風青し優しい嘘をついてくれ
落とした視線コントラポスト西日
正子の嫌う躑躅の花が武相荘
見て見てと薔薇の蕾が背伸びせり
無いものねだり有るもの磨き薄暑
■100分de名著 ディケンズ❝大いなる遺産❞①階級社会の苦しみ
河野真太郎 伊集院光 阿部みちこ
チャールズ・ディケンズ(1812~70)
労働者階級に生まれた少年 成長物語
「僕は彼女がひどく好きだ。彼女のためにジェントルマンになりたいんだ」
大いなる遺産(1860年~1861年連載)
・少年ピップの成長物語 教養小説(ビルドゥングス ロマン)
・作者:チャールズ・ディケンズ(1812年~1870年)
クリスマス・キャロル
オリバー・ツイスト
デイビィッド・コパフィールド など
ビルドゥングス:形成・成長 ロマン:小説 人格形成小説
この小説が書かれたのはヴィクトリア朝時代(1837~1901)
ディケンズは元々新聞記者 法廷速記者として働いた
父の姓はピリップで、私の名はフィリップだった。
その両方を続けて言おうとすると、子供の舌では「ピップ」という以上に
長く伸ばすことも、はっきり発音することもできなかったので、
私は自らをピップと呼び、人にもそう呼ばれるようになった。
私の故郷(くに)はテムズ川下流の沼地で、川が蛇行して、海から
三十キロほど内陸に入ったあたりにある。
思うに、自分の周りの物事について、広く鮮明な印象を私が初めて
得たのは、忘れもしない、ある底冷えのする夕方のことだった。
1年後、ミス・ハヴィシャムの家へ
「こっちをご覧」「お前が生れてから今日までの長い間、
一度も太陽の光を見たことのない女など、怖くはないわね?」(略)
彼女は、左の胸の上に両手を重ねて置くと、
「この手の下に何があるかわかる?」と尋ねた。
「心臓です」「踏みにじられた心よ!」
登場人物 ピップ 姉 姉の夫ジョー ミス・ハヴィシャム 囚人
19世紀イギリスの階級社会
上流階級(貴族・大地主など) ミス・ハヴィシャム
中流階級(頭脳労働者・商人など)
労働者階級((職人・工場労働者など)
ピップ 姉 姉の夫ジョー
アンダークラス(囚人)
エステラ「こんな下品な労働者のこと?」
「なんてごつごつした手!ひどく分厚いブーツ!」
私はそれまで自分の手を恥ずかしく思ったことなど一度もなかった。
しかし今ではとても不格好に思えてきた。
私に対する彼女の軽蔑はきわめて強く、それが私に伝染したのだった。
ジョーがもっと上品に育てられていたらよかったー
それなら自分ももっと上品に育っただろうに。
ビディーに勉強を教えてもらうようになった
しかし、エステラに翻弄され続ける
突然エステラが立ち止まり、振り向きざまに、
顔をぐっと近づけてあの偉そうな調子で言った。
「わたし、きれい?」「「はい、とてもきれいだと思います」
「わたしはお高くとかってる?」「この間ほどでは」
「あの時ほどじゃない?」「はい」
返事を聞くと、思い切り私の顔をひっぱたいた。
「これならどう?下品な怪物めは わたしのことどう思ってるの?」
ピップはそれでも見返りがあるのではないか?と屋敷に通いはじめました。
さようならピップ その期待もむなしくミス・ハヴィシャムは
突然ピップの屋敷通いを打ち切ってしまったのです。
ピップは鍛冶職人としてジョーの下で働き始めた。
ジョーの徒弟になり、袖まくりをして鍛冶場に入ったら
自分は幸せで特別な存在になる、と昔は思っていた。
現実を認識した今となっては、私はただ石炭の埃で
汚れているだけの人間で、日毎に気持ちは重くなり、
その重みに比べれば、鉄床(かなとこ)など羽のごときものだった。
自分が卑しい存在だと意識させれてしまうピップ
エステラ
下品な労働者の子 common:普通の・ありふれた(身分が低い)
ジョー
どうしてそんなに卑下しなくちゃならないんだい?
お前には断然すごいところがいくつもある。
すんごく小さいし、すんごい学者だし
uncommon(oncommon):卓越した・非凡な
oncommon:労働者なまりのスペル 身分が高い
コモンな(ありふれた)存在から アンコモンな(卓越した)存在になりたい
ディケンズと労働者階級の葛藤
生い立ちが関わっている 元々は中流階級 父親が浪費家で借金を抱える
父親が債務者監獄に入り12歳から働きに出る 靴墨工場
社会から脱落するかもしれない 恐怖感を植え付けられていた
「大いなる遺産」Great Expectations
遺産という意味もあるが普通は期待と訳される
遺産と期待
ピップが働き始めて4年経った頃
酒場で謎の紳士がジョーとピップに話しかけてきた
その紳士をミス・ハヴィシャムの家で見たことがありました。
「わしの名はジャガーズ。ロンドンの弁護士だ。(略)
わしはある人物の信任を得た 代理人として仕事をしておる。(略)
私は彼が巨額の贈与を受ける予定である旨伝えるよう指示を受けた』
「その資産は現在の保持者は、彼がこの仕事場および現在の
生活環境を出て、ジェントルマンとして、つまり、莫大な財産を
約束された若者としてー成人することを欲している」
私の夢がかなった。
ミス・ハヴィシャムからだと思ったが、
ジャガーズは持ち主の名は明かせないという。
それでもピップは申し出を受け、ロンドンへ行く事に…。
出発の朝、ジョーの付き添いは断りピップは一人旅立ちました。
霧の向こうは巨大な、謎めいた世の中で、そこでは自分は無知で
ちっぽけな存在であると思うと、私はたちまちどっと泣き出してしまった。
泣いた後、私は少しはましな人間になったー前よりも後悔し、
前よりも自分の薄情さを知り、前よりも心優しくなった。
もっと早く泣いていたら、この時私はきっとジョーと一緒にいたであろう。
語り手(ピップ)の後悔が滲み出ている
当時の読者はどう読んだか?
階級社会で生きている読者たちに共感や夢を与えた物語
成長の為に必要なヒントを教えている