秋麗人それぞれの役目あり
湯に浸かり秋の深まり虫の声
秋の夜腰にあてた手上下せり
自分だけにしか見えない星明り
カンナ咲く夕日が照らす吉野川
■句集「ひとり」瀬戸内寂聴 より
紅葉燃ゆ旅立つ朝の空(くう)や寂
子を捨てしわれに母の日喪のごとく
御山のひとりに深き花の闇
句集のあとがき
「百年近い生涯、こうして私は苦しいときや辛いとき、
自分を慰める愉しいことを見いだしては、
自分を慰め生き抜いてきた」
句集の題名「ひとり」は、
大好きな一遍上人の言葉からもらった。
「生ぜしもひとりなり
死するもひとりなり
さればひととともに住すれども
ひとりなり
添いはつべき人
なきゆえなり」
■一分季語ウンチク 秋の湖(うみ)
俳句を始めて何でこの字をこんな読み方をするの
っていう単語に出会う瞬間ありますよね?
独特の読み方をする。
この「湖」の一次に対して「うみ」という
2音で読むということにも俳句をやって
驚かれる方いらっしゃるかと思います。
なぜこの「秋の湖」と言う季語がわざわざ
一本たっているかと言いますと
夏の湖(なつのうみ・なつのみずうみ)
と言う季語もあるのですが
「秋の湖」になった時にはその湖の周辺に
色づいた秋色をした木々にあるいは空や山が
広がっておりその秋めいた景色を湖が映している
その事を特別に扱ってわざわざ一つの季語
となっている訳なのです。
仮にこれが「夏の湖」だと夏の緑の力強さが映っている。
秋は彩の「秋の湖」な訳なのです。
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