艶やかに欅や紅葉(大藤)薬師堂
群れなした化粧軍団花鶏(あとり)かな
懸命に木の実啄むつぐみかな
鶫(つぐみ)来し絶えぬ食欲眼力よ
鵯(ひよどり)や口とがらせて逃避せり
■10min.ボックス現代文 坊ちゃん(夏目漱石)
親ゆずりの無鉄砲で子供のときから 損ばかりしている。
小学校にいる時分、学校の二階から飛び降りて、
一週間ほど腰を抜かしたことがある。なぜそんなむやみをした、
ときく人があるかもしれぬ。べつだん深い理由でもない。
新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、
いくらいばっても、そこから飛び降りることはできまい、
弱虫やーい、とはやしたからである。人におぶさって帰ってきたとき、
おやじが大きな目をして、二階ぐらいから
飛び降りて腰をぬかす奴があるか と言ったから、
この次は抜かさずに飛んで見せますと答えた。
四国松山に赴任した坊ちゃん
二時間目に白墨を持って 控所を出た時には何だか敵地へ
乗り込むような気がした。教場へ出ると今度の組は前より
大きな奴ばかりである。おれは江戸っ子で華奢に小作りに
出来ているから、どうも高い所へ上がっても押しが利かない。
喧嘩なら相撲取とでもやって見せるが、こんな大僧を四十人も
前へ並べて、ただ一枚の舌をたたいて恐縮させる手際はない。
しかしこんな田舎者に弱身を見せると癖になると思ったから、
なるべき大きな声をして、少々巻き舌で講釈してやった。
新人教師VS生徒たち
「なんでバッタなんか、おれの床の中に入れた」「バッタ何ぞな」
と真先の一人がいった。やに落ち付いていやがる。
この学校じゃ校長ばかりじゃない、
生徒まで曲がりくねった言葉を使うんだろう。
おれはバッタの一つを生徒に見せて「バッタたこれだ、
大きなずう体をして、バッタを知らないた、何の事だ」というと、
一番左の方にいた顔の丸い奴が「そりゃ、イナゴぞな、もし」
と生意気におれを遣り込めた。
教頭のなにがしというのがいた。これは文学士だそうだ。
この暑いのにフランネルのシャツを着ている。
文学士だけにご苦労千万な服装(なり)をしたもんだ。
しかもそれが赤シャツだから人を馬鹿にしている。
おれと同じ数学の教師に堀田というのがいた。
これは逞しい毬栗(いがぐり)坊主で、
叡山の悪僧というべき面構である。
やあ君が新任の人か、ちと遊びに来給え
アハハハといった。何がアハハハだ。
この坊主に山嵐という渾名(あだな)をつけてやった。
画学の教師は全く芸人風だ。べらべらした透綾(すきや)の羽織を着て、
扇子をぱちつかせて、御国はどちらでげす、え?東京?そりゃ嬉しい、
お仲間ができて… こんなのが江戸っ子なら江戸には
生まれたくないもんだと心中に考えた。
赤シャツと山嵐との戦いに巻き込まれる
おれはいきなり袂(たもと)へ手を入れて、玉子を二つ取り出して、
やっといいながら、野だの面へたたき付けた。玉子がぐちゃりと
割れて鼻の先から黄身がだらだら流れだした。野だはよっぽど
仰天した者と見えて、わっと言いながら、
尻餅をついて、助けてくれといった。
「だまれ」と山嵐は拳骨(げんこつ)を食わした。
赤シャツはよろよろしたが、「これは乱暴だ、狼藉(ろうぜき)である。
理非を弁じないで腕力に訴えるのは無法だ」
「無法で沢山だ」とまたぽかりと撲(なぐ)る。
「貴様のような好者はなぐらなくっちゃ、答えないんだ」
とぱかぽかなぐる。
船が岸を去れば去るほどいい心持ちがした。
神戸から東京まで直行で新橋に着いた時は、
漸く娑婆へ出たような気がした。山嵐とは
すぐ分かれたきり今日まで逢う機会がない。
■プロフェッショナルの仕事の流儀
伝説のバンカー 最前線の攻防
スタートアップ育成の陰の立役者 銀行員 大櫃直人
伝説のバンカーと呼ばれる銀行員がいる。
かつてメガバンクの常務を務めながら、
あえて現場に立ち、誰よりも営業に駆け回る。
実績のない若い企業にも融資し、
伴走し、“リアル半沢直樹”と慕われる。
トップ営業マンとして数字を追いかけた20代、
1つの失敗をきっかけに出世レースから脱落した。
50代にして見つけたバンカーとして生きる意味。
これまで堅く閉ざされてきた、経済の中枢。
バンカーの正義をかけた戦い。
参照:https://www.nhk.jp/p/professional/ts/8X88ZVMGV5/episode/te/JM5M5MQ41Q/
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