幼気(いたいけ)な子に吐く言葉くされ潮
逆境を力に変えた熱き日よ
赤珊瑚光求めて夏を行く
赤珊瑚膨らみしぼみ歩く夏
珊瑚礁人の手借りて生きる夏
■NHK俳句 兼題「七夕」
年間テーマ「語ろう!俳句」
選者:高野ムツオ ゲスト:小坂大魔王 かわにしなつき
ゲスト 加藤右馬 片山由美子 司会:柴田英嗣
①
七夕や蝙蝠(こおもり)傘が立っている 高野ムツオ
②
風のたび靴を揃へる七夕夜(よ) 小坂大魔王
③
七夕や隣の部屋の鍵の音 加藤右馬
④
七夕竹風の中より伐(き)ってくる 片山由美子
⑤
七夕や願い彩れば叶ふかも かわにしなつき
七夕というのは和歌の時代から前提になるのは恋
それからもう一つは夜 それが前提なので③は恋の句だと思う 片山
七夕竹:「七夕」に付随した季語の一つ
願ひ-叶ふ(旧仮名遣い) 願い-叶う(新仮名遣い) 新旧を混ぜない⑤
「かも」を取って 「七夕や願を彩れば叶う」片山⑤
俳句では「や」「かな」などの切れ字は一句に2つ以上使わないのが原則
「七夕や玄関に靴揃え置き」片山②
「七夕や靴を揃える風のたび」高野②
・特選三席発表 兼題「七夕」
一席 始まらぬ恋こそ楽し星祭 穐山(あきやま)やよい
二席 七夕や妻はいつもの寝息立て 品川雅史
三席 撤去待つ公衆電話星祭 佐藤茂之
兼題「七夕」特選
配膳ワゴン七夕竹をくぐりゆく 大岩摩利
七夕や君の自転車押しながら 三村文利
園長もひらがなで書く星祭 中島正則
七夕の雨ハチ公を打ち続け 多々良海月
ゆさゆさと七夕竹の下校中 角田球
七夕の低き短冊緩き紐 長谷川量可
■NHK短歌 テーマ「月」
年間テーマ「わたしの宮沢賢治」
選者:平岡直子 ゲスト:柴田聡子 司会:尾崎世界観
宮沢賢治は国民的作家であると同時に異端の作家 平岡
「銀河鉄道の夜」で賢治の魅力に浸かった
この世の中苦しいこと悲しいことがいっぱいある
作ること 働くこと 信じること
笑うことで立ち向かっていった人 柴田
「月」は宮沢賢治の凄く大事なモチーフ
月は見る人によって姿が変わるものだから歌の題材として面白い
いざよひの月はつめたきくだものの匂をはなちあらはれにけり
宮沢賢治
どこかちょっと怖いところがある
月を近くに感知していて距離が近いから
月がありえない距離まで迫ってきている
・入選九首 テーマ「月」
月に行ってみたいと思う、若いから無理だと思う、浅くて、夜が
菊池茎
医師たちがギターとピアノを弾いている月に一度の院内広場
中路修平
止めないで助手席にいる私が素手で二月を掴んだとして
青木日向子
二席 でもやっぱ白いワンピが着たいのね月面に旗突き立てる日は
中村うおなみ
君の打つ月の絵文字に顔がある 別れた後で怖くなりそう
富尾大地
真夜中に父が観ていた白黒の画面に映る月に人間
廣瀬明子
晴れた日の何でもできる感じとか月に帰っても忘れないでね
つきこ
三席 体脂肪も教えてくれる体重計 月で好きって言ったら死ぬの?
大森豊寛
(月の重力(表面引力)は、地球の約6分の1(正確には約0.166倍、約 1.62 m/s²))
一席 ただ単に量をこなしただけなのに皆才能だって言う半月よ
大野美波
・私の宮沢賢治
空を見上げている人だという印象 空を近くに引き寄せる感覚
空との距離感が歪むことによって 現実というものの縮尺も歪む
ちばしれるゆみはりの月わが窓にまよなかきたりて口をゆがむる
宮沢賢治
月が真夜中に自分の窓を訪れてきて口を歪めて見せている
賢治は月に自分を投影していたのかなと思った 柴田
窓が何か反射するものだということを考えると
自分の顔を見ているのかもというのは凄く説得力がある 平岡
よるのそらひとあらはれてかなしきはとこやのみせのだんだらの棒
宮沢賢治
だんだらの棒:サインポール=人体の象徴 赤と青が動脈と静脈 白が包帯
賢治は生命を物事に見出す人 平岡
命は賢治にとってのキーワード 柴田
あかるくて冷たい月の裏側よ冷蔵庫でも苺は腐る
平岡直子
最初にご紹介した賢治の月の歌と原材料がほとんど一緒
いざよひの月はつめたきくだものの匂をはなちあらはれにけり
宮沢賢治
柴田
賢治の地下さよりもっと近くした感じ
私たちが見てる面と変わらずに冷たいのだよ
夢からも一回醒めさせられてもう一回物凄い近い家の冷蔵庫まで来る
そこで腐った苺まで来る 近さのズームイン
逆方向の展開がされていて面白い
・いちご摘み
回りつつ日焼けする月アルバムのあなたはらしくなく笑ってる
丸田洋渡
⇩
見えざりし利手(ききて)が地球回しおり梅雨の国に指湿りつつ
廣野翔一(好きな歌人 佐藤弓生)
いろんなところで少しずつ短歌の歴史って更新されていると思うんです
僕はそういうところに居続けたい 短歌史の証人になりたいと思っています
カティサークの瓶に挿したる花は部屋を、この玄冬の日々を変えざりき
「短歌研究」2022年5月業より
短歌なしの人生をやってたかもしれないんですけど
今の10倍くらいはつまらなくなっていたんじゃないかと思います
前回の短歌は2つの時間とそれぞれのディテールが
奥行きを作っている歌なのかなと思いました
もしもこの世に神がいるんだったら この地球も回していると思うんです
雨の時期の日本列島に触れた時に神って この日本列島という国が
梅雨の国だと思うんじゃないかな 利き手がちゃんと地球を回してる
手触りみたいなものを感じさせたいところはありました
摘んだのは「回す」見えない手の持ち主は?
