2022年12月19日月曜日

兼題「咳」

霜柱電力会社よお主まで
冬の月変体仮名の息遣い
冬の夜連綿の高野切(こうやぎれ)
冬の夜息吹きかけん小鍋立て
仇となる親切心をからっ風

NHK俳句 兼題 咳
選者 星野高士 ゲスト 三倉茉奈 司会 武井壮

冒頭の俳句
咳の子のなぞなぞあそびきりもなや   中村汀女

■会いたい俳人、12人 中村汀女
我に返り見直す隅に寒菊赤し   中村汀女

中村汀女女史の言葉
玄関の式台を拭いていてふっと気がつくと
いつもそこには寒菊がある
ああ今年もあるなそれこそ「我に返り」ですわ
あああそこにもあるなと思ったときに
思ったことをそのまま
言ったのがわたしの最初の俳句だないわば
心にあったものをね十七文字に預ける
本当は心のうちにそういうもの
いつも私たちは持っているかもしれませんよ
それを引っ張り出すか
引っ張り出さないかのさかい

咳の子のなぞなぞあそびきりもなや   中村汀女

中村汀女女史の言葉
私の次男のそうですねまだ4つぐらいの時の
句でございますね
ちょっと相手になってなぞなぞをやりはじめますと
いつまででも「もっともっと」と言ってね
きりもなく遊んであるわけにもいかない
何かそわそわとしていることがね子どもにも
すまなかったような気が致しますけど

ゆで玉子むけばかがやく花曇   中村汀女

入選九句 兼題 咳
💮咳ひとつ消えゆくまでの広さかな   岩橋潤
白湯飲んで咳の治まる雨の窓   竹内木形子(こけし)
寄席太鼓前座の席のまじりたる   中村起一
星ひとつ飲み込むやうに咳ひとつ   じゃすみん
武井咳込むやビロードの椅子やはらかし   内藤由美
終電の発車のベルに咳一つ   鈴木由花子
咳一つ残し消えたる旅の僧   古矢敏光
この咳は仲間と思ふ交差点   碩(せき)真由美
三倉咳の子のそれでも向ふ机かな   望月勝男

■吾子俳句
小学校に上がるくらいまでの子供を詠む

左手に破魔矢右手は吾子の手を   星野高士
冬の朝吾子好きなもの好きになる   星野高士

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