2026年9月14日月曜日

兼題「蜻蛉」&テーマ「私のなかのもう一人の私」

秋の寄付詐欺師の肥やす私腹かな

秋湿り使途不明あり赤い羽根

秋黴雨テレビ募金の抜き取りが

横領や着服重ね秋渇き

中抜きされる善意の資金残暑

 

NHK俳句 兼題「蜻蛉(とんぼ)

選者:星野高士 レギュラー:松井玲奈 司会:柴田英嗣

年間テーマ「虚子の近代俳句」

 

今月は「俳句から小説へ」

此土手で追ひ剝がれしか初桜   夏目漱石

 

漱石は先に俳句の才能を評価された

夏目漱石(1867-1916) 22歳のとき 

第一高等中学校で同級生の正岡子規(1867-1902)と出会う

漱石の俳句は斬新で奇想天外 芝居がかっているのが多い 星野

この句は映像的 物語が始まるような動きを感じる 松井

自分の境涯が写生句に入っている

初桜:その年に始めてみる桜

子規は「滑稽味がある」と評価

 

挨拶や髷(まげ)の中より出る霰(あられ)   夏目漱石

霰:冬の季語 大事な集まりで挨拶したら髷から霰がポロっとこぼれた

クスッと笑ってしまう句

 

物語には緊張と緩和が大事と監督から教わった 松井

漱石の人と違った目線を子規は評価した 

しかし子規は漱石の3分の2にダメ出しをした

 

高浜虚子(1874-1959)

 

1900(明治33)年 漱石 イギリスへ留学

1902(明治35)年 子規 結核を患い死去

1903(明治36)年 漱石 イギリスから帰国

1898(明治31)年 虚子 雑誌「ホトトギス」を引き継ぐ

 

虚子が漱石に「長いもの(文章)でも書いたら?」

「吾輩は猫である」を漱石「ホトトギス」(1905(明治38)1)でデビュー

最初漱石が考えたタイトルは「猫」 高浜虚子がタイトルをつけた

それが「吾輩は猫である」 登場人物の松山弁(伊予弁)も虚子が直した

虚子は自分が小説家として売れたかった虚子

漱石の小説のお陰で「ホトトギス」は結構売れた

「小説では漱石に勝てない」と虚子も思ったかもしれない

虚子は漱石の亡くなった時、電報で弔電を送った

ワガハイノカイミヤウモナキススキカナ   高浜虚子

虚子句集で唯一カタカナだけの俳句

(吾輩の戒名も無き芒かな)

この句の季語は「ススキ」野ざらし ススキは寄る辺(よるべ)ない

戒名のない猫の生涯をススキに見立てた

 

・今週の兼題「蜻蛉(とんぼ)

とんぼ(3) とんぼう(4) 両方ともOK

とんぼは真っすぐ自由に飛ぶ 過去に戻るより未来形と思う

 

赤とんぼ夕暮れはまだ先のこと   星野高士

赤とんぼと一緒に夕暮れになるのは寂しい

夕暮れはもう少し先に延ばしたい

 

・特選三句 兼題「蜻蛉」

一席 里山へ夕日を運ぶ赤蜻蛉   村上修二

二席 蜻蛉の何も決まつてゐない貌(かお)   眩む凡(くらむぼん)

三席 彷徨へる大東京の赤とんぼ   木下風民

 

・特選句 兼題「蜻蛉」

赤蜻蛉島の灯台灯(とも)る頃   名賀孝惠

(はた)仕事終()へて蜻蛉に見送られ   新藤忠司(ただし)

とんぼうや風を探してゐて多忙   広島じょーかーず

私 集落の五軒が空き家赤蜻蛉   後藤久

とんぼうの通り過ぎたる町の午後   森山明

巡礼の先達(せんだつ)となる蜻蛉かな   榧野実(かやのみのり)

 

・松井玲奈 今月の一句

指先をかすめて蜻蛉空を継(つな)ぐ   松井玲奈

説明っぽい 文章っぽくなってる 散文 エッセイ

俳句は切れをもってきたり余韻をもたせてつなげていく

これは「継ぐ」で止まっている 星野 

添削(散文が俳句に消化できる 空間が出る)

とんぼうの指先からも空継ぐ

 

今月のポイント

「散文からも俳句に昇華させる」

 

・はみだせ!教室俳句

千葉大学教育学部付属中学校 大澤由紀先生

玉を打つリング高しや夏まひる

「し」「や」両方で切れた 「リングの高し」「リングは高し」にすると

「や」を入れなくても「高し」で切れている

 

薫風や変わる自分恐れずに

「に」を「を」に 助詞の使い方練れてくるともっと良くなる

 

俳句手帳」を持ち歩くと外の景色を見るようになった

俳句手帳で1年間に蓄積して行った時に学びの足跡が見える

色んな広がりが見られたのが意外な喜びとなった 大澤先生

 

言の葉と戯れし子ら泉湧く   大澤由紀

言葉と遊んでたくさんの感覚を磨いて アイデアが湧いて

表現する楽しみも そんな泉が湧いてくるような授業を目指しています

 

NHK短歌 テーマ「私のなかのもう一人の私」

選者:千葉聡 ゲスト:瀧波(たきなみ)ユカリ 司会:ヒコロヒー

年間テーマ「きょうの放課後 いつかの放課後」

 

我という三百六十五面体ぶんぶん分裂して飛んでゆけ

俵万智

自己肯定の歌 千葉 

力強さと優しさを感じる 瀧波

 

・入選九首 テーマ「私のなかのもう一人の私」

どしらそふぁみれどうなったっていい夜にゆっくりくだる螺旋階段

三月とあ

政治などどうでもよかったあの頃の私を守るための声帯

村崎残滓(ざんし)

三席 根っこごと掘らなかったからまたあなたの若葉だけが芽吹いてしまう

三須絵美

 パーソナルベストを超えた社会性をもって顧客の犬と接する

須山暢彦

呼ばれるは名字ばかり下の名で呼ぶ人だけが知ってる私

寺田智樹

本当はそんなに結婚したくない方の私が頼む焼酎

つきこ

プチプチの本名は気泡緩衝材(きほうかんしょうざい) わたしにも名がふたつあります

星野珠青(たまお)

一席 私 海と空たがいの青を染めあってレシピエントとドナーのように

水沢わさび

二席 ドライヤー強にしてから(もう知らない)(関係ないから)叫べ乾かせ

相内(あいうち)あみ

 

・ちばさとの放課後短歌部

瀧波ユカリさんの「私のなかのもう一人の私」

毒リンゴで握力測定してもいい白雪姫よりカラフルな私

千葉聡

心の中は自由で人に合わせすぎない

 

ちばさとの注目ポイント

意外な自分を見いだす!

 

短歌づくりのヒント

新しい言葉や表現に挑戦すると意外な自分が見いだせる

 

・瀧波ユカリさんが思いを作品にする時に心がけていることは?

最初はぼんやりとした輪郭

モヤモヤした状態を濃縮させていく

自分の言いたいことが一文まで収まったところで

4コマとかストーリーとかエッセイとか

どうやって入れていけばいいのかという作業になる

そこで初めて読者の目というものを意識する

切り詰めたものにプラスしていくという作業になっていく

足りないなって思う時 本屋さんとか自分の本棚の前に立って

適当に1冊スッと出す そこに足りない要素を補うようなことが

書かれてあったりする 

自分では思いつかなかった要素がポッと入ってきてカチっと噛み合う

 

いわゆる「誤配」思いかけずに本に出会うとか文章に出会うって

最近ない ヒコロヒー

ヒントをもらった 千葉

 

・いちご摘み

穴のあいたカーテンを買い替えるとき人生が始まったとおもう

山中千瀬(ちせ)(好きな歌人 寺山修司)

その街のはじまりの名はおしよせる潮のひびきのただそれだけの

佐々木朔(さく)(好きな歌人 山中智恵子)

 

摘んだのははじまり 街が始まったのは遠い記憶

 

朗読をかさねやがては天国の話し言葉に至るのだろう

「往信」書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)

 

短歌やってると周りの人とかも 

就職なんて別にいいやとなりがちというか

裏を返せば視野が狭いみたいな感じの 自分だったらもしかしたら

なってたかもなと思うところはあるので そういう意味では

この人生で良かったのかなと思っています

これはもっといろんな人の人生というか 無数のこの世にある人生が

始まるみたいなイメージも膨らんでくる

家を出てひたすら歩いてみたり 来たバスに乗ってみたりして

 

収録歌より

はるのゆめはきみのさめないゆめだからかなうまでぼくもとなりでねむる

いちめんに銀杏つぶれラブコメの最後はかならずラブが勝つこと

関係を名づければもうぼくたちの手からこぼれてゆく鳳仙花

にしんそばと思った幟はうどん・そば 失われたにしんそばを求めて

香港の十分おきに雨が降る映画のなかの雨の香港

参照:https://www.kankanbou.com/books/tanka/0666


2026年9月13日日曜日

佐久間良子&とさ金 宮前義之

頬伝うあの日の涙秋の朝

西欧は自然征服秋の声

共存す自然と日本秋景色

平等と公平の違い螻蛄(けら)鳴く

(北斎と広重)なお呼気の聞こえる美術展示会

 

■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん

ゲストは佐久間良子さま。

幼少期の疎開先での栄養失調の話には絶句。

ご子息の平岳大氏は米のブラウン大学で応用数学を専攻後、

コロンビア大学大学院へ進学後中退。

2002年の舞台『鹿鳴館』で俳優デビュー。

近年はハリウッド、英国で活躍中だとか。




 






■とさ金 土佐のデザイン 宮前義之

自然×文化 デザイン 物語 

ISSEY MIYAKEのデザイナー

 

人々の暮らしにどれだけ寄り添って豊かさというか

便利とか物質的なことではなくて 生活にそのものが

あることによって よりもっと豊かになっていく心が

モノと人の関係性を作っていくのがデザインの仕事

 

土佐のデザイン

製紙会社と作ったのはストール 空気が入るのですごく軽くていいらしい

素材を生かすシンプルなデザイン 全てコウゾの糸で織られており

優しい質感が味わえる ❝伝統を守りたい❞という思いがあった

土佐市・いの町で和紙作りが盛ん 安い海外産の普及 後継者不足

そこで考えられたのが「紙の糸作り」この挑戦の力になりたい

後継者の自信になった いいものを作ろうと妥協せずに進めば

いいものができていくんだって分かってきて この糸が最後のいちばん

良い糸になるのか ワンステップ上に持っていけるのか 今は未完成

ちゃんと素材を理解しないといけない 苗木から育てた

育てている人たちは当然 素材の良い所も悪い所も全部知っている

新たな機能とか価値を加えることによって そもそも素材が

素晴らしいから どうやったら今の生活に寄り添ったものになるか

そこをもう一度しっかり組み立て直すと 絶対に可能性はあるし

それをやることによって時代に合ったものになっていく

 

土佐古代塗 高知市長浜

ザラ地 

土佐古代塗というのは 一見して分かるように ザラ地というものがある

一般的に思われる漆器と違う土佐古代塗の特徴

ザラ地であることで指紋とか気にしなくていい

傷にも強くて扱いやすい 大雑把というか豪快 細かいことは気にしない

ザーッと洗って また次 使う時には同じように使える

💮見つけたデザイン 気軽に使いやすい頑丈さ

高知県の県民性にも合っている

光の当たる角度によって また色合いが変わっていく

💮見つけたデザイン 表情を変えるザラ地の反射

土佐古代塗を持っているお客様でも押し入れにしまいっぱなしの人がいる

ぜひ毎日使っていただいて 

使いこむことによって その人なりのものに完成する

普段の生活で使っていただくだけで気持ちも豊かになる

💮伝統芸能の手間がかかったものって 高価だったりなかなか

手に入らないものが多い ハレの日とか特別な日しか使わない

日常生活と少し遠いものになってしまう どんなふうに誓っても

言い道具って 今の生活にももっと価値が伝わっていいと思う

 

土佐の街路市 300年の歴史あり

海外とか仕事でその町へ行くと 必ず朝市場とかマーケットに

行くのが好きで そこの町とか国の生活が見えてくるじゃないですか

そういうの想像しながら見るのが大好き (街路市が)300年という

長い歴史なんでそんなに長く続いているんだろうという 大切な

理由があるんじゃないかなって思っていて そういうところが見たい

💮見つけたデザイン 店を出す条件が「生産者」に

人間も動物も常連さん 

話すと元気になるの そういうのあるかもしれない

こうやって買い物する時のちょっとした会話が

話すの8割で買ってくれるの2割でも全然いい

物のやり取りなんて何十秒か それでも全然話に来てくれるだけでも

見えない価値があるんですね

💮見つけたデザイン 同じ場所に同じ店を出す決まり

作り手と買う人のコミュニケーションが見れたのが楽しくて

ものだけ欲しければスーパーや自分の近所 ネットでも買える

あえて朝早く来るのは いつも行くところの人と

顔を合わせて話したいから そういうものが暮らしを豊かにしていく

そういうことの積み重ねなんかじゃないかと思う

 

指先ひとつで買い物ができる時代

また、来たくなる

 

💮デザインって本当に幅広い 物を創るだけでなくて

それを使ってもらう人に届ける 物のただ外側の色とか形じゃなくて

もっと見えない価値 人の姿とか歴史とか 本当にデザインとして

価値があって そういうものがここにあるから 長年続いていくと感じた

 

デザインは人と人をつなぐ 私たちの暮らしに喜びを与えてくれる

 

💮今回 見た和紙の仕事も漆の仕事も デザインが特別な誰かの

ためだけではなくて そこに暮らす人たちの生活に繋がっている

というのは本当に素敵 デザインの仕事の原点がある

高知にあるものに関してみんな人も陽気だし 楽しくて楽でというものを

軸に考えているのが伝わった 美味しいものがあって 言い道具があって

「これだけあればいいじゃないか」そういうものがベースにあるのかな

自然の恩恵の中で暮らしている高知の人たちは 改めて羨ましいと思った

2026年9月12日土曜日

杉本博司&夫婦喧嘩で一句

日美コレ同じBaseを持つ二人

身についた上から目線日美コレ

パソコンと寄り添う時間秋の色

AIと議論重ねる星月夜

長き夜や力抜け落つ午前二時

 

■プレバト纏め 2026910

芸能人夫婦対抗「夫婦喧嘩で一句」

 

特別永世名人 締めの一句 梅沢富美男

桃剥いて犬に告げ口してる妻

(季語:桃 が良かった 柔らかいので丁寧に剥かないといけない

 匂い・仕草全部伝わってくる この桃は夫に剥いてあげている?

 この行動をした奥さまが素晴らしい)

 

1位 井戸田潤・蜂谷晏海夫妻

ガレージに漂う秋思仄暗く

(井戸田が「眠い」といった上に逆ギレ

 秋思:秋の季語 秋に何となく感じられる切なさや寂しさ

ガレージと書いたことで家族間のもめ事?想像を与える効果を持っている

喧嘩後の場面に絞って良かった 

秋の理由のない物思いガレージの中・心の状態も仄暗く

仄暗くとくにした事で余韻がたっぷりできた 上手くバランスが取れた句)

 

2位 柿谷曜一朗・丸高愛実夫妻

でもだって火種となりし初嵐

添削(初嵐:秋の季語 立秋を過ぎて吹く強い風の事 焦点が良かった

   となりしは説明)

でも」「だって」が火種残暑の台所

 

3位 武尊・川口葵夫妻

花曇靴下拾う妻の溜息

添削(下五が7)

花曇靴下をまた拾う

 

4位 石原伸晃・里紗夫妻

鈴虫のかそけき音色妻に似ず

添削(ワンオペ育児中:無断で客を招待&伸晃泥酔で大ゲンカ

   かそけき:色や音などがかすかであるさま=鈴虫の中に含まれている)

鈴虫の言葉の鋭き夜

 

5位 辻本達規・松井珠理奈夫妻

虫たちに騒ぐ嫁から退治する

添削(家では暖房使用禁止 ダウンで生活させられた

   季語に対する認識の間違い 

虫:秋の季語 秋に鳴く鈴虫やコオロギなどの総称

   日に集まって来る蛾・カナブン・コガネムシ=火取虫

   嫁:息子の配偶者の事

火取怖がる妻を叱りたり

火取怖がる妻をなだめたり

 

・清水麻椰アナチャレンジ

秋霖や今日もソファで寝てやろう

 

 

■日曜美術館 滅びゆく写真 そして人類 現代美術作家・杉本博司氏

古代人が見ていた風景を現代人も見ることは可能か

 

湘南の海が見えた。それが自分のたどれる一番最初の記憶だった。

その日から記憶が意識が始まった。

 

人間ってどうして動物から人間になれたのかがテーマになった

これが意識の起源となった

 

海だけは古代人と共通のビジョンが分かち合える

 

虚実があいまいな領域を写真で研究してみる

 

見るからに死んでいて作り物なのに片目で見ると本当に本物に近く見える

どんな虚構でも一度写真に撮ってしまえば実像となるのだ

 

映画一本分を写真に撮ってみる 

ジョン・トラボルタ主演「サタデー・ナイト・フィーバー」

2時間という時間を撮ってみた 時間って何なの?

 

絶滅する銀塩写真

 

銀塩写真の終焉と地球破壊の終焉が具体的なプログラムに乗ってきている。

 

私は写真をメディアとして使ってきた。

普通写真は時間を止める。しかし、私は写真をタイムマシンとして使い

自由自在に時間の海を泳いでいたいのだ。

 

2026年9月11日金曜日

髙嶋弘之&嵐山光三郎

ぼんやりとした不安秋の夕焼

空高し田という海を駆け抜けん

枕詞は「あなたのために」秋思

盆波や糟粕(そうはく)嘗める政治家よ

心なき笑みを浮かべた原爆忌

 

■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん

ゲストは髙嶋弘之氏。

高島忠夫氏の弟であり高嶋ちさ子さんのお父様。

ビートルズの日本初代ディレクター。

由紀さおり様の誕生秘話。

音楽プロデューサーとしての❝髙嶋流❞宣伝戦略には

ダンボの耳で聞き入ってしまいました。




 






■あの人に会いたい 嵐山光三郎

1942-2025(令和7)年 83歳没

 

好奇心の赴くままいまを楽しむ

 

不良というのは非行じゃないですから犯罪を犯すわけじゃなくて

日本人って50歳を過ぎると会社の中で 指導的な立場に

ならなきゃいけない という呪縛があるじゃないですか

何かみんなの見本にならなきゃいけない だからそんなことをしなくて

自分で好きなようにやった方がいい 

 

あま鯛の西京漬

なんか優しく雲がたなびいてさ 5月の夕暮れが

ゆっくりじわっと 沈んでいくような そんな味がするよね

 

周りはいわゆる親を亡くした子供たちがいっぱいいてね すごく怖かった

小学校行くまで荷物なんかを「お前いいな」とか 

みんな持っていかれるじゃない 45人でやられちゃうから

こっちも取られまいと思って頑張るしね

 

「古池や蛙飛びこむ水のおと」なんて習うでしょ?先生が「質問は?」

と言うので「はい蛙は何匹でしょう?」なんて言って 先生が

「そんなことはどっちでもいい」と言う それでもう頭にきちゃってさ

それで図書館に行って本読んでも どこにも書いていないんだよ

それを調べるのに20年かかりましたね 

 

1965年大学卒業後 出版社に入社

檀一雄(1912-1976)等を担当

檀先生がなくなる年ぐらい前だったけど 太宰治のふるさとの弘前に

行ったんですよ そうしたらね 身欠きにしんにみそをつけて

そのまま食べるんですね。あちらの方は料理しないで それは太宰治の

好物だったんだって それで暫く黙って汽車に乗りながら海を見てね

「これはね 太宰が好きだったんだよ」と言って遠くをじーっと見ていた

檀先生の姿はまだ心に残っていますね

 

月刊「太陽」編集長時代

定年まで実直な編集者で終わりたいなとは思っていたけれども

何かそういう時にね 背中でコトンと音がしまして「あ ここが

辞め時かな」という 何か動物的な勘がしましてね それで

辞めちゃったんですね 

 

『「不良少年」は楽しい』 1997(平成9)年を発表します

 

僕は38()(会社を)辞める時に❝これからやりたいこと❞というのを

100ぐらい書き出したんですよ バイクの免許を取って乗るとか

それからアフリカのジャングルに行って その中でハンモックを吊って

池波正太郎さんの時代劇を読むとかね またね いま 書き出している

最中だけどね やりたいこと また100ぐらいありますね

 

この杉が樹齢1,000年でしょう?ということは芭蕉が来た時には

この杉があったわけですね ですから芭蕉もこの杉を見上げて

いろんなことを考えたんでしょうね 

 

「奥の細道」は、旅のあとを辿ることによって

立ちあがってくる言霊がある。

芭蕉が句を得た現場に立ち、芭蕉の目玉を拝借して、

光と風を鑑賞するのである。

風景に三百年前の時間が侵食し、句がピチピチと動き出す。

「芭蕉の誘惑-全紀行を追いかける」より

 

「悪党芭蕉」

2006年 泉鏡花文学賞 読売文学賞(評論・伝記賞)受賞

 

閑かさや岩に染み入蝉の声

この場合「蝉の声」は何かと言うと いろんな論争があったんだけど

蝉の声は自分に俳句を教えてくれた「蝉吟(せんぎん)のことを表している

ですから立石寺は石段を上っていくんですよ 暑い中をね 

蝉の声をジリジリ聞きながら 芭蕉さんはここで蝉吟のことを

思い出していたんだなってことをね 考えながら行くと

こちらまで胸に迫ってくる句ですね 

 

俳句 人間の死

去年私の父が死んだんです もう死ぬ寸前まで じーっと

私の父と一緒にいましたけれどもね だけどだれか自分の

友だちが死んで あるいは自分の肉親が死んで

「ああ人間は死ぬんだな」ってことを教えてくれるんだよね

だからね 死ぬことを考えるのは 悪いことではなくて 

いつかは必ず死ぬんだから それならば じゃあ生きている間は

精いっぱい自分のやりたいようにと 今後 逆にかんがえるんだよね

 

昔はできたけど今はできないなと思うことも楽しみなんですよ

できないことが楽しみなんですよ 悔しいけどね 悔しいことも

楽しみになってくるんですよ 自転車で ずーっと坂を上っていくと

嫌じゃないですか 一生懸命 苦しいじゃないですか だけど

てっぺんに行って山で 今度下り坂をシューっとゆっくり下りてくると

楽でしょう?下り坂をマイナスの面で捉えるんじゃなくて 下り坂が

楽しいというふうに考える そういう生き方が大事だと思うのね

 

無理に実直でする(生きる)ことはない 不良でいった方がいい

こっち行ったらポキっと折れて こっち行ってポキっと折れて

そのつど また新しい人生が ひらけるじゃないですか

2026年9月10日木曜日

あの本、読みました? 令和のホラー小説事情

天高しポライトネスで穏やかに

ドローンがいく大釜の滝九月

三人背継ぎ獅子舞(さんにんせつぎししまい)や祭

秋日和ふざける為の準備せり

秋麗写実を超えた幻想よ

 

■あの本、読みました?

【怖さ】さらに進化!?令和のホラー小説事情~国内1位作品は

上條一輝 朝宮運河 澤村伊智 鈴木保奈美 山本倖千恵

 

ホラー 怪談 ミステリーの違いは?

本当にあったってつくのが怪談

 

怖さはよりリアルの進化する!令和ホラー小説最前線

 

「深淵のテレパス」の一文 上條一輝著/東京創元社

仕事にめどがつき、少し伸びをする。リビングの影掛け時計に目をやると、

既に、日付を超えてしまっていた。

そろそろ寝支度をしようかと席を立ったーその時だった。ばしゃり

それは、何か水分を含んだ重みのあるものを、

硬い表面に叩きつけるような音だった。

水に濡らした雑巾を床に落としたら鳴るような音。

それが、どこかすぐ近くで聞こえた。

ばしゃり もう一度音がした。寝室の方からだ。いま私がいるのは、

1LDKのマンションのLDKにあたる部分だ。

(中略)

私が知る限り、寝室にそのような音を発するものは置いていないはずだが。

耳を澄ましてみるが、もう音は聞こえてこない。

 

執筆で必ず心がけること

必ず新しいことを入れる

意識的に執筆したシーン

 

「深淵のテレパス」の一文 上條一輝著/東京創元社

「テレビじゃないんだぞ。全部直せ」記念すべき一本目の動画の

編集が終わり、晴子さんに見せた際に言われた一言だった。

収録できたと思われる超常現象があまり地味だったため、

成功している投稿者を真似して、おどおどろしいBGMや、

禍々(まがまが)しい世帯のテロップなどを入れて見たのだが、

それらは全部却下された。

「怖がらせようとするな。目的が曇る」最終的に出来上がったのは

企業の教育ビデオのように淡々としたシンプルなもので、

投稿しても瞬く間にインターネットの海に埋もれてしまった。

最近では継続の成果か、ようやく登録者数も四桁に達したが、

広告収入で会社を辞められるレベルには程遠かった。

 

文字で怖がらせるテクニック

上條流ホラー表現

 

「深淵のテレパス」の一文 上條一輝著/東京創元社

「…散らかってる。とかではないんです」どういう意味だろう、

という疑問は玄関ドアを開けてすぐに解決した。

それは、異様な光景だった。煌々(こうこう)と明かりの点いた

玄関の三和土(たたき)には、スタンドライトが二客置かれていて、

開け放ったままになっている靴箱の中を照らしている。

靴箱のドアは閉まらないように重りですべて、同様の状態だった。

戸棚の中、机の下、テレビの裏など、影という影を

照らすように照明機材が置かれている。

キッチンなど、戸棚を照らすためのライトで、足の踏み場がない状態だ。

寝室のクローゼットには三台も照明器具が向いていて、

内部をくまなく照らしている。

そしてそのクローゼットのドアを含め、あらゆる扉には重りが置かれて、

閉まらない状態になっていた。「こうしていれば、音がしないんです」

そう言ってはにかんだように笑うカレンさんに、少し背筋が寒くなった。

 

直接的に書かず読者に想像させる

 

シリーズ2作目「ポルターガイストの囚人」

 

ホラー Horror が定着したのは1980年代半ば

ホラー用語の違いを解説

怪談はお化けの話 ホラーは実話っぽくなっている話

稲川淳二さんが怪談で 上條&朝宮がホラー

「ホラー」と「ミステリー」との違い

怪しい謎が解き明かされるされるのがミステリー

最後まで謎が残ってしまうのがホラー

 

日本ホラー進化の歴史

   江戸川乱歩×「怪談入門」(1948)

   日本ホラー小説の始まり 鈴木光司「リング」1991

   怪談とホラーを融合 小野不由美×「残穢(ざんえ)2012年 モキュメンタリー

   令和ホラーブームのきっかけ 「ぼぎわんが、来る」澤村伊智

 

残穢

モキュメンタリー:「mock(偽物の)documentayy(ドキュメンタリー)

ドキュメンタリー風に作られたフィクションのホラー作品

虚構と現実の境が解からなくなる作品

 

令和ホラーブームの火付け役が登場

現代ホラーの新しい波 「ぼぎわんが、来る」澤村伊智 2015

映像で怖い表現を巧みに言葉で表願されている 絵を想像してぞくっとする

澤村伊智の登場で日本ホラー小説が変化した

現代人が抱える問題や悩みを巧みに描く作品

 

現代ホラーの新しい波 澤村伊智が登場

デビュー作「ぼぎわんが、来る」ホラーの表現

澤村伊智氏の言葉⇩

ホラーそのものには必要なないけどやろうと思ったことは

お化けはめっちゃ強くしようとおもいました。

ストレートに凶暴で凶悪なお化けが来る

❝お化けの危なさ❞書けたらいいなと思った

周辺を書いていくお化けそのものではなくて

怖がらせ自体はそんなに変わるものではない

お化けそのものは見せずにお化けに怖がっている人

お化けの痕跡を見つける過程をちゃんと書けば怖くなるかな

 

「ぼぎわんが、来る」の一文 澤村伊智著/角川ホラー文庫

ピピピピピ、と私のスマホが鳴り出した。手の中で震えている。

(中略)

「もう家を出られていたら、どうしようかと思っていました」と言った。

「それはーどういう意味でしょうか」私が訊くと、

彼女は「端的に申しますと」と前置きし、

「田原さんがご家族と合流すると、

あれに居場所を察知されてしまいます。

なぜなら、あれは田原さん、あなたを追いかけているからです。

そして既にあなたのことは完全に知覚しています。

二十余年かけてあなたを見つけたのです。絶対に逃げられない」

と、一息で説明した。腕と背中に鳥肌が立つ。

(中略)

「「家に着いたら教えてください。結界の張り方を指示します。

焦る必要はありません。あれが来るのには、

もう少しかかるでしょうから」

ハザードランプをチカチカ点滅させながら、

タクシーはゆっくり減速しはじめた。

 

ホラーが苦手な人へ 澤村伊智がオススメの本

「大長編ドラえもん」の前半だって結構怖いでしょ?

明らかに藤子・F・不二雄先生も怖がらせようと思って描いている

「ホラー」というラベリングじゃないから楽しく観る

「ホラー」もラベリング関係なしに観たら

「ドラえもん」ぐらい面白い作品はいっぱいあるよ

💮「作者不詳 ミステリ作家の読む本 上・下」三津田信三著/講談社文庫

自分の小説を書く上で常に一つの指標にしている小説

初めて読んだとき寝食を忘れて読んだ記憶がある

ぜひとも読んでいただければと思います!

怖いのは好きで読んでいてお化け屋敷とかあんまり行きたくない…

怖いので…怖くて行きたくないレベル 後学のために

「旋律迷宮」(富士急ハイランドの名物お化け屋敷)に行ったりするけど 

こんなに歳を取ってからあんなに全力疾走するのか 

嫌でしょうがない 怖くてしょうがない…でも行く

 

上條さんとの初対面

もっとチャラい人かと思ったけど 

意外と落ち着いた方でビックリしましたね

僕よりも全然落ち着いている方で… すみませんでした

怖い人だと思ったらそんなことなかったです!

多分SNSで結構トゲのあることを言っていたから…?

ちょっと嫌味とか言ったりするんで… 

後に「深淵のテレパス」というタイトルで世に出る小説の応募原稿を

読んだときに「お化けなんていないよ」「人間が一番怖いんだよ」

怪奇現象を認めざるを得なくなっていくプロセスが本当に丁寧に

書かれていて「(大賞は)もうこれだな!」って感じでしたよ

「上條さんの作品だけを推します」読んで即決めました

(応募の時は)「パラ・サイコ」凄いぼんやりした単語

パラサイコロジー:超常現象を研究する学問

もちろんそれをタイトルにした意図もあると思う

実際問題「作品のタイトルとしてありなの?」

ちょっと弱いんじゃないですかね…という話は選考会で出た

タイトル変わってよかったぁ 僕が師匠面するようなこともないし

ちゃんと面白いものを書いていただければ これからも

どんどん怖くて面白い小説を書いてください

 

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