夢を追う人のまなざし風光る
また花火春の眉山の火炎の香
急速な花火の進化春の夜
春を詠む自然の理解なきままに
目を閉じん春の蜜柑のとろけ来る
■NHK俳句 兼題「春塵(しゅんじん)」
選者 村上鞆彦 ゲスト 南杏子
レギュラー 家藤正人 中西アルノ 司会 柴田英嗣
年間テーマは人生を詠う 今回のテーマは「死・命」
南杏子さんの小説は「終末期医療」を題材にした作品が多い
「機嫌よく生きると決心すること」がキーワード
生きている放物線の最後が死
死ぬときは箸置くやうに草の花 小川軽舟(けいしゅう)
「箸」という日常的なもので死に方の理想を述べている
「草の花」は秋に咲く名もない楚々とした花
上五中七の密やかな思いを季語が受け止めている
日常の地続きに死がある
▪特選六句発表 兼題「春塵」
いつか弾くショパンの楽譜春の塵 君島忍
春塵やガラスの中の時計店 石原美枝子
(表通りに吹いている砂嵐の質感)
春塵やサーカスを待つ大空き地 西爽子(そうこ)
(春塵とともにやって来て去ってゆく)
春塵にめがねざるめをこすりけり 吉田詳(しょう)
私 春塵を吹き天金(てんきん)の書の目覚(ざ)む 岡本戒(えびす)
(1頁目を開いたら本自体が眠りから覚めたそれを読む私の心も目覚めた)
校庭にガザの春塵降ってきた 藤田晋一
(「校庭」という当たり前の日常にふと戦争が入り込んでくる
日常と戦争は紙一重ということも象徴している句)
▪夏井家伝来!家藤正人と中西アルノ+柴田英嗣
0から俳句最終回
柴田英嗣と中西アルノが松山で挨拶句を発表!
ご挨拶句発表
風光る伊月庵でのたちばなし 柴田英嗣
道後ロケ肌潤すはみかんかな 柴田英嗣
(下手な観光案内)
戦国の狭間(さま)抜け今年の春一番 青山ネモフィラ
言葉へのアンテナをたてておこう 夏井いつき
▪今日マチ子、今日の一句
花冷えや母の入所を先延べし 南杏子
▪特選三席発表 兼題「春塵」
三席 出さぬまま失せし手紙や春の塵(ちり) 桑原規之
二席 春塵降る虎の咆哮(ほうこう)として降る 伊藤映雪(えいせつ)
(阪神タイガース今年もやるぞ~!という雄たけびの句と南先生)
一席 金粉も混じりてをらむ春の塵 正谷民夫
(何事もプラス思考に捉え直す 美しさと繊細さがある)
▪柴田の歩み
南さんのような多趣味に!!
■NYK短歌 テーマ「批判するまなざし」
選者 𠮷川宏志 ゲスト 梯久美子 司会 尾崎世界観
年間テーマ 実感的 表現力アップ「組織」
社会や世界に対しての違和感・怒りを込める
いじめるのが巧い男が上に行く組織とは何か背の冷えて去る
吉川宏志
▪入選九首 テーマ「組織」
私 吸い物にお湯を注げば下っ端の本音のような麩が浮き上がる
岩倉曰(いわく)
高野川を挟んでスピーチの特訓あり先輩右岸新人左岸
久保田洋二
私 芋掘りの園児の指が少しずつ陽にあててゆく地下の組織図
たんかちゃん
三席 派遣われの机とばして置かれゆく社員旅行の集合写真
原田浩生(ひろお)
組織図のどこにもいないわれの名をお客さんだけが覚えてくれた
大津穂波
一席 退職する人とおんなじ花束をもらい今日から産休に入(い)る
深影(みかげ)コトハ
日曜の社内チャットに「就業」の緑のマーク一を数へをりたり
犬山裕之
お向かいのにいちゃんのことを「先輩」と吾子は呼びだす四月になれば
勇希
二席 「船の音ここまで届くもんだね」ともうすぐ辞める職場の人が
佐藤橙(だいだい)
組織を歌うことで自分が見える
▪入選あと一歩
わが検査課の合否に不服ありとしてのりこんでくる塗装課の群れ
奥武義 添削
検査課で決めし合否に不服だとのりこんでくる塗装課の群れ
(「乗り込んでくる」と言えば自分がいると解るので「わが」は削除した)
▪表現の最前線
半田良平(1887~1945)
若きらが親に先立ち去ぬる世を幾世し積まば國は榮えむ
半田良平(逆説的な表現 気持ちを歌に込めるしかなかった 𠮷川)
(時代の証言みたいなもの 梯)
梯久美子 表現の最前線
散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道
軍人の短歌 訣(けつ)別電報 辞世の歌
国の為重きつとめを果し得で矢弾尽き果て散るぞ悲しき
仇討たで野辺には朽ちじ吾(われ)は又七度生(あ)れて矛(ほこ)を執らむぞ
醜草(しこくさ)の島に蔓(はびこ)るその時の皇国(みくに)の行手(ゆくて)一途に思ふ
国の為重きつとめを果し得で矢弾尽き果て散るぞ口惜し
新聞掲載では改ざんされていた
「悲しき」は最高指揮官が言ってはいけない言葉だった
本土から武器弾薬が全然届かなかった
2万人の部下がいて95%が亡くなった
これは告発を含んでいる
どうしても歌わずにはいられなかった
人間性のなさが伝わってくる
「言葉を変えたら現実も変わる」という発想がある
歌とか言葉の持つ力をみんな信じていた
この歌は時代の証言であることを現代に伝えてくれている
インタビューをお願いして話していただけることは奇跡的なこと
作品として出すことは決して上品なことではない
書くことの暴力性は忘れないでいようと思っている
それでも書くって思った時に書く
確かに後ろめたさがある
何を取材したいと思うか今までの人生の考えが表れる
私が書く必然性を探る
作品を作るのは自分の為
自覚が必要
吉川宏志氏 纏めの言葉
自分は狭い世界にいるんだけど他の世界に
つながっているということを実感した。
素晴らしい経験だった。
▪ことばのバトン
声が射す鋼宿(はがねやど)せし心根に
浪曲師 天中軒すみれ
⇩
真に活きるは闘うことだ
ラッパーBina(イラン出身クルド人)
世界最大の国家なし民族クルド人
多くの虐待などに対して闘ってきた
BERXWEDAN JIYANE(生きるとは闘うことだ)それを短歌にした
0 件のコメント:
コメントを投稿