2024年10月29日火曜日

兼題「蓑虫」&「いただきます/ごちそうさま」

秋過ぐ(あきすぐ)や解読できぬ走り書き
風に揺られる紅白の萩の花
秋薔薇や剪定終えてすまし顔
飛沫浴び秋の彫刻凛と立つ
秋陽射し秋の彫刻暖めん

■NHK俳句 兼題「蓑虫(みのむし)」
選者 高野ムツオ ゲスト 能町みね子 レギュラー 中西アルノ
ゲスト俳人 堀切克洋 池田澄子 司会 柴田英嗣
年間テーマ「語ろう!俳句」
蓑虫とは秋に木にぶら下がっているミノガの幼虫
絵本やアニメで親しみがある すごく難しい兼題でした

1 蓑虫に背を向けられているような   堀切克洋
2 蓑虫を飼ふ人ネイル紅(あか)くあり   能町みね子
蓑虫を飼ふ人ネイルますます紅 とする方法もある 
一音外して表現する
3 鬼の子のあはれと書いてあわれと読む   池田澄子
「鬼の子あはれ」というのは枕草子に出てくる清少納言の言葉
「鬼の子のいとあはれなり」ではじまる 蓑虫が蓑を着ている
鬼が蓑を着ているので「鬼の子供だ」言い伝えから始まった言葉
「あはれ」本来は「いいことだ」という意味「とても感動した」
その内に段々「身につまされるような」「かわいそうな」
反対の意味も加わってきた 
両方に揺れ動く所が「あはれ」という言葉の面白さ 不憫⇨趣深い
今の言葉で言うと「エモい」現代は「あわれ」「みすぼらしい」
4 夕焼けチャイム蓑虫にも響く   高野ムツオ
5 蓑虫はなんのこれしきと風をよけ   中西アルノ
「蓑虫は風よけなんのこれしきと」添削 調べを整える
少し儚いものがあった方が良いのでは?
「蓑虫はなんのこれしきと風を受け」「風を向き」添削 

・特選三席発表 兼題「蓑虫」
一席 Wi-Fiが飛ぶ蓑虫がぶらさがる   佐藤秀酔(しゅうすい)
Wi-Fi パソコンやスマホなどのネットワーク接続に対応した機器
二席 蓑虫の蓑美しき粗雑かな   小林土璃(どり)
三席 蓑虫や仮設にひとり越した夜   岡博子

簑虫や知覧の空は澄みわたり   藤田晋一
蓑虫の住所はくぬぎ五番枝   卯之町空
蓑虫や瓦礫に生きる戦禍の子   小倉あんこ
卒寿にて蓑虫の声聞き取れり   おかだみのる
蓑虫とだいだらぼっちの居りし山   市川我芭夫
蓑虫や最後は一人の帰り道   林園子

■ NHK短歌 テーマ「いただきます/ごちそうさま」
選者 枡野浩一 ゲスト 山本ゆり 司会 尾崎世界観
年間テーマ「あなたへの手紙 かなたへの手紙」

番台へ「ごちそうさま」と言いそうで言わないように気をつけて出る
枡野浩一
未遂であることが大事なのかもしれない

・31音の手紙
入選九首 テーマ「いただきます/ごちそうさま」
死ぬまでに一度でいいから「ごちそうさま」できれば「おいしかった」と言ってよ
鴨川富子
二席 私 幸せになれるものならなってみな。いただきますも言えないくせに
津田和樹
「ごちそうさま」なんて言わない家だった母が怒りを吐きだすまでは
髙谷慎司
一席 ひとりでもいただきますは言っているあなたとの約束はそれだけ
琴里梨央(ことりりお)
兄ちゃんはいただきますも言わないで他人の家のプリンを食べる
嶋村純
合掌し「いただきます」とお辞儀する君にいつかはフラれるだろう
小鳥遊湖々(たかなしここ)
感動をSNSに書くまでが外食だから写真に残す
澪那本気子(みおなまじこ)
口は無料(ただ)言っておいたらよかったな「いただきます」も「ごちそうさま」も
さわだみやこ
三席 声出さず「いただきます」と食べ始め病室の夕餉(ゆうげ)まだ十八時
小林一女(いちじょ)

・改悪添削
口は無料(ただ)言っておいたらよかったな「いただきます」も「ごちそうさま」も
改悪(だいなし 調味料たった一つを変えて駄目になった料理)
口先で言っておいたらよかったな「いただきます」も「ごちそうさま」も
短歌はとにかくいろんな言い方で言ってみる
最低でも5案とか10案とか同じ意味のことを10案くらい作れちゃうので
その中から一番しっくりくるものを選んでいく
選者がいいと言ったからといって安心しないでほしい
私はしっくりこないというものは一生考え続けてほしい

・山本ゆりさんの短歌
「ごはんやで」まだできないが呼んでおくどうせそこから五分はかかる
山本ゆり
突出して良い句と枡野浩一先生
コミュニケーションのずれは人生には必ずあることだから
折込済みで生きていくことが幸せのコツかな❓とまで考えさせられた
気どっていない所がすごくいい

書いてみたものを他人の目で見る みたいなところが必要
人が書いた文章のように冷たく突き放してみて それに違和感を
感じた時に直すみたいな作業が文章を書く能力って全部そうだと思う
時間が経つというのが大事なことで10年経って読んだら
自分の作品は駄目なものが殆どでこれだけがいいというのに気づける
時間をかけるか時間の短縮のために人に見てもらう味見してもらう

・言葉のバトン
詩奏(うたかなで)行く先々に幸せを
秋田県立大曲農業高校 太田分校 山方萌佳

風船葛(かずら)の中に込めて
星野高校(埼玉県) 文芸部 金子舞
ビスケットみたいな語彙で綴られた詩(うた)を紙面に並べる時間
金子舞(3年)
私感 自分を表に出した方が良いのでは?
ぶりっこが人生の邪魔になる日が近いのでは…。

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