2024年4月15日月曜日

兼題「クローバー」&題「手紙」

今日も今日とて猫の気まぐれ遅春
高開の石積み埋める芝桜
田植え機の音高らかに早場米
ミツマタの無数の花や黄金色
ミツマタの香り漂う那賀木沢

■NHK俳句 兼題「クローバー」
選者 西山睦(むつみ) ゲスト 吉山遊 司会 柴田英嗣
年間テーマ「やさしい手」
俳句は誰でも入学できるけど卒業はない
わからないのが面白い
やさしい手とはお母さんが作ってくれたおにぎりの味
手のひらの味がしみは温かみ
「やさしい手」を切り口にして
(手を使った)仕事を俳句に詠んでいる
そんな俳人を呼んで話を伺う
相互作用があるのではないか?

今週の優しい手
あいさつの声「ぶん」と来る春日向   西山睦

吉山遊さんの俳句
ひと匙に蜂のひと世を垂らしけり   
分蜂(ぶんぽう)の空に翅音(はおと)の渦巻ける
ナンバーに38並ぶ梅雨の車庫

「やさしい手」俳句三選 吉山遊
親 指に来てばるんばるんの鉢の尻
子 若蜂のまだ濡れてゐる翅音かな
死 死してなほ脈打つ蜂の毒の針

普段は研究者として 科学的な視点で
実権の対象としてミツバチを見ている
文学的な表現をするときは
直感的 感覚的なフィルターを通して
より純粋なものを詠みたいので
まなざしはより優しくなった
俳句を詠んでいるときは童心に返れる
昆虫少年に返れたような無心になれます
あくなき追及 あくなき愛

今週の兼題「クローバー」
白詰草
江戸時代 オランダからガラス製品を輸入する際
クッションがわりに詰められていたことに由来する

▪特選六句発表 兼題「クローバー」
クローバー笑ひ上戸の風と逢ふ   福永浩隆
亡き妹(いも)の真白き日記にクローバー   神長誉夫(やすお)
クローバー幼なじみを娶(めと)りけり   田上勝清(たがみまさずみ)
靴ぬいで上がる白詰草の部屋   七瀬ゆきこ
クローバのひかり戴帽式の朝   花瀬玲
婚の荷に対の長靴首蓿(うまごやし)   橋田雄一

▪特選三席
三席 クローバはサン・テグジュペリ閉じし中   藤井晶子
二席 クローバー明るし新しきバッシュ   古瀬まさあき
一席 クローバや蹠(あうら)の濁り置いてゆく   平本雅子
(ストレス=濁り)

▪クロイワの俳句やろうぜ!
新池や蛙(クロイワ)飛び込む水の音
若手俳人探査隊長 俳人 黒岩徳将

ネクストブレイク俳人
大阪から愛媛県松野町へ移住
俳号 川嶋ぱんだ 川嶋健佑
松野町で茶畑を手掛けながら「芝不器男」の魅力を発信
川嶋ぱんだが惚れる芝不器男とは?
愛媛県松野町出身 俳人 芝不器男(1903-1930)

あなたなる夜雨の葛のあなたかな   芝不器男
始めは理解できる人がいなくて有名になったきっかけは高浜虚子
この魅力を語った事によって知られた
噛めば噛むほど味わいが増す

川嶋ぱんだ 俳句の魅力は❓
俳句の人生も一筋縄ではいかない それが俳句の魅力
大学時代 走り高跳びをやっていた
歩数も跳び方も決まっていた
跳べたり跳べなかったり 歯がゆい感じ
俳句のそれに近い 五・七・五に自分の言葉をはめた時
うまくいった いかなかった そういう 細やかな喜びがある

川嶋ばんだの一句
このポテトサラダたちまち雪を呼ぶ   川嶋ぱんだ

▪柴田の歩み
45年もまだ半ば

■NHK短歌 題「手紙」
選者 俵万智 ゲスト 財前直見 司会 ヒコロヒー
年間テーマ「光る愛の歌」
大河ドラマ「光る君へ」とのコラボ
短歌は千年以上前から ずっとこの国につながってきていて
その一番先端で私たちは作っている
歴史を知り 和歌に触れることは栄養になる
大河ドラマを活用しながら 和歌の歴史に触れて
今私たちが作ることにも役立てていく

嘆きつつひとり寝る夜の明くる間は
いかに久しきものとかは知る   右大将道綱母

「光る君へ」の時代は和歌がコミュニケーションツール
実用品の手紙として機能していた
私自身も短歌を作っていて日記以上に手紙だなと思う
この思いを誰かに届けたい だれかと共有したい
というところから始まる
「和歌は元々手紙だった」ことを心に留めておくと実作に役立つ

▪入選九首 テーマ「手紙」
一席 転居先不明の赤いスタンプが受け取りたかった返事だたぶん
増田匡裕(まさひろ)
便箋の最終行の渋滞は君に会いたい気持ちの密度
遠藤翠(みどり)
飛行船のごとき円で「欠席」を囲み二人の未来を祈る
さくらさく
剥き出しの便箋闇に放り込む気がした最初のメール送信
前川泰信
三席 私 「家を売ることにしました!」父のその文面の軽さが重すぎる
遠藤健人
大ぶりの鰯の腹を指で裂くように開いた通知の封書
友常甘酢
 便箋が手紙に変わる瞬間を見届けているカフェの照明
檜澤(ひざわ)さくら
二席 達筆を誇りし友の賀状の「賀」杖つくごとく傾(かし)ぐ今年は
松丸伸子
 入刀のナイフで二人を斬るように「出席」を消す返信ハガキ
くぼたむすぶ

▪「光る君へ」で短歌を10倍楽しもう!
和歌の出来の良し悪しによって恋が上手くいったりいかなかったり
人格の一部として和歌がある
道綱の母は(兼家への)歌にしおれた菊を添えた
返事がくればつれない返事でも脈あり返事が来ないのが最悪
今でいえばLINEの既読スルー

「光る君へ」から学べる 短歌づくりのポイントは?
読む人がいる 加減が大事
「表現」は他者だけのために作るものではない

ちはやぶる神の斎垣(いがき)も超えぬべし恋しき人のみまく欲しさに
(神にさえ止められぬのはこの心ただただ恋しい君に会いたい 万智訳)
恋の句は下の句の「ただただ恋しい君に会いたい」ことを言っている
上の句にその時代その時代の工夫が加えられる
自分なりの表現でどれだけ会いたいかを最大限表現する

金曜の六時に君と会うために始まっている月曜の朝
俵万智「サラダ記念日」

思った気持ちは本当
短歌も思いが自分のものであれば演じてもよい

短歌づくりのポイント
・受け取り手の「目」を持つ
・伝えたい自分の思いはぶれないように「自分軸」を持つ
・思いが自分のものであれば創作もOK

▪ことばのバトン
何度でも「はじめまして」を言いたくて
枡野浩一 歌人

しばし眠って春を待ちます
日本女子大学 四年生 竹田沙紀子

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