2026年4月1日水曜日

100分de名著 シルヴァスタイン「おおきな木」

山笑うけだかいクマと暮らしたが

隅田川春の気嵐もくもくと

春憂うなくなってゆく交番が

(勝浦町)春光やイグアノドンの歯を見っけ

春の潮情熱だけで生きられず

 

100de名著 絵本スペシャル④ 

シルヴァスタイン「おおきな木」しあわせとは何か

若松英輔 伊集院光 阿部みちこ

 

木は神様?女性の自己犠牲?環境破壊?

シェル・シルヴァスタイン(1930-99)

アメリカの作家・イラストレーター・シンガーソングライター

グラミー賞を2度受賞し アカデミー賞歌曲集にノミネートされた

 

原題は「The Giving Tree」与え続ける 

実際にもらっているときには あまり気が付けない

年を経ていくと 

「あのとき自分は分からなかったけれど 与えられていたんだ」

 

村上春樹・訳

その木は ひとりの少年の ことが だいすきでした。

少年はまいにち その木の下に やってきました。

そして はっぱを いっぱい あつめ ました。

少年はその木が大好きでした。

誰よりも何よりも 木は幸せでした。

「いらっしゃい、ぼうや。わたしに おのぼりなさい。

えだにぶらさがって、りんごをおたべなさい。

わたしのこかげであそんで、しあわせにおなりなさい」

「もう木登りをして遊ぶ年じゃないよ」と少年は言いました。

「ものを買って楽しみたいんだ お金がいるんだよ 僕にお金を頂戴」

「ごめんなさい、おかねはないの」と木はいいました。

「私にあるのは葉っぱと林檎だけ 林檎を持っていきなさい 坊や

それを町でお売りなさい。そのお金で幸せにおなりなさい。」

少年はありったけの林檎を集めると 再び姿を見せなくなりました。

長い時間を経て また少年が姿を現すと 今度は家が欲しいと木にねだります。

すると木は 自分の枝を切って持っていくよう勧めました。

少年は言われた通り 枝を切り落とし 根こそぎ持っていきますが

それでも 木は幸せでした。

 

幼い頃は木と少年は言葉を超えてつながっていた

言葉がいらないときのつながりは次元が違うくらい深い

言葉でないものにも意味が豊かにある 

 

少年が求めたもの お金 家 船 休める場所

木が与えたもの  林檎 枝 幹 切り株

 

相手が自分に信頼してくれていることももらっている

ある心理学者曰く「人生には2つの側面がある 

1つは所有だ もう1つは存在」

 

所有 100円もらった(物的)

存在 人と人との間に信頼が深められた

 

しかし所有には限界がある

もっと欲しい もっと欲しい

 

「満足」と「充足」

満足 量的=所有に近い

充足 内から湧き上がってくるもの(質的)

 

所有を豊かにすることで存在を満たすことはできない

所有の世界に生きていると満足できないと不足に苦しむ

木は所有的よりも存在的 存在対存在のつながりを深めたい

与えることによって一緒に生きていきたい

Boy(少年)と一緒に何かできることが大事

あえて言わないことがたくさんあるんだ 人間と人間のつながりには

この関係はAIにはできない

 

また長い月日が経ちました 再び少年が訪れると木は再会を喜びます

ところが少年は

「ぼくはあそぶにはとしをとりすぎているし、こころがかなしすぎる

(中略)ぼくはふねがほしい。ここじゃないずっととおくに

ぼくをはこんでくれるふねが。ぼくにふねをおくれよ」

「わたしのみきをきって ふねをつくりなさい(中略)

それにのってとおくにいって…しあわせにおなりなさい」

それで木はしあわせになんてなれませんよね。

And the tree was happybut not really

上記一行はアニメーションではカットされた

シルヴァスタインも「これが幸せ」「あれが幸せじゃない」

と簡単に判断しないほうがよいと思ったのではと若松英輔氏

 

さらに随分時が過ぎ すっかり年を取った少年が戻ってきました。

「ごめんなさい、ぼうや(中略)

あなたになにかを あげられるといいのだけど…

でもわたしにはもうなにものこっていない。

いまのわたしは ただのふるい切りかぶ。わるいんだけど…」

「ぼくはもう、とくになにもひつようとはしない(中略)

こしをおろしてやすめる、しずかなばしょがあれば

それでいいんだ。ずいぶんつかれてしまった」

「それなら」と木はいいました。

そして できるだけしゃんと、まっすぐからだをのばしました。

「ふるい切りかぶなら、こしをおろして やすむにはぴったりよ。

いらっしゃい、ぼうや、わたしにおすわりなさい。

すわって、ゆっくりおやすみなさい」

少年はそこにこしをおろしました。

それで木はしあわせでした。

おしまい

 

どんな老い方をしても「めでたしめでたし」伊集院

 

何も所有していない人間がただただ存在する

「所有」は「能力」という言葉に置き換えられる

老年になってくると所有の幅は減ってくる

親に寄り添うことはまさに「存在」

人は本当に大事な居場所を深いところで求めている

 

『「おおきな木」の贈りもの~シェル・シルヴァスタイン~』

マイケル・G・ボーガン=著/水谷阿紀子=著 より

何歳の人でも、ぼくの本の中でじぶんを見つけ、

それを拾いあげて、発見するという個人的な感覚を味わってほしい。

これはすばらしいことだと。

ぼくにとってじゃなく、その人たちにとってね。

 

発刊されて60年 問いと気づきを与え続けている

読み手は書き手とは別の創造者

この本は「いつ読むのか」が大事

 

とある家庭の次男はパラサイト、事あるごとに長男に説教をされていた。

しかし、時を経て両親と一緒に居てくれる次男がありがたい存在になった。

伊集院

最近、生まれ育った過疎地に戻って行く人が増えている

あんなに嫌って出て行った場所なのに…。

伊集院

この話が教えてくれる何か…。

色んな幸せの価値感があることについて学んだような…。
過疎にずっと暮らして今私が思うこと…。

2026年3月31日火曜日

羽海野チカ 漫勉スペシャル

風の電話を詠む

結婚や電話で告る風光る

返事なき東風の電話を涙せり

春の夜や時々母をぎゅっとする

いつも当事者進行形春泥

桜蕊降る聞く耳を持ってます?

 

■漫勉スペシャル 羽海野チカ

将棋の❝苦しみ❞をどう描くか

連載が始まった時から描きたかったシーン(この勝負)

羽海野チカ

3月のライオン」の連載の中で「いちばん大事な回なんだここが」

「ここを描きたいから今まで描いてきたんだ」この回失敗しちゃったら

今まで連載やってきた意味が壊れてしまう 描いて出版してしまったら

戻れないので ものすごく慎重になって描いた回です この人の苦しみは

将棋を指して生きていくからこその苦しみ なので対局とオーバーラップも

させなければならない でも「今まで島田さん そんなことを考えて

苦しんできたんだ…」っていうのも伝えたい けど「ちょっと待てよ」と

「対局って相手がいるものだ」と思って 重要な回なのに 主人公 

対局相手の顔が見えない ッテいう状態は絶対ダメだと思って 零ちゃんの

時系列を作り 島田さんの時系列を作り 最後 これ 両方コピー取って

合わせていったんです 島田八段のモノローグを中心に描かれました

「この道しかない」と思った男の人が 全身全霊で考えて 悩んでいるって

とこを想像して 「どんな気持ちなんだろう?」と思ったら

私がいちばん嫌な夢で 地下鉄の通路を 道が分からなくて

ずっと走ってる夢を(思い出し) 「こんな気持ちかも知れない」と思って

 

3月のライオン」

ブレーキを踏もうがアクセルを噴かそうが 

辿り着く先はそう変わらないと思っている

「命が惜しい」と 思っているうちは 開かない扉があるのだとしたら

何ひとつ迷わず オレは 開けたいのだ

自分とその人の共通点をかすかでもいいから探して 同じ気持ちになった

瞬間のところを広げていく 

 

己の不運にも、間違いにもーそして幸運にさえも

この静かな諦めと怒りのようなものが

果てしなく降り積もった 言葉にできないものすべてが

彼は流されることを良しとしない

焼野ヶ原なんかで あってたまるもんか‼

 

将棋と漫画家

浦沢直樹

「将棋の方の頭の回路に比べたら漫画なんて全然まだまだ」

と僕なんかも思いますけど だけどやっぱり 1人でものすごい量の

情報を取りまとめて 「何かそこで形作んなきゃいけないんだ」

ってことに関しては かなり似たことやってんじゃないかなとかいって

 

羽海野チカ本当に孤独で だってそんなに人は長く集中して

頭の中のものを動かし続けることなんて できないのを

「みんなやってるんだ」と思って 

 

浦沢直樹

将棋はずっと指していくから「待った」がないんですよ

僕ら 連載してますから 連載して載せちゃうと 将棋と同じで

後戻りできないんですよね 

 

羽海野チカ

「あのセリフ書いちゃいけなかった!」

浦沢直樹

「そんなことばっかりじゃないですか」

実は将棋とすごく将棋と似てんじゃないかなって連載漫画

羽海野チカ

10代の方から6070代の方 一緒に戦い続けるんですね

漫画もそうじゃないですか 

浦沢直樹

デビューしたての若者とね

羽海野チカ

これも似てるなと思って 私たちもう放り出されるまでは

全年齢の方と戦わなければいけないっていうのは同じだと思って

「いらない」って言われるまで がんばるしかない

 

浦沢直樹

道を究めようとしている人を描くっていうことを ずっとやるっていうのは

下手すると僕らのところに全部返ってくる 

羽海野チカ

「これを描くに恥じない自分でいなければ…」みたいな

浦沢直樹

このグレードを超えてここまでいきたいって思ってんのは我々なわけで

羽海野チカ

つらい 本当になんでしょうね 苦痛なく 提出することは

できるんですけれども 「それをやってどうしろっていうの?」って

浦沢直樹

それやったら漫画の意味がないんですよね

羽海野チカ

描き終わるのが仕事じゃなくて 読んだ人が喜ぶところまでが仕事なので

「ゴールを間違えちゃダメだ」って 

浦沢直樹

「楽しい絵が描けてないと意味がないんだよ」ってね

 

羽海野チカ

がんばれ!がんばれ!

 

羽海野チカ女史はご自身をギリギリまで追い込んでいる…。

2026年3月30日月曜日

羽海野チカ 漫勉スペシャル

風の電話を詠む

春の空風の電話の噂聞き

風の電話聞こえぬ声に耳澄ませ

線なき電話東風が心を届けけり

愛歌う風の電話や春一番

春陽射し風の電話に気持ち込め

 

■漫勉スペシャル 羽海野チカ

「場面から風とか空気の匂いがする」

「読んでいて希望が持てる」

萩尾望都著「マンガのあなたSFわたし」より

 

羽海野さん 特殊なうまさなんですよね 

感情を「的確にとにかく表すんだ 表現するんだ」っていうね

それがもう羽海野さんからあふれ出て キャラクターに

乗り移って 目がウルウルってなりますよね

「いろんな人がいて いろんな人 全員かわいいよ」って

言っている感じがしますよね どんなに憎たらしいオヤジも

ほっぺ ちょっと赤いんですよ もうこれだけでかわいいですもん

浦沢直樹

 

勝負の世界を描いてきた「3月のライオン」

浦沢直樹

ドラマの初めの時に彼女たちの濃いドラマは想定していたんですか

羽海野チカ

想定してない部分もありましたね 三姉妹の物語は1415

描いている間に知り合った友人とかのエピソードが入っていったりしました

浦沢直樹

いじめの頃の話で「うわ そこまで踏み込んでいくんだ」っつって

「将棋がちょっと背景になっちゃうよ こんな熱い話やると」

羽海野チカ

あれは「必要だな」と思って 自分漫画家になった読者さんがいる

もしその中に私が子どもの時みたいな人がいたら 何か助けになる

読めるもの 「いじめを受けてます どうしたらいい?」っていうの

本屋さんに行って いじめの本を手にとっても レジに

行けないじゃないですか ネットで相談しても 本当に恐ろしい

答えが返ってくるんですね だから漫画だったら普通に 

「漫画買ったんだ」って買えるから 「私が描かなきゃ」と思って

凄く取材をしました 

浦沢直樹

男の先生出てきてズバリ解決する回があるんですよ

 

ナレーション

いじめた子の親を呼び出したシーン

いじめたこの親

「いじめ」だなんて とんだ言いがかりだわっっ 証拠もないクセに

先生

証拠なんて出てくる訳が無い イジメではね 証拠がないのが当たり前なんですよ

その子が嘘ついていたらどうするのよ!

口ではねっ何とでも言えるでしょ!?

先生

じゃあ 嘘をついているって証拠は?

母親は何も言えなくなりイジメは解決に向かいます

 

浦沢直樹

あそこまでね ズバリ解決する話って なかなかいじめとかで

そういうの ないんですよ だけどね 羽海野さん あそこでね

バシーン!って解決したんですよ それがね ちょっと

手たたくぐらい爽快で

羽海野チカ

たまたま私の生体の先生が 元高校のだった方で 何となく話したら

「うちの学校では こうしてました」っていう話をしてくださったんですね

浦沢直樹

ああいうのを 骨太っていうんだろうなと思って

「難しい問題よね」って いうのではなく 1つの答えをバーンと

提示するっていうのは 非常に勇気のいることなんで

羽海野チカ

夢物語だって言われても 漫画に描いておいたら 読んだ人の中の

誰かがやってくれるかもしれないと思って すごく考えて描きました

 

いじめが終わったあと主人公ひなちゃんは

「先生… 私 許さなくてもいいですか?」

 

羽海野チカ

謝られたら許さなきゃいけなくなってしまうんですが 謝る側が

「ごめんなさい」って文字で言ってるだけの場合は 

「許さなくていいんだよ」ってことは描いておきたいなと思って

ひなちゃんに言ってもらいました

 

将棋でまで「弱い人間扱い」されたら もうボクはどこで生きて

行ったらいいんですか!?

 

アナタの居場所なんて この世の何処にも無いじゃない?

 

誰に作品を届けるか

羽海野チカ

自分みたいな子が読んでいるんだろうなと思うので 私も子どものころ

図書館で絵本を読んだ 「赤毛のアン」のアンは友だちと思っていたので

イマジナリーフレンドみたいな感じで「そのあと こういうことが

起こるけど もうちょっといくと大丈夫だから」みたいなのを

言いたいなと思います

 

浦沢直樹

母親が僕が生れると同時に家を出て別居が始まるんですよ

それで4歳ぐらいの時に母子家庭の生活苦で浦沢家にもう1回戻るんですよ

突然じいちゃん ばあちゃん おやじの家にボーンって 僕4歳で家で

ほったらかしだったんで それで漫画を描くようになっちゃったんですよ

おばあちゃんの三面鏡に映る自分を「スミスくん」って名前にして

米軍基地の青い目の男の子なんですけど 「きょう 基地で何があった」

とか ずっと会話してたんですよ そういうことから 

漫画のストーリー作りみたいなのがあるんですよね 

羽海野チカ

うまく生きられなかったから

浦沢直樹

しんどい時を過ごしたっていう事ね 孤独を知っているから

寂しさも知っているから それに対する癒しみたいなものが

どういうものであればいいのかっていうのが わかってる人たちって

いう感じはしますよね

羽海野チカ

似たようなところにいる人に読んでもらえると 

浦沢直樹

そういう人に届けばいいなって すごく思いますよね

2026年3月29日日曜日

玉田元康&「土筆」&楽しい日本語

霍乱(かくらん)や夫(つま)の愛する「話寿司」

花水木あなたを思い植えました

春の草歩みを少し止めましょう

木の芽和難儀な事と向き合わん

春の夜や不定時法に導かれ

 

■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん

今回のゲストは倍賞千恵子女史が❝兄的存在❞と語っておられた

ボニージャックスの玉田元康氏。

昭和9年満州国安東省生まれ。

ボニージャックスをTalk

喜劇王榎本健一氏(エノケン)とのレコーディングのお話。

「小さい秋見つけた」の生歌唱。91歳で現役。

介護施設で働きながら入居者に歌を届けておられるとか…。

矍鑠としたお姿に感銘を受けました。




 






■夏井いつきのおウチde俳句

一分季語ウンチク「土筆」

 

子供の頃に沢山「土筆」採ったなぁという記憶を

思い出す方もいらっしゃるかもしれませんね

「土筆」は文字通り土の筆と書きまして

春先になってくると土の中からこうヒュッと

まさに筆みたいな形をしたものが立ち上がる

しかもひと所に結構まとまって生えているものですから

それを沢山採っていっては卵とじにして食べる

そんな記憶のある人もいらっしゃるでしょうね

愛媛の辺りですと この「土筆」をその辺で採って

それぞれパックに詰めてそこら辺のスーパーで売っている

という光景もよく見ましたね

この「土筆」というのは植物のジャンルの季語でありまして

その傍題には「土筆摘」というものも

含まれていることが多いようです

この「土筆」を摘んでいるのは人の動き 

人事の動きのようにも思えますが その「土筆」を採るという所までは

植物の季語として分類されている ということなのでしょうね

 

■夏井いつき俳句チャンネル

【第8回】楽しい日本語【めんめんの楊貴妃】

 

今回の楽しい日本語「めんめんの楊貴妃」

綿々の楊貴妃重き花衣   家藤正人

面々の楊貴妃神楽はなやかに   夏井いつき

麺麺の「楊貴妃」すする神の旅   ローゼン千津

2026年3月28日土曜日

あの人に会いたい 佐野藤右衛門(造園家)

春の陽へクラブ振り抜くあら還よ

亀鳴くや好きに勝るものはなし

春の空努力を勝る好きとなれ

春眠か?汚れ落とせよ洗濯機

掃除機よ吸引しろよ春埃

 

■あの人に会いたい 佐野藤右衛門(造園家)

佐野藤右衛門 19282025(令和7)年 97歳没

 

彫刻家イサム・ノグチとともに世界の庭園を造ってきた

1997年 ピカソ・メダルを授与される

桜守としても知られる

 

桜は応えてくれる 愚痴も言わんでもええし ぼやかんでもええ

待っていたら向こうから「咲いたでー」って言うてくれる それがうれしい

祖父 14代目 佐野藤右衛門

4つか5つぐらいおじいさんに手を引かれて どこっていうことなしに

花の咲いているところへ連れて歩かれていたんで 自然に

この桜というもんが 身に染みついているというのかね

 

初仕事は「祇園のしだれ桜(円山公園)

この桜は16代目の誕生を祝って 父 15代目 佐野藤右衛門が

種から育てたものでした

 

これを見るといろんなおやじのことを思い出したり 

私の一生についてまわるはなですのでね

1年に5回か6回は見に行きませんと 

 

桂離宮も任されることになります

造園業の集大成として作ったのが「京都迎賓館の日本庭園」

日本でいう❝あしらい❞ いかに うまくあしらうかという

そのあしらいを ちょこちょこっと ほんまのこう「あれ?」

というふうに やるのが 庭のあしらい

秋には赤く色づくドウダンツツジ そこに少しの緑の葉をあしらう

桜は一本だけ 桜さえ庭のあしらいなのです さりげなく さりげなく

全体的にまとまったらいい

 

築二百年を超える佐野家 周りには1ヘクタールの桜畑が広がります

桜の種類は二百を超えます 

太白(たいはく)日本で絶えて世界中探したら

イギリスにあったから持って帰った おやじと叔父のころや

 

佐野さんが命名した「摩尼八重山桜」ひとつひとつみな表情が違う

そういうもんを追いかけているといろんな面白みが分かってきて

そのうちに ずるずるはまり込んだ

 

接ぎ木をして育てる 頼む ついてくれよ 

 

Q新しい品種ではなかった?

なかった ちょっとがっかりやけど そんなもん めったに巡り合えん

それはもう万に一つの

 

やっぱり魔力やなあ まだ咲いた姿を見てないけど 想像はできる

あれが咲いたらどうなるのかなという そこが楽しみちゃうかな

 

いつごろからあった どう接してきたかね 

そういうことは土地の人でないと分からんわけ

やっぱりそこの気候風土っていうのがありますのでね

その土地の文化がやっぱり分かります

 

私が孫にしゃべるのに 80年の話が伝わります

わしもおやじも叔父もそうしとるから その80年をずっと足していくと

毎日の会話が 200年の会話が成り立っているわけ 伝えてくれるのが桜が…

そういうふうにして次の世代 次の世代にいろんな物語が伝わっていくわけや

 

震災地にも30年育んだ桜を植樹

青空に映える 

4月になったら花見がもう見えてきたよ

こういう風に花見もできたし桜がなかったらこういう席はなかった

本当にいい出会いでした

 

本当の心の復興というものは何であるか 初めて気づいた 

桜を植えて良かったと初めて思った

 

7年後 がんばりや と桜に声を掛ける

 

新しい生命と一緒につきあっていく楽しさ

今育てているやつ 私は花見ができません

やっぱり30年かかるから 次の世代のものがそれを

またやってくれるやろうという望み

そういうものがあるから やっぱり楽しい

2026年3月27日金曜日

あの本読みました? 藤岡陽子・朝倉宏景・夏川草介

芽立時労せず痩せるインフレ禍

春の街チョコを頬張り颯爽と

春の径アクセル強く踏み込まん

耳も目も脳も不確か朧月

湧き出でしトランプ非難春嵐

 

■あの本、読みました?

医療小説!男子看護学生の青春&本屋大賞ノミネート&命の物語

藤岡陽子 朝倉宏景 夏川草介 鈴木保奈美 山本倖千恵 林祐輔P

 

2024年第45回吉川英治文学新人賞受賞「リラの花咲くけものみち」

藤岡陽子 現役看護師

満点のゴール 藤岡陽子著/小学館文庫

僻地医療 医療の抱える問題と向き合う

 

青のナースシューズ 藤岡陽子著/KADOKAWA

男子看護学生が主人公

ここに出てくる男子学生の幸せというか彼らが自分の夢を叶えて欲しいと書いた

男子看護学生の青春物語 by 朝倉宏景

取材から見えてきた男子看護学生のリアル

 

あの冬の流星 朝倉宏景著/講談社

10歳の息子に余命の告知をするべきか

お祖母ちゃんが❝やさしい嘘❞ってあるじゃない

やさしい嘘は本当に子どものためになるのか

答えは出なかった

作品を書いた経緯 余命と正面から向き合う作品 描かれる子供の病

書く上で向き合った「告知」「家族との葛藤」

嘘をつく事と隠す事の間

 

エピクロスの処方箋 夏川草介著/水鈴社

禁忌の子 山口未桜著/東京創元社

 

医療小説特集 命と向き合う物語

現場をリアルに描く話題の医療小説

 

続編から読んでも楽しめる医療小説

「白魔の檻」山口未桜著/東京創元社

山口未桜の最新作 探偵医師が挑むミステリー

 

「エピクロスの処方箋」夏川草介著/水鈴社

大学病院と地域病院との理想の関係を描きたい

 

「春の星を一緒に」藤岡陽子著/小学館

夏川草介推薦コメント「人は一人では生きられない。

誰もが孤独な時代だからこそ、胸を打つ物語です」

作家 夏川草介のファン

 

「青のナースシューズ」の一文 藤岡陽子著/KADOKAWA

「はじめまして。看護学生の岡崎です」

川鍋さんのベッドは四人部屋の窓際にあった。

グレーのスウェットを着た肉づきのいい白髪の男性が

耳にイヤホンを差し込みテレビを見ている。

「こんにちは」と何度か話しかけてみたが、

イヤホンのせいで声が聞こうないようだ。

「川鍋さん、失礼します。本日実習をさせていただく看護学生の岡崎くんです」

松原についていた手塚が、状況を察してすぐにこっちに来てくれた。

川鍋さんがようやく成道に気づき、右耳のイヤホンを引き抜く。

「はじめまして。岡崎です」

改めて挨拶すると、川鍋さんの眉間に深い皺が刻まれ、「なんでおれの担当が

男なんだ。男とは聞いてないぞ」と訝しげに成道の顔を見つめてくる。

「今日から二週間、看護学生が担当させていただくとお伝えしていませんか?

清潔ケアをしたり、検査の付き添いなどを…」

手塚が丁寧な口調で事情を説明していると、

「聞いてない。いい、いい、あっち行ってくれ。男に世話されるなんてごめんだ」

エサをねだりにきた犬猫を追い払うように、川鍋さんの右手が空を切った。

 

男子看護学生が置かれている状況 

ジェンダー・ディスクリミネーション:性別を理由に不当な扱いを受けること

❝母親目線❞で描く男子学生

 

「青のナースシューズ」の一文 藤岡陽子著/KADOKAWA

「向かないって思うのなら辞めたらいいよ。自分が患者だったら

酒向くんのような人には看護師になってほしくない」

表情を消した美国がぞっとするほど冷たい声で言い放つ。

酒向が顔を上げ、美国を睨んだ。

「たしかに仕事は生活のためにするものだと思う。働いてお金を稼ぐ。

そこに良心の介在は必要ないのかもしれない。でも、職業の中には、

良心を持たない人間が就いてはいけないものがある」

看護師もそのうちの一つだ、

と美国は酒向を真正面から見つめ、はっきりと口にした。

「それに酒向くんの発言は失礼だよ。自分や成道君や伊佐くん、

ここにはいないけれど真島さんに対して無礼なことを言っていると思う。

男子学生だけじゃない。看護師を目指すすべての人に対して失礼だよ。

給料や社会的地位、そういうものだけで職業を選んでいる

人ばかりじゃないってこと、酒向くんは知らないんでしょう」

 

仕事をする姿勢は生きる姿勢と同じ by 藤岡陽子

看護師としての誇り

 

後半で描かれるスピリチュアルなシーンを入れた意図

データを超えた生命力

 

「あの冬の流星」の一文 朝倉宏景著/講談社

「どうだ、調子は?」竜司はベッドのとなりの丸椅子に腰をかけた。

「うん、ちょっと背中が痛い…かも」度重なる検査だけでも、

小さい体には負担だったはずだ。同じ視線の高さで向かい合うと、

竜星の頬の肉が少し落ちているのに気がついた。食欲はあるか?

ちゃんと眠れてるか?さらなる質問を心のなかで押しとどめて、

竜司は息子の目を見つめる。「検査の結果が出たんだ。

さっき、母ちゃんと一緒に聞いてきた」ためらうな。

ためらえばためらうだけ、言うのがつらくなる。

わかっているのに、続きを話しだすまで数秒かかったのは、竜星の目が

父親のことを無条件に信頼しきっている者の、あまりに純粋な

輝きを放っていたからだ。竜司はついこの前、夜道を一人で

歩いているとき、意識して空を見上げた。真っ暗ななかに、

点々と光る星がちりばめられていた。ずっと見ていると、

ひときわ明るい星に吸い込まれるような感覚になった。

この子の目も同じ光をたたえていた。エゴや見栄、役割や打算といった

余計なものとはまだまだ無縁な、むき出しの生命が燃えている。

 

作品を届けたいのは…生きる意味を見失っている人

竜星の両親竜司と詠美が教会の牧師を訪ね「スピリチュアルケアとは何か」

を教えて貰うシーン

 

「あの冬の流星」の一文 朝倉宏景著/講談社

「子どもにかぎらず、余命幾ばくもないことを察したり、家族に

告げられたりした患者さんは、なぜ自分が死ななければならないのか、

自分の人生に価値はあったのか、自分が生れてきた意味はあるのか、

そして死後の世界は存在するのかなど、魂の深い部分の痛みとともに、

根源的な疑問を抱き、周囲の人々に訴えることがあります」

(中略)

「患者さんの抱くトータルペインをいかにやわらげてあげるかが重要に

なってくると、厚労省も緩和ケアについて述べています。

トータルペインとは全人的苦痛と訳されることもありますが、

身体的苦痛、精神的苦痛、社会的苦痛、そしてスピリチュアルペインの

四つからなるとされています。

四つの中でスピリチュアルだけがなかなか適切な日本語に訳せないようで…。

ちなみに社会的苦痛は、会社や学校に通えずおいて行かれる不安、

今まで築き上げてきた人間関係から疎外されてしまう不安などでしょうか。

これら四つの痛みが、相互に深く関係しあって、物理的な身体の痛みに

あらわれることが証明されています」

 

看護師の奈緒が息子にスピリチュアルペインを説明するシーン

「春の星を一緒に」の一文 藤岡陽子著/小学館

うん、難しいよね。スピリチュアルペインっていうのは、

なんのために生きているのかっていう、自分が生きる意味を

見出せなくなることらしいの。症状が悪化してできることが

日に日に少なくなってくると、生きる意味を見つけるのが

難しくなるの。それがスピリチュアルペインといわれている」

 

作品で描かれている「生きる意味」

「あの冬の流星」の一文 朝倉宏景著/講談社

「お前の魂は、綺麗な青色に燃えている。」

(中略)

「竜星の青い炎は俺たち家族の誇りだ。冷静で、周りがよく見えて、

思いやりがあって、でも冷たいわけじゃねぇ。誰よりも熱い」

おじいちゃんが、目に涙を浮かべたまま大きくうなずいた。

「竜星の魂が燃やす青い炎は、パスを渡すみたいに、ほかの人にきっと

影響を与えられると思うんだ。お前の近くにいる

誰かに-燃えていない誰かに火をつけられる」「そうだよ、竜星。

私、今まで全然燃えていなかったんだ」亜沙美は思いきって口を開いた。

「醒めているのが格好いいって勘違いして、やる気も根気もなくて、

将来を悲観してカスカスだった」わざと大げさに笑ってみる。

「でもね、竜星が私に火をつけてくれたの。青く透き通って綺麗な炎」

竜星も目に涙をいっぱいためながら、微笑みかけてくれた。

「私はね、竜星から分けてもらったみたいに、さらにその炎を

これから出会う人、望む人みんなに分けてあげることができるんだよ」

竜星の目が大きく見開かれ、輝いた。

 

命と向き合う物語医療小説特集 おすすめの「医療本」

朝倉宏景

「背中は語っている」松波太郎著/晶文社

臨床家が読み解き明かしている背中の秘密

セルフチェック・セルフケアも可能な東洋医学入門エッセイ

「あの冬の流星」のラストシーンで救われる 林P

 

藤岡陽子

「救命センター カンファレンス・ノート」浜辺裕一著/集英社文庫

現役医師が描く、生命と向き合う救命救急医療のリアル

最前線で、どこまで医療介入すべきか頭を悩ませる

助けるべき人間だったのか?自問自答を繰り返す癖になる小説