2024年10月13日日曜日

源氏物語の花&「たまの兎」&「鰍(かじか)」

赤蜻蛉(とんぼ)小さき命の羽音かな
長き夜叶わぬ夢は夢のまま
生じるもの全て滅す肌寒し
椋鳥や撓む電線ゆ~らゆら
気をつけて頬張る葡萄落つ果汁

■夏井いつき俳句チャンネル
【第2回】楽しい日本語【たまの兎】

【たまの兎】の意味を知らない状態で一句
秋風や偶(たま)の兎を待つなかれ   夏井いつき
卵に生まれて玉の兎と呼ばれけり   ローゼン千津
珠(たま)の兎べつかふあめの夜店かな   家藤正人

「たまの兎」とは
月の中に住むと考えられていた兎。また、月の異称。玉兎である。

【たまの兎】の意味を知ってから一句
たまの兎つきの兎と唄うてやる   ローゼン
飢ゑありきたまの兎を見上ぐのみ   夏井いつき
たまの兎愛されぬ指持て余す   家藤正人

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「鰍(かじか)」

魚に秋と書いてかじかと読みます
文字のとおり魚になるわけです
本州や四国そして北九州に生息している淡水魚
4~10㎝位の大きさだそうです
きれいな谷川の浅瀬に棲んでいる魚だそうです
季語で「かじか」と聞いた時にうっかり
勘違いしてしまう人もいるかもしれません
よく川辺から聴こえてくるきれいな鳴き声
あれ「かじか」だよねっていろんな俳人と
一緒に近くに行くと言ったりするんですけど
実はあの鳴き声は蛙 河鹿蛙(カジカガエル)
という種類の鳴く声になります
こちらは夏の季語になるんですね
魚の方の「鰍」は秋の季語になります
覚えておきましょうね

■「源氏物語の花」を歩く~植物探偵・紫式部~
かの見つる先々の 桜、山吹をいはば これは藤の花とや いふべからむ

先に見た女君がたが桜や山吹のように美しかったと喩えようなら
さしずめこの姫は藤の花とでも言った方がよかろうな
高い木に這いまつわって花房がふっさりと咲いてそれが風になびく
その美しさはきっとこんな風情であったろうにな
「謹訳源氏物語」より

花の香は 散りにし枝に とまらねど 移らむ袖に 浅く染(し)まめや

私が調合したこの花の香りは花が散ってしまえば枝には残らないでしょうが
焚き染めてくださる明石の姫君の袖には深く残ることでしょう
訳 高野晴代

心あてに それかとぞ見る 白露の 光そへたる 夕顔の花

当て推量にあなたさまでしょうかと思います 白露のような
美しさを受けこちらの夕顔も一層輝きを増しています
訳 高野晴代

末遠き 二葉の松に 引き別れ いつか木だかき 影を見るべき

行く末の遠い二葉の松のような幼いこの姫君と離ればなれになって、
いつの日か、大きく成長した姫君の姿を見ることができるのでしょうか
訳 高野晴代

二葉とは 松葉の付き方 
ゴヨウマツは五枚の葉が出ている⇨五葉の松
赤松・黒松⇨二葉の松
紫式部は その片方は母 もう片方は娘
母と娘の悲しい生き別れのストーリーを考えだした
鋭い観察眼

ものを思うと 過ぐる月日も 知らぬ間に 年もわが世も けふや尽きぬる

物思いばかりして月日の過ぎ行くのを気づかずにいる間に
こうしてこの一年もまた私の生涯も今日で終わってしまうのか
訳 高野晴代

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