愛(かな)しみ美(かな)しみ哀しみを持ちて夏
走馬灯生れた日から嘘つかれ
騙されてまた騙されて夏の波
夏の月嘘の世界を生き続け
笑顔まで嘘にまみれた夏の星
■日曜美術館 私とルオー2026福岡伸一
20世紀最大の宗教画家と呼ばれるジョルジュ・ルオー(1871-1958)。
敬虔なカトリック教徒だったルオーは、
深い信仰を背景に人間の苦悩や慈悲など普遍的な魂のあり方を描いた。
日曜美術館では「わたしとルオー」と題して過去何度もルオーを特集、
その孤高の生きざまと作品の魅力を多くのゲストが語ってきた。
今回「わたしとルオー」を語るのは生物学者の福岡伸一さん。
科学の視点からルオーの描く「光」の秘密に迫る。
聖顔1939
福岡伸一
科学も美術も人間の営みとしては志は一緒
科学にとって美術は友達
殆どの画家はものを見て反射光を見て絵を描こうとしている
ルオーは透過光でものを見たら どういう風にみえるかに
だんだん到達していった
反射光
光源(太陽や照明など)から発せられた光が、
物体(水面、壁、地面など)の表面に当たり、
はね返る現象や、そのはね返ってきた光のこと。
透過光
光源からの光が物質を通過して反対側へ抜けてくる光のこと。
物体そのものが発光しているように鮮やかに見え、
ステンドグラスやレントゲン写真、お札の透かし、
水面越しの景色などがその代表例。
モルフォ蝶
北アメリカ南部から南アメリカにかけて80種ほどが生息する大型のチョウの仲間。
"Morpho" は、ギリシャ語で「形態」を意味し、
アプロディーテーおよびウェヌスの形容語句でもある。
Wikipediaより
1871年パリ 貧しい家具職人の家に生まれた
生活苦のため14歳で職人の道へ
弟子入りしたのはステンドグラスの工房
ルオーにとっての原風景となる
画家への道を諦めきれず19歳でパリ国立高等美術学校に入学
そこで ギュスターヴ・モロー(1826-1898)に指示する
ルオー27歳の時 モローが病で亡くなる
ルオーの深い愛情と後押しをよりどころを失ったルオー
自分の進むべき道を見失い以降長らく絵筆をとることができなくなる
5年後 再び筆を持って描いたのは❝サーカス❞(1905)
愁いを秘めた表情❝娼婦❞(1906)には暗い影が落ちていました
ルオーは社会の終焉に追いやられた現実の人々へ
真っ直ぐなまなざしを向け人間の心の奥底にある何かを描き出そうとした
奈良岡朋子
道化師(1925-29)
目が道化師 人に笑いを売る風には見えない
良いものと悪いものを見極めようとする鋭さを感じる
蜷川幸雄
宗教画のような聖なる輝き 卑俗な人々が結果として聖なる輝きを帯びてくる
聖なる輝きという部分を拡大して描いている
聖顔(1933)(1937)(1939)(1946)
福岡伸一
公平な光で照らし出されるとあらゆるものが平等
遠藤周作
キリスト教の信者で小説書いたりする 矛盾したとこがある
ルオーの絵を見ていて同じ問題が隠れているような気がした
鹿島田真希
「聖顔」を描くってある意味受け身な作業だと思う
自分の描きたいディテールを描けない
ただ顔を描くというシンプルな作業
シンプルだけど難しいことをしている
山本容子
人の顔とサイズが同じ 神様が人と同じでここにいる
絵を描くことが祈であって そこで信じていることを描いている
福岡伸一
それぞれのものの内側にあるものをつかみ取っていく
そのための力を信仰が与えてくれる それが求道
それを続けていったのがルオー
空からの光によって照らし出される内面を見るとすべて人は平等な人間
透過光で見るとすべてのモチーフがキリストに近づいていく
福島慶子
❝おしぼり❞だけは日本語を覚えまして「おしぼりシルブプレ」
クリスマスで大事件が起こっちゃった 火事を起こした
自分の絵を見ると気に入らないところを自分で直したい衝動に駆られる
福島葉子(慶子さんの娘)
8つか9つの時にルオーに描かれたのは「裁判所のキリスト」(1935)
野見山暁治
ルオーの生き方に共感
(描きたい形が)あるんだけど 描くとうそなんですよ
こういうものという願いがあって 形がかなり明確に出ているけど
描いたらうそになる
動的平衡
生命の核心を解くキーワードです。
私たちの体は常に分子や細胞を分解・合成し続けており、
一見同じ姿を保っているように見えて、
実態は絶えず入れ替わる「淀み」のようなものであるという生命観を指す。