髙島屋を詠む
(髙島屋)夏の風時空を超えた空間よ
夏の雲景色一目髙島屋
(髙島屋)夏空を象のたかちゃん今もなお
蓮の花瞬時に歴史ミルフィーユ
日本橋のコンポジション夏館
■NHK俳句 兼題「ソーダ水」
選者:小川軽舟 ゲスト:桂吉坊 司会:柴田英嗣
年間テーマ「暮らしを思い出す」
桂吉坊
自分は俳句を作らないけど 落語の中には川柳や俳句も出てくる
小川
吉坊さんの「そってん芝居」という落語を聞いた 芸達者な人だなと思った
「そってん芝居」:落語の演目「芝居噺」の一つ 床屋が客の頭を剃りながら
芝居噺に興ずる剃刀を片手に「忠臣蔵」を熱演
桂吉坊
支障の吉朝が大師匠の米朝が覚えていた噺を復活
「お前が言っている言葉でお前は見えているのか」自分が見えていない景色を
しゃべっても それで聞いているお客さんは分からない
小川
俳句に通じる話ですね 俳句も作者がもっているイメージをどうやって
読者に伝えるかで言葉を選ぶ そもそも作者が伝えたいイメージを
見えていないといけない 「お前に見えているのか」というのを
今度 句会で行ってみたい
兼題「ソーダ水」
炭酸飲料は何でも夏の季語になる 「ソーダ水」という独特のイメージが立つ
私は小さい頃に飲んだクリームソーダ グラスに入った緑色のイメージ
弾けるような明るい若々しいイメージ
グラスにつがれて恭(うやうや)しく店で出てくるイメージ
荒井由実「海を見ていた午後」の中にイメージ通りのソーダ水が使われている
♪「海を見ていた午後」荒井由実(1974年)
ソーダ水の中を貨物船が通る
桂吉坊
炭酸水が苦手 グラスの中を進んでいるように船の影が見えるいい景色
柴田
ソーダ水というと柔らかくて儚いイメージもある
名句鑑賞
ソーダ水待たされてゐて疑わず 鈴木榮子
暮らしの一場面がパッと見えてくる句 ソーダ水の季語は恋に似合う
この句も恋の句として読むのが自然 待ち合わせ時間が来ても
相手がやって来ない 昭和の時代に作られた句なので携帯電話も
メールもない ないさら一途な相手への思い 待つことの切なさを歌った句
一生の楽しきころのソーダ水 富安風生
懐かしむアイテムとしてソーダ水がある
太平洋戦争が終わってすぐの頃に詠んだ句 富安は既に60歳代
若い頃を懐かしんで詠んだ句 ソーダ水が季語になったのは
大正から昭和の初めにかけて 大正ロマン 昭和モダン
和洋折衷の近代市民文化 ハイカラな文化に対する憧れが
ソーダ水にまとわっている ほろ苦さが出ている
桂吉坊
憧れは未来に対しての感じ この句では楽しかった過去の事
時間を超えてる感じが面白い
サイダーや有給休暇もう夕日 小川軽舟
サイダーも似たような炭酸飲料 ソーダ水と同類に扱っていい
サイダーというとソーダ水と見えてくるイメージが違う
冷蔵庫に冷えていてコップについで飲む 家庭的なイメージ
桂吉坊
せっかく取れた休みなのにもう夕日 何してるの?
ほろ苦いっていう事
小川
やっととれた有給休暇やりたいことがいっぱいある
あっという間に1日が過ぎてサイダーに夕日が射している
切ない名残惜しさを詠った
・暮らしの中に俳句のタネを見つけよう
動くまで亀を見てをり夏の雲 小川軽舟
「見たものを写生しなさい」と言われるけど 亀を見て「甲羅干ししてる」
とか詠んでも面白い句にならない そういう時に作者を出してみると
臨場感が出てくる
「動くまで亀を見てをり」とすると亀が動いていない事も分かる
時間を持て余してやるせない作者の感じも読者に伝わる
・特選三席 兼題「ソーダ水」
一席 ふるさとへ渡船七分ソーダ水 大下高明
二席 ソーダ水みな将来の夢をきく 嶋津奈(だい)
三席 君のゐし未来なつかしソーダ水 池田宏陸(ひろむ)
・特選句 兼題「ソーダ水」
遅刻魔の友待つ午後のソーダ水 杉本ありさ
ソーダ水まんまと本音聞き出しぬ 松川歩美
サイダーや天然芝のドッグラン 猪田宗孝
上京のハチ公前のソーダ水 亜灯(あとう)りりな
ソーダ水個人情報明かし合ふ 吉田真稚恵
初恋の人も白髪ソーダ水 深澤一華(いちか)
・落語家 桂吉坊さんの一句
喉元を波打ち泡が踊りこみ 桂吉坊
自分が初めて飲んだメロンソーダを思い出し詠んだ
「踊りこみ」って落語にも出てくる泥棒の事
「おどしこ」が語源らしい 要は押し込み強盗
それを思い出すぐらいの無理やり喉元に入ってくる感じ
泡が入っていく喉元がいいと皆が言う 凄く心躍る感じだと想像する
その2つの意味がある
小川
「踊りこみ」という言葉がおもしろい
句として成り立つためには五七五の中に
「ソーダ水」という季語を入れないといけない
「波打ち」「踊りこみ」がそれぞれ強い言葉
「踊りこみ」が一番面白いポイントとしたい
その手前はちょっとさらったした方がいい
添削
ソーダ水喉に泡立ち踊りこみ 桂吉坊
「踊りこみ」が生きるよう「喉に泡立ち」で少しさらりとさせた
・とびだせ!教室俳句
千葉大学教育学部付属中学校 大澤由紀先生
五月雨を集めて□最上川
「五月雨を集めて早し最上川」という作品になる前の段階が
「五月雨を集めて涼し最上川」だったんだって
推敲とする前と後とでどう違ってくる?
推敲を楽しむ
涼し:雰囲気 早し:情景描写
追加情報
松尾芭蕉は5月に最上川を訪れた
句会で「集めて涼し」と詠んだ
句会の数日後に川下りを体験
自分の体験を生かした俳句に挑戦するそうです。
■NHK短歌 題「来」
選者:大辻隆弘 ゲスト:中島京子 司会:尾崎世界観
年間テーマ「伝統的なことばを生かして」
中島京子
父が志摩三平という筆名で歌を詠んでいた
旧制高校時代から死ぬ直前までやっていた
でも私は娘なので短歌から遠ざかっていた
近づかないようにしていた
今月のポイント
「動詞~終止形の切れ味~」
動詞は後ろに言葉が繋がることで変身していく
走る+ない=走らない
走る+て=走って
走る+とき=走るとき
文語は変身するパターンが今の言葉と違う
ちょっと違う変身の仕方がかっこいい新鮮
常磐線わかるる深きカーヴ見ゆわれに労働の夜が来んとして
岡井隆「斉唱」
岡井隆が医学部の学生だった時の歌 彼は昼間は学校に行って
夜は医療所でボランティアをしていた それが荒川区にあった
病気の人に対峙をして その人々に何か語らなければいけない
緊張感や決意が出ている 若い時の気負いのある歌
「見ゆ」言い切りの形 そこで文章が切れる 終止形
「見ゆ」が凄くシャープ 文語ならではの終止形の切れ味
中島
昔の言葉はリズムがすごくある 歌のための言葉でもあるので
読み上げた時に生かされるような言葉の使い方がある
・入選九首 題「来」
あげ玉を天かすという日々になりあなた由来の言葉ふくらむ
黒木智栄美
遠きより薬背負ひて来し人は幼き吾(われ)をおぼえてゐたり
富永英二
久々に会いたる人がイヤホンを外してわれの方に歩み来
大津穂波
ゑんどうの上にひろがる空を踏み黒き長靴ずずんと来たり
水野芳
来店の階段降りる靴音にいつものモカの火を整える
古関聰(あきら)
一席 「また来てね!」「お前が来いよ!」青年の声が響き渡る商店街
友常(ともつね)甘酢
二席 将来の中に静かにいることに耳のうぶ毛を撫でる春風
小川拓馬
来週に行く駅ビルに若き頃働いていた書店がありぬ
佐藤綾子
三席 力もて平和を語る時代来つ 子を持たぬ吾の薄き唇
新井正記
・短歌魔改造ラボ
雨の名前をいくつ覚えて膝上に辞書をひらいて六月は来る
中山史花
6月はブルーな感じがする雨の多い季節 五月雨 荒梅雨 青梅雨
ずっと6月が来ないかなと思った時に
やっと6月がやってくるそういう感情を歌っている
6月に対して非常にポジティブ
添削
膝の上に辞書をひらきて雨の名をあまた覚えて六月は来つ
第3句4句の「辞書をひらきて」を先の持ってきた
多分辞書を開いて覚えたのではないか だから先に
「辞書をひらきて」をもっていったほうが流れとしては自然
言葉が詰まっているので字余りになっても「膝の上」として
初句はゆったりと出る
「つ」の助動詞はやっと待っていたものが来たというニュアンスがある
・「堤中納言物語」中島京子著
作中の和歌を現代短歌に訳す時気をつけたことは?
だいたいは和歌の解説みたいになる それだと勿体ない
五七五七七のリズムは日本人が大事にしてきたリズム
それを残したいと思った
大辻
五七五七七のリズムは意味を伝えやすい
自分の思いが乗りやすい そういう器
プレイボーイが女の人に総スカンをくらって
悔しまぎれに帰っていく時の歌
元歌
百かさね濡れ馴れにたる袖なれど今宵やまさりひちて帰らむ
中島訳
幾重にも涙に濡れた袖だけど さらにびしょぬれ 今日は帰るよ
文語だと何もかもが高尚な気がしてしまう
これはコメディーなので笑えるようにした方がいいのではと思った
「堤中納言物語」を訳すことで 小説家として気づきはあった?
これは日本で一番最初に作られた短編集 アンソロジー
編集者がいる 読んでいるとその編者の好みがよく分かる
通奏低音のようにおかしみがある
大辻
短歌の場合 基本は一種の歌を頑張って作る でも発表する時には
連作にして発表したり 歌集にしたり 編集する
短歌一種作るのも大変だがどう並べるかは本当に難しい
それが逆に面白い
中島
「堤中納言物語」は教科書。
短編と中長編どっちがやりやすい?
長編の方がちょっと苦しい 長編は
「この長編はどこへ私を連れて行くの?」みたいなところがある
・いちご摘み
剥がせない過去があなたに燃えるたび合わせ鏡のようにさびしい
石村まい
⇩
回りつつ日焼けする月アルバムのあなたはらしくなく笑ってる
丸田洋渡(好きな歌人 今橋愛)
俳句と短歌ともに新人賞は出していて
結構落ちることばっかりだったんですけど
もう新人賞にとらわれない自由な創作をしたいと思って
これで最後にしようと思った賞が❝新しい歌集選考会❞の応募だった
5百種を選りすぐった
薔薇と蜂 製氷室に蜂がいる 薔薇の溢れる製氷室に
いい意味でぼんやりしている歌が多い気がして
いつもの石村まい節が出てるなと思いました
月は日焼けしない訳なんですけど
でも太陽にずっと当たってるわけなので 月も日焼けするだろうと
普段笑わない人だけど笑ってる写真が残っている
遠ざかる過去のもどかしさ…。摘んだのは「あなた」
