2026年7月12日日曜日

リハビリ&玄米乳酸菌&葉山加地邸&宮沢賢治

妖精の村で読む本夏の雲

喧騒と無縁な空気ハンモック

夏の風緑の屋根と木の扉

夏の宿思い思いの時過ごす

花揺れてめくる絵本よ風の香

 

NHK「タモリ・山中伸弥の!?」の「がん克服のカギ」

番組で紹介された「がんリハビリ」のポイント

手術の前から開始する:術後の回復力を高めるため、

あらかじめ筋力や心肺機能を鍛えます。

手術の翌日から動く:肺がんなどの手術でも、

翌日から専門医の指導のもとリハビリを行います。

体力の低下を防ぐ:早期に動くことで、寝たきりや合併症、

筋力低下のリスクを最小限に抑えます。

自分でできる対策:医療機関だけでなく、

自宅でも続けられる簡単な運動が効果を上げます。

 

私感

肺の半分を切除した翌日に、リハビリ室へ患者さんが向かわれ、

バーベルを持ち上げたり、

トレーニングに励む患者さんの姿を拝見して吃驚しました。

医療は、日々進化著しいですね。

やはり、日頃から体力はつけておかないといけません。

コロナですっかりトレーニングから遠ざかったいましたが

また、再開したいと思いました。

 

「がん克服のカギ」を5つ紹介 知的エンタメ番組「知的探求フロンティア タモリ・山中伸弥の!?」第6回は「がん」を深堀りするスペシャル回⇩

https://www.steranet.jp/articles/115694

 

■玄米乳酸菌の作り方

 

2Lのペットボトルに

黒砂糖50g

玄米1カップ160g

天然海塩20g

ミネラルウォーター1800cc

 

常温25℃で1週間放置

毎日撹拌し、キャップを開け、ガス抜きをする

 

510倍程度に薄めて飲む

 

便秘など腸の不調に効果がある

腸が良くなるということは免疫力アップにも繋がる

 

参照:https://kawashima-ya.jp/contents/?p=116569

 

■新美の巨人たち【文化財に泊まろう!③葉山加地邸】

 

遠藤新(えんどうあらた)の哲学を表す名言

「部分が相済す美しさ それがまた全体に参ずる美しさ

 そして更に全体が部分に及ぶ美しさ」

「住宅小品十五種」より

 

近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト の愛弟子であり、

旧帝国ホテル などの建設にも携わった建築家・遠藤新の有名な建築哲学

「まず地所を見る 地所が建築を教えて呉れる」

 

土地の地形、風向き、光の入り方、そして土や石、草木の息吹といった

自然環境を五感で読み解き、その土地が求めている建物の「たたずまい」を

見つけるという意味が込められている。

建築という箱に人の生活を無理やり当てはめるのではなく、

自然の理(ことわり)に寄り添ってこそ、心地よい空間が生まれるという思想。

 

■宮沢賢治

春と修羅

  (mental sketch modified

 

心象のはひいろはがねから

あけびのつるはくもにからまり

のばらのやぶや腐植の湿地

いちめんのいちめんの諂曲てんごく模様

(正午の管楽くわんがくよりもしげく

 琥珀のかけらがそそぐとき)

いかりのにがさまた青さ

四月の気層のひかりの底を

唾つばきし はぎしりゆききする

おれはひとりの修羅なのだ

(風景はなみだにゆすれ)

砕ける雲の眼路めぢをかぎり

 れいろうの天の海には

  聖玻璃せいはりの風が行き交ひ

   ZYPRESSEN 春のいちれつ

    くろぐろと光素エーテルを吸ひ

     その暗い脚並からは

      天山の雪の稜さへひかるのに

      (かげろふの波と白い偏光)

      まことのことばはうしなはれ

     雲はちぎれてそらをとぶ

    ああかがやきの四月の底を

   はぎしり燃えてゆききする

  おれはひとりの修羅なのだ

  (玉髄の雲がながれて

   どこで啼くその春の鳥)

  日輪青くかげろへば

    修羅は樹林に交響し

     陥りくらむ天の椀から

      黒い木の群落が延び

       その枝はかなしくしげり

      すべて二重の風景を

     喪神の森の梢から

    ひらめいてとびたつからす

    (気層いよいよすみわたり

     ひのきもしんと天に立つころ)

草地の黄金をすぎてくるもの

ことなくひとのかたちのもの

けらをまとひおれを見るその農夫

ほんたうにおれが見えるのか

まばゆい気圏の海のそこに

(かなしみは青々ふかく)

ZYPRESSEN しづかにゆすれ

鳥はまた青ぞらを截る

(まことのことばはここになく

 修羅のなみだはつちにふる)

 

あたらしくそらに息つけば

ほの白く肺はちぢまり

(このからだそらのみぢんにちらばれ)

いてふのこずゑまたひかり

ZYPRESSEN いよいよ黒く

雲の火ばなは降りそそぐ

参照:https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1058_15403.html

2026年7月11日土曜日

わたしの日々が、言葉になるまで 松居大悟

夕立雲コロコロ変わる答弁よ

熱き日よ明言避けてはぐらかせ

明易し解らぬ時のこぼす笑み

イメージ操作したのはあなた汗拭い

参考人としての説明花火

 

■わたしの日々が、言葉になるまで 6月放送分

どうして「愚痴」はこぼす「弱音」は吐くなのか?

松居大悟 金原ひとみ 久保史緒里 桐山照史 劇団ひとり

 

👑「弱音」と「愚痴」

マイナスのことを言うと言葉に引っ張られる 弱音は吐かない 桐山照史

弱音を吐くようにしている 久保

 

三浦しをんの表現から考える どうして弱音は「吐く」なのか?

 

「舟を編む」の一文 三浦しをん著/光文社

「だめなんだ」喉ばかりかまぶたまでが熱くなり、西岡はうつむいた。

「宣伝広報部へ移動になる。俺は辞書編集部からはずされた」

こんな弱音を吐くなんて、悔しい。なさけない。

でも、やっとひとに打ち明けることができた。

小石のように硬く冷たく肉に食いこんだ。俺の悔しさなけなさを。

 

愚痴はコップからあふれる 弱音は扉から流れ出す 

愚痴は気がついたらこぼれてきちゃう 

弱音はきっかけタイミングが合うとパッと開く 金原

 

朝井リョウが描いた弱音を吐けなかった中年男の心情

一瞬あのころの戻ったような気持ちになっていた。

あのころみたいに、心のやわらかい部分も含めて、

何でも曝け出しそうになっていた。

もう五十近い男がネガティブな感情を吐露したところで、

相手を困らせるだけだ。

そういう、弱音を含めた本音を響かせ合うような

コミュニケーションは若い人間の特権だと、

この歳になってますます思う。

「イン・ザ・メガチャーチ」朝井リョウ著

 

若いころは弱音も言いあっていた 嘘の弱音も言いあっていた

大人になればなるほどなくなっていって 

自分を大きく見せなきゃいけない 松居

 

子どもの頃は弱さ自慢があった

大人になると強さ自慢になっちゃう ひとり

 

弱音を吐かないと老害になる 自分の弱さを認められない人は

人の弱さも認められない 弱音をガンガン吐いて 

本当に自分の心を知るべき

 

なぜ弱音は吐くのに、愚痴はこぼしのか、

その真相がわかる有力な情報を持ってきました ひとり

【弱音を吐く】…本音を相手に向かってわかるように言う場合に使う

中のものを口から出す わかるように言う

)本音を吐く

【愚痴をこぼす】…たとえ独り言でもついつい言ってしまう場合に使う

         ついつい外に出す 思わず見せてしまう

         例)笑みをこぼす

 

コントロールできるものとできないものでしょうね 金原

 

朝日が見えてきた 弱音はもう吐かない

今日こそは 今日こそは 自分らしく生きる

―乃木坂46「夜明けまで強がらなくてもいい」

 

弱音は吐くとアイドルの中のその人自身が出ちゃう 松居

 

弱音の吐露から始まる「ミーツ・ザ・ワールド」

原作・金原ひとみ 監督・松居大悟

「あなたみたいになりたかった。あなたみたいに生きたかった。

 あなたみたいな顔に生まれたかった」

弱音の吐露から始まる2人の関係

金原・松居が弱音に託した想いとは?

 

近い人には本音は言えない 急に現れた人なら本音を言える ひとり

スナック効果 彼女がコンプレックスを持っていることを

伝えられるので最初から彼女が何を抱えているのか 

読者・視聴者に伝わっている状態になる 弱音を最初に

持ってくることでいろんなことを省略できた 金原

 

弱音吐かざる者に酒の味わからず ひとり

 

👑名作を彩る【レモン】の魅力に迫る!

高校1年生 春 呪いが解ける その レモンソーダで

村田真優「ハニーレモンソーダ1巻」

 

俺と秋元の間に、本物のレモンよりゆるくて甘い、

つくりもののレモンの香りが漂っていた

豊島ミホ「檸檬のころ」

 

2017年放送「カルテット」

から揚げにレモンをかけるかけないかで揉める

男女4人の食事シーンが話題に

人間性が立ち現れてくる

 

米津玄師「Lemon」祖父の死を経験したことも作品に大きな影響を与えた

大切な人を突然失った喪失感 レモンに託した表現

 

あの日の悲しみさえ あの日の苦しみさえ

そのすべてを愛してた あなたとともに

胸に残り離れない 苦いレモンの匂い

雨が降り止むまでは帰れない

切り分けた果実の片方の様に

今でもあなたはわたしの光

 

苦いレモンはむいてない状態 皮の香り

切り分けた時に果実がはねたり フレッシュなものが出てきて

そこには希望が抱ける

 

PositiveNegativeが同居している表現は如何ですか? ひとり

それがレモンという存在 松居

 

あの米津玄師が影響を与えた?文豪がイメージした過激なレモン

――米津さんは文学もお好きだと思うんですけど、

私はタイトルを見た時に梶井基次郎の「檸檬」が頭をよぎりました。

米津玄師:確かに「レモン」って文学的ニュアンスがあると思ってて。

 

憂鬱な気持ちで生きる「私」

借金 肺結核

レモンを手に入れ塞いでいた気持ちが変わる

 

一体私はあの檸檬が好きだ。

レモンエロウの絵具をチューブから搾り出して固めたような

あの単純な色も、それからあの丈の詰まった紡錘形の格好も。 

その檸檬の冷たさは 例えようもなくよかった。

(中略)

握っている掌から身内に浸み透ってゆくような

その冷たさは快いものだった。

そしてふかぶかと胸一杯に匂やかに空気を吸い込めば、

ついぞ胸一杯に呼吸したことのなかった

私の身体や顔には温かい血のほとぼりが昇って来て

なんだか身内に元気が目覚めて来たのだった。…

梶井基次郎「檸檬」

 

レモンは最も五感を刺激する 久保

レモンは爆弾だと思っている 病弱で借金があって 弱々しい主人公

病弱だからこそひかれたレモンの存在の強さ 人を死に至らしめたり

破壊したりする力のあるものの象徴 金原

爆弾 死の象徴 生の象徴

 

どうしてレモンはこんなにモチーフとして使われるの?

インパクトがある 見た目 味 香り 金原

余白があるんですかね 自立してない 

ひとつでは成立していないから ストーリーを載せやすい 松居

レモンはメインに合わせられる ひとり

バナナだと自立しているから余地がない 松居

自己完結 金原

レモンは余白でストーリーに寄り添う果物 これが答えだと思う ひとり

 

👑気まずい空気を打開する言葉

~桐山流気まずくならない会話術~

?で投げかける

先輩の私の年ぐらいの時ってどんなんでしたか? 桐山

Aさん、すっごく楽しそうでしたね! 久保

今日の飲み会、いつが気まずかった? 松居

推しっていますか? 推しがいる人は喋りたがっている 金原

最近、なんか、おいしいもん食べた? ひとり

 

なぜ❝気まずい❞感情が沸き起こる?

地元の商店街のおばちゃんと話しても気まずくならない

相手と自分にやけに期待すると そことのギャップを埋めようとする

期待しすぎて気まずさを生む いい時間を過ごしたいから空回りして

気まずいが生まれる 松居

どうでもいい人とは気まずくならない それ正解じゃないですか ひとり

気まずいの正体発見!? 

2026年7月10日金曜日

あの本、読みました?「文庫本」背筋

(こうのとり)田んぼへ3羽巣立ちかな

梅雨晴間新町川の夾竹桃

口から食べる喋る調べる夏を生く

慈悲心鳥問いを問いで返すとは

夏の夕眩しく光る茜色

 

■あの本、読みました?実は小さく安くなるだけじゃない!「文庫本」の魅力大解剖

背筋 河北荘平 池谷真吾 鈴木保奈美 山本倖千恵

 

「汝、星の如く」が文庫本になる際 凪良ゆうが放ったひと言

「ごめん 文庫のほうがいいね」

 

新たな物語が加えられた本

「君のクイズ」小川哲著

別の登場人物の視点で主人公のことを書いたら別の見え方ができるのでは

 

登場人物を変えた本

「近畿地方のある場所について」背筋著

作家・背筋の狙いとは?

ブラッシュアップというよりは別商品にするにあたり

新しい付加価値をどこの付けるか

 

単行本と文庫本の基本的な違い

出版社によっても文庫本の大きさは違う

単行本から文庫本になるタイミングは? 3年⇨2

単行本から文庫本になる編集者は変わるのか?

 

文庫本のみ発売 

「一次元の挿し木」松下龍之介著/宝島社文庫

「方舟」夕木春央/講談社文庫

 

1小さく軽くなる

2登場人物が変わる

3帯・カバーは変わる

4新たなエピソードが加わる

 

1「星を編む」(講談社)凪良ゆう 文庫本の原稿を拝見

ページをまたがない! 京極夏彦 驚愕の美意識とは?

 

単行本から文庫本にする時 時代に合わせた表現に変更することも

 

2「近畿地方のある場所について」背筋著/KADOKAWA

文庫本 編集者 小澤 ライター 瀬野千尋が失踪

単行本 ライター 背筋 編集者 小沢が失踪

 

なぜ登場人物を変えたのか? 作家・背筋

別商品にして付加価値をつけたかった

両方読む楽しみがある

 

3凪良ゆうが唸った帯文

上下巻に分かれる話から… 基準は?

カバーではなく全面帯 フル帯

「悪人」吉田修一著 映画化が決まっていたので

上下巻 男性が主役編と女性が主役編に文庫化した

全面帯は16年前に池谷さんが作った手法

単行本が文庫本にするとき カバーを変える

「汝、星のごとく」凪良ゆう著

単行本 その愛は、あまりにも切ない。

文庫本 あなたと生きる、その痛みごと。

「川のある街」江國香織著

単行本 はかなく移りゆく濃密な生の営み

生き生きとし生けるものを温かく包みこむ自愛の物語

文庫本 その流れは、私たちを温かく包みこむ

 

4「君のクイズ」小川哲著/朝日新聞出版

本編ではあまり注目されていない富塚というクイズプレーヤーの視点で描かれる

 

「君のクイズ」の一文 小川哲著/朝日文庫

「クイズって、そもそも他者のためのものなんです。

作問する人と解答する人がお互いのことを考えなければ成立しません。

作問者は解答者に正解してほしいし、解答者は作問者の期待に応えたい」

「だが本庄は、その前提に生まれる隙をついてインチキをした」

「インチキではないと思いますー」三島は少し考えてから

「―むしろ、クイズの本質かも知れません」と言う。

 

「パラソルでパラシュート」(講談社)一穂ミチ

文庫化の際に収録

夜間降下

目次

第1章        聴こえない歌 第2章 騒がしい家 

3章 新しい夏 第4章 美しい雨

 

2026年7月9日木曜日

瀬戸内寂聴 「愛」&「愛した書いた祈った」

大谷は何はなくとも夏の季語

大谷へエールを送る午前4

大谷の笑みで微笑む夫かな

大谷の幸は我が家の幸となる

大谷と一喜一憂ともにせり

 

■大人のEテレタイムマシン 

現代ジャーナル 瀬戸内寂聴「愛」ということば 1990年放送

シリーズ 日本語 私のみつけた美しい日本語

瀬戸内寂聴「愛」ということば

木の中から仏様にお出まし願う 木像

石の中からお出まし願う 石像

 

大正11年 徳島県生まれ 「かの子繚乱」「美は乱調にあり」「青踏」など

多くの作品を発表、昭和62年から天台寺住職

 

「愛」とは仏教では、渇愛と慈悲 百八は無限を表している 

煩悩は数限りなくある 人間が一番困る煩悩が渇愛 

人間の愛はお返しを求める愛 期待し満たされないと腹が立つ

慈悲は無償の愛 人間にはない 忘れてはいけない 喜びを与え苦しみを抜く

人間は男女とも愛されたい 愛されないことは一番寂しい 

キリスト教では、エロスとアガペ

 

愛は相手の欲してるものを与えること 欲していないものは与えない事

相手が何を欲しているかを想像する力が大切

想像力は思いやり 粗暴な言葉は吐かない 暴力を振るわない

体罰は愛ではない 戦後の教育が間違った 自己主張 基本的躾はあっていい

自愛が強いのは良くない 自分が傷つきたくない 情熱の欠如

愛が使われ出したのは明治時代 それまでは惚れた 愛はLOVEを訳した言葉

I LOVE YOU.死んでもいいわと訳した人がいる 想うが使われていた

 

天台寺は奈良時代の創建と伝えられ、東北の名刹として知られている

近く国の重要文化財に指定の予定 秋の大祭を前に本堂の修復も進む

 

観音様は慈悲 本当はおひげがついている 男でも女でもない

平安時代は女は男の欲望のために使われた

平安時代より万葉時代の方が情熱的だった

出家したら男女の関係は絶たなければならない

明治時代からは尼さんでも結婚している

光源氏すら出家した女には手を出さなかった

出家には期待と信頼があった

源氏物語の中で一番不幸だったのは紫の上

出家願望が強かったのに出家できないまま亡くなってしまった

愛と恋は違う 恋はすぐ覚める 恋を愛に持ち直す

男女の間に友情はないと思っていた 年を重ねそうではないと思えてきた

性愛を抜きにすると男女もよい人間関係が構築できる

渇愛から離れれば友情でも自愛でも新しい愛の形が生れる

相手に好きな人が出来たら自分から離れるのが愛

寂聴女史はいまだ嫉妬があるらしい 私は自分から身を引く

今が一番良い時間だと寂聴女史 何が自分の中から出て来るか楽しみ

己を忘れ他を利すれば慈悲の極みなり 平安時代に天台宗を開いた最澄の言葉

忘己利他(もうこりた): 

自分の利益や評価()にとらわれず、相手が喜ぶこと(利他)を純粋に行うこと

これこそが愛の極み

人間は孤独だから愛を求める 生まれる時も死ぬ時も独り

寂しいから愛を求める 寂しいと思う気持ちへの共感と同情

他人の痛みを思いやる心 

 

■知恵泉 瀬戸内寂聴 愛した 書いた 祈った

岩手県天台寺(1300年の歴史を持つ寺)に一人の女性が眠っています

作家・僧侶 瀬戸内寂聴(1922-2021)

 

髙橋源一郎 瀬尾まなほ(22歳から10年間寂聴の秘書を務める) 美村里江

 

泣きたい時は泣いた方が良いのよ 泣くのが当り前よ 

どん底に落ちるとね はずみで上に上がるんですよ

波乱万丈 許されざる恋 流行作家 51歳で突如出家

みんな死ぬんです 死ぬために私たちはこの世に生まれてきている

「私は死なないわ」と思う方 手を上げてください 

 

過去のこともくよくよするな 未来のこともくよくよするな

今を切に生きてください

 

髙橋源一郎氏

僕が書いた作品が最終候補(群像新人文学賞)になった

寂聴さん以外全員大反対 その後デビューした作品の帯を寂聴に書いてもらった

「私が生み出した」って言ってました

 

大正11(1922)徳島市の仏壇屋に生まれる

本名 晴美

文学に没頭 徳女(現 城東高校)を首席で卒業

昭和15(1940) 東京女子大学に進学

在学中に中国の音楽史を研究する学者と20歳の時、見合い結婚

昭和18(1943) 夫と北京へ渡り 娘を授かる

絵にかいたような良妻賢母の道を疑うことなく歩んでいました

昭和20(1945)年 日本敗戦 晴美23歳の時でした

 

それまで信じていたものは 何だったんだろう ということを考えました

ただ教えられていたとおりに素直に信じて生きてきましたけれど

これからは教えられたとおりのままじゃなくて

自分で考えて自分の心と肌で感じたものだけしか信じちゃいけない

 

揺らぐ価値感

25歳の時、夫の教え子を恋することに 晴美にとっては初恋だった

家族を捨て出奔(しゅっぽん) あっさり破局

まだ、喋れない子どもを見捨てた事だけが後悔

独りになった晴美は以前から興味のあった文筆を始める

振り出しは少女小説「岬の虹」や童話「山羊トコスモス」

昭和32年 35歳になった晴美はセンセーショナルな作品を世に送り出す

「花芯」昭和32(1957)知人女性をモデルに性愛をドライに描く

 

私ははじめてこれまでの自分が、

どれほど孤独で虚しく生きてきたかをさとった。(中略)

眠りから覚めていく細胞の一つ一つが、

越智への恋でふくらむように思えた。

瀬戸内晴美「花芯」より

 

越智とはじめて肉体的に結ばれた時、私の恋は終わったのだ。

瀬戸内晴美「花芯」より

 

瀬戸内寂聴記念館 事務局長 竹内紀子

プラトニックな恋のままなら お互いに尊重し合って

精神的に好きだけれど 寝てしまうと その思いが変質する

精神的な恋と性愛は 全く別のもの 

 

子宮作家とレッテルを貼られ 文壇から干された

 

5年間完全に干されました このわからず屋と思っていました

今に見ろと思っていた 寂聴

 

いっぽう石原慎太郎が発表した「太陽の季節」が芥川賞を受賞

 

当時の分断は大半が男の人だし男社会だったと思う 

寂聴さんはまだ35歳くらい よく知られていないし

❝男によって女は救われない❞みたいなことを書いている 

当時は男が女を幸せにするのが当たり前の時代 

生意気だって思われた 好き勝手に若い子が書いていいものか? 竹内

 

最大のピンチ

 

瀬戸内晴美の知恵

己の痛みをさらけ出す覚悟を持て

 

作家 田村俊子(1884-1945)

官能的な退廃美の世界を描き人気を得る

代表作「木乃伊(みいら)の口紅」「炮烙(ほうらく)の刑」「あきらめ」

女性作家のパイオニア ❝魔性の女❞というレッテルを貼られる

 

彼女(田村俊子)も考え方が非常に目覚めた「新しい女」

自我を持つ「新しい女」であるとともに 

本能に流される無知な女の一面もある。

(晴美は)共通があるなと思ったんじゃないか 

 

大正6(1917)「女作者」田村俊子作

この女作者の頭脳のなかは、今までに乏しい力をさんざ絞りだし

絞りだし爲してきた 残りの滓(かす)でいつぱいになつてゐて、

もう何()うこの袋を揉み絞つても、肉の付いた一言も

出てこなければ血の匂ひのする半句も食みでてこない。

 

昭和37(1962)「夏の終り」

自らの不倫体験を描いた私小説

 

涼太とどんな激しい密会を重ねていっても、知子は慎吾への愛が一向に

薄らがらない自分を感じていた。

けれども、涼太との事が、慎吾に発覚する瞬間を想像すると、

血の凍るような恐怖が全身に流れる。

誇りはとうに見失われていた。

気づいた時には底のない虚無の淵どっぷり腰までつかっていた。

瀬戸内晴美「夏の終り」より

 

本当に人間は自分の中のダメなね 煩悩の五欲煩悩の

どうしようもないものを吐き出したら何かそこに光が見えてくる

そこに腰を据えて自分のしたことを見つめてみましょう

 

昭和38(1963) 第2階女流文学賞を受賞

100万部を超えるロングセラー

 

自分が書いたものを自分が面白いと思っていた

寂聴曰く「だって面白いんだもん」

「誰も言ってくれないから自分で言うしかない」

自分の文学に自信があったし諦めなかった

 

過去の自分を応援している感じ 

女性作家でロールモデル(手本となる人物)を発見した

「私の書くべき小説の宝庫がある」気がついた

「花芯」には社会が出てこない(「夏の終り」に)社会が姿を現す

普遍性を見つけた 高橋

 

自分がした事は自分で責任を持つ まなほ

自分で全てを決めるところが瀬戸内の文学にも生活にも出ていた

 

書いた作者の「痛み」を感じた時に「この人は信用できる」

髙橋源一郎の知恵

「痛み」を感じる言葉から「信用」が生まれる

 

世間を驚かせた「決断」の境地とは?

岩手県 中尊寺 昭和48(1973)出家得度

この頃、たすうの連載を抱え忙しさはピーク

私生活でも作家 井上光晴と不倫関係に陥り 悩みを抱えていた

二人の関係を清算した寂聴は

京都 嵯峨野「寂庵」という庵を結びます

隠遁生活を送りながら作品を書き続けました

 

寂聴の言葉

私は立派なお坊さんにはなれないし 悟りなんか到底開けない

お坊さんなんか無理だと思いますね 出家はしてるけど

そういうふうにはなれない 

 

出家して10年が経過したころ寂聴に転機が訪れる

きっかけを作ったのは5歳年上の姉 艶

 

よく十年もつづいたわね、何か御恩報じをしなければ(中略)

ここに人が集って来られる空間をつくったら

瀬戸内晴美「春美と寂聴のすべて」より

 

忘己利他(もうこりた) 

無明(むみょう)仏教用語で無知である事

どうしようもない煩悩に身を任せている

そのときがいちばんつらい そのつらさをおさめるために

無明に光を与えなければいけない これは知恵

 

ある依頼が舞い込む 岩手県 天台寺 住職依頼

奈良時代開かれたとされる古刹(こさつ)でしたが荒寺となっていました

 

天台寺は、想像に絶する 荒廃の極みにあった。

はじめて天台寺の境内に立った時の恐怖を伴う

全身の震えは、今も忘れることが出来ない

瀬戸内晴美「晴美と寂聴のすべて」より

 

多い時は寂聴の法話に15,000人もの人が天台寺に訪れた。

 

瀬戸内寂聴の知恵 肯定力で寄り添え

 

寂聴88歳の時 平成23(2011)311日 東日本大震災

何をあの人たちに言葉をかけていいか

何をしてあげていいか分からないね

 

苦しみに付き合う

 

明日はあるかどうか分からない

今日一日を切に一生懸命生きましょう

ありのままの自分と素直に向き合い一度しかない人生を慈しむ

 

なぜ出家したのか?

「小説家としてのバックボーンが欲しかった」と言っていた 瀬尾まなほ

最後のほうは「神秘的なもので導かれた」と言っていた

 

ロールモデルは時代によって変わってくる

古いロールモデルがある 出家 

「源氏物語」(平安時代中期 紫式部作)

登場人物の多くが世俗のしがらみを断つため出家する

これは日本が歴史的に持っている知恵

(出家は)自由になるやり方の一つ

ダイレクトに言葉を届けると胸にささっちゃう

横にいるのがいい 小説だと「意味がある言葉」

現実には「意味がなくてもいい」言葉の出し方の幅が広がった

一つの大きな流れとなった

 

高橋さんは2015年より新聞で人生相談を担当

ヘンリー・ダーガー(1892-1973)

アメリカの作家・画家 死後15,000ページにも及ぶ小説

「非現実の王国」が発見される

友達が1人もいない 60年間小説を書いていた

亡くなってから発見される 世界最長の小説

この人生は不幸か?彼は自分のために小説を書いていた

小説家になるんだったら誰にもなれます

 

髙橋源一郎さんの知恵

世界は「肯定の材料」にあふれている

 

私自身を肯定してくれたのは瀬戸内だった

「私なんか」というような人間は寂庵にいらない

自分を愛せない人間はもう要らないって初めて怒られた

自分がいじめている自分を励ましてくれている

すごくありがたいと思った 

瀬戸内のお陰で濃い10年を過ごせた 瀬尾まなほ

 

「源ちゃん 長生きしなきゃだめだよ」

「嫌なやつはみんな死ぬから」高橋