2024年7月22日月曜日

兼題「涼し」&テーマ「休日」

思い切りさかむけ引いた夏の宵
暑熱の拍手グランドハンドリング
雷鳴や声優のごとアナウンサー
落雷やしなくてもよい経験を
記憶力武器とする人苔の花

■NHK俳句 兼題「涼し」
選者 木暮陶句郎 ゲスト May J. 司会 柴田英嗣
テーマ「季語を器に盛る」

「涼し」五感に訴える季語 耳から風鈴の音を聞けば涼しく感じる
目の前に滝が落ちていれば滝の白さとかマイナスイオンが来て涼しい
感覚に訴える 喧嘩をしてはらわた煮えくり返っていると
どんなに涼しい風が来ても涼しいとは思わない
内面的にも涼しさを感じられるかはその人の心理状態による
そこが「涼し」という季語の深さ

どの子にも涼しく風の吹く日かな   飯田龍太
一番暑い盛夏の中で涼しさを感じる時が気持ちいい
そういう意味が込められている

作品 グランブルー
深海をイメージ 海の奥底に自分たちが行けない深い海がある
その生みの涼しさをイメージした

▪特選六句発表 兼題「涼し」
手相見(てそうみ)の声ひそひそと路地涼し   門脇隆子
(その人の未来が占い師に見えている それを涼しく感じた)

古伊万里のからくさもやふ卓涼し   奥田圭衣(けい)
(「からくさもよう」の筆遣いにも通じる ひらがなのイメージ)

曜変天目(ようへんてんもく)八百年の涼しさよ   太田正樹
(中国では評価されなかったが日本に渡って来て高く評価されて

今、3つだけ残っている 模様は偶然に出たもの 玉虫みたいな
模様が800年前に出た 時空を超えた涼しさ) 

涼しさや帆布のリュック草に置き   北入はるか
(帆布 ヨットの帆に使う布 体験を通して涼しさを醸し出している)

夕涼や改札出れば妻と犬   木暮肇
(「涼し」傍題…朝涼・夕涼・晩涼)

夕涼やベンチに残る木の記憶   伊藤映雪
(様々なことを想像しつつベンチに座る そのこと自体が涼しい
 夕方の涼しさも加味した 「木の記憶」というのがいい)

▪特選三席
一席 離婚して涼夜のコインランドリー   小川野雪兎
   (すべてを洗い流して未来をPositiveに詠んでいる 
    中七・下五がスムーズ 一直線に胸に迫ってくる)

二席 波打際の踵失せゆく涼しさよ   高橋淳子
    (中七にして記情緒を感じた 消えていく透明感が涼しさに…)

三席 涼しさやブラッディマリー舌に沁み   小澤正明
   (ウォッカにトマトジュース(血)を加えて作るカクテル 
    メアリー1世に由来する 即位した際300人を処刑している)

▪俳句やろうぜ 若手俳人探査隊長 黒岩徳将
ユーモアとわかりやすさの俳句 筑波大学3年生
西野結子
雑誌「むじな」東北にゆかりのある平成生まれの俳人たちの同人誌
桑の実があるし食べてもいい大学   西野結子
紙コップまとめて捨てる夏未明   西野結子

黒岩 推しの俳句
ばんと言うてもぴゅうと出る水鉄砲    西野結子
は ハッとする部分 い いいねの部分 く くやしい部分
「ばん」で吃驚。相撲「猫騙し」
水鉄砲の音で遊びを描写。トホホ感 
「ばん」と「ぴゅう」音のギャップで表現
オノマトペ「ばん」「ぴゅう」両方の音でギャップ

▪May.J.の一句
声ひとつあついステージ心(しん)涼し   May.J.
俳句は三段切れを嫌う「上五・中七」か「中七・下五」をつなげる
添削(「八・九」の句またがり トータルは17音 俳句の余韻を残しておく)
あつき胸の奥

▪柴田の歩み
「ふっ」と笑える句 書いてみたい

■NHK短歌 テーマ「休日」
選者 大森静佳 ゲスト 早見沙織 司会 尾崎世界観(金髪になっていた)
テーマ「❝ものがたり❞の深みへ」

異なった曲を奏でるわたしたちの拍が合ふ日を休日と呼ぶ
飯田綾乃

休符
止まった瞬間、音は鳴ってないけど逆にインパクトがある

▪歌に❝ものがたり❞あり
入選九首 テーマ「休日」
寝て起きてまたすぐ眠る日曜はあんまり嘘をつかずに過ぎる
佐藤橙(だいだい)

人生の休日ですねと医者は言うそれなら海に行きたかったな
山本萌(めぐみ)

一席 日曜の夜に風船ふくらます土曜の朝まで浮かぶつもりで
菊池茎

ひかってたみずいろだったカレンダー一枚ぜんぶ休日だった
富尾大地

どこへでも行こうと思えば行けるからどこへも行けない天上きれい
二宮珊瑚

連休を知らぬ私は平日に一番高いクレープ食べる
中里正樹

三席 私 女の声いくつも出して休日のわたしを電化製品が呼ぶ
北清水麻衣子

チンアナゴ見つけてひざまづく君がすこし人間からとほくなる
佐藤研哉

二席 私 休日はだあれも傷付けなくていい裸足で床をやわく踏みつつ
浅香由美子

▪ものがたりの深みへ
「ローマの休日」のアフレコ

普通の女の子バージョン
雨のなかを歩いてみたいの今日だけは微笑みを大笑いに変えて
大森静佳 ⑥⑧⑤⑤⑨
王女バージョン
叶うならきみに隣でえりあしに雨のしずくをまとって歩む
大森静佳

▪言葉のバトン
青々と匂う木々たちリズム風
長沼七海 書店員

バンドやろうか還暦だもの
國兼秀二「短歌研究」編集長
短歌研究は寺山修司らもデビューさせた
「アイドル歌会」も企画
短歌の世界と短歌じゃない世界との
通路を作って出入りを自由にすること
そのガイドをするのが役目だと思っている
売れることだけがすべてじゃなくて
自分のために(短歌を)作ってきた人たちもたくさんいて
短歌の文化はその人たちが担っているところがすごくあるんですね
本当に還暦バンド始めました 楽しいですよ 
含羞(がんしゅう):はじらい もありつつ
「まあいっか」みたいなところを
「還暦だもの」という言葉に込めてみました

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