2025年3月11日火曜日

兼題「卒業」&テーマ「物語」

3.11を詠む
原発が大地に生きる人襲う
原発や百二歳まで生きて自死
避難前残す家族へ小さき声
3.11国には頼る事勿れ
春の泥信じることをやめました

■NHK俳句 兼題「卒業」
選者:西山睦 ゲスト:金澤諒和(りょうかん) 司会:柴田英嗣
年間テーマ「やさしい手」

未来へと子を手渡しに風光る   西山睦

・金澤諒和先生の俳句三選「やさしい手」
一 でこぼこな一年生の一列に
風 ぶらんこをこいだら風の味がする 玉井陽菜・小五(当時)
手 卒業の子と手のひらを重ねけり

俳句の授業にて 選句された句
敗戦忌飛行機雲の傷のあと
先生のしらがが増える秋の空

言葉にして気持を吐き出す
いつか子供たちも育ち上がりこれ以上大きくならない時が来る
自分の子供や次の世代の子供たちの対して
小さな手を優しく支える手であってほしい
金澤先生は1番にならないと気が済まないタイプ
俳句の世界にに入った時も絶対1番になりたいと思っていた
子供に教えるうちに小さな賞状を貰って喜ぶ子供の顔
「この句いいね」と言ってそれに応える喜びの表情
自分が高まるより子供が喜ぶ方がうれしいと思い始めるようになり
自分が1番になるよりも子供が少しでも自信を
持ってくれることの方がうれしいと思えるようになってきました 金澤
他者を意識するというのは俳句にとっていいこと 西山

・特選六句 今週の兼題「卒業」
フラスコの並びて聞こゆ卒業歌   一ノ瀬なつめ
思い出は予選のヒットわが卒業   星野曉
卒業す君の瞳に映らぬまま   古川晴野
卒業や昇降口に残る熱   天風(あまかぜ)さと
卒業や並ぶかめ役うさぎ役   伊予素数
卒業子捌(さば)きてバスのがらんどう   古関聰(あきら)

・特選三席
一席 図書館に好きな窓あり卒業す  石渕さゆり
二席 卒業子見送り胸の花外す   天野有子
三席 卒業の車窓に街の小さくなり   原田利子

・俳句やろうぜ 黒岩徳将(若手俳人探査隊長)
塩谷人秀(29)
ペットボトル飲料に応募し入選
秋風が一陣二陣と田を撫でる   塩谷人秀
2019年 第16回「鬼貫青春俳句大賞」優秀賞受賞

最近詠んだ海の句 磯の匂いがしてきそうな句
船室の三条広し布団敷く
法螺貝(ほらがい)を岩にかち割る焚火かな
二十一世紀イガミの牙の数
一握の伊勢海老の股がぱと咲く

塩谷さん 海・水産の一句
二十一世紀イガミの牙の数   塩谷人秀

・柴田の歩み
直感を大事に

■NHK短歌 テーマ「物語」
選者:俵万智 ゲスト:山崎ナオコーラ 司会:ヒコロヒー
年間テーマ「光る愛の歌」

山崎ナオコーラ女史のお気に入りの短歌
あの赤いつつじでこの白い花もつつじと呼べる不思議さ   
俵万智

言葉の不思議さをもう一度確認することができて
わくわく感がすごく出ている 山崎
不思議に思わなくなることが大人になるということ 俵

・入選九首 テーマ「物語」
告げられた別れは泡に包まれてシャンプー台で濯(すす)がれている
椎名ろざな
参列者Dの顔してヒロインが投げるブーケに手だけ伸ばした
南野やぎざ
 本当を生きるためには嘘が要る嘘をつくには本当がいる
城谷望月(もちづき)
沈みゆくタイタニックの甲板で演奏をするやうな自叙伝
濱岡学
三席 私 生き物の飼育係のように語る恐竜博物館のスタッフ
中松裕(ゆたか)
生き方が問われるだろう鬼退治してお宝をもらったあとの
山田裕樹(ゆうき)
冷蔵庫見つめておれば扉から主婦を異界へ導く気配
石川真琴
一席 物語ならばぼくらは3年後カフェで再会するんだろうな
嶋村純
二席 父親の自慢話についている尾ひれをあぶりマヨでいただく
アゲとチクワ

・「光る君へ」で短歌を10倍楽しもう!
作者はきっかけがないと書きださない 山崎
自分が書きたいものを見つけた時の強さ
自分のために書く 俵
私も自分のために社会の理不尽なことに対して
レジスタンスとして書きたい 
これで(社会を)動かすぞって事でなくて良い 山崎
最初から「誰かのために」「こうしてやろう」と
言葉を使っても結局届かない気がする 
きっかけをこえて自分がこのことを
短歌にしたいと思える時が来たらすばらしい 俵
小説はリアリティーとファンタジーの両方が必要
”自分のため“という言葉の使い方をすると
すごくリアリティーが出るリアリティーが出ると
多くの人に届く 山崎
ヒコロヒー女史はファンのために書いておられるとか…。
短歌は日記より手紙に似ている「必ず読者がいることを
意識しましょう」と言った時、ヒコロヒーさんは
「意識し過ぎると媚になってしまう」と仰った 俵
やっぱり”自分の為“なので逆に独りよがりに
なることを気にしている ヒコロヒー

短歌づくりポイント
「自分のため」に歌を作ることで結果的に他の人の心にも届く

研究では清少納言と紫式部は会ったことがないが定説 山崎
「文学は必要」とふたりが言えたのは物語だからこそできた
作者の大石静さんの気持も込められているのかな 俵
俵さんは身近なテーマで歌を詠んでいることが多いが
社会のことを詠むことはない? 山崎
(歌が)新聞の見出しになったらつまらない
誰もが納得する事実をあえて短歌にしてもつまらない
大きなテーマと自分の間に接点があるのが大事 
小さなきらめきを歌にすることができたとしたら
このきらめきを脅かしているものは
戦争じゃないかという形で届く 
第2週は「古典から栄養を貰う」事をテーマにしてきた 俵
読むということは自分自身の行為 
特に古典は「昔の人の気持のならなきゃ」
「作者はどういう気持ちで書いたのかをくまなきゃ」という
“国語の圧”ががある 古典も今の私として読む 未来へのバトン
にもなると思う 山崎
嬉しかったのはヒコロヒーさんが「私の言葉は水のようなもの」
と言ってくれたこと 水は地味だけど一番身近で飽きが来ない
人間にとって大切なもの 言葉を使う時も水みたいになりたい
言って貰って私自身の目標になりました 俵

・言葉のバトン
掛けなおすボタン緋(ひ)色の春が立つ
小川優子(店主)

墓石がにやり「あんじょうやりや」
大西里枝(扇子店四代目)

いけずステッカーのモデル
(京都人の建前と本音を表したもの)
かにかくに祇園はこひし寝るときも枕のしたを水のながるる
祇園を愛した歌人 吉井勇の歌碑

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