2024年3月6日水曜日

源氏物語の女君たち(4)六条御息所

ないものねだりするに及ばず春北斗
(エピクテトス)容赦は復習に勝る春の空
蠟梅や譜面に載せた宇宙かな
牡丹雪時期尚早の削除あり
松毟(まつむしり)丁寧にして大胆に

■源氏物語の女君たち(4)六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)
藤井由紀子先生

光源氏の正妻 葵の上 もののけに取りつかれて命を落とす
もののけの正体は六条御息所の生霊だった
生霊となったきっかけは賀茂祭(かものまつり)での車争い
六条御息所は光源氏の愛人で7歳年上だった
御息所とは帝や東宮がお休みになった所
東宮の子供を産んだことのある人
斎宮に任命された娘と都を離れようかと逡巡(しゅんじゅん)
葵の上が結婚10年目にして懐妊したのと同じタイミング
そんな時に車争いが勃発

平安一口メモ
~平安京~
光源氏の家は「二条院」
六条御息所の家は六条にあった
車争いが起こったのは東に鴨川が流れていて北に賀茂神社のある場所

ものも見で帰らむとし給へど、
帰ろうと思ったけれど
通り出でむ隙もなきに、
通り抜ける隙間もない
「事なりぬ。」と言へば、
「行列が来た」と声がすると
さすがにつらき人の御前渡りの
そうはいっても光源氏が前を通るのを
待たるるも心弱しや。
待ってしまう心の弱さよ

六条御息所の揺れる女心
六条御息所は数ある女としてはいけない女だった
六条御息所本人もうわさを否定できない
夢を見ていて…。

すこしうちまどろみたまふ夢には、
とうとうとした夢の中で
かの姫君とおぼしき人の、
いときよらにてある所に行きて、
葵の上と思われる人がきれいにしている所に行って
とかく引きまさぐり、
あちこち引きずりまわし
うつつにも似ず、
現実とは違い
たけくいかきひたぶる心出で来て、
どう猛で恐ろしく乱暴な気持ちが起きて
うちかなぐるなど見えたまふこと、
度かさなりにけり。
叩いたり引っ張ったりすることが何度もあった

当時の人は魂は勝手に抜け出すものと考えられていた
葵の上にとりついてやると思って生霊となったわけではない
現代的に解釈すれば思い込みで見た夢だと思える
六条御息所は追い詰められていく 深層心理みたいな…。
1000年前の話です。
概念がないのに描いている

光源氏は見ちゃうんです
六条御息所がとりついている現場を…。
そうじゃないんです ちょっと御祈祷を緩めていただきたくて
私こんなところまで来ようと思っていなかったのに
空に乱れてしまった魂を結び留めてください
葵の上の口を借りて六条御息所が和歌を詠む

安産だって聞いて えっそうなの?と思っちゃうんですよ
体から芥子(けし)の香りがする
芥子の実 病気や安産の祈祷をする時にたく護摩壇に入れるもの
生霊に染み付いた匂い?
体から抜け出した魂に芥子の匂いがついている
その後、死霊になる
その時は光源氏には仏の御加護が強過ぎて近づけない
光源氏は六条御息所がを嫌いになれない

伊勢神宮の斎宮 下向…都から地方へ行くこと
嵯峨野の野宮(ののみや) 

夜明けの別れはいつも涙に濡れてしまう
今朝の秋空は見たことがないほど悲しい

秋の別れは悲しいもの 野辺の松虫よ寂しく泣かないでおくれ

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