2024年4月30日火曜日

兼題「辛夷」&テーマ「はじめまして/こんにちは」&全国短歌大会・全国俳句大会 結果発表&夢果房たから

喧嘩売るドラレコ強し夏隣
ドラレコの上から目線春暑し
ドラレコの止まぬ講釈花の冷え
ドラレコの下す判定風炎か?
行く春や何度ドラレコ繰り返す?

■NHK俳句 兼題「辛夷(こぶし)」
選者 高野ムツオ ゲスト 矢野玲奈 岩田奎(けい)
レギュラー 伊集院光 中西アルノ 司会 柴田英嗣
テーマ「語ろう俳句」

「辛夷」はこの「拳」と語源は一緒です
子どもの拳骨を辛夷の花と連想した
一説によると花の姿ではなく秋になる「実」が「拳」に似ている
その内に「拳」が開くイメージ

① 花びらのもう触れ合はぬ辛夷かな 矢野玲奈(一物仕立て 触れ合えぬ)
② 公園の辛夷を見ゆる四畳半 中西アルノ(貧しさと心の豊かさのコントラスト)
③ 挽肉のあらければ咲く辛夷かな 岩田奎 (解らないけど魅力がある)
④ あの辛夷ならとうに…と若い和尚 伊集院光(微妙な心理を表現)
⑤ 雲通過するたびに辛夷輝くよ 高野ムツオ
(訪れを感じる 余剰がない 広がりに欠ける か行の連なりが気持ちいい)

辛夷は「田打ち桜」「種まき桜」といって
早春に農作業の始まりを知らせてくれる花
季節的にも雲がたくさん出る

▪特選三席発表 兼題「辛夷」
一席 作馬(さくんま)を見送る春や花こぶし   髙橋芳承(ほうしょう)
二席 辛夷散る初めて海を恐れた日   秋野茜
三席 花辛夷まだからつぽのランドセル   駒井ゆきこ

辛夷咲く車中避難の駐車場   柊子
大阿蘇の水の匂いの花辛夷   山本耕一
辛夷咲く帰るあてなき地にも咲く   津田明美
急坂に二軒貼りつく辛夷かな   直井輝男
二歩ごとに種芋一つ辛夷咲く   山田瑛子
花辛夷米は宝と歌ふ世の   松本健
参照:https://www.nhk.jp/p/ts/6Q6J1ZGX37/blog/bl/pLvva3ZRZL/bp/p8zQVrEpvA/

■NHK短歌 今月のテーマ「はじめまして/こんにちは」
選者 枡野浩一 ゲスト 加賀翔(かが屋) 司会 尾崎世界観
年間テーマ「あなたへの手紙 かなたへの手紙」
言葉は手紙のように自分と誰かの橋を架けるみたいな行為だと思う
宛て名がはっきりしているとか
差出人もはっきりしていることを大事にしたい

▪31音の手紙
入選九首 テーマ「はじめまして?こんにちは」
三席 隣、いい?まだ青かった僕たちは「はじめまして」も照れくさかった
間之口葵一(きい)
紺色のひだスカートとブレザーの四月の私に会う試着室
水川怜
憧れの人に挨拶するだけで花咲くように満たされていく
鈴木るい
 そこそこにながく生きてもまだときにはじめましての私に出会う
星川郁乃
 靴下の穴から指がこんにちは傷つく場所は決まって同じ
寺澤知世
最後まで責任持って飼うなどと思う間もなく拾い上げてた
藤本くま
一席 「歌という手紙たくさん読んだからはじめましてじゃない気持ちです!」
國島智香子
二席 私 あなたからはじめましてを三回も言われた僕に原因がある
山本康平
「母です」と紹介されて母の顔あわててつくる夜のコンビニ
番場陽子

▪改悪添削
いい短歌をこんなふうにダメにしたらどうですか
というのを見せて 元の短歌の良さを伝えたい

リアルでは初めてお会いするけれど「はじめまして」というべきやろか
桑野豊(改悪添削)
リアルでは初めてお会いするけれど「はじめまして」というべきなの

はじめての町には人が多くおり「春だわ」とだけ親に返信
堀優季奈(改悪添削)
はじめての町には人が多くおり「無事だよ」とだけ親に返信

たくさんの短歌を詠んでいると同案多数になってしまう
機械的に作ってしまう言葉があるけど
そうじゃないものを考えていくことが表現

▪加賀翔さんの短歌「はじめまして/こんにちは」
方言が抜けてしまったその穴に埋まった「じゃん」を褒めてくれたね
加賀翔

短歌は自分が読まないと完成しないというか想像しないと完成しない
こっち(読者)が最後のスイッチを押すというのが
すごいすてきな文化だなと思って始めた

▪ことばのバトン
暖かな風とスカートたわむれて
日本女子大学短歌会 高橋花歩

エグい花粉も聴こえない庭
東京農工大学 短歌会会長 ほきゅみ
都会には価値がなくてもかまわないと言えるだけの価値があるから
(繊細さといたずら心に満ちた挑戦状!これは素晴らしい!
ほきゅみさんのあまりある才能に打ちのめされました)

▪全国短歌大会 全国俳句大会 結果発表 
https://www.n-gaku.jp/public/life/zenkokutaikai_25th/#grandprize-tanka
全国短歌大会
https://www.n-gaku.jp/public/life/zenkokutaikai_25th/#grandprize-tanka
全国俳句大会
https://www.n-gaku.jp/public/life/zenkokutaikai_25th/#grandprize-haiku

■夢果房たから
いちごミルクプリンと白玉抹茶ぜんざいを頂きました。
Nさん❣ありがとう❣
ごちになります。



2024年4月29日月曜日

モンスター村上隆、いざ京都!&マギー司郎の言葉

春の日や蛇と格闘イタチ勝つ
繰り返されるイタチの悲劇余寒
劇的に生きた(福田)恆在(つねあり)春北斗
からっぽの自由を求め春の泥
半仙戯(はんせんぎ)嫌なことからただ逃避

■日曜美術館 モンスター村上隆、いざ京都!
ニック・シムノビック
タカシはポップカルチャーと芸術の壁を壊した
ビリー・アイリッシュ
子どもの頃の不思議な感覚を呼び覚ます
彼の能力は本当に特別 タカシはキングよ

京都を守る4つの神 玄武 白虎 朱雀 青龍


 












村上隆氏と30年間師弟関係にある 美術史家 辻惟雄
辻惟雄先生のお言葉
画家のやっぱり見て貰いたいのはこのかたちでしょうね
飛沫の広がり方 描く曲線の世界
狩野山雪という江戸時代の画家ですが
大樹表現 巨木表現を意識している
非常に屈折した痙攣に近いような複雑なものになっている
人工的なものになっているっていうことは確かなので
その人工性というものも含めて
村上さんは引き受けているのではないか
男根から放出された液体が北斎の「富嶽三十六景」の
「神奈川沖浪裏」の波を彷彿とさせる
西洋人は想像もつかないでしょうね
日本人は男根の表現ということについて
むしろ罪悪なんかとは全く別のものだと考えていた
やっぱりファリシズム(男根崇拝)という
人類の種族の繁栄のためのシンボルみたいにして
村上さんのスーパーフラットの中に
西洋の長い大きな伝統に服従することなく
それに真っ向から対峙しようというような
非常に壮大な意気込みがあるんじゃないか

雲竜赤変図《辻惟雄先生に「あなた、たまには自分で描いたらどうなの?」
と嫌味を言われて腹が立って自分で描いたバージョン》




















■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん~昭和の大先輩とおかしな2人~#14マギー司郎
昭和の大先輩 マギー司郎の言葉
「自由に素直に マギー司郎」



2024年4月28日日曜日

糸井重里氏と俳句

事故起こししゃがみ込む女(ひと)花の冷え
ドラレコへ黙(もだ)通す女(ひと)春の空
春の雨事故の翌日長閑なり
エンジン音の元気な代車春暑し
(事故翌日)風炎やハンドル操作ぎこちなく

糸井重里氏が俳句を詠んでくださるなんて
こんな嬉しい事があって宜しいのでしょうか❓

今日のダーリン より
ほぼ日刊イトイ新聞 2024年4月23日
そんなことをあらためて考えると、
「ほぼ日の學校」をはじめたおかげで、
ぼくらの知りたいことが聞ける機会が格段に増えた。
「みなさんいかがですか?」とおすすめはしているが、
根本的にぼくらが聞きたい話、必要としているテーマで
ひとつひとつの企画が実現していく。
先日、NHKカルチャーとのコラボ企画で開催された
「夏井いつきさん×糸井重里対談」なんかは、
言っちゃぁなんだけど、ぼくのためにあったようなものだ。
夏井いつきさんの俳句の「教室」をテレビで見ていて、
たのしそうだし、うらやましくてしょうがない。
でも、ぼく自身が俳句がつくれないのである。
夏井さんの本も買って読んだりしてみたが、
どうにも最初の一歩の足が上がらない。
よし、勇気を出して、いつき先生に直接お会いして、
俳句の門をくぐらせてもらおう、と思ったのだった。
これが実現しちゃうのが「ほぼ日の學校」のありがたさ。
俳句について、ぼくのようなことを思って
うじうじと「いつかやってみたい」とかいってる人、
いっぱいいるにちがいないという想像もしていた。
そして、対談の日、真剣でおもしろい時間がそこにあった。
先生にうながされて、ついに、ぼくは「俳人」になった。
一作もできてないのに、俳号もつくったしね。
その後、俳句専用の「ほぼ日手帳」を買って、
三作つくってみたことも、ぜひ先生に伝えたい。
俳句は、たしかにぼくの世界を広げてくれそうだ。
そして、これもほぼ日の學校があったおかげだ。
「五十の手習い」どころじゃない「七十五の手習い」だよ。

ほぼ日刊イトイ新聞 2024年4月25日
自信がなくて、いやだと逃げてしまいたいようなことを、
ぼくは、何十年に一度くらいはあえてやることにしている。
もしや、そのうちのひとつが、今回の俳句かもしれない。

俳句は、本職の短文の近くにあるので、ますます恥ずかしい。

ほぼ日刊イトイ新聞 2024年4月26日
実際に冷たい水に飛び込むように、恥をかいてみます。
やりますと言っていた俳句です、いよいよはじめました。
いままでずうっと怖くて手を出しませんでした。
夏井いつき先生にお会いして、やりますと約束したので、
専用の手帳を買って、一日一作以上つくることにしました。

最初の最初につくったのは、これでした。
◆「父親の知らぬ桜を八度見し」
季語は桜ですよね、この前にメモしたのは
◆「父親の知らない春をまた知りぬ」
だったのですが、ちょっと体裁を整えたつもりでした。
その次の日には、広島での野球の試合を見ながら。
◆「何糞の外野フライに春の雨」
小林捕手の打った精一杯の外野フライで、巨人が得点。
その直後に、降雨コールドになって引き分け。
小林捕手の個性を知っていると面白いと思うんですが。

無我夢中で五七五音を並べてますが、なにもわかりません。
翌日は、「認知症対策ロボット」の実験に参加しました。
記憶力の減退とか、もう他人事じゃないですからね。
この日もまた、春の雨という状況です。
◆「花曇アルツハイマーの講義聴く」
◆「雨靴が四五人混じるエレベーター」
どうなんだろう、こんなんでいいのか? 
雨靴は季語じゃないような気もしてきたけど。

俳号は、「丼宙」(どんちゅう)と名乗ることにしました。

おまけ
私も俳号をそろそろ考えないと…。
「名前はまだない」と名乗っていたのですが…。
どうも認識してもらえないみたいなので…。
「ずっけろ」にしようかな❓

2024年4月27日土曜日

100分de名著 フロイト「夢判断」(4)無意識の彼岸へ&交通事故

風光る遊び心を伴いて
春を織るハタオリドリの巣組みかな
草を編む無心にセッカ設えん
春の堤日本イタチ反撃へ
子育ては蛇(じゃ)かごの奥で春の川

■100分de名著 フロイト「夢判断」(4)無意識の彼岸へ
ジークムント・フロイト(1856~1939)
とにかく夢はある意味ではわれわれを未来の中へと導いてゆく。
立木(ついき)康介

夢判断の三層構造
3階 夢事象の心理学(第7章)
2階 分析によって裏付けられる「夢作業」を詳論(第6章)
1階 夢分析の実例とその方法を提示(第2章~第5章)

人間の心を「装置」と見立てる
無意識を中心とする心の仕組み・成り立ちを考える心理学
のちにフロイトは「メタ心理学」と呼んだ
メタ(ギリシャ語に由来)背後にある、後に続く、超え出る
意識の背後に通じる心理学
意識の背後に無意識の広大なスペースが広がっている

われわれが夢をみるさいの心的諸過程の中へ
次第に深く入ってゆこうとする瞬間から、
すべての途(みち)は暗黒へ通ずるであろう。
そういった心理学的知識は今のところまだ存在しないからである。
逆にわれわれは新しい仮説をいくつかたてなくてはならないであろう。
心的装置
第一次過程 快原理が支配するプロセス
表象(記憶像/イメージ)

〔満足経験の知覚と、それによって満たされた欲求の刺激との間に〕
確立されたリンクのおかげで、その次にこの欲求が現れるやいなや、
あの〔満足体験の〕知覚の記憶像を再び備給し、
当の知覚そのものを再び呼び起こそうとする。
だから要するに、最初の満足の状況を再確立しようとする、
一つの心的な動きが生じるだろう。そのような動きこそが、
我々が願望と呼んでいるものにほかならない。
知覚の再出現こそが願望充足なのである。
幻覚が満足をもたらす?
記憶像を呼び出して満足しようとする。
第一次過程を修正するシステムが必要になる

心的装置における2つの基本的プロセス
① 「快原理」が支配する第1次過程
② 「現実原理」にコントロールされる第2次過程

満足の記憶に対応する対象が現実の中に存在しているか確認
現実検討

人生の経過とともに快原理よりも現実原理の方が優勢になっていく
これが「心の成長」

抑圧 表象や記憶を意識の外(無意識)に押し出すこと

快原理が現実原理に乗り越えられるプロセスが
自分が生み出した抑圧という概念の根拠

「子どもが火に焼かれる夢」
第7章に登場する息子を亡くした父親が見た夢

父親は二、三時間眠ったのちにこんな夢をみる、
《子どもが自分のベッドの横に立っていて、
彼の腕をつかみ、非難の意をこめて彼に呟きかける、
「お父さん、お父さんには僕が火に焼かれているのがわからないの?」》
父親は目を覚ます。隣室から明るい光がこっちの方へながれてくる。
急いで隣室へいってみると、老人の番人はねむりこんで、
燃えた蝋燭が棺の上に倒れ落ちたために、
経かたびらと片方の腕とが焼けていた。

もしも父親がまず覚めて、亡骸が安置されている部屋へと
実際に彼を赴かせた結論をそのあとに引き出していたとしたら、
彼は子どもの命を、このわずかな時間の分だけ
縮めてしまったことになるだろう。

なぜ父親は夢を見続けたのか❓

父親が夢を見続けた理由
① 息子の姿を見たいという願望
② 眠り続けたい
便宜の夢
目覚めに関わる部分でフロイトの説明には「余白」がある
その余白に踏み込んだのがジャック・ラカン

夢というものが、結局のところ、そのきっかけとなった現実に
これほど近づくことができるのだとすれば、
その現実に応えるために眠りの外へ出る必要などそもそもないではないかー
夢遊病的な行動をとるというやり方もあるのだから。
「精神分析の四基本概念」より 精神分析家ジャック・ラカン(仏1901~1981)

「どうして目覚めたのか」というのがラカンの問い

ラカンが問う眼ざめの理由
フロイトは「その状況の中では夢を見続けたのか」と問いを立てた
「第三の現実」が目覚めさせた

現実界、我々はそれを、夢の彼岸に求めなければならない。
つまり、〔夢の表象〕の背後に、夢が抱き込み、
包み込み、我々に隠してしまったもののなかに求めなければならない。
「精神分析の四基本概念」より 精神分析家ジャック・ラカン(仏1901~1981)

現実界【Le reel(仏語) The real(英語)】
心のメカニズムでは捉えることが不可能な現実

繰り返しぶつかるのでそこに何かがあることは分かるけれど
それが何であるか分からないし乗り越えることもできない
それ(現実界)から逃れるために最後の手段が目覚めだった

フロイトが論じなかった夢
潜在思考のない夢 
プリミティブな情動(不安・恐怖)を発散するためだけに形成される夢
フラッシュバック的な夢
PTSD(心的外傷後ストレス障害)のケースに多い夢
心的装置が掴み損ねた強いエネルギーを
受け止め直そうという試みがフラッシュバック

自分の夢理論にとっては例外

1920年「快原理の彼岸」刊行
1933年の焚書(ふんしょ)でフロイトの著作は焼き捨てられた
(たいした人類の進歩だ これが中世だったら私自身が焼かれていただろう)
1938年(最晩年)ナチスドイツによるオーストリア併合
(ジャン=クロード・ミルネール(1941~)仏の哲学者・言語学者曰く
自分がウィーンを去ってしまったら精神分析の母語が失われると思っていた
精神分析の第一言語がドイツ語じゃなくなってしまう
フロイトがロンドンに亡命した後精神分析の第一言語が英語になった)
1938年6月娘アンナとロンドンに亡命
自由の身で死ぬことがフロイトの夢だった
1939年9月ロンドンで死去

とにかく夢は願望を充たされたものとしてわれわれに示すことによって、
ある意味ではわれわれを未来の中へと導いてゆく。
しかし夢を見ている人間が現在だと思っている未来は、
不壊(ふえ)の願望によって、かの過去の模像として
作りあげられているものなのである。

夢は「過去の模造」なのか❓

夢は見ただけでは過去にしか通じていないが
分析すると未来につながる
精神分析は何のためにするのか
今日までとは違う明日を手に入れにいく

■2024年4月26日
佐古四番町7 ファミリーマート交差点で事故に遭う 
アルファロメオ ジュリエッタにあてられる
三井住友海上火災の担当者やドラレコや東洋自動車さんには感謝!
また、イーデザイン損保の方にも…。
ドラレコが物凄く心強かった。
ドラレコをつけておいて良かった。
事故の画像は衝撃が強かったので即、保存してくれていたらしい。
至れり尽くせりとはまさにこのことだと思った。

2024年4月26日金曜日

ふるさとで一句&家藤正人の俳句道場「桜餅」

確信歩きの大谷さん春日
春の空ライトの選手見送らん
打った瞬間確信持ちて春の空
風光るボールの行方見届けん
春陽やゴジラをも超え通過点

■プレバト纏め 2024年4月25日
第4弾名人・特待生限定「凡人ワード」ふるさとで一句

名人・特待生一斉査定
犬山紙子
生家のこでまり甘やかな退屈
(足して17音になる破調の調べ 構成も考えている
 こでまりのアップから自分の心理の方に入っていく
 両親がいて心遣いに甘える時間である
 映像と心理とのバランスも良い⇩映像の効果が変わる
 陰りのある心が表現されている)
添削 こでまりの生家甘やかな退屈

永世名人 藤本敏史
「乗りますか」ふるさと経由春の雲
(誰のセリフなのか分かりにくい ファンタジーに徹した方が良い
 行きたいのはふるさと 自分の思いはふるさとに向かっている)
添削 ふるさとってゆくかと春の雲

永世名人 千原ジュニア
故郷の苜蓿(もくしゅく)の香は濃かりけり
苜蓿(もくしゅく・うまごやし)春の季語 クローバー・シロツメグサの俗称
(故郷にまっすぐに挑んでいる 褒めるべき
 「は」助詞 故郷のこの苜蓿の匂いは取り出して指さすような
 強調するような働き 「けり」の使い方もちゃんと勉強している
 「けり」の詠嘆 この状態は元々ずっとあったのに今気が付いてみたら
 「濃いじゃないか」ハッと気づくそういう種類の詠嘆 
 見事に使い熟している 福知山に句碑建ててもらいたい)

次回のお題は連休の混雑

■家藤正人の俳句道場
兼題「桜餅」(春の季語)
佳作 桜餅綻ぶ牧野博士かな   ファイトこうにゃん
佳作 マドンナとターナー島と桜餅   朝日雫
(松山の挨拶句「坊っちゃん」に出てくる二つの紹介)
こし餡か粒かで諍うさくらもち   緑由
桜餅漉しか粒かで一論争   達津庵
桜餅葉っぱ食べよか食べまいか   花の首飾り
葉は食む派葉は食はぬ派や桜餅   梅鶏
(食はぬ⇨食(は)まぬor食(く)わぬ)
佳作 桜餅葉が残る皿空の皿   さっちゃんはね
佳作 葉に付く餅と餅に残る葉桜餅   あいむ李景
佳作 指の香と少し塩味桜餅   うふふとおほほ
(嗅覚と味覚を使って表現)
佳作 桜もち彼はコーンも捨てにけり   宮本隆邦
(「も」助詞に工夫がみえる 葉も捨てているに違いないと読める
葉を表現せずに葉の存在を示唆している)
秀作 葉脈のちりつと舌に桜餅   鈴白菜実
(ちりつとという微妙な舌の感覚の表現が良い)
秀作 葉脈は塩田の罅(ひび)さくらもち   細川鮪目(ゆうもく)
(塩田の罅は味覚の比喩 お見事)

▪正人のもったいない
推敲前 新天地ベンチで食べる桜餅   高橋寅次
推敲後 佳作 新天地ベンチで桜餅ふたつ   高橋寅次

もったいないポイントは「食べる」
季語を信じる 桜餅は食べるものだと言わなくても分かる

▪ギュッと特選
桜餅きれいさびとはゆかぬ娑婆(しゃば)   すがりとおる
ポイントは味覚から発想を広げていく
きれイさびとは茶道の言葉で
物静かな世界にもあか抜けたものがあることを言う
意味
私の理想とする世界は「きれいさび」ではあるが
現実に生きる現世は何とも思うようにはいかないことぞという嘆きと
桜餅が上手くかみ合っている

▪次回の兼題は「鮎(あゆ)」夏の季語
鮎は食べるものと同時に生き物でもあるので
生きた鮎を観察するのも俳句作りのヒントになる

2024年4月25日木曜日

理想的本箱 もっとお金が欲しいと思った時に読む本&筆ぐるめ俳句大賞2024募集&「曲水」

風光る自由になった雲と空
失われゆく個性春の筍
菜の花を頂く前にまず写生
亀鳴くや日本文化の根底に
見たきもの伝えたきもの朧月

■理想的本箱 君だけのブックガイド 選
もっとお金が欲しいと思った時読む本

▪贅沢貧乏 著者 森茉莉
空想や夢をいつくしみ抱き続けることが贅沢
石鹸(しゃぼん) 洋盃(コップ) 卓子(テエブル) 
タイユウル(スウツ) ロオブ(ワンピイス)

▪買物絵本 著者 五味太郎
子供を舐めていない 子供を子ども扱いしない
物を買うことで付いて来るいろいろなもの

▪父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の本。
著者 ヤニス・バルファキス

産業革命
18世紀後半イギリスで起こった技術革新に伴う諸変革
多くの工場労働者を生み出した
農作物の余剰ができ経済が生まれた
支配階級が富に偏って格差ができ
その格差は産業革命で拡大した
企業はイノベーションによる競争を強いられ
テクノロジーに縛られている
そして機械(スマホ)に支配されているのかもしれない
カール・マルクス(1818~1883ドイツの思想家・経済学者)は
機械は人間に服従を強いると記している
マトリックス(1999年アメリカで製作されたSFアクション映画)では
機械に乗っ取られた人間が特殊な容器の中でエネルギー源のみとして
生かされている世界を描いた
人はコンピューターが作り出す
仮想現実の中で作り物の人生を送っているんだ
そのことに気付いている人間は殆どいない
さまざまな新しいテクノロジーが登場し
人間の労働力は機会にとって変わられている
良い事もあっただろう だが問題は3つの力が
ものの価格を押し下げ賃金が上がらなくなる
自動化⇨コストダウン
競争⇨価格と利益の抑制
需要が下がる⇨経済の循環は止まり市場社会は崩壊
企業は倒産⇨経済危機が起こる
機械ではなく人間を雇えば人間はお金を循環させ
製品を買う現実に目を向けると
人間性の喪失や労働力の安売りに抗う力が
人間にはあるということだ
世界を公正なあるべき姿にするために考えて欲しい
なぜこんな格差が生まれてしまったのか❓
なぜすべてが金銭的価値に置き換えられるのか❓
重要なのは経済を身近に感じて自分の頭で考えること
そうしないと本当に人間が機械に支配される
世界になってしまうかもしれないからね…。

エピローグより
満足と不満の両方がなければ本物の幸福を得ることはできない
満足によって奴隷になるよりも我々には不満になる自由が必要なのだ

ままならない世界との衝突がその人をつくる

■夏井いつき俳句チャンネル
【投句募集】筆ぐるめ俳句大賞2024春夏のおしらせ♪

昨年の最優秀賞
天道虫母の畑を夫(つま)が継ぎ   でんでん琴女
優秀賞
亀鳴くや指の動かぬバイオリン   くぅ
廃校の春「かみさまに木」のぽつん   大紀直家
犬たちの鼻が潤う春が来た   いくら

締め切り:2024年6月30日(日)

~ 応募方法 ~
応募フォームからの投句。
筆ぐるめをご利用の方が応募できます。

筆ぐるめ公式HP↓
https://fudegurume.jp/campaign/haiku/...

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「曲水(きょくすい)」

曲がる水と書いて何かというとこれは歌を詠む儀式となります
清涼殿に曲がった溝を作りそこに水を流します
その上流からお酒の入った杯を下流に向かって流していく
その溝のそこここに歌を詠む人たちが座っておりまして
その杯が流れてくるまでの間に歌を詠まねばならないという
そういう儀式とのことです
ある意味時間制限付きの即吟に近いものだと考えると
雅やかではありつつファイティングな催しなのかもしれませんね
一度見てみたいものですが実際にこれ申し込みができるようです
京都の「城南宮」や福岡の「太宰府天満宮」では
現在では観覧の申し込みが時期によってできるそうです
足運んでみたいですね

2024年4月24日水曜日

あの本、読みました?~朝井リョウが熱く語る「文庫解説」の魅力

見る人の記憶に触れん桜まじ
普遍性の正体白鳥帰る
行く春や吾への問いかけ今日もまた
風光る色彩選びから形
照り返す春の陽射しを柿の葉が

■あの本、読みました?~朝井リョウが熱く語る「文庫解説」の魅力

▪思い出のエレベーター 辻村深月著 文春文庫
すぐに帰らなかったのは、たぶん、長い受験勉強からの解放感と、
晴れて第一志望だった学校の制服の採寸に来られたという誇らしさー
そして、それゆえに普段ならやらないようなことをやってもいいような
気になった特別感からだ。
日本橋三越はなんていうか、人をそういう気持ちにさせる。

▪「Have a nice day!」 伊坂幸太郎 文春文庫
両親に嘘をつくのにそれほど後ろめたさはなかった。
塾の自習室に行く、であるとか 
別の口実を口にしても良かったかもしれないが、
携帯端末の位置情報を調べられれば、街中にいるのはばれてしまう。
居場所に関しては偽らないほうがいいと判断した。

▪石井一成氏
「時ひらく」装丁の秘密
三越の包装紙は石をモチーフに猪熊源一郎氏が絵にして
当時三越の宣伝部にいたやなせたかし氏がデザインした
「花ひらく」この包装紙自体が既に題名がついていた
それにちなんで「時ひらく」という題名をつけました
辻村深月 伊坂幸太郎 阿川佐和子 恩田陸 柚木麻子 東野圭吾

▪アルジャーノンに花束を〔新版〕の一文 
ダニエル・キイス著 小尾美佐訳
パートわ白いねずみをおりから出して見してくれた。
これわアルジャーノンといってこのめえろげーむを
とてもじょおずにやるそうです。
じゃあどういうふうにやるか見してくださいといった。

1969年の発売以来のロングセラー作品 累計発行部数350万部以上

▪清水直樹氏
初版1959年 再びランクインの理由は❓
けんご小説紹介 https://www.youtube.com/@kengo_book
2023年4月3日投稿
誤字だらけで、まるで用事が書いたような小説
https://www.youtube.com/shorts/rCQLadMgm2Y

氷室京介氏は2枚目のシングルで1stソロアルバムのタイトルにもなっている
「DEAR ALGERNON」
普遍の愛に共感して氷室京介氏は作曲したのではないか❓

現在の時代は東野圭吾氏が共感。

▪変な家 文庫版 雨穴著 
あなたは、この家の異常さが分かるだろうか。
おそらく、一見しただけでは、ごくありふれた民家に見えるだろう。
しかし、注意深くすみずみまで見ると、家中そこかしこに、
奇妙な違和感が存在することに気づく。
その違和感が重なり、やがて一つの「事実」に結びつく。
それはあまりに恐ろしく、決して信じたくない事実である。

▪杉山茂勲(しげのり)
「変な家」誕生のきっかけ
You-Tubeが先に存在していた。
雨穴氏が先に動画をUPされていた。
情熱が先走り、見終わって10分後には雨穴氏へメールをしていた。

ENGLISH SUB 【A STRANGE HOUSE~Mysterious Story of ...
YouTube·雨穴
https://www.youtube.com/watch?v=CBIL0eAwDs8

他のホラー作品との違いは❓
7歳8歳の子どもから80歳台の方までの読書はがきが届く。

▪本の名脇役~文庫解説を読まないのはもったいない~
朝井リョウ氏 竹村優子さん

解説
文庫本の巻末についているその本の著者でない人物が
作品や作家をさまざまな角度から論じている
あとがき
小説のテーマや著者が伝えたいメッセージを念押しして
印象付けたり著者の本音を書くなど小説を書き終えた感想

鈴木保奈美女史は辻村深月「傲慢と善良」の解説が
印象に残っているという。

文庫解説というのは、ヘビーだ。
いま俎上に載せたいのは、
ここに今からどんな文章を書くのかという
執筆者としてのヘビーさではない。
自分がその文庫本の著者であるとき、
一体誰に開設を頼むのかという
依頼者としてのヘビーさである。

解説にガイドまで記してある。

朝井リョウ氏は文庫解説を頑張っていることと
個人事業主であることを人から言われたいと…。
辻村葉月著「光待つ場所へ」で初めて文庫解説した。
そのとき解説を勘違いし感想を記してしまった。
もう二度と書かせては貰えないと思っていた時に
「傲慢と善良」で書かせて貰える機会を得、リベンジさせて貰えた。

▪朝井リョウの作家論
自分なりに作家論とはどういう流れの中でこの作品が書かれたか❓
その作品から読み取れる作家の特徴をいくつか抽出して書きたい気持ちと
この作品が好きならこの作品も良いですよという推薦を書いている。
この3段構成を用意するようにはしている。

じっと手を見る 窪身澄著
朝井リョウに文庫解説を依頼した理由は❓
「デビュー作にはその作家のすべてが詰まっている」
というのはよく聞く話だ。
だが、窪美澄という作家に限っては、どの作品からも
「すべてが詰まっている」と思わせられる凄みがある。
常に出し惜しみせず、もう一滴も滲まないというところまで
心を振り絞って書いているー 本人に笑われて
しまうかもしれないが、読むたび勝手に、そんな印象を抱く。

文庫解説 依頼書くことどっちが大変?

▪「去年の雪」江國香織著 文庫解説秘話 凪良ゆう
若い頃から江國香織氏に憧れていたのでその気持ちを素直の
綴ったらラブレターみたいになってしまったという…。
ご本人からありがとうと言って貰え良い思い出になりました。

わたしたちは人生や出会いに意味や法則を探しがちだけれど、
命そのものには何ら意味もないのだろう。
それはただ在るもので、どこともしれない場所で生まれ、
ひらひらと此(し)岸と彼岸を行き来する。
そのあわいにわたしたちのささやかな営みがある。
日々の喜びも悲しみも苦しみも、いつかは儚く消えていく。
江國さんの筆はそれをあるがままにやわらかく描き出す。
その豊かさと深さといったらー。

▪文庫解説で気を付けていること
▪印象に残ている文語解説
アンソーシャルディスタンス 金原ひとみ著
単行本の時からだれが文庫解説を書くのかと見届けたいと思っていた。
有難い事に自分に依頼があったので思う存分金原ひとみ論を記した。
初めて金原ひとみを読む人に読んで欲しいと…。

著者の作品を読んでいると、広く大きなテーマほど、
視野の狭い一人称で描き切るべきだと痛感する。
手のひら全体で押すよりも一本指を指し込んだ方が
地面を深く掘れるように、「この問題には立場によって様々な意見
があります」よりも「只中にいる人間にはこんな景色が見えています」
のほうが、読み手の心臓の奥まで届くのだ。

▪平野啓一郎氏も金原ひとみの文庫解説を記していた。
パリの砂漠、東京の蜃気楼 金原ひとみ著

私は、あまりこういった文庫解説で自分の話を書くことがない。
それは、作者の作品に興味のある読者にとって、
解説者の事情など関心の対象外だろうと思うからで、
普段は出来るだけ、分析のアプローチを工夫するようにしている。
ところが、本書に限ってはそうした作品との距離をうまく摑めず、
語ろうとすると端から言葉が自分の話に癒着してしまう。

▪平野啓一郎の文庫に解説がない理由
▪編集者が印象に残った文庫解説は❓
蜜蜂を遠雷 恩田陸著
著者と25年の付き合いのある文庫編集者が記した。
生々しい舞台裏から綴られていた。
10年間寄り添いつづけ記されていた。

2024年4月23日火曜日

100分de名著 フロイト「夢判断」(3)エディプス・コンプレックスの発見

花曇エンジン載せたグライダー
春かなし不確実かつ不安定
花筏ゆるりゆるりと風まかせ
春風や町のケーキ屋またひとつ
風光る成瀬一本取りに行く

■100分de名著 フロイト「夢判断」(3)エディプス・コンプレックスの発見
ジークムント・フロイト 立木(ついき)康介
エディプス・コンプレックス
男児が無意識のうちに母親に愛着を持ち
自分と同性である父に敵意を抱くことで発生する複雑な感情。
父と知らずに父を殺害し、聖母と結婚した
ギリシャ神話のオイディプスにちなんでフロイトが提唱した用語。
「広辞苑」第7版より

劣等コンプレックス 心理学者アルフレッド・アドラーーが提唱
コンプレックス 複合的なもの・複合体(情動の複合体)
夢の研究の中でエディプス・コンプレックスという概念が出てきた

テーバイの王 ライオス 王妃 イオカステ
生まれてくる子は父を殺すだろうという神託を受けたので
直ちに捨てた
コリントス国王夫妻に拾われた子はエディプスと名付けられた。
立派に育ったエディプスに神託が下りました。
いずれ父を殺し、母を娶るだろうから故郷を避けよ
城を即座にでたエディプスはライオスを殺す
怪獣スフィンクスに投げかけられた謎を解くと
イオカステと結婚 悪疫(悪性の流行病)を治めるための神託を乞うと
ライオス殺しの犯人をテーバイから追放すれば悪疫は止むだろう

フロイトの解釈
ひょっとすると、我々の誰もが、
最初の性的な心の動きを母親に向け、
最初の憎しみと残忍な願望を父親に向けるべく
定められていたのかもしれない。
我々が見る夢は、そのことを我々に得心させてくれる。
父ライオスを打ち殺し、母イオカステを娶ったエディプス王は、
我々の幼年時代の願望充足にすぎないのである。

普遍的なエディプス王の運命
「夢判断」ではシェイクスピアの「ハムレット」も参照される。
「源氏物語」の主人公・光源氏は義理の母である藤壺の宮と密通

人間関係の基本~エディプス理論
幼児期のセクシュアリティの発達の頂点
二次性徴
性と心のバランスが一番おかしいのは「中2」
幼児期のセクシュアリティとは❓
狭い意味で「セクシャリティ」という言葉をフロイトは使っていない
人間的な関係を築いていけるようになると
身体を手に入れるのに必要なこと
空腹が満たされると満足感を背景に唇自体に快感が生まれる
唇の快楽を再現するために空腹でなくても乳房を求める
口づけまで到達する

「性理論三篇」(1905年刊行)
セクシュアリティをテーマにした著作

エディプス理論への批判
「男の子モデル」優先
「夢判断」から25年後の論文で
男女のエディプス・コンプレックスの非対称性を理論化
シスジェンダー 性自認と出生時の性別が一致している人や状態
エディプス・コンプレックスが幼児のセクシャリティを
方向付けることを規範・標準型と見ることは難しくなってくる
フロイトはセクシュアリティの基本形は
アナーキー(無法・無秩序)だと思っていた
フロイトは性的多様性の支持者だった
多形性倒錯

〔性器外の性的満足を倒錯として禁じること〕のうちに表明されている、
万人が同じ種類の性生活を送らねばならないとする要求は、
人間の生得的・後天的な性的体質の不平等を飛び越してしまっており、
かなりの数の人々から性的享楽〔の可能性〕を奪うことで、
甚大な不公平の源泉になる。
1930年出版「文化の中の居心地悪さ」より

両性性 バイセクシュアリティ
異性愛者 ヘテロセクシャル
エディプス・コンプレックスと向き合う(人生最大の課題)
エディプス・コンプレックスはおぞましいもの
精神分析はおぞましき樹海を這いずり回るプロセス
エディプス・コンプレックスから解放することが重要

「ヒステリー研究」(1895年刊行)
運命的な惨めさをありふれた不幸に変えることだ
運命的だと思っていた症状の惨めさが
ありふれた不幸の変われば自分で対処できる

50歳の記念に弟子からメダルが送られた
表にはフロイトの肖像 
裏にはスフィンクスに対峙するエディプスの姿と
エディプス王の作者ソポクレスの言葉が添えられていました
「名高き謎を解き大いに権勢を誇りし者」
このメダルを渡されたフロイトは青ざめた
誰がこんなことを思いついたのか❓

「夢」の実現に怯えたフロイト
自分の願望が不意に目の前で実現されると人間は感激せず怯える
ある種の願望は夢の中だけで充足しておくのが良いのかもしれない

2024年4月22日月曜日

兼題「菜の花」&題「アクセサリー」

赫赫(かくかく)と春陽新芽へ降り注ぐ
真実を見極め動く春の空
観察を重ね重ねて春の色
究極の真実見抜く春の月
春光や(74年間)眠り続けた雲と空

■NHK俳句 兼題「菜の花」
選者 木暮陶句郎(こぐれとうくろう) ゲスト 益子直美 司会 柴田英嗣
年間テーマ「器に季語を盛る」
陶句郎さんの器に季語から発想した料理を盛り
季語の新たな一面を発見する試み

群馬県渋川市伊香保町在住 O型 てんびん座
1961年10月21日生まれ62歳 身長170㎝弱
明治時代に伊香保焼きがあったのですが
途絶えてしまいました。
陶句郎さんが独自に研究を重ね復活させた。
現在、伊香保焼きは陶句郎さんしか焼いていません。
伊香保焼きを受け継いだのは陶句郎さんです。

菜の花の名句
菜の花や月は東に日は西に   与謝蕪村
地球という器に菜の花という季語を盛り込んだ壮大なスケールの俳句
太陽が沈みかけて反対側から月が昇ってきているという瞬間を詠んでいる
満月なんです。反対側から太陽が月を照らしている
天文学を意識して直感的にこの句を詠んだ
この句は250年前の句 日本には地動説が伝わっていなかった

菜の花の「野」のイメージ 
流れる雲の影や青空をイメージしつつ
筆を動かしこの器ができました

今回の器にはみずみずしい月が表現されていましたが、
菜の花は盛られていませんでした。
しかし菜の花の映像が脳裏に表れました。
嗅覚や味覚から触発されて出てきました
そんな季語の見つけ方もあります

▪特選六句発表 兼題「菜の花」
菜の花やダンプは土をこぼしつつ   平山仁彦(きみひこ)
菜の花の角を曲がって同棲す   旅音(たびね)にこ
(新しい景色というのは「菜の花のような明るい未来」)
一輪の菜の花に笑むオートマタ   生野浩久
(オートマタとは自動人形 
菜の花を一輪添えたことによってオートマタがほほ笑んだ
メルヘンの世界 俳句はここまで言っていい)
傷心の日や菜の花の真つ盛り   君島忍
(一番悲しい日 菜の花の明るさに耐えられない
あの時の傷心が癒えない 菜の花をいつも見ている
勇気づけられるとかえって辛い)
退職の空の青さや花菜風(はななかぜ)   佐藤実
(退職した淋しさと華々しさを応援してくれている)
菜の花の蕾の中の水の玉   三日月なな子
(「の」が5つある 「の」の丸みが水の玉に見える)

▪俳句やろうぜ 黒岩徳将
ネクスト俳人 俳句マニア大学生 藤井万里
花束に底なかりけり鳥の恋   藤井万里

▪益子直美さんに一句詠んでもらいました
菜の花と代表を誓う背比べ   益子直美
添削(読み手に想像する部分を残す)
菜の花と夢を語りて背比べ

▪特選三席 兼題「菜の花」
一席 口笛のかすれつぱなし花菜風   小熊なが子
(中七に情が込められている子の練習を見守る母へエールの風)
二席 菜の花やあだ名の決まる帰り道   水蜜桃
(本人も満足したあだ名だと想像できる)
三席 歯ごたえはジャズ菜の花の辛子和(からしあえ)   二木雅弘
(切れとジャスの雰囲気があっている)

▪柴田の歩み
名前も作品

■NHK短歌 題「アクセサリー」
選者 大森静佳 ゲスト 植本一子 司会 尾崎世界観
年間テーマ「❝ものがたり❞の深みへ」

自分の考えていることが定型とせめぎ合うことで深められる
アクセサリーとは約束の証だったり元々あるイメージが強い
自分だけの❝ものがたり❞とか具体がいい働きをするテーマ

イヤリング垂らせば夜の両耳に祖母の聴きたる雨音が鳴る
大森静佳

▪歌に❝ものがたり❞あり
入選九首 テーマ「アクセサリー」
実家へと赴く白いブラウスの心臓としてレッドオニキス
伊島笑美
宴会のたびにタイピンなくしても若草山に星はかがやく
和田康
三席 ネックレスを作業着の下に光らせて野田さんは今日も怒られている
田中佳(よし)
主なき棺(ひつぎ)の出土図勾玉(まがたま)の散らばるあたりが胸だとわかる
久藤さえ
バス停の瞳見つけて手を上げるピアスも指輪もつけない人に
えんりこ
一席 私 銀色のピアスを真珠に付け替える人のかたちの兄に会うため
水須ゆき子
大好きなピアスだったよあなたからもらったからじゃなくて色とか
大野博司
二席 アジャスターチェーンゆっくり緩めつつ月は夜空に居場所をさがす
山崎杜人(もりと)
数珠玉で母と作った首飾り握りしめてた防空壕に
橋本美知子

▪ものがたりの深みへ
フェルメール 真珠の耳飾りの少女

植本一子
目にひきつけられた
生身の人間と同じように撮る
振り返りを撮りたかった
若いエネルギーを感じた

大森静佳
ふたつめの真珠を唇(くち)に光らせてきみがわたしを呼びやまぬ春
下唇の反射が気に入っている
1990年の修復でよみがえった輝き

写真も短歌も一瞬を切り取るという言われ方をします
一瞬の前後にちゃんと時間が流れている
植本一子さんの写真も光で被写体を包むみたいな感じを受けています
短歌には光は無いけれど言葉やリズムが絡み合って時間が流れている
それがものがたりっていうことなのかな❓
一瞬の中に前後まで見えてくるように思います

植本一子
下北沢で「天然スタジオ」一般家庭向けの写真館をしています
https://tennenstudio.tumblr.com/about
1年に1回写真を撮りに来てくれている人がいます
家庭の日に写真を通して関われることがすごくありがたい
けう(希有)な仕事だと思っています

▪ことばのバトン
しばし眠って春を待ちます
日本女子大学短歌会 竹田紗紀子

暖かな風とスカートたわむれて
高橋花歩
放課後の部屋は僕らの秘密基地お菓子も笑いも悩みもここで
たくさんの行事がコロナで消えたって関係ないね好きだよみんな

2024年4月21日日曜日

ショーペンハウエル&理想的本箱&福島正則

韻を踏むだけの辞書あり石鹸玉(しゃぼんだま)
勝浦の桜吹雪を人力車
雅やか百種の牡丹神宮寺
ピント合う絵顔満開桜舞う
沈黙と無関心鳥雲に入る

■読書について ショーペンハウエル~世界的名著に
思索 まとめ
・知識は量ではなく、どれだけ考え抜かれたかで価値が決まる。
・読者は他人の思想が自分の精神に入り込む行為である
・無目的な多読は自らの思想を追放してしまう行為である。
・自分の頭で考え抜いた仮説を補う手段として書籍に頼る。
・施策を巡らし、得られた思想は、記録しつなぎとめる。

読書について まとめ
・悪所は読まず、良書を読む。
・悪所の多読は避ける。なお良書の多読は問題ない。
・書籍から多く学ぶために思想体系を構築する。
・良書は必ず2回続けて読む。
・ギリシャ・ローマの古典にチャレンジする。

参照:【15分解説】読書について|ショウペンハウエル ~世界的名著に学ぶ最高の読書術~
https://www.youtube.com/watch?v=DZiUk0Gw1gY

■理想的本箱 君だけのブックガイド「時間に追われている時に読む本」
▪時間のかかる読書 著者 宮沢章夫
「機械」1931年出版 新感覚派の小説家 横光利一の代表作の一つ
1時間で読める短編を15年間かけて読んだ記録
遅い読書ゆえ見えてくるもの 辿り着ける場所がある
「なかなか読み出さない」「できるだけ長いあいだ読み続ける」
1997年4月連載第1回 「配膳」「漆喰」ではだめ
1997年5月連載第2回 「Machine」
1997年6月連載第3回 「サッカー」「野球」「競技人口」「相撲」
一九九七年八月連載第五回 
「初めの間は私は私の家の主人が狂人ではないかとときどき思った」
2003年連載第74回 連載開始から6年 「私」「軽部」「市役所」
「ネームプレート」「屋敷」判然としない時間
さらに5年後 
2008年5月連載第131回 「あるとき」「私」いつ?どこに?
「読むことの停滞」「ぐずぐずすることの素晴らしさ」
時間のかかる読書 大きな価値を得ているのに違いない

非効率・非生産性・非合理性の面白さを清々しく伝えてくれる一冊
これは人間ならではないか?

▪まばたき 穂村弘作 酒井駒子絵
一瞬に永遠があるのではないか❓
一瞬と一生が一冊の中で美しく溶け合う不思議な絵本
しーん カチッ はっ ちゃぽん 「みつあみちゃん」

▪百年と一日 著者 柴崎友香
一年一組一番と二組一番は、長雨の夏に渡り廊下のそばの
うえこみできのこを発見し、卒業して二年後に再開したあと、
十年経って、二十年経って、まだ会えていない話

一日の出来事が百年先の何かと繋がる静かな「縁」の短編集
百年と一日

商店街のメニュー図解を並べた古びた喫茶店は、店主が
学生時代に通ったジャズ喫茶を理想として
開店し、三十年近く営業して閉店した。

スケールの大きな長編小説 小さな作品集と呼べる本。

■偉人・敗北からの教訓 第40回「福島正則・豊臣家を守れなかった猛将」
福島正則 敗北の伏線
・相手の本心を見抜くのは難しい
・騙された時の準備を怠らぬように

福島正則 敗北の瞬間
・信頼した人同士が争った時 どちらか一方を捨てる勇気も必要

尾関右衛門太郎宛書状 現代語訳
今度のことは私が年をとったせいで不慮の事態となり
皆々まで気遣いをさせてしまい面目ない

1624年 副島正則 死去 享年64

晩年の正則の言葉
・我は弓なり乱世の用なり今治世なれば川中島の土蔵に入らるるなり

福島正則の敗北から学ぶ教訓
・たとえ目の前のことに追われても最大の目的を見失うべからず

2024年4月20日土曜日

司馬遼太郎・菜の花忌シンポジウム 街道をゆく

地獄見る覚悟はあらぬ春の空
ほど遠い明鏡止水春の夢
抗いがたき運命孕雀(はらみすずめ)
堕落こそ運命なり春の夕焼け
亀鳴くや人は堕落する生き物

■司馬遼太郎・菜の花忌シンポジウム 街道をゆく
語り 古屋和雄 パネラー 今村翔吾 岸本葉子 磯田道史
第27回菜の花忌シンポジウム 2024年2月12日
東京 文京シビックホールにて開催。

シンポジウムのテーマは、「『街道をゆく』―過去から未来へ」。
国際日本文化研究センター教授の磯田道史氏と
作家の今村翔吾氏と
エッセイストの岸本葉子氏が
元NHKアナウンサーで文化外国語専門学校校長の古屋和雄氏の司会で、
『街道をゆく』が過去から現在、
そして未来へどのように読み継がれてゆくのか、を話し合った。

今村翔吾氏
街道をゆくは小説とのリンクを僕は小説家なので常に感じている
岸本葉子氏
人の書かれた歴史に司馬さんは強い感銘を受け興味を持ったんだと思う
磯田道史氏
僕が残したもので最後まで残るものは街道がゆくだと彼は言っています 司馬さん

司馬さんのメッセージを読み解く
司馬遼太郎・菜の花忌 街道をゆく ~過去から未来へ~

磯田道史氏は司馬の作品を
海外・古い核・エスニシティの境目・日本を変える境目に分類している

「私にとっての旅」より抜粋
人間という痛ましくもあり、しばしば滑稽でまれに荘厳でもある
自分自身を見つけるには、書斎で思案しているだけではどうにもならない。
地域によって時代によってさまざまな変容を遂げている
自分自身に出遭うには、そこにかつて居たあるいは現在もいる
山川草木の中に分け入って、ともかくも立って見ねばならない。
たとえ廃墟になっていて一塊の土くれしかなくても、
その場所にしかない天があり、風のにおいがあるかぎり、
かつて構築されたすばらしい文化を見ることができるし、
その文化にくるまって、車馬を走らせていたかぼそげな権力者、
粟粥の鍋の下に薪を入れ込んでいた農婦、村の道を歩くむすめ、
そのむすめに妻問いの手続きを考え込んでいる若者、
彼女や彼を拘束している村落共有の倫理といった、
動き続ける景色を見ることができる。

今村翔吾氏は滋賀県湖西の安曇川町(現:高島市)でダンス教室をしていた。
「湖西のみち」へは毎週行っていた。
司馬氏は風をとり入れて文章の中に封印している

「街道をゆく・湖西のみち」より抜粋
「近江」というこのあわあわとした国名を口ずさむだけでもう、
私には詩がはじまっているほど、この国が好きである。

司馬の口ぐせ 「愉快である」
五感を開いてその場に立っている 
言葉の営みを通しても感じようとしている

竹内街道 甲州街道 葛城みち 長州路 韓のくに紀行
陸奥 備薩 河内みち 甲賀と伊賀のみち 大和・壷坂みち
を経て73年11月にモンゴルに立った

モンゴルでは 草原 動物 遊牧民が描かれている
少年の心にかえってたくさんの体験を重ねる
ゴビ砂漠は良質のオリーブオイルのような香りで覆われていた
ツェベックマさん モンゴルで現地通訳・ガイドを務めた女性
小説「草原の記」でその半生が描かれる
「周縁」部に生きた人間 考えられない流転を経験
人に書かれた歴史 司馬は強い感銘を受け興味を持った

オホーツク人 北海道のオホーツク海沿岸などに暮らした民族
糸満の漁師 沖縄本島の南端・糸満地域を拠点とした漁師たち

司馬の中に無意識の塊を作る 薫習(くんじゅう)
それが我々を感動させる

小説を書くというのは空気の中から水を取り出すようなもの

第一回新潮日本文学大賞文芸部門 受賞の言葉より抜粋
私は十代の終わり、モンゴル語を学んで、ほぼ化石になりかけた
この言葉のことを思うと、さびしくなることがあった。
そういうとき、しばしばバスクを思った。
ピレネー山脈に孤立しているこの謎深い少数民族の言語が
モンゴル語系だという説が当時流れた。
バスクはフランスやスペインでは陋劣(ろうれつ)な印象を
一般的にもたれているが、当時の私には銀色の星のように思われた。
そのころ、日本の最初にキリスト教をもたらした
フランシスコ・ザビエルが生粋のバスク人であることを知り、
自分の感情に引き込まれていくような思いがした。
街道をゆく(南蛮のみち)は、そういう感情のながれを綴ったものである。

みどりさん(司馬さんの妻)と余呉湖(よごこ)で
デートをした際ずっとバスクの話をしていたか…。

司馬さんは私たちに何を訴えるのか❓
文明と文化の違いを踏まえながら考えていく

バスクへの尽きぬ回想より抜粋
「多数者には文明しかない。少数者には、びっしり文化が詰まっている」
ここで仮に定義しておこう。文明とは普遍的なもの、
そして文化とは特異なもの、不合理なもの、更には
それなしでは人間の心の安定がえられないもの。
大民族が威張り返っている十九世紀、二十世紀前半までは、
バスク人は少数者としてまことにつつましかった。
しかし、いまはちがう。
二十一世紀では、普遍的文明は世界を覆うだろう。
普遍的慣習の世界化とか、英語などの共通語化とか、
そういうことが高まるだろう。
ただし、一方で、その傾向に背を向けて、
少数者が激しく自己主張し、ときにバクダンを投げつけて
自己の存在を示そうとする時代が来るにちがいない。
人類は普遍性の便利さを享受(きょうじゅ)する一方、
特殊性を声高く叫ぶことに精神の安寧を感じる時代が
きそうだということである。

消火器としゃちほこ 意味の連環

僕が遺したもので最後まで残るものは街道をゆく
と司馬は言っています
失われたものを拾いに出かける最後のチャンスかもしれない

胞衣(えな 産後の胎盤・へその緒など)の扱いも昭和30年ですっかり変化した
日本人らしさが失われている時代
文明なのに文化の顔してやってくる
軌道に乗らない人が増えている

関西で今村翔吾さんは本屋を営んでいる
本屋がなくなるのは嫌だから感情論でやっている。
未来の子どもたちにバトンをつなぐために
書店というものの研究を実地で行っている状態です。
本屋さんが好きだからやる!夢中になれるからやる!これが大事。
世の中に求められるものではなく
あなた自身が面白いと思うもので生きる。
好きに生きて行ってください。
今村翔吾さん
本物に触れる 幼稚園生に「街道をゆく」を読ませてほしい
岸本葉子さん
まず読んで欲しい。スマホを持たないで歩いて欲しい。
その場に立って欲しい。風の匂いを感じて欲しい。
磯田道史さん
「万巻の書を読み万里の路を行く」
中国の書画家・董其昌(とうきしょう)の言葉 日本では富岡鉄斎が実践
日本という島に生を受けた以上、行くべき。
あなた自身の街道をゆくをつくる 心の中にリアルに描いて欲しい

司馬遼太郎氏が阪神大震災の被災者に記した文章
世界にただ一つの神戸 なにか、励ませ、という。
そんな電話が「神戸っ子」の大谷さんからかかってきたとき、
その声に、雄々思いがした。
当方は大阪にいて、連日、神戸の惨禍の報道に浸かっていて
自分が被災者でないことが申し訳ないという気持ちでいたときに、
そんな電話がかかってきた。
家族をなくしたり、家をうしなったり、途方に暮れる状態でありながら、
ひとびとは平常の表情をうしなわず、たがいにたすけあい
わずかな救援に、救援者が恥じ入るほどに感謝をする。
そういう人が多かった。
神戸に、自立した市民を感じた。世界の他の都市なら、
パニックにおちいっても当然なのに神戸の市民はそうではなかった。
無用に行政を罵(ののし)る人も、まれだった。
行政という「他者」の立場が、市民にはよくわかっていて、
むりもないと考える容量が、
焼けあとの中のひとびとにあるという証拠だった。
この精神は、市民の個々がくらしを回復して行くことにも、
きっと役立つにちがいない。
神戸。あの美しくて、歩いているだけで気分のよかった神戸が、
こんどはいっそう美しく回復するうえで、
この精神は基本財産として役立つに相違ない。
神戸。私はつぶやきつづけている。
やさしい心根の上に立った美しい神戸が、
世界にただ一つの神戸が、
きっとこの灰燼(かいじん)の中からうまれてくる
司馬遼太郎

2024年4月19日金曜日

ブランコで一句&ラッセル「怠惰への讃歌」&お釈迦様の「自死」

風車揺れるネモフィラ石畳
春の空スリップインの靴擦れよ
春の泥仏の道に背く人
ごちゃまぜに誘い誘われ春の色
芝桜小さき命の集まりて

■プレバト纏め 2024年4月18日
ブランコで一句

特別永世名人 締めのお手本 梅沢富美男
廃校のブランコは夜に揺れており
添削(光景を想像できるのは素晴らしい 
   助詞の操作で恐ろしさは表現できる)
廃校のぶらんこ夜揺れており
廃校ぶらんこ揺すりおり

永世名人への昇格試験 森口瑤子
ふわっとふらここ水平になる手前
(ふらここは季語 ぶらんこの古語 体感的描写が素晴らしい
 ふらこことは傍題 季語の仲間のようなもの
 微妙な位置のリアリティー 皆が体幹を共有することができる)

1位 蓮見翔
故郷と同じ遊具や春の風
(故郷は凡人ワード 
 この故郷は皆の想いの象徴として陳腐になっていない
 具体的なブランコと書かないっていうのも呼応している
 書くと感動が一人一人のものにならない これも意図してやっている
 早々に一回来て まぐれなのか本物なのか この目で確かめたい)

2位 二階堂高嗣
初虹や背中を押され漕ぐ子供
(ブランコと書かないでブランコだとわかる描写に挑戦した)

3位 近藤千尋
小さな手わが背推したる春の暮
添削(手と背の位置関係・動きがはっきりする 
   映像と心情を重ねたいを上手くやっている)
小さわが背せる春の暮れ

4位 南果歩
ブランコと母待つ夕暮れ花吹雪
添削(季重なり 中八になっている 
   ブランコを弱くし花吹雪を強くする
   もしくはブランコを擬人化し花吹雪は削除する)
ブランコ母待つ夕花吹雪
ブランコと母待つ夕暮れ一人

5位 水田信二
子らが去り未だ明るし遅日かな
添削(遅日という季語の中に入っている情報を説明しているだけの句)
公園の子らが去りたる遅日かな

次回のお題は「ふるさと」

■【名著】怠惰への讃歌|
ラッセル 幸福と成功を呼ぶ、「怠け癖」のすすめ 
~20世紀最大の知性ラッセルに学ぶ、怠惰の思想~
https://www.youtube.com/watch?v=g6aWqt4SkqE

ユークリッドとは、古代ギリシャの数学者であり、
『ユークリッドの原論』を執筆したことで知られています。
この著作は、現在の数学の礎となった重要な著作であり、
数学の発展に大きな影響を与えました。
また、ユークリッドは、互除法を発見したことでも知られています。
互除法は、2つの自然数の最大公約数を求める方法の一つであり、
現在でも広く使われています。
ラッセルはこの著作を読み生きられたとか…。

英語の「スクール」(school)=学校 という言葉の語源は
古代ギリシャ語の「スコレー」(σχολή)=「暇」

■お釈迦さまは、自死を選んだ人に対して、こうおっしゃいました。
「涅槃(ねはん)に入られた」と。
それはつまり、永遠の悟りの境地に入ったということ。
死を迎えることによって肉体は痛みがなくなるわけですから、
究極の安楽の状態に入ったと表現されました。

そう、実は仏教では、さまざまな事情や動機によっては、
自死に対して必ずしもだめだという表現をしていないのです。

2024年4月18日木曜日

ワルイコあつまれ(83)糸井重里氏&田丸雅智杯結果発表【前編】

春の空推し活する人される人
推し活の経済効果や風光る
白檀のかすかな香り春座敷
桜蘂降るけふのナビ寡黙なり
ドラレコのつける点数花の雨

■ワルイコあつまれ(83)
ゲスト コピーライター 糸井重里氏

おいしい生活。(百貨店広告) くうねるあそぶ(自動車広告)
サラリーマンという仕事はありません。(求人広告)
生きろ。(映画「もののけ姫」) 
トンネルのむこうは、不思議の町でした。(映画「千と千尋の神隠し」)

作詞家 ゲームクリエーター タレント マルチに活躍

TOKIO/沢田研二(1980)
東京がそろそろ注目されていいんじゃない?と思って作詞した。
発売日は1980年1月1日 
日付が変わると同時にテレビで初披露した
当時沢田研二さんはトップ中のトップの存在だった。
お化粧してでたり「ジュリー」とよばれ 
お話の中の人みたいだった
衣装に関しては糸井氏はやりすぎだよ!と思った。
ふろしきみたいなものをかけてマネしてたみたい

文字で作詞するというより絵を思い浮かべた
少しずつ絵を描いていくように字を書いていった
糸井氏は漫画家になりたかったとか…。
すべての原点は漫画(頭の中に浮かぶ絵が詞となる)

最初の部分を作詞するときは
古舘伊知郎さんのアナウンスのように盛りに盛った
短い言葉を使うのはもともとの仕事なので
短い言葉で切っても通じるように意識して書いた
今ある街っていうよりはワクワクするものを足した街
スーパーは「超えてる」ってことだから盛りまくりです

歌を作るっていうのは
どんなデタラメなことでも言っていいんだよ
おさるが火を吹いてもいいし 
ぶたが空を飛んでもいいし
きみたちが詞を書きたいとき 
やりたいこと みんな書いちゃいなよ
夜見る夢にルールないじゃないですか
(作詞にルールはない なんでもやっちゃえ)

そういうものがあると思って海を見たら
ネオンがキラキラした光に見える
最初のフレーズで盛りに盛ったところを逆に
「さみしいね」って感じを書いてる
光の泡だから(消えちゃうので)むなしいね
「はなやかなものが消えちゃう」ことを
大人は経験する
どんなにさかえているものでも いずれなくなっちゃう
東京のにぎやかさの中に そういうものが後ろ側にある
(はなやかさの裏にはきっとさびしさが)
「明日はいいことあるよ」って言ってやりたい

糸井先生が作詞するときに心掛けていることは❓
友だちが歌ってくれたりするとうれしい
親しい人に「おまえいい歌詞書くな」と言われたり
カラオケで歌ってくれるみたいな
できあがり図から逆算してる気がします

作詞:糸井重里 作曲:加瀬邦彦 歌:沢田研二

空を飛ぶ 街が飛ぶ
雲を突きぬけ星になる
火を吹いて 闇を裂き
スーパーシティが舞いあがる
TOKIO TOKIOが二人を抱いたまま
TOKIO TOKIOが空を飛ぶ
海に浮かんだ 光の泡だと
おまえは言ってたね
見つめてると 死にそうだと
くわえ煙草で涙おとした
TOKIO やさしい女が眠る街
TOKIO TOKIOは夜に飛ぶ

欲しいなら何もかも
その手にできるよ A TO Z
夢を飼う恋人に
奇跡をうみだすスーパーシティー
TOKIO 哀しい男が吠える街
TOKIO TOKIOが星になる
霧にけむった 不思議な街に
あやしい胸さわぎ
やすらぎ 知らない遊園地が
スイッチひとつで
まっ赤に燃えあがる
TOKIO やさしい女が眠る街
TOKIO TOKIOが空を飛ぶ

TOKIO TOKIOが二人を抱いたまま
TOKIO TOKIOが空を飛ぶ

TOKIO やさしい女が眠る街
TOKIO TOKIOが空を飛ぶ

TOKIO TOKIOが二人を抱いたまま
TOKIO TOKIOが星になる

糸井重里さん ありがとうございました!

■夏井いつき俳句チャンネル
田丸雅智杯結果発表!【前編】

風花や傘を迎えに行く朝の   かどくま
退院の傘引き取って雪催   Y.イノウエ
無影灯射す傘の骨雪催   しゅん公
飛花落花今度の傘は風に耐ふ   宇佐美好子
治療費は木の葉どんぐり雨傘科   空木花風
代金は季節の虹を七日分   村瀬ふみや
茶碗科の新規開院山笑ふ   城ケ崎文椛
金星に日傘科のある九月かな   髙田祥聖
取り違えられて四年目片時雨   歯科衛生子
春雨を聴く会人間もどうぞ   苫野とまや

2024年4月17日水曜日

あの本、読みました?万城目学

情報に日々踊らされ花の冷え
深蒼の鳴門若布やぬしぬしと
赤貝と春菊の香をききながら
百千鳥波のうねりと競ふ声
木蓮や母と別れた時を咲く

■あの本、読みました?~祝!本屋大賞「成瀬は天下を…」秘話&直木賞・万城目学
▪小説単行本 売り上げランキング 6位
構想・執筆に10年かけた大作
spring 恩田陸
「俺は世界を戦慄せしめているか?」
十五歳のバレエダンサー・春
情熱がぶつかりあい それぞれの人生が交錯する中で
彼の肖像が浮かび上がっていく

▪ここはすべての夜明けまえ 間宮改衣 著
「じぶんをゆるさないことでしか、
ほんとうのいみで じぶんをゆるせない」
「このよでわたしだけは、わたしがやったことを、
きちんとみつけなければ いけないとおもう」

▪小説単行本 売り上げランキング 2位
成瀬は天下を取りにいく 宮島未奈 著
「島崎、わたしはこの夏を 西武に捧げようと思う」
(中略)
「成瀬がまた変なことを言いだした。」
2023年Debutで16万部突破の快挙
M-1に挑戦したり 実権のために坊主になったり
どこまでも自由奔放な女子中学生の成瀬から目が離せない
「こんな行動に意味があるんだろうか」
ネガティブな考えが吹き飛ぶ青春小説

「成瀬さんもご飯好きなの❓」
「大好きだ」
成瀬さんの言い方は清々しくて、ご飯じゃなくて
俺に向けられたものだったら どんなに良かったかと思う。
「わたしのおすすめは 近江牛コロッケ定食だ」
地元に愛される成瀬

▪万城目学(まきめ)
1976年大阪府生まれ
京都大学法学部卒業
会社員として勤めながら執筆
2006年「鴨川ホルモー」でデビュー
日常の中に奇想天外な非日常性を持ち込むファンタジー小説で
「万城目ワールド」と呼ばれる作風で人気

鴨川ホルモー
京都を舞台にした万城目学のデビュー作
2浪して京都大学に入学した安倍は謎の部活動
「ホルモー」に誘えわれる それは鬼や式神を使って争う競技だった

八月の御所グラウンド 2024年直木賞受賞作
真夏の草野球大会に渋々参加するポンコツ大学生
女子全国高校駅伝で走る方向音痴の補欠選手
京都だからこそ生まれた幻のような
出会いが起こす優しい奇跡とはー

鴨川ホルモー
俺はページに顔を近づけて、しげしげと式神を観察した。
松明を揚げ、両膝をつき、清明公の手前に控えるその顔は、
いかにも妖怪めいたおっさん造り。
背丈はおそらく、大人の腰あたりまでしかないだろう。

とっぴんぱらりの風太郎 
職を失った忍者の元へひょうたんから奇妙な人物が現れる
「ニート忍者」風太郎の運命はひょうたんのみぞ知る

「お前は…、何者なんだ?」と声をひそめて訊ねた。
「風太郎よ、ようやく儂のことを認めたか。
そうじゃ、わしは決して 幻術遣いなどではないぞ。」
(中略)
「ひょうたんじゃよ」
(中略)
と一方的なあいさつが闇から届いたとき、
俺は唐突に元のあばらやに戻っていた。

現実社会の舞台に妖しい存在や不思議な生き物が入り込んでくる
「万城目ワールド」と呼ばれる独特の世界観

八月の御所グラウンド
焦げ跡たっぷりのピーマンを「マズい」と 顔をしかめながら
食べ終えると、「お前に三万円貸していたよな」と
またもや話の矛先を変えてきた。
ほほう、思わず おちょぼ口になる俺の前で、
多聞は座禅中の坊さんのような凪の表情を浮かべ、
「人間、借りた金は忘れるが、貸した金は忘れない」と
穏やかに世の真理を説いた。

森見登美彦氏と友だち付き合い 
デビュー作「太陽の塔」で日本ファンタジーノベル大賞受賞
「夜は短し歩けよ乙女」「ペンギン・ハイウェイ」など映画化作品も多数
京都で忘年会をしている。
確定申告、腰痛に良い椅子とかの話をしている。
仕事をする上での環境面の有益な情報を有している
お互いの作品の感想も言い合うが、「ありがとう」で終わっている
適度な距離感を持ってやっている

万城目学のオススメの本は❓
豊臣家の人々 司馬遼太郎 著
農民から関白に上りつめた 豊臣秀吉の奇跡を
身内の話から描く
豊臣家の衰亡を浮き彫りにする歴史小説にする
歴史小説の名作

注目の次回作は6月に発売

2024年4月16日火曜日

100分de名著 フロイト「夢判断」(2)&源氏物語(1)

春の空やりたくないと言えばいい
愛されて愛した時間春の雨
懸命を書く人をりて春の闇
亀鳴くや歳などあらん青春に
今日もまた動詞で綴る春の朝

■100分de名著 フロイト「夢判断」(2)夢形成のメカニズム
精神分析医 ジークムント・フロイト(1856~1939)
19世紀最後の年に刊行
京都大学教授 立木康介

願望充足としての夢
便宜の夢
この簡単な夢の誘因は、目を覚ましたときも
なお感じている喉の渇きである。
この渇きという感覚から、
水が飲みたいという願望が生ずる。
そして夢はこの願望を充たしてくれる。

睡眠を守る役目を果している 睡眠願望を充たす
普段思いも浮かばないような願望が元になって(夢は)作られる
夢は抑圧された願望の偽装された満足
「肉屋の美人細君の夢」「夢判断」第4章に登場
そのせいで自分の願望も叶えられない
なぜ夢は願望を「歪曲」する?
神経症の本質はアクセルとブレーキを一緒に踏むこと

局所論 心の中に3つの異なる場(=審級)を区別する理論
① 意識 現実と接している心の表面
② 前意識 無意識から意識に侵入する思考を「検閲」
      抑圧し続けようとする働き
③ 無意識 意識の外に追いやられた「抑圧されたもの」の場

無意識の願望は常に意識に侵入しようとする
思い出そうとする心の動きに「抵抗」するものがある
無意識を「ビジュアル化」する夢
表現可能性への顧慮 ドラマ(演劇)化
精神分析家 ヘルベルト・ジルベラー(1882~1923)の夢を取り上げている
ダジャレのような夢
魚の鯉が恋愛の恋とかかっている
ダジャレみたいなものを夢は動員する
フランス語だと警察を表現するのにツルツルとした花瓶が出てくる
花瓶ポ(pot)+滑らかなリス(lisse)=警察ポリス(police)

4つの夢作業(潜在思考を顕在内容へと置き換えること)
① 圧縮 複数の要素を重ねる
② 移動 核心をずらす
③ 表現可能性への顧慮(ビジュアル化) 
④ 二次加工 添加・整える

④ 本書では夢のファサードと表現されている
科学者 アルフレッド・モーリの夢が紹介されている(疑問)
無意識的空想が見せる夢
血気盛んな若者が革命に憧れて渦中に自分がいたと空想
モーリ自身が知らないところででき上っていた空想があって
覚醒刺激をきっかけに前意識に浮上
無意識の空想は固有のリアリティを持っている
空想のリアリティに患者は固執する
客観的だと思っている現実と無意識の中の現実が葛藤を起こす
心的現実 フロイトは心の可能性を提示した

どんなにうまく解釈しおおせた夢にあっても、
ある個所は未解決のままに放置しておかざるを
えないこともしばしばある。
それは、その箇所にはどうしても解けないたくさんの
夢思考の結び玉があって、しかもその結び玉は、
夢内容になんらそれ以上の寄与をしていないということが
分析にさいして判明するからである。
これはつまり夢の臍(へそ)、夢が未知なるもののうえに、
そこにおいて座りこんでいるところの、その場所なのである。

「夢の臍」~夢分析の終わりとは❓
フロイトが何を浮き彫りにしようとしたのか
夢がいかに無意識の願望の上に成り立っているのかということ

シェークスピア戯曲「テンペスト」
我々は、夢がその上に作られるような、そういうものである。
我らは夢と同じ糸で織られている(福田恆存 訳)
「我々」とは「願望」

■100分de名著 選 源氏物語(1)「光源氏のコンプレックス」
桐壺の更衣死去⇨臣籍降下⇨葵の上と結婚⇨葵の上の死⇨須磨へ下る
⇨都帰還⇨実子・冷泉帝即位⇨太政大臣に⇨娘・明石の君入内⇨准太上天皇

「なほにほはしさはたとへむ方なく、
 うつくしげなるを、
 世の人光る君と聞こゆ。」
(「源氏物語」桐壺)

2024年4月15日月曜日

兼題「クローバー」&題「手紙」

今日も今日とて猫の気まぐれ遅春
高開の石積み埋める芝桜
田植え機の音高らかに早場米
ミツマタの無数の花や黄金色
ミツマタの香り漂う那賀木沢

■NHK俳句 兼題「クローバー」
選者 西山睦(むつみ) ゲスト 吉山遊 司会 柴田英嗣
年間テーマ「やさしい手」
俳句は誰でも入学できるけど卒業はない
わからないのが面白い
やさしい手とはお母さんが作ってくれたおにぎりの味
手のひらの味がしみは温かみ
「やさしい手」を切り口にして
(手を使った)仕事を俳句に詠んでいる
そんな俳人を呼んで話を伺う
相互作用があるのではないか?

今週の優しい手
あいさつの声「ぶん」と来る春日向   西山睦

吉山遊さんの俳句
ひと匙に蜂のひと世を垂らしけり   
分蜂(ぶんぽう)の空に翅音(はおと)の渦巻ける
ナンバーに38並ぶ梅雨の車庫

「やさしい手」俳句三選 吉山遊
親 指に来てばるんばるんの鉢の尻
子 若蜂のまだ濡れてゐる翅音かな
死 死してなほ脈打つ蜂の毒の針

普段は研究者として 科学的な視点で
実権の対象としてミツバチを見ている
文学的な表現をするときは
直感的 感覚的なフィルターを通して
より純粋なものを詠みたいので
まなざしはより優しくなった
俳句を詠んでいるときは童心に返れる
昆虫少年に返れたような無心になれます
あくなき追及 あくなき愛

今週の兼題「クローバー」
白詰草
江戸時代 オランダからガラス製品を輸入する際
クッションがわりに詰められていたことに由来する

▪特選六句発表 兼題「クローバー」
クローバー笑ひ上戸の風と逢ふ   福永浩隆
亡き妹(いも)の真白き日記にクローバー   神長誉夫(やすお)
クローバー幼なじみを娶(めと)りけり   田上勝清(たがみまさずみ)
靴ぬいで上がる白詰草の部屋   七瀬ゆきこ
クローバのひかり戴帽式の朝   花瀬玲
婚の荷に対の長靴首蓿(うまごやし)   橋田雄一

▪特選三席
三席 クローバはサン・テグジュペリ閉じし中   藤井晶子
二席 クローバー明るし新しきバッシュ   古瀬まさあき
一席 クローバや蹠(あうら)の濁り置いてゆく   平本雅子
(ストレス=濁り)

▪クロイワの俳句やろうぜ!
新池や蛙(クロイワ)飛び込む水の音
若手俳人探査隊長 俳人 黒岩徳将

ネクストブレイク俳人
大阪から愛媛県松野町へ移住
俳号 川嶋ぱんだ 川嶋健佑
松野町で茶畑を手掛けながら「芝不器男」の魅力を発信
川嶋ぱんだが惚れる芝不器男とは?
愛媛県松野町出身 俳人 芝不器男(1903-1930)

あなたなる夜雨の葛のあなたかな   芝不器男
始めは理解できる人がいなくて有名になったきっかけは高浜虚子
この魅力を語った事によって知られた
噛めば噛むほど味わいが増す

川嶋ぱんだ 俳句の魅力は❓
俳句の人生も一筋縄ではいかない それが俳句の魅力
大学時代 走り高跳びをやっていた
歩数も跳び方も決まっていた
跳べたり跳べなかったり 歯がゆい感じ
俳句のそれに近い 五・七・五に自分の言葉をはめた時
うまくいった いかなかった そういう 細やかな喜びがある

川嶋ばんだの一句
このポテトサラダたちまち雪を呼ぶ   川嶋ぱんだ

▪柴田の歩み
45年もまだ半ば

■NHK短歌 題「手紙」
選者 俵万智 ゲスト 財前直見 司会 ヒコロヒー
年間テーマ「光る愛の歌」
大河ドラマ「光る君へ」とのコラボ
短歌は千年以上前から ずっとこの国につながってきていて
その一番先端で私たちは作っている
歴史を知り 和歌に触れることは栄養になる
大河ドラマを活用しながら 和歌の歴史に触れて
今私たちが作ることにも役立てていく

嘆きつつひとり寝る夜の明くる間は
いかに久しきものとかは知る   右大将道綱母

「光る君へ」の時代は和歌がコミュニケーションツール
実用品の手紙として機能していた
私自身も短歌を作っていて日記以上に手紙だなと思う
この思いを誰かに届けたい だれかと共有したい
というところから始まる
「和歌は元々手紙だった」ことを心に留めておくと実作に役立つ

▪入選九首 テーマ「手紙」
一席 転居先不明の赤いスタンプが受け取りたかった返事だたぶん
増田匡裕(まさひろ)
便箋の最終行の渋滞は君に会いたい気持ちの密度
遠藤翠(みどり)
飛行船のごとき円で「欠席」を囲み二人の未来を祈る
さくらさく
剥き出しの便箋闇に放り込む気がした最初のメール送信
前川泰信
三席 私 「家を売ることにしました!」父のその文面の軽さが重すぎる
遠藤健人
大ぶりの鰯の腹を指で裂くように開いた通知の封書
友常甘酢
 便箋が手紙に変わる瞬間を見届けているカフェの照明
檜澤(ひざわ)さくら
二席 達筆を誇りし友の賀状の「賀」杖つくごとく傾(かし)ぐ今年は
松丸伸子
 入刀のナイフで二人を斬るように「出席」を消す返信ハガキ
くぼたむすぶ

▪「光る君へ」で短歌を10倍楽しもう!
和歌の出来の良し悪しによって恋が上手くいったりいかなかったり
人格の一部として和歌がある
道綱の母は(兼家への)歌にしおれた菊を添えた
返事がくればつれない返事でも脈あり返事が来ないのが最悪
今でいえばLINEの既読スルー

「光る君へ」から学べる 短歌づくりのポイントは?
読む人がいる 加減が大事
「表現」は他者だけのために作るものではない

ちはやぶる神の斎垣(いがき)も超えぬべし恋しき人のみまく欲しさに
(神にさえ止められぬのはこの心ただただ恋しい君に会いたい 万智訳)
恋の句は下の句の「ただただ恋しい君に会いたい」ことを言っている
上の句にその時代その時代の工夫が加えられる
自分なりの表現でどれだけ会いたいかを最大限表現する

金曜の六時に君と会うために始まっている月曜の朝
俵万智「サラダ記念日」

思った気持ちは本当
短歌も思いが自分のものであれば演じてもよい

短歌づくりのポイント
・受け取り手の「目」を持つ
・伝えたい自分の思いはぶれないように「自分軸」を持つ
・思いが自分のものであれば創作もOK

▪ことばのバトン
何度でも「はじめまして」を言いたくて
枡野浩一 歌人

しばし眠って春を待ちます
日本女子大学 四年生 竹田沙紀子

2024年4月14日日曜日

名言&作と著&「蟻穴を出づ」&「羊の毛刈る」

破るための約束あらん蒲公英(たんぽぽ)
緊張と言いう名の記憶春の雷
風光る過去はいつでも新しい
春の潮忘れることで上達す
春光や未来はいつも懐かしい

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「蟻穴を出づ(ありあなをいず)」

春の時候の季語として「啓蟄」がありました
この「啓蟄」というのは冬の間地面の中に潜っていた
虫や蛇や蛙などが地中から出てくる頃の次期を言う言葉でした
ですが今日の「蟻穴を出づ」はジャンルとしては
動物の季語になってきます
そういう「啓蟄」の時期を過ぎて実際にその地中から
出て来た蟻そのもの 蟻が出てくるという様を
一つの季語として立てている訳です 紛らわしいです
そしてもう一つ紛らわしい事に「蟻」は夏の季語になります
時候だったり動物だったりそしてまた季節が違ったりと
全てが移ろいながら四季が構成されているのだなぁと
舌を巻きつつ歳時記を眺める今日この頃です

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「羊の毛刈る」

羊の毛は一年に一度 4月~5月頃に刈られます
私も実際に羊の毛刈りをした事があるのですが
羊の毛を刈る用のでっかいハサミで
羊の毛を掴んで根元の方からチョキチョキと切っていく
その感覚が非常に面白く夢中になって記憶があります
刈っていった羊の毛が思いのほか油でゴワゴワしている感じ
それが洗いあがったら綺麗なフワフワの羊の毛が
できる訳です
今は日本全国いろんな牧場でも羊の毛刈りを体験させて
くださる所はあるそうです
お近くの牧場 色々調べて行ってみて
季語体験するのもよいかもしれませんね

■作と著
岩波文庫での「著」と「作」の違いは、小説や詩などの(文学的)創作の作者には「作」を、
それ以外の著作物の著者には「著」を用いている。

■名言
ウォルト・ホイットマン 曰く
「君に教訓を与えたのは
 君を賞賛し、親切をほどこし、
 味方になってくれた人々だけだったのか?
 君を排斥し、論争した人々からも
 大切な教訓を学ばなかったのか?」

アルバート・アインシュタイン 曰く
「弱い人々が復讐する。
 強い人は許す。
 知的な人は無視する。」

ガンディー 曰く
「人間性に対する信頼を失ってはならない。
 人間性とは大海である。
 たとえ大海の一滴が汚れていたとしても、
 大海そのものが汚いわけではない。」

2024年4月13日土曜日

■英会話フィーリングリッシュ 2024年3月31日まで

■英会話フィーリングリッシュ

31 You see  You see?

32 all right  Im all right.

33 I dont like this.

34 at least

35 What happened?

36 No way

37 You Know wtat?

38 Hang on.

39 get it.

40 Go for it.

41 I have no idea.

42 Go shead.

43 Why not?

44 Ill tell you what.

45 What do you mean…?

46 Im not sure

47 I wish I could.

48 That makes sense.

49 used to

50 He[she/it]wouldnt

51 I dont know what[how]

52 be supposed to

53 evev if

54 It looks like

55 would hahe been

56 could have been

57 It might be

58 have something[nothing]to do with

59 be going to have to

 

■英会話フィーリングリッシュ

60 I was wondering if

61 must have been

62 maight have done

63 I wouldnt want to

64 Do you want me to

65 and then

66 in fact

67 as long as

68 as far as

69 by the way

70 for example

71 to be honest

72 On the one hand,    On the other hand,

73 so far

74 The thing is,

75 fiast of all

76 instead of

77 by the time

78 In that case,

79 As you know,

80 That [This]is what

81 I need to

82 What do you?

83 because of

84 I dont mind

85 Thak you foring.

86 I have

87 I go to

88 the end of

89 you could

 

■英会話フィーリングリッシュ

90 how to

91 I like

92 How many…?

93 I havent

94 I want to

95 Do you know+wh語…?

96 Do you want?

97 I littie

98 I dont want

99 one of

100 How much

101 Do you think.

102 such a.

103 such as.

104 over hear there

105 most of.

106 I feel

107 next time

108 the same…。

109 the last time

110 the best

111 something else

112 the only things…。

113 used to…。

114 as well

115 I was like

116 I have to

117 I dont want

118 a little/a bit

119 a little/a bit

 

■英会話フィーリングリッシュ

120 and then

121Im going to

122 I cant

123 I mean

124 I know!

125 kind of

126 I dont know

127 I think

128 you know

129 what I mean

130 things like

131 I was thinking

132 It seems to be

133 or whatever

134 It doesnt matter.

135 Im trying to

136 at the same time

137 I feel like

138 I was saying

139 It has to be

140 It depends

141 I was going to say

142 I end up ing

143 I told you

144 I dont care

145 at the moment

146 The fact is (that)

147 What about

148 Why dont you…?

149 You dont have to

 

■英会話フィーリングリッシュ

150 Every time

151 That sounds like

152 I tend to

153 Would you like…?

154 Let me ask you

155 If you want

156 I love

157 Hou do you…?

158 How can you

159 whether or not

160 that would be

161 I got to

162 I believe

163 I remember

164 I hope

165 if you

166 I wont

167 at this point

168 the other day

169 Dont get

170 You want to

171 I would

172 in a way

173 in the middle of

174 the only way to

175 I was goinr to

176 the rest of

177 Do you want me to?

178 Why not?

179 Im trying to

180 What do you mean?

181 get it

182 I was wondering if

183 That would be

184 In that case,

185 I need to

186 To be honest,

187 Dont get

188 I[You] have no idea.

189 next time

190 such a

191 You want to

192 No way!

 

https://www.nhk.jp/p/ts/EVP436RWLJ/list/

https://www.nhk.jp/p/ts/EVP436RWLJ/schedule/

理想的本箱「勇気が欲しい時に読む本」

春疾風甘えの欠如はびこりて
春陰や甘えの真理欠如せり
春かなし一体感への不信から
十分な甘えを知らず春嬉かな
淡雪よ裸にされた真実よ

■理想的本箱 君だけのブックガイド「勇気が欲しい時に読む本」
▪ボクの音楽武者修行 著者 小澤征爾
楽観と大胆さ誠実さが世界との壁を壊していく
一、日本国性を明示すること
一、音楽家であることを示すこと
一、事故を起こさないこと

棒振りの修業 五体でぶつかる

▪怠惰の美徳 著者 梅崎春生
怠け者なりに自身の流儀を貫き自身の文学を追求した

二畳の部屋に寝起きして小説を書くなどと力んでいるが
ろくな文章も書けないくせに年若い新進作家の悪口ばかり云っている
時にはやり切れなくなってアルコールなどをうまそうに啜(すす)り
挙句のはてに酩酊し裸になっておどったりする
雑巾にでもなって生まれてくれば良かったのに
人間に生まれてきたばかりに三十二歳になったと言うのに
おれはまだこんなことをしている

私はどちらかというと仕事が差し迫ってくると怠けだす傾向がある
すなわち仕事が私を怠けさせるのだ
本物か偽物かという点では断じて本物であるという自覚これが大切である
決意を表明しているのです
誇りをもって自分の生き方をしっかりと強く生きている

▪コジコジにきいてみた モヤモヤ問答集 文・絵 さくらももこ
本質を射抜く純粋さに不思議と勇気を貰う

「勉強」しないとダメですか?
カッコの中の字が読めないけどなんて言う字ですか

向上心がないって、罪ですか?
盗みや殺しやサギなんかしてないよ 
遊んで食べて寝てるだけだよなんで悪いの?

友だちが落ち込んでいます。何をしてあげられるでしょうか?
あのねぇ てがみとそれからこの前拾ったビンのフタ
これ宝物だけどあげるんだ

あの子、悲しくて泣いたかな。
きっとお腹もすいていたと思うよ

励ましてください。
げんきんだしな

こんなボクでも少しは役に立てるかな?
みんな役に立っているんだね
コジコジは役に立ったことないよ

友情って、永遠ですか?
コジコジは昨日の事も忘れてるなあ

コジコジの七夕の短冊
みんなげんき コジコジ

将来は不安です。
コジコジは生まれた時からずーっと将来もコジコジはコジコジだよ

あの子があの人に手紙を書くだけで、胸がかきむしられるようです。
はァ?

ついつい考え込んでしまいます。
何か発明でもするのかな?

もう帰りたいです。
ああそうさようなら

ちゃんと、たどり着けるよね?
着かなかったらすみません

コンプレックスがあります。
でも生きているよ キミは生きている

みんなが見ているのは表の顔で、本当のワタシはとても醜いです。
別にいつもと同じだと思うけど

学びました。大事なのは、純粋な心だって。
で何だって?

本当のこと、教えてください。
さあ 自分ちょっとわかりません

ひょっとして、バカ?
そうだよ よく知っているね キミは物知りだね

自分が存在する意味なんて、ないってことに気がつきました。
コジコジと同じだね コジコジも何の役にも立たないよ

一歩踏み出すべきか、とまどっています。
のろまだねぇ

できっこないよ。
じゃ いってみよう せーの

心の準備ができてません。
けいこ不足をねえ 事は待っちゃくれないよ

宝物を譲りました。
いい事したね これで天国へゆける かもよ死ねばね

死んだらどうなるの?
体が死んでもたましいは生きてるよ そんな事も知らなかったの?

ワタシをここから連れ出して。
はい こちら メルヘンの国でございますよ

ううん コジコジは このまま 進むよ

生きるって、どういうことですか?
息を吸って吐く‼それが生きる道

神様はどこ?
神様は心の中をウロウロしているので この辺をウロウロしていません

心の中をのぞかれて、平気な人なんている?
うん

会いたいよ。
来たよ

2024年4月12日金曜日

あの本、読みました?原田マハ特集&EPSON EP-M476T

夜明け前鼻すすりつつ春火鉢
春の色散歩嫌いな犬連れて
春月夜隠忍自重(いんにんじちょう)旨とせり
確かな絆感じぬままに春の暮
ひとりでは生きていけない朧月

■あの本、読みました?2024年本屋大賞大予想&原田マハ特集
第1回本屋大賞
博士の愛した数式 小川洋子著
「正解だ。見てご覧、この素晴らしい一続きの数字の連なりを。
220の約数の和は284。284の約数の和は220。
友愛数だ。滅多に存在しない組合せだよ。

かがみの孤城 辻村深月著
たとえば、夢見る時がある。転入生がやってくる。
(中略)
真田さんのグループが、その子とどれだけ仲良くしたがっても。
その子は「私はこころちゃんといる」と、私のほうを選んでくれる。
そんな奇跡が起きたらいいと、ずっと願っている。
そんな奇跡が起きないことは、知っている。

成瀬は天下を取りにいく 宮島未奈著
成瀬の言うことはいつでもスケールが大きい。
小学校の卒業文集に書いた将来の夢は
「二百歳まで生きる」だった。
(中略)
わたしはギネス世界記録が百二十二歳であることを根拠に、
さすがに二百歳は難しのではないかと伝えた。
すると成瀬は平気な顔をして「島崎も含め、
その頃にはみんな死んでるから確かめようがない」と言った。

板上に咲く 原田マハ著
子供も孫も、夫のことを「パパ」って呼んでいたんですよ。
孫も、娘も、娘婿も、「パパ」。私もそう呼んでいました。
最初の子供が生まれてから、さて、いつ頃だったかね、
いつのまにかそう呼ぶようになって。
私がそうしたんじゃないです。
あの人が「ワもついにパパになったが」、「お前もママだな」って。
そんなふうに始まったんじゃなかったかね。

板上に咲く 原田マハ著
細身で長身の口髭の男が棟方に向かって言った。
「君。いま、版画の絵巻物と言ったね。ちょっと見せてくれないか」
「困ります。いま展示作業中ですので…」係員が困惑して応えた。
が、棟方はすぐさま、壁に後ろ向きに立てかけてある
四枚の長い額の中の一つをひっくり返して見せた。
ふたりの顔に稲妻のような閃光が走った

「たゆたえど沈まず」「<あの絵>のまえで」 「ゴッホのあしおと」 
「モネのあしおと」「リボルバー」など原田マハ女史を担当 壷井円

「たゆたえど沈まず」原田マハ著
日本の浮世絵をフランスに広めた美術商
林忠正と弟子・加納重吉を通してゴッホと弟テオの
兄弟愛と悲劇をえがいたアート小説

「楽園のカンヴァス」原田マハ著
女性3世代で暮らす日本人研究者
早川織絵とニューヨーク近代美術館の
キュレーター ティム・ブラウンが見たのは
アンリ・ルソーの名作「夢」に酷似した絵
正しく真贋を判定した者にルソーとピカソ二人の天才が
カンヴァスに籠めた想いとは

「リボルバー」原田マハ著
昨日、お母さん、お友だちと展覧会に行ったんだけど、
ミュージアムショップであの複製画、みつけてあらゴーギャンだ、
今度は冴の部屋にこれ飾ってあげようって、急に思いついちゃって

「たゆたえど沈まず」原田マハ著
七月二十七日夜、フィンセントは
脇腹から血を流しながら下宿へ帰ってきた
食堂の裏手に裏部屋へと続く階段があるのだが、
その入り口で倒れているのを女将がみつけた。

原田マハ女史がリスペクトする作家は「森茉莉」
クレージーなほど天才 強い憧れがある
愛すべき作家 エッセイが好き
「贅沢貧乏」が特に好き

「贅沢貧乏」森茉莉著
森茉莉自身の見かけだけ贅沢で
実は寒々としている現代風の生活に
侮蔑をなげつけながら奔放豪華な夢を描くエッセイ


■プリンターがやってきた❣
2022年に購入したCANONのプリンターが故障したので
EPSON EP-M476Tを購入。
さて何年使えるのでしょうか❓



2024年4月11日木曜日

ワルイコあつまれ(82)マリー・アントワネット&由紀さおりの色紙

横尾忠則氏へ
ハンディさえ自然のままに風光る
春の空飽きた時を完成とす
朧月未完のままの完成
亀鳴くや完成せずに死に行かん
春心予測不能に身を投じ

■ワルイコあつまれ(82)
タイムスリップ 慎吾ママの部屋
フランスの王妃 マリー・アントワネット(大地真央)

18世紀後半のフランスの状況
度重なる戦争で財政的に非常に苦しく
民衆は高い税金と飢饉に苦しんでいた
衣装代 現在の価値で1憶9千万円
王妃の予算は現在の価値で1憶5千万円
「パンがないならお菓子を食べればいいじゃない」
この台詞はジャン=ジャック・ルソー(フランスの政治哲学者)が
書いた本「告白」の中に
「パンがないならお菓子を食べればいいじゃない」
と答えた身分の高い女性を思い出しました。 
と書かれていた。
その身分の高い女性がマリー・アントワネットという事となった。
この本が書かれた時、マリー・アントワネットは子どもでした。
オーストリアから嫁ぎフランス風の名前にした
ハプスブルグ家(ヨーロッパのいくつもの国を統治していた名門の貴族)
の女帝 マリア・テレジアの娘。
オーストリアとフランスは戦争などして中が悪かった
同盟を結んだ証として14歳の時ルイ世と政略結婚をさせられた
趣味が合わなかった。ルイ16世の趣味は「錠前作り」だった。
マリー・アントワネットが嫌われ者な理由ベストセレクション

●プチ・トリアノンにこもって気が合う人としか付き合わなかった
プチ・トリアノンとはベルサイユ宮殿の敷地内にある別邸
ベルサイユ宮殿の暮しはしきたりが多かった
例えば、着替えの儀式(一番くらいの高い貴婦人が服を着せる)
出産の時は後悔イベントだった
プライバシーがなかった
プチ・トリアノンに村を作った 4年かけて池や川も人工的に作った
村人役のエキストラを住まわせた
マリー・アントワネットはいち農民となって過ごしていた
現在の価値で200億円くらいかかった
プライバシーを守るため仲のいい人物しか入れなかった
不満を持った貴族に悪い噂を流され評判が下がっていった
ルイ16世もマリー・アントワネットの許可がなければ入れなかった

●フランス革命(市民による革命) 
当時貴族や聖職者などは税金を払わなくていい特権があった
それに業を煮やした市民たちが国王や
マリー・アントワネットを捕まえ処刑した
苦しい暮らしに不満を抱えた女性7000人が
パンを求めてベルサイユ宮殿を襲撃
この時は立憲君主制(国王と一緒に憲法のもとで政治がおこなわれていた)
国外へ逃亡しようとして完全の民衆から見放された
息子と夫とマリー・アントワネットは変装をして逃亡
沢山荷物を積んだ豪華な馬車に乗って逃亡中にピクニックをしたり
散歩をしたりのんびりしてしまったため味方との合流に5時間遅刻
国境近くで捕まった 
自分の保身だけなのか!という事で処刑されることに
でも、ひとつだけいいことがあった 牢屋のような狭い場所で
ルイ16世が処刑されるまでの半年間はじめて
家族だけの時間を過ごすことができた

アマデウス・モーツァルト(オーストリア出身の天才作曲家)
同い年 ある時宮殿でマリー・アントワネットに求婚していた。

■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん~昭和の大先輩とおかしな2人~【#7由紀さおり】
昭和の大先輩 由紀さおりの言葉
今日を生ききる
由紀さおり



2024年4月10日水曜日

源氏物語の女君たち(8)紫の上(後編)

亀鳴くや悲しみ不安作る人
価値感を押し付けられし春の暮
朧月人それぞれの価値あらん
休刊日過行く時間長閑なり
春の空もがき苦しみ陽を求め

■源氏物語の女君たち(8)紫の上(後編)
藤井由紀子教授
二条院 光源氏の邸宅で紫の上は育つ
光源氏は明石の君と仲良くなり子供も生まれるが
その娘も引き取って自分の養女として育てる
ずっと正妻っぽいポジションにいた
明石の姫君(=明石の中宮) 東宮の元に入内
この時光源氏は40歳 女三宮は14,5歳 紫の上は約30歳
孫 匂宮(におうのみや)
明石の姫君に手を握られ紫の上は亡くなる

年ごろ、さもやあらむと思ひしことどもも、
長年、そんなこともあるかもしれないと思っていたことも
今はとのみもて離れたまひつつ、
今はそんなことから(光源氏も恋愛事から)遠のいている
さらばかくにこそはと、
うちとけゆく末に、ありありて、
このまま仲良く過ごせると安心した末に結局
かく世の聞き耳も
なのめならぬことの出で来ぬるよ。
世間の人たちが聞き耳を立てるとんでもないことが起こってしまった
思ひ定むべき世のありさまにも
あらざりければ、
私たち大丈夫と決めてしまうことができる夫婦仲ではなかったから
今より後もうしろめたくぞ思しなりぬる。
今後のことまで心配になってくる

信頼感の喪失が記載されている
明石の君には焼きもちも焼いていたが女三の宮にはそれすら無理
光源氏から女三宮との結婚を打ち明けられた時にも
「私でよければ仲良くして頂きたいと思います」としか言えない
心苦がたたり紫の上は病気に倒れる
知らせを聞いた光源氏はすぐに帰宅するも…。
もののけが出現。そのもののけは六条御息所だった

六条御息所とは光源氏の愛人 生霊となり正妻 葵の上をとり殺した
おっとりしていない女性の例として六条御息所の名をあげたことがあった
光源氏には仏の加護が強くて近づけないので紫の上にとりついた

「いかに思さるるにか」とて、
「どういうご気分ですか」と言って、
宮は御手をとらへたてまつりて
明石の中宮は手をとって
泣く泣く見たてまつりたまふに、
泣きながら見ている
まことに消えゆく露の心地して
本当に消えていく露のように
限りに見えたまへば、
お亡くなりになった

明石の中宮に手をとられて亡くなる
最期を看取るのは光源氏じゃない
光源氏が近くにいるのは確かだけれど どこにいるかわからない

紫の上の残した遺言とは❓
匂宮=明石の中宮の息子 を呼んで
私がいなくなったら悲しい?って聞くと
お父さんよりお母さんよりおばあちゃんが好きだから
機嫌が悪くなってしまうよ という
庭の梅と桜をあげるから私が死んだ後も大切にして
時々は仏前に飾ってねってというと
匂宮は解ったといって 涙が出るからその場をはなれた

千年前に書かれたフィクションにみな感動…。

2024年4月9日火曜日

100分de名著forユース(4)石垣りん特集

(小笠原諸島)春の空楽園に生くカラスバト
春融やとなりのGenre覗き込み
放物線の終点間近朧めく
生きるとは吾との闘い春の潮
春の雲苛め蔓延るどこかしこ

■100分de名著for ユース(4)石垣りん詩集
言葉で自分を見つめ直す
加藤シゲアキ 阿部みちこ 文月悠光

精神の在り場所もハタから表札をかけられてはならない
石垣りん それでよい。

夜中に目を覚ました。
ゆうべ買ったシジミたちが
台所のすみで
口をあけて生きていた。
「夜が明けたら
 ドレモコレモ
 ミンナクッテヤル」
鬼ババの笑いを
私は笑った。
それから私は
うっすら口をあけて
寝るよりほかに私の夜はなかった。

くらし
食わずには生きてゆけない。

メシを
野菜を
肉を
空気を
光を
水を
親を
きょうだいを
師を
金もこころも
食わずには生きてこれなかった。
ふくれた腹をかかえ
口をぬぐえば
台所に散らばっている
にんじんのしっぽ
鳥の骨
父のはらわた
四十の日暮れ
私の目にははじめてあふれる獣の涙

取るに足らないものへのシンパシーを感じる 加藤
働くことと詩を描くことは切っても切り離せない 文月

月給袋
縦二十糎 横十四糎
茶褐色の封筒は月に一回、
給料日に受け取る。
一月の労働を秤にかけた、
その重みに見合う厚味で
ぐっと私の生活に均衡をあたえる
中略
私がラッシュの国電でもみくちゃになれば
この袋も日増しに汚れ
持ち主におとらずくたぶれる。
そして最後の硬貨も出払った
捨ててもいい、というときに
用心深く、何か残っていないかと
中をのぞくといるわ、いるわ
そこには傷んだ畳が十二畳ばかり敷かれ
年老いた父母や弟たちが紙袋の口から
さあ、明日もまた働いてきてくれ
と語りかける。

第一詩集 1959年刊行
石垣りん詩集 私の前にある鍋とお釜と燃える火と
屋根
病父は屋根の上に住む
義母は屋根の上に住む
きょうだいもまた屋根の上に住む
風吹けばぺこりと鳴る
あのトタンの吹けば飛ぶばかりの
せいぜい十坪程の屋根の上に、
みれば大根ものっている
米ものっている
そして寝床のあたたかさ。
負えという この屋根の重みに
女、私の春が暮れる 遠く遠く日が沈む
(自分の境遇をりんは書いた。)

書くことと働くことが寄り合わされてきた

自分の内面にありながら
はっきりした形をとらないでいたものが、
徐々に明確に出てくる、
あらためて自分で知るといった逆の効果が、
詩を書くことにはあるようです。
エッセイ「立場のある詩」より

その夜
女ひとり
働いて四十に近い声をきけば
私を横に寝かせて起こさない
重い病気が恋人のようだ。
どんなにうめこうと
心を痛めるしたしい人もここにはいない
三等病室のすみのベッドで
貧しければ親族にも甘えかねた
さみしい心が解けてゆく、
あしたは背骨を手術される
そのとき私はやさしく、
病気に向かっていう
死んでもいいのよ
シーツが 黙って差し出す白い手の中で
いたい、いたい、とたわむれている
にぎやかな夜は まるで私ひとりの祝祭日だ。

本当の思っていることを表現する場所がなかった仕事の上では
そのために本当に自分の言葉が欲しかったんじゃないか
これだけはどんなことがあっても言いたい
言うからにはどんな目に遭ってもいい
詩を書く時だけ何物も恐れないと言っては大げさだけど
書いちゃったんだと思います
2004年石垣りん死去 84年の人生を終えました

個であること生涯それを問い続けたりんの代表作です
表札
自分の住むところには 自分で表札を出すにかぎる。
自分の寝泊まりする場所に 他人がかけてくれる表札は
いつもろくなことはない。
病院へ入院したら 病室の名札には
石垣りん様と様がついた。
旅館に泊まっても 部屋の外に名前は出ないが
やがて焼場の鑵(かま)にはいると とじた扉の上に
石垣りん殿と札が下がるだろう
そのとき私がこばめるか?
様も 殿も 付いてはいけない、
自分の住む所には自分の手で表札をかけるに限る。
精神の在り場所もハタから表札をかけられてはならない
石垣りん それでよい。
(46歳の時の詩)

❝個としての自分❞をどうしたら取り戻せるか
ある種の「宣言」

本は一回の人生にいろんなことを取り込める