冬の朝老ゆも一朶の雲を追う
冬の山静かに前へ歩む女(ひと)
(アルゼンチンタンゴ)冬ぬくし横に流れる音抱き
見つめ合い足踏みならし冬を舞う
冬の海弱いときほど挫けるな
■あの本、読みました?~「走る」名著!あさのあつこ&三浦しをん&池井戸&春樹
鈴木保奈美 角谷暁子
青春小説作家あさのあつこが走ることに一度負けてでも自分の意志で帰ってくる
敗北を知らない人は勝利も知らない
走る小説にこめた思いを語る
「ホワイトカラー消滅」の一文 富山和彦著/NHK出版新書
今、簡単な原稿づくりなども初稿は生成AIで作ることがはじまっている。
しかし、そこから編集するのは人間にしかできない。
編集においては、問いを立てる部分とディシジョン(決定)の
部分は人間に残る。生成AIには問いが立てられないからだ。
走りたくなる本ってどんな本?
為末大
瀬古利彦の「走る」本3選
① 「箱根駅伝」池井戸潤
注目!学生連合の指揮を執るのが新人監督
② 「冬の喝采」黒木亮
立ちつくす群衆の中で、唯一動いている人間。
あっと思う間もなく、臙脂色(えんじいろ)は大きくなり、
目の前に苦痛で顔を歪めた瀬古利彦が迫ってきた。
周囲でどよめきや歓声が沸き起こっていた。
「頼むぞ、金山!」「はい!」
③ 「走ることについて語るときに僕の語ること」村上春樹著/文藝春秋
僕が外苑で走り始めたころには、瀬古利彦が現役でやはりここを走っていた。
必死の形相でロス・オリンピックのための走り込みをしていた。
金色に光るメダルだけが彼の頭の中にあるものだった。
「俺たちの箱根駅伝」の一文
池井戸潤著/文藝春秋
五・六キロの常盤橋を渡り、急激に右に曲がるカーブに
さしかかったときのことだ。弾の視界に、一本の線が見えた。
自分が踏み出す一歩は“点”だが、
走るルートは“線”になって弾の眼前に示されている。
連続カーブを大回りすることなく、いかに短く走るか。
その小さなノウハウが、結果を左右することを弾に指摘したのは、
他ならぬ甲斐監督だ。その走るべきルートが線になって弾を誘っている。
(中略)
声援の中、自分にしか見えない一本の線、
その先を見据えて、弾は無心で手と脚を動かし続けている。
(中略)
弾の走りは、なんというかーゾーンに入っていた。
アスリートが体験する「ゾーン」とは❓
為末が実体験「ゾーン」
2001年世界陸上 銅メダル 日本人初の短距離種目メダル獲得
観客の声が小さくなり自分の足音だけが大きく聞こえていた
気がつくと300メートル地点をトップで走っていた
「ゾーン」に入る特徴
時間感覚が変になる 音が小さくなる 相手の息遣いが聞こえる
もう一個は幽体離脱 自分の体が勝手に動いている
ランナーズハイとゾーンは違うという事は
「風が強く吹いている」三浦しをんが書いている
「風が強く吹いている」の一文 三浦しをん著/新潮文庫
ランナーズ・ハイは、ジョッグをしていても訪れる。
心身の条件がそろったときに、ある程度の距離を走りつづければ、
ランナーズ・ハイと言われる状態にはなる。
「この調子だと、ランナーズ・ハイになるな」と、
慣れてくると事前にじわじわと察せられることからも、
癖のようなものだと清瀬は思っている。
(中略)
だがゾーンはどうやら、唐突に訪れるらしい。
ランナーズ・ハイよりも鮮烈で、瞬間的に、しかも試合中にのみ起こる。
闘牛士も、牛を殺す「真実の瞬間」に、時間を超えた不思議な恍惚を
味わうことがあると知り、清瀬は「なるほど」と思った。
ランナーズ・ハイとゾーンは、現象は似ているが、
たぶんきっかけとなる回路が違うのだ。
ランナーズ・ハイが体を動かすことで引き起こされるのに対し、
ゾーンは極度に緊張し集中した心理が契機となるのではないか。
「フロー体験 喜びの現象学」M・チクセントミハイ著/今村浩明訳/世界思想社
幸せになるためにフローになるのではなくフローになることが幸せなのだ
世界と戦うときの心のあり方
「走ることについて語るときに僕の語ること」村上春樹著/文藝春秋
才能と集中力と持続力が必要と記されている
才能は持って生まれたものだけど、
集中力と持続力はトレーニングによって培えられる
日々、休まずに書き続け、意識を集中して仕事をすることが、
自分という人間にとって必要なことなのだという情報を
身体システムに継続して送り込み、しっかりと覚え込ませるわけだ。
そして少しずつその限界値を押し上げていく。
気づかれない程度にわずかずつ、その目盛りをこっそりと移動させていく。
これは日々ジョギングを続けることによって、筋肉を強化し、
ランナーとしての体型を作り上げていくのと同じ種類の作業である。
刺激し、持続する。刺激し、持続する。この作業には
もちろん我慢が必要である。しかしそれだけの見返りはある。
限界値を押し上げると見えるもの
自分を騙す 限界値を上げていく時
日本人の記録が伸びる不思議な要因
「大阪 人づくりの逆襲」の一文 石川智久著/青春新書
私が新卒で就職した住友銀行は住友グループであり、関西の会社です。
新人研修の際の、役員の発言が印象に残っています。
それは「おいあくま」です。怒るな、威張るな、焦るな、腐るな、
負けるなの 頭文字を並べているのです。
あさのあつこの「青春小説」
スポーツが書きたかったのではなく主人公が書きたかった
スポーツ経験ゼロの作者が描く「走る」小説
主人公がいてその後にスポーツを持ってきた
最初から4部作で構想していた?
「ランナー」の一文 あさのあつこ著/幻冬舎文庫
そうだ、走るとはこういうものだった。白い一筋の道を
想いのままに進む。そういうものだった。
花の香りの染まり、そのくせ冷たい空気が身体の真ん中を貫く。
その空気に溶け込んでいく。自分が解けて、際限なく広がり、
一朶の雲にも、一陣の風にも変わっていく。
そんな感覚を束の間だが、味わう。
この一文は為末さんの言うランナーズ・ハイだと思う。林P
碧李(あおい)は走る。暮れなずむ初夏の街も、さすがに夜の中に沈もうとしている。
残光が山の端を微かな朱色に染めてはいるが、空の大半は藍から茄子紺
そして黒へと色を濃くし、見上げる度に星の数が増えていた。
作家あさのあつこの表現力の原点
スポーツを描く上で心がけているもの
物語は人の心を「ちょっと揺らすこと」
「レーンランナー3」の一文 あさのあつこ著/幻冬舎文庫
競技者はいつか引退しなければならない 如何ともしがたい肉体の衰えのために
あまたの名選手がトラックをフィールドを去っていった。
しかし俺は違う 俺は見るものだ 見守るものだ
年を経てもたとえこの足が萎えても腕を失っても
見続け見守り続けられる 陸上の面白さを堪能できる
主人公を見守るマネージャー信哉の存在
作家あさのあつこが少年主人公に描く本当の理由
若者の「起業」の青春小説
青春小説の大家が伝えたい思い
「アーセナルにおいでよ」の一文 あさのあつこ著/水鈴社
甲斐は誰とも会わず、部屋に閉じこもっていることを望んだのに、
周りがそれをなかなか許しも認めもしてくれなかったのだ。
部屋から出た後の支援なり、居場所はそれなりに提示してくれるのに、
部屋の中でどう過ごしたいかを問われることは一度もなかった。
「アーセナルにおいでよ」大人が考え直すべきこととは
「一律、現状を何とかしましょうみたいになっちゃってて…
そこに、違和感みたいなの覚えちゃったんだ。
それで、ふっと思ったのが、おれたちって、えっと“高校生”とか
”中学生“とか、”子ども“みたいなワードで括られるけど、
でも、抱えてる悩みとか問題とかって、それぞれだろ。
そこんとこは大人と同じだよな」
(中略)
「だから、今、おれたちが抱えているそれぞれの悩みなり、
問題なりを相談できて、それぞれに合った方法で解決していく、
そういう場所が創れないかって考えたんだ」
(中略)
そう、欲しいものは武器だ。
「しっかりしろ」も「がんばれ」もいらない。
目の前の現実と対等に切り結ぶための武器だけが必要だ。
「言葉で伝える」力はすごいもの
聞くことが大事!
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