2026年10月24日土曜日

多田美波&磯崎新&「漸寒(ややさむ)」&兼題「太刀魚」

秋の声弄璋弄瓦(ろうしょうろうが)おめでたき

芋と指もろとも刃(やいば)したたる血

いかんぜよ矮子の看戯(わいしのかんぎ)秋黴雨(ついり)

人生に嘘をつかない秋の空

作品に現れる嘘秋乾き

 

■多田美波の言葉

私の場合は宇宙とか星とか光に憧れていました

でも自分でそれを究明する力はないし夢でしかない

手が届かないものならせめて

私の心とつながりあって自分しかできないものをつくりたい

「明日の友」1990年7月号

 

■日本建築の皇帝 磯崎新の言葉

「街々は消失した かつてある形態をもったとしても次の瞬間には

 もう見当たらない 都市は消えて焼土だけがあった」

磯崎新著「空間へ」

 

「端部のすべての線はホールの一隅に焦点を結んでいる、

ホールに立つと、その線が逆透視図法的な効果をみせ、

相称的で正面性を持った立方体の枠のなかに、ねじれながら

押し出してくるような白い量塊を見ることになる、

錯視が生まれるような壇である」

「新建築」1975年1月号

 

新美の巨人たち

立方体を組み合わせた不思議な姿

建築の歴史を変えた群馬県立近代美術館にスポットが当てられました

❝日本建築の皇帝❞磯崎新の初期の傑作

壮大な構想ゆえに実際に建てられることのなかった数々の磯崎“作品”の紹介

❝世界文化史の巨人❞とまで賞賛された建築家の真実に迫っていました

磯崎新の思想は生々しく今なお息づいています

 

■夏井いつきのおウチde俳句

一分季語ウンチク「漸寒(ややさむ)」

 

漸寒と書いてややさむと読む、

知らないと読みにくい季語かもしれないですね。

秋になってようやく感じ始める寒さを意味する

季語になっているんですけれども 秋の寒さにまつわる季語って

実は他にもたくさんあるんですねえ 

「秋冷」と書いて「しゅうれい」だとか

「うそ寒」「そぞろ寒」とか 

いろんな寒さの表現はあるんですけれども

「漸寒」ならではの味わいというものを表現するのは

なかなか詠み分けると難しいものなのかなあと思っています

例えば高浜虚子の例句として収録されているものには

「やや寒や日のあるうちに帰るべし」

なんていう句があったりします

本格的な寒さではないぐらいの寒さの感じ

自分だったらどんな風に表現しようか詠み分けようか

ちょっと俳人としてファイティングな気持ちになる

季語かもしれませんね

 

■ギュッと!四国 家藤正人の俳句道場

兼題「太刀魚」(秋の季語)

傍題 たちのうお たち など

 

ギュッと!特選

太刀魚や神は柱と数ふらし   柚木みゆき

選句ポイント 太刀魚らしさ

「太刀魚や」の力強い詠嘆と「数ふらし」の伝聞形の流し方、

ふたつの工夫によって季語を際立てているのも配慮が行き届いてお見事。

 

放送された句

ググッと引く 水面のわたしは 太刀魚なり   オリーブ

佳作 太刀魚やハリス6号格闘す   水晶文旦

秀作 太刀魚のリールを伝う青さかな   はちきん芋

太刀魚やギンギラギンにさりげなく   木槿

秀作 トロ箱小さしぺろんと太刀魚の頭   森野みつき

佳作 太刀魚の頭押さえて見るレシピ   馬越あずき

秀作 太刀魚の全長ほどの嘘足して   椋本望生

太刀魚よ骨の在処(ありか)は知ってるぞ   久太郎

佳作 噛み締めて太刀魚巻のほどけゆく   河野縁結

 

秀作への道「どっちの意味?」

なないろの輝き太刀魚は知らず   星乃瞳

推敲⇩

太刀魚は知らず己(おのれ)のなないろを

 

募集中「冬の朝」冬の季語

次の兼題「クリスマス」冬の季語

 

参照 https://www.nhk.or.jp/matsuyama/info/articles/310/069/00/

 


2026年10月23日金曜日

横石知二物語 糸井重里氏&北村英治氏&ホトトギスの句

どうすれば?(AIの)不正アクセス秋の色

身に沁むや個人責任問われても

秋あわれIT音痴の立つ窮地

秋深し悪事働く切れ者よ

AIを操る策士上り月

 

■上勝・葉っぱビジネス 糸井重里さん語る秘話

ポエムですよね

横石知二さんの知られざる物語

コピーライター 糸井重里さん

横石さんの考え方とかアイデア ものすごく欲しかった

クリエイティブだけじゃない プロデュースだけじゃないし

営業だけじゃない総合的な見方みたいなものが 俺にはできない

すごいなと思いましたね 葉っぱビジネスについて30本近い記事を発信

料亭の中に葉っぱがどう大事か こういう場所で葉っぱをこう使う

食べられないものだけど ここにこう置く 季節が変わったからこれを入れる

葉っぱを売っているけど サービスを売っている ❝心遣い❞を売っている

自分がやっている仕事にもとても影響している 

桃太郎の物語ならきびだんごで何とでもできた

地元で生きているお年寄りはきびだんごじゃ動かない

人の心ってそんなに簡単に動かせないことを 知ってる人じゃないと

おばあさんたちを仲間にできない 

ユーモアがあった 悲痛な物語じゃない 成功物語を語っているよりは

おもしろかった 悲壮感は長持ちしない かわいそうだから

手を出してくれる人はいるが 「いつまで言ってるの?」となっちゃう

「明るい未来に向かって一緒に歩こう」

その気分をあれだけ作れた そこが横石さんの魅力だった

ブリコラージュ bricolage そこにあるものを使う

無い物をねだらない❝アート❞ やれることからスタートして

市場も調査して働き手もいて じゃあそれが動けばいいじゃない

あらゆる場面で応用できること 「きみもできるよ」いい例として

上勝を伝えたかった

 

■葉っぱと夢とこの町と~上勝 横石知二物語~

上勝町元農協職員 横石知二さん(享年66)

 

糸井重里さん

楽しかったですよ みんながうれしそうにしているから笑顔がうつりますよね

ほぼ日刊糸井新聞で30本近い記事を発信

❝モノや情報 あふれる時代へのメッセージ❞

彼の明るさというか 「明るい未来に向かって一緒に歩こう」って

今の時代って「何が足りない」「こうでさえあればできるのに」と考えがち

無い物ねだりしていない人として 表現したかった

「きみもできるよ」って伝えたかった 

 

父 恵(さとし)さんの最期の言葉

「上勝に行って良かったなあ あの町にはお前が必要やったんや」

ようやくもらえた自分を認める言葉

横石さんはその場で大粒の涙を流しました

その翌日 恵(さとし)さんは息を引き取った

 

2013年2月21日Xより

「人は誰でも主役になれる 

 出番と役割がある

 私の原点は上勝町」

 

2026年6月27日

上勝町に石碑が建てられました。

 

横石知二さんの言葉

おばあちゃんたちは僕によく言いますよ

横石さんな 足も痛い 手も痛い 腰も痛い

ほなけどな 自分がこれやろうと思うときは 痛さが消える

痛うないんじゃ 終わったら痛い 楽しいことや

役割があるときは痛くない これって大事 

ほんとに大事なことだと思います

 

私感

糸井重里さん ありがとうございました。

とびっきりの言葉を賜り感謝申し上げます。

上勝町をことあるごとに輝かせていただき

本当に嬉しかった。

ほぼ日刊イトイ新聞のクルーのみな様も

何回も足を運んでくださっていた事は

存じあげておりました。

毎回、楽しみに拝読していました。

こんな嬉しいことは生涯忘れないと思います。

ありがとうございました。

 

■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん

ゲストは97歳のクラリネット奏者・北村英治さん。

進駐軍でアルバイトをし、演奏技術は独学で磨いたそうです。

クラシックのクラリネット奏者・村井祐児氏とのお付き合いもお話下さいました。

最高の演奏もお聞かせくださいました。

歳を全く感じさせないTalkに魅了されました。

 








■ホトトギスの句

織田信長:「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」(短気・苛烈さの比喩)

豊臣秀吉:「鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス」(才覚・機転の比喩)

徳川家康:「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」(粘り強い忍耐の比喩)

「鳴かぬなら生きよそのままホトトギス」

あなたはそのママでいいんですよ

戦国武将であり茶人でもある織田有楽斎(織田長益、信長の弟)を偲んで、

織田有楽斎四百年遠忌実行委員会が詠んだ句 出典や真偽は不明

明智光秀:「鳴かぬなら放してやろうホトトギス」

明智光秀:「鳴かぬなら私が泣こうホトトギス」

 

2026年10月22日木曜日

MIRAIJAM 福代孝良

秋の風通す筋よりしなやかに

衰えた秋の陽射しよ縁側よ

ウイルスを運ぶ鴉(からす)や秋の空

地虫鳴くそろそろ醴酒不設(れいしゅふせつ)かな

身に入(し)むや蹂躙されず壊されず

 

■MIRAI JAM 日本のものづくり×人工衛星

佐々木蔵之介

アークエッジ・スペース 代表取締役CEO 福代孝良&川勝貴之

創業 2018年 従業員数 約2000人

スタートアップ×人工衛星 気象情報 GPS

人工衛星の開発~運用を手掛ける

最大の特徴は超小型の衛星が主軸

一般的な人工衛星 打ち上げまで5年かかるケースも 

アークエッジ・スペースは驚異の開発スピード

スペースX 民間企業初の有人宇宙船を国際宇宙ステーションに到達

ダビデとゴリアテの伝説 巨大な戦士ゴリアテを少年ダビデが打ち破る物語

日本ならではの戦い方はある

日本のスタートアップがスペースXに勝つ方法

車もフォード(アメリカ)が最初に量産を始めて牛耳ろうとした

トヨタや日本の日本の自動車メーカーが出てきて日本車が世界を席巻した

宇宙でも日本のものづくりに可能性あり

福代孝良氏はForbes JAPAN「日本の起業家ランキング2026」1位に輝いた

日本経済を牽引するleaderとして注目されている

スガシカオが頭に流れています 福代孝良氏は音楽が好きらしい

大学落ちたらミュージシャンになろうと思っていた

宇宙業界のニュータイプ

6U衛星 折りたたんだ状態で宇宙へ行く 数千万円~数億円

大型衛星 数十億円~100億円

安い理由は他にも小さいので宇宙に届ける値段も安い

相乗りで宇宙への運搬費用を抑える

1年に9機!驚異の開発スピードは何?

世界が注目する理由①

驚異の開発スピードを支える格安部品

開発現場の中枢へ 人工衛星は自社でつくる!

部品はネットで買える数十円の部品を使用

車載用の部品を使っていたり高いものは使われていない

秋葉原の電子工作パーツも使われる

専用部品⇨時間・コスト大 既製品で課題解決 国産部品も使用

ものづくり Made in JAPAN 

 

世界が注目する理由②

知識ゼロでも使える宇宙サービス

人工衛星の仕事は?

毎日大型衛星のデータ入手は困難 非常に高い

毎日知りたいなら小型衛星で安く

超小型衛星 定点観測・データ蓄積などの用途向き

データを溜めて自然を管理するアプリ

携帯のGPS情報を人工衛星から取得

電波の届かない登山道で危険個所を共有

人工衛星で自然と観光客を守る

専門的な知識がなくても利用できるアプリ

超小型探査機 彗星や天体を直接探査する世界初のプロジェクト

宇宙の成り立ちがわかるのではないか?

2029年打ち上げ予定 従来比 約3倍大きい

JAXAから受託 JAXA×スタートアップ

福代孝良氏は元々は宇宙エンジニアではない 森林を専攻

ブラジルに約12年住んでいたので 意外過ぎる経歴

福代孝良氏が大学に行ったのは阪神・淡路大震災があって

学校も行かずボランティア 人の役に立つ仕事をしたいと思って

アマゾンに行った 森林の計測 南米の奥地×人工衛星

伊能忠敬みたいに歩いた 衛星で画像を見ることを知り

世の中にこんなに便利なモノがあるんだと

衛星が役立つのはインフラが乏しい地域であることを実感した

超小型衛星は宇宙業界を変える?

パーツを作る会社が日本は多い 宇宙の産業はできてくる

宇宙産業でもう一度高度経済成長できるんじゃないか!?

 

福代孝良代表の金言

最大の苦難を支えたのはマイケル・ジャクソン

最初はアフリカ ルワンダの人工衛星

ルワンダの人たちも私もお金がない なんとか一生懸命つくった

20人くらいインターンを日本に連れてきた

騙されたと思った人もたくさんいた 大変な苦労をした

人材・資金が乏しい ルワンダ初の人工衛星

福代孝良代表を支えたのが 悩むと聞く曲がある

マイケル・ジャクソンの「Man in the Mirror」

僕は鏡の中の男から始めるよ

I’m starting with the man in the mirror

生き方を変えないかと問いかける

I’m asking him to change his ways

こんなメッセージはないはず

And no massage could have been any clearer

もし世界を良くしたいなら

If you wanna make the world a better place

自分を見つけて変えるんだ

Take a look at yourself and then make the change

 

鏡の中の自分自身から始めていく 世界を良くしたいなら

まず 自分が変わるべき まさにこのメッセージが好き

 

ルワンダの衛星は成功した

自分で衛星を作って未来を切り開く 一番頑張っていた彼は

ルワンダの宇宙庁長官になり活躍している

 

支えてくれるのはいつも仲間

福代孝良代表はエンジニアでもないので衛星を作れない

一緒にやっていく仲間がいる 

「秋葉原の部品で衛星なんてできてない」と言われたりした 

そういったときにも支えてくれるのが音楽

学生時代からバンドをやって 

東京スカパラダイスオーケストラが好き

「Pride of Lions」という曲があって 

難しい課題でも夢を信じて戦うという歌

Positiveなメッセージで勇気づけられる

金言がすべて歌詞 

 

・やる気★メシ

アークエッジ・スペース 代表取締役CEO 福代孝良の❝至高の一品❞

人と来るのが多い 宇宙の経営者仲間と

「くわっち~家」東京・日本橋

海ぶどう あぐー豚 あぐー豚ステーキ1,880円

沖縄 住みます芸人が来たと思っている

顔が濃いから沖縄出身と思われることがあって

昔から沖縄に親近感を持っている

沖縄とか海の安全を守る中で 我々が守るのは人

単に衛星で守るんじゃなくて そこに暮らす人が

より良い日々を送れるか 宇宙からバーレーン ネバダを撮影

地域の文化に寄り添う 三線(さんしん)を弾き続けている

ソーキそば 1,000円

ソーキは蕩けて食べられる ソーキ:豚の骨付きあばら肉

沖縄料理がヘルシー 食べても罪悪感がない

こういうの食べていると長生きできるんだろうな

食べて歌うが仕事の活力

 

・金言REPLAY ―蔵之介に一番刺さった社長の言葉―

世界を良くしたいなら まず自分が変わるべき

2026年10月21日水曜日

あの本、読みました?小砂川(おさがわ)チト 額賀澪

秋の蝿竜頭蛇尾(りゅうとうだび)へ旅立たん

鶏頭や今年も子規を口ずさみ

この花も父の愛した秋の草

熱々の飯に自然薯すりおろし

味噌の香の箸の止まらぬ衣被ぎ(きぬかつぎ)

 

■あの本、読みました?【仕事】テーマの人気小説一挙紹介~職場舞台の本なぜ面白い

小砂川チト 額賀澪 鈴木保奈美 山本倖千恵

 

第175回芥川賞受賞 小砂川(おさがわ)チト 「ゾンビ回収婦」

教育現場の過酷な現実 額賀澪 「先生が終わらない」

 

企業小説の旗手 池井戸潤

オレたちバブル入行組 花咲舞が黙っていない 下町ロケット ブティック

 

作家 小川哲

地図と拳 上下 君のクイズ オルロージュ

 

作家 早見和真 

ザ・ロイヤルファミリー 店長がバカすぎて 春までのセンセイ

 

「先生が終わらない」の一文 額賀澪著/集英社

「南中の皆さん、四月よりこの学校の校長に就任しました、宇佐崎栄一と申します」

カメラを気にすることなく、宇佐崎は生徒たちを見回した。

(中略)

「部活の顧問は、そもそも教師のすべき仕事には含まれません。

 これまで皆さんの部活を先生達が指導していたのは、ボランティアというわけです。

 自分の意志でボランティアをやる分にはもちろん問題ないですが、

 このボランティアがほぼ強制であったこと、拒否しようとすると

 『無責任だ』『教師失格だ』などと 他の先生や保護者から言われてしまう。

 南中ではまず、この〈強制〉をきっぱりやめることにしました」

生徒たちは押し黙ったままだ。言われていることはなんとなくわかるけれど、

それが実施されたらどうなるかイメージできない。そんな顔がほとんどだった。

 「つまり、皆さんの所属する部活動も、今後は顧問の先生の判断で

練習日数が減ったり、活動休止になることがあるかもしれない、ということです」

活動休止という明確な言葉が出て、どこかから「えーっ!」という甲多い声が飛んだ。

 

執筆のきっかけ 部活動の思い出

 

「先生が終わらない」の一文 額賀澪著/集英社

「七原さんは、どうして勝ちたいって思うの?」藤木先生の問いに、すぐさま

「そんなの決まってます」と顔を上げた。

「自分だってやればできるんだって思いたいから。

 好きなスポーツでくらい、誰かに勝てる自分でいたいから」

一花の言葉に、先生は「そうだよね」と小さく頷く。

「あなたがそう思っちゃうのは、勝つことは素晴らしいことで、何かに打ち込むなら

 勝ちを目指さないといけないんだって、

過剰に教えこんでしまった大人のせいなのかもね」

「なんですか、それ」

まるで、育て方を間違えてしまったみたいな、そんな言い方で。

「学校の部活なんて、本当なら勝っても勝たなくてもいいんだよ。

 なのに、教師も保護者も地域の大人も、全国大会に出場したら大騒ぎして、

 負けたら『努力は無駄にならない』なんて歯の浮くような慰めしか言わなくて。

 そんな環境じゃ、あなた達が勝つことにこだわって当然なんだ。

 勝つことでしか得られないものがあると思って当然なんだ」

自嘲気味に笑いながら、先生は「大事なことを部活を通して教えて

あげられなくてごめん」と頭を下げた。

大人が子供にたいしてするとは思えない、深い深い一礼だった。

 

勝ち負けは大切? 物語の作り方 校長先生は安部寛? 理想は小日向文世!

「エンタメ」にはしない 教員たちからの反応

 

専門的な職業を取り上げた作品

咲良は上手に説明したい! 滝沢志郎著

 

凪良ゆうおすすめのお仕事小説

「汝、星のごとく」「多類婚姻譚」

 

香りを調合・創作する職業「調香師」

「燻る骨の香り」千早茜著

 

VRの世界でゾンビを回収する仕事

「ゾンビ回収婦」の一文 小砂川チト著 

それが天命であるかのように、わたしはあなたたちの残骸を掃除した。

深い血だまりのなかから、ジャム以上の固さのものならあまさずすべて、

ていねいにサルベージした。昼とも夜ともなく、わたしは溶け崩れた

あなたたちを取り戻しつづけた。取り戻したそばからあなたは

また屋敷のどこかでぐちゃぐちゃのペースト状になり、わたしは駆けつけ、

あなたもいつしか多少の決まり悪さをペースとなりのやり方で

示すようになってゆき、それでもやはりまたあなたは、木っ端微塵になって

壁や天井まで飛び散ることをやめようとはしなかった。

途方もない回数、わたしとあなたはそれを繰り返した。

ただわたしとあなたきりで。なにものかの足音がこちらに近づいてくるとき、

わたしの奥歯はカチカチ鳴った。わたしはけっして、けっしてそのだれかに

すがたを見られてはならなかったから。そのことを初日からずっと、

本能的に知っていて、焦りのあまり涙目になりながらわたしは、

それでも自分ひとりでこの場に収集をつけることを、あきらめたことは

一度もなかった。そんなのは、そんな情熱を持てたのは、

わたしの人生のうちでこの仕事きりなのだ。

 

なぜVRの世界を舞台に?

きっかけは「バイオハザード」

1996年発売 ゾンビや異形生物と戦うサバイバルホラーゲーム

 

NPC(ノンプレイヤーキャラクター)

ゲームなどで人間のプレイヤーが操作しない

コンピューターのプログラムやAIによって動くキャラクター

 

NPC的な生き方・働き方 現代は都合よく使われている

否定したり肯定したり時々で評価が変わっている

 

「ゾンビ回収婦」の一文 小砂川チト著 

だいたいにして、いまさらなんだっていうんでしょう。

急げ、急げ、結果だせ。急げ、急げ、ミスすんな。

改善しろ向上しろ発展しろ進歩しろ、死んでもミスすんな、進化しろ。

そういってさんざいい機械みたいにあくせく働かせておいて、今度は、

「ミスすることこそ人間固有の愛らしさ」ですって。

そういうことになったんですって。

 

AIと仕事

直ぐにできてしまうAIには経験がない ストーリーがない 歴史がない

 

「ゾンビ回収婦」の一文 小砂川チト著 

ゴールデン・レトリバーのように、ハカハカとわたしは笑いだしている。

男は白樺の木々のあいだをモッツモッツと踏みしめて歩く。

 

オノマトペが独特 最高に面白かった

比喩表現がぴたっとはまっている それが気持ちいい

2026年10月20日火曜日

知恵泉 宇野千代

村芝居那賀の宝ぞ秋の晴

秋高し伝統繋ぐ北川座

秋日和小集落を脈々と

青き空阿波路疾走秋の風

炭水化物食べて激走小春

 

■知恵泉 宇野千代(1897-1996)

ゲスト 綿矢りさ 篠原ともえ 金井景子

 

恋して咲かせた幸せの花

 

人間なにかすがりつくものが一つあると生きていられるものですね

私が小説を書かなかったら ただの不良少女でしかありません

 

「私あなたが好きです」って言うの百発百中うれしそうな顔をします

 

心から愛した男

作家・尾崎士郎 画家・東郷青児 新聞記者・北原武夫

 

大正10年(1921)「脂粉の顔」新聞の懸賞小説一等入選

二等が尾崎士郎だった

 

大正15年(1926)尾崎士郎と結婚

 

とことん尽くすんですよね お料理でもあの人こんなものが

好きそうだなと思うと それをこさえるし 相手を愛しているから

尽くすように見えますけども 尽くすのがおもしろいの

自分にとって愉快でおもしろい 

 

作家生活の基盤を築くために、最も重要な時期であった。(中略)
私に文学眼をひらいてくれたものは宇野千代女史であった。

尾崎士郎「小説四十六年」より

 

川端康成 梶井基次郎 萩原朔太郎と知り合い刺激を受けた

千代と梶井基次郎との仲を噂される

昭和5年(1930)尾崎士郎と離婚

 

千代4歳の時、心中事件間もない東郷青児と出会う

出会ったその日に一夜を共にする

 

夜が更けて、さあ寝よう、と言うときになって、

「こんな布団しかないが」と言って、押し入れから出してきた布団には、

血痕がこびりついて、がりがりになっていた。

二人の男女の頸(くび)から流れ出した夥(おびただ)しい血のかたまった

ものだと分かったとき、私はそれを気味が悪いと思っただろうか。

そうは思わなかった、と言ったら、人は信じるだろうか。

私と東郷青児とは、その夜から一緒になった。

宇野千代「生きて行く私」より

 

昭和5年(1930)東郷青児と同棲開始

 

東郷青児が画を描きさえすれば、金は湯水のように湧いて出る。

そう思っていたのに、そうは行かなかった。東郷青児は毎日毎日、

贗札(にせさつ)を作るように画を描き、私はそれを風呂敷に包んで売り歩く。

宇野千代「生きて行く私」より

 

昭和10年(1935)「色ざんげ」刊行

 

恋をするなんて、俺は全くそんな柄じゃないからな。

恋をするような振りをすることの巧い

西洋仕込みのただのならず者なのだからな。

宇野千代「色ざんげ」より

 

昭和11年(1936)ファッション誌の編集長に就任

昭和14年(1939)北原武夫と結婚

昭和16年(1941)太平洋戦争勃発

昭和20年(1945)終戦

倒産

 

昭和32年(1957)「おはん」刊行

昭和39年(1964)北原武夫と離婚

 

私は別れた人を「あの人は憎らしい」とか

「あの人は私にこんなことをした」とか

そういう感情は皆無なんです 未練もあるしもっと追いかけたくてもね

私は追いかけるのをやめるの それが恋愛の武士道だな

 

篠原ともえの知恵

恋愛に限らず出会いが人を変える

「自分の心が動く」っていうことが次の創作に間違いなくつながる

 

発掘お宝映像!千代90歳の「初挑戦」

恋愛という行為はもうしませんけど 毎日の行動が恋愛と同じみたい

退屈イチバン嫌いです 何もしないというのがイチバンいけない

何にもしないと ろくでもないこと考えます

 

夏も冬も秋も桜を平気で使っている

 

美しく咲き 潔く散る そしてまた咲く 千代は何度でも人生を

やり直した自身と桜を重ね合わせて愛しました

71歳の時 気になる話を聞きました

「樹齢1200年を誇る桜の老木が岐阜にある」

昭和45年(1970)淡墨桜を見にいく 先頭に立って保護活動を始める

枯れかけていた桜は復活

昭和60年(1985)復活した桜を再訪した千代

 

見るたびに思いが深くなりますね 圧倒されるようだな

 

昭和58年(1983)「生きて行く私」刊行

花咲婆さんになりたい

 

幸福も不幸も、ひょっとしたら、その人自身が作るものではないのか。

そして、その上に、人の心に忽(たちま)ち伝染するものではないのか。

とすると、自分にも他人にも、幸福だけを伝染させて、生きて行こう。

宇野千代「生きて行く私」より

 

みなさんの中に私は運がとても悪いって思う人はありますか?

そんな人はダメですよ 私は運がとてもいいと思ってお暮しになってください

こんなに運のいい女があるだろうか 思っているんです

 

今日のすべての経験が生まれて初めてのことばかりでございました

あともう10年で100歳でございますが 100歳になって

こんなものを書いたというね 後世の人に吃驚させるような

仕事を残したい 

 

陽気は美徳 陰気は悪徳 人には陽気だけを移しましょうね

 

好きだと思うことでなければしなかった

 

平成8年(1996) 宇野千代死去98歳

 

篠原ともえさんの知恵

生き方は作品に映る華やかな部分も隠している部分も

しおらしい部分も 作るものに全部表れる

赤裸々で素直であること 作品に嘘をつかないこと

自分の人生に嘘をつかないこと

 

宇野千代さんの好物は「かにかま」だった

偽物だっていいじゃない 美味しければ