熊本へ光あまねく秋となれ
想像の翼で描く秋茜
渡り鳥今日も探検未知の道
衣被(きぬかつぎ)従兄の愛を頬張らん
夢二忌は父の生まれし日でもあり
■NHK俳句 兼題「蛇穴に入る・穴惑」
選者:堀田季何 レギュラー:庄司浩平 司会:柴田英嗣
年間テーマ「もっと俳句のコリをほぐします」
・コリのお悩み 季語から詠むか、季語を合わせるか
季語から詠む
①
泥に降る雪うつくしや泥となる 小川軽舟
雪:冬の季語
作者によると「心に浮かんだ雪景色を詠んだ」
最初から「雪」があってそれをどう表現するか
季語が「絶対」的なもの
季語を合わせる
②
名山に正面ありぬ干し蒲団 小川軽舟
布団:冬の季語「干布団」は子季語
「名山には正面がある」という発見をした 何を合わせるか
作者本人によれば「景色に血を通わせたかった」
名山の近くに住んでいる人たちの営み
雪をかぶっている山 空気感
ツボポイント
「絶対的」または「最善」の季語が不可欠
「最善の季語」を見つけるには?
[読みたいと思ったもの]曲がりくねった道
[五七または七五の形にする]モネは曲がった道が好き
A睡蓮やモネは曲がった道が好き
B夏料理モネは曲がった道が好き
C夏の川モネは曲がった道が好き
D夏シャツモネは曲がった道が好き
最善の季語を見つけよう
日常の中で気になった 印象に残った「句材」
歯形のついた積み木 柴田
やる気のないコイン乾燥機 庄司
五七または七五のフレーズに仕立てる⇩
十二音に対して「最善の季語」合わせる
歯形のついた積み木かな 柴田⇨夜食とる歯形のついた積み木かな
色んな生活の情景が浮かぶ 取り合わせとしては素晴らしい
添削 お夜食と歯形のついた積木かな
気だるげなコイン乾燥機 庄司⇨鰯雲気だるげなコイン乾燥機
1つの情景として描いた方がいい 同時に見ている感じがしない
添削 気だるげなコイン乾燥機夜食とる
纏め 「最善の季語」を合わせ世界を広げる
・今週の兼題「蛇穴に入る・穴惑」
蛇:夏の季語 蛇穴に入る:秋の季語 蛇眠る:冬の季語 蛇穴を出ず:春の季語
穴惑:秋彼岸が過ぎてもまだ穴に入っていない蛇
特選六句発表 兼題「蛇穴に入る・穴惑(あなまどい)」
La vida es sueno 穴へ穴惑 伊藤映雪(えいせつ)
(ラヴィダエススエノ スペイン語で人生は夢)
蛇穴に入る東京は天へ伸ぶ すずきなずな
穴惑メメントモリへいふ余白 きのえのき
(メメントモリ ラテン語で「死を想え」)
無言館少し離れて穴惑 都丸浩美(とまるひろみ)
シェルターもガマも選ばず穴惑 柳田孝裕(たかひろ)
穴惑アウシュビッツの逆さB 白沢ポピー
(ARBEIT MACHT FREI 「働けば自由になる」)
・柴田・庄司の歩み
最善を見つけて喜びを味う 柴田英嗣
最善の季語を夜食ととりながら探す 庄司浩平
■NHK短歌 テーマ「悲しかったこと、嬉しかったこと」
選者:横山未来子 レギュラー:菊池銀河 横田真子 司会:ヒコロヒー
年間テーマ「三十一、次の扉へ」
今回のテーマは「形容詞に頼らない表現」
□□白犬の仔犬のテオが家に来たる日
佐佐木頼綱「テオが来た日」
ひと目見てきみに決めたよ白犬の仔犬のテオが家に来たる日 銀河
我がデステニー白犬の仔犬のテオが家に来たる日 真子
私よりしっぽを振った白犬の仔犬のテオが家に来たる日 ヒコロヒー
あおぞらを燕がすべり
白犬の仔犬のテオが家に来たる日
佐佐木頼綱
形容詞を使わずに情景や感情を表現することで広がりがある一首になっている
一度だけ待ち合わせした改札を今でもたまに夢に見るんだ
本条恵「星とアスパラ」
読み手が様々な感情を想像する余白が生まれている
人間の感情には形容詞の一語では言えない感情がたくさんある
父親の背(せな)に眠れるをさなごの靴の片方脱げゐるが見ゆ
横山未来子「とく来りませ」
形容詞の代わりに自分が感動したポイントを具体的に描くと
読み手もその場面を共有することができるので感動が伝わる歌になる
・入選六首 テーマ「悲しかったこと、嬉しかったこと」
水底に夕暮れの街あるごとき堀ながめつつ君と歩めり
徳永逸夫
一席 話したいことがあふれて左手に水となりたる炭酸残る
山田麦
父の日の似顔絵眺む(母の日の方が丁寧だったよなぁ)
古橋直人
私にもあなたと同じ歳の子が居ましてねえと言う父と呑む
高久(たかく)芳樹
できるまでつき合ってくれた友だちの笑顔が反転する逆上がり
三宅節子
ここだよ、の電話の声が前からも聞こえて噴水の前だった
佐藤研哉
・歌人への道
山頂で笹から出した鮭むすびほんのり母の体温のまま
菊池銀河 添削
山頂で笹から出した鮭むすびほんのり母のぬくもりのまま
人混みの中に響いたしゃがれ声たどって行けば変わらぬ君が
横田真子 添削
人混みの中に響いたしゃがれ声たどって行けば笑顔の君が
人混みの中に響いたしゃがれ声たどって行けば微笑む君が
どんな所が変わらないと思ったのか 具体的に描くと場面が目に見える
名歌鑑賞
亡き子来て袖ひるがへしこぐとおもふ月白き夜の庭のブランコ
五島美代子「そらなり」
・いちご摘み
ドア引けばはずみに揺れるカーテンの、その一瞬をかたき布地は
福山ろか(好きな歌人 薮内亮輔)
⇩
穴のあいたカーテンを買い替えるとき人生が始まったとおもう
山中千瀬(ちせ)(好きな歌人 寺山修司)
前の歌の好きだったところがカーテンにどんどんクローズアップ
していくところだったので逆にカーテンからすごく大きい
ところにいったら 楽しいかなを思って作りました
摘んだのは「カーテン」新しい自分を探してスタート
第一歌集は社会運動として出そうっていう自分なりの
コンセプトがあったので それ以外のことをこれから
やっとやれるぞっていう感じもします
「死なない猫を継ぐ」山中千瀬著 第一歌集出版
あたしたちは死なない猫を継ぐ種族本棚の本まじらせながら
「死なない猫を継ぐ」典々堂より
歌集がフェミニズムとかセクシュアルマイノリティの権利について
読んだ人が考えざるをえない形にしようと思って意図的に作りました
自分は何も考えてないと思ってて 定型があってその中で
遊ぶのができたら それだけでいい ただその中で本として
形にしたり発表するのであれば せっかくだから社会はより
良くあるべき そのために(短歌を)使ってみようみたいな