2024年12月24日火曜日

兼題「冬麗」&テーマ「おつかれさま/ごくろうさま」

死を迎え浮き上がる骨冬の猫
霜の夜を尻持ち上げた病める猫
背伸びする猫の視線へ冬の色
まったりと窓越しの冬母子の猫
かじけ猫自由奔放丸まりて

■NHK俳句 兼題「冬麗」
選者 高野ムツオ ゲスト 能町みね子 レギュラー 中西アルノ 
ゲスト 高山れおな 奥坂まや 司会 柴田英嗣
年間テーマ「語ろう俳句!」
11月頃は「小春日和」 12月頃は「冬日和」
その中で「冬麗」は別の味わいを出す 「麗」は春の季語
春らしい日差しになったことが感じられる

一 冬麗の高きに傾(かし)ぎ昼の月   高山れおな
冬麗は天候を表す季語 「昼の月」も空に浮かぶもの 季語を変えた方が良い
「月」が入っていれば秋の季語とする 「昼の月」を季語に入れない歳時記もある
「冬麗」の趣を中心にした句 巧みな句 空の景色を一元的に描写した句
「傾ぎ」安定感がない表現 なので「ぎ」でよい「ぐ」では安定してしまう
二 冬うらら電信柱が長すぎる   能町みね子
フランスの詩人 ジュール・ルナール「長すぎる」(題名:蛇)を思い出した
わざわざ「長すぎる」と詠んだところに作者の発見がある
滑稽味と俳諧みがある どこかシュールで怖い 
冬なので薄暗い気持ちも反映されている
三 冬麗や餓(かつ)うる如く岩峰(がんぽう)鋭(と)し   奥坂まや
松尾芭蕉も若い頃は漢語を駆使して破調の俳句を作った 俳句の伝統を感じた
作者は10代 季語は冬麗以外の方が良い 冬の槍ヶ岳をイメージした
四 はんぶんこ豚まんはふはふ冬うらら   中西アルノ
「三段切れ」「はんぶんの」にすると三段切れにならなかった
五 冬麗や闇はスマホに閉じ込めて   高野ムツオ
スマホの画面は真っ暗 人工的なひとつの闇 「冬麗」の上には宇宙がある
宇宙の闇を「冬麗」が閉じこめている 冬の青空の上には宇宙の闇がある

・特選三席発表 兼題「冬麗」
一席 冬麗の地層に眠る貝の殻   山下民子
二席 冬麗や毬藻の揺るる湖(うみ)の底   大津留直(おおつるただし)
三席 隣り合ふ豚舎と牛舎冬うらら   田中和行

特選
冬うらら席を譲りしランドセル   後藤耕平
鳶職の声高きより冬うらら   中田白甫
手話一語一語に笑顔冬うらら   木原登
冬うらら削蹄耐えて太き尿   野々村澄夫
冬うららシールだらけの床柱   大岩真理
冬麗や農具に残る泥と藁   平間三政

参照:https://www.nhk.jp/p/ts/6Q6J1ZGX37/blog/bl/pLvva3ZRZL/bp/pNgn875Jre/

■NHK短歌 テーマ「おつかれさま/ごくろうさま」
選者 枡野浩一 ゲスト pha 司会 尾崎世界観
年間テーマ「あなたへの手紙 かなたへの手紙」

目上とか目下とかもうないくらい「ごくろうさま」な俺たちだった
枡野浩一

おつかれさま すごく便利な言葉だなと思った pha

・31音の手紙 
入選九首 テーマ「おつかれさま/ごくろうさま」
一席 ときどきのおつかれさまは控えめにあなたを好きと言ってるつもり
弘中典子
 テレビでしか見たことのない人だけど居なくなったら悲しいものだ
田中佳(よし)
おはようやこんにちはって言わせてよ疲れることはまだしてないし
仲川暁実
三席 振り向いて「おつかれさま」と呟いたタクシー運転手のコンシーラー
田中りょう
改札は社員証では通れない社員の顔をようやく外す
久藤さえ
“お疲れ”の付箋貼られてうたた寝の一人確かにいる目撃者
髙塚美衣
 がんばったがんばったけどダメだったダメだったけど何とかなった
富尾大地
駆け足で来た宅配の若者はシャツが背中にはりついている
君しぐれ
二席 好きだから登山しているこの僕に「ごくろうさま」は不適切ワード
久保田洋二

・改悪添削
ときどきのおつかれさまは控えめにあなたを好きと言ってるつもり
⇩(自動的な感じがする 押しつけがましい圧を感じる
  「控えめに」と「ときどきの」の呼応の仕方がバランスが良かった
  この句の良さは頭だけで考えていない感じがするところ
  経験の中で感情の引き出しをうまく引き出せた
  言葉から短歌を作っても良い 自分の日々の暮らしの中でいろんなことに
  気がつくことの方が短歌作りは大事 傷つきながら気づいたことを
  心の中にため込んでおくと表現になっていく 手渡せている言葉と
  作りたいことを並べているだけの言葉は大違い)
毎日のおつかれさまは控えめにあなたを好きと言ってるつもり

・phaさんの短歌 「おつかれさま/ごくろうさま」
牛すじに大根おろしをのせるように湿った布を首筋に貼る
pha
短歌を作る良さは❓
ちょっと現実から離れられる 現実から距離を取って気分が楽になる pha
別の形で現実を捉え直すことで心の余裕が持てる pha
歌は何度も歌える歌じゃないと歌にはできない 尾崎世界観
言葉が嵌っているのを見ると安心する 尾崎世界観
自分では到底できないような表現になっているのが救い 尾崎世界観
悲しい出来事なのに水槽にしてみたら綺麗だなみたいな 枡野浩一

・言葉のバトン
赤(しゃく)銅の漁師の顔と瓶ビール
肥沼和之 バー店主・ジャーナリスト

燃える夕日に連なるカワウ
田向(たむかい)健一 獣医師
燃えるような夕焼けと鳥を入れたらつまみがイメージできるのかな…。
哺乳類の可愛さとか爬虫類のかっこよさとかおもしろさとか
タランチャラの静な喜びだとか 病気の動物はどこが痛いとか言わないので
病状から察して人の言葉に変えて行く作業をしています



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