2024年10月14日月曜日

兼題「秋茄子」&題「音」

湧き出づる力を込めた長き夜
地虫鳴く老いて無限の成長す
父の居た花と語らう秋の庭
(所信表明演説)冬近しデフレの定義違えをり
秋寒しスタグフレーションではないか❓

■NHK俳句 兼題「秋茄子」
選者 西山睦 ゲスト 南うみを 司会 柴田英嗣
年間テーマ「やさしい手」

豊の秋分け入ってゆく一詩人   西山睦
(豊の秋=秋の収穫を寿ぐ 喜ぶ言葉)
若葉風喫茶店までパンはこぶ   南ゆふこ(うみを氏のお嬢さまの句)
今回は野菜作り×俳句

猪除(ししよ)けの燻(くす)べに藪(やぶ)のぞめきだす   南うみを
ぞめきだす=ザワザワとする

吞まれゆく蛙(かわず)や脚を真っ直ぐに   南うみを
写生が写生を超えている 崇高な感じ
トマト
完熟のトマトを夕日よりはづす   南うみを
俳句は「空よりはづす」は割とある表現

野菜は自然のもの 俳句は有季定型 必ず季語が入る
季語は季節の言葉 季節は循環する自然 
両方「自然」という意味では繋がる
自然や命のありようを受け止める 肯定することが大事
句作りの一番大事な思い

身体を使って自然と対話して生まれてくる句はすごくうらや
ましい

・今週の兼題「秋茄子」
煮る・焼く・揚げる・父・母・ふるさとの類想が多かった
特選六句発表
秋茄子や油の香る美術室   山下明寿
(油=テレピン油)
亡き夫(つま)の切り戻したる秋茄子(なすび)   池本ヒサ子
(切り戻す=剪定する)
屈(かが)むこと厭(いと)はぬ暮し秋茄子   芹澤由美
ひろびろと畑にひとりや秋茄子   堀部一良
秋茄子や妻に土壌に恵まれて   村田雅松(がしょう)
鉄路より低く住み古(ふ)り秋茄子   笹沼郁夫

特選三席発表
一席 秋茄子や衰へ知らぬ母なりき   島崎有造
(「なりき」=連体形で止めている 余剰を込めている)
二席 秋茄子を洗はなけふのシネマみて   近藤ひろこ
(シネマは小津安二郎?オードリー・ヘップバーン?
洗はな(古文)願望を表す助動詞)
三席 父からの文(ふみ)なき便り秋茄子   大洋
(「男のハニカミ」が出ている)

・俳句やろうぜ 黒岩徳将
俳句づくりをはじめて20年 中矢温さん(25歳)
難民のキャンプに轍天の川   中矢温(のどか)
今回の俳人 昔からの知り合い?
中矢さんが中学卒業した春に宮城県の俳句コンクールで出会った
高校に入ったら「俳句甲子園」に出たい!
ただ者じゃないと思った
俳句との出会い
5歳 父が新聞投稿が好きな人 兄弟3人に俳句の作り方を教えてくれた
地元の「愛媛新聞」子供の俳句欄に投稿掲載された
中矢三兄妹の俳句
山わらう力をこめてそばを打つ   中矢元
いきさきはプラネタリウムほーほけきょ   中矢光
かぜふいていっしょにまつよこいのぼり   中矢温
苦手なまま俳句づくりをしていたが中学3年の夏突然俳句好きに
友人のお兄さんが俳句甲子園に出場 応援に行ったのがきっかけ
俳句のイメージが変わった ディベート
お互いの句をより良く鑑賞する時間 マイクを握って話す瞬間
世界の主人公みたいなまぶしさを見て
2016年第19回俳句甲子園に出場
難民のキャンプに轍(わだち)天の川   中矢温(のどか)

野菜は一番身近な「季語」「命を育てる 食べる」

■NHK短歌 題「音」
選者 俵万智 ゲスト 冬野(とうの)ユミ 司会 ヒコロヒー
年間テーマ「光る愛の歌」

水仙をふるさとの花と思うとき暗き海色の花瓶を選ぶ
俵万智(福井に住んでいた時に詠まれた短歌)

明るさを支える深い暗さマイナスのイメージではなく
光を支える暗さとして海を感じた

今の時代目から入る情報が多いので耳を澄ますことはすごく大事
ということで…。

・入選九首 テーマ「音」
風の音は聞こえぬけれど立秋を過ぎて物干すときの涼しさ
高原晴子
(古今和歌集の立秋の日の詠まれた歌の本歌取りという技法
 古の歌を踏まえると奥行きが出る 読むほうも二重に楽しめる
 秋来ぬと目にはさやかに見えねども風のおとにぞおどろかれぬる
 藤原敏行「古今和歌集」)
行き先を告げずに発車するような電子ピアノの自動演奏
大津穂波
 入選なら今日にもはがきが来るはずと単車の音を嗅ぎ分けており
高橋久美枝
二席 子の声が音に聞こえる私からのSOSだケーキを買おう
小出知美
音を立てて啜(すす)る珈琲(さっきのはやはりセクハラだったと思う)
芍薬
 音速で届く「好き」より光速で届いたあなたの表情が好き
大王グループ
 11時2分を鐘の音が告げるみんなはカフェの話をしてる
三戸茅夜子(ちよこ)(静かに平和を感じる歌 11時2分 長崎)
一席 「ドン!」という音にベランダ出ることを平和と呼ぶか花火が開く
広木登一
三席 階段を上る足音待ちわびたあのアパートは取り壊された
さわだみやこ

・「光る君へ」で短歌を10倍楽しもう!
「羽音」平安時代の雅だけどちょっと怪しい感じを出したくて作った

秋風のうち吹くごとに高砂の尾上の鹿の鳴かぬ日ぞなき
「拾遺集」よみ人しらず
万智訳 飽きられて吹く秋風になく鹿のように私も泣かぬ日はない
「秋風」と「ひとに飽きられる」がかかっている
鹿の鳴く声は異性を求めて鳴く声
ある種のステレオタイプな発想がみんなに染み付いている
歌がうまいかどうかが妻選びのひとつの基準
いかに和歌が大事だったか

冬野ゆみさんの音楽を作るときの気持ちは❓
記号にならない 音楽でいたい 音楽で決めちゃいたくない
不必要な音楽にならないほうがいい
素晴らしい映像には音楽はいらない

短歌を作るときの言葉選びにも共通する
記号の「悲しい」言葉を使うとつまらない歌になってしまう
言葉がいろいろな表情に見えるとき「悲しい」歌になる

見ている人・詠む人の想像力をかき立てるような作品であるべき

短歌づくりのポイント
感情そのままの言葉ではなく、ずらしたり逆の表現をしてみる

くせつよと言われるたびにふふっふふ今日も今日とて88鍵
冬野ゆみ
冬野ゆみさんにとっては「くせつよ」は最高の誉め言葉
チーフ監督・中島さんのために企んでこの後も彼女に
「ふふっふふ」と言ってくれるように今日も曲創りをしているという歌

・言葉のバトン
〈アリア〉というハンドルネームの友だちは
ベテランち こと 青松輝(あきら)(歌人)

大気の奏でる曲のような娘 
奥銀次郎 青森県立八戸西高等学校
花を手向けているように手を擦(こす)る何億世代目のキンバエは
奥銀次郎 
アリア(伊・aria)空気・大気 オペラなどで歌われる独唱曲
第19回全国高校生短歌大会 優勝!おめでとう!

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