2024年12月9日月曜日

兼題「聖夜」&テーマ「恋」

カラフルな車増殖過疎の冬
冬の朝ピンクの髪よビビリ毛よ
冬の暮腹突き出して歩く人
百均の値下げ商品白き息
寄せ鍋や賞味期限を過ぎてなお

■NHK俳句 兼題「聖夜」
選者 西山睦 ゲスト 荒井千佐代 司会 柴田英嗣
年間テーマ「やさしい手」

海原のけふきらきらと冬椿   西山睦

・荒井千佐代「やさしい手」俳句三選
忌 鍵盤のひとつ沈みて原爆忌
灯 オルガニストのみに灯や降誕祭(クリスマス)
影 白鍵に黒鍵の影凍返る(いてかえる)

凍返る:春の季語 春になって一度暖かくなってから
突然寒い日が戻って来ること
俳句には浄化作用があると思う
内面を詠むことが多いので自分の気持ちが重くなることも
心が濁ったり悩んだりしている時に一句にしようと精神を集中する
その段階で浄化されている 荒井千佐代
言葉の力 重荷をちょっと預ける 西山睦
俳句に出会わせてくれた神父様に感謝 柴田英嗣
オルガンと俳句は神父様の勧めで 俳句を残してきたから
今日のような機会を授かった 荒井千佐代

・今週の兼題「聖夜」(クリスマス・イブのこと)
旧い教会の暦では1日の始まりは朝ではなく日没からとなっている
特選六句発表
新妻の祈りに習ふ聖夜かな   楽和音(らくわおん)
夜半過ぎて消えぬ花舗(かほ)の灯聖夜かな   清水道夫
(花舗とは花屋さんのこと)
保育器の吾子へ聖夜の階のぼる   竹内美代子
許されて父母訪(と)ふ雪の聖夜かな   君島忍
聖夜の雪静かに包む街の声   相原夢凛(まりん)
白衣へと着替え聖夜の隅にいる   十月小萩(じゅうがつこはぎ)

特選三席
一席 をさなごや百の質問して聖夜   北清水麻衣子
二席 卒論の最終ページ聖夜の灯   佐藤雅之
三席 聖夜更(ふ)くフェリーに回る洗濯機   高松周璻(しゅうすい)

・俳句やろうぜ
岡一夏(31) 26歳から俳句作り 
わずか5年で実力をつけ 投句した俳句は次々と入選 理系の俳人

先生のマスクが数式を唱ふ   岡一夏
「NHK俳句」2021年12月12日放送
俳句は感性100%ではない 技術(五七五・季語など)の部分もある
「観察して描写する」これはまさにScience
それでいいのだったら自分にもできるのではないかと思い始めた
独学の俳句 様々な媒体に投句 
夏井いつき先生に選評を貰いエンジンがかかった

クロイワ推しの一句
阿(あ)の胸筋吽(うん)の腹筋雷迸る(らいはしる)   岡一夏
「NHK俳句」2022年7月3日放送
金剛力士の阿吽形像 隆々としたそれぞれの筋肉
リズム感よく読まれている
一線の雷に照らしだされるかのよう
モデルのしたのは東大寺 南大門の仁王像 修学旅行の記憶
胸筋の阿形像 腹筋の吽形像 
上五中七が強いエネルギー 雷は走るよりは
「迸る(ほとばしる)」のほうが激しく雷が落ちている感じがした 
拮抗させる 強強(つよつよ)の「取り合わせ」
Science的 バランスを考えるのは理系の俳人

・柴田の歩み
お花を買って帰ろう


■NHK短歌 テーマ「恋」
選者 俵万智 ゲスト 泉里香 司会 ヒコロヒー
年間テーマ「光る愛の歌」

泉里香さんは「光る君へ」の中で和泉式部の歌を五句読まれました。
その中で一番心に残っている句は
黒髪の乱れも知らずうちふせばまづかきやりし人ぞ恋しき 和泉式部
彼女の大胆さが歌に表れていました 泉里香

「まづ」という言葉づかいを古典でした人はいないくらい大胆 俵万智
「恋」は歌にとって王道中の王道のテーマ
歌は人の心を詠むもの 一番心が揺れ動くのは恋の場面

・入選九首 テーマ「恋」
バファリンを三日に一度飲むと言うそのときそばにいたいと願う
守谷(もりたに)直紀
送るよ、と駅までついてきてくれる駅が火星にあればいいのに
葉村直
初恋を相談できる窓口の小さなヤドカリの係員
久保哲也
三席 私 新しいヒールはいつも靴擦れでたぶんあなたのことも好きになる
神守彩枝(かみもりさえ)
「夫婦なら社宅で家賃二万だって」恋が終わって暮らしが始まる
中山あゆみ(「」はプロポーズかも…❓)
一席 許される範囲で想うだけでいい君の街産アスパラを買う
板倉亜澄(あずみ)
どこからが恋なのだろう点滅の青信号に止まれる私
りのん
レンチンのご飯で済ます週末に結婚報告LINEが届く
さとうきいろ
二席 私 俺たちの住むべき世界が違うなら家を持たずに飛び回ろうよ
葉山あも

・「光る君へ」で短歌を10倍楽しもう
憂きことも恋しきことも秋の夜の月には見ゆる心地こそすれ
和泉式部
辛いこと恋しいことを映し出す鏡と思う夜の月
万智訳
和泉式部のこれまでの恋の経験を月に重ねたような艶っぽい歌と私は解釈した
泉里香
「憂きこと」辛いことや恋しいことその恋の気持ちが歌にこめられている
俵万智
月を見てそこに何を見るかがその人の心を反映する
人を好きになる気持ちは変わらないが今の私たちだからこそ詠める恋の歌もある
長寿の時代になって70代80代の恋の歌も詠めるようになってきた
「どうだった?私のいない人生は」聞けず飲み干すミントなんちゃら
「アボカドの種」より
この歌は30年ぶりくらいに元彼に会ったときの歌
生まれて20年の人にはできない歌 年を重ねるごとに詠める歌は増えていく
恋は若い人の特権のような感じもするが歳を重ねたからこそ詠める「恋」もある
俵万智

・短歌づくりのポイント
時代ごとの恋愛のスタイルやアイテムを入れて現代だからこそ詠める恋の歌に挑戦しよう

「黙って喋って」ヒコロヒー著
恋は人の心を観察すること 俵万智
「もういいよ。反省してるなら」「本当?本当にごめん。もう傷つけたり
悲しませたりしないから。本当に、綾香のこと大事にするから。」
理玖は意を決したように、まるで何か覚悟でも決めたかのようにそう言って、
私は今日もまた、米印みたいだなあと思う。CDに付いていた歌詞カードの
サビの部分は上に米印が小さく打たれていて、後半になると「米印、繰り返し」
と略されている。理玖はこういう時に、いつもその言葉を初めて、
発するみたいな姿勢で何かを言うけど、その大半はただの米印で、あの時や
あの時と同じことを言うだけの米印部分を、親切丁寧になぞって
言ってくることさえもやっぱり、いつものことだった。
「黙って、喋って」ヒコロヒー著「ばかだねえ」より

俵万智女史がこの一文を短歌にしてみた
※(こめじるし)サビの部分を繰り返すようにあなたがまた言う「ごめん」
俵万智
これは二人がまた※に向かっていく様子が巧いとヒコロヒー女史

恋をしているときは心が敏感になっているので恋以外の歌もたくさん生まれがち
自分の好きなものに恋をする気持ちを持つのは歌を作るうえで大事

・言葉のバトン
はじめての海にほほえむ君の頬
中前安弘 スムージー・サラダ店店主

脊柱起立筋のサメを見る
上野俊彦 日本ボディビル・フィットネス連盟

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