2022年11月9日水曜日

三十一文字にかけた夏~熱闘!短歌甲子園~

はんなり気取る山茶花や風に舞う
ガラス窓張りつくヤモリ長き夜
重荷降ろさん秋の越路と広き空
懐かしく愛おしくあり秋景色
何気ない会話重ねん秋の空

三十一文字(みそひともじ)にかけた夏~熱闘!短歌甲子園~

先生が間鴨(あいがも)ならば親にして斜め後ろを歩いてみたい

また伸びた?そう近づいて背比べ恋する想いは負けてないよと

牧水・短歌甲子園

征服したはずの歴代将軍に首を取られる第一問目

「超新星 爆発したことを知るあなたの髪の異常な短さ」
岡田優羽
午後八時までの時間を妹が無限に食べるにんじんしりしり
関谷ななみ
真夜中の今のソファーで父を待つハハの寝息はダースベイダー
岡田優羽

俵万智女史の言葉
「言葉を自分の心に投げ入れたときに
 自分ってこんなことを考えていると気づく
 言葉の技術を持っていると
 心が見えやすくなる
 言葉を磨いておくことは良いこと。」 

永井敦也君(筑波大学付属高校2年生)の言葉
「詠んだ人の心にずっと残り続ける短歌を目指していて
 単純に共感を誘うなら恋した瞬間や失恋した瞬間とか
 みんなの心に残る一部の人に強く残るもの
 自分の札はついた状態で短歌が世に残る
 遺言だと思う
 一部の人に強く残ればいいと思う」 

モータルな隙間デパートの紙袋だけ詰め込んで隠そうとする
酒井宏太郎
リリカルな寝息、グラスのアイスキューブ、南極の映像、あ、天使の間
永井敦也

俵万智女史の言葉
「スタートに心があるから表現の冒険がちゃんと下支えされる。」 

遅々として迷える祖父の散歩道飛行機雲は夕闇に消え
藥丸涼花
恋などにしたくないので少年を悪くないのに悪友と呼ぶ
藥丸涼花
希死念慮かおる白夜のような朝内服薬よりあなたの抱擁
古谷明希歩 
100年の眠りから醒(さ)めた恋人が掠(かす)れた声で呟くHello
永井敦也
「俺ら無敵」誰かが言ってたその言葉ペダル蹴りこの青空を駆(か)く
三井幸乃
太ももの間にぬっとつくられるあの娘のバミューダトライアングル
畠山来夢
「眠くない?」「うん眠くない」「そうなんだ、俺も」「君も?」「うん、寝たくない」
久保瑞葉
人道と呼ばれる弾雨(だんう)の夕闇を走る母親のまなざしは獣(けもの)
古谷明希歩
死ね死なぬ一心不乱の戦争を巨人の瞳はどう映すのか
齋藤健弥
後悔を吸って膨らみぐずぐずの一人とり残された天カス
岡田優羽
ハイライト一人になって思い出す君の作った造語からくり
酒井宏太郎
超新星爆発したる恋心何億年後に君に届くか
岡田優羽

筑波大学付属高校の生徒の短歌に魅了されました。
新風を吹き込むというとんでもないことをやってのけました。
期待しています。

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