冬を生く革命的な思想持ち
原風景の風を集めて冬闊歩
冬紅葉山の街道びっしりと
大掃除シンクで点てて飲むお薄
冬の暮繋がる理解深まらん
■NHK俳句 兼題「息白し」
選者 堀田季何 レギュラー 庄司浩平 司会 柴田英嗣
年間テーマ 「俳句の凝りをほぐします」
今週のテーマ「切れ」
「切れ」は俳句の基本でありながらいろんな定義がある
4回に渡って「切れ」とは何かその使い方を季何流で伝授
俳句のコリをほぐします 切れ
直前の言葉を輝かせる効果があります そこから切れ味が見える
句中の切れ 句の途中に切れがある
サイドミラーに細きつららや落ちずゆく 野崎海芋
やがつららを輝かせている やがないと散文的
やを入れると韻律も引き締まる
句中の切れ 3つの方法 ①切字 ②体言止め ③終止形
3つのどれかであるとフレーズが終わった感が出る
① 魔法の言葉「切字」があるだけで「切れ」が生まれる
② 体言止め 名詞で会わる形 赤い太陽 走り去って友人
サイドミラー細きつららの落ちずゆく
③ 終止形 文末に「。」がつく形 太陽は赤い。 友人が走り去る。
サイドミラーにつららか細し落ちずゆく
強調するところが変わる
句中の切れ=切断ではない 強調してキレキレにする
句末の切れ 句の終わりに切れがある 切字「かな」「けり」
くろがねの秋の風鈴鳴りにけり 飯田蛇笏
意味は「鳴りました」強い感じ
掛稲(かけいね)のすぐそこにある湯吞かな 波多野爽波
余剰を引く効果がある 風情が出る
言葉を輝かせる 強い切れ 多くの俳句が強い切れを使っている
俳句は短いので焦点を当てないとぼやける
認識の瞬間を強調しコントロールする
A. 夜長なり/即身仏を鼠食ふ
B. 水晶の大魂(たいかい)に春きざすなり/
C. 湯豆腐や/心のごとき白さかな/(一句に1か所切れ)
D. クリスマス/ひとりぼっちだ買い物す(三段切れ)
・今週の兼題「息白し」特選六句
歳時記を編んだ高浜虚子 山本健吉
偉大な専門家たちも動物でも作ると書いている
英雄のポーズ白息吐き切りぬ 横縞
白息を抜け白息へまた駆ける 加藤幸龍
(白息を2回使うのは❓悪くない)
白息をかけて鏡の人となる 大川宣子
(「白い息」は季語にならない 「白息(しらいき)」という季語
「白息」だと物として捉えられる 色々な使い方ができるので便利)
初めてのお化粧に似て息白し 滝川陽子
マジシャンの鳩白息(しろいき)にもどりくる 河添美羽
白息をかけて姑獲鳥(うぶめ)の卵拭く 斎藤秀雄
*中国に伝承される「姑獲鳥(こかくちょう)」がルーツのひとつとされる
・柴田の歩み 切り過ぎ注意
庄司の歩み 切りにけり
■NHK短歌 題「胡桃(くるみ)」
選者 川野里子 レギュラー 内藤秀一郎 深尾あむ 司会 ヒコロヒー
今回のテーマ「批評眼を持とう!」年間テーマ「“私”に出会おう~2年目の飛躍~」
白熊に逢ひしことなき白熊は立ち上がりたり檻いっぱいに
川野里子「天窓紀行」
(こんなふうに白熊を扱っていいんだろうか)
そりゃそうさが口命の部首だから食べてゆく他ないんだ今日も
久永草太「命の部首」
妊娠を希望する人は手をあげて裁きのごとき保育士会議
谷川保子「おもてなしロボ」
子供を持つことが難しい現場についての批評
・入選六首 題「胡桃」
一瞬の秋のすきまに食(は)みており胡桃のパンの胡桃がきしむ
公木正(こうきせい)
一席 母親が胡桃割ろうとハンマーでたたいた音が工場の音
松本貫希(かんき)
一心にこの世の秘密を解くように胡桃を食べているハムスター
髙谷慎司
「会えたね」という顔をしてメルカリにくるみ割り人形ずっといる
西爽子(そうこ)
食欲の暴力を見る殻を割るくるみ割り器の静かな震え
八号坂唯一
履歴書をゆっくり埋める昼下がりそこにいたのか水面の胡桃
てと
・キラリポイント
「会えたね」 内藤秀一郎
この世の秘密を解くように 深尾あむ
・秀一郎 あむの飛躍のカギ
笑っとこほんとにそれはおもしろい?そんなグループで成り立つ僕ら
内藤秀一郎 添削
笑っとこほんとにそれはおもしろい?そんなグループでじゃれ合う僕ら
ダイエット逃げても逃げても追ってくるいつまで痩せれば許されますか
深尾あむ
ダイエットが逃げても逃げても追ってくるいつまで痩せれば許されますか
・言葉のバトン
真っ白な帆が風に広がる
杜崎ひらく 歌人
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はじめての海にほほえむ君の頬
中前安弘 スムージー・サラダ店店主
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