とともにあり汝(な)が入れし食卓塩の中の米粒

三上昇

どこまでも小さく切って茹でるうどんきみが覚えていてもいなくても

小松百合華

手巻き寿司してるときだけちゃんとした家族みたいだったねわたしたち

富尾大地

私 あさかげがごはんの粒を光らせる今朝もいのちがどこかで消える

村神秀夫(あさかげ:あさの光のこと)

鳥のやうに落葉のやうに時は過ぎあなたのゐない秋の食卓

川口泰英

この魚なんて名だっけ猫に聞く妻は答える猫に向かって

可笑式(おかしき)

 

・歌人への道 「食卓」をテーマに詠む!

つつき合う崩れぬように大切に君と一つのチョコレートパフェ

菊池銀河 添削

崩れないよう大切につつき合う君と一つのチョコレートパフェ

上の句の語順を入れ替えて流れを自然とした

崩れないようで句またがりを使うのも一案

 

珍しく腕を振るったサプライズ後片付けをしてるのは母

横田真子 添削

サプライズでわれの作ったオムライス後片付けをしてるのは母

「腕を振るう」が慣用句なので自分で作った言葉で表現したほうがよい

珍しくとサプライズが似た言葉 具体的な料理名が入るとイメージが膨らむ

 

・名歌鑑賞

秋彼岸すぎて今日ふる寒き雨直(すぐ)なる雨は芝生に沈む

佐藤佐太郎「地表」

雨が沈むという表現が特徴的

動詞の終止形から雨がまっすぐに芝生に落ちている様子が見えてくる

 

次回のNHK短歌のテーマは「読書」選者:千葉聡 司会:ヒコロヒー

出演:佐藤多佳子(作家)

 

・いちご摘み 一語つむ

背泳の腕に重たくみづ分けて触れ得ぬものを未来と呼べり

上川涼子(好きな歌人 大手拓次)

⇩

君がため春の野に出でて若菜つむ我が衣手に雪は降りつつ

新上(しんじょう)達也(好きな歌人 平岡直子)

 

ぬいぐるみはきみとちぎれて駅前のたくさんの靴たちとたたかう

いなくなったぬいぐるみもあなたの知らないどこかで

自分なりに戦って生きていくんだというメッセージに置き換えた

 

この体はすごいあなたのいる駅に三時間かければ行けること

「あなたを待っていない公園」左右社より

 

私が一つの作品をつくる時は地図を作っているような感覚

歌の読み方は一通りではない いろんな読み筋を与えたりするのも魅力