2022年11月20日日曜日

歴史探偵「正岡子規」

冬めくやもののあわれと寄り添へり
なきものをあると思わん冬浅し
抜け落ちて行く記憶はいずこ惜命忌
紅葉散る今日も今日とて漢意(からごころ)
冬の日や月なき空に曜(よう)浮かぶ (曜とは星のこと)

歴史探偵「正岡子規」より
佐藤二郎(所長) 近田雄一(探偵)

明治版SNSに迫っていました。面白かった!
文学の一大革命に迫る
20代の子規
俳句の方字数少けれども意味深くして遥に面白し
「古池や蛙飛びこむ水のおと   松尾芭蕉」
静かという言葉を使わず静けさを伝えた
これこそが俳句の奥深さだ

一部をあげて全体をあらわし
あるいは さみしくと言わないで
さみしいように見せるのが
優れた詩の趣だと思い至り
思わず机をたたいて
「古池や」の句の味を知って喜んだ
「筆まかせ」より 子規22歳

五七五のリズム
調子よきか如く
聞く人におもしろく感せしめ
「真砂集」より

四季のおじいさんが漢詩の得意な人で
お殿様の先生だったりして
子規は筋がよくて褒められた

ことばをたくさん覚えていくということは
世界をいろんなふうに表現できる
そういう道具をいっぱい見つけてくることに
非常に関心のあった人だと思います。

子規の考えた野球用語
Striker 打者
Runner 走者
Direct ball 直球
Fly ball 飛球

当時の俳句を痛烈に批判した
卑俗陳腐(品がなくて俗っぽくて古くてつまらない)
「俳諧大要」正岡子規

昔の俳句は似通った俳句が多かった 
パターン化していた
月の秋の宿とやみがく玉椿
月もいくよみがえる宿の玉椿

いい言い方をするとポピュラーな単語を多く使った俳句
悪い言い方をすると使い古された単語を
集めたような俳句が多いなという印象

如何に同様の趣向にして
如何につまらぬ趣向かが
一讀して直に感ぜざる者無かるべし。
「ホトトギス」より

俳句をものせんと思はゞ
思ふまゝをものすべし
巧を求むる莫(なか)れ
他人に恥かしがる莫れ
「俳諧大要」より

五月雨を集めて早し最上川   松尾芭蕉
五月雨や大河を前に家二軒   与謝蕪村
子規は写生の観点から見ると蕪村の方が優れている

人に伝わる俳句のコツ
① 実体験を題材にする
② 日常を言葉にする

バツイチの総菜ひとつ秋の暮   野里哲

妻が居て息子と戯れ酒極上   佐藤二郎所長
添削(季語を入れる)
妻が居て息子と戯れ新酒かな   句陀仏(所長の俳号)

六月八日
僕は蚕を飼ひ
桑を少し摘みて
田植に行く。
「ホトトギス」より

「誰でも自分の言葉で発信すべきだ。」と子規。
明治は個人が自分の力で
生きていく時代だっていうこと
あなたも作家になるって言うことです。
誰もが作り手になり誰もが情報の発信者になる。
今のSNSと近いものがある。

子規のレガシーは俳句のそうですけど
生きているというふうに見ることができる。
井上泰至

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