己から己離すな半仙戯
思いきり甘やかす春の夕焼
春光やその時こそは立ちあがる
老い重ね独りで生きん風光る
■NHK俳句 兼題「囀(さえずり)」
選者:堀田季何 レギュラー:庄司浩平 司会:柴田英嗣
年間テーマ「俳句の凝りをほぐします」
・今週のテーマ 切字「けり」
けりつけるように語りきる
古文で教わる「けり」は「した・してきた・したそうだ」など
過去や過去から繋がっている話
俳句で使う場合ちょっと違う
今目の前で起きたことの事実
今認識したばかりの事実にグサッとくる
くろがねの秋の風鈴鳴りにけり 飯田蛇笏
俳句は今この瞬間を詠む 「けり」を使う時も目の前の事実に
「おっ」と思っていることが重要
注意すべき凝りポイントは❓
凝りポイント①
A帚木(ははきぎ)に影といふものありにけり 高浜虚子
B帚木や影といふものありにけり
ほかに強い切れがある 焦点がブレる
ほかの強い切れと一緒に使わない
凝りポイント②
「けり」を変化させている
ほかの切字「や」「かな」は変化しない
「けり」は活用できる「ける」「けれ」など
だけど切字「けり」として使う時は「けり」
終止形で「けり」じゃないと強く切れない
「ける」だと繋がる「けり」と「ける」だと意味合いが変わる?
Aことごとく未踏なりけり冬の星 髙柳克弘 終止形
Bことごとく未踏なりける冬の星 冬の星に繋がる
意味は一緒だがニュアンスが違っている
ツボポイント②
切字「けり」は終止形で言い切ろう
凝りポイント③
切字「けり」ではない
Aかたかごの風に頷きつつ咲けり 伊藤伊那男
B門前に野菊咲きけり長建寺 大島梅屋
A切字「けり」だと強過ぎるB事実の強烈さに驚きがある
ツボポイント③
切字「けり」と助動詞「り」の違いを理解しよう
いろんな「けり」を使った句を読めば感覚的に分かるようになる
切字「や」「かな」にはない利点
多彩な使い方
① ことごとく未踏なりけり冬の星 髙柳克弘
② しら梅に明(あく)る夜ばかりとなりにけり 与謝蕪村
③ 馬迄も萌黄の蚊帳に寝たりけり 小林一茶
④ 人の輪の外にをりけり卒業子 山田佳乃
音数調整ができる
②五音 ①四音「未踏なり」でも通じる「けり」を入れて強める
②「なりけり」「なりにけり」ニュアンスもほとんど変わらない
俳句的には音数(調整)で使い方が決まる
③寝る寝たり寝にけり五音なので寝たりけりとした
事実に驚いたとき「けり」を入れたい
⑤ 「をり」でも通じる
切字「けり」の魅力
音数やニュアンスに合わせて多彩な使い方ができる
あとは慣れることしかない 慣れ親しむ
たくさん良い句を読んで自分でも作る
・特選六句 兼題「囀(さえずり)」
春における鳥類の鳴き声 繁殖期を迎えて恋の歌を歌う鳴き声
縮毛矯正四時間を囀りぬ 蜘蛛野澄香
酸性だらう東京の囀りは 樹海ソース
囀の止まなくて別れられない 里山子
私 囀の東雲(しののめ)色の聞こえけり 池田宏陸(ひろむ)
(色を聞く 色聴 共感覚)
私 囀りやアフロヘアーの哲学者 嶋村純
(「同じ情景」でありながら「二物衝撃」)
私 人工の森を百年囀りぬ 牧野冴
・柴田の歩み あと何周もしたい
庄司の歩み 切字、をりにけり To be continued…。
■NHK短歌 題「青空」
選者:川野里子 レギュラー:内藤秀一郎 深尾あむ 司会:ヒコロヒー
年間テーマ「“私”に出会おう~2年目の飛躍~」
・飛躍の扉”私“に出会おう
向きを変えた磁石たがいにすがりつくわたしの嘘がわたしにばれる
山階基(やましなもとい)「夜に着こなせたなら」
自分に噓をついていたことを磁石を見ることで気がつく
伊能図と呼ばるる巨大智地図を見て昏倒したりわがたましひは
高野公彦「水の自画像」
自分の小ささに出会ってしまった 世界や社会やいろんな
日常的な小さなものにしっかり向き合って出会い直す
そのことによって自分が変化する
出会いを重ねていくということが“私”に出会うということ
・入選六首 題「青空」
爆撃の照準精度があがるほど傷ひとつなく澄みたる青空
村松建彦
私 青空も暗い雨天も変わりなく正確無比の白い杖行く
小久保英二
一席 私 誰かから見ればわたしも運がいいカーブミラーに映る青空
小金森(こがねもり)まき
青空の向うからくる汽船には錆びたコンテナ明日葉を載せ
赤城条治
青空に雪の立山気がつくと西行みたいに立ちつくしていた
海野(かいの)佳子
青空はモナ・リザだった泣きそうな私を嘲笑するような青
武田生吹(いぶき)
懐かしいふと思い出す蜜の味一人で咥えた秘密のツツジ
内藤秀一郎
どれだけの出会いと別れ知ってるのボート漕ぎつつ見る渡月橋
深尾あむ
輝きたい思い続ける今の僕鋭い眼光相手を見据えて
内藤秀一郎
あの音はそうか最後のスターマイン夏に背を向け一歩踏み出す
深尾あむ
あむあむと経験を食べて羽ばたいてしゅういちくらいで思い出してね
ヒコロヒー
・言葉のバトン
あらたな道へ心機一転
八木冨美子(江北氷川神社名誉宮司)
⇩
掛けなおすボタン緋(ひ)色の春が立つ
小川優子(店主)
重きめまひに閉ぢしまぶたを刺すごとき残像ひとつ路上の果実
歌人清水房雄の結社「アララギ」に入会
思いきり甘やかす春の夕焼
春光やその時こそは立ちあがる
老い重ね独りで生きん風光る
■NHK俳句 兼題「囀(さえずり)」
選者:堀田季何 レギュラー:庄司浩平 司会:柴田英嗣
年間テーマ「俳句の凝りをほぐします」
・今週のテーマ 切字「けり」
けりつけるように語りきる
古文で教わる「けり」は「した・してきた・したそうだ」など
過去や過去から繋がっている話
俳句で使う場合ちょっと違う
今目の前で起きたことの事実
今認識したばかりの事実にグサッとくる
くろがねの秋の風鈴鳴りにけり 飯田蛇笏
俳句は今この瞬間を詠む 「けり」を使う時も目の前の事実に
「おっ」と思っていることが重要
注意すべき凝りポイントは❓
凝りポイント①
A帚木(ははきぎ)に影といふものありにけり 高浜虚子
B帚木や影といふものありにけり
ほかに強い切れがある 焦点がブレる
ほかの強い切れと一緒に使わない
凝りポイント②
「けり」を変化させている
ほかの切字「や」「かな」は変化しない
「けり」は活用できる「ける」「けれ」など
だけど切字「けり」として使う時は「けり」
終止形で「けり」じゃないと強く切れない
「ける」だと繋がる「けり」と「ける」だと意味合いが変わる?
Aことごとく未踏なりけり冬の星 髙柳克弘 終止形
Bことごとく未踏なりける冬の星 冬の星に繋がる
意味は一緒だがニュアンスが違っている
ツボポイント②
切字「けり」は終止形で言い切ろう
凝りポイント③
切字「けり」ではない
Aかたかごの風に頷きつつ咲けり 伊藤伊那男
B門前に野菊咲きけり長建寺 大島梅屋
A切字「けり」だと強過ぎるB事実の強烈さに驚きがある
ツボポイント③
切字「けり」と助動詞「り」の違いを理解しよう
いろんな「けり」を使った句を読めば感覚的に分かるようになる
切字「や」「かな」にはない利点
多彩な使い方
① ことごとく未踏なりけり冬の星 髙柳克弘
② しら梅に明(あく)る夜ばかりとなりにけり 与謝蕪村
③ 馬迄も萌黄の蚊帳に寝たりけり 小林一茶
④ 人の輪の外にをりけり卒業子 山田佳乃
音数調整ができる
②五音 ①四音「未踏なり」でも通じる「けり」を入れて強める
②「なりけり」「なりにけり」ニュアンスもほとんど変わらない
俳句的には音数(調整)で使い方が決まる
③寝る寝たり寝にけり五音なので寝たりけりとした
事実に驚いたとき「けり」を入れたい
⑤ 「をり」でも通じる
切字「けり」の魅力
音数やニュアンスに合わせて多彩な使い方ができる
あとは慣れることしかない 慣れ親しむ
たくさん良い句を読んで自分でも作る
・特選六句 兼題「囀(さえずり)」
春における鳥類の鳴き声 繁殖期を迎えて恋の歌を歌う鳴き声
縮毛矯正四時間を囀りぬ 蜘蛛野澄香
酸性だらう東京の囀りは 樹海ソース
囀の止まなくて別れられない 里山子
私 囀の東雲(しののめ)色の聞こえけり 池田宏陸(ひろむ)
(色を聞く 色聴 共感覚)
私 囀りやアフロヘアーの哲学者 嶋村純
(「同じ情景」でありながら「二物衝撃」)
私 人工の森を百年囀りぬ 牧野冴
・柴田の歩み あと何周もしたい
庄司の歩み 切字、をりにけり To be continued…。
■NHK短歌 題「青空」
選者:川野里子 レギュラー:内藤秀一郎 深尾あむ 司会:ヒコロヒー
年間テーマ「“私”に出会おう~2年目の飛躍~」
・飛躍の扉”私“に出会おう
向きを変えた磁石たがいにすがりつくわたしの嘘がわたしにばれる
山階基(やましなもとい)「夜に着こなせたなら」
自分に噓をついていたことを磁石を見ることで気がつく
伊能図と呼ばるる巨大智地図を見て昏倒したりわがたましひは
高野公彦「水の自画像」
自分の小ささに出会ってしまった 世界や社会やいろんな
日常的な小さなものにしっかり向き合って出会い直す
そのことによって自分が変化する
出会いを重ねていくということが“私”に出会うということ
・入選六首 題「青空」
爆撃の照準精度があがるほど傷ひとつなく澄みたる青空
村松建彦
私 青空も暗い雨天も変わりなく正確無比の白い杖行く
小久保英二
一席 私 誰かから見ればわたしも運がいいカーブミラーに映る青空
小金森(こがねもり)まき
青空の向うからくる汽船には錆びたコンテナ明日葉を載せ
赤城条治
青空に雪の立山気がつくと西行みたいに立ちつくしていた
海野(かいの)佳子
青空はモナ・リザだった泣きそうな私を嘲笑するような青
武田生吹(いぶき)
懐かしいふと思い出す蜜の味一人で咥えた秘密のツツジ
内藤秀一郎
どれだけの出会いと別れ知ってるのボート漕ぎつつ見る渡月橋
深尾あむ
輝きたい思い続ける今の僕鋭い眼光相手を見据えて
内藤秀一郎
あの音はそうか最後のスターマイン夏に背を向け一歩踏み出す
深尾あむ
あむあむと経験を食べて羽ばたいてしゅういちくらいで思い出してね
ヒコロヒー
・言葉のバトン
あらたな道へ心機一転
八木冨美子(江北氷川神社名誉宮司)
⇩
掛けなおすボタン緋(ひ)色の春が立つ
小川優子(店主)
重きめまひに閉ぢしまぶたを刺すごとき残像ひとつ路上の果実
歌人清水房雄の結社「アララギ」に入会
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