2024年7月31日水曜日

100分de名著 キャンベル❝千の顔をもつ英雄❞(4)帰還-社会への還元

風の香画面に友のプロフィール
夢追いかけたあの日あの時夏惜しむ
風死すやほてり治める手立てなし
扇風機どこへ行くにも連れ歩き
熱帯夜エアコン点けて深呼吸

■100分de名著 キャンベル❝千の顔をもつ英雄❞(4)帰還-社会への還元
佐宗邦威 伊集院光 阿部みちこ

生命の根源を看破したり、人間の男女や動物に姿を変えた
神の恩寵を受けたりして英雄が探求をまっとうすると、
今度は自分の人生を一変させる勝利品を携えて
帰還の途につかなければならない。

帰還を邪魔するものと出会う
自分が得た勝利品を世界に恵みとして還元する
笑いを誘う逃走劇

古事記 イザナギ イザナミ
「あなたがすぐにいらっしゃらないので、悲しい思いをしておりました。
 (中略)黄泉の国の神々と相談してまいります。その間、
 けっしてわたくしをご覧にならないよう気をつけてください

「わたくしに恥をかかせましたね」

リップ・ヴァン・ウィンクル
アメリカのオランダ系移民に伝わる伝説中の人物

楽園の1年が地上の何十年にも当たる神話にはよくあるモチーフ
英雄たちが勝利し至福を感じた時 猥雑(わいざつ)な現世に戻ると
そのギャップに苦しむ 

英雄は現世への帰還を迷う

伊集院光
オレがいなくても世の中回る
あくせくしてもしょうがない
体力的に頑張れたとしても限界を超えていることがあることを学んだ

帰還した時に改めて自分の成長に気づく
成長に気づけるから還元できる

成功例
グリム童話「眠りの森の美女」
永遠という名の王子が世界という名の王女にキスすると、
王女は抗うのをやめた。王女は目を開け、目を覚まし、
なつかしそうに王子を見た。二人がそろって階段を下りると、
王が目覚め、王妃も家臣たちも目覚め、
目を大きく見開き、たがいに見つめ合った。中庭の馬たちは
立ち上がって胴ぶるいをし、猟犬たちは飛び上がってしっぽを振った。
屋根にいたハトたちは翼の下から小さな頭を出し、
周りを見回し、野を超えて飛び去った。
壁にとまっていたハエはまた歩き出し、厨房の火は
赤々と燃えあがり、晩餐の調理に取りかかった。
あぶった肉が再びジュージューと音をたて始め、
調理人が皿洗いの少年の横っ面を張り飛ばしたので、
少年は大声で泣きわめき、下働きの女は鶏の毛をむしり終えた。

帰還しない英雄
現代の英雄とは
かつて、意味はすべて集団の内部、巨大で無名のかたちの中にあり、
自己表出する個人の中にはなかった。ところが現代社会では、
意味は集団の内部にはなく、世界にもない。全て個人の中にある。
全員が共有できる大きな物語が亡くなった時代
一人一人が小さな物語を持つ必要性がある

神話の存在が難しい理由
佐宗邦威
時間の移り変わりが早く物語が形成される余裕がない
現代ではSNSで物語というよりは
その場その場での個人の語りがばらまかれる時代
伊集院光
(SNS上では)神話として説得力のある人を蹴落とす作業も行われている
自分はこの物語を生きたいという自分の中のものはより大切になる
佐宗邦威
10年20年というスパンで改めて生きてきた時間を長い時間軸で振り返る
自伝みたいなものを編纂(へんさん)する

ジャーナリスト ビル・モイヤーズに新しい神話は生まれるか?と問われ
ごく近い将来、考えるに足る唯一の神話はこの惑星について語ったものです。
都市ではなく、そこの住む人々でもなく、地球という惑星と
その上のあらゆる人間について語ったもの。
そして、その神話が扱うであろうことは、
あらゆる神話がこれまで扱ってきたものと全く同じです。
個人の成長-依存から脱して、成人になり、成熟の域を
通って出口に達する。そしてこの社会との関わり方、また、
この社会の自然界や宇宙(コスモス)との関わり方。
それをすべての神話は語ってきたし、
この新しい神話もそれを語らなくてはなりません。
しかし、それが語るであろう社会は、この惑星の社会です。
月からこの地球を眺めると、国と国を隔てる境界線など
なにも見えません。実際、それは新しく生まれる神話の
象徴かもしれません。それは私たちが祝福するであろう国。
それこそ私たちが一体になれる人々です。
「神話の力」訳飛田茂雄

地球規模の神話を考える
佐宗邦威
地球全体という目線を持って神話を作ることができれば
人類は新たなフェーズに行ける 
キーワードは「気候変動」のような地球規模で共有するテーマ

人生で2回か3回物語を生きていく時代
旅を繰り返しながら螺旋階段状に繰り返しながら成長していく

キャンベルの言葉
「神話は絵空事じゃない
 その神秘を知りつつ 
 人生を生きることが大切だ」

神話的にものを考えることは、あなたがこの「涙の谷」において
避けられない悲鳴や困苦と、折り合いをつけて生きるのを助けてくれます。
あなたの人生のマイナス面だとかマイナスの時間だと
思われるもののなかに、プラスの価値を認めることを神話から学ぶのです。
大きな問題は、あなたが自分の冒険に心からイエスと言えるかどうかです。
(中略)英雄の冒険に。本当に意味で生きる、という冒険に。
「神話の力」訳 飛田茂雄

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