夏の朝鳶の悲鳴の響きをり
喉を締め喘(あえ)ぐ夏鳥群れをなし
送り梅雨(おくりづゆ)人生いつも予定外
開店前ドラレコ止めて拭う汗
■HHK俳句 兼題「目高」
選者 西山睦 ゲスト すずき巴里 司会 柴田英嗣
年間テーマ「やさしい手」
涼しさや子どもの視線に膝をつき 西山睦
▪俳句三選
植物(自然)
腕白を撫でれば素直ゐのこづち すずき巴里
乗り物(バス)
風薫る町をピンクの園児バス すずき巴里
子どもたちの俳句
すいちゅうかみずがにおいをかぎました 水井智(とも)菜(6歳)
ゆきあそびつかれてねむるそりのうえ 山来依央(5歳)
▪今週の兼題 兼題「目高」
めだかアリマス刃物トギマス日商い 手塚直人
目高からモールス信号の便り 村越縁(ゆかり)
目高切り返す志望校下げよう 四條たんし
反抗期目高の餌はちゃんとやり 髙山俊郎
ごはんだよ目高の耳に云うてゐる 北清水麻衣子
先生がいちばん陽気目高取り 滝田孝子
▪特選三席の発表
三席 出鱈目な父の鼻歌めだかへ餌(え) 播磨陽子
二席 目高散るときをり空のいろとなり 押見(おしみ)げばげば
一席 アダムとイブ目高一対水甕(かめ)へ 佐藤強
▪俳句やろうぜ
若手俳人探査隊長 黒岩徳将
ユーモアとわかりやすさの俳句
筑波大学3年生
ぱんと言うてもぴゅうと出る水鉄砲 西野結子(22歳)
俳句甲子園 西野さんの好きな句
新涼や嫌いなやつの良いところ 武田鮎奈
▪柴田の歩み
人のまねをしない
「嬉しい」「楽しい」は使わない
■NHK短歌 テーマ「旅」
選者 俵万智 ゲスト 矢部太郎 司会 ヒコロヒー
年間テーマ「光る愛の歌」
ふるさとの母のぬくもり部屋中に母は機織り趣味なんです…よ
矢部太郎
▪入選九首 テーマ「旅」
取りやめた二泊三日のローションがプラスチックの小瓶に揺れる
小野小乃々(おののこのの)
二席 私 引き出しに日本中の耳かきがお国自慢のこそこそ話
澤美奈子
「物産展にもあるけれど」きみの手が運んでくれた白い恋人
吉野夏海
ハセガワの足の長さがバレるので修学旅行は制服でいい
福永昭子
遠足は屋内レクにおぼろ昆布で包むおにぎり
塩本抄(しょう)
私 千葉のをのこが神戸のめのこに声かけし修学旅行のありて我あり
印出(いんで)美由紀
一席 旅先の窓に干柿吊るされて私のいない明日を思う
髙田祥聖(しょうせい)
三席 この国の水の硬さに手を濡らすホテルのシャワーがお湯になるまで
久藤さえ
私 旅でなく旅行と呼べばそのうちにふらっと帰ってきそうな葬儀
仲原佳
▪「光る君へ」で短歌を10倍楽しもう!
かきくもり夕立つ波の荒ければ浮きたる舟ぞしづ心なき
紫式部
万智訳
曇る空、夕立に波荒くなり不安に揺れる船も心も
短歌づくりのポイントは「引き算の美学」
・表現の「引き算」で読者に想像の余地を
説明をたくさんするほど伝わる訳ではない
余白を残して想像の余地も含めて手渡す勇気
短歌はすごく短い詩のかたちなので それが
できるかできないかはすごく大事なこと
足し算でつめ込んでしまいがち安心したくなるが
「引く」という気持ちで作ることが大事
和歌の世界では歌枕が発達した
有名な歌が詠まれたところを歌を通してみんなが想像する
あるいは地名から空想させるものを継ぎ足していく
歌枕はみんなで地名を豊かに歌で育てていく文化
これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関
蟬丸
「逢う」は男女があうことにもつながるので
恋愛の雰囲気もまとうような歌枕になる
心の飛ばし方という点では現代の私たちに
欠けているものを教えてくれる気がする
・「歌枕」のようにイメージから妄想することも
旅の歌を詠む方法の一つ
▪言葉のバトン
野原が花で満ちてくように
コールレイ
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青々と匂う木々たちリズム風
長沼七海 書店員
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