2026年7月1日水曜日

私とルオー2026

(かな)しみ美(かな)しみ哀しみを持ちて夏

走馬灯生れた日から嘘つかれ

騙されてまた騙されて夏の波

夏の月嘘の世界を生き続け

笑顔まで嘘にまみれた夏の星

 

■日曜美術館 私とルオー2026福岡伸一

20世紀最大の宗教画家と呼ばれるジョルジュ・ルオー(1871-1958)

敬虔なカトリック教徒だったルオーは、

深い信仰を背景に人間の苦悩や慈悲など普遍的な魂のあり方を描いた。

日曜美術館では「わたしとルオー」と題して過去何度もルオーを特集、

その孤高の生きざまと作品の魅力を多くのゲストが語ってきた。

今回「わたしとルオー」を語るのは生物学者の福岡伸一さん。

科学の視点からルオーの描く「光」の秘密に迫る。

 

聖顔1939

福岡伸一

科学も美術も人間の営みとしては志は一緒

科学にとって美術は友達

殆どの画家はものを見て反射光を見て絵を描こうとしている

ルオーは透過光でものを見たら どういう風にみえるかに

だんだん到達していった

 

反射光 

光源(太陽や照明など)から発せられた光が、

物体(水面、壁、地面など)の表面に当たり、

はね返る現象や、そのはね返ってきた光のこと。

 

透過光

光源からの光が物質を通過して反対側へ抜けてくる光のこと。

物体そのものが発光しているように鮮やかに見え、

ステンドグラスやレントゲン写真、お札の透かし、

水面越しの景色などがその代表例。

 

モルフォ蝶

北アメリカ南部から南アメリカにかけて80種ほどが生息する大型のチョウの仲間。

"Morpho" は、ギリシャ語で「形態」を意味し、

アプロディーテーおよびウェヌスの形容語句でもある。

Wikipediaより

 

1871年パリ 貧しい家具職人の家に生まれた

生活苦のため14歳で職人の道へ 

弟子入りしたのはステンドグラスの工房 

ルオーにとっての原風景となる

画家への道を諦めきれず19歳でパリ国立高等美術学校に入学

そこで ギュスターヴ・モロー(1826-1898)に指示する

ルオー27歳の時 モローが病で亡くなる

ルオーの深い愛情と後押しをよりどころを失ったルオー

自分の進むべき道を見失い以降長らく絵筆をとることができなくなる

5年後 再び筆を持って描いたのは❝サーカス❞(1905)

愁いを秘めた表情❝娼婦❞(1906)には暗い影が落ちていました

ルオーは社会の終焉に追いやられた現実の人々へ

真っ直ぐなまなざしを向け人間の心の奥底にある何かを描き出そうとした

 

奈良岡朋子

道化師(1925-29)

目が道化師 人に笑いを売る風には見えない

良いものと悪いものを見極めようとする鋭さを感じる

 

蜷川幸雄

宗教画のような聖なる輝き 卑俗な人々が結果として聖なる輝きを帯びてくる

聖なる輝きという部分を拡大して描いている

 

聖顔(1933)(1937)(1939)(1946)

 

福岡伸一

公平な光で照らし出されるとあらゆるものが平等

 

遠藤周作

キリスト教の信者で小説書いたりする 矛盾したとこがある

ルオーの絵を見ていて同じ問題が隠れているような気がした

 

鹿島田真希

「聖顔」を描くってある意味受け身な作業だと思う

自分の描きたいディテールを描けない

ただ顔を描くというシンプルな作業

シンプルだけど難しいことをしている

 

山本容子

人の顔とサイズが同じ 神様が人と同じでここにいる

絵を描くことが祈であって そこで信じていることを描いている

 

福岡伸一

それぞれのものの内側にあるものをつかみ取っていく

そのための力を信仰が与えてくれる それが求道

それを続けていったのがルオー

空からの光によって照らし出される内面を見るとすべて人は平等な人間 

透過光で見るとすべてのモチーフがキリストに近づいていく

 

福島慶子

❝おしぼり❞だけは日本語を覚えまして「おしぼりシルブプレ」

クリスマスで大事件が起こっちゃった 火事を起こした

自分の絵を見ると気に入らないところを自分で直したい衝動に駆られる

 

福島葉子(慶子さんの娘)

8つか9つの時にルオーに描かれたのは「裁判所のキリスト」(1935)

 

野見山暁治

ルオーの生き方に共感

(描きたい形が)あるんだけど 描くとうそなんですよ

こういうものという願いがあって 形がかなり明確に出ているけど

描いたらうそになる

 

動的平衡

生命の核心を解くキーワードです。

私たちの体は常に分子や細胞を分解・合成し続けており、

一見同じ姿を保っているように見えて、

実態は絶えず入れ替わる「淀み」のようなものであるという生命観を指す。

 

2026年6月30日火曜日

わたしの日々が、言葉になるまで 金原ひとみ&松居大悟

雲の峰言葉にできぬ感情よ

二日目の喧嘩の事情明易し

それぞれのイマージュ見つむ風薫る

髙瀬川茂みの乱舞初蛍

母川の川面に映る夕蛍

 

■わたしの日々が、言葉になるまで「気まずい」を打開する言葉とは?

劇団ひとり 金原ひとみ 久保史緒里 松居大悟 桐山照史

 

言葉にできない気持ちを言葉に

❝気まずい駅までの帰り道❞どう打開する?

桐山照史

先輩の私の年ぐらいの時ってどんなんでしたか?

久保史緒里

Aさんすっごく楽しそうでしたね

松居大悟

今日の飲み会いつが気まずかった?

金原ひとみ

推しっていますか?

劇団ひとり

最近なんかおいしいもん食べた?

 

「気まずい」という感情はZ世代が感じがちというデータがある

「不安」「緊張」「申し訳ない」という意味でも「気まず~」が使われ

「ヤバい」に次ぐ便利ワードとして使われている

 

申し訳ない=気まずい

 

❝名前を間違えられ気まずい❞どう打開する?

久保史緒里

今日からハギワラにします

言い方は大事 

桐山照史

逆にすいません!よくまちがえられるんですよ~ちなみに自分の

下の名前○○なんですけどそっちで読んでもらえますか?()

論点を違うところに持っていく

松居大悟

でも、今日からオギワラとハギワラの両方でいきます!

金原ひとみ

名前なんて記号なんで、どうでもいいんですけどね。

劇団ひとり

いや、よくあるんですよ オギワラって言われて いやハギワラですって

あっじゃなくてオギ、ん?ハギ?えっ私どっちでしたっけ?

 

なぜ❝気まずい❞感情が沸き起こる?

久保史緒里

常に自分が悪いと思い込むから気まずいになる

自責の念から気まずいが生れる 

桐山照史

気まずさを感じる人は優しい

松居大悟

相手と自分に期待するとギャップを埋めようとする

期待しすぎが気まずさを生む 

いい時間を過ごしたいから空回りして気まずいが生れる

正体発見 どうでもいい人とは気まずくならない

❝気まずい❞前向きな感情

 

語彙力の欲しい方にピッタリな企画

明日使える語彙を増やす新コーナー

語彙力クイズ 削り友だち=酒飲みの友達

江戸時代 大工さんが使っていた言葉 

「削る」に酒を飲むという意味があった

明治時代以降ほとんど使われなくなり 

「酒を飲んで財産を失うから『削る』と言う」と説明する辞書もある

昔は ちょっと飲みに行こう⇨ちょっと削ろう

例「今日はみんなのために削らせていただきます」桐山照史

「頑張って削ります」桐山照史

 

NEXT語彙力クイズ 

しおしお=気落ちして元気のないさま しょんぼりすること

鎌倉時代から使われ出した言葉

慰めワードとして使える 

「何そんなにしおしおしちゃって」金原ひとみ

しおしお 明日から使える言葉認定 

 

語彙力を増やすためにやっていることは?

よく使う言葉を言い換える 疲れた⇨体が鉄のように重い

 

言語化のヒント

松居大悟

日頃から言葉の言いかえを常に考え別の表現を出せる練習する

言葉の引き出しが増えてくる 

金原ひとみ

「しっくりこない」「リズムが悪い時」は

類語辞典で同じニュアンスの違う言葉を探す

 

語彙力クイズ もだす=沈黙する 口をつぐんで見過ごす 黙す(もだす)

「もだ」⇨黙っていること それに動詞を表す「す」がついて

「もだす」=「沈黙する」となった

 

黙る(だまる)と黙す(もだす)の違い

黙る(だまる)はもともと話していた状態から言葉を発さなくなる

黙す(もだす)はそもそも話しておらず静かにすること

 

現在すでに「まじ」は若い人は使っていない 金原ひとみ

2026年6月29日月曜日

第27回NHK全国俳句大会④&第27回全国短歌大会④

熱き日よしがみつくでは反発が

陶枕(とうちん)や神に試され見放され

夏の風音色違えてサヌカイト

サヌカイト金属音を奏でけり

サヌカイトカンカン石と呼ばれをり

 

NHK俳句 第27NHK全国俳句大会④

大会選者 西村和子 星野高士 夏井いつき 

大会リポート:庄司浩平 司会:小林千恵

 

選者 夏井いつき 星野高士 西村和子 堀田季何 小川軽舟 

井上弘美 小澤實 岸本尚毅 神野紗希 阪西敦子 和田華凜 高野ムツオ

龍太賞 選考委員 髙柳克弘

 

題詠 自由題 龍太賞

 

自由題

岸本尚毅選

三十の牛へ十五の扇風機   高尾一叶(いちか)

(季語は扇風機 新しい季語ができて古い季語がなくなるということで

 「牛馬冷やす」ということで夏の季語があるので この句を歳時記に

入れる時に「扇風機」に入れるのが素直だがもしかすると「牛馬を冷やす」

の例句で入れてもいい 岸本)

 

坂西敦子選

芹ぬきし砂のひとすぢ流れけり   坂本たか子

(そこにずっとあるのに自分が今気づいた時の詠嘆が「けり」「あっ流れた」

という瞬間の感動を「けり」ですくい取っている 夏井)

 

神野紗季選

蝶生まる万の複眼万の日矢   葦屋蛙城(けいじょう)

 

和田華凛選

万緑の中に緑の勢力図   宮尚(みやなお)

 

星野高士選

ゆつくりと夜をまはしてゐる金魚   可笑式

(時の巡りもまんじられる 西村)

 

当日句 テーマ詠「坂」 選者 木暮陶句郎

油照の坂やマイケルの余裕   庄司浩平

 

特選

花時やむかし渋谷に富士見坂   

https://www.youtube.com/watch?v=Uvh2s2AX8VI

 

龍太賞 

選者 岩岡中正 宇多喜代子 片山由美子 高柳克弘

 

「晴を待つ」会田繭

https://www.n-gaku.jp/public/life/zenkokutaikai_27th_haiku

 

連作を鑑賞するポイントは?

お互いの句がもたれ合ってないのが良い 

一句一句が独立しているそれが重なっている 底辺にあるものは一緒 星野

同じような地域で作った句を季節の移り行きに従って纏めている 西村

一句目の世界が脳の中 眼球の中に残っていることを踏まえて

次どの句を持ってくるとどちらも得する世界を紡いでいけるかが

基本の考え方だと思う 夏井

 

大会大賞

大口の真神の息や月氷る   清正風葉

ゆつくりと夜をまはしてゐる金魚   可笑式

三十の牛へ十五の扇風機   高尾一叶

 

次回の題「間」

 

NHK短歌 第27 NHK全国短歌大会④

俵万智 荻原裕幸 寺井龍哉 司会:石井かおる

 

選者 

永田和宏 俵万智 山崎聡子 荻原裕幸 小島ゆかり 小池光 

木下龍也 佐佐木頼綱 永田紅 松村正直 米川千嘉子 寺井龍哉

 

自由題

荻原裕幸選

躾けられ覚えし箸の持ち方で小さき母の骨を拾ひぬ

森田文康(人生の短さと残していくものの長さが交錯している

     躾けていた時の母は大きな存在だった 

絶対的な存在が小さくなっている 寺井

     一場面だけれど長い時間が表現されている 俵)

俵万智選

対岸の母は手を振る父の撮る動画にゆれて残る二人は

水の眠り

 

動詞の使い方についてのアドバイスは?

(動詞は)3つまでとよく言われるが歴史的名歌でも破っている歌もたくさんある

大海の磯もとどろによする波われてくだけてさけて散るかも 源実朝

散々動詞を重ねてそれによって迫力が出ている

セオリー 作法はいろいろあるかもしれないがあえて破ることにも可能性がある

動詞は強いので1つ入れるだけで歌の方向性が決まってしまうところもあるので

選ぶのが難しい 寺井

佐佐木幸綱先生が「現代は短歌が運動不足だ」もので語ることは割とあるが 

動きで語ることは中々難しい それができた時の躍動感 

すごく作り甲斐のある事 俵

動詞の数を常に数えるくらい慎重な感覚でやった方が良い 荻原

 

永田紅選

紙の辞書引いて寄り道右左そして私が編まれていった 永田加代

(三浦しをん著「舟を編む」が選者のく力出てこなかったことに吃驚…。

以外でしかなかった…。)

 

近藤芳美賞(151組での作品として審査)

選者 大辻隆弘 栗木京子 小島なお

受賞作「しずくを進む」鈴木ベルキ

https://www.n-gaku.jp/public/life/zenkokutaikai_27th_tanka

 

3首目 

父の手の皮膚は冷たくやわらかい和菓子のようだ薬を塗れば

6首目

楽器屋の前を通ればいつだってちょっと無敵な自分を思う

10首目

言い訳をいくつかほかに用意して父の両手に塗りこむニベア

13首目

銀色のしずくを進むかたつむり明日のことはひとまず置いて

 

連作を作る時のポイントは?

歌を置く場所によって歌の見え方や輝き方がよりよくなる場所を探す

足し算ではなく掛け算になる並べ方が出来たらベスト

ストーリーがあると読みやすいがつきすぎるとつまらなくなる

歌と歌の間のジャンプの加減もあった方がより良い 俵

連作の場面とか状況を説明するためにあった方が良い歌もある

それをどう配合配列するか 寺井

あまり良くない歌があると読んで楽しい気分にならなくなっちゃう 荻原

説明のために作りました という歌はやめておいた方が良い 俵

 

木下龍也選

一枚の紙が手紙になるようにあなたに会って人間になる

中戸えさう(心憎い大きな言葉の発見 普遍的なことを表現しているうまい歌 俵

      助詞の「に」が結構多い歌 「に」の粘着性があってこそ つないで

      最終的に「人間になる」に着地できるから必然性のある助詞 木下

      この歌の「に」は「と」に置き換えられる

      「に」自然な流れを表す「と」意外性結果を強調したい時人為的な時 俵

      同じ音が積み重なることによってリズムを持って突飛にも思えるような

比喩が「に」の繰り返しによってすんなり受け止められる)

 

山崎聡子選

あなたから届いた文の束副葬品の箱に入れたり

屋敷和賀子(「手紙」ではなく「文」

      「副葬品」という言葉も古代の埋葬を想像させる

      名詞の斡旋でこの人が「あなた」の死を凄く尊く思っている

      「入れたり」の「たり」も効いている 

      文語で収めたところも生き届いた表現だと思った)

 

大会大賞

笠智衆が洗濯物を干してゐるラストシーンのやうな秋の日

荻原信子

野菜室の奥のおくから一本のぼんやりとした茄子が出で来ぬ

松浦富美子

出席簿の欠席理由に「あわび口開け」の文字あり水産高校

髙鳥ふさ子

 

・いちご摘み

地に落ちて蜂の棲まない蜂の巣に染みこんでいく早春の雪

武田歩

たましいを祈りを時を託さんとトックリキワタの白が舞い落つ

屋良健一郎(好きな歌人 佐々木幸綱)大学教授

トックリキワタの木が白く綿を揚げているという姿を見て

(木が聞いてきたこの土地の時間 人々の祈りみたいなものを

託されているような気がした 自分も受け継いでいけたらなと…。)

和歌を通じた日本と琉球の交流史

26回現代短歌新人賞

どれくらい食べれば傷を癒せるか「食べなさい(かめー)

食べなさい(かめー)と迫る嫗(おばあ)

屋良健一郎歌集「KOZA(ながみ書房)より

摘んだのは「落ち」平和への祈りが聞こえます

 

次回の題「間」

2026年6月28日日曜日

あの本、読みました? 辞書

夏の朝ゴミ収集車追いかけん

夏の陽よ動かぬ脳よ身体よ

夏の夕疲れのピーク迎えをり

髪洗う勘違いかも知れないが

夏の夜や思考停止となりにけり

 

■あの本、読みました?引いても読んでも楽しく深い「辞書」~新しい言葉の見つけ方

鈴木保奈美 山本倖千恵 飯間浩明

 

ベストセラー「舟を編む」は辞書作りの常識を覆した!?

「舟を編む」三浦しをん著/光文社文庫

 

辞書編集者の仕事

   ことば集め

 

最近見つけた新しい言葉

   寄りかかり(駅の用語)動詞を名詞にしている

   とろたま とろっとした卵 ふわとろプリン

 

飯間さんの日常「言葉探し」

 

・本好きさんと本屋さんぽ 今回のテーマ「気になる言葉」探し

最初は辞書コーナー

「大人ことば辞典」から抜粋 ことば探求社()/青春出版社

お口汚し

人に料理を勧めるときに、へりくだっていう言葉。

「ほんのお口汚しですが」、

「お口汚しにいかがかと思い~」などと使います。

本来は、食べ物が少ししかなく、

「お口を汚す程度しかありませんが」という意味

 

口添え

脇から言葉を添えること。

「お口添えいただければ、幸いです」など。

 

ひとくさり

話のまとまった一区切りのこと。

「自慢話をひとくさり聞かされました」など。

 

近年は工夫を凝らした様々な辞書が出版されている

Basicな国語辞典はなぜこんなに種類があるのか?

数多ある国語辞典の選び方

三省堂 新しい言葉を取り入れている

学研 知性と表現力を磨く

明鏡 恥ずかしくない言葉遣いができますか やばい‼若者をターゲットにしている

明鏡 いちご【苺】〔名〕

   赤く熟した果実を食用とするバラ科の多年草。

またその果実。栽培品種が多いが、ふつうオランダイチゴをさす。

果実は菓子・ジャム・ジュースなどにも用いる。ストロベリー。

 

岩波 いちご【苺】

   多く、一口大で赤色の表面に小さな種が多数ついた果物。

   また、それを取るために栽培する多年草。

岩波国語辞典は昔から使われていた言葉も載せている

 

三省堂 いちご[()

    赤い、小形のくだもの。やわらかくて、表面にぶつぶつがある。

すっぱくてあまく、ミルクの味と合う。「―ジャム・―大福」

 

辞書コーナーの楽しみ方

罵詈雑言辞典

 

「舟を編む」三浦しをん著/光文社文庫

あまり気にした事もなかったが、用途に合った様々な紙が

日夜研究開発されているらしい。

試作品の紙をためつすがめつしていた馬締が、突然叫んだ。

「ぬめり感がない!」岸辺と宮本はびっくりし、

思わず身を寄せ合うようにして馬締を見た。

「ぬめり感…?」歯痛を起こした芥川龍之介、

といった感じに、馬締は難しい表情だ。

「岸辺さん中型辞書を持ってきていただけますか。

『広辞苑』がいいでしょう」馬締の言いつけどおり、

岸辺は書棚から大机へ『広辞苑』を運んだ。一番新しい版だ。

「ご覧ください、宮本さん」『広辞苑』のページを、馬締は指の腹で

一枚一枚めくった。「これがぬめり感です」

 

今の小説では使われなくなった言葉

鬱陶しい

若い人はうざい・向こうに行け

以前は天気を表す言葉だった

三省堂 うっとうしい[(うっとうしい)]⦅形⦆

   空がくもって心がおしつけられるようだ。「―梅雨の季節」

   心が晴れない。「―顔」

   わずらわしい。じゃまな。「―作業・何度も言われるのはー」

 

本屋さんぽは小説コーナーへ 小説は言葉の宝庫

「半沢直樹1オレたちバブル入行組」池井戸潤著/講談社文庫

大店 銀行金融関係では おおだな⇨おおみせ

三省堂 おおみせ[大店]規模の大きな店。

「支店の中でも有数のー」☞おおだな(おおみせ)

 

「舟を編む」の物語の中に辞書の出版社全体を動かした内容が!

「舟を編む」三浦しをん著/光文社文庫

「さらに変なのは恋愛的な意味での「愛」について説明した、②の語釈です。

「②異性を慕う気持ち。性欲を伴うこともある。恋。となっていますよね」

「なにかおかしいでしょうか」

馬締はすっかり自信をなくした様子で、岸辺の顔色をうかがってくる。

「なんで異性に限定するんですか。じゃあ同性愛のひとたちが、

ときに性欲も伴いつつ相手を慕い、大切だと思う気持ちは、

愛ではないと言うんですか」

「いえ、そんなつもりはありません。しかし、そこまで細かく

目配りする必要が…」「あります」

 

「舟を編む」が辞書編集者の考えを変えた

足を向けて寝られない

 

辞書作りで最も大変な作業「語釈」ちは!

 

辞書探しのお仕事 ②辞書に載せる言葉を抜き出す

最近辞書に追加された言葉

   世界線 ②ホニャララ ③ワンチャン

せかいせん[世界線]

   〔いくつかの中から選ぶ〕世界の進む方向。「別のーに行く」

〔コンピューターゲームの「シュタインズ・ゲート」から

二〇一〇年代に広まったことば〕☞〔理〕

〔相対性理論で〕点と考えた物体が、四次元の時空で動く軌跡。

 

   ほにゃらら[ホニャララ]〔俗〕ことばをぼかすときや

   ふせられた文字を読むときなどに使うことば。

   何々。「―パーセント」〔一九七〇年代、テレビのクイズ番組

「ぴったしカン・カン」か出たことば〕

 

辞書探しのお仕事 ③言葉の説明を書く【語釈】

「愛」の語釈

私 見返りを期待しない奉仕

 

山本 許す心

鈴木 対象を大切に思う気持ち

 

三省堂

*あい[愛]

①〈相手/ものごと〉を大切に思い、

できるかぎりのことをしようとする気持ち。

   恋を感じた相手を、特別で、大切な人だと思う気持ち。「-の告白」▽(→憎)

   心からいい、すてきだ、と思う気持ち。「カメラへのー」☞愛する

 

こい[恋]人を好きになって、会いたい、いつまでもそばにいたいと思う、

満たされない気持ち(を持つこと)

 

AINet検索が普及する今 辞書の役割は何だと思うのか?

辞書スペシャリストに聞く

現代に辞書を作り続けている意味

 

・本屋さんぽ 気になる言葉 雑誌コーナー

ゴリラ+クジラ=ゴジラ

ビジュ

まろみホワイト

 

気になる一冊

飯間浩明「ar

鈴木保奈美「罵詈雑言辞典」