ムラを詠む
秋の浜灰と泥と火山岩と
秋の波煌めく層や白雲母
秋日和急峻削りV字谷
星月夜土砂固まりて人の住む
今なお活きる中央構造線(活断層)(無季句)
■あの本、読みました?この半年の小説&新書売上ランキング!池井戸潤&恩田陸
鈴木保奈美 角谷暁子
2024年度 上半期小説《単行本》&新書 売り上げランキング
・「spring」恩田陸 著 筑摩書房
高層・執筆に十年
一人の天才の人生を描いた「新バレエ小説」
主人公は天才的なバレエダンサーで振付家の萬春
八歳でバレエに出会い十五歳で海を渡った
踊る者 作る者 見る者 奏でる者
それぞれの情熱がぶつかりあい 交錯する
作者の恩田さん曰く
「今まで描いた主人公の中でこれほど萌えたのは初めて」
四章にわたる長編小説
砂金有美(いさごゆみ)
依頼から10年で完成
三宅香帆 書評家・作家 恩田陸の大ファン
俺は、ヤツの作品の中では「KA・NON」が一、二を競うくらいに好きだ。
タイトルは使用曲である「パッヘルベルのカノン(CANON)」と
千手観音(KAN-NON)を掛けたもの。
ゆったりとした曲に合わせて、一列に並んだ十人がゆったりと踊る。
ただそれだけのシンプルな踊りだ。ジャンプもピルエットも
ひとつもなく、ゆっくりとした動きで舞台上を進んでゆく。
(中略)
曲の始まりとともに、ゆっくりと横向き一列にダンサーが
舞台に進み出てくる。ぐるりと舞台を一周し、やがて中央を
正面を向いて進んでくる。ゆっくりと角度をずらして
十人のダンサーが舞台を歩き回りつつ、腕を回していく。
それを先頭から見ると、本当に千手観音を目にしているようなのだ。
腕の動きはシンプルながら本当に美しく、衣装の色彩の
グラデーションが残像のような効果を生み出し、見ていると
だんだんトランス状態に陥っていくような錯覚を感じる。
バレエの公演をひたすら鑑賞
取材先の人に「ダンスは言語化できない」と言われて…。
主人公・春の振り付けは恩田陸が考えている
林祐輔P お薦めの一文
「じゃあ、行ってきます。」
四人は何も言わずに、春に向かって頷いた。
あっさりとした別れだった。
春はくるりと背を向け、スタスタと歩いて行く。
四人はその背中をじっと見つめている。
その背中が遠ざかり、人混みに吸い込まれる、
と思った瞬間、彼はピタリと足を止めた。
春が、まっすぐに駆け戻ってきた。
その真っ青な顔が近寄ってくるあいだに、彼は成長していった。
八歳、九歳、十歳、十一歳、十二歳。どんどん背が伸び、
成長痛に苦しみー十三歳、十四歳、そして十五歳。
今や四人の親たちよりも背が高くなった彼が。
(中略)
春は混乱し、泣きべそを搔いていた。彼は叫んだ。「俺の、先生!」
(中略)
わたしの先生。その一言くらい、教師にとって嬉しい言葉が
他にないということを彼は知らなかったに違いない。
4章構成で悩んだ著者「次は誰の視点にするか」
・ツミデミックの短編「祝福の歌」について 一穂ミチ
・「俺たちの箱根駅伝 上」池井戸潤著 文藝春秋
内藤淳 生島淳
執筆のきっかけは中継ポイント「箱根小涌園前」
名言誕生の秘密 「倍返しだ」も池井戸潤氏
解説の円藤が声を震わせるほど、派手な転倒であった。
体重を支えていた右脚が宙に浮き、大柄な猪又の体が
バウンドするほどの勢いで、地面に叩きつけられたのだ。
(中略)
小田原中継所まで、あと僅か百メートルというところだ。
それまでペースを落としながらもなんとか走ってきた猪又だが、
ここにきて目に見えてスピードが落ちていた。
相当の痛みを我慢して頑張ってきたのだろう。
だが、いよいよ力尽きようとしている。
(中略)
脚の痛みと闘いながら前に進む猪又に、
辛島の実況は静かに語りかけるようだ。
「中学時代はサッカー少年でした。ですが、❝内向的な
性格だった自分にはチームプレーは向きませんでした。
でも走ることは大好きです。だから、個人競技である
陸上を始めたんです。そして高校時代からこの箱根駅伝に
出ることを目標にして、毎日頑張ってくました。
本選ではいままで自分を応援してくれた両親や監督、
武蔵野農業大学や関東学生連合のチームメイトのために
全力で走りたいと思います❞―そう語ってくれました。猪又丈。
中継所まであと三十メートルです。佐和田晴が待っています。
チームメイトが待っている。猪又、頑張れ!」
箱根駅伝は人間ドラマ中継
レース前で終わるはずだった…。
怒涛の展開を迎えるレース終盤
往路キャラ(派手な選手)と復路キャラ(一人で走ることが得意な選手)
外見的な描写がなくても…。
・「暗殺」柴田哲孝著 幻冬舎刊
元総理が凶弾に倒れ その場にいた一人の男が捕まった
日本を震撼させた2発の銃弾
本当に彼が、元総理を撃ったのか❓
実際の事件をモチーフに膨大な取材で描く傑作サスペンス
ヒットの理由は❓フィクションにした理由❓
「エアスラッグ弾を使うことは、私も賛成だ。
しかし我々は、ミッションの当日に、
ある特殊な弾丸を使うことも想定している」
マエダがいった。「特殊な弾丸とは?」シャドウが首を傾げた。
「水銀弾だ…」「水銀弾と聞いて、シャドウは首を傾げた。
「水銀弾が存在するのか?」シャドウが訊いた。
(中略)
マエダによると素材となるアマルガムは水銀とインジウムの合金で、
常温・常圧で凝固する。だが融点は水銀の比率によって、
任意に決めることができる。もしこのアマルガム弾の融点を
二十度から三十度くらいに設定しておけば、人間を撃ったとしても、
その弾は体内で溶けなくなってしまうことになる。
「暗殺」を出版した意義
・「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」三宅香帆 集英社新書
鈴木保奈美女史「うちの娘が読んでいました」
前書きより
正直、本を読む時間はあったのです。電車に乗っている時間や
夜寝る前の自由時間、私はSNSや
Tou-Tubeをぼうっと眺めていました。
あるいは友だちと飲み会で喋ったり、休日の朝に
寝だめしたりする時間を読書に充てたらいいのです。
だけど、それができなかった。
本を開いても、目が自然と閉じてしまう。なんとなく
手がスマホのSNSアプリを開いてしまう。
夜はいつまでもYou-Tubeを眺めてしまう。
あんなに、本を読むことが好きだったのに。
働いていると本が読めなくなる理由
「半身」は読書を続けるコツ
(中略)
人生ずっと全身全霊を傾けるなんて」
「半身」のススメ 社会が全身全霊を言うのはいかがなものか
囚われ過ぎに対しての忠告 余裕をなくしている社会への警告
著者が語るヒットの理由
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