2024年3月31日日曜日

100分de名著forユース3ロビンソン 思い出のマーニー

亀鳴くや恥の文化の続きをり
永き日を恥の概念すり込まれ
罪と恥文化の違ひ暮れかぬる
春の泥歴史の違ひ愛と恩
黒北風(くろきた)の愛のなき日をだた生きて

■100分de名著forユース3ロビンソン 思い出のマーニー
生きづらさに向き合う
河合俊雄(臨床心理学者)河合隼雄の息子 加藤シゲアキ 阿部みちこ

生きづらさを乗り越えるためのヒントになる作品
アンナは、なんにも考えずに ただ、あたりをながめて
物音に耳を透かしていました。
しめっ地と、海と、空との、おおきな、静かなからっぽさを
胸いっぱいにすいこみながらじっと、立っていました。
そのからっぽさは、今、アンナの心の中にある、
小さなからっぽさととてもよく似合うように思われました。
そのとき、とつぜん アンナはふりむきました。
だれかにじっと見られているような不思議な感じがしたのです。
アンナは、そのやしきを見ました。
見たとたんに、アンナには、これこそ自分がずっと
さがしていたものだ ということがわかりました。
―これは夢だーとアンナは思いました。
「あなた、ほんとの人間?」
とうとう、アンナはささやき声でききました。
「ええ。あなたも?」
ほんとうに、女の子は、生きているほんとうの人間でした。

アンナのキャラクター
誰にも心を開いていない
無気力・無表情で「何もやってみようとしない」

みんな、「内側の人」
なにか、目に見えない魔法の輪の内側にいる人だからです。
でも、アンナ自身は、その輪の「外側」にいました。

親友=チャム 親友関係=チャムシップ
チャムシップ:双子的関係
他者とつながってはじめて自分自身とつながれる

「ね、おねがい。約束して。あなたも、わたしのこと
 だれにも話さないって。ね、永久に、話さないって。」
「ええ、話さないわ。だれにも、永久に!」

「死ぬ前にお母さんはわたしをおいてったわ。」(略)
「おばあちゃんも、わたしをおいてったわ。」
「わたしをつれずにどこかへ行ったわ。
 そして、帰ってくるって約束したくせに帰って来なかった。」
「わたしを、ひとりぼっちにして行ったから
 おばあちゃんなんかきらい。(略)」
「あたしを、おいてきぼりにするなんて、ひどい。ぜったい
 ぜったいゆるせない。おばあちゃんなんか、きらい。」

良い変化のためには「怒り」などネガティブな感情が必要

マーニーへの感情の変化
羨望から同情へ

「あなたにいいたかったのー。
 さよならをいいたかったのー。
 でも、外へ出してくれなにのー。
 アンナ!!」
「ごめんなさい!
 あんなふうに、あなたをおいてきぼりにするつもりはなかったの。
 ねえ、アンナ、おねがい!ゆるしてくれるって、いって!」
まるで、その言葉はアンナ自身の中から聞こえてくるようでした。
風車小屋事件の意味とは
二度目の裏切りが起こった
マーニーを許すことができた
それによって心の傷を克服できた
ポジティブによって人間は救われない
つらい状態を乗り越えることで克服できる
マイナスをもう一回体験することでプラスに転じる
(いわゆるワクチン接種)

「ね、きいて、」
と、アンナがゆっくりといいました。
「あたし、マーニーなんて人はいないんだと、思う。
 マーニーは…、一種の、…そう空想の中の女の子なんだと思うわ。
 あたしが、向かい、空想で作りあげた…。
 一人ぼっちで、さびしかったから。あたし、いまじゃ、もう
 ほんとに思い出せないの。何もかも、ずうっと昔のこと見たい…」

「おばあさんが亡くなって、世話をしてもらえなくなった
 その小さな女の子はある子どものためのホームへ送られました。
 それから二、三ねんして、一組の夫婦がそのホームで
 その子をみつけました。(略)二人はマリアンナを
 引き取って家へ連れて帰って育てることにしました。」
「その人は、どうしても、その子を自分の本当の子どもだと
 思いたかったのでその子の名前をかえました。
 いいえ、すっかりかえてしまったのではありません。
 後ろの半分だけを、使うことにしたのです。」
プリシラが叫びました。
「アンナ!マリア・アンナ!」
「あたし?」アンナがいいました。
「あたしですって?」

イマジナリーコンパニオン:想像上の友達

2024年3月30日土曜日

春光戦「桜で一句」&「春季皇霊祭」&上杉景勝からの教訓&ピカソの年収

まっすぐに老いと向き合う木の芽時
若やいだ老いを享受すのんどりと
春の潮可能性へと投企せり
陽春や現実直視できぬ人
春の星情熱持ちて今を生く

■プレバト纏め 春光戦
桜で一句

1stステージ
1位 梅沢富美男   苗代の桜や鬼の住まいする
2位 千原ジュニア   刑務所を囲む桜の仄白き
3位 千賀健永   幽谷のロッジの夜明け白き飛花
添削 幽谷のロッジ夜明けの飛花白
4位 横尾渉   花月夜冒険譚に挿す栞
5位 森口瑤子    束の間を正気の母と花の道
6位 犬山紙子   さくらさくらむすめのたましいのいろ
添削 さくらさくらのたましいのさくら
7位 中田喜子   濠の端の羽音走りて初桜
添削 濠の端羽音走れり初桜
8位 村上健志   花曇昼夜の区別なき赤子
添削 花ぐもり夜を泣き昼を泣く赤子
9位 森迫永依   花月夜学童終わりのチャンバラ戦
添削 チャンバラの続く公園花月夜
   チャンバラの続く団地や花月夜
10位 的場浩司   我が運命夜櫻に問う生も死も
添削 満開の夜櫻に問う生も死も
   満開の夜櫻に我が生問う

決勝ステージ
1位 千賀健永   出郷の車窓を叩く飛花落花
2位 千原ジュニア   青光りせり750ccに花吹雪
3位 梅沢富美男   風吹かば花の色なる城下町
添削 花の色なる城下町

清水麻椰アナの俳句
校庭に響くピアニカ春の雲

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク 春季皇霊祭

天皇皇后両陛下が出席される皇室祭祀の一つです
何故その祭祀が季語になっているかと言いますと
昔は国民の祝日であったからなんです
現在は「春分の日」として国民の祝日となっています
先祖の霊全ての皇祖の霊を祀る そういう祭祀のようです
全国の神社ではこの「春季皇霊祭」を遠くから拝む
遙拝するという事で「春季皇霊祭遙拝」という儀式も
全国各地行われるようです
吟行としてもし見て構わないものであれば
遙拝から眺めてみたいものです

■偉人・敗北からの教訓 第37回「上杉景勝・北の関が原での撤退戦」
上杉景勝 敗北の瞬間
外交力に欠けていた
❝自分の損❞を承知して動いた

上杉景勝の敗北から学ぶ教訓
一、コミュニケーションを密に取るべし
一、プライドは程々に留めよ
一、相手の意図をしかと見定めよ

■偉人の年収How much?
画家 パブロ・ピカソ
「鑑賞者は見たいように見ればいいのだ」

パブロ・ピカソ 1973年4月8日没91歳
ピカソの年収 18憶8,000万円
遺産総額 訳14億フラン 1,220億円
*1フラン=87円で換算
活躍した年数 65年間
「フォガロ紙」2010年12月11日付

2024年3月29日金曜日

本の道しるべ(7)鹿島茂

春かなし余白に込めた物語
見る人へ発想委ね春の詩(うた)
天気予報と経済予測春眠し
日本の美徳廉恥心(れんちしん)椿落つ
罪悪感と羞恥心菫咲く

■読書の森へ 本の道しるべ(7) 鹿島茂

人間の限界に挑戦 僕のマゾヒズムだよね
(本は)デーモンだからしようがない
普通の人と違う観点でどれくらい壁があるか
アナーキーもいいところ
「ラ・ルヴュ・ブランシュ」(1900年)
最先端の文化人たちが寄稿していた芸術誌
雑誌マニア 雑誌は時代を反映する
アール・デコ時代の重要なもの
アール・エ・デコラシオン(1911年)
若手アーティストたちの作品を紹介した芸術誌
コレクターの原点
1949年酒店の息子に生まれる
「少年ケニア」山川惣治作・画 産業経済新聞1951年10月7日
全誌制覇 網羅的な傾向もあった
読書への挑戦①日本文学全集
現代文学大系11「徳田秋聲集」(筑摩書房刊)
配本順に読んでいく 雑誌感覚で読んでいく
好き嫌いに任せたら絶対読まないような作品
読んでいくと鑑識眼が養われていく
読書への挑戦②世界文学全集
「自分強制」を始めた
快感を覚えたから 前作品走破
読書への挑戦③大長編
「失われた時を求めて」マルセル・プルースト著 鈴木道彦訳(集英社刊)
「平家物語」(岩波書店刊)
「静かなドン」ショーロホフ著 横田瑞穂訳(岩波書店刊)
小説から得る知識はストーリーの喜びの他にいろいろある
修業 苦行のような読書 すすめます
コレクター人生の始まり
「歓楽と犯罪のモンマルトル」ルイ・シュバリエ著 河盛好蔵訳(文藝春秋館)
筆者のルイ・シュバリエは固有名詞の注釈を一切つけない
当時のフランスの原資料に当たるしかない
1984年35歳でパリへ
「ジェローム・パチュロ、社会的地位を求めて」ルイ・レイボー著(1846年)
挿絵画家 J・Jグランヴィル(1803~47)
「動物たちの私生活・公生活情景」バルザック他緒(1842年)
「もうひとつの世界」タクシル・ドゥロール著(1844年)
最終的にはお金の力よりも長生きすることが大事
読書の森の歩き方
魅惑のフランス古書の世界
18世紀の本は子牛皮の装丁
元々は仮(かり)とじ 本はこういう形で出版され本屋に並ぶ
店に持っていき装丁して直してもらう
モロッコの最高級の山羊の皮で作った装丁
装丁の違いによって値段が10倍100倍になる
本の未来 未来の本
本は消費財になっている
書評家や作家などの協力を得てインターネット上で書評を無料公開
ひと棚ひと棚に店主がいる共同書店
代表取締役 由井禄郎さん
紙の本はなくなる
トリアージ 優先順位を付けて取捨選択せざるを得ない
かつての「写本」のようになっていく 活字本は
最悪の事態に備えてやれる範囲でやる

2024年3月28日木曜日

ロッチと子羊(72)学生寮編(1)&「啓蟄」&「ふじな」

春の炉へかざす掌皺と皺
春景色光と色の柔らかき
戻り鴫(しぎ)旅の終着あとわずか
春の雲嘘つきたがる詩の言葉
からたちの棘に見立てて活ける春

■ロッチと子羊(72)学生寮編(1)
▪悩める子羊 坂貴浩 明治大学1年
お悩み 他人の気持ちを優先し自分のやりたいことができない

自分も他者も心地良くなる方法は協和音を奏でることです
そのためには指揮者になりましょう
アダム・スミス哲学の要約

スミスの哲学解説
協和音とは異なる音が調和して響き合うこと
お互いが共感し合う協和音を奏でることができると説いた
指揮者とは公平な観察者 調和へと導く

指揮者になるには
1:お互いの本音を知る
2:客観的な視点で調整する

自分の立場から離れて見えてなかった
一回言ってみることですり合わせていけるようになるのでは❓
すり合わせる時自分の意見が言える指揮者になる

▪悩める子羊 川口桜大(おうた)
お悩み 多様な価値観を持つ人たちをどうすれば纏めることができる?

場をうまくまとめるには「場」をまとめないことです
ローティ哲学の要約

価値観の異なる者どうしが互いの価値観を共有するのは無理

みんながまとまる⇦価値観の共有
プライベートとパブリックでのふるまい方を変える
⇩      ⇩
クラブ    バザール
価値観が同じ人だけが集まる 価値観の異なる人が集まる

ふるまい 気兼ねなく      ビジネスライク
目的   安心         実利
場    クラブ(プライベート) バザール(パブリック)

価値観の押し付けは世界で様々な紛争の原因となっています
人々が平和に共存するには❓
⇧邪魔
価値観の押し付け

価値観の押し付けをやめるべきだとローティは説いた
場とは社会のこと 寮のこと
「場」はプライベートorパブリック
プライベートとパブリックをごっちゃにしない!
最低限のルールだけを前面に出す
⇨お互いの価値を変えずにつながれる

日本人も留学生もバザール的な飲み会のやり方とは?
バザール的な飲み会のポイント
① 最低限のルール を決めること 押し付けない
② 実利 

これは世界中の人が実践すべき 
一人一人がこの考え方にならないといけない

■夏井いつきのおウチde俳句
▪一分季語ウンチク「啓蟄」
春の時候の季語にあたりまして
現在の暦では3月6日頃にあたります
日本の1年間を季節を24個に区分した数え方
これを二十四節気と言いますが
そのうちの一つはこの「啓蟄」になります
冬の間地中で過ごしていた地虫や蛇などそう言った物たちが
地上に出てくるそういう時期のことを「啓蟄」と言います
最近はニュースなどでも『本日は「啓蟄」です』
なんていうアナウンスが流れる事もありますね
句会に出てきた時に思わずこの難しい字は何だと確認したくなる
そんな時候の季語でもあります

▪一分季語ウンチク「ふじな」
東北地方の方は「あ、分かる」ってすぐ答えるかもしれません
東北地方の方言として「たんぽぽ」を意味する名前だと
歳時記には記載があります
平安時代初期の書物「本草和名」にも
この「ふじな」という表記が登場するようです
「たんぽぽ」と言った時とはまた全然違う印象をもたらす「ふじな」
「ふじな」という傍題ならではの「たんぽぽ」の一句
チャレンジしてみたくなりますね

2024年3月27日水曜日

マハトマ・ガンディー 不屈の精神の光と影

イスラムの色と香りと春の空
神聖な色青に包まれ風光る
春の朝静けさの中佇まん
春の野や時過ぎるとも変わらずに
春の草空へ空へと急ぎけり

■ザ・プロファイラー マハトマ・ガンディー 不屈の精神の光と影
キング牧師、ネルソンマンデラ、チャップリン、
アインシュタイン、スティーブ・ジョブズ等
各界の第一人者から尊敬された人物 マハトマ・ガンディー!
インド独立の父として知られています。
2023年には中国を抜き人口世界一、IT大国としても知られ
GDPはアメリカ、中国、ドイツ、日本に次いで5位となったインド。
わずか80年前はイギリスの植民地だった。
イギリスの作った不当な法律で苦しめられた
抵抗すれば暴力が待っていた その現状に立ち上がったのがガンディー。
聖人とあがめられながらも親しみやすい人柄
お父さんの意味を込めてバープーと呼ばれた
そこで掲げたのは「非暴力・不服従」だった。

力は腕力からではなく不屈の意志から生まれる
ガンディーの運動はインド全土を巻き込んだ
中でも大きな転機となったのは「塩の行進」
海まで歩き塩を作る これは塩を独占していたイギリスへの抗議
ただ塩を作った所で何が変わるのかとイギリスには一笑に付された
行進する人は爆発的に増加 数百万人が参加する運動となった
しかし家族とはすれ違うようになった
禁欲生活を送っていたガンディーは家族にも同じ生活を強要した
家族を過酷な生活に追い込む結果となった
息子ハリラール
イギリスから独立を果たすもそれはガンディーの考えとはかけ離れていた
宗教対立による暴動、殺し合い、命がけで
それを食い止めようとするが凶弾に倒れてしまった
何故民衆から愛されたリーダーは悲劇的な最期を遂げたのか?

PROFILE テーマ① なぜイギリスに抵抗した?
1869年誕生ポールバンダル
イギリスの植民地 圧政や重税
不自由のない家庭で育つ ヒンドゥー教
1883年(13歳)結婚
18歳で長男ハリラール 誕生
妻と子を残しイギリス留学
髪を整えスーツ姿に ダンスやヴァイオリンを習う
英国紳士になりきることを目指していた
宗教 聖典を読んだことがなかった
欲望を抑えてコントロールすることの大切さを学ぶ
1893年(23歳)弁護士として南アフリカへ
人生を一変させる事件が起こった
KEYWORD 荷物もろとも私を客車から投げ出した
生涯で初めて受けた人種差別だった
もし私に社会から差別を取り除く力が
あるならばその力を使わねば人種差別を
撤廃するために可能な限り抗うべきだ
抗議運動を開始
インド人たちの政治団体を組織
反英闘争の指導者としてインド人たちの注目を集めていった
1906年(36歳)アジア人登録法
指紋を登録し登録証の所持を強制
従わなければ投獄や罰金
このような法律が世界のどこに
自由な人間に課されたことがあるだろうか
民衆にある行動を呼びかけた
KEYWORD 非暴力・不服従運動
宗教の本 どの宗教にも非暴力の教えが説かれていたことに気付く
あるもくろみから所持を義務づけられていた登録証を燃やす
暴力を用いずに抵抗 白人たちの良心に訴える
不当な法律に対してあくまでも服従しない
法律を設けた人や抑圧差別を行う人々の
考え方を改めさせることができる
不当な法律を撤回させることもできると考えていた

あらゆる苦難に耐えなければならないでしょう
私たちのうち多くが挫折してしまったら闘争は長引きます
しかし一握りでもこの運動を続けることができれば私たちの勝利です

ガンディーは逮捕
ACTION 逮捕者を増やす
監獄は受刑者であふれかえりコントロールできなくなってしまう
イギリスは差別の規定を廃止した
この時ガンディー44歳。

間永次郎
non-violence(非暴力)という言葉を作って広めたのはガンディー
ガンディーは複雑な性格を持った人で
いまだに彼が何者だったのか分かりません 
直感で生きる宗教か?戦略的政治家?

PROFILE001 なぜイギリスに抵抗した
サティヤーグラハ
「真実にしがみつく」という意味を持ち
非暴力・不服従を含むガンディーの運動の理念を表わす言葉

性善説をもとに相手の良心に訴えかけた
インド独立運動を牽引していく
塩の行進がインドに広がりイギリスを脅かす運動となっていく

PROFILEテーマ2 なぜ塩の行進が成功した?
インドの独立
1914年(44歳)インドに帰国
反英闘争は始まっていた
参加者はインテリ層、富裕層 
庶民、貧困層の人々を運動に取り込む必要があった
インド各地で不平不満を改善していった
次第にガンディーを支持するようになっていく
市民はガンディーをマハートマー(偉大な魂)という
称号を与えるとともに親しみを込めてバープー(お父さん)と呼んだ
1919年(49歳)ローラット法を制定
インド人の人権侵害に拍車がかかった

政府が態度を変えない限り私は非暴力・不服従に訴えるほかない
インドのリーダーたちがいた組織に入り込んだ
後のインド初代首相 ネルーなどがいた国民会議派
ITEM チャルカー(糸車)
インドの命運はこのチャルカーにかかっています
イギリスの綿製品がインドに流れ込むようになって
人々はチャルカーをしまい込みました
それがインドから繁栄を奪い去ったのです
どうぞほこりをかぶったチャルカーを取り出して
みんなでインドの糸を紡いでください
イギリス製品ボイコット

1922年イギリス側の警察官23人が犠牲に
このまま暴力を放置すればすべての人々が
暴力の泥沼に足を踏み入れてしまう
今こそ立ち止まって考え直さなければならない
運動の中止を宣言
ガンディーの失敗から内紛が起こる
独立運動は勢いを失う イギリスによる締め付けは厳しくなった
1928年憲法改正にインド人を参加させなかった
独立に暗雲が漂いはじまた
1930年3月12日ガンディーは海に向かって歩き始めた
ACTION 塩を作る
塩はイギリスの専売 インド人が自由に作ると処罰対象
空気や水のように塩がなければ人は生きていけません
しかしその塩に私たちは法外な税金を支払わされているのです
ともに抗議のために歩きましょう 海岸で塩を作るのです
この行動は「塩の行進」と呼ばれた 78人の賛同者が同行

記者
これは笑うしかない ほとんどの思慮深い
インド人の気持ちも同じであろう

ACTION メディアに情報を流す
ガンディー新たな抗議運動を始める インドから緊急取材映像
日に日に行進に参加す人が増加 1万人に迫る民衆
海外でも好意的に受け取られ世界的に賛同者が増えていった

ニューヨークタイムズ紙
貧しい者も富めるものも数千人の列となって
共に歩いている 歴史的な行進だ
出発から24日目夕刻 390キロを歩き切った
遂に海岸に到着 ガンディーは塩の結晶を手にし高らかに宣言
この潮で大英帝国を根底から揺さぶるのだ
掴んだ塩を離してはいけない インドの誇りはこの塩にある
これをきっかけにインド人は堂々と塩を作り始めた
堂々と法律を破ったのだ 民衆は歩みをやめなかった
インド全土に波及 数百万人が参加することとなる
1931年3月5日(61歳) インド人による塩の製造を認める

PROFILE002 なぜ塩の行進が成功した?
あえて歩くことで耳目を集め民衆の参加意欲を喚起した 間永次郎

イギリス紳士に憧れていた20歳頃
南アフリカ滞在時終盤の40歳頃
インド独立運動時代の50歳頃
(究極の美しさは裸体にあると考えた
ガンディーが最終的に到達したスタイル
仏陀と重なるものがある ファッショナブルである
眼鏡もお洒落 腰布一枚になった時も
結び方ひとつこだわりがあった 大のファッション好きで
生涯にわたって自分のファッションにこだわりを持っていた)
自分たちで作った手織りの布を使って着ている
自己主張や表現のための衣装
どうすれば人々に一番アピールできるか
考え尽して行われたPerformance
運動が失敗して悩んだ末シンプルで明確な企画に行き着いた

理想を持ち続けた 私生活でも理想を追い求めた
ガンディーは家で家族や弟子にも禁欲生活を徹底していた

禁欲その1 食欲の制限
元々ガンディーは菜食で暮らしていた
ますますエスカレートし香辛料も使用せず
味付けは少量の塩だけにしていた
口に入れるのは果物のみという生活も実践した

食物は薬を取るがごとく摂取されなければなりません
美味か否かを考えず肉体の必要に限られた分量だけを
とらなければなりません

禁欲その2 物欲の制限
高価な望遠鏡は私たちの求める理想の生活にふさわしくありません
もっと性能の良いものが欲しくなります
だからそんなものは持たなくてもよいと親友カレンバッハに説いた

こんな言い争いを起こすなら望遠鏡を捨ててしまおう
望遠鏡が無くなれば言い争うことも無くなる
ガンディーは望遠鏡を捨ててしまった

(西洋文明の)工場生産の普及によってインド人の多くが失業した
鉄道の普及によって富が集中する地域と
そうでない地域の格差が広がった
ガンディーは目先の欲望を優先することで
社会の見えない所に暴力(搾取)が生まれると考えた
機械文明からの脱却はイギリス支配からの解放を
目指す上での喫緊の課題であると考えていた
間栄次郎

禁欲その3 性欲の制限
自らも36歳から妻との肉体関係を断つ

多くの民衆から聖人視されただがこの極端な禁欲生活は
ガンディーの家族に不幸をもたらした
特に長男ハリラールは苦しんだ
後々は父のように弁護士になることを夢見ていた
しかしこの頃近代文明を否定していたガンディーは
自身は留学し学んでいたにも拘らず息子には西洋教育を禁止
イギリス留学も禁止した
お父さんは良い教育を受けたのになぜ私たちには
良い教育を施そうとしないのだろう
ハリラールは父の愛情を感じられないと嘆き
2人は対立を深めた

私はハリラールを自分の息子とみなさなくなった
ハリラールは家を出て事業を行うが失敗、借金を抱える
酒に溺れ音信不通 住む家も失い最後は失意のまま亡くなった

ガンディーの欲望からの脱却は民衆を引きつけたが
家族には暗い影を落とす結果となってしまった

1947年インド独立
インド独立の父と呼ばれるようになったガンディー
だがその最期は同胞から銃を向けられ凶弾に倒れた

PROFILEテーマ3 なぜ暗殺されたか
KEYWORD ヒンドゥー教徒とイスラム教徒の対立
当時のインドはヒンドゥー教徒約7割
イスラム教徒は約2割
このまま独立してはイスラム教徒は少数派のまま
多くのイスラム教徒は新たな国を作りたいと思うようになっていた

KEYWORD ひとつのインド
ガンディーは互いを尊重するひとつのインドを願った
ジンナー代表と話し合うも解決の糸口は見つからなかった

PERSON 独立の指揮を執っていたのはネルソン
国民会議派のトップとなっていた
ネルソンは分離もやむを得ないと考えていた
イスラム教徒は我々が如何なる妥協を示しても
自分たちの国家を作ると言って譲らない
我々はあえて頭痛から逃れるために頭を切り離さなければならない
もはやガンディーのような中道的な立場は非現実的である
イスラム教徒とヒンドゥー教徒の抗争 5000人以上が亡くなった
ガンディーは地方の村をまわり融和を訴える
宗教は人と人を結びつけるものです
どうして人が宗教の名において戦う必要があるのでしょうか
ヒンドゥーとイスラムの問題は愛と信頼の問題なのです
パキスタンとインドに分離独立
インドとパキスタンが分離独立すれば
平和が戻ってくると皆は考えている野だろか?
KEYWORD
インドの分裂は間違っています
このような独立の行く末は闇に包まれるでしょう

各地で暴動
およそ100万人が亡くなったとされる
この時78歳のガンディー
混乱の激しいデリーに入る

ACTION 断食
民衆の良心に訴える

愛と憎しみを超越していなくてはならない
それを目指して私は絶え間なく努力している

それを目にした民衆は武器を捨て争いをやめた
ガンディーは断食を解いた
1948年1月30日祈りを捧げると言って外に出た時
男が突然飛び出し至近距離から数発撃った
子どもが鳴らした爆竹のような音がしガンディーは倒れた
1948年1月30日 ガンディー死去(78歳)
犯人はヒンドゥー教過激派
翌日国葬として営まれた葬儀は死を悼む100万人以上が集まった
彼の遺灰は彼の偉大な魂への敬意を込めて
ガンジス川に流され弔なわれた

寛容の思想は重要 渡部陽一

インドでのガンディーの評価は独立のアイコンとしての評価は高い
一方で彼の禁欲的な部分 機械文明批判などの視点というものは
現在のIT大国として発展しているインドと相いれないもの
ガンディーは尊敬されながらも目を背けたい耳を塞ぎたい
矛盾した存在になっています

暴力が亡くならない世界 それでもどう生きるか

理想と現実の間で生まれる矛盾と
どう向き合うかを歴史から学びたい 岡田唯一

2024年3月26日火曜日

兼題「父」&テーマ「続き」

財布緩まん臨時収入朧
待っていた株価上昇春の闇
月朧資産効果期待せり
日々迷い悩みに埋もる暮れかぬる
迷いけりナビ未掲載の道の駅

■NHK俳句 兼題「父」
選者 高野ムツオ ゲスト 和田花凛 安里琉太 小坂大魔王 
レギュラー 中西アルノ 司会 柴田英嗣
年間テーマ「語ろう!俳句」

① 品川の春の寒さに父と立つ   安里琉太
② 父母やいびき響かせ二人静(ふたりしずか)(や⇨は 父と母)   小坂大魔王
③ どうということない桜父にLINE   中西アルノ
④ 父の打つ碁石発止と蝶の昼(発止⇨の音や)   和田花凛
⑤ 木の芽(このめ)道父と歩きしこと一度   高野ムツオ

▪特選発表 兼題「父」
一席 終戦を海の底から聞いた父   宮澤史子
二席 父の腕には海老反りの入園児   蜘蛛野(くもの)澄香
三席 籾蒔くや親父譲りの蝮指(まむしゆび)   岡邦俊

特選
何れにも父はをらざり梅真白   赤間学
寒木瓜や母をどうする父ならば   岩切義治
青年に父は残花の如きもの   来地宇須
父逝きしビルマは知らず燕来る   三好泥子
潮干狩離れて近き父の声   尾関香
母の名は忘れぬ父や月朧   岡部正彦

参照:https://www.nhk.jp/p/ts/6Q6J1ZGX37/blog/bl/pLvva3ZRZL/bp/pDgW6dy28D/

■NHK短歌 今月のテーマ「続き」
選者 岡野大嗣 ゲスト TAKUMA 司会 尾崎世界観
年間テーマ「グッとくる瞬間」

TAKUMA
文字が足らんのこそ歌詞かなって思うときもある
十分な文字数になると全部説明でき過ぎて
歌に乗っかっているならではの
伝わる力とか魔法がなくなる気がする
尾崎
全部説明できたら歌う必要ない

あなたとはハウ・アー・ユーで始めたい百年ぶりに会ったとしても
岡野大嗣

▪入選九首 テーマ「続き」
やりかけのパズルが実家でやりかけのままでいること西日の部屋で
古川柊(ふるかわしゅう)
一席 もうつづきのないのど飴が緑茶のそこでひかってヒトカラを出る
シラソ
閉店セール続くファンシーショップ左半身だけ褪せた蛇
相内(あいうち)あみ
ショッピングモールは駅に直結で祝日をこぼさずに帰れる
佐藤研哉
ブランコが空に続いているときに降りない。夏の公園にいて
ファブリ
二席 コンベアを流れるパンを眺めてるいまがいちばん永遠らしい
ちーちゃん
かな?と言えば、だね。と言われる。クリスマス、よいお年をと言って別れた。
今村きき
続柄(つづきがら)に「友」と記してみたかった母を見送る小春日の午後
星田美紀
三席 白骨をしゃぶる白昼夢の続きキャベツの芯が甘いって知る
常田瑛子

▪表現者の原点
TAKUMA
コンプレックス
小さい頃足が遅かったりケンカ弱かったりずっと自信がなかった
あるときカラオケに行って歌うとすごく友達が褒めてくれた
そのとき初めて自信を感じられその延長線上に
ロックバンドで歌詞を書いて歌を歌ってというのがあった
尾崎
作詞作曲をするようになって何か変わったことは❓
TAKUMA
自分とは全然違う性格の人にも理由は違えど
ひっかかるものであるかどうかすごく大切にしている
尾崎 
さいしょからいきなり自分の言葉を使えるわけじゃない借り物の言葉でした。
TAKUMA
メロディーと言葉にフィットするようにだけがんばってきた
尾崎 
犯行予告みたいないろんな文字を切って貼るみたいな感覚
TAKUMA
そんな感じ。
無垢で一途な情熱を思い出せてそれはそれでいいんちゃうけって思う

岡野 
短歌は最初の本を出すまでに時間かけたり
10年経って始めての本 という人もいっぱいいる
まとまってあることでその時の自分ががむしゃらに
作っていた感じを思い出せるのはすごくいい

尾崎 
だんだん続けていくと恥ずかしいことがなくなっていく
恥ずかしいことが存在していることはすごくいいこと
だから作品は出し続けていたい
初期(の作品)がどんどん恥ずかしくなって聞くのが理想

▪TAKUMAさん 作詞の流儀
蜃気楼 
優しそうな少し困った 母親にしがみついて泣いてた少年を
見てこぼした笑みは少し固くて僕はまた無邪気さをなくした気がしたんだ

岡野 
全体的にあえて抽象度を高めにしていて観念的なところも多い
ポイントポイントで景色がある その景色があるからこそ
「蜃気楼」というのが効いてくる

尾崎 
作っている時に視力のいい時と悪いときがあって
いっぱい見える時に良くなる曲もあれば
ぼやけていてここしか見えていない時に良くなる曲もある

すごく目を凝らしていたと思う
前向きな言葉が痛いからやめてっていう僕でももうちょっと
頑張ってみようかなと思える音楽や歌詞が猛烈に欲しかった
それがないなら自分で作ろう 悲しみエンジンは結構疲れ知らず
元気パワーより走りきれる

▪それぞれの「続き」それぞれの表現
騒いでる子ども許さぬ中年よ俺もお前もそうやったんぞ
TAKUMA
俺らは許して貰えたから今がある
みんなが耐えてくれたからここまで来れた

はじめての新幹線に乗るぼくを俺が見ている富士といっしょに
岡野大嗣

NHK短歌で一首
一年が四半世紀のようだった二十五分の夢をみながら
岡野大嗣

2024年3月25日月曜日

あの本、読みました?凪良ゆう登場&2023年売上ランキング

春の芝仮面の如き日焼け止め
春の芝狙い定めたアプローチ
春の山ギャラリー連れて大移動
突き放すパターを決めた春の芝
(鈴木愛選手)バーディーで決めた最後や風光る

■あの本、読みました?
人気作家・凪良ゆう登場&2023年売上ランキング

▪2023年年間小説〈単行本〉売上ランキングBEST10
01 街とその不確かな壁 村上春樹
02 汝、星のごとく 凪良ゆう
03 黄色い家 川上未映子
04 変な家 雨穴(うけつ)
05 成瀬は天下を取りにいく 宮島未奈
06 近畿地方のある場所について 背筋
07 君のクイズ 小川哲(さとし)
08 変な絵 雨穴(うけつ)
09 レーエンデ国物語 多崎礼
10 方舟(はこぶね) 夕木春央

石原正康 幻冬舎 編集者/専務取締役
ユーチューバー自由希望セックス 村上龍
村上龍3年ぶりの長編小説
村上自身を連想とさせる70歳の著名作家・矢崎は、
ユーチューバーに誘われ、これまでの女性遍歴を語る。
人間の生命力の源を突きとめた傑作

あなたはこれからいろいろな人と出会うよ。
それが、別れる理由でした。
じゃあね、そう言って去っていきました。
僕はその喪失感で、これまで生きてきたような気がします。
その喪失感で、小説を書いてずっと後悔しました。

07 君のクイズ 小川哲(さとし)
何かの経験があって、その経験のお陰で
答えを口にすることができる。
経験がなければ正解で聞きない。
当たり前だ。

05 成瀬は天下を取りにいく 宮島未奈
「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」
(中略)
「成瀬がまた変なことを言いだした。」

03 黄色い家 川上未映子
正しくないよ、そりゃ正しくはないけど
でも間違ているわけじゃない。
そう感じるの。

01 街とその不確かな壁 村上春樹
本物でも偽物でも、そのへんはどちらでもいいことです。
事実と真実とはまたべつのものです。

02 汝、星のごとく 凪良ゆう 講談社
文芸第二出版部 部長 河北壮平 
担当編集者から見た作家・凪良ゆうとは?

冷静と情熱のあいだ 辻仁成/江國香織 の現代版
誕生の瞬間
執筆を諦めかけた 何回ももうダメだと思って
泣きごとの電話をかけた もう書けないかもしれません
苦しい愛の形を描いた理由 世相を反映せざるを得なくなる
一過性の恋愛では描き切れないものがある
読後感は辛いけど気持ちが良い 保奈美
読む人によって感情移入する登場人物が違う

櫂と焼海の高校の教師である北原先生
一つだけでない愛の形の象徴的人物として登場

いけないことだとわかっていても、
そうしたいならそうすればいいんです。
正しさなど誰にもわからないんです。
だから、きみももう捨ててしまいなさい
(中略)
「もしくは選びなさい」

星を編む 凪良ゆう 講談社
「汝、星のごとく」で語りきれなかった
櫂や焼海など登場人物のその後が描かれる
北原先生の衝撃的な過去が明らかに

本編を書きはじめた時から構想はあった
ただ進めてくれたのは河北さんです。
下手なものを出したら本編のイメージまで
汚してしまうと思い最後まで悩んだ

植木さんという男性の編集者は河北さんがモデルになっている

▪2023年総合売上ランキング
01 TOEIC L&R TEST出る単特急金のフレーズ TEX加藤
02 傲慢と善良 辻村深月
03 正欲 朝井リョウ
04 頭のいい人が話す前に考えていること 安達裕哉
05 街とその不確かな壁 村上春樹
06 世界でいちばん透きとおった物語 杉井光
07 言語の本質 今井むつみ 秋田喜美
08 暇と退屈の倫理学 國分功一郎
09 検証ナチスは「良いこと」もしたか? 小野寺拓也 田野大輔
10 汝、星のごとく 凪良ゆう

08 暇と退屈の倫理学 國分功一郎
「求めていた豊かさを手に入れると人は退屈して不幸になってしまう」
暇とは何か、人間はなぜ退屈するのかその問いに哲学から切り込んだ一冊

07 言語の本質 今井むつみ 秋田喜美
なぜヒトは言葉を持つのか?
認知科学者と言語学者が言語の誕生と進化のナゾを紐解き、
言語の本質にそしてヒトの根源に迫る

鈴木保奈美女史が2023年後半に心を捉えられた本
くみをさがす 西加奈子 
年を取ることは、自分の人生に祝福することであるべきだ。
トリプルネガティブ乳がんを患っても
私は喜びを失うべきではない。

03 正欲 朝井リョウ
自分が想像できる多様性だけで礼賛して、秩序整えた気になって、
そりゃ気持ちいいよな
「この世界で生きていくために、手を組みませんか?」

02 傲慢と善良 辻村深月
四本倫子(ともこ) 最も印象に残っているシーン
地方の巨大なショッピングモールも、そこで売られている服も、
それを身に着けたぼんやりとした印象の家族連れも、
うるさい子どもたちも、かつての架(か)ならば、
むしろ、勘弁してほしい、と思っていたかもしれない。
けれど、今、架は思っていた。真美と、ここに来たかった、と。
このぼんやりとした親子連れの群れの中に、
オレは、君と一緒に溶け込みたかったんだ、と。

作家人生の中でも、書けて良かったシーンがかけた 辻村深月

▪書店の個性が映し出される本棚
ちょっとの合間に…1時間で楽しめる本

●鈴木保奈美編
・ちびちびごくごく お酒のはなし 伊藤まさこ
酒器や道具、お酒にまつわる話と共に、
著者の普段の食卓の中からお酒にあう49のレシピを紹介。

・イラストで読むギリシャ神話の神々 杉全美帆子

・茨木のり子の家 茨木のり子
著者自身が設計した自宅 カラー写真で撮影。
合間に掲載されている詩は茨木のり子を始めて楽しむ人にもおすすめ

電話ひとつだっておそるべき文明の利器で
ありがたがっているうちに盗聴も自由とか
便利なものはたいてい不快な副作用をともなう
川のまんなかに小船を浮かべ江戸時代のように
密談しなければならない日がくるのかも

・日々雑記 武田百合子
武田百合子の遺作
「元旦。
 起きて外見る。
 人の姿車の影なし。
 また眠る。」
平凡でもかけがえのない日々があるのだと気づかせてくれる随筆

・ハートカクテル ルネサンス わたせせいぞう
ポップな色使いとデザインで知られる著者の代表作
都会的でおしゃれなストーリーは40年前の若者を釘付けに

●代官山蔦屋書店の湯沢店長選
・短歌のガチャポン 穂村弘
・自分で「始めた」女たち 海と月社
・二周目の恋 綿矢りさ
・グレープフルーツ・ジュース オノ・ヨーコ著 南風椎訳
・会社四季報 業界地図2024年版

2024年3月24日日曜日

源氏物語の女君たち(6)明石の君

新年度ログインできず手書きかな
保険の書類IT音痴春かなし
家族しか見舞い叶わず春の帰路
定年後通院の日々木の芽時(このめどき)
妻施設夫一人の日向ぼこ

■源氏物語の女君たち(6)明石の君
藤井由紀子先生

光源氏は須磨から明石に移る
今日の女君 明石の君と出会う
明石の入道 元は大臣の息子 近衛中将という立派な地位を棄て
播磨の国の地方官僚となり後に出家して入道となりました
明石の地で相当の財を成していた

この明石の入道に誘われ光源氏は明石の浦にやってきた
明石の入道には一人娘がいた 入道の圧に負け手紙を認めた

あなたをお慕いするこの気持ち 
もう耐えきれなくなってきました

父上様 光源氏様は帝の子です
私とは身分が違い過ぎます

明石の君の気高さ、教養の高さに魅了されていった

8月13日ついにその日がやってきました
あの六条御息所を彷彿とさせる気高さ品の良さそして美しさ

明石の君 会いたかったよ と、と契をかわしたのであります
子を宿したのですが 光源氏は京へ帰ることになった
女の子を産んだという知らせが…。
上京するよう言っても身分をわきまえ上京せず
3年ぶりに明石の君は京の郊外に身を寄せ 光源氏と逢うことに
二条院…光源氏の屋敷にて育てようと決意
(尼君)まずはあの子の幸せを一番に考えなさい
我が子を手ばなす決心をした 別れの日…。
私のように取りに足らぬ身のほどではなく
姫君をどうか立派にお育てくださいませ
ねぇ母上様 早く一緒に乗りましょう と無邪気な姫君
この子がいつか大きくなった姿を
私は見ることができるのでしょうか
生まれてきた因縁も深いのだからいつか姫君と共に
私たちは末永く暮すことになるでしょう
明石の君を残し遠くへ去ってしまったのでありました

人の御ほどわが身のほど思ふにこよなくて、
ほど=身分 光源氏のご身分と自分の身分を考えるとどうしようもなくなって
心地あしとて寄り臥しぬ。
気分が悪いと言って横になってしまった。

正式な手続きを踏んで結婚 で明石の君は懐妊

紫の上 光源氏に幼い頃見初められ妻の一人となり二条院で暮らす
紫の上に育てさせる 紫の上は無類の子ども好き
紫の上は明石の姫君を引き取るまでは結構明石の君に嫉妬する

姫君は、何心もなく、
姫君は無邪気に
御車に乗らむことを急ぎたまふ。
牛車に乗ろう乗ろうと急いでいる
寄せたる所に、母君みづから抱きて出でたまへり。
車を寄せた所に明石の君 自らが抱いて出てくる
片言の、声はいとうつくしうて、
まだ、片言の声は本当に可愛らしくて
袖とらへて「乗りたまへ」と引くも
袖をつかんで「一緒に乗ろう」と引っぱるのも
いみじうおぼえて、
たまらなく悲しい

(明石の入道は)一族から帝と后(きさき)が出る夢をみていた
思っているような結婚ができなかったら海に入って死んでしまえ!
と言って育てていた
そんなことをお父さんは言うけれども私は中流だよ
逆にコンプレックス増幅していた

平安一口メモ~服装クイズ~
十二単(じゅうにひとえ)より小袿(こうちぎ)の方が身分が高い
仕える人は常に十二単をきていたが家の人は着なくてもよかった

十年ほど先に明石の君と姫君は会えた
明石の姫君が東宮の元に入内(じゅだい)することとなる
桐壺院 朱雀帝 冷泉帝 今生帝(4番目の帝)に嫁ぐことに
紫の上「実母の明石の君をそばにおいてあげてください」
そこで再会することになる

次々回 第8回紫の上(後編)が楽しみ。
第7回 女三の宮

2024年3月23日土曜日

知恵泉 大倉喜八郎 富は社会に還元せよ

苦しき家計円安のせい?春思かな
鍵投げん鳴門海峡渦開き
シオマネキ藻類ぱくぱく懸命に
吉野川絶滅危惧種そこかしこ
シオマネキ天敵逃れ巣穴へと

■知恵泉 大倉喜八郎 富は社会に還元せよ
渡部志保 パトリック・ハーラン
大倉土木組(大成建設) 東京電燈(東京電力)
日本製靴(リーガルコープレーション)
日清豆粕製造(日清オイリオグループ) 
札幌麦酒会社(サッポロビール)
歌舞伎座 帝国ホテル 鹿鳴館 など…。
一代で大倉財閥を築く
東京市養育院 東京慈恵会(有志共立東京病院)へ寄付
近代的な商法を知る実業家が必要であるといい
大倉商業学校を開校
日本文化の守り手でもあった(大倉集古館)
廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)で失われかけた仏像を買い集め
大倉集古館を開館
その時、自宅の敷地85% 収集品600万円
(現在の金額でおよそ192億円)を惜しげもなく寄付

日本人の商売は自分さえ儲かればいい
アメリカでは日本茶の輸入を禁止
日本の商品は信用を失った 自業自得だ と言われてしまった

知恵その一 責任と信用が世界に通じる鍵と知れ!
アメリカ人に安い卸値を提示すると
それであなたに儲けはありますか?と尋ね
多くはありませんが儲けはありますというと
だったら良かったと契約をした。
相手の儲けも考えてた取引をした。
このままでは日本の商人は世界から相手にされなくなります
全く違う倫理感や道徳を持つ西洋と取引するには近代的な
商売を学んだ人を育てることが必要と思った
学校設立には渋沢栄一氏にも助けられた。
明治33年(1900)大倉商業学校 開校 全国から123人が入学
学者を作るのではなく外国人相手に商売ができる人間を育てる
実践主義 そのため英語教育に力を入れた
授業時間の3分の1が英語
商人の成功の鍵
・正直で約束を必ず守る
・常に前に進む
・早急に結果を求めない

私の夢は幾百の小大倉と幾人かの大大倉が
私の精神を後世に伝えてくれることだ
「致富の鍵」より

WinWinでなければビジネスは成り立たない 渡部志保
大倉は31才の時 鉄砲店大倉屋を開店
「言葉の命を重んずる観念」
「信用なき人は首なき人と知れ」

大正12年(1923)9月1日 関東大震災
七千万円位は失ったがそれはいつか取り返すことができる
惜しいのは美術品だ これは金銭にかえられない
「大倉喜八郎の豪快なる生涯」より

美術品と大倉喜八郎が50年かけて収集した美術品のこと
国宝級のものも含まれていました
きっかけは明治初頭の廃物毀釈運動です。
後世に残すべく借金をしても残そうとしました
その数は3000点以上収集
大倉は大倉邸の敷地内に大倉邸美術館を建て
興味のある人に見せていました。
大倉は大正6年(1917)財団法人大倉集古館を設立
自宅の土地の85%と建物を寄付
美術品600万円(現在の金額でおよそ192億円)
運営基金50万円(現在の金額でおよそ16億円)寄付
一般公開を決定
普賢菩薩騎象像(国宝)を含む多数の重要文化財を所蔵
東洋美術を知るには欠かせない場所と言われています

知恵その二 儲けは社会に返すものと考えろ!

子孫は自ら子孫の計あり 子孫の為に牛馬とならず

子孫には働いて食べていけるだけの
教育を施せば充分である
それ以上計ると奮闘する精神が薄くなって
結果子孫を滅ぼすこととなる
私が一代で儲けた金は国家社会のために投じ
奇麗サッパリの体となってこの世を辞したいのである
「致富の鍵」より

寄付のきっかけを与えたのは渋沢栄一でした。
渋沢は東京市養育院の院長を務めていました。
それを知った大倉は賛同し寄付を申し出たのでした。
自分が成功したのは自分だけの力ではないという考えからでした。
広い意味での社会の力 そういう意味から社会に還元した
東京慈恵会(有志共立東京病院)では渋沢が副会長で
大倉が理事となって経営を支援しました
渋沢が70歳で一線を退くと3歳上の大倉は
渋沢さんは渋沢さん私は私
大倉は中国での製鉄業に乗り出します。
山形有朋に言った言葉
見込みがあると信じ出資したのです
まあ見込み外れということもありましょうが
79歳で大正4年(1915)中国での製鉄会社の火入式に参加
鉱山開発・製材事業にも着手
つぎ込んだお金は4千万円(現在のお金でおよそ670億円)
中国での事業は製鉄業以外は好転することはなかった
その製鉄業は現在も稼働している
今尚、大倉の写真が飾られている

昭和3年(1928)4月22日 大倉喜八郎没(享年92)
告別式には1万1千人が参列
会場でひときわ目を引いたのは91本並べられた中国の弔旗
日中の発展に尽くした大倉を偲んだものだった

渋沢の書いた大倉像
この人は商人ながら尋常一様の人ではない
ただ金儲けにばかり腐心して
他を顧みない商人とは選を異にしている 
その人もついに逝った
「鶴翁餘影」より

全人類に対しての法師が当たり前
中間層の育成も後々会社の利益になる

自分の力が4分 社会・国の力が6分と大倉は考えていた
亡くなる2週間前にも社会の為に尽くしたいと言っていた
金は循環させなくてはならない
この考え方はウォーレン・バフェット(投資家)と同じ
現在99%を返している 自分は1%で十分と言っている
ビル・ゲイツのような金持ちにもその約束を広めている

大倉家には家憲がない
The Giving Pledge
億万長者が資産の寄付を宣言する活動

寄付、慈善事業、官民連携、SDGSなど現在に通じるものである 渡部志保
大倉とエジソンは文通をしている
エジソンは16時間働いていた
大倉と意気投合して死ぬまで働こうと言いあった
エジソンとエールの交換をしている
大倉さんは今も生き続けていると感じた パトリック・ハーラン

2024年3月22日金曜日

森下洋子&日野富子&俳句抜き打ちテスト

細長き猫の腰椎春日和
涙滂沱(るいぼうだ)思慮なき人の花の冷え
うららけしあざとき猫の習性よ
三毛猫の起源一匹猫の恋
三毛猫のほとんどは雌孕猫(はらみねこ)

■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん~昭和の大先輩とおかしな2人~#12森下洋子
昭和の大先輩 森下洋子の言葉
「利他」森下洋子



















ルドルフ・ヌレエフ氏とのお話はいつもながら面白くうかがいました。
おばあさまのお話は涙なくしては聞けない素晴らしいものでした。合掌…。
久し振りの洋子ちゃんのトーク!心に刺さりました。
私も頑張らないと…。

森下洋子ちゃんよりバレエに関わる全ての人へ
「続けて欲しいなぁ。バレエを…。
 やっぱり今いろんなことで続けられなくなっている人がいます。
 細々とでもいいからバレエって素敵なものだから続けて欲しい。
 バレエには終わりはないから…。」

「若い頃のように足があがらないなんてことは当たり前。
 誰にでも必ずやって来ることだから、ちゃんと受け止めています。
 でも稽古だけは毎日欠かさずやって体作りはしています。
 おばあちゃんの精神です。毎日、稽古は続けたいんです。
 舞台もいつまでできるか解りません。
 が、続けていくためにレッスンはやり続けます。
 大きな夢はありませんがコツコツやっていかないと
 出来上がってきません。派手ではなく地味なのですが…。」

新「白鳥の湖」5月3日(金・祝)4日(土・祝)5日(日・祝)
Bunkamuraオーチャードホール
9月には「ジゼルとアルブレヒト」東京公演決定

■知恵泉 選 日野富子 悪評気にせず、突っ走れ!
出る杭なんて気にするな 自分が納得していればいい
日野富子の歌
さびしかれと世をのがれこし芝の庵になを袖ぬらす夕ぐれの雨

■プレバト纏め 2024年3月21日
「名人特待生 俳句抜き打ちテスト」
犬山紙子 森口瑤子 千原ジュニア 梅沢富美男 

問題才能蟻の俳句はどっち? 
Aぼる塾あんり 風光る劇場ファンから似顔絵
添削      ファンから似顔絵風光る劇場
B早見あかり ラスト公演差し入れは雛あられ

問題才能ありの俳句はどっち?
A志尊淳 雲の峰見上げ飲み干す大ジョッキ
添削   雲の峰まぶし飲み干す大ジョッキ
     雲の峰まぶし掲(かか)ぐる干す大ジョッキ
Bオズワルド伊藤 夏空の青だけ見てと手を引く君よ

問題才能ありの俳句はどっち?
A竹財輝之助 コロコロする寒夜ルンバ充電中
添削     コロコロする絨毯ルンバ充電中
B丸山桂里奈 吾子眠る秋のドラマをミュートで観る

問題才能ありの俳句はどっち?
A尾上右近 顔見せや贔屓出る前幕の内
添削    顔見や贔屓待つ間の幕の内
Bかたせ梨乃 冬麗の太秦二時のかけうどん

問題才能ありの俳句はどっち?
A大久保佳代子 秋高し肉まんの湯気食らう犬
B勝俣州和 肉まんを分けあう夫婦冬日向
添削    肉まんを分けあう冬日向のベンチ

698人の読んだ俳句 詠まれた俳句は2904句
先生の逆鱗にふれた芸能人!
夏井先生の添削で跡形も無くなったランキング

5位 加藤清史郎 天辺(てっぺん)を開けて飛び込む秋の山
添削       秋の山みたいにボトルガムとりどり
4位 美保純 地図に咲く秋の先取り彼岸花
添削     渋滞表示赤し彼岸花の赫々(あかあか)
3位 秋元真夏 若煙草纏(まと)いし君に気もそぞろ
添削      嗅ぎ慣れぬ秋の大人の煙草の香
2位 ユースケ 黄葉が頬にうつりし無邪気顔
添削      子は駆ける銀杏黄葉の只中を
1位 小藪千豊 前の人頼み!頼むな!ラス苺
添削      苺ケーキ残り一つの列にゐる

全2904句二択クイズ
問題名人特待生昇格した俳句を当てる
問題昇格の俳句はどっち?
Aキスマイ千賀 旱星水槽のグッピー揺れる
B森迫永依 残暑の敗野球帽の白昏(くら)し
添削    野球帽の白昏残暑のバスよ

問題永世名人掲載決定の俳句を当てる
問題掲載決定の俳句は❓
Aフルポン村上 ディッシャーを持って無敵な素足の子
添削      ディッシャーを持って無敵な日焼の子
Bキスマイ横尾 年の瀬の終電網棚に眼鏡

次回は3時間スペシャル

2024年3月21日木曜日

100分de名著forユース(2)松下幸之助「道をひらく」

味方せり高知の芝目春の風
春の芝ざぶとん腹に振るクラブ
悴(かじか)まんクラブ握る手春の山
春の5度気温標示を二度目せり
春かなししなかったこと今もなお

■100分de名著forユース(2)松下幸之助「道をひらく」
加藤シゲアキ
ビジネス書評家 ビジネスブックマガジンマラソン編集長 土井英司

「電気の時代が来るに違いない」
23才の時 松下電気器具製作所を創業

先の先まで見通して、すみからすみまで見きわめて、
万が一にも誤りのない一00パーセント正しい判断なんて
まずできるものではない。
六0パーセント見通しと確信ができたならば、
その判断はおおむね妥当とみるべきであろう。
そのあとは、勇気である。実行力である。
素直な心とは(略)単に人にさからわず従順である
というようなことだけではありません。
むしろ本当の意味の素直さというものは力強く、
積極的な内容をもつものだと思います。
つまり、素直な心とは私心なくくもりのない心というか
一つのことにとらわれずに物事をあるがままに
見ようとする心といえるでしょう。

素直とは物事をあるがままに見る姿勢
自分の理解を超越する 利他の精神

わからなければ、人に聞くことである。
己のカラにとじこもらないで、
素直に謙虚に人の教えに耳を傾けることである。
それがどんな意見であっても、求める心が切ならば、
そのなかから、おのずから得るものがあるはずである。
「思い悩む」

要するに人の話を聞こう
人が偉く見えるようじゃなきゃいけない
その事を松下は「衆知を集める」と言っている。

「転んでもただ起きぬ」心がまえが大切。
維持きたないのではない。真剣だったのである。
失敗することを恐れるよりも
真剣でないことを恐れたほうがいい。
真剣ならば、たとえ失敗しても
ただでは起きぬだけの充分な心がまえができてくる。
西の道が悪ければ東から登ればよい。
東がけわしければ西から登ればよい。
道はいくつでもある。
時と場合に応じて自在に道を変えればよいのである。
一つの道に執すればムリが出る。
ムリを通そうとするとゆきづまる。
動かない山を動かそうとするからである。
われわれはもっと自在でありたい。
自在にものの見方を変える心の広さを持ちたい。

(参考にするけど反省はしない 加藤シゲアキ)

松下が人生で市場大切にしていたこと
志を立てよう。本気になって真剣に志を立てよう。
生命(いのち)をかけるほどの思いで志を立てよう。
志を立てれば、事はもはや半ばは達せられたといってよい。
今までのさまざまの道程においていくたびか志を立て
いくたびか道を見失いまた挫折したこともあったであろう。
過ぎ去ったことは、もはや言うまい。(略)
大事なことは、みずからの志である。
いっさい何の不安もなく危険もなければ心配もなく
したがって苦心する必要もなければ努力する必要もない、
そんな境遇にあこがれることがしばしばある。
しかしはたしてその境遇から
力強い生きがいが生まれるだろうか。
やはり次々と困難に直面し
右すべきか左すべきか不安な岐路に
たちつつも、あらゆる力を傾け
生命をかけてそれを切り抜けてゆくー
そこにこそ人間としていちばん充実した
張りのある生活があるとも言えよう。

志を立てることの大切さ

何ごとをなすにも時というものがある。
時―それは人間の力を超えた目に見えない大自然の力である。
いかに望もうと、春が来なければ桜は咲かぬ。
いかにあせろうと時期が来なければ事は成就せぬ。
時を得ぬ人は静かに待つがよい。大自然の恵みを心から信じ
時の来るを信じて着々とわが力をたくわえるがよい。
着々とわが力をたくわえる人には時は必ず来る。時期は必ず来る。

今は不確実性の時代。松下の生きた時代と似ている。
「困っても困らない」「不況もまた良し」
時代は必ずやってくる。必ずチャンスが見えてくる。
百個嫌なことがあっても一つ活路を見つける人だった。
この本を読むと心が時代になる。
どんな変化があっても何にぶつかろうとも自分が変化していける。
怖くなくなる。
柔軟性が道を拓ける。

2024年3月20日水曜日

本の道しるべ(6)堀川理万子

春の潮衒(てら)いなきままありのまま
究極の普通を生きる春の風
個性なき個性を持ちて春の夢
何故できぬ何故いたらせぬ春愁う
風光る打撃職人大谷さん

■読書の森へ 本の道しるべ(6)堀川理万子

おもちゃが大好き イチゴでおおう 
いつも手本にしている本
「やまと絵の四季」花鳥画の世界(1)(学習研究社刊)

自慢のコレクション本
豆本 フランス人権宣言(1789年)
「中部地方の炉辺伝説」柴田昤之助(みちかた工房刊)
「おへやだいぼうけん」ほりかわりまこ(教育画劇刊)
(モデルは堀川さんとえっちゃん)
自分は真面目でダメだな
自作の本棚 大好きで集めている作家の本
作家 芝木好子(1914~91)代表作「隅田川暮色」「葛飾の女」など
テーマが普遍的 筆致が丁寧 
特に好きな作品は「群青の湖(ぐんじょうのうみ)」芝木好子(講談社刊)
感覚的にわかる くさぎの実を求め山に入る 
印象的だったのはその描写

崖際のあたりを彩る木は
枝を陽に向けて伸ばしながら、
大きな葉の先にびっしりとつけた
赤朱色の星型の咢(がく)を、
小花のように開いている。
赤い咢の真中には藍色の珠を抱いている。
咢がまだ開かずに、
ほおずきのようにすぼんでいるのもある。
赤朱色は曇り日の下で翳って
紅紫にも見える。
「群青の湖」芝木好子

(小説の)描写どおりの実で感激した

話は同じでも違う本 
湯葉 隅田川 丸の内八号館
装丁の違いや収録作品の違いを楽しむ

古書道を教えてくれた師匠
堀川流 大量の本の運び方

人生で大切な本
「パパ・ユーア クレイジー」
ウィリアム・サローヤン著 伊丹十三訳(新潮社刊)
ユーモアがあって温かみがあって特に何も起きない
世の中はそうそううまくいくばかりでない
それだってなかなかな人生じゃないか
一番のお気に入りは
オーギュスト・ロダン作
「考える人」の前で父の話すシーン
息子は父にこんなふうに聞きます

「彼は何を考えているの?」
「自分のことさ。
 あらゆる考える人が
 考えることというのはそれなんだ」
「彼の服はどこのあるの?」
「うちさ」
「彼がいるのはどこなの?」
「そこさ。つまり、アートの中さ」
「パパ・ユーア クレイジー」ウィリアム・サローヤン著 伊丹十三訳

自分という主体があって初めて思索というものが生まれる
そのことをうまく言っていると思ったと、堀川さん。

読書の森の歩き方
堀川流 本の楽しみ方①
画家 鈴木信太郎(1895~1989)
「若い人」憧れの画家の装丁を楽しむ

堀川流 本の楽しみ方②
「それから」夏目漱石(岩波書店刊)
花が出てくるところにその花を描く

「雀の手帳」幸田文(新潮社刊)

時を経て好きになった本
「晴朗悲歌集」島田修三(砂小屋書房)
お気に入りの歌
鰤のアラ炊きつつ心ととのふる〈本なら熟読人には丁寧〉

心がザラザラした時子の歌を諳(そら)んじる 役に立つ
落ち着きます それが文学の効用
本を読んで一番うれしいのは
自分の気持ちに名前がついた時だと思う
それが複雑な名前かもしれないけど出会った時は嬉しい

読書の森の宝物が堀川さんを笑顔にする
直観を信じわくわくする方へ宝探しに行こうかな❓

2024年3月19日火曜日

マーケットアナライズ&名言

蜆汁両手で椀を包み込み
目を閉じて深呼吸せり蜆汁
亡き義父の笑顔と一緒木の芽味噌
民族的記憶龍天に昇る
空に向かいて「鷹化して鳩となる」

■マーケットアナライズCONNECT
投資図鑑 みんなの給料が上がらないのは円安のせい?
序章 頑張っているのに豊かになれないのは「円安」のせいなの?

為替の仕組み
購買力低下の主因はインフレ率格差
~むしろ為替は50年前より2倍円高~

日本製品の競争力が落ちているのではない
~異常な円高放置で空洞化が進む~
海外生産比率と就業者数

円高?円安?結局どっちがいいの?
それぞれの勝手な事情がある

株価と為替はどう影響を与え合う?
~円安⇨株高、円高⇨株安~
株価と関係する為替レート
~円安だとグローバル企業が儲かる~

円高、円安は外国人投資家にどう影響する?
~円建て資産の価値低下⇨割安で買える~

景気と通貨の関係
~割安な為替レートは経済成長をもたらす~
10%円安の影響
~GDP全体ではプラス効果が勝る~
円安はGDPの押し上げにつながる
Jカーブ効果 タイムラグで遅れてやってくる
マクロモデルでも示されている
マクロモデル的には金利が上がってくるので設備投資の足を引っ張る
10%の円安(金融緩和)での金利効果は3%くらいあったのでは❓
日本は0金利でしたが海外では金利がアップされたので。
流動性の罠
消費は遅れて上がってくる
円安がマクロ経済に与える効果

「円」って対ドルで、いくらが適正?
~為替介入の経験では100~130円~
ドル円レートの比較
~購買力平価では91円台が適正~

永濱さんの纏め
円安になった方が給料は上がる
円安になって物価が上がったから賃上げにつながった
円安は金融緩和 円高は金融引き締め
それぞれの事情があるので議論の余地あり

スタート地点をもう少し後にずらせると
岡崎さんは130円くらいがちょうどいい
永濱さんは100円から130円がよいのではと…。

■名言
ドイツの諺 より
「知っていることのすべてを語るな。
 聞いたことのすべてを信ずるな。
 できることのすべてをなすな。」

サマセット・モーム 曰く
「人生とは面白いものです。
 何かひとつを手放したら、
 それよりずっといいものがやってくるものです。」

ピーター・ドラッカー 曰く
「複雑なものはうまくいかない。」

2024年3月18日月曜日

兼題「春塵」&テーマ「組織」

夢を追う人のまなざし風光る
また花火春の眉山の火炎の香
急速な花火の進化春の夜
春を詠む自然の理解なきままに
目を閉じん春の蜜柑のとろけ来る

■NHK俳句 兼題「春塵(しゅんじん)」
選者 村上鞆彦 ゲスト 南杏子 
レギュラー 家藤正人 中西アルノ 司会 柴田英嗣
年間テーマは人生を詠う 今回のテーマは「死・命」

南杏子さんの小説は「終末期医療」を題材にした作品が多い
「機嫌よく生きると決心すること」がキーワード
生きている放物線の最後が死

死ぬときは箸置くやうに草の花   小川軽舟(けいしゅう)
「箸」という日常的なもので死に方の理想を述べている
「草の花」は秋に咲く名もない楚々とした花
上五中七の密やかな思いを季語が受け止めている
日常の地続きに死がある

▪特選六句発表 兼題「春塵」
いつか弾くショパンの楽譜春の塵   君島忍
春塵やガラスの中の時計店   石原美枝子
(表通りに吹いている砂嵐の質感)
春塵やサーカスを待つ大空き地   西爽子(そうこ)
(春塵とともにやって来て去ってゆく)
春塵にめがねざるめをこすりけり   吉田詳(しょう)
私 春塵を吹き天金(てんきん)の書の目覚(ざ)む   岡本戒(えびす)
(1頁目を開いたら本自体が眠りから覚めたそれを読む私の心も目覚めた)
校庭にガザの春塵降ってきた   藤田晋一
(「校庭」という当たり前の日常にふと戦争が入り込んでくる
日常と戦争は紙一重ということも象徴している句)

▪夏井家伝来!家藤正人と中西アルノ+柴田英嗣
0から俳句最終回
柴田英嗣と中西アルノが松山で挨拶句を発表!

ご挨拶句発表
風光る伊月庵でのたちばなし   柴田英嗣
道後ロケ肌潤すはみかんかな   柴田英嗣
(下手な観光案内)

戦国の狭間(さま)抜け今年の春一番   青山ネモフィラ

言葉へのアンテナをたてておこう   夏井いつき

▪今日マチ子、今日の一句
花冷えや母の入所を先延べし   南杏子

▪特選三席発表 兼題「春塵」
三席 出さぬまま失せし手紙や春の塵(ちり)   桑原規之
二席 春塵降る虎の咆哮(ほうこう)として降る   伊藤映雪(えいせつ)
   (阪神タイガース今年もやるぞ~!という雄たけびの句と南先生)
一席 金粉も混じりてをらむ春の塵   正谷民夫
   (何事もプラス思考に捉え直す 美しさと繊細さがある)

▪柴田の歩み
南さんのような多趣味に!!

■NYK短歌 テーマ「批判するまなざし」
選者 𠮷川宏志 ゲスト 梯久美子 司会 尾崎世界観
年間テーマ 実感的 表現力アップ「組織」

社会や世界に対しての違和感・怒りを込める

いじめるのが巧い男が上に行く組織とは何か背の冷えて去る
吉川宏志

▪入選九首 テーマ「組織」
 吸い物にお湯を注げば下っ端の本音のような麩が浮き上がる
岩倉曰(いわく)
高野川を挟んでスピーチの特訓あり先輩右岸新人左岸
久保田洋二
 芋掘りの園児の指が少しずつ陽にあててゆく地下の組織図
たんかちゃん
三席 派遣われの机とばして置かれゆく社員旅行の集合写真
原田浩生(ひろお)
組織図のどこにもいないわれの名をお客さんだけが覚えてくれた
大津穂波
一席 退職する人とおんなじ花束をもらい今日から産休に入(い)る
深影(みかげ)コトハ
日曜の社内チャットに「就業」の緑のマーク一を数へをりたり
犬山裕之
お向かいのにいちゃんのことを「先輩」と吾子は呼びだす四月になれば
勇希
二席 「船の音ここまで届くもんだね」ともうすぐ辞める職場の人が
佐藤橙(だいだい)

組織を歌うことで自分が見える

▪入選あと一歩
わが検査課の合否に不服ありとしてのりこんでくる塗装課の群れ
奥武義 添削
検査課で決めし合否に不服だとのりこんでくる塗装課の群れ
(「乗り込んでくる」と言えば自分がいると解るので「わが」は削除した)

▪表現の最前線
半田良平(1887~1945)

若きらが親に先立ち去ぬる世を幾世し積まば國は榮えむ
半田良平(逆説的な表現 気持ちを歌に込めるしかなかった 𠮷川)
(時代の証言みたいなもの 梯)

梯久美子 表現の最前線
散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道
軍人の短歌 訣(けつ)別電報 辞世の歌
国の為重きつとめを果し得で矢弾尽き果て散るぞ悲しき
仇討たで野辺には朽ちじ吾(われ)は又七度生(あ)れて矛(ほこ)を執らむぞ
醜草(しこくさ)の島に蔓(はびこ)るその時の皇国(みくに)の行手(ゆくて)一途に思ふ

国の為重きつとめを果し得で矢弾尽き果て散るぞ口惜し
新聞掲載では改ざんされていた
「悲しき」は最高指揮官が言ってはいけない言葉だった
本土から武器弾薬が全然届かなかった
2万人の部下がいて95%が亡くなった
これは告発を含んでいる
どうしても歌わずにはいられなかった
人間性のなさが伝わってくる
「言葉を変えたら現実も変わる」という発想がある
歌とか言葉の持つ力をみんな信じていた
この歌は時代の証言であることを現代に伝えてくれている
インタビューをお願いして話していただけることは奇跡的なこと
作品として出すことは決して上品なことではない
書くことの暴力性は忘れないでいようと思っている
それでも書くって思った時に書く
確かに後ろめたさがある
何を取材したいと思うか今までの人生の考えが表れる
私が書く必然性を探る
作品を作るのは自分の為
自覚が必要

吉川宏志氏 纏めの言葉
自分は狭い世界にいるんだけど他の世界に
つながっているということを実感した。
素晴らしい経験だった。

▪ことばのバトン
声が射す鋼宿(はがねやど)せし心根に
浪曲師 天中軒すみれ

真に活きるは闘うことだ
ラッパーBina(イラン出身クルド人)
世界最大の国家なし民族クルド人
多くの虐待などに対して闘ってきた
BERXWEDAN JIYANE(生きるとは闘うことだ)それを短歌にした

2024年3月17日日曜日

兼題「雛祭」&敗北からの教訓 荒木村重・大塩平八郎

春の月読むに読めない走り書き
吾より先逝くこと勿れ春愁う
政治家の驕り昂り朧影
雲流る五感を刺激されて春
春の鳥大麻山で会いませう

■ギュッと!四国
夏井いつきの俳句道場 兼題「雛祭」春の季語
傍題 雛・ひいな・雛飾・雛人形など

ひな祭り縁なき我ら三兄弟   茶栗黒栗
(縁なき我ら が説明になっている 映像にする)
佳作 雛祭主役を奪う次男坊   土佐俳句人
(次男坊と具体的に言っているのが良い)
秀作 弟に触らせまいと雛祭り   城内幸江
(映像が見えてくる)
泣き笑い稼ぐ愛娘(むすめ)と雛飾る   茶々丸
(愛娘はちょっと強引 嫁ぐ子とできる 推敲の余地あり)
雛祭時代を映す鏡なり   平田球坊
(時代を映す が説明になっている 次の句が良い例)
佳作 安政の雛をそつと令和の子   池之端モルト
(安政とか令和と書いて時代を映している)
古雛を飾る私は去年古希   節子。
(俳句はあまり正直にならなくてもいい 去年はいらない)
佳作 古稀過ぎて今日は自分の雛まつり 浜松ヘイタママ
(思いがまっすぐ伝わってくる)
もみじ手が女雛ぺたぺた雛まつり   渋柿
(もみじ手は言いふらされた表現 この手で良い
夜の夢こそまことと乱歩雛祭り   木野肖
(雛祭りより乱歩が目立っている 頑張りすぎた)
秀作 桐箪笥立ち退(の)かされし雛祭
(広さが見えてくる これが大事な描写)
佳作 雛壇のぼんぼり借りしおままごと   彼方にるうこ
(「し」が惜しい 基本的に過去の意味になる 
借りてとか借りるにすると良い)

▪秀作への道
雛祭り競い並べたぬいぐるみ   香也。
(競い並べたが説明) 

佳作 ダッコちゃんもこけしも並ぶ雛祭    一粒の種
佳作 市松(いちま)はんリカちゃんくまさんお雛さま   水きんくⅡ
ポイント 物を具体的に提示
競い並べた とか 並ぶ 入らない

秀作 雛祭僕もゴリラを飾っとく   定位置
ポイント 動きや表情を描写 映像を描写する

▪ギュッと特選
官女らに豊かなる暇ひなまつり   七瀬ゆきこ
選句のポイント 季語の本意をつかんだ一句

4月から家藤正人さんが引き継がれるとか…。
嬉しい。楽しみにしています。

■偉人・敗北からの教訓 
▪第35回「荒木村重・信長に反旗を翻した籠城戦」
荒木村重から学ぶ教訓
一、人としての美学を持つべし
一、一時的な不遇には耐えるべし
一、自らの適正に合った仕事をすべし

▪第36回「大塩平八郎・世直しを目指した過激な戦い」
大塩平八郎から学ぶ教訓
一、何事も一心で行うべし
一、思い込みの強さを是正すべし
一、書き物は短く分かりやすく

2024年3月16日土曜日

エドヴァルド・ムンク ザ・プロファイラー

仲春や頼りなき文字苦笑い
蜂須賀桜花びら揺れて心揺れ
雪柳病む精神と向き合わん
吾の植えた不安に支配されし春
三月や縁と出逢いに育まれ

■ザ・プロファイラー 
みずからの魂を解剖した画家 エドヴァルド・ムンク

レオナルド・ダ・ビンチが人体を研究し死体を解剖したように
私は自らの魂を解剖してみよう
ムンクのスケッチブック

母は私の手を握り引っ張った 
なぜそんなにゆっくり階段を 降りるのと尋ねた
母は一歩一歩立ち止まり息をつぐ
ムンクのスケッチブック
母との強烈な思い出として残ったという

私を罰するとき父は激しい怒りでほとんど我を忘れていた
私たちの知るエドヴァルド・ムンク

私の好きなエドヴァルド あそこにいる顔が見える?あれが死よ
訴えるような眼差しで僕を見た 僕はカーテンで顔を隠した
涙を抑えきれない
ムンクのノート
15歳の姉ソフイエの死

ムンクは姉が息を引き取った時に座っていた椅子を生涯離さなかった
姉の与えた喪失感は大きかった

病と狂気と死は私のゆりかごの横に立つ黒天使だった
スケッチブック

母と姉の死 絵を描くことだけが救いだった
僕は画家になろうと思う
ムンクの日記

ムンクは感受性が強かったので死に対する意識は高まっていって
死の呪縛から逃れるために絵を描くということはあった

汝 自らの人生を記せ
絵を描くにしても小説を書くにしてもおとぎ話のようなものではなく
自分自身が体験・経験したことを率直に描きなさい
自分にとって恥ずかしいということも恐れずに描きなさい
芸術家ムンクを作る上でかなり重要な役割を演じた

近づけば近づくほど何が何だか分からなくなり
しまいには雑多な斑点だけになる
モルゲンブラーデ1886.10.28

初日「病める子」が飾ってある部屋に行ってみると
人々がこの作品の前にひしめき合っていた
叫び声や嘲笑が聞こえた
私に向かってイカサマ画家だと叫ぶものもいた

「病める子」は私のアートにおける新境地となり突破口となった
ムンクの小冊子(22歳)

絵画は注文を受けて描くものでした。
自分を表現するものではなかった。
画家本人の中にあるものを外に表現していかなくてはいけない。
というのは表現主義。
この思想が出てくるのは20世紀に入ってから出てきたものです。
これは新しい考え方でムンクはむしろ先駆けでした。

「汝 自分の姿を記せ」ボヘミアンは言う。

もっともつらいとき 頭を暖炉に向けて突然こんな欲求を覚える
死んでしまえ そうすれば何もかも終わる
ムンクのノート

室内画や本を読んでいる人物
また編み物をしている女などを描いてはならない
息づき感じ苦しみ生き生きとした人間を描くのだ
ムンクの小冊子

1890年26歳
パリの美術学校を辞める

短い人生の間ゴッホの炎は尽きることはなかった
生涯のうちの数年間絵筆は燃え上がり
そして残り火となり芸術のために彼は燃え尽きた
私も最後まで彼のように燃える絵筆で描きたいと思い望んでいる
ムンクのスケッチブック

ゴッホの魂が感じたままを描くことに共感したという

激しい批判
展示は凄い騒ぎを引き起こしています
なにしろろくでもない年よりの画家が掃いて捨てるほどいて
そうした輩は新傾向を目にすると逆上するものですから
叔母宛の手紙

ベルリンの個展はわずか1週間で打ち切られた

夕暮れ 道を歩いていた 一方には街が見渡せ
眼下にフィヨルド(入り江)が横たわっている
立ち止まってフィヨルドをを眺めていると
沈みゆく太陽 雲が赤く変わっていった
まるで血のように
どこからか聞こえる叫びが私の耳を貫いたように感じた
確かに叫びを聞いた気がした 私はこれを絵に描いた
スケッチブック

1892年「窓辺の接吻」

ムンク1893年「叫び」29歳
この絵に付けられた最初の名は「絶望」

欲しくてたまらなくなる そのために昼も夜も心安らぐ暇がない
ムチでたたかれた犬のように打ちひしがれふがいなくさ迷い歩く
どうすれば良いのだろう
ムンクのメモ

1890年 ミニー・タウロウと破局 5年で終わりを告げる

2人の愛が灰となって地面にたまるように感じた
スケッチブック

1893年29歳 
ダグニー・ユール(ノルウェー首相の姪 医者の娘)と出会う
ダグニーはムンクの友人(ポーランド人)の作家の妻
彼女は多くの男性を誘惑 ムンクも夢中になった
彼女はファム・ファタールと呼ばれる女だった
ファム・ファタールというのは「宿命の女」「魔性の女」
性的魅力で男を誘惑してその男を破滅していく
19世紀の時代が好んだタイプ
ムンクもそういう女性に目がなく興味もあって近づいた
ダグニーとの関係を書いたのが「嫉妬」
1895年「嫉妬」31歳
1899年~1900年「生命のダンス」
過去現在未来 時間の経過を表現
女性からインスピレーションを得た絵画 
芸術という意味でもムンクの代表作の一つ
生気を失った目 

現在のモデルとなったのは
1898年34歳交際をしていた トゥラ・ラーセン
独身のブルジョワ女性
交際しているうちにトゥラ・ラーセンの方が夢中になった
しかし「嫉妬」を描き終えたとき関係がこじれていた

私はいつもアートを最優先にしてきた
女性は仕事の邪魔になる
ムンクのノート

そしてアルコール依存症に
トゥラから逃げ始めて2年 1902年38歳
銃の暴走

トゥラは私の黒天使となった
スケッチブック

地獄の自画像 39歳

私の絵に値がつくようになってはじめて
人々は私の絵に関心を持つようになった
45歳になるまでは私の絵を見ただけで
「おお気味が悪い」と叫んでいたくせに
スケッチブック

クラーゲリョーに居を構えた
1913年~15年「雪の中の労働者たち」
1910年~12年「疾走する馬」
国民画家となる しかし評価されるのは若い時に描いた絵ばかり
20世紀に入り 「印象Ⅲ」カンディンスキーらが出現
ムンクは取り残される 自分を超えられなくなっていった
「聖ウルスラ教会とミュンヘン・シュワビング」

版画など
リトグラフ・手彩色「嫉妬Ⅲ」1930年

1940年76歳
ナチス・ドイツがノルウェー侵攻

「自画像」1940年~43年 「犬の顔」1942年
家に閉じこもりひたすら絵を描き続けた

1944年 ムンクの家の傍で爆弾が炸裂
窓ガラスが吹き飛ばされ 外からの冷気が吹き込んだ
その事から気管支炎が悪化
1944年エドヴァルド・ムンク永眠(80歳)
終戦を待つことなく一人でこの世を去った
最晩年の自画像が残っている「自画像、時計とベッドの間」
1940年~43年
終戦後 ムンクの家から1,000点を超える作品が発見された
それ等はオスロ市に寄贈され
美術館で今も人々の心を揺り動かしている

私のしかばねは腐りそこから花が育つだろう
私はそうした花の中に生き続ける
死は人生の始まり新たな結晶化の始まりである
スケッチブック

不安と病気から解放されてしまえば
舵を失った船のようなもの
ムンク

自分の過去を超えられないムンクの後世
続けていくことの難しさ   山田五郎氏

2024年3月15日金曜日

幸田露伴著「努力論」&「屋根替」&菅原洋一氏の言葉&名言

和における不完全の美朧月
春の夜や余白に込めた物語
虚を作り瞬間を打つ春の雹
腕よりも魂にこそ春日向
虚をつかれ逆転許す春の芝

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「 屋根替(やねがえ)」

中々現在は目にすることも少なくなった季語です
どういう季語かというと文字通り屋根を替える
屋根の何を替えるかというと昔ながらの茅葺き屋根などの
傷んだ部分を取り替えるという季語になります
冬の間に雨や雪等で傷んでしまった部分を
春になって補修する替えていくというのが
この「屋根替」という季語になります
瓦屋根なども「屋根替」と言わなくもないようですが
やはり季語の本意としては茅葺き屋根
それを替えていく人の動き等そういったものが
季語の本意になると歳時記には解説があります

■幸田露伴著「努力論」
努力には直接の努力と間接の努力がある。
​人生に福を積み立てる3つの秘訣がある。
ポイントは
直接の努力とは、​当面の努力で​一所懸命に頑張っている時の努力。​
間接の努力とは、​準備段階における努力で​基礎となり​自分の源泉となる努力。

幸田露伴は「幸福三論」と呼ばれる三つの言葉があると主張。
「惜福(せきふく)」、​「分福(ぶんふく)」、​「植福(しょくふく)」。

惜福とは、自分の福を使い切らないでおくこと。
分福とは、自分の福を他の人と分かち合うこと。
植福とは、将来にわたって幸せを受け続ける為、幸せの種を蒔くこと。

▪名言
「幸福になる努めを諦めず力強く生きて欲しい。」

「『努力して努力する』―これは真によいものとはいえない。
『努力を忘れて努力する』―これこそが真によいものである。」

「真の文明というものは、すべてある人々が福を植えた結果なのである。」

▪無駄な努力を見極める
努力は大切だが、無駄な努力に時間を使わないようにする。
自分の目標に対して効果的な努力を選択しよう。

You-Tube アバタロー@Aba_Book_Tuber より

■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん~昭和の大先輩とおかしな2人~#11菅原洋一
色紙の言葉
笑顔

■名言
モンゴメリ 曰く
「決めたというのは、行動するということ。」

ドイツの諺 より
「苦さを味わったことのない者には、
 甘さがどういうものかわからない。」


ウィンストン・チャーチル 曰く
「楽天家は、困難の中にチャンスを見い出す。
 悲観論者は、チャンスの中に困難を見る。」

リンカーン 曰く
「世には卑しい職業はなく、
 ただ卑しい人があるのみである。」

ポール・シーラー 曰く
「幸せを増やす唯一の方法は、それを分け与えることだ。」

アリストテレス 曰く
「高潔な人は恩恵を施すことを好むが、
 恩恵を施されることを恥じる。」

2024年3月14日木曜日

源氏物語の女君たち(5)朧月夜の君・朝顔の君

質疑より法改正を春の月
春はやち弁明不要納税を
春の石鎚落ち行く雲よ滝のごと
朧月やめる美学へまた一歩
春の空憧れるのはやめましょう

■源氏物語の女君たち(5)朧月夜の君・朝顔の君
藤井由紀子先生
原文で読み解く「源氏物語」

光源氏は自主的に地方で謹慎生活を送る
今日の女君 朧月夜の君・朝顔の君

桐壺亭が宮中で桜の宴を開催
藤壺の宮 光源氏が想い続けた女君
尚侍(ないしのかみ) 帝に側仕えする女官

わななくわななく、
(朧月夜の君は)おろおろ震えながら
「ここに、人」とのたまへど、
「誰かここに、人がいるわ」とおっしゃるけれど
「まろは、皆人にゆるされたれば、
私は、みんなに許されているので、
召し寄せたりとも、なんでふことかあらん。
人をお呼びになっても何ともありません
「ただ忍びてこそ」とのたまふ声に、
「ただ静かに」とおっしゃる声に
この君なりけりと聞き定めて、いささか慰めけり。
(朧月夜の君は)光源氏であったとわかって少し安心した

光源氏は桜の宴で漢詩を披露
光源氏は有名なので以前から知っていた
朧月夜の君は感情に流されてしまう
光源氏との仲が原因で東宮への入内(じゅだい)は取り消し
尚侍(ないしのかみ) 帝に側仕えする女官
密会が朧月夜の君の父 右大臣に見つかる

朧月夜の君と正反対の女君 それが朝顔の君
光源氏に一生なびかなかった
光源氏とは従弟同士 父の弟の子
2人は若い頃から文のやり取りをしていた

かかることを聞きたまふにも、
このようなことをお聞きになるにつけても 
(光源氏にいい加減に扱われている噂)
朝顔の姫君は、いかで人に似じと深う思せば、
朝顔の君はあの人のようにはならないと深く思われたので
はかなきさまなりし御返りなどもをさをさない。
かつてはあった光源氏へのお返事も差上げなくなった

朝顔の君は賀茂祭(かものまつり)で初めて光源氏の顔を見る
斎院(さいいん) 帝が賀茂神社に奉仕させた未婚の女性皇族
斎院への求愛は不敬にあたる
斎院を退き恋愛解禁となった朝顔の君に求婚
朝顔の君は拒否し続ける
結婚拒否を貫く女君
朝顔の君は結果誰とも結婚しませんでいた
平安時代の物語は竹取物語から始まる
かぐや姫も結婚拒否のお話
結婚にあらがうことができなかった
朝顔の君はある意味では憧れだった
自分の美学を貫く方が幸せだと思えば朝顔の君は幸せ
誰かに愛されたほうがいいと思えば朧月夜の君が幸せ
源氏物語は今の自分の生き方を照らす作品

2人への行動が原因で光源氏は明石へ行き新しい女性と出会う
次回の女君は明石の君

2024年3月13日水曜日

100分de名著 forユース1シュリーマン「古代への情熱」

春の風見えなきものを描き込まん
龍天に昇る娑婆即寂光土(しゃばそくじゃくこうど)
水温む長田の人の励ましよ
縁ありて山古志村に桜咲く
春の月行く先々で災害に

■100分de名著 forユース1シュリーマン「古代への情熱」
学び続けることの意味
教育学者 齋藤孝

トロイア戦争
「お父さんの話はまちがっているよ!
イェラーはトロイアをきっと見たんだ。
でなくちゃ、こんなふうに描けるはずがないもの」
「これは創造で描いた絵にすぎないんだよ」
しかし、昔のトロイアにあの絵にあるような堅固な城壁が
ほんとうにあったのかと私が尋ねると父はそうだと答えた。
「お父さん、そんな壁がほんとうにあったのなら、それがすっかり
なくなってしまうはずはないよ。
何百年も塵やがらくたの下に埋もれているんだ」
そのころもう私たち二人の間では大人になったらすぐ結婚し(略)
トロイアの都を発掘しようという計画がはっきり決まっていた。
そうやって過去の遺物の探求をして一生を送ること
以上にすばらしいことはとうてい考えられなかった。
関楠生 訳

著者 考古学者・商人 ハインリヒ・シュリーマン(1822-1890)
2部構成 
第1章「少年時代と、商人としての人生行路」
第2章以降は、シュリーマンの死後 発掘の業績を友人たちがまとめた

内容 古代ギリシャの詩人ホメロスの「イーリアス」と
「オデュッセイア」という叙事詩に出会い
古代都市トロイアを発見する、と決意した
シュリーマンの少年時代と、その後の人生を振り返る書

憧れに憧れるのが教育の基本

そのとき私は、ミンナがまだ
私を愛していることを確信したのである。
この確信が、私の功名心を燃えあがらせた。
このときから私は自分の内に無限のエネルギーを感じ
これからはたゆまぬ努力を続けて立身し
ミンナに値するものになって見せようと
堅く心に期するようになったのである。
私が当時 神様にお願いしたことは
ただ一つ、私が独立独歩の地位を築きあげるまで
彼女が結婚しないでいてくれることだけだった。
あの晩のことは私には終生忘れられないであろう。
語句の意味は一つも解らなかったものの
この響の美しい言語にこのうえない深い感銘を受け
そのため私は、わが身の不運を思って熱い涙を流した。
私は三回もくり返しこの崇高な詩句を聞かせてもらった。
このときから私は、神のお恵みでいつかギリシャ語を
学べる幸運が与えられるよう祈ることをやめなかった。
トロイアをいつかはきっと発掘するという
父やミンナと取り交わした一八三〇年の約束に
思いを致すことを決して忘れはしなかった。

勉強にエネルギーをつぎ込んだ
全てをPositiveに発想を転換していった
一念発起のきっかけは美しい言語ギリシャ語だった

シューリーマンの外国語勉強法
① 大きな声でたくさん音読する
② ちょっとした翻訳をする
③ 毎日一回は授業は受ける
④ 興味ある対象について常に作文を書く
⑤ それを先生の指導で訂正する
⑥ 前の日に直した文章を暗記して次回の授業で暗唱する

これはアウトプット勉強法
仕事をしながら学び続けていったのが夢の実現につながった
勉強は喜びだった 勉強がMotivationになった

一目見たとき、私にはこの平野が細長過ぎるように思われたし(略)
もしピナルバシがほんとうにこの古代の都の区域内に建設されている
とすれば、トロイアが海からへだたり過ぎているように思われた
「ここが知識欲さかんな未来の若者たちすべての
巡礼地になって彼らを学問に、とりわけすばらしい
ギリシャの言語と文学に熱中させんことを」

才能とは、エネルギーと粘り強さであり
それ以上のものではない
シュリーマン

トロイア発掘成功のわけ
没頭力に優れた人物だった
ミッション パッション ハイテンション
この本から受け取りたいmessage

物語の力 真逆の方向に進んで成功したシュリーマン
勇気づけられる一冊

2024年3月12日火曜日

本の道しるべ(5)&ボブ・ディラン

春かなし徳なき人に蔑(さげす)まれ
聞こえくる胃のうめき声春の風邪
目に見えて劣る体力春の風邪
ウエストがまたふくよかに春の風邪
春光や大麻山で会う花鶏(あとり)

■読書の森へ 本の道しるべ(5)平野レミ

平野レミさんのお父様はフランス文学者の平野威馬雄(いまお)(1900~86)
仏文学者詩人として活躍
訳書に「モーパッサン戯曲集」「ファーブルの生涯」など
1935年~85年の日記 60冊が保管されている

昭和20年8月15日の日記
涙滂沱(るいぼうだ)わんわん泣くこと
惨敗 敗戦 終了
すべてが今日一日で変化する
新日本の歴史の第一頁也

「レミは生きている」平野威馬雄(講談社刊)
「レミ」は威馬雄さんのニックネーム

父が勧めてくれた本
「好きなことをやれ 徹底的にやれよ」
「その代わり本読めよ」
この本は、ぼくのおさないころからの、ほんとうの話です。
ずいぶん弱虫なやつだ…と思うかたもいるでしょうが、
どうにもしようがなかったのです。
「レミは生きている」平野威馬雄(講談社刊)

レミさんの人生にとって大事な人があらわれました。
イラストレーターの和田誠さん(1936~2019)
和田さんの一目惚れ。
ふたりは知り合ってわずか10日で結婚
和田さんの家に行くと本がブワーっていっぱいあった。
その中で結婚の決め手になった本は
「血の晩餐 大蘇芳年(たいそよしとし)の藝術」(番長書房刊)
この本のおかげで結婚した この本が仲人です

「お楽しみはこれからだ」和田誠著
映画の名セリフがちりばめられている。

大好きな和田さんの本
「和田誠肖像画集PEOPLE」和田誠(美術出版社刊)
著名人480人の似顔絵が載っています。
和田誠さんはフランク・シナトラさんの追っかけをやっていた。
(マレーネ・ディートリヒが来日した時)
楽屋に行って和田さんがサインを頼んだ
すると That is not me とサインしたとか…。
フランク・シナトラのサインも貰われたとか…。

家族のことを書いたエッセイ
「わたくし大画報」和田誠(講談社刊)

十二月で長男四歳、次男四か月、
オヤジはつらいよ、であるが、オフクロはもっと大変だ。
やれオッパイだ、ミルクだ、離乳食だ(略)
まず自分の時間というものは持てない。
本も読めない。(もともと読まない人ではあるが)。

食洗器を買ったとき 綺麗になるよと言ったら
「それは俺がいう言葉だよ!」と言われた
会っちゃうと先がなくなっちゃう
とっておきたい
まだ会っていない和田さんがいっぱいいる

家族のために読んだ料理本
「和風料理200選」(女子栄養大学出版部刊)
「ザ グッド クック」全26巻(タイム ライフ ブックス刊)

私の料理は今日採点すると何点かな❓
顔が答案用紙みたいなもの
(食べてる人が)100点の顔しているとうれしいね
励みになる

1986年初めてのレシピ本を出版
「平野レミ・料理大会」(講談社刊)

今いちばん楽しみな本
「たーたん図鑑」レミさんの3人の孫

■アナザーストーリーズ
ボブ・ディラン~ノーベル文学賞 原点のステージ~

歌は常にうつろうこの世界で生きていて文学とは違う
歌の詩は紙で読まれるものではなく
歌われるためにあるものなのだ
ノーベル財団HP Nobel Lectureより

ボブ・ディランのメッセージはホメロスのこんな言葉で締めくくられています。
詩神よ 私の中で歌い私を通して物語を伝えてくれ

2024年3月11日月曜日

兼題「蓬」&テーマ「なぜか忘れられない人」

寒暖差ついて行かれず春の風邪
北野テラスで味わう五感春の朝
二郎イチゴのコンフィチュールや山笑ふ
ストーブの柵に吊るしたボールペン
植木鉢我がもの顔の春の草

■NHK俳句 兼題「蓬」
選者 山田佳乃 ゲスト 笹公人(きみひと) 司会 柴田英嗣
年間テーマ「俳句とエコロジー」

短歌は「七・七」が多い分
自分の思いをストレートに述べられる
俳句は風景に自分の思いを託す
短歌は「風景+思い」
いろいろ言いたいことがある人は
短歌の方が向いている

兼題「蓬」
古くから薬草として重宝され
邪気払い・美容・健康(もぐさ・蓬茶)に用いられる

▪名句de穴埋めクイズ
籠あけて蓬にまじるを塵(ちり)選る   高浜虚子

短歌の方が韻律を気にする
頭韻や押韻を合わせる

▪特選六句発表 兼題「蓬」
軒先に吊るす蓬の風とゐる   斉藤美翔
日の先に日のまた先に蓬摘む   古関聰(あきら)
子と吾(われ)のまあるき影や蓬摘む   鈴木正芳
しばらくを蓬探しの家出かな   北村修
そよそよと野の真ん中に蓬摘む   中田かおり
擂(すり)鉢の音に遅れて蓬の香   板倉富士夫

▪特選三席発表
三席 子の摘みし蓬と蓬らしきもの   須坂大寒
二席 蓬生(う)や風に掠(かす)れる五時の鐘   木原真一郎
(蓬生=蓬が生えている野原 
「か」と「か」で韻を踏んでいるところが良い)
一席 夕映えへめくれゆく空蓬摘む   上木三子(みつこ)

もう親父は亡くなったんですけど
父が認知症になって僕のことを「兄貴」と言うようになった
フィクションを超えたな現実で詠んだ方がいいな
それ以降現実のものも詠むようになった
「やっと目覚めたか」と偉い人から言われた
笹公人氏

▪夏井家伝来 家藤正人&中西アルノ
0から俳句
ご挨拶句
招かれた土地や人物へプレゼントする気持ちで読む俳句

伊月庵 句座を囲むための場所
俳句はの文学 集まった場所で句を詠む
俳都・松山 江戸・明治・昭和 句座を囲む庵

1749-1814 江戸時代中期-後期の俳人。
寛延2年生まれ俳人・栗田樗堂(ちょうどう)がいます。
樗堂が松山に庚申庵を結んだ
明治時代には正岡子規や夏目漱石が愚陀仏庵で共同生活をした
昭和時代には種田山頭火が一草庵を結んだ
そして平成・令和に俳人たちが
句座を囲むために伊月庵を夏井いつきが作った

伊月庵でご挨拶句
ステップ① 誰へ何へプレゼントするかを決める
ステップ② 句材は何にするか決める(フレーズを決める)
ステップ③ 季語を選ぶ

▪笹さんにも一句
蓬餅フォークで喰らう破壊僧   笹公人(きみひと)
(破戒僧の癖にスケールがせこい)

▪柴田の歩み
妄想で詠んでみよう

■NHK短歌 テーマ「なぜか忘れられない人」
選者 山崎聡子 ゲスト 中野信子 司会 ヒコロヒー
年間テーマ「伝えられなかった思い」

牛の目玉の水晶体を手のひらで光らせていた教師よ、射光
山崎聡子

記憶は「記銘」「保持」「想起」3つのプロセスがある
覚えて キープして 思い出す
「思い出す」を何度もやると記憶が強くなる

短歌は記憶の外付けハードディスク

▪つぶやきを短歌に
奪っては生き存(なが)らえるこの生に獣の匂いのスウプ分け合う
山崎聡子

▪てれび歌会
入選九首 テーマ「なぜか忘れられない人」

二席 肖像画互いに描き合う授業にてわが顔の痣(あざ)描かざりし友
しなもん
にんげんのこころはたぶん青いよ、と言ってた子の絵今も脈打つ
佐藤研哉
お土産のスノードームが好きだった水が濁ってしまった今も
飯盛のぞみ
眉毛だけ描いて深夜のタクシーに飛び乗る切り傷は小さく見える
牧野冴
若き日の母が泣いてる白生地に紫の花散した寝巻きで
伊従あゆみ
恋愛は特になかったひとと夜、溶けてなくなるように歩いた
砂崎柊
眼鏡下げ胸の奥まで見るような今はもうない本屋の店主
藤平怜
一席 さう、確か深爪だったホスピスの亡母(はは)に装束(しょうぞく)着せてくれしひと
東真理子
三席 ぬばたまの黒髪揺らしつみつる君ばかり当ててた古典の先生
本那榮子(ぬばたま 「髪・黒・夜・夢」などのかかる枕詞

▪中野さんの「なぜか忘れられない人」
まどひける吾にしるべせしとつくにのうるはしきひとのほほえみめぐし
中野信子(とつくに【外っ国】外国・異国)

▪ことばのバトン
とける陽を呼ぶまばたきの人
写真家 南阿沙美

声が射す鋼宿(はがねやど)せし心根に
浪曲師 天中軒すみれ

2024年3月10日日曜日

岡倉天心著「茶の本」&「初春」&「流氷」

偏った認知と出会う春の空
卑しくも偉大なる人春の風
気晴らしの副作用木の芽時
春月夜孤独愛する人のをり
春の夜や正しくものを考える

■岡倉天心著「茶の本」

岡倉天心は1862年横浜生まれ
「茶の本」日本の美意識を紹介しようと書かれた本。

アーネスト・フェノロサの影響を受け
日本人の心を失ってはいけないと考え
日本の伝統文化財保護に力をそそぎ
日本美術院をたちあげました。
しかし、東京藝術大学の創始者であった
岡倉天心ですが政府の意向に従わなかったため
追放されてしまうのでした。
東京藝術大学には横山大観もいたそうです。

西洋の人々にも日本を理解してもらいたい
日本の文化を知るには茶道ではないかと思い
この本を記しました。
天心は茶道とは「生きるすべ」道教が姿を
変えたものであると考えました。
1、あらゆるものを相対的に見る。
枠にはめて捉える様なことはしない。
どこかに美点を見い出そうとする。

2、不完全の中に美を見い出す。
作品はあえて空白を残す
優れた芸術とは鑑賞者が一緒になって完成させる。
「腕よりも魂、技術よりも人」
「美しく生きてきたものだけが
美しく死ぬことが出来る。」
千利休がまさにその人と
千利休の最後の茶会の様子を書き記しています。

千利休の辞世の句
人生七十 力囲希咄 (じんせいしちじゅう りきいきとつ)
吾這寶剣 祖佛共殺 (わがこのほうけん そぶつともにころす)
堤る我得具足の一太刀 (ひっさぐる わがえぐそくのひとたち)
今此時ぞ天に抛(いまこのときぞ てんになげうつ)
意味
人生70年。これまで悲喜こもごも様々なことがあったが、これで終わり。
私が持つ宝剣を使い、祖仏とともに私もその生涯を終える。
上手に使いこなせるこの武器をもって、自らに一太刀を浴びせる。
そして、自らの命を天に放とうではないか。

【名著】茶の本|岡倉天心 ~日々の疲れとストレスを癒す、極上の哲学~
https://www.youtube.com/watch?v=OSYr21vzThM

■夏井いつきのおウチde俳句
▪一分季語ウンチク 初春
「ショシュン」と読んだ時は春の季語になりますが
「ハツハル」と読んだ場合は新年の季語となります
今はもう暦の上で春になりましたので
「初春(ショシュン)」と読んでこの季語
今日は扱いたいと思います
「初春(ショシュン)」というのは
春という季節を三分割した中の一番最初の1/3区分のことです。
「初春」「仲春」「晩春」というこの三つの内の最初の一つ目
まだ春が始まったばかりの少しずつ寒さから春らしさに
移り変わっていく そんな「初春(しょしゅん)」でございます。

▪一分季語ウンチク 流氷
中々南国愛媛に住んでいると見る機会がないのですが
北海道の人にとっては春を告げる風物詩として
有名な自然現象のようです
オホーツク海沿岸に流氷が接岸するとのことで
歳時記にも解説が載っている共に
俳人心を刺激する季語なのか沢山の例句も載っております
一度生で見てみたいなぁと祈るばかりなのですが
最近は技術の発達も素晴らしくインターネット上でも
「流氷」の写真や動画 見られるようになっています
海上保安庁がかなり上空から撮影したものというのを
海上保安庁のWEBページにも掲載していたりもします
思っていた以上に細かい無数の氷と所々に大きい氷とが
点在しながら流れていく写真が掲載されています
そんな感じなんだ「流氷」

2024年3月9日土曜日

武田信玄&須藤康花&与謝野晶子&糸井重里氏の言葉

春眠し童話で学ぶ猜疑心
春の潮むき出しの自我ありのまま
病みにみる強き自己愛春かなし
甚だしき思い上がり春の夢
面倒な承認欲求春愁う

■偉人・敗北からの教訓 
第34回「武田信玄・名補佐役をなくした悲劇」

一、目上の人に口答えするな
一、党派、徒党を組んではいけない
一、戦場で卑怯な振舞いをしてはならない
一、農民に定め以上の役務を課してはならない
一、兄弟に対しても祖略があってはならない
一、学問を怠けるな
一、よく切れる刀を帯びよ
*意訳

「人は石垣 人は城 人は掘 情けは味方 仇は敵なり」
人こそが自分を守ってくれる盾であり
人を大事にしない大名は敵ばかりになる

竹田信玄敗北の伏線
弟・信繁に様々な仕事を任せる
信繁は兄に粛清の恐怖を抱く

負け戦となったら一層奮戦せよ
武田信玄家訓より *意訳

武田信玄敗北の瞬間
自分の得意とする戦いができなかった
信繁を始め重臣を多数失った

教訓1
セオリー無視の相手には慎重に対処すべし
教訓2
自らを過度にカリスマ化すべからず

■須藤康花 闇歌 光と闇の記憶 2006ころ
諦めたあと失った後できっとそこにしか咲かない花が咲く
拭えない痛みの中で枯れない花がきっと咲く
(闘病の末2009年に30歳の若さで世を去った須藤康花)
生と死 歓喜と絶望 現実と幻想 須藤は幼い頃
難病を発症 思春期にも別の病を患い生涯を闘病に
明け暮れました 
14歳の時 最愛の母親が病で倒れ自分の看病に全てを
捧げてくれた母の死を無駄にしたくないと絵を描くことに
生きる意味を見出そうとします 迫りくる死を予見した自画像
須藤は年老いた自分を想像できなかったと言います
その短い生涯で千点にのぼる作品を残しました

■与謝野晶子の短歌
その子二十櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな 与謝野晶子
歳を重ねるたび、この歌の真意を痛感しています。
いと淋し…。

■糸井重里氏がブイヨンちゃんのひとつのしぐさを
「いやいやえん」と言っておられたのですが…。
やっと命名理由が判明しました。
童話 いやいやえん 作: 中川 李枝子 絵: 大村 百合子
だったのですね。
めっちゃすっきり致しました。
このような童話があったのですね…。

2024年3月8日金曜日

北陸新幹線で一句&名言

春愁や言葉を武器に戦わん
春泥やどこにも御座す(おわす)恥知らず
春の野やシェラン・ファーマは朗報か❓
朧月品質を問うお年頃
もし多分がちへと進む春のトランプ

■プレバト纏め 2024年3月7日
北陸新幹線で一句

▪特別永世名人のお手本 締めの一句 
車窓行く「北陸ロマン」春の雪   梅沢富美男
添削(がっかり 行くって何?)
車窓には春雪「北陸ロマン」流る

▪永世名人 傑作50選
校印の長閑なかすれ学割証   村上健志
(季語の置き方もたくみ 中七に置けるのも上手い
 長閑 春の季語 日が長くなる春ののんびりした様子
 かすれという映像を持ってくる ここまで書くと詩になる
 学割証で季語が表現できる お見事)

▪名人への試験 昇格試験
終点は天空の城春の雷   勝村政信
(季語 春の雷が不思議な効果を持っていた
 独特の光景 その背後に春の雷が鳴る
 架空の乗り物 例えば「銀河鉄道」に乗って
 着いたのが「天空の城」そういう光景が浮き上がってくる)

別れ雪古城を抱きてそっと消ゆ   的場浩司
添削(季語 別れ雪 下五 言葉の無駄遣い 
   あえかなる 自然のものや夢・希望が掃かなくて美しい)
古城抱く雪あえかなる別れ雪

長野駅見送る義母の春ショール   犬山紙子
添削(言葉の優先順位 1位は季語 人物の優先順位が高い
   作者との関係性・心情が全て出る)
義母の立つホームや風の春ショール

旗源平の賽奔放(さいほんぽう)に春萬月   森迫永依
添削(旗源平 サイコロで旗を取り合う金沢の伝統的な遊び)
   行事の季語 特別な遊びを17音で描くのは難しい
   前書きとして外に出すのがシンプル) 
加賀・旗源平 春満月賽(さい)の目は奔放に

旅ひとり「はくたか」を追ふ百千鳥   中田喜子
(百千鳥 春の季語 春にいろいろな鳥が動く様子 
 種類とか数を特定しないで鳥たちが動く光と影そういうニュアンスの季語
 十段にふさわしいみずみずしい感覚 
 百千鳥がパッと飛び立つ「はくたか」の美しさも響き合う)

■名言
アーサー・コナン・ドイル 曰く
「想像力がなければ、怖いものはない。」

ジョン・ドライデン 曰く
「欠点は、表面に浮かんで流れるわらのようなもの。
 真珠を求めるなら、深くもぐらないと。」

リチャード・カールソン 曰く
「人生の目的は、
 すべてをやりとげることではなく、
 その一歩ずつの過程を愉しみながら、
 愛情のある暮らしを送ることにある。」

ローザ・パークス 曰く
「思うに、ただ一つの失敗というのは、
 やってみようとしないことです。」

ナポレオン・ボナパルト 曰く
「人間は、その想像力によって支配される。」

チタ・リベラ 曰く
「夢はもたない主義なの。
 チャンスの扉が開いたら、ただ突っ込んでいくだけ。」

2024年3月7日木曜日

ロッチと子羊(71)「ロッチセレクション編(3)」&アドラー心理学

木の芽味噌手慣れた指の塩加減
環境と気質の結果春の潮
東祖谷斜面の見頃福寿草
落合にしがみついたり福寿草
福寿草いろどり添えん東祖谷

■ロッチと子羊(71)「ロッチセレクション編(3)」
▪迷える子羊 キューティー上木
お悩み 努力しても何も変わらないかもと思ってしまっている

人がよりよく生きるには
「先駆的覚悟性」が必要なのです
ハイデガー哲学の要約

死を意識して初めて人は生きていける
人生が有限であることを覚悟する必要がある!
これが先駆的覚悟性です
人生の残された時間を意識して生きるべき!
心の時間とは
通常の時間の捉え方 過去 現在 未来と進むイメージ
ハイデガーの心の時間の捉え方は
過去も未来も今を生きる自分の中にある
現在を大切に生きろ!とハイデガーは考えた

▪迷える子羊 みんなのたかみち
お悩み 腹をくくれない自分をなんとかしたい

物事は迷うようにできています
だからこそ迷う必要はないのです
セクストス哲学の要約

どんな言論にもそれに対する同等(正反対)の言論がある
AとBでもなくもう一つの道がある
とりあえず現状を受け入れる
それが心が一番落ち着く状態だとセクストスは考えた
選択の苦しみから解放されるためには現状を受け入れよ

どっちの選択も正しいと言えるんです
自分が既に進んでいる道を受け入れると
心が落ち着くわけです
また決心がつけばそっちの道に進めばいいのです

■アドラー心理学 
3つの技とは
「自分と他人の価値の混合」「嫌われる勇気」「貢献感を養う」

人が幸福になるために大切な5つの理論
自己決定性・目的論・全体論・認知論・対人関係論を展開

自分の課題解決という目的を持って生きることに加えて
他人の課題に勝手に介入してはいけない。

承認欲求・競争意識を否定する

「自立すること」「社会と調和して暮らすこと」
「私には能力があるという意識をもつこと」
「人々は私の仲間であるという意識を持つこと」が人生の基本目標

名言
「自分だけでなく、仲間の利益を大切にすること。
 受け取るよりも多く、相手に与えること。幸福になる唯一の道である。」

「『よくできたね』とほめるのではない。
 『ありがとう、助かったよ』と感謝を伝えるのだ。
 感謝される喜びを体験すれば、自ら進んで貢献を繰り返すだろう。」

「どんな能力をもって生まれたかはたいした問題ではない。
 重要なのは、与えられた能力をどう使うかである。」

「暗いのではなく、優しいのだ。のろまではなく、丁寧なのだ。
 失敗ばかりではなく、たくさんチャレンジをしているのだ。」

「できない自分を責めている限り、永遠に幸せにはなれないだろう。
 今の自分を認める勇気を持つ者だけが、本当に強い人間になれるのだ。」

「あなたは他者の期待を満たすために生きているのではないし、
 わたしも他者の期待を満たすために生きているのではない。
 他者の期待など、満たす必要はないのです。」

「世話好きな人は、単に優しい人なのではない。
 相手を自分に依存させ、自分が重要な人物であることを実感したいのだ。」

「あなたが不幸なのは、過去や環境のせいではありません。
 ましてや能力が足りないのでもない。あなたには、ただ“勇気”が足りない。
 いうなれば『幸せになる勇気』が足りていないのです。」

2024年3月6日水曜日

源氏物語の女君たち(4)六条御息所

ないものねだりするに及ばず春北斗
(エピクテトス)容赦は復習に勝る春の空
蠟梅や譜面に載せた宇宙かな
牡丹雪時期尚早の削除あり
松毟(まつむしり)丁寧にして大胆に

■源氏物語の女君たち(4)六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)
藤井由紀子先生

光源氏の正妻 葵の上 もののけに取りつかれて命を落とす
もののけの正体は六条御息所の生霊だった
生霊となったきっかけは賀茂祭(かものまつり)での車争い
六条御息所は光源氏の愛人で7歳年上だった
御息所とは帝や東宮がお休みになった所
東宮の子供を産んだことのある人
斎宮に任命された娘と都を離れようかと逡巡(しゅんじゅん)
葵の上が結婚10年目にして懐妊したのと同じタイミング
そんな時に車争いが勃発

平安一口メモ
~平安京~
光源氏の家は「二条院」
六条御息所の家は六条にあった
車争いが起こったのは東に鴨川が流れていて北に賀茂神社のある場所

ものも見で帰らむとし給へど、
帰ろうと思ったけれど
通り出でむ隙もなきに、
通り抜ける隙間もない
「事なりぬ。」と言へば、
「行列が来た」と声がすると
さすがにつらき人の御前渡りの
そうはいっても光源氏が前を通るのを
待たるるも心弱しや。
待ってしまう心の弱さよ

六条御息所の揺れる女心
六条御息所は数ある女としてはいけない女だった
六条御息所本人もうわさを否定できない
夢を見ていて…。

すこしうちまどろみたまふ夢には、
とうとうとした夢の中で
かの姫君とおぼしき人の、
いときよらにてある所に行きて、
葵の上と思われる人がきれいにしている所に行って
とかく引きまさぐり、
あちこち引きずりまわし
うつつにも似ず、
現実とは違い
たけくいかきひたぶる心出で来て、
どう猛で恐ろしく乱暴な気持ちが起きて
うちかなぐるなど見えたまふこと、
度かさなりにけり。
叩いたり引っ張ったりすることが何度もあった

当時の人は魂は勝手に抜け出すものと考えられていた
葵の上にとりついてやると思って生霊となったわけではない
現代的に解釈すれば思い込みで見た夢だと思える
六条御息所は追い詰められていく 深層心理みたいな…。
1000年前の話です。
概念がないのに描いている

光源氏は見ちゃうんです
六条御息所がとりついている現場を…。
そうじゃないんです ちょっと御祈祷を緩めていただきたくて
私こんなところまで来ようと思っていなかったのに
空に乱れてしまった魂を結び留めてください
葵の上の口を借りて六条御息所が和歌を詠む

安産だって聞いて えっそうなの?と思っちゃうんですよ
体から芥子(けし)の香りがする
芥子の実 病気や安産の祈祷をする時にたく護摩壇に入れるもの
生霊に染み付いた匂い?
体から抜け出した魂に芥子の匂いがついている
その後、死霊になる
その時は光源氏には仏の御加護が強過ぎて近づけない
光源氏は六条御息所がを嫌いになれない

伊勢神宮の斎宮 下向…都から地方へ行くこと
嵯峨野の野宮(ののみや) 

夜明けの別れはいつも涙に濡れてしまう
今朝の秋空は見たことがないほど悲しい

秋の別れは悲しいもの 野辺の松虫よ寂しく泣かないでおくれ

2024年3月5日火曜日

夏井いつきのよみ旅!in福井後編&敗北からの教訓白虎隊&名言

春の鷲光と影を繰り返し
春の潮嘘と真実持ち回り
健康不安症地虫穴を出づ
人生の最終課題春意かな
人生の種蒔き終えん山笑ふ

■夏井いつきのよみ旅!in福井 後編

窓みれば焦りの船出浪乃花   山本尚美
波の花…冬の季語 日本海沿岸に見られる白い泡の塊

掘り当てた緑釉(りょくゆう)土器や冬陽笑む   上坂朋子
国府とは奈良時代から平安時代全国各地に
置かれた地方政治の拠点 今でいう県庁のこと 
紫式部も父と共に越前にあった国府で暮らしていた
国府発掘プロジェクト 昨年9月に越前市でスタート!

持ち寄りのレシピ聞き合い楮(こうぞ)蒸し   千代谷かおり
楮蒸し…冬の季語

俳句一口メモ
紙漉き(すき)は冬の季語 厳しい寒さの中最盛期を迎える

紙漉きの職工の手から湯気立つ龍   柳瀬京子

妻おもふこころと春を待つ水と   夏井いつき

祖を超えよ鍛冶師連打の雪籠   水上康男
雪籠(ゆきごもり)…冬の季語
越前打刃物 700年の歴史 福井の伝統工芸品

舞い踊り笑顔繋いで寒さ打つ   久保田真唯
寒さ…冬の季語
福井商業高校チアリーダー部 通算9回 全米大会を連覇

■偉人・敗北からの教訓 
第33回 白虎隊・会津に散った若く尊き命
白虎隊の敗北から学ぶ教訓
一、創始者の言葉に縛られるべからず
一、感情にとらわれず、事態を客観的に見極めるべし

■名言
小林一三 曰く
「百歩先の見えるものは、狂人あつかいされる。
 五十歩先の見えるものは、多くは犠牲者となる。
 十歩先の見えるものが、成功者である。
 現在が見えぬのは、落伍者である。」

五木寛之 曰く
「私たちは、まず
 自己を肯定するところから
 出発したほうがいいようです。
 自己を肯定し、自己を認めてやり、
 自己をはげまし、よろこばせること。
 それが必要ではないか。」

山崎豊子 曰く
「人によってお辞儀の角度を変えてはいけない。」

武者小路実篤 曰く
「他人に要求することを先ず自分に要求せよ。」

寺山修司 曰く
「振り向くな、振り向くな。後には夢がない。」

2024年3月4日月曜日

兼題「蛙(かわず)」&題「ひとり」

春の雲助詞が言葉を歌にせり
うららけし句読点さえ助詞として
春昼やままならぬこと今日もまた
因習の虜となりて春嵐
グリムから学ぶ疑念や春の霜

■NHK俳句 兼題「蛙(かわず)」
選者 夏井いつき レギュラー 家藤正人 中西アルノ 司会 柴田英嗣
年間テーマ「凡人からの脱出」

「雨蛙」「青蛙」「蟇蛙」=夏の季語
「蛙」=春の季語
蛙を春の季語としているのは
卵からかえっていって蛙という形になるからという本意がある

●ボンの段 
古池に居(お)るは芭蕉の蛙かな   水野滋子
古池の主(ぬし)に追われる蛙かな   田頭隆徳
古池の静かな波紋蛙かな   小原護
古池の雲に憧れ蛙跳ぶ   勝鳥
此の蛙かの古池の子孫かも   柴田太
古池だ蛙は何処だ靴の音   酒井重治
古池に置き忘れたる蛙かな   小嶋夏舟
古池にどぼんと蛙フライング   平坂謙次
(「古池」という芭蕉のイメージから一歩も出られていない
 「古池」に「蛙」がくっついたら芭蕉の引力から絶対に出られない)

半ボンの段
古池に音符を作る蛙かな   安東優汰
古池や呪文のごとく蛙鳴く   大津留直
(芭蕉の引力から抜け出せていない)

脱ボン
飛び込みし水輪(みなわ)の外に浮く蛙   杉岡壱風
(俳句で言う描写 映像になっている
 飄々とした俳諧味・滑稽味も出てくる)

今回は「凡人脱出」の最後の回なので特別サービス
もう一つピラミッドをお見せします!

●ボンの段
待ってるよ一緒に歌う蛙さん   金井つね子
蛙の子いつの間にやら大合唱   稲垣佳
蛙の子ドレミドレミと歌ひけり   添野純
静けさを破る蛙の大合唱   池嶋久春
輪唱の声追ふ声や蛙鳴く   ?菫久

半ボンの段
第九より勝る蛙の大合唱   大庭一定
ニュータウン夜な夜な蛙の大合唱   山下知子
(比較をしている 芭蕉の句とは違う視点が入れられている)

脱ボン
蛙鳴くあんなに清く歌へない   白神公
(季語「蛙」へのリスペクト)

この2つの類想のピラミッド両方使った
「スペシャル脱ボン」の句があった

飛びこまぬ方の蛙として歌ふ   嶋村らぴ

「類想」という共通理解の土台
手だれになってくると2つを踏み台にしてもう一つ高い所へ行く
フィナーレにふさわしい

▪夏井家伝授!家藤正人と中西アルノ+柴田英嗣
0から俳句 

ご挨拶句 
招かれた土地や人物へプレゼントする気持ちで読む俳句

▪特選六句 兼題「蛙」
霊山を今宵(こよい)蛙に明け渡す   花瀬玲
病む母の鈴振つてをり夕蛙   山田蹴人
田のすみの水笑はせて泣く蛙   市橋富士美
(擬人化が成功するのは映像になっているかどうか)
小蛙(こがえる)が金星丘(きんせいきゅう)を蹴っている   大藪恵子
(字面の勝ち)
ライダー寄るうどん自販機遠蛙(とおかわず)   和田典子
私 健忘や蛙は歌を繰り返し   樫の木
(上五で季語ではないものを詠嘆して残りの十二音の中に
 季語を入れたフレーズを作るのは難しい型)

▪柴田の歩み
季語以外も詠嘆してみようかな?

■NHK短歌 題「ひとり」
選者 川野里子 レギュラー 内藤秀一郎 深尾あむ 司会 ヒコロヒー
年間テーマ入門コース 今回は「キラッと光る表現」

▪三十一音の物語
仕掛けよう光る表現
キラッと光ってどきっとさせて読者を立ち止まらせる表現

金目鯛おほきな眼(まなこ)みひらけり戴冠せしごとかあんと死にて
川野里子「天窓紀行」

野口あや子。あだ名「極道」ハンカチを口に咥(くわ)えて手を洗いたり
野口あや子「夏にふれる」
(ドキッとする言葉を入れることでギャップを作る
 ギャップの間に作者の内面が見える)

先生、と呼ばれて胸に羞(は)ずかしさ怖さのが咲くので隠す 
千種創一「千夜曳獏」
(全体を象徴するようなジャストな言葉をつかむ
 印象深く仕掛けて見ようという感じで驚かせるような言葉を入れる)

▪入選六首 題「ひとり」
木漏れ日をゆらゆら歩むまひるまにひとり寡黙な豹(ひょう)になりゆく
石川真琴
ベビーカーへみどりごひとり残されて船外活動ほどの静けさ
小鷹佳
僕だけが集合写真のひだりうえどこにも存在しない向日葵
山田裕樹
一席 私 聖夜ひとり元旦ひとり震度5強で部屋が雪崩落ちても一人
玄兔(くろうさぎ)
月光(つきかげ)に猫は裸で磨かれてつくづく生きてゆくのは一人
浅井克宏
遠くまで悲しみ見えるキリンには無数の小島ひとつはぼくの
佐々木泰三

▪秀一郎 あむ ココカラ短歌
一年間の宿題を振り返る!
上だけをただひたすらに上だけを見上げる子どもの笑顔がきれい
深尾あむ(自己添削)
降ってくる花びら見上げ上だけを見上げる子どもの笑顔がきれい

綺麗だなガラスのかけら僕はまだ何色にも染まりたくない
内藤秀一郎(自己添削)
虹色のガラスのかけら僕はまだ何色にも染まりたくない

作るだけではなく磨いていくことによって階段を自分で上がっていく

▪紹介されなかった力作・名作発表!
海に行こ。誘ったもののどうしよう海を眺めた君の横顔
内藤秀一郎

あの音はそうか最後のスターマイン夏に背を向け一歩踏み出す
深尾あむ

家康の友と友になれた喫煙所会えなさそうやな光る君には
ヒコロヒー

▪ことばのバトン
雪の夜踊る男と飲む麦酒   
宮城マリオ

とける陽を呼ぶまばたきの人
南阿紗美 写真家

2024年3月3日日曜日

読書の森 本の道しるべ(4)町田樹

一切は空 清浄である春日和
ニヒリズムの克服北窓開く
憧れの即身成仏卒業
春まけて可笑しきことこそめでたし
(森山開次氏)春動く研ぎ澄まされた肉体へ

■読書の森へ 本の道しるべ(4)町田樹

キャラクターのるつぼ
スポーツとアートの狭間にある
アーティスティックスポーツという文化を研究対象としている
アーティスティックスポーツとはフィギュアスケート 新体操など
スポーツとアートの両義性をもつ競技を考察している
いろんな学問の知見を勉強しないと研究できない
本には傷ひとつ付けたくない

ソメコは五つだ。ソメコは まいにち タイクツしていた。
おとなたちは、なんてつまらない まいにちを おくっているんだろう。
ソメコのように、いっしょうけんめいに あそんだり、
いきたりしているものは、だれもいない。
「ソメコとオニ」斎藤隆介

氷上だったら自分の心を素直にアウトプットできる
そこからアイススケートにのめりこんでいった

本は精神安定剤
心の支えとなった本はミステリー小説
海堂尊の大ファンでした
自分の中をキャラクターのるつぼにする
お気に入りのキャラクターは「ブラックペアン」シリーズ
海堂尊(講談社刊)の研修医 世良雅志

「俺には外科医として渡海先生のようなさいのうはありません。
だけど俺にはこの道しかない。この道の果てで、
いつか必ず渡海先生をこてんぱんにしてみせる」
「新装版ブラックペアン1988」海堂尊

小説の登場人物は心の支え
自分というものを相対化し気付かせてくれる存在

(本を読むことで)心身を落ち着かせたり精神統一した

創作の源となった本
ドン・キホーテやエデンの東 独自の解釈で表現しました
文学からフィギュアスケートに翻案する試みはあまりなかった

「白夜行」東野東吾(集英社文庫刊)
桐原亮司というひとりの男の人格を表現しよう
というのが着想の源だった
邪悪なれど純粋無垢な自己犠牲 
この精神を表現したいと思った
その葛藤を動き踊りで表現する
守り抜きたい人は誰の人生の中にもいる
普遍的な何かを伝える

読書の森の歩き方
プライベートな部分と研究をする部分が融解している

作り手と受け手のCommunication これが芸術の醍醐味

早稲田大学大学院に進学
学術の力で問題を解決したい
研究者として目標となった本
「舞台芸術 芸術と経済のジレンマ」
ウィリアム・J・ボウモル/ウィリアム・G・ボウエン著
池上惇/渡辺守章訳 芸団協出版部刊

フィギュアスケートがより良く
そして末長く未来へと継承できるのか
改めて研究者として考えたいと思った一冊

5年後遂に本を出版
アーティスティックスポーツ研究序説 町田樹

最近は古書も読んでいる
フィギュアスケートの100年以上前の教則本

本は町田樹の強さの源

2024年3月2日土曜日

光悦&日経平均株価&ロッチと子羊(70)

(小林照子女史)春兆すからだ化粧という仕事
炎纏いて輝くからだ春日
百千鳥ふくよかにしてすまし顔
春の月からだからのアプローチ
肌に見る光と闇と春の灯と

■日経ニュースプラス9 より
2月22日に市場最高値を更新した日経平均株価
34年と長期に渡り低迷していた株ですが
この期間に株価を10倍以上に伸ばした企業が
142社あることがわかりました。
牛丼チェーンすき家を展開するゼンショーHDなどは
インフレからデフレに転換後急成長
徹底的なシステム化とコスト競争力が強み
強い成長意欲を持った創業経営者たちを
海外投資家が支えました。
「貯蓄から投資へ」の流れが定着なるかが課題となっています
日本の個人金融資産は約2,000兆円⇨
半分以上が預金として溜め込み内訳は30年以上変わっていません。
3月1日も日経平均株価は市場最高値を更新し続けています。
4万円にタッチしそうな勢いでした。

■日曜美術館 光悦 愉楽の書
見る人の心に刺さる書 作者は本阿弥光悦
美の変革者 唯一無二の光景 日本の美意識を変えていく
思いの丈 思いのまま ありのまま
暮らしの中でそれを表現していく それが功徳となる
光悦の素晴らしい作品が表出される
何者にも縛られず誰よりも新しい書の革新に挑んだ光悦

■ロッチと子羊(70)「ロッチ セレクション編(2)」
▪迷える子羊 坂本幼樹 日本ホッケー協会事務局長

ロサンゼルス五輪(1932)男子ホッケー銀メダル
お金儲けは儲かると嬉しいが泣くところまで行かない
スポーツは日本ではあまりお金にはならないが泣けるんです
心が動かされるんです
坂本さんの仕事は日本代表強化のために資金集め
ホッケーの魅力を伝えること
2018年 日本ホッケー協会事務局長に就任
しかし東京オリンピックでは男女とも1勝もできずグループ最下位
2030年ホッケーW杯日本開催

お悩み もっと強くなり世界と戦うには❓

スポーツに本当に求められるのは❝自由の実現❞です
スポーツは必要に迫られた労働でもなく本当の戦いでもない
スポーツには労働や本当の戦より崇高な価値がある
スポーツは人間の自由を実現する活動だからだ
ヘーゲル哲学の要約

自由の実現
自分の肉体を自由に操り自由に表現すること
ヘーゲルは生涯に渡り精神の自由突き詰めた哲学者だった
身体に注目した 身体は❝精神の自由の実現❞のため
精神の自由の実現の最大の祭典がオリンピック
とヘーゲルは言った

人間ってここまでできる!
やりたい気持ち 自由な気持ちを
身体を鍛えて極限まで持っていけばそれが表現できる
日本のスポーツは自由というよりは型の中にはめる
もしかしたら主だったかもしれない
ヘーゲルとは反対にあった

▪大橋雅貴 ホッケー日本代表主将
お悩み フィールドホッケーをメジャーにするには❓

理性的なものは現実的であり現実的なものは理性的である
ヘーゲルの言葉
理性を理想に置き換えてもよい
マイナーという現実は理想的である
現実はマイナーだからこそ理想の状態になり得る
伸びしろとも捉えられる

ヘーゲルの言葉
理性的なものは現実的であり
現実的なものは理性的である

理性的を理想的としてもよい
マイナーという現実は理想的である
現実はマイナーだからこそ理想の状態になり得る
世の中に知られていないことは
いったんその魅力が伝わったら
人気が爆発する可能性を秘めている
伸びしろ(ポテンシャル)とも捉えられませんか

2024年3月1日金曜日

回転寿司で一句

春暁や焦らず不安乗り越えん
リビングの溢るる春の陽射し浴ぶ
羽ばたける時まで待たん春の雪
死に向かうための宿命春北斗
(エピクロス)心豊かに隠れて生きん春の月

■プレバト纏め 2024年2月29日
回転寿司で一句     

▪特別永世名人のお手本 締めの一句 梅沢富美男
海の陽をたたえて碧し海苔の艶
添削(海苔が春の季語 場所が特定できない)
海の陽の香や引き揚ぐる海苔の艶
海の陽の香や乾きゆく海苔の艶
海の陽の香や軍艦の海苔の艶

▪永世名人 千原ジュニア 傑作50選
回転寿司小さき手小さき春を取る

1位 湘南乃海桃太郎関
春場所前夜鯛の握りを十五皿
(前夜で字余りとなっているが大事な事 春場所への意気込み
 十五と入れた位置もよい 皿は回転寿司という兼題への配慮)

2位 御嶽海久司関
赤貝や父のアガリの緑濃し
(赤貝が季語 アガリの描写 満足感の香り 
 赤とあがりの韻 赤と緑の色彩の対比)

3位 島津海空関
鯛掲げ春場所終えし夢をみる
添削(春場所が季語 季語としての力は落ちる 
   夢は見るもの 説明になっている)
場所終えぐるや春の

4位 一山本大生関
ナマモノが苦手な僕は浅利汁
添削(浅利が季語 俳句は自分のことを書くので僕は不要 
   浅利を描写を入れる)
ナマモノが苦手浅利汁は熱々

5位 若元春港関
桜鯛皿取り思う宇良ピンク
添削(季語は桜鯛 春になると婚姻色)
桜鯛宇良の回しのような色

次回のお題「北陸新幹線」

今回の御嶽海久司関の句は素晴らしかった。
大ファンになりました。