冬陽射し懐紙にのせた柴の雪
冬日陰色鮮やかに藪柑子(やぶこうじ)
控えめの冬の庵を雪花咲く
陶器との一期一会しづり雪
冬の庵や吸いきる音の響きをり
NHK短歌 題「味」
選者 佐佐木定綱 ゲスト 山崎ナオコーラ 司会 星野真里
レギュラー 元髙克樹 矢花黎 カン・ハンナ
■冒頭の短歌
牛丼の果てにひとつの詩を見つけ七味をかけてかき込んでいる
佐佐木定綱
■入選九句 題「味」
星野石垣(いしがき)島で初めて食みたるゴーヤチャンプルー苦味を知りし新婚の夜
浜田ゆり子
ぼんやりと画面の指紋ぬぐう夜後味悪い電話を終えて
栗本悦子
瞳(め)に映る一つひとうにかぶりつき吾子は世界を味見している
神守彩枝
味噌汁を啜る音だけの食卓でふたりひとしく傷ついている
よだか
③会議室のコーヒーボタン押すたびに薄くなりゆく青春の味
井上武明
カン屋上で育てた社員食堂の野菜はどれも標準語の味
川越羽流(はる)
②北風を味方につけて少年は冬の第一走者となりぬ
檜澤(ひざわ)さくら
あの頃の何でもなれる気がしてた私に会える梅のおにぎり
鈴木ベルキ
💮山崎ママレードジャムの点字をなぞるたび指が味覚を記憶していく
住吉和歌子
■佐佐木先生の短歌というドラマ
歌に秘められたドラマをひも解き深く味わう
相談室に飲みし熱き茶美味かりしをしみじみと言ふ退学の後に
伊藤一彦「海号の歌」
やわらかい言葉と思い言葉
小説はエピソードで「重さ」を作る。
短歌は言葉自体の「重さ」「軽さ」を使って物語を作る。
今回の歌を深く味わうためのポイント
肉体感覚が記憶と結びつくことで
歌はいきいきとして現実味を帯びてくる
山崎さんの目標
「誰にでもわかる言葉で誰にでもかけない文章を書きたい。」
■佐佐木定綱さんからの宿題
題「味」で歌を詠んでください
子の作るカレーライスで人生を終わりにしたいこの味が好き
山崎ナオコーラ
■短歌武者修行
グルグルと胃をもてあそぶたい焼きのキムチの香りはふすまに溶けて
矢花黎
たいやきが吐き出すチーズとキーマカレー鋳型の外で垂れるのを待つ
元髙克樹
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