秋の朝(山口)馬木也に心盗まれた
秋の空どこをとっても男前
手の甲を屯(たむろ)する汗残暑かな
秋の雨見えぬ聞こえぬ老いの日々
秋の夜や本能抱え老いを生く
■NHK俳句 兼題「箸」
選者:小川軽舟 ゲスト:小林聡美 司会:柴田英嗣
年間テーマ「暮らしを思い出す」
小林聡美の語る俳句の魅力とは
日常ちょっとした発見や感動を短い言葉で表現
そのときの気持ちが蘇る 景色が見える 不思議な装置
ぴったりの言葉をどうやって見つけるか いつも苦労する
響き合います 小川
「箸」は日常生活で一番欠かせない道具 箸を使う場面を描くことで
食べ物に対する好み 食生活が現れる 家族の構成も見えてくる
生きている喜び 人生も見えてくる 小川
体に良いものをシンプルに食べる 美味しいものは外で食べる 小林
・兼題「箸」名句鑑賞
秋雨や夕餉(げ)の箸の手くらがり 永井荷風
手くらがり:手が影になって暗くなる
わびしいですよね
永井荷風は2度結婚してすぐ離婚している あとはずっと独身で過ごした
しみじみとした人生観が表れている句
秋雨が寂しい雰囲気 小林 季語が良く効いている 小川
蛍とび疑ひぶかき親の箸 飯島晴子
親の知らないところで良くないことをしていると疑っている
遠回しに問い詰めている 親の箸の動きが疑い深い感じで疎(うと)ましい
箸の動きを疑い深いと捉える 凄いですね 小林
季語の「蛍」はどう効いている?
田舎の旧家の感じがする 人目を気にしたり躾が厳しい
親と子の心のすれ違いみたいな不安感
死ぬときは箸置くやうに草の花 小川軽舟
死にゆくときの理想の形 小林
「ごちそうさま」と箸を置くような感じで人生に感謝して死ぬ
そういう死に方ができたらいい 草の花:秋の季語
それぞれの草が花を咲かせるようにそれぞれの人生がある
人生を「ごちそうさま」と終えられたらいい 小川
満腹じゃない感じがいい 小林
死ぬ間際になって「ごちそうさま」と言うように死にたいと思うのでは遅い
真面目に人生を生きていないとそう死ねない 私の生き方を示している句 小川
・暮らしの中に俳句のタネを見つけよう!
江戸時代 金魚はたらいで飼って上から見ていた
上から見るのは懐かしい感じ 陰影が印象的
灯(ひ)を寄せて金魚泳がす盥(たらい)かな 小川軽舟
俳句を作ろうとしてうまくいかないのが読者も見たことがない
珍しいものを何とか詠もうとして 説明しようとして説明できなくて苦労する
珍しいものは詠めない と思った方がよい
読者がイメージできることを詠んであげる 読者と共有できるイメージを
描くことで俳句は成り立つ
・特選三席 兼題「箸」
一席 卵溶く菜箸軽し休暇明 高良(こうら)千里
二席 蜩(ひぐらし)や箸置いて聞く子の話 太田雅人(まさひと)
三席 盆開けて夕餉しづかや箸二膳 鈴木蛍之(ほとゆき)
・特選句 兼題「箸」
新蕎麦やほのかに香る杉の箸 工藤悠久
踊唄(おどりうた)とほく聞きつつ箸洗ふ 大岩摩利
夫婦(めおと)箸買ふや九月の矯正展 星野芳美
割り箸が亀虫(かめむし)掴むまた逃げる 高橋公子
箸を手に電卓叩く夜食かな 真野充治(みつはる)
ひとりひとりの箸に新米輝けり 中西民子
・はみだせ!教室俳句
埼玉県 鴻巣市立 鴻巣北小学校 深谷健(ふかやけん)先生
喧嘩してみんなイライラ夏の朝 小五
ソーダ水二人の秘密の放課後 クラスの子のお姉さん
ポイント 日記は「十二音の発見」の宝庫
・俳優 小林聡美の一句
円卓に箸の喜ぶ秋の菜 小林聡美
箸の賑やかな動きが出てくるところがとても良い
「秋の菜」は言わなくてもいい 箸が喜んでいれば料理は見えるので
「菜」はなくてもいい 読者に想像させるように作るといい
添削⇩
円卓に箸の喜ぶ秋の宵
円卓が照らされていることが想像できる 料理の彩りもきれいに見えてくる
■NHK短歌 テーマ「選」
選者:大辻󠄀隆弘 ゲスト:村治佳織 司会:尾崎世界観
年間テーマ「伝統的なことばを生かして」
村治佳織 心に残るフレーズ 明治神宮にて掲示されていた
人めにはみえぬものからかがやくはこころの底の光なりけり
短歌は人生の伴侶になり得る 大辻󠄀
今月のポイント
「動詞~魅惑の文語動詞たち~」
きみは野の鳥ならねども足音のしづけき靴を選(え)りて会ひにゆく
小(お)原奈美「声影記(せいえいき)」
野鳥はすごく人の足音を気にする 繊細な心を持っているのが野鳥
君は野鳥ではないが野鳥と同じような繊細な心を持っている
だから君に会いに行く時には足音が静かな靴を選ぶ
文語 選(え)る 口語 選ぶ
選ぶだとはっきりした意志で選んでいる感じがする
選るだと あえかな 戸惑いみたいなものが入ってくる
選ぶではなく選るという動詞を使っている所がこの歌でよく効いている 大辻󠄀
ギターでも音色は弾き手が選べる
繊細な音色の変化に敏感であることは凄く大事 村治
短歌もたくさん言葉を知っていればベストな選択ができる
現代語だけでは表せないニュアンスも文語を知っていると世界が広がる 大辻󠄀
なづさふ:水面に浮かび漂う 揺れる
さしぐむ :涙がわいてくる
はららぐ:はらはらものが落ちる
・入選九首 題「選」
この空をここにとどめておきたくてバーミリオンの絵の具を選ぶ
長谷井慶子
二席 選んだというのは不遜(ふそん)木を離(か)れしリンゴのように君に惹かれき
大津穂波
選んではいけないものが蜂蜜のぬめりに満ちて手招きをする
坂浦洋一
一席 半休の午後に選んだ花束を抱えて座る窓側の席
中村うおなみ
真剣な眼差しをして特売のレタスを選ぶ君と生きてく
富尾なつ
甲子園の元選手いふ「まるでもう絶壁つすよ。あの観客席(スタンド)は」
板坂壽一(いたさかじゅいち)
三席 制服で投票所まで自転車を漕げばいつもと少し違う道
奥井丈太郎
なつかしいきみの笑顔はすこしだけきみの選んだなにかを含む
小倉弓
受験日の父の車の選曲はいつもと同じ無伴奏チェロ
丹羽祥子(にわしょうこ)
・短歌 魔改造ラボ
雪の予想空を見上げて椅子を出しガテマラを挽くカップを選ぶ
遠藤愛子
コーヒーを淹れるまでの時間を楽しんでいつ歌
雪が降る前の静かな時間が漂っている
⇩魔改造
ガテマラのためのカップ選(えら)みたり雪来るといふ空を見上げて
見上げる 出す 挽く 選ぶ 動詞が4つ入っている
作者の動作が4つ歌に入ると印象が散漫になってしまう
動詞を2つ減らした 短歌は引くことが大事
いっぱい言いたいことがある その中で何を選ぶか
31音の中で選んだものをゆったりと歌い上げるのが短歌ではとても大事
・謡とギターのための「ムラサキ・ジャーナル」からⅢ.初雪
作曲:馬場法子 謡:青木涼子 ギター:村治佳織
こひわびてありふるほどの初雪は消えぬるかとぞ疑はれける
短歌は元々は歌だった 野原で恋人同士が声を出して
五七五七七でラブコールをし合った
そうして短歌が長い時間を経て生まれてくる
3つの時代が重なり合う重層的な世界 大辻󠄀
短歌とギター似ている部分は?
どちらも全てを表現しない 村瀬
余白が大事 余白が読者の想像力を豊かにする 大辻󠄀
音と言葉の違いがあるとしたら音は1音だけで何かを表現できる時がある 村治
ひとことで読者の心が動くような余白に満ちた表現が短歌の理想 大辻󠄀
・いちご摘み
その街のはじまりの名はおしよせる潮のひびきのただそれだけの
佐々木朔(さく)(好きな歌人 山中智恵子)
⇩
サーフィンにガチる未来もあるんかな、の五年目の街 登山もいいね
井口寿則(好きな歌人 東直子)
摘んだのは「街」短歌が拓く明日
短歌をやっている人がおもしろいと僕は思ったんですよね
ただ目の前の文字に向き合うことが好きな人たちが多い
この世界の違う価値観に気づかされた
300歌人に選ばれた(短歌研究)
アイカツ!松田聖子のオマージュがあること、それはパサールでござーる
短歌を通じて音楽の友だちができて音楽に活動が広がって
新しい世界の遊び方が1つ増えて2つ増えていろんなことをやるようになった