2024年12月16日月曜日

兼題「湯豆腐」&テーマ「プレゼント」

透明な朝の光と冬の風
デッサンは声なき会話冬ぬくし
無意識の心理を描く月氷る
暮早し長き首と長き顔
左手に確(しか)と筆持ち冬を生く

■NHK俳句 兼題「湯豆腐」
選者 木暮陶句郎 ゲスト 須東潤一 司会 柴田英嗣
年間テーマ「季語を器に盛る」

待機晩成 自分の順番が来るまで待っていればきっと大成する
須東潤一
随意の孤独 「自由にする」ということは孤独も伴う
須東潤一
レッドライン=超えてはいけない線
超えてはいけない線を超えないと到達できない景色がある
作品を作る時のルールは「自分の内側から出すもの」
外部からは一切影響を受けない 
内面から出た言葉を書いてそれに合う絵を描く
詩画アート 作品を見た人が元気になって欲しい

湯豆腐 出汁は昆布 そして薬味を付けて それぞれが食べる
古くから日本人に愛されてきた 縄文時代から煮炊きは行われている
煮ることで食材が美味しくなる 日本の食文化の中で洗練されている
酒にも合う 

湯豆腐の名句
湯豆腐にうつくしき火の廻りけり   萩原麦草
湯豆腐はゆっくり温める(温めている)間の時間を楽しんでいる
食べる段階にはうつくしい火が湯豆腐にまわったと思う

今回の作品は
縄文時代に馳せて焼いた陶句郎先生 
火焔土器 火をイメージした土器 でした

・特選六句発表 兼題「湯豆腐」
小さき日の瑠璃湯豆腐の生成色(きなりいろ)   舞矢愛
湯豆腐の煮えて波音遠ざかる   山口誠
(波の音は変わっていないのに興味が移った)
湯豆腐や酒も飲めずに八十路まで   丸田征男
湯豆腐やまづ通訳が食べてみせ   穴山ゆう
(通訳が食べてみせるところが面白い 滑稽なイメージがあっていい)
湯豆腐や少しどうだと妻に注(つ)ぐ   西山修(おさむ)
(「少しどうだ?」と徳利を持ち上げる会話が見えてくる
 夫婦のほんわかした雰囲気が湯豆腐という季語を通して描かれている)
 湯豆腐や妻突然に毒を吐く   原田香伯
(二物配合 身近にあった言葉の毒 シンプルな湯豆腐だからこそいい
 対比が素晴らしい)

・特選三席
一席 好物の癖に湯豆腐すぐ崩す   髙木統(おさみ)
「好物の癖に」を笑顔で言っている姿が浮かぶ 微笑ましく感じる)
二席 湯豆腐やテレビは大雪の渋谷   藤雪陽
(須東さんは長野県 私は群馬県 「可哀想だな渋谷の人は」なんて思いながら
 温かい湯豆腐を食べる そんな映像が見えてくる)
三席 湯豆腐に足の先まで熱くなる   林日向(ひな)子
(湯豆腐という食材に喜びや感謝の気持ちがある
 「や」切字が多く使われていたがこの句は「に」じゃないとダメ
 湯豆腐によって体全体の血がめぐり温まってきた)

・俳句やろうぜ 黒岩徳将
岡一夏さん いかすみ句会を開催
参加者は毎回50~60人 ひとり2句投句 100ちょい(句)集まる
リアルに会えない方といっしょに句会をしたい
コミュニケーションが目的 オンライン句会で定期的に
「俳句を誰かにみてもらいたい」という人が集まっている

露草を歩み来し靴土手に脱ぐ   黒岩徳将
秋の蝶ぷるぷるのあとぱつとひらく   岡一夏

・湯豆腐にうつくしき火の廻りけり 萩原麦草 作品へ
弱火の方が食材との付き合いが長くなる 絆も深まる
桜と日本人の絆もあって 葉桜の季語が初夏 湯豆腐は冬
初夏から冬までの期間 弱火で温めている付き合いの期間を例えた

・柴田の歩み
アーティストから学ぶこと多し

■NHK短歌 テーマ「プレゼント」
選者 大森静佳 ゲスト 鴻巣(こうのす)友季子 司会 尾崎世界観
年間テーマ「“ものがたり”の深みへ」

「翻訳は解釈である」鴻巣友季子
翻訳は球体に光を当てるような作業
どうしても訳しきれない伝えきれない部分ができる
翻訳の苦しみでもありおもしろいところでもある

・歌に“ものがたり”あり
入選九首 テーマ「プレゼント」
大切なものにはリボンなどついてなくなって見落としてそうな夕焼け
小仲翠太(おなかすいた)
三席 オレンジと黄色の花をよくもらうよかった明るいひとに見えてる
奥村真帆
二席 できたてのロボットみたい花束を逆さまのまま突きつけてきて
原田冬
一席 プレゼント「ぷ」から始まる音がいい「ぷぷぷ」と笑って「れれれ」と驚く
森岡政子
ラッピングの色はなるべく地味にするバスに忘れてしまえるように
竹内一二(かずじ)
 あげたがる人から貰うチョコパイのでかくて甘く重い何らか
刈田陽子
思うよりきみのまんまでビビットな授乳ケープがよく似合ってる
瀬生(せおう)ゆう子
心配は文体よりも筆圧につよく出ていて母からの梨
芍薬
 祖父は何を贈ったのだろうデパートの包装紙だけ仕舞われし棚
仲原佳

・ものがたりの深みへ
賢者の贈り物
デラ 「時計用のチェーン」を買うために「髪の毛」を売る
ジム 「くし」を買うために「時計」を売る
この物語は一般的には子ども用と思われているが
話法が物凄く凝っている 
デラとジムの愛情にに満ちた物語をシニカルな視点で語る
このギャップが面白い

3種類の話法が使われている
デラの心の中を語る話法
デラの様子を語る話法
読み手に直接話しかける手法
この毒舌的な語りは単なるお涙ちょうだいの
物語にならず名作として残っていると思う

尾崎世界観氏はカメラで全部を見渡しているような感覚で書いている
大森静佳女史は短歌は一人称の文学と言われているので一人称で描く時が多い
短歌は「君」とか「あなた」という言葉を入れた時に
読者と作者の距離が一瞬近づく感じがある
「あなたと」詠まれてていると読者である自分に
呼びかけられているような感じがする
宛先がある一人称

蜂蜜色にきらめく滝として落ちる髪はあなたの記憶の底へ
大森静佳

すすり泣いて、すすり上げて、少し微笑む、
Sobs,sniffles,and smales

翻訳の苦労は気が付かれなければ気が付かれないほどいい

雪の夜を揺らめきながらゆきなさい〈明日〉を贈り合ってふたりは
大森静佳

・言葉のバトン
脊柱起立筋のサメを見ろ
上野俊彦 日本ボディビル・フィットネス連盟

赤(しゃく)銅の漁師の顔と瓶ビール
肥沼和之 バー店主・ジャーナリスト
もうどっぷり新宿で生活しているので歌舞伎町の雰囲気はありつつも
心にグッとくるようなドラマを取材することが多いです

駆け出しのころに作った歌集「ヤクザ短歌」より
遠慮せず何でも聞けよと言われても地雷ないのか❓躊躇する僕
遠慮して当たり障りのないことを聞くような奴、物書き失格

思い出します 色々聞きたいんだけどこんなこと聞いたら
怒り出すんじゃないか?とか…。
10年ほど前から歌会を開催しています
短歌の面白さは語り過ぎない所かなと思います みなまで言わない 
残りを想像する察するっていう事が凄く文学的だなと…。

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