2025年3月30日日曜日

あの本、読みました?2025年本屋大賞ノミネート作品徹底解剖

空き缶がからんころんと春の街
地蔵寺やお遍路癒す梅の香
耕した地面ほっこり春畑
春の陽や猫のあくびの移りけり
風を読んだか抗ったのか遅日

■あの本、読みました?
2025年【本屋大賞】ノミネート10作品すべて徹底解剖
鈴木保奈美 角谷暁子 林祐輔P
青山美智子 内田剛 間室道子 河北壮平
早見和真 庄野樹 金子玲介 奥村元春

「アルプス席の母」早見和真
「カフネ」阿部暁子
「禁忌の子」山口未桜
「恋とか愛とかやさしさなら」一穂ミチ
「小説」野﨑まど
「死んだ山田と教室」金子玲介
「spring」恩田陸
「成瀬は信じた道をいく」宮島未奈
「人魚が逃げた」青山美智子

「本屋大賞」ノミネート作品 今年の傾向は❓
傾向がないのが今年の傾向 まさに多様性

・作家・青山美智子
2017年「木曜日にはココアを」でデビュー
【本屋大賞5年連続ノミネート】
2021年「お探し物は図書室まで」
2022年「赤と青とエスキース」
2023年「月の立つ林で」
2024年「リカバリー・カバヒコ」
2025年「人魚が逃げた」

「人魚が逃げた」
銀座を舞台に選んだ理由
人魚を描いたきっかけはニシキヘビ? 思ったことはその人の真実になる

「夢は静か」の一文 青山美智子著/PHP研究所
4章 夢は静かより
「原稿、書いてたの?苦戦中?」
その吞気さにちょっとイラついて、おれはつっけんどんに答えた。
「うん。まあ、読めば三分で終わるような短い話だけど」
「そうなんだ」多恵はいつものように「よくわからないけど」
と前置きし、こう続けた。「だけどその三分の間に、あなたが
書いた一行で人生が変わる人がいるかもしれないんでしょう?」

文学に興味のない妻の一言

「遊園地ぐるぐるめ」青山美智子・田中達也/ポプラ社

早見和真 金子玲介
「本屋大賞」ノミネートの心境は❓

・「ひゃくはち」早見和真著/集英社文庫
元高校球児の著者が自身の経験をもとに描いた
名門校補欠球児たちの物語 2008年発売のデビュー作
母親視点で高校野球を描こうと思ったきっかけ
「アルプス席の母」早見和真著/小学館
亡くなった母親と対話をしながら執筆

「アルプス席の母」の一文 早見和真著/小学館
「ちょっともう勘弁してくれよ。いくらなんでも泣きすぎだって」
いよいよ入寮を翌日に控えた夕食時、
しびれを切らしたように航太郎が眉をひそめた。
せめて航太郎には悟られないようにと気を張っていたつもりだったが、
あまりに狭い家の中で隠し通すことなんて不可能だ。
「いや、ごめん。わかってるんだけど。本当にごめん」
食卓には航太郎の好物をこれでもかと並べた。
お寿司に、ステーキに、カルボナーラのスパゲティ、
なぜか昔から大好きだったほうれん草のおひたしと、
明日からしばらくは作ることのなさそうな豚汁、
炭水化物ばかりとわかっていたが白いお米もいっぱい炊いた。
航太郎と共にする最後の夕飯。
本当は焼き肉を食べに行くつもりでいた。
そのために本城先生からおいしいお店の情報を仕入れ、
航太郎も楽しみにしていたはずだったのに、
昼頃になって突然恥ずかしそうに言ってきた。「あのさ、
やっぱり最後はお母さんのご飯が食べたいんだけど、ダメ?」
今日一日はなんとか笑顔でやり過ごそうと思っていたのに、
その言葉が引き金となった。
「ダメじゃない。実は私もそう思ってた。
ちょっと買い物いってくる。航太郎の食べそうなもの全部つくる」
一人でハンドルを握っている間も、商店街で買い物をしている間も、
アパートに戻ってキッチンに立っている間も泣いていた。

大阪を舞台に選んだ理由
驚きのエピローグ創作秘話

・「死んだ山田と教室」金子玲介
作家 金子玲介
1993年 神奈川県生まれの元会計士
2023年「死んだ山田と教室」でデビュー
「第65回メフィスト賞」を受賞

声だけ蘇る設定 なぜ思いついた❓

「死んだ山田と教室」の一文 金子玲介著/講談社
第二話 死んだ山田と夕焼けより
「実わさ、このあと人とまちあわせてて、
それまで時間潰さなきゃいけねぇんだよなぁ」〈へぇ〉
「六時から映画見ることになっててさ」〈ふぅん〉
「…え?誰と待ち合わせしてるかって?」〈だから聞いてねぇって〉
「いやぁ、実は女の子と待ち合わせしててさ~」
〈あーうるせぇうるせぇ。そんなつまんめぇ話しかしないなら帰れ〉
「リアルで会うの初めてなんだけど、
写真見る限りではけっこうかわいいんだよなぁ」
〈うるせぇうるせぇうるせぇ死ね〉
「あー人に死ねとか言っちゃダメなんだぞ!」
〈いいんだよ、俺死んでんだから〉「…そういう問題か?」
「でもさ、相手社会人なのに、」別府があくびを噛み殺し
「こんな夕方にデートとかできるの?」久保に顔を向ける。
「はぁ?」「いや、仕事とかあるだろうしさ。
普通もっと遅い時間に待ち合わせじゃない?」
「いや相手も学生だけど」久保が眉をひそめる。
「えっ?」別府が寝そべったまま、身体を転がして久保を凝視する。
「水泳部なのに?」久保は少し考えた後「山田、助けてくれ。
別府が不思議ちゃんすぎて会話になんねぇ」
〈藁科が熟女好きだからじゃん?〉「…ん?」
〈ほら藁科、望月先生のことめっちゃ好きじゃん。
だから同じ水泳部の久保も、熟女好きなはずってことだろ?〉
「そういうこと」
別府が右腕をぐっと伸ばし、天に指を突き立てる。

クラスメイトたちの描き方

SNSを出さない理由
読者の反響は❓

「2025年本屋大賞」4月9日発表

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