2024年12月15日日曜日

たけくらべ&「湯」&「皮肉」&「ちちんぱいぱい」

鐘氷る他人の本性変えられぬ
冬の草雨に打たれて倒れても
月氷る夢追いかけて疲れ果て
もうしあげることなかりけり寒夜(かんや)
思い切り楽しみなさいしぐれ虹

■漢字ふむふむ「湯」を見て逃げ出した!
湯という漢字は中国ではスープという意味
古代中国戦国時代 哲学者孟子の言葉(儒学者かと思っていました)
「冬日則飲湯、夏日則飲水
冬はお湯を飲み夏は水を飲む 「孟子」より
「神農本草経」(推定1~2世紀頃)
湯は煎じ薬という意味になった
湯=漢方薬の煮汁
中国では食べ物と薬の差別はなく口に入るものはみんな薬
薬膳のスープだろうと葛根湯であろうと
天然物を煮出したスープのことを全部「湯(とう)」と言っている
アメリカではhot water 韓国では뜨거운 물 フランスではeau chaude
インドではगरम पानी 中国語では热水 湯は外国にはない
日本は火山国で温泉に恵まれている お湯をいろんな形で利用してきた経緯がある
頻度が高い言葉は短くした方が楽なのです
「湯」という一語で言い換える動機付けは他の文化に比べればあるかもしれない

■夏井いつき俳句チャンネル
【第3回】楽しい日本語【ちちんぱいぱい・前編】
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ちちんぱいぱいむささびを追ふ子らよ   ローゼン千津
ちちんぱいぱい呪文はかなはぬものだ冬   夏井いつき
ちちんぱいぱい八年凶の初神籤   家藤正人

■漢字ふむふむ なぜ皮と肉で“皮肉(ひにく)”なの?
皮肉とは遠回しにいじわるく弱点をつくこと
日本に“皮肉”が伝わったのは鎌倉時代
仏典には達磨大師の逸話が記されていた
達磨大師は修業の成果を体の一部に例えて評価していた
皮 肉 骨 髄 四字熟語としても伝わった
日本では皮肉と骨髄が分かれて新たな意味を持つようになっていった
皮肉はうわべ、浅い 骨髄は奥、深い という意味で捉えられるようになった
江戸時代の書物「戴恩記」には
「老いて稽古ができず皮肉(うわべ)だけ関わる(現代訳)」
そこで登場したのは夏目漱石「虞美人草」より
「何でも奥歯に物の挟まった様な皮肉ばかり云ふんですよ」
思っていることをはっきり言わず皮肉ばかり
芥川龍之介も続きました。「秋」には
「御姉様の親切なお言葉も、皮肉のやうな気さへ致しました。」
お姉様の親切な言葉も皮肉のような気がした。(現代訳)
文化的に日本人は思っていることをはっきり言わず遠回しに言う癖がある
それを皮肉(うわべ)に例えるのはちょうど良かったのかもしれません

■10min.ボックス現代文 たけくらべ(樋口一葉)
100年前、明治時代に書かれた小説。主人公の名前は美登利。14歳の娘です。
大黒屋の美登利とて、生国(せうこく)は紀州、言葉のいさゝか訛れるも可愛(かわゆ)く、
第一は切れ離れよき気象を喜ばぬ人なし。子供に似合わぬ銀貨入れの重きも道理、
姉なる人が全盛の余波(はごり)、同級の女生徒二十人に揃ひのごむ鞠(まり)を
与へしはおろかの事、馴染の筆やに店(たな)ざらしの手遊(てあそび)を
買(かひ)しめて、喜ばせし事もあり。
美登利の恋心 相手は一歳年上の藤本信如 寺の息子で真面目な優等生でした
運動会の出来事です
「これにてお拭きなされ」と介抱をなしけるに、友だちの中なる嫉妬(やきもち)や
見つけて「藤本は坊主のくせに女と話をして、嬉しさうに礼を言つたは
可笑しいでは無いか、大方(おほかた)美登利さんは藤本の女房(かみさん)に
なるのであらう」などゝ取沙汰しける。
「ゑゝ例(いつも)の通りの心根」「何を憎んでそのやうに無常(つれなき)
そぶりはみせらるゝ。言ひたい事は此方(こなた)にあるを、余りな人」
信如は今ぞ淋しう見かへれば、紅入り友仙の雨に濡れて、
紅葉の形のうるはしきが我が足近く散(ちり)ぼひたる、
子どもから大人へ
次第〱に心細き思ひ、すべて昨日の美登利の身に覚えなかりし
思ひをまうけて、物の恥かしさ言ふばかりなく
「ゑゝ厭や〱、大人に成るは厭やな事。なぜこのやうに年をば取る。
もう七月(なゝつき)十月(とつき)、一年も以前(もと)へ帰りたいに」
誰の仕業と知るよしなけれど、美登利は何ゆゑとなく懐かしき
思ひにて、違ひ棚の一輪挿しに入れて、淋しく清き姿をめでけるが、
聞くともなしに伝え聞く、その明けの日は、信如が
何がしの学林に袖の色かへぬべき当日なりしとぞ。

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