2025年3月22日土曜日

あの本、読みました? 哲学の本

しなやかな風よ陽射しよ春の情
耳澄ませやぶの求愛春の鵙(もず)
夕陽背に新芽啄む百千鳥
ひらりひら顔に着陸春の雪
今生きているということ月朧

■あの本、読みました?人生が楽になる【哲学の本】オススメ入門書10選!
しんめいP 千葉雅也 
鈴木保奈美 角谷暁子 林祐輔P 

「花は泡、そこにいたって会いたいよ」の一文 初谷むい著/書肆侃侃房
イルカがとぶ イルカがおちる 
なにもいってないのに きみが「ん?」と振り向く
ふるえれば 夜の裂けめのような月 あなたが特別に したんだぜんぶ

「東大理三の悪魔」の一文 幸村百理男/宝島社
「僕はいつも不思議に思う。なんで人間が頭の中で考えて数学が、
この世界を支配する物理法則と繋がるのか。
ニュートンの時もそうだったけど…」
(中略)
僕は少し後退し、彼女に質問した。「ねえ、ところで君の名前は?」
「ボクは間宮。よろしくね。君と同じ理三の一年生」「え『ボク』?」
「何か?」「いや、全然」慌てて首を振った。
「個性的で良いと思う…」彼女は肩をすくめた。

まずはここから!哲学の本 
「センスの哲学」千葉雅也著/文藝春秋
「自分とか、教養としての東洋哲学」しんめいP著/サンクチュアリ出版

いま哲学本が求められている理由は?

●初心者におすすめの哲学の本 10選
・「禅とジブリ」鈴木敏夫著/淡交社
・哲学史入門 古代ギリシャからルネサンスまで 
千葉雅也, 納富信留, 山内志朗, 伊藤博明, 斎藤哲也著/NHK出版新書
・「ゼロから始めるジャック・ラカン」片岡一竹著/ちくま文庫
・反応しない練習あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」
 草薙龍瞬著/KADOKAWA

「禅とジブリ」の一文 鈴木敏夫著/淡交社
細川 ジブリ作品には、禅僧としても学べることがたくさん詰まっています。
禅で、梁の武帝が「お前は何者だ」と達磨さんに訊くと、達磨さんは
   「不識(わからない)」と答える、という問答があるんです。
   「もののけ姫」を観ていて、ハッとしたんですね。「もののけ姫」に、
   モロというヤマイヌのキャラクターが出てくるのですが…。
   あ、鈴木さんに言うのもおかしいですね。
鈴木 ははは。ちょっと知っています
細川 モロが主人公の少年アシタカに「お前にサンを救えるか」と
   訊く場面がありますよね。ヒロインが救えるか、と。
   アシタカは「わからぬ」と答えるんです。このセリフに
   禅問答のような深いものを感じたんです。
鈴木 へえー。なるほど

「反応しない練習」の一文 草薙龍瞬著/KADOKAWA
悩みの始まりには、きまって”心の反応“があるのです。
心がつい動いてしまうことーそれが悩みを作り出している
“たった一つのこと”なのです。だとすれば、すべての悩みを
根本的に解決できる方法があります。それはー
”ムダな反応をしない“ことです。

「自分とか、教養としての東洋哲学」しんめいP著/サンクチュアリ出版
東洋哲学に魅力を感じた理由
ブッダ 王子時代なら、教室のはしで窓の外を眺めているタイプ。
龍樹 クラスメートはおろか先生まで論破する、超面倒なタイプ。
老子 そもそも教室にいない。校庭で草と同化している。
荘子 一度たりとも学校に来たことがない。
達磨大師 無言。教室の後ろの壁に向かってずっと座っている。
親鸞 テストでわざわざ0点をとりつづけて退学になった。
空海 クラスの中心にいる人気者だっただろう人。

達磨大師 伝説のセッション

皇帝(イメージ)
「自分とか、教養としての東洋哲学」の一文
しんめいP著/サンクチュアリ出版
皇帝はといかけた。
「わし、寺を1000個たてたんだよね」
「これ、めちゃくちゃご利益あるよね?」すごい。寺、つくりすぎ。
ご利益あるでしょ。「ある」っていえば、皇帝よろこぶよ。
禅を広げる大チャンスだよ!しかし、達磨大師は、こう答えた。
「ない」(中略)
でも、皇帝はオトナだった。たしかに「ご利益があるよね?」は
ちょっと「浅い」質問だったわ。
きりかえて、もっと賢い感じの質問にした。
「仏教で一番大事なことって何だと思う?」
ナイス質問。達磨大師は、仏教を伝えにきたのだ。
「さっきの無礼は許すから、すきなだけ仏教かたりなはれ」という、
大者の余裕。皇帝からの、最高のパスが、達磨大師に通った。
あとは、ゴールを決めるだけ。「仏教で一番大事なこと」
それは一体、なんなんだ。達磨大師の答えはこうだった。
「そんなものは無い」

「荘子 内篇」荘子著福永光司 興膳宏訳/ちくま学芸文庫
「反哲学入門」木田元著/新潮文庫
「現代思想入門」千葉雅也著/講談社現代新書

「現代思想入門」の一文 千葉雅也著/講談社現代新書
現代思想は、秩序を強化する動きへの警戒心を持ち、
秩序からズレるもの、すなわち「差異」に注目する
それが今、人生の多様性を守るために必要だと思うのです。

有名な「盗んだバイクが走り出す」という歌詞がありますが、
あれはかつて、がんじが搦めの社会秩序の「外」に出ていくという
開放的なイメージで捉えられていました。ところが今日では、
「他人に迷惑をかけるなんてありえない」という捉え方が
けっこう本気で言われているようです。
そういう解釈は当初は冗談だったのですが。

現代思想を学ぶと、複雑なことを単純化しないで
考えられるようになります。
単純化できない現実の難しさを、以前より「高い解像度」で
捉えられるようになるでしょう。

「大河の一滴」五木寛之著/幻冬舎文庫

「大河の一滴」の一文 五木寛之著/幻冬舎文庫
最近の免疫学のいちばん興味ぶかい点は、生物の免疫系に
〈寛容〉という活動を発見したことでしょう。自己と非自己が、
お互いに拒絶せずに、なんとか折りあって生きていこうとする
動きを、免疫学で〈寛容=トレランス〉という。
(中略)
〈寛容〉とは許すこと、欠点を認めることであり、そして、
激励ではなく、慰めであるとぼくは考えます。つまり、
がんばらなくてもいい、がんばれないひとにがんばれなんて
言うことはないよ、ということです。
深刻に落ち込むこともまた、人には大事なのです。

「ソフィーの世界」ヨースタイン・ゴルデル著 
須田明監修 池田香代子訳/NHK出版
「あなたはだれ?」ソフィーはたずねた。やっぱり返事はない。
けれどもソフィーは、今たずねたのは自分なのか、それとも
鏡の女の子なのか、一瞬わからなくなってしまった。
ソフィーは鏡の顔のまんなかを指さして、言った。
「あなたはわたし」返事がないので、今言ったことを
ひっくり返して言ってみた。「わたしはあなた」

「超訳 ニーチェの言葉 エッセルシャル版」
フリードリヒ・ニーチェ著 白取春彦訳 ディスカバー・トゥエンティワン刊
116 人をはずかしめることは悪だ
誰かを恥じ入らせることは、明白な悪の一つだ。
悪人は人をはずかしめる。盗みも殺しも、人をはずかしめことだ。
暴力はもちろん、小さな喧嘩においてさえ、
相手をはずかしめる言葉を使うものだ。
自分が悪を行なえば、それは自分をはずかしめるばかりでなく、
恋人を、親を、友人をもはずかしめることになる。
さらに、人間存在そのものをはずかしめている。
だから、本当に自由に生きている人間とは、どんな
ふるまいをしても恥じ入らない境地に達した人間のことだ。
彼はもちろん他の誰をもはずかしめることもない。
「悦ばしき知識」

ニーチェは哲学における太宰治


「歌集 ゆふすげ」の一文 美智子著/岩波書店
昭和四十四年 少年
さわやかに緑萌えたつ林にて少年はうなじ見せて物読む

平成二十九年 卒業
思はざる鶯の声も聞こえ来て今日晴れやかにうまご卒業す

「ゲーテはすべてを言った」の一文 鈴木結生著/朝日新聞出版
ああなるほど、愛に関する名言を集めたティー・バッグなんだ、
と統一がすっかり酔いの回った頭でぼんやり思いながら、
特段自分のものを確認しようとすることもない。
そんな統一に、娘は当然、「パパのは?」と尋ねてくる。
「ん…」父親は娘に若干のコンプレックスを抱きながら、
ドイツ訛りの(と彼は主張するが、実は単に学生時代から
不得意なだけの)英語で読み上げた。
「『Love dose not confuse everything but mixes』」
「誰の言葉ですか?」義子が尋ねる。
統一はそれには答えず、ただ、タグを示すに留める。
件の文章の下には「Goethe」の字。
「わ!」妻と娘が顔を見合わせて驚いた。
それから、「やっぱすごいねえ」と二人して散々統一を
ほめそやす。徳歌など調子よく、「パパ、ゲーテと赤い糸で
結ばれているんだ」と持ち上げた。42:48

千葉雅也が語る「センス」の本質とは❓
センスは良くできるもの?

「センスの哲学」の一文 千葉雅也著/文春文庫
センスという曖昧な言葉で言われているのはどういうことなのか?

服のセンスが良くても音楽選びのセンスはいまいちだ、
などと言われることがあります。
これまた、センスのトゲの話ですね。「あの人、服はカッコいいのに
音楽のセンスはなあ」とか。「あるものについてセンスが良ければ、
他のことでもセンスが、良くてもいいはずなのに…」
という期待があるかもしれません。なにか「すべてに共通するような
判断力」を持っている人、というふうに、総合的に褒めるときに
センスがいいと言われることがあります。すなわち、
センス:直感的で総合的な判断力、というわけです。

「センス」とは何か❓

「センスの哲学」の一文 千葉雅也著/文春文庫
まず、餃子を口に入れたときに熱の感じがある。熱い。
表面のパリっとした感じ。嚙むと、皮が割れて中の柔らかい部分へと
進むわけですね。まず最初に強い熱と、カリカリ感という刺激があって、
そのあと柔らかさに向かって緩和し、次の肉の味、ニンニクの味と
いくつかの味が同時に入ってくる。タレのことも忘れてはいけませんね。
醤油の味がメインなんだけれども、酢の酸味と鼻にツンとする
感じがあり、ラー油の辛みもある…。
というように、大きく言えば、強い刺激と穏やかな刺激とに二分できますが、
それがさまざまに交代し合って強い「バンッ」と弾ける刺激と
より穏やかな「ツー」とでも言える持続的な刺激がリズムになる。
「バンッ、ツー、バンッ、ツー…」みたいな感じですね。
餃子のリズムは複雑で、多層的に絡み合って展開していきます。
音楽ですね。餃子は音楽なんですよ。

センスをよ良くする「リズム」とは❓

千葉雅也三部作読む順は❓
『勉強の哲学』『現代思想入門』『センスの哲学』
キーワードは「差異(70~80年代」
私小説の脱構築三部作
『デッドライン』『オーバーヒート』『エレクトリック』


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