金糸梅(きんしばい)武相荘にて煌めかん
貴賓という優しさを持ち風薫る
夏空よ粘土と言葉同じかも
人間と鉄は一緒夏柳
壮絶な生い立ちを知る蓮の花
■あの本、読みました?本屋に行くと良いことは?~本屋大賞作家・瀬尾まいこに聞く
瀬尾まいこ 鈴木保奈美 山本倖千恵
書店愛が伝わる本
今年5月刊行「本屋さんのある街で」
書店好きな5人の作家 本屋さんをテーマに短編を寄稿
閉店間際の書店を舞台にした理由
「本屋さんのある街で」
凪良ゆう 瀬尾まいこ 坂本司 一穂ミチ 三浦しをん著/文春文庫
「あ、お客さんのとこに行ってよ。私、これを買っていくし」
私は新たに入店した女性を見かけて、菅原君に告げた。
これ以上しゃべっていたら、もう一冊くらい買ってしまいそうだ。
「いえ、あの人は静かに本を探したそうですから」
「お客様を選んで声をかけてるの?」
「最初は、来る人来る人に声をかけて店長に注意されたんです。
本はゆっくり買うものだ。お前は本を買ったことがないのかって
怒られて。だから今は控えめにしてます」
「そうだよね」
私も静かに選びたかった。いや、でも、菅原君のおかげで
この本をもう読みたくなってるから、勧めてもらって良かったのかもしれない。
「ありがとう、じゃあ」
レジを済ませて店を出る私の背中に、
「またお越しくださいませ」という元気な声が響いた。
一日店長をした書店員体験をもとに描写
エッセイ「そんなときは書店にどうぞ」瀬尾まいこ著/水鈴社
表紙の裏 *この本の印税と収益は、
全国の書店さんの応援のために使わせていただきます。
通常は定価の20%が書店に分配されるが
本書は印税を含め50%が書店に還元される
水鈴社代表 篠原一朗さん 曰く
「瀬尾さん 本当に書店のことを考えるなら
良い小説を書く それ以上のものはないですよ」
「そんなときは書店にどうぞ」の一文 瀬尾まいこ著/水鈴社
まずは店頭で、「本、たくさんありますよ」
「どうぞ見て行ってくださいね」と呼び込みをしたのですが、
K店長に、「店の外、ショッピングセンターの敷地になるんですよ。
ここまでがギリです」と言われ店内にすっこむことに。
それでは中でと、お客様に「その本、いいですよね」と
お声がけをしたのですが、静かに去られてしまいました。
お声がけのタイミングって難しいですよね。
(中略)
唯一、書店員らしいことができたのは、マジックを探されているお客様に
「この辺りです」とお教えしたこと。でもその方、後で私の本を買って
そのマジックと一緒に「サインください」と差し出されました。
私、マジックは持参してたんです。サインに使いはるんやったら、
「マジックなんぞこの店では一切取り扱っておりません」と言うたのに。
すみません。
1日店長で経験した書店員の苦労と努力
本屋大賞作家 瀬尾まいこ推薦 「行くだけで楽しい本屋さん」
「子どもが楽しい本屋さん」
①
未来屋書店四条畷店(大阪)
「○○の神様が在籍」
②
水嶋書房 KUZUHA MALL店(大阪)
七つの会議 虚栄の繫栄か、真実の清貧か
Special Message 水嶋書房 KAZUHA MALL店 桝田愛さん
瀬尾さんってどんな人?
とにかく書店さんが大好きで「書店さんのためなら!」って言って
しょっちゅう来てくれる 急遽ミニサイン会になっても
嫌な顔一つせずやってくださる(書店へ)呼び込みまでしてくれる
こちらとしてはとてもとても 楽しく嬉しく売り上げも上がり
本当にあたたかい とても素敵な方ですね
忘れられない思い出
務めていた書店が閉店になった 店が閉まる時に瀬尾さんが
作ってきてくれた 「本」なんですけど みんなに作ってきてくれて
「AI(愛)」って名前が入っていて 瀬尾さんは針と糸ができない方なので
全部これ接着剤で付けていたんですね 2~3日で爆発してしまって
上から綿がブワーって出て「爆発したー!!!」
仕方ないから私が縫いました… でもこれ大事にしててみんなまだ
エプロンとかに付けてるんですよ 本当に本屋さんのことを
すごい考えてくださる方なので 本屋としてはありがたい作家さんですね
いろんな本を出していってほしい 私は必ず応援します!
瀬尾さんが思う書店に行くべき理由
・本好きさんと本屋さんぽ
テーマ POPで一番刺さった本
「月がきれいな夜に、誰かに思い出してほしかった」川代紗生著/サンマーク出版
忘れられない恋の記憶を抱えた人々の再出発を描く 川代紗生が紡ぐ連載小説
POP タイトルが刺さる 刺さりすぎる…!
さみしさをそっているあなたに見つけてもらうために
この本はここにあるんだと思います。
「鴉は硝子のフリルで踊る」 梅﨑実奈編/河出書房新社
POP 私は本書を通して選ばれた歌のすばらしさもさることながら
改めて「編む」という行為の尊さに思いを馳せる。
ひとりの女性が愛し、慈しみ、真綿でくるむように あたためてきた
歌のひとつひとつが織りなす調べは彼女のこれまでの歩みの分だけ
清く高らかに響き渡っている。そして、ふと思い至るのだ。
あゝこれこそ私の見たかった「幻想」なのだと。 by 竹田さん
紀伊國屋書店 短歌担当 梅﨑実奈さんが編集
現代短歌147首を収録した短歌アンソロジー
「つくりたくなる日々のレシピ」長谷川あかり著/扶桑社
SNS総フォロワー数は145万人超の人気料理家 長谷川あかりのレシピ集
POP 長谷川あかりを信じろ‼
「10本のぷりぷりソーセージ」ミシェル・ロビンソン文
トール・フリーマン絵 もとしたいずみ訳/ほるぷ出版
フライパンの上で焼かれるソーセージたちの運命を描く
ちょっぴりこわいユーモア絵本
POP にげきれるソーセージはいるのか!?
さいごまでハラハラドキドキな絵本!
本棚は人生の縮図である
「巨匠とマルガリータ」ミハイル・ブルガーコフ著 石井信介訳/新潮文庫
悪魔が現れたモスクワを舞台に愛と芸術を描く幻想文学の傑作
POP 暗い小説が好きです
「余命3000文字」村崎羯諦著/小学館文庫
人生の残り時間が❝文字数❞で決まる世界を描く
村崎羯諦の発想力あふれる短編集
POP 余命3000文字
「文字数で余命を宣告された男」の数奇な運命から始まる、
ちょっぴり不思議な26の物語 村崎羯諦著 小学館文庫
「ありか」瀬尾まいこ著
POP ありか 家族という愛憎のグラデーションが最も濃くなる存在を
絶妙なコントラストで描き出す瀬尾さんの真骨頂とも言える物語。
当たり前の関係性なんてどこにもないのに親、子供、夫、妻、立場が
象っていく何かに息が詰まるような心地を覚えたことは何度もあるし、
自分自身もまた❝毒❞何とかになっていないか 急に怖くなって
ケーキを買って帰ったのは内緒だ。それを思いやりというのは
おこがましいけれど それでも些細な体温の交換が続く日常を
幸せのありかにしていけたらと願わずにはいられない by 竹田さん
POPで一番刺さった本
鈴木保奈美女史は「鴉は硝子のフリルで踊る」
瀬尾まいこ女史は「10本のぷりぷりソーセージ」
2019年本屋大賞受賞「そして、バトンは渡された」
2026年本屋大賞7位「ありか」
これまでの人生全てを込めた作品
今作のテーマについて 水鈴社代表 篠原一朗さん
僕は一度 瀬尾さんと娘さんの物語が読みたいな
この作品はヘビーでシビアな部分も描いた 母娘の危うさ
読み手によって異なる読後感
「ありか」の一文 瀬尾まいこ著/水鈴社
「あ、ママの足冷たい」ひかりが私の足に足を絡ませる。
「じゃあ、ひかんぽつけようっと」
私はひかりのおでこを人差し指でピッと押した。
「ひかんぽ、起動しました。温かくなりました。五十度です」
ひかりは、ロボットのまねをしてそう言うと、さらに私にくっついてきた。
冬の間、ひかりは自分のことをゆたんぽ改めひかんぽと名付け、
密着してくる。ひかりいわく、身体を温めてくれる代物らしい。
(中略)
「ママはすごくいいものを見つけたよね」ひかりが言う。
「ひかんぽ?」「そう。どこにも売ってないもん」
「じゃあ大事にしないと」「そうそう。故障したらね修理できないから」
「えーたいへんだ。しっかり野菜を食べさせないとダメってことだね」
「違う!ひかんぽはお菓子で動くんだよ」
(中略)
「もう、夜でしょ。ママ。ちゃんと寝ないと」とひかりに注意された。
「そうだそうだ。明日から新学期だもんね。おやすみ。
ひかり、ひかんぽちゃん」「うん。おやすみ。ママとママんぽちゃん」
いつの間にか私も湯たんぽの一種にされてる。
しかも美空をもじってみそんぽじゃないんだ、と笑いたくなったけど、
また注意されかねない。ひかんぽで温められた私はそっと目を閉じた。