冬の浜分厚きウツボ天日干し
牟岐漁港ウツボずっしり冬の風
滲みでる老いの品格冬ぬくし
竈(かまど)猫鼠捕まえ得意顔
縁側で瘦せた老描日向ぼこ
■あの本、読みました?綿矢りさ&朝井リョウが語る「書き出し」がスゴイ小説
ゲスト 綿矢りさ 朝井リョウ
名著に名書き出しあり 作品の世界観 作家の思い
書き出しは物語でどんな役割を担っているのか❓
綿矢りさが語る”書き出し”の創作秘話
主人公が話しているのを頭の中でキャッチ
主人公がしゃべってくるんですね
朝井リョウが語る綿矢作品の書き出しの魅力とは❓
私は好きっていうよりは地球が好き
最新作 朝井リョウ著「生殖記」
書き出しの狙いとは?
冒頭でその違和感に気づいてもらいたい
「大切に抱きしめたいお守りの言葉」の一文 松浦弥太郎著/リベラル文庫
話し上手より聞き上手に。素敵な人ほど聞き上手です。
あいてのこころをひらいらり、動かしたり、ほどいたりする人は、
話し上手とは限りません。
心と耳を傾け、相槌をうつだけで、人とつながれるのが聞き上手です。
聞き上手はまた、感動上手です。相手の何でもない言葉から、
きらりとひかるもの、あたたかいものを見つけ出しましょう。
素直な心と謙虚さがあれば誰でも聞き上手になれます。
名著に名書き出しあり
成瀬は天下を取りにいく
「島崎、わたしはこの夏を西部に捧げようと思う」
人間失格
恥の多い生涯を送ってきました。
キッチン
私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う。
ノルウェイの森
僕は37歳で、そのときボーイング747のシートに座っていた。
半島を出よ
米軍払い下げの簡易ベッドに寝ていたノブエは、ニワトリの鳴き声で起こされた。
「蹴りたい背中」書き出しの魅力
朝井リョウイチ押しの綿矢作品の書き出し
「蹴りたい背中」の書き出し 綿矢りさ著/河出文庫
さびしさは鳴る。耳が痛くなるほど
高く澄んだ鈴の音で鳴り響いて、
胸を締め付けるから、
せめて周りには聞こえないように、
私はプリントを指で千切る。
細長く、細長く。
紙を裂く耳障りな音は、
孤独の音を消してくれる。
気怠げに見せてくれたりもするしね。
葉緑体?オオカナダモ?
ハッ。っていうこのスタンス
あなたたちは微生物を見て
はしゃいでいるみたいですけど(苦笑)、
私はちょっと遠慮しておく、
だってもう高校生だし。
ま、あなたたちを横目で見ながら
プリントでも千切ってますよ、気怠く。
っていうこのスタンス。
書き出しのリズム 音楽性を感じている
自身で久々に読んでみて どすが効く
朝井さんが読んでくれると純な部分が聞けた
書き出しの範囲とは❓
・朝井リョウ氏選定
生のみ生のままで〈上〉の書き出し
綿矢りさ/集英社文庫
青い日差しは肌を灼き、君の瞳も染め上げて、
夜も昼にも滑らかな光沢を放つ。
静かに呼吸するその肌は、息をのむほど美しく、
私は触れることすらできなくて、自らの指をもてあます。
綿矢作品 書き出しの文体
書き出しで表現したいこと
「ひらいて」の書き出し
綿矢りさ著/新潮文庫
彼の瞳。凝縮された悲しみが、目の奥で結晶化されて、
微笑むときでさえ宿っている。本人は気づいていない。
光りの散る笑み、静かに降る雨、庇(ひさし)の薄暗い影。
存在するだけで私の胸を苦しくさせる人間が、この教室にいる。
さりげないしぐさで、まなざしだけで、彼は私を完全に支配する。
詩的な書き出し ピントが狭い
「瞳」に込める意味
「大地のゲーム」の書き出し
綿矢りさ著/新潮文庫
いつか力尽きるから美しい。その美しさからは逃れられない。
この世に死があると知ったのは、家出した兄と一緒に乗った、
夜の電車の中だった。
書き出しの役割
詩的なコトバにする理由
書き出しが浮かぶタイミング
・綿矢りさ女史選定
「夢を与える」の書き出し
綿矢りさ/河出文庫
幹子の一人暮らしの部屋は幹子の放つ緊張と怒りのせいで熱気がこもり
空気がにごっていた。
鑑に顔を近づけ、幹子は小筆を使って唇を紅でぬりつぶす。
シャワーを浴びたての身体はまだ上気していて、
スリップのひもが落ちかけた肩は汗ばんでいる。
鼻の頭に浮いた小さな玉を床に落ちていたバスタオルでぬぐうと、
ファンデーションがはげてしまった部分を化粧用スポンジで
また新たにぬりつぶした。
今日、私は六年間付き合った男に別れ話を持ち出される。
不穏な書き出しが暗示するもの
女性が描くときの母の存在
「オーラの発表会」の書き出し
綿矢りさ/集英社文庫
今この瞬間も知らぬうちに呼吸して瞬きして、
身体じゅうどこも痛くならずに
すわっていられるのは、物凄い奇跡だ。
書き出しのこだわりは❓
主人公が話しかけてくる
「パッキパキ北京」の書き出し
綿矢りさ/集英社
なんかむなしい。ってのを私は経験したことが無くて、
それは私が苦労してないとかじゃなく、
楽しみを見つけるのが上手いからだ。
書き出しを書いていて楽しかった。
朝井が好きな「パッキパキ北京」書き出しのポイント
このテンションのまま最後まで行く
写真を撮るほど衝撃を受けた「パッキパキ北京」
「パッキパキ北京」の一文 朝井リョウ 撮影
綿矢りさ/集英社
例えばすごく努力して何かの分野で一流で、人気もあって金もある、
性格も良いしモテる男が「いや、僕なんかまだまだ。
僕よりもっとすごいひとなんて、この世にたくさんいますから」と
謙遜じゃなく心から思ってて、日々努力して研鑽してるとしたら、
残念ながらそいつは完敗している。
(中略)
素の自分を、いつまでたっても認めてあげていないからだ。
反対に自他共にどうやっても認めざるを得ないほど社会の底辺に
属してて、毎日イヤなことや辛いことがひっきりなしに起こっても、
そいつがニヤニヤしながら「おれは敵などいない。全知全能の神だ」と
心から言いきれるなら、こいつはもう、完全に勝利している、
一番偉く、一番進化した、一番コスパの良い人類だ。
(中略)
この最強人類を前にしては、例えば銀メダルを獲得したのに
金メダルを獲れなかったからといって悔し泣きしてる人間は、
申し訳ないがコスパ最悪だ。
いくら凄い人間であっても、この人を喜ばすには金メダルを
与えるしかないなんて、本人どころか周りの人間も絶対疲れる。
この競争社会で、マテリアルワールドで、何も手にしていないのに
勝利を手に入れられるスーパー錬金術の使い手を称賛せずにいられる?
「生殖記」推薦コメント
必要とされるだけ幸せだよ…
この言葉に接するたびに感じていた
違和感の招待を、 「生殖記」が暴いてくれた。
綿矢りさ(作家)
「生殖記」が暴く違和感
「生殖記」の書き出し
朝井リョウ著/小学館
尚成はいっつもこうなんです。幼体のころは、ここまでではなかったんです。
そうですね、たとえば沢山の個体で重いものを運ぶっていう場面に
出くわしたとして、そうそう、体育で使うマットを運ぶとかそういう感じのやつ。
そういうときだって、昔は腕にしっかり力を入れていたんですよ。
自分はこの共同体を構成する一員なんだっていう意識のもと、もちろん
そんなことハッキリ言語化したわけではないですけど、無意識的に
そういう気持ちで、腕に力を込めてマットを運んでいました。
今までになかった人間の表現
林P 気になった場面
「生殖記」の一文
朝井リョウ著/小学館
“多様性”ってそれこそ四十億年以上前に生命体が発生したときから
存在する現象なわけで、どの生命体も発生したその瞬間から
多様な種の中の一個体として生きるしかないんですから。
そもそもヒトは”多様性”の歴史に超最近現れた超超超新入りです。
認める認めないの立場を選ぶなんてそもそも不可能で、ただただ
”多様性“の真っ只中にいることしかできません。
というような文章にも、尚成はこの一年間、
買ったり借りたりした本の中では沢山出会いました。
綿矢りさが語る「生殖記」の魅力
「ヴィクトリアン・ホテル」の一文
下村敦史著/実業の日本社文庫
数年ぶりの宿泊だが、何も変わっていない。「ヴィクトリアン・ホテル」は
伝統の佇まいを残しているのだ。それこそ、年月を重ねて魅力が増す
アンティーク家具のように。エントランスラウンジには、
金糸と銀糸で模様を織り出す金華山の赤いソファが並んでいた。
テーブルもヴィクトリアン調で彫刻が美しい猫脚だ。
利用客はみんな、高級そうなスーツを着こなし、優雅な所作でくつろいでいる。
綿矢りさの衝撃を受けた書き出し
「房思琪(ファン・スーチー)の初恋の楽園」
林奕含著/泉京鹿訳/白水社
書き出し
劉怡婷(リュウ・イーティン)は子どもであることの一番の長所を知っている。
それは、誰も自分の話を真剣には聞こうとしない、ということ。
彼女は大口も叩けば、約束も破り嘘だってつく。
真剣に取り合わないのは大人の反射的な自己防衛かもしれない。
子どもというのは時として鋭い本音を口にするものだが、
大人は自分を慰めるように言う。
「子どもにはわからない」ブレーキをかけられた子どもは、
本当のことを口にする子どもから、
本当に言っていいことを選んで言う子供へと進化する。
言葉のデモクラシーにおいて、子どもはようやく大人になる。
朝井リョウの衝撃を受けた書き出し
「パレード」
吉田修一著/幻冬舎文庫
書き出し
つくづく不思議な光景だと思う。ここ四階のベランダからは、
眼下に旧甲州街道を見下ろせるのだが、一日に何千台という車が
通っているにもかかわらず、一台として事故を起こす車がない。
ちょうどベランダの真下に横断歩道があり、信号が赤になれば、
走ってきた車は停止線できちんと停まる。
その後ろから走ってきた車も、前の車との距離を計り、
ぶつからない程度の位置で、そのまた後ろからきたのも、
同じような間隔を空けて停車する。そして信号が青になれば、
先頭の車がゆっくりと走り出し、二台目、三台目が
安全な感覚をとりつつ、引っ張られるようにあとに続く。
朝井リョウが忘れられない書き出し
街を見る目が変わった
2024年12月31日火曜日
2024年12月30日月曜日
NHK俳句 ドリル4&NHK短歌 スペシャルin福井
ピラカンサ赤き実ずしり冬の空
ピラカンサ重き実揺れて冬の雲
愛し方違えた人の冬の月
冬銀河吾に課せられた定めとは
冬の夜化学反応起したり
■NHK俳句 特集 夏井いつきの発想力を鍛えるドリル4
夏井いつき 司会 柴田英嗣 レギュラー 庄司浩平 アンジェリーナ1/3
兼題「思う」
帰り道思い思われ息白し アンジェリーナ1/3
(兼題「思う」をクリア)
傘立てに宿る思いや大熊手 庄司浩平
(兼題が名詞になっている)
賞レース至福の師走思い出す 柴田英嗣
(思い出すとは動詞「思う」+「出す」複合動詞 「思う」とは違う種類の動詞
思い出しているからこの句ができたので「思い出す」は書かなくていい)
兼題「思う」を分かっていない人
動詞「思う」をどう生かしたら脱ボンにいけるのか
「思う」を効果的に使った俳句とは❓
脱ボン
母思ふゆゑに南瓜をだんと切る きつネつき@Vtuber
半ボン
焼き芋や割りて甘美に母思い 椿けいこ
在りし日の母思ふ日々コスモスよ 浅原美恵子
母思う里のホームにない炬燵 木村一郎
ボン
母思うただ、ただ思う彼岸花 美重子
母思ひ子供にかへる秋彼岸 くちなしの香
行く秋や煌めく星に亡母(はは)思ふ 里山まさを
鰯雲施設で暮らす母思う 寺尾隆志
栗落つや入所せし母思ふ時 マーチャン
母思い子思い作る大根煮 斎藤あさ子
味の濃いおでん作りて母思う 欣喜雀躍
カレー煮で混ぜる夜長の母思ふ 林路子
栗御飯強き甘みに母思ふ 三日月なな子
里にゐる母を思ひて蜆汁 小田和夫
母思う絆はへその緒冬の雷 一瀬正秋
ボンと半ボンは動詞「思う」が
「お母さんをなつかしく思う」というありがちな母への思い
書く必要があるから脱ボンには記してある
・我思うゆえに我あり 哲学者ロダンのフレーズ
ボン
① 我思うゆえに我あり春の蝶
② 吾思ふ故に吾あり秋さびし
③ われおもうゆえにわれあり吾亦紅
④ 我思う故に我なし吾亦紅
半ボン
⑤ 秋思ふ故に我ありロダンかな
⑥ 君思う故に我あり冬の月
⑦ 我思ふゆゑに恋せり冬薔薇
・つかず離れず ちょうどいい距離 取り合わせの大事な感覚
我思ふゆゑに笑へりおでん酒 アンジェリーナ1/3
我思ふゆゑにみちたる冬夕焼 アンジェリーナ1/3
(名詞の季語にしたことで形が落ち着いている 笑へりとおでん酒は近い)
我思ふゆゑに歌へり冬の蜂 庄司浩平
(「歌へり」に対して裏切る部分と生き生きとしていた時期が重なり合っている)
我思ふゆゑに語りぬ日脚伸ぶ 庄司浩平
(動詞が二つ重なると気忙しい 冬の園の方が作品として整う)
我思ふゆゑにもの食ふ山眠る 柴田英嗣
我思ふゆゑに働く山眠る 柴田英嗣
(季語がChristmasならどっちも完全脱ボン
クリスマス(降誕祭) キリストの誕生を思い起こし祝う日
私はクリスマスに生きるために働き食べています)
「思う」に意味や効果を持たせる
季語とのつかず離れずの距離感
■NHK短歌 スペシャル 短歌で「光る君へ」を10倍楽しもう!in福井
江本佑 俵万智 渡辺祐真(スケザネ)
「雲隠れ」五十四帖のひとつ
巻名だけが伝えられ内容は存在しない
宇治十帖
「源氏物語」五十四帖のうち最後の十帖光源氏死後の物語
舞台が宇治であることから特別に「宇治十帖」と呼ばれる
作者が違うのではないかといわれるくらい
「宇治十帖」は近代小説のように心理描写が手が込んでいる
作家として生まれ変わる その転機に道長が立っていた
もの思ふと過ぐる月日も知らぬ間に年もわが世もけふや尽きぬる
「源氏物語」「幻」より
【万智訳】
一年も一生も今日で終わるのか物思いして流れた月日
第44回「望月の夜」道長 もちづきの歌を詠む
このよをばわがよぞとおもふもちづきのかけたることもなしとおもへば
最高権力者・道長が自身の全能感を詠んだ歌と習った 渡辺祐真
国語ではなく社会科で習う
もっと含みのある歌として読めることをドラマを通して感じた 俵万智
「このよをば」と口に出して言っているから漢字で書いているわけではない
世の中の「よ」と思っているが夜も掛けられている
「この夜がいい夜じゃないか」
「つき」も后(きさき)を重ね合わせるのが常とう
道長だけの「つき」ではなくみんなの「さかづき」チーム道長
なぜ独裁者の歌と思われがちかというと最後の「と思へば」が
ちょっと余計だったのではないか
困ったときの「と思う」 「もちづき」だと認定したのは俺だ感が強く出る
「おもふ」が2回あるのはちょっと下手… いらんことした
歌は詠もうとして詠むもの?どんな感じであらわれてくる?
ちょうどいい感じの緊張感を持って常に生きている
作るぞと思って探しに行くと歌が逃げちゃう
ぼんやりしていても歌は通り過ぎていく
御堂関白記
藤原道長が20年以上にわたって書き残した日記
三郎って江本さんだな 江本さんって三郎だな 俵万智
ピラカンサ重き実揺れて冬の雲
愛し方違えた人の冬の月
冬銀河吾に課せられた定めとは
冬の夜化学反応起したり
■NHK俳句 特集 夏井いつきの発想力を鍛えるドリル4
夏井いつき 司会 柴田英嗣 レギュラー 庄司浩平 アンジェリーナ1/3
兼題「思う」
帰り道思い思われ息白し アンジェリーナ1/3
(兼題「思う」をクリア)
傘立てに宿る思いや大熊手 庄司浩平
(兼題が名詞になっている)
賞レース至福の師走思い出す 柴田英嗣
(思い出すとは動詞「思う」+「出す」複合動詞 「思う」とは違う種類の動詞
思い出しているからこの句ができたので「思い出す」は書かなくていい)
兼題「思う」を分かっていない人
動詞「思う」をどう生かしたら脱ボンにいけるのか
「思う」を効果的に使った俳句とは❓
脱ボン
母思ふゆゑに南瓜をだんと切る きつネつき@Vtuber
半ボン
焼き芋や割りて甘美に母思い 椿けいこ
在りし日の母思ふ日々コスモスよ 浅原美恵子
母思う里のホームにない炬燵 木村一郎
ボン
母思うただ、ただ思う彼岸花 美重子
母思ひ子供にかへる秋彼岸 くちなしの香
行く秋や煌めく星に亡母(はは)思ふ 里山まさを
鰯雲施設で暮らす母思う 寺尾隆志
栗落つや入所せし母思ふ時 マーチャン
母思い子思い作る大根煮 斎藤あさ子
味の濃いおでん作りて母思う 欣喜雀躍
カレー煮で混ぜる夜長の母思ふ 林路子
栗御飯強き甘みに母思ふ 三日月なな子
里にゐる母を思ひて蜆汁 小田和夫
母思う絆はへその緒冬の雷 一瀬正秋
ボンと半ボンは動詞「思う」が
「お母さんをなつかしく思う」というありがちな母への思い
書く必要があるから脱ボンには記してある
・我思うゆえに我あり 哲学者ロダンのフレーズ
ボン
① 我思うゆえに我あり春の蝶
② 吾思ふ故に吾あり秋さびし
③ われおもうゆえにわれあり吾亦紅
④ 我思う故に我なし吾亦紅
半ボン
⑤ 秋思ふ故に我ありロダンかな
⑥ 君思う故に我あり冬の月
⑦ 我思ふゆゑに恋せり冬薔薇
・つかず離れず ちょうどいい距離 取り合わせの大事な感覚
我思ふゆゑに笑へりおでん酒 アンジェリーナ1/3
我思ふゆゑにみちたる冬夕焼 アンジェリーナ1/3
(名詞の季語にしたことで形が落ち着いている 笑へりとおでん酒は近い)
我思ふゆゑに歌へり冬の蜂 庄司浩平
(「歌へり」に対して裏切る部分と生き生きとしていた時期が重なり合っている)
我思ふゆゑに語りぬ日脚伸ぶ 庄司浩平
(動詞が二つ重なると気忙しい 冬の園の方が作品として整う)
我思ふゆゑにもの食ふ山眠る 柴田英嗣
我思ふゆゑに働く山眠る 柴田英嗣
(季語がChristmasならどっちも完全脱ボン
クリスマス(降誕祭) キリストの誕生を思い起こし祝う日
私はクリスマスに生きるために働き食べています)
「思う」に意味や効果を持たせる
季語とのつかず離れずの距離感
■NHK短歌 スペシャル 短歌で「光る君へ」を10倍楽しもう!in福井
江本佑 俵万智 渡辺祐真(スケザネ)
「雲隠れ」五十四帖のひとつ
巻名だけが伝えられ内容は存在しない
宇治十帖
「源氏物語」五十四帖のうち最後の十帖光源氏死後の物語
舞台が宇治であることから特別に「宇治十帖」と呼ばれる
作者が違うのではないかといわれるくらい
「宇治十帖」は近代小説のように心理描写が手が込んでいる
作家として生まれ変わる その転機に道長が立っていた
もの思ふと過ぐる月日も知らぬ間に年もわが世もけふや尽きぬる
「源氏物語」「幻」より
【万智訳】
一年も一生も今日で終わるのか物思いして流れた月日
第44回「望月の夜」道長 もちづきの歌を詠む
このよをばわがよぞとおもふもちづきのかけたることもなしとおもへば
最高権力者・道長が自身の全能感を詠んだ歌と習った 渡辺祐真
国語ではなく社会科で習う
もっと含みのある歌として読めることをドラマを通して感じた 俵万智
「このよをば」と口に出して言っているから漢字で書いているわけではない
世の中の「よ」と思っているが夜も掛けられている
「この夜がいい夜じゃないか」
「つき」も后(きさき)を重ね合わせるのが常とう
道長だけの「つき」ではなくみんなの「さかづき」チーム道長
なぜ独裁者の歌と思われがちかというと最後の「と思へば」が
ちょっと余計だったのではないか
困ったときの「と思う」 「もちづき」だと認定したのは俺だ感が強く出る
「おもふ」が2回あるのはちょっと下手… いらんことした
歌は詠もうとして詠むもの?どんな感じであらわれてくる?
ちょうどいい感じの緊張感を持って常に生きている
作るぞと思って探しに行くと歌が逃げちゃう
ぼんやりしていても歌は通り過ぎていく
御堂関白記
藤原道長が20年以上にわたって書き残した日記
三郎って江本さんだな 江本さんって三郎だな 俵万智
2024年12月29日日曜日
趣味どきっ!茶の湯 武者小路千家 (3)(4)
願わくば目指せ手遅れ冬銀河
日向ぼこコピーの師匠ドラえもん
鈍足にリアルを生きる枯野かな
北吹くやジャン・コクトーが刺激せり
(松本隆氏)説明をしない作詞や冬ぬくし
■趣味どきっ!茶の湯 武者小路千家 炉中に広がる世界(3)廻り炭
茶の湯の正月 十一月 新茶を始めていただく喜びの季節です
茶室には炉が開かれ暖かな空間が広がります
炉の中は炭が美しき起こる別天地
道具炭
廻り炭 複数人が一組になって順に炭をつぐ炉の季節の稽古
火箸の使い方の稽古 順手 逆手
廻り炭の流れ
亭主が炭をつぐ⇨客が順に炭をつぐ⇨数回繰り返す
起風軒 詰 三客 次客 正客
亭主が席に入る 炭斗(すみとり) 炉から窯をあげ脇へと移動させる
炉が見える場所に客が移動する 亭主が巴半田(ともえはんだ)を持ち込む
揚げ火箸で下火を上げる 底取(そことり)で掬ってあげる 揚げ火箸で底を整える
先ほど上げた下火を埋める 灰器(はいき) ぬれ灰を炉の中に撒き再び山を作る
練香を炉の中へ入れる 下火の目印 亭主が炭をつぐ
道具炭の種類 胴炭 ぎっちょう 割ぎっちょう 点炭 管炭 割管炭 枝炭 車炭
筋半田(すじはんだ) 炉の炭を上げるために使う
亭主「お炭をおつぎください」 つぎ礼 正客
あげ礼 お客が炉に集まる 正客は亭主がいれた順番とは逆に上げる
胴炭は残し自分なりに炭をついでいく つぎ火箸(桑柄火箸)で炭をついでいく
ぎっちょう 割ぎっちょう 正客は火つきのバランスがよく形が美しい
次客の番になり正客がついだ炭を上げる 時計回りに継ぐのが普通
反時計回りにつぐのは火箸の扱いが難しくなる 炉の右手順手 炉の左側は逆手
次客 反時計回りにつぎ炭の配置に変化
三客 正客とはつぎ方を変え胴炭の隣に割ぎっちょう 火の回りが早い
詰 割ぎっちょうをつなげている より火の回りが早い
炉中細見 香合 練香
七宝 錫(すず)縁 宇治橋絵 香合 並河靖之 造
京焼 松竹梅に鶴亀絵 ぶるぶる形 香合 真葛香斎 造
焼き物 根履行を入れ 炉の季節
木製・漆製 香木を入れ 風炉の季節 椿の葉を敷くとオールシーズン使える
調香表が残されている
起風 武者小路千家 十四代家元好みの練香
安息香 龍脳 貝甲香 排草香 桂皮 白檀 伽羅 沈香(じんこう)
風という字が入っているので風のイメージに沿って
爽やかな香りのベトナム産の沈香などを使用している
粉末にした原料に炭の粉を加える 熱が伝わりやすくなると言われている
更に蜂蜜と梅酢を混ぜた密を加え 香りを立ち易くする
聞香(もんこう) 精神の中にまで入ってきてゆったりする そう言う効果がある
廻り炭 二巡目
亭主 炭の上げ方つぎ方が変わってくる ついだ炭の円を小さくする
二巡目以降 変更しない炭は残す
正客 枝炭と点炭を入れた 割管炭を減らした 隙間に車炭で埋める
車炭は武者小路千家独特のもの
次客 礼をした 二巡目以降 次の客へ譲ることができる
三巡目
正客「どうぞお炭でおしまいください」
■趣味どきっ!茶の湯 武者小路千家 炉中に広がる世界終(4)夜咄の茶事
夜咄の茶事 冬至~2月頃 夕暮れから夜更けにかけて行われる
寄付(よりつき)と呼ばれる待合室で待つ 正客 次客 詰
甘酒
初座 煎茶⇨炭点前⇨懐石
中立
後座 濃茶⇨続き薄茶
腰掛待合 正客は手燭(てしょく)を手に取り足元を照らしながら歩き進む
亭主が迎付(むかえつけ) 目礼をして手燭を交換する
蠟燭の残りを気遣って亭主が新しいものを持ってきた
湯桶(ゆおけ)の湯を使い口を注ぐ
躙り口(にじりぐち)から席入(せきいり)
床の拝見 床には手燭が置かれている 手燭を回して拝見する
軸
歳暮 里村紹巴 筆
いとまなき 世のことぐさは 数そひて おしみもあえず としぞくれゆく
どうぞお入りを 亭主 あいさつ 正客 次客 詰 お礼の言葉
最初は前茶 正客 お先に 正客 亭主に頂きます
次客 どうぞおもあいで という(二人は一つの茶碗で戴きますと言う意味)
次客 お相伴いたします お先に頂戴いたします お点前頂戴いたします
90度茶碗を回し正面を避けて頂く
炭点前 亭主が羽箒で掃き出したら 客は炉の周りに集まる
香合拝見 青磁 龍 香合 諏訪蘇山 造
懐石 膳燭(ぜんしょく 料理がよく見えるようにとの灯り)
正客 ご一緒に 折敷(おしき)飯と汁(合わせみそ 一夜凍豆腐)と向附(かぶら蒸し)
鍋(里芋 えび 東寺湯葉など)
主菓子(利休まんじゅう)手で割る
中立
後座 濃茶⇨続き薄茶
喚鐘 与次郎 造
床の設えを変える
払子(ほっす) 讃岐松平家伝来 玉舟宗璠老師 所持
濃茶
樂一入 作 黒茶碗 銘 福太郎
客は一碗の茶を飲みまわす
返しで拭き取る
続き薄茶
暖かさと暗さを楽しむ
戸を閉める音で亭主に退席を伝える
すると亭主は再び姿を現し挨拶を交わす
感謝の気持ちを込め姿が見えなくなるまで見送る
日向ぼこコピーの師匠ドラえもん
鈍足にリアルを生きる枯野かな
北吹くやジャン・コクトーが刺激せり
(松本隆氏)説明をしない作詞や冬ぬくし
■趣味どきっ!茶の湯 武者小路千家 炉中に広がる世界(3)廻り炭
茶の湯の正月 十一月 新茶を始めていただく喜びの季節です
茶室には炉が開かれ暖かな空間が広がります
炉の中は炭が美しき起こる別天地
道具炭
廻り炭 複数人が一組になって順に炭をつぐ炉の季節の稽古
火箸の使い方の稽古 順手 逆手
廻り炭の流れ
亭主が炭をつぐ⇨客が順に炭をつぐ⇨数回繰り返す
起風軒 詰 三客 次客 正客
亭主が席に入る 炭斗(すみとり) 炉から窯をあげ脇へと移動させる
炉が見える場所に客が移動する 亭主が巴半田(ともえはんだ)を持ち込む
揚げ火箸で下火を上げる 底取(そことり)で掬ってあげる 揚げ火箸で底を整える
先ほど上げた下火を埋める 灰器(はいき) ぬれ灰を炉の中に撒き再び山を作る
練香を炉の中へ入れる 下火の目印 亭主が炭をつぐ
道具炭の種類 胴炭 ぎっちょう 割ぎっちょう 点炭 管炭 割管炭 枝炭 車炭
筋半田(すじはんだ) 炉の炭を上げるために使う
亭主「お炭をおつぎください」 つぎ礼 正客
あげ礼 お客が炉に集まる 正客は亭主がいれた順番とは逆に上げる
胴炭は残し自分なりに炭をついでいく つぎ火箸(桑柄火箸)で炭をついでいく
ぎっちょう 割ぎっちょう 正客は火つきのバランスがよく形が美しい
次客の番になり正客がついだ炭を上げる 時計回りに継ぐのが普通
反時計回りにつぐのは火箸の扱いが難しくなる 炉の右手順手 炉の左側は逆手
次客 反時計回りにつぎ炭の配置に変化
三客 正客とはつぎ方を変え胴炭の隣に割ぎっちょう 火の回りが早い
詰 割ぎっちょうをつなげている より火の回りが早い
炉中細見 香合 練香
七宝 錫(すず)縁 宇治橋絵 香合 並河靖之 造
京焼 松竹梅に鶴亀絵 ぶるぶる形 香合 真葛香斎 造
焼き物 根履行を入れ 炉の季節
木製・漆製 香木を入れ 風炉の季節 椿の葉を敷くとオールシーズン使える
調香表が残されている
起風 武者小路千家 十四代家元好みの練香
安息香 龍脳 貝甲香 排草香 桂皮 白檀 伽羅 沈香(じんこう)
風という字が入っているので風のイメージに沿って
爽やかな香りのベトナム産の沈香などを使用している
粉末にした原料に炭の粉を加える 熱が伝わりやすくなると言われている
更に蜂蜜と梅酢を混ぜた密を加え 香りを立ち易くする
聞香(もんこう) 精神の中にまで入ってきてゆったりする そう言う効果がある
廻り炭 二巡目
亭主 炭の上げ方つぎ方が変わってくる ついだ炭の円を小さくする
二巡目以降 変更しない炭は残す
正客 枝炭と点炭を入れた 割管炭を減らした 隙間に車炭で埋める
車炭は武者小路千家独特のもの
次客 礼をした 二巡目以降 次の客へ譲ることができる
三巡目
正客「どうぞお炭でおしまいください」
■趣味どきっ!茶の湯 武者小路千家 炉中に広がる世界終(4)夜咄の茶事
夜咄の茶事 冬至~2月頃 夕暮れから夜更けにかけて行われる
寄付(よりつき)と呼ばれる待合室で待つ 正客 次客 詰
甘酒
初座 煎茶⇨炭点前⇨懐石
中立
後座 濃茶⇨続き薄茶
腰掛待合 正客は手燭(てしょく)を手に取り足元を照らしながら歩き進む
亭主が迎付(むかえつけ) 目礼をして手燭を交換する
蠟燭の残りを気遣って亭主が新しいものを持ってきた
湯桶(ゆおけ)の湯を使い口を注ぐ
躙り口(にじりぐち)から席入(せきいり)
床の拝見 床には手燭が置かれている 手燭を回して拝見する
軸
歳暮 里村紹巴 筆
いとまなき 世のことぐさは 数そひて おしみもあえず としぞくれゆく
どうぞお入りを 亭主 あいさつ 正客 次客 詰 お礼の言葉
最初は前茶 正客 お先に 正客 亭主に頂きます
次客 どうぞおもあいで という(二人は一つの茶碗で戴きますと言う意味)
次客 お相伴いたします お先に頂戴いたします お点前頂戴いたします
90度茶碗を回し正面を避けて頂く
炭点前 亭主が羽箒で掃き出したら 客は炉の周りに集まる
香合拝見 青磁 龍 香合 諏訪蘇山 造
懐石 膳燭(ぜんしょく 料理がよく見えるようにとの灯り)
正客 ご一緒に 折敷(おしき)飯と汁(合わせみそ 一夜凍豆腐)と向附(かぶら蒸し)
鍋(里芋 えび 東寺湯葉など)
主菓子(利休まんじゅう)手で割る
中立
後座 濃茶⇨続き薄茶
喚鐘 与次郎 造
床の設えを変える
払子(ほっす) 讃岐松平家伝来 玉舟宗璠老師 所持
濃茶
樂一入 作 黒茶碗 銘 福太郎
客は一碗の茶を飲みまわす
返しで拭き取る
続き薄茶
暖かさと暗さを楽しむ
戸を閉める音で亭主に退席を伝える
すると亭主は再び姿を現し挨拶を交わす
感謝の気持ちを込め姿が見えなくなるまで見送る
2024年12月28日土曜日
カズレーザー「鍋」&「手袋」&家藤正人の俳句道場「冬苺」&真田幸村&「喝」
葬式無用戒名不用樒(11月28日)
冬日没(い)る涙涸れはて焔立つ
夢を追いハンドル切らん冬の風
命いただき繋ぐ生命冬の夕
強さ増す食の暴力冬の月
■カズレーザーと学ぶ。
食と健康 鍋の脂肪燃焼 美肌効果 爆上がりさせる食材は❓
鍋ごとで効果が違う!❓ ブースト鍋ランキング
石狩鍋×いりぬか 美肌効果UP
カレー鍋×ブロッコリースプライト 免疫力13倍に
キムチ鍋×エビ ぐっすり眠れる
豆乳みそ鍋×アオサノリ 便秘を防ぐ
かき鍋×しょうが 美髪になる
トマト鍋×からし菜 ダイエット効果UP
■漢字ふむふむ とんだ手袋ちがい!
中国語ではハンドバッグ
日本語ではグローブ
中国より先に日本で生まれた漢字だと言われています
漢字なのに日本が先!?
ゆがけ 弓を弾く時、指を痛めないために使ったもの
当時既に存在した足袋にちなんだものと思われます
手にはめるものをしだいに「てぶくろ」という呼び名が
話し言葉では使われていたのだろうと考えられます
中国語には外来語の音だけをとりあげて漢字を当てるやり方と
外来語の意味を取り上げてそれに合う漢字を当てるやり方があります
「手袋」の場合 まさに後者だと思われます
Hand=手 bag=袋 手袋を当てはめた
電脳=コンピューター
■ギュッと!四国 家藤正人の俳句道場
兼題「冬苺」
山地に自生する低木で、蔓(つる)状に伸びた茎に小さな粒状の赤い実をつける。
熟した実は軽く引っ張ると採れる。
甘酸っぱく美味であり、冬の枯れた野山で見つける明るい朱色は目にも鮮やか。
傍題:寒苺(かんいちご)
ギュッと!特選
冬苺しやりつと噛めば湖(うみ)晴るる 星月彩也華
(季語の現場を感じさせる)
冬苺ケーキジャンケン子供達 森チロリ
山野にて探して恋し冬苺 仁淀こうじ
秀作 野鼠の心臓ほどの冬苺 樫の木
(生々しい比喩の力がある句)
佳作 逃げるなよ逃げるなよ冬莓食う 半熟かさぶた
秀作 子と歌うことりのうたよ冬苺 久えむ茜咲
(有名な童謡を入れたこと 親子の和やかな時間が山に広がる様子が伺える)
吾子の着し上着お下がり冬苺 菊池ココ
(季語が薄まってしまった)
二人してふと寄り道の冬苺 だるまひめ
(俳句あるある 「ふと」はよくある)
佳作 冬莓あの日の正答はYES めりっさ
佳作 見残(みのこし)に落つ日の色や冬苺 讃岐の媼
添削 見残に落つる日の色冬苺
バス停の跡地にひっそり冬苺 平田球坊
(中七は七音に)
強風を蟻と進む冬苺 大野原夢千代
(蟻は夏の季語 夏と冬の季重なり)
佳作 ハウンドの鼻のゆく先冬苺 伊佐
(鼻先への焦点の絞り方が巧かった)
正人のもったいない
いつの世も思う気持ちや冬苺 田中直心
(思いが先行して具体的な情報が不足している)
添削 十四年妻恋う伊豆よ冬苺
次回の兼題は「寒雀」
■偉人・敗北からの教訓 第72回「真田昌幸・打倒家康の夢破れた軍略家」
真田昌幸 敗北の伏線
独立心とプライドが高かった
抜群の才能で地位を高めていった
真田昌幸 敗北の瞬間
大きな自信を持っていた
最後まで野望を諦めなかった
真田昌幸の敗北から学ぶ教訓
自らの力を過大評価しないこと
■漢字ふむふむ 日本人が”喝”が好きなわけ
喝=中国語では「飲む」の意味
元々喝は中国で生まれた 臨済宗 開祖 臨済義玄(9世紀)が使た言葉
12世紀後半日本へ伝わった
臨済宗は鎌倉時代、室町時代 民衆に広がっていった
右の部首が 呪詛⇨威嚇を加える
中国では喝は叱るという意味と大声を出して喉が渇くという意味があった
⇨飲むという意味があった 臨済宗以外の宗教を重んじたから
文化大革命(1966~1976)も影響した
日本人は自分の至らなさや弱さを客観的に見る自己を高めるために自己を省みる
どうすればより自分を高められるか精神性の特徴などが「喝!」にフィットした
冬日没(い)る涙涸れはて焔立つ
夢を追いハンドル切らん冬の風
命いただき繋ぐ生命冬の夕
強さ増す食の暴力冬の月
■カズレーザーと学ぶ。
食と健康 鍋の脂肪燃焼 美肌効果 爆上がりさせる食材は❓
鍋ごとで効果が違う!❓ ブースト鍋ランキング
石狩鍋×いりぬか 美肌効果UP
カレー鍋×ブロッコリースプライト 免疫力13倍に
キムチ鍋×エビ ぐっすり眠れる
豆乳みそ鍋×アオサノリ 便秘を防ぐ
かき鍋×しょうが 美髪になる
トマト鍋×からし菜 ダイエット効果UP
■漢字ふむふむ とんだ手袋ちがい!
中国語ではハンドバッグ
日本語ではグローブ
中国より先に日本で生まれた漢字だと言われています
漢字なのに日本が先!?
ゆがけ 弓を弾く時、指を痛めないために使ったもの
当時既に存在した足袋にちなんだものと思われます
手にはめるものをしだいに「てぶくろ」という呼び名が
話し言葉では使われていたのだろうと考えられます
中国語には外来語の音だけをとりあげて漢字を当てるやり方と
外来語の意味を取り上げてそれに合う漢字を当てるやり方があります
「手袋」の場合 まさに後者だと思われます
Hand=手 bag=袋 手袋を当てはめた
電脳=コンピューター
■ギュッと!四国 家藤正人の俳句道場
兼題「冬苺」
山地に自生する低木で、蔓(つる)状に伸びた茎に小さな粒状の赤い実をつける。
熟した実は軽く引っ張ると採れる。
甘酸っぱく美味であり、冬の枯れた野山で見つける明るい朱色は目にも鮮やか。
傍題:寒苺(かんいちご)
ギュッと!特選
冬苺しやりつと噛めば湖(うみ)晴るる 星月彩也華
(季語の現場を感じさせる)
冬苺ケーキジャンケン子供達 森チロリ
山野にて探して恋し冬苺 仁淀こうじ
秀作 野鼠の心臓ほどの冬苺 樫の木
(生々しい比喩の力がある句)
佳作 逃げるなよ逃げるなよ冬莓食う 半熟かさぶた
秀作 子と歌うことりのうたよ冬苺 久えむ茜咲
(有名な童謡を入れたこと 親子の和やかな時間が山に広がる様子が伺える)
吾子の着し上着お下がり冬苺 菊池ココ
(季語が薄まってしまった)
二人してふと寄り道の冬苺 だるまひめ
(俳句あるある 「ふと」はよくある)
佳作 冬莓あの日の正答はYES めりっさ
佳作 見残(みのこし)に落つ日の色や冬苺 讃岐の媼
添削 見残に落つる日の色冬苺
バス停の跡地にひっそり冬苺 平田球坊
(中七は七音に)
強風を蟻と進む冬苺 大野原夢千代
(蟻は夏の季語 夏と冬の季重なり)
佳作 ハウンドの鼻のゆく先冬苺 伊佐
(鼻先への焦点の絞り方が巧かった)
正人のもったいない
いつの世も思う気持ちや冬苺 田中直心
(思いが先行して具体的な情報が不足している)
添削 十四年妻恋う伊豆よ冬苺
次回の兼題は「寒雀」
■偉人・敗北からの教訓 第72回「真田昌幸・打倒家康の夢破れた軍略家」
真田昌幸 敗北の伏線
独立心とプライドが高かった
抜群の才能で地位を高めていった
真田昌幸 敗北の瞬間
大きな自信を持っていた
最後まで野望を諦めなかった
真田昌幸の敗北から学ぶ教訓
自らの力を過大評価しないこと
■漢字ふむふむ 日本人が”喝”が好きなわけ
喝=中国語では「飲む」の意味
元々喝は中国で生まれた 臨済宗 開祖 臨済義玄(9世紀)が使た言葉
12世紀後半日本へ伝わった
臨済宗は鎌倉時代、室町時代 民衆に広がっていった
右の部首が 呪詛⇨威嚇を加える
中国では喝は叱るという意味と大声を出して喉が渇くという意味があった
⇨飲むという意味があった 臨済宗以外の宗教を重んじたから
文化大革命(1966~1976)も影響した
日本人は自分の至らなさや弱さを客観的に見る自己を高めるために自己を省みる
どうすればより自分を高められるか精神性の特徴などが「喝!」にフィットした
2024年12月27日金曜日
北里柴三郎&明治文学史 夏目漱石・福澤諭吉・二葉亭四迷・坪内逍遥&八名信夫
物憂げにミロンガ刻む冬の月
冬の夜や心躍らせ足絡め
抱擁はタンゴの真意冬銀河
冬薔薇や心委ねんアブラッソ
温室のパンジー咲きて冬の景
■先人たちの底力 知恵泉 北里柴三郎~日本近代医学の父~
ゲスト 松浦善治 篠原かをり 上山明博
日本細菌学の祖
破傷風菌の純粋培養に初成功
血清療法を発見 第1回ノーベル賞の候補にもなっている
コレラの治療に奔走 世界初ペスト菌を特定
破天荒な性格 ドイツへ国費で留学するも帰国命令を拒否
恩師と対立
北里はコロナ後の日本に非常にテーマとしてあった人間ではないか
知恵その一 探求する心にリミットをもうけるな!
森鴎外 曰く
識を重んせんとするに余りに果ては情を忘れしのみ
「東京医事新誌」(明治22年6月8日)より
生(北里)は情けを忘れたるものにあらず私情を制したるものなり
「東京医事新誌」(明治22年9月21日)より
知恵その二 公益のためなら空気を読むな!
慶応義塾創始者 福澤諭吉
優れた学者を生かさないのは国の恥
自らの資材を投じて私立伝染病研究所(芝区愛宕町)を設立
野口英世、志賀潔等が集まって来た
周りは北里のことをドンネル(雷)と呼んだ
志賀潔 曰く
「先生は私一人の名前で書くように言われた
赤痢菌発見の手柄を若僧の助手ひとりに
ゆずった先生を私は誠にありがたきものと思うのである
「或る細菌学者の回想」より
極東熱帯医学海第6回総会出席各国代表レセプションの盛況 フィルム
冒頭演説原稿
「学問には国境なし」という言葉は医学にこそ当てはめられる
その恩恵は国・人種の差別は全くなく被るべきものである
正しい医学情報をちゃんと提供しよう
そうでないとあなたは殺人に手を貸すことになる
「情けを忘れたんじゃなくて これは私情を抑えたんだ」
閉じはもっと封建的な時代 明治時代だからもっとない
それは北里の特異な例
細菌というのは感染爆発すると実験材料がいっぱいあるから研究しやすい
たぶん北里は志賀潔に手柄を与えたんだと思う
弟子を育てたかったと思う
責任著者 コレスポンディングオーサーは教室の責任者がとる
北里のやっていることは国教とか人種とかの枠を超えて
人類のためにやっているというところが非常に大きい
公衆衛生というものが防疫がなければ産業も発達しない
彼は日本のことを憂いて日本のために帰ってきたんだと思う
これはすべて動物の病気 動物自身は病気を起こさない
次のパンデミックは何かというと誰も分わからない
SCARDA(先進的研究開発鮮緑センター)
感染症有事に国策としてワクチン開発を迅速に行うため
令和4年3月に設置された研究開発期間
ゲノムを人工的に操作できるそれを故意に人が操作できる時代に入っている
善意に人たちだけではないという人と対峙しなくてはならない
■10min.ボックス現代文 明治文学史
「吾輩は猫である」夏目漱石著
吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生まれたか頓と見當がつかぬ。
何でも薄暗いじめ〱した所でニャー〱泣いて居た事丈は記憶して居る。
新しい時代の文章
福澤諭吉が強く唱えた
「学問のすすめ」福澤諭吉
學問トハ唯ムヅカシキ字ヲ 知リ解シ難キ古文ヲ讀ミ
和歌ヲ楽ミ詩ヲ作ルナド世上ニ寶ノナキ文学ヲ云フニアラズ
専ラ勤ムベキハ人間普通日用ニ近キ寶學ナリ
「話し言葉」(口語)(言) 「書き言葉」(文語)(文)
「書き言葉」(文語)
・比の如く御座候
・萬機公論ニ決スベシ
「言文一致」運動が進まなかったことを
坪内逍遥は「小説真髄」の中でこう記しています
俗言のまゝに文をなすときは あるひは 音調侏離に失し 或ひは
其氣韻の野なるに失して いと雅たる趣向さへ爲に
いとひなびたるものと なりて 俚猥の譏りを 得ること多かり
言文一致体の模索
二葉亭四迷は坪内逍遥に教えを請いました
坪内先生の許へ行つて、何うしたらよからうかと 話して見ると、
君は圓朝の落語を知つてゐるよう、あの圓朝の落語通りに
書いて見たら 何うかといふ。
二葉亭四迷「余が言文一致の由来」より
言文一致體にはなつてゐるが、茲にまだ問題がある。
それは「私が…でム(ござ)います」調にしたものか、それとも、
「俺はいやだ」調で行つたものかと云ふことだ。
二葉亭四迷「余が言文一致の由来」より
I don’t like you.「俺はおまえが嫌いだ。」「私はあなたが嫌いです。」
「浮雲」明治20年 発表
「ヲヤ大變片付いたこと「餘りヒツ散らかつてゐたから
ト我知らず言ツて文三は怪んだ。何故虚言を言ツたか、自分にも解りかねる。
「あいびき」
秋九月中旬といふころ、一日自分がさる樺の林の中に座してゐたことが有ツた。
今朝から小雨が降りそゝぎ、その晴れ間にはおり〱生ま煖(あたた)かな
日かげも射して、まことに氣まぐれな空ら合ひ。
山田美妙「蝴蝶」(ですます調)
尾崎紅葉「二人女房」(である調)
言文一致の礎となった
■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん
【八名信夫▽プロ野球選手から映画俳優としての裏話】
昭和の大先輩 八名信夫の言葉
「出会い ふれ合い 人の味 八名信夫」
鶴田浩二氏や高倉健氏の裏話をお聞かせくださいました。
サワコちゃんからと~ってもお優しいお人柄のエピソードも…。
次回を楽しみにしています❣
冬の夜や心躍らせ足絡め
抱擁はタンゴの真意冬銀河
冬薔薇や心委ねんアブラッソ
温室のパンジー咲きて冬の景
■先人たちの底力 知恵泉 北里柴三郎~日本近代医学の父~
ゲスト 松浦善治 篠原かをり 上山明博
日本細菌学の祖
破傷風菌の純粋培養に初成功
血清療法を発見 第1回ノーベル賞の候補にもなっている
コレラの治療に奔走 世界初ペスト菌を特定
破天荒な性格 ドイツへ国費で留学するも帰国命令を拒否
恩師と対立
北里はコロナ後の日本に非常にテーマとしてあった人間ではないか
知恵その一 探求する心にリミットをもうけるな!
森鴎外 曰く
識を重んせんとするに余りに果ては情を忘れしのみ
「東京医事新誌」(明治22年6月8日)より
生(北里)は情けを忘れたるものにあらず私情を制したるものなり
「東京医事新誌」(明治22年9月21日)より
知恵その二 公益のためなら空気を読むな!
慶応義塾創始者 福澤諭吉
優れた学者を生かさないのは国の恥
自らの資材を投じて私立伝染病研究所(芝区愛宕町)を設立
野口英世、志賀潔等が集まって来た
周りは北里のことをドンネル(雷)と呼んだ
志賀潔 曰く
「先生は私一人の名前で書くように言われた
赤痢菌発見の手柄を若僧の助手ひとりに
ゆずった先生を私は誠にありがたきものと思うのである
「或る細菌学者の回想」より
極東熱帯医学海第6回総会出席各国代表レセプションの盛況 フィルム
冒頭演説原稿
「学問には国境なし」という言葉は医学にこそ当てはめられる
その恩恵は国・人種の差別は全くなく被るべきものである
正しい医学情報をちゃんと提供しよう
そうでないとあなたは殺人に手を貸すことになる
「情けを忘れたんじゃなくて これは私情を抑えたんだ」
閉じはもっと封建的な時代 明治時代だからもっとない
それは北里の特異な例
細菌というのは感染爆発すると実験材料がいっぱいあるから研究しやすい
たぶん北里は志賀潔に手柄を与えたんだと思う
弟子を育てたかったと思う
責任著者 コレスポンディングオーサーは教室の責任者がとる
北里のやっていることは国教とか人種とかの枠を超えて
人類のためにやっているというところが非常に大きい
公衆衛生というものが防疫がなければ産業も発達しない
彼は日本のことを憂いて日本のために帰ってきたんだと思う
これはすべて動物の病気 動物自身は病気を起こさない
次のパンデミックは何かというと誰も分わからない
SCARDA(先進的研究開発鮮緑センター)
感染症有事に国策としてワクチン開発を迅速に行うため
令和4年3月に設置された研究開発期間
ゲノムを人工的に操作できるそれを故意に人が操作できる時代に入っている
善意に人たちだけではないという人と対峙しなくてはならない
■10min.ボックス現代文 明治文学史
「吾輩は猫である」夏目漱石著
吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生まれたか頓と見當がつかぬ。
何でも薄暗いじめ〱した所でニャー〱泣いて居た事丈は記憶して居る。
新しい時代の文章
福澤諭吉が強く唱えた
「学問のすすめ」福澤諭吉
學問トハ唯ムヅカシキ字ヲ 知リ解シ難キ古文ヲ讀ミ
和歌ヲ楽ミ詩ヲ作ルナド世上ニ寶ノナキ文学ヲ云フニアラズ
専ラ勤ムベキハ人間普通日用ニ近キ寶學ナリ
「話し言葉」(口語)(言) 「書き言葉」(文語)(文)
「書き言葉」(文語)
・比の如く御座候
・萬機公論ニ決スベシ
「言文一致」運動が進まなかったことを
坪内逍遥は「小説真髄」の中でこう記しています
俗言のまゝに文をなすときは あるひは 音調侏離に失し 或ひは
其氣韻の野なるに失して いと雅たる趣向さへ爲に
いとひなびたるものと なりて 俚猥の譏りを 得ること多かり
言文一致体の模索
二葉亭四迷は坪内逍遥に教えを請いました
坪内先生の許へ行つて、何うしたらよからうかと 話して見ると、
君は圓朝の落語を知つてゐるよう、あの圓朝の落語通りに
書いて見たら 何うかといふ。
二葉亭四迷「余が言文一致の由来」より
言文一致體にはなつてゐるが、茲にまだ問題がある。
それは「私が…でム(ござ)います」調にしたものか、それとも、
「俺はいやだ」調で行つたものかと云ふことだ。
二葉亭四迷「余が言文一致の由来」より
I don’t like you.「俺はおまえが嫌いだ。」「私はあなたが嫌いです。」
「浮雲」明治20年 発表
「ヲヤ大變片付いたこと「餘りヒツ散らかつてゐたから
ト我知らず言ツて文三は怪んだ。何故虚言を言ツたか、自分にも解りかねる。
「あいびき」
秋九月中旬といふころ、一日自分がさる樺の林の中に座してゐたことが有ツた。
今朝から小雨が降りそゝぎ、その晴れ間にはおり〱生ま煖(あたた)かな
日かげも射して、まことに氣まぐれな空ら合ひ。
山田美妙「蝴蝶」(ですます調)
尾崎紅葉「二人女房」(である調)
言文一致の礎となった
■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん
【八名信夫▽プロ野球選手から映画俳優としての裏話】
昭和の大先輩 八名信夫の言葉
「出会い ふれ合い 人の味 八名信夫」
鶴田浩二氏や高倉健氏の裏話をお聞かせくださいました。
サワコちゃんからと~ってもお優しいお人柄のエピソードも…。
次回を楽しみにしています❣
2024年12月26日木曜日
100分de名著 有吉佐和子(3)「恍惚の人」②
神山の満月銀杏黄落期(こうらくき)
過疎に人呼ぶ満月銀杏霜夜
星月夜過疎のシンボル凛と立つ
大山寺弁慶銀杏散るはじむ
伊勢海老にかぶりつく子や冬の浜
■100分de名著 有吉佐和子(3)老いてなお輝きわたる尊厳「恍惚の人」②
介護する昭子 認知症の茂造
ソコロワ山下聖美 伊集院光 阿部みちこ
ワンオペ介護に苦しむ昭子
茂造の認知症も悪化の一途をたどる
明け方近く、昭子は押しつぶされそうな胸苦しさを覚えて眼をさました。
驚いたことに茂造が、掛布団の上から昭子の躰の上に乗って呻いている。
昭子は咄嗟に舅を突き飛ばして起きた。「なんですか、お爺ちゃん」
「ああ、昭子さんが、いない。昭子さんがいない。昭子さんがいないんですよォ」
「お爺ちゃん」大声で呼ぶと、やっと茂造は「昭子に気がついて、その途端に
前身の関節が外れたように、放り出された糸の切れた人形のように、
布団の上にぺたんと伸びてしまった。
これから大変なことになってくる予感があった。
だんだん壊れ方がひどくなって来るような気がする。
「老人ホームに入れちゃえばいいじゃないか」
老人ホームという選択肢
敬老会館の事務員から地域の福祉事務所について情報を得る
「私、この仕事についてそろそろ五年ですけど、お嫁さんからお礼言われたり
物をもらったりしたのは今日が初めてです。びっくりしちゃった。
立花さんは幸せですねえ」
感心なお嫁さんと言われ戸惑う
昭子が動くことによって物語は進む
信利が前向きでない 老人ホームについて聞かれても黙ってしまう
昭子は職場の上司に地域の老人福祉指導主事に相談することを勧められる
―はい、私が老人福祉指導主事です。
昭子は自分が仕事を持っている女だということを強調して訴えたかったが、
思いがけず電話に出た相手が女性だったので却って意を強くしていた。
職業を持っている婦人なら昭子の悩みもよりよく理解してくれるだろう。
「お爺さん、こんにちは」
「下の方はいかがですか」
「鎮静剤で眠るようになってから、ときどきお寝しょをします」
「その程度でしたらねぇ、このお年ならいい方ですよ。
それに環境としてもお幸せですよ、こちらのお爺さんは。
第一に躰が不自由ではないし、経済的にも恵まれていらっしゃるし、
家も子供さんも、孫までおありになるんだから」
こう言われて昭子は慌てた。それは下を見ればキリはないかもしれないけれど、
現実にこの家では茂造がこうなって家中が、特に昭子が大変に困っているのだ。
福祉の人から「お幸せ」と言われ…
当時はなるべく家で介護するという固定観念があった
「有料老人ホーム」利用資格
健康で身の廻りのことができ共同生活にたえられる人
阿部みちこさん曰く
「恍惚の人」は家族全員読んだ方がいいと思います別の部屋で
実はどこのホームも満員ですよ 老人福祉指導主事
老人を抱えたら誰かが犠牲になることはどうも仕方がないですね
高齢者福祉行政がいかに未発達だったか
この著書は高齢者福祉行政の進歩に大きな影響を与えた大ベストセラー
私が社会に問題を提起したのではなく
これで社会に問題を提起すべきだと思った読者が多かった
1973年NHKラジオ「文学と私」出演時の言葉
茂造さんが風呂で溺れて急性肺炎になるが奇跡の生還を果たす
茂造は、病後は昭子の名前も忘れてしまったらしくて、
用があるとモシモシと声をかけるのだが、
それだけ人見知りをしなくなったのかどうか。
エミにはひどくよくなついて、昭子の留守の
月曜と水曜と金曜に、まだ一度も問題が起こったことがない。
エミが買物に出かけるときは、昭子と同じように茂造を連れてでるらしいが、
ついでに散歩をして済美山の方まで行ってきたりするらしい。
偏見を持たない若者夫婦
エミは茂造のおむつも取り替えてくれる
現代のケアの姿勢にも繋がっている
室内で排泄をするという状況に
一方で花や小鳥に心を奪われ無心の笑顔を見せる
「敏(さとし)が生まれたばかりの頃、こんな具合に笑ったわ。
(中略)
子供って天使だと思ったものよ。お爺ちゃんがそれね。
生きながら神になるってこれかしら」
認知症が悪化する一方で…
命 生きるということを俯瞰する視点
有吉佐和子女史は
老いてもなお尊厳を失わない人間の姿に光を当てようとした
「自分もいつかなる」常にこの作品に書きされている
私、「恍惚の人」のなかで「老醜(しゅう)」ということばを一つも使っていない。
だってそうでしょう?私だって高峰さんだって、いずれはああなるんだから、
私、人間を冒涜したくないという配慮はしているつもりなのに、
その精神を読み落されているのは残念だわ。
高峰秀子「いっぴきの虫」より
あのときこそ茂造は死んだかと思って昭子は仰天したのだ。
考えてみると、あれは死そのものに慌てたのではなくて、
昭子は自分の過失を懼(おそ)れたのだった。
年寄りの世話は嫌やだ、と こんな土壇場でそんなことを
考えるのが本当に情けない。
この半年間の昭子の悪戦苦闘が、結果としてまるで
無意味になってしまうではないか。
今までは茂造の存在が迷惑で迷惑でたまらなかったけれど、
よし今日からは茂造を生かせるだけ生かしてやろう。
誰でもない、それは私がやれることだ。
日中は止んでいた雨が、また降り始めていた。
昭子はこの夜の雨音を、しっかりと心の中に聴き入れていた。
人間らしく命に向き合う昭子
自分勝手な思いと気高いものが同居
「生かしてやろう」
命の肯定
どのような命であれ生かすべきものだという倫理観
敏「ママ、もうちょっと生かしといてもよかったね」
10代後半の男子の照れ隠し
読者に委ねられたラストシーン 開かれたラスト
阿部みちこ 委ねられたラストシーンが苦手な方で
結局まとめサイトとかないかなって見ちゃう…
自分の腑に落ちる形を思って人に話す 伊集院光
読者のコミュニケーションが弾むのが有吉佐和子の作品
「ママ、もうちょっと生かしといてもよかったね」
昭子は自分の頭の中がまるで真空のようになっているのを感じた。
昭子は鳥籠をかかえたままぺたんと座り、すると昭子の胸で
ホオジロが羽をばたつかせ、ちょっとうめいた。
その拍子に涙が眼から噴きこぼれたが、自分が泣いていることに
気がついたのはそれから随分後のことだった。
昭子は鳥籠を抱きしめ、いつまでもそうして座っていた。
過疎に人呼ぶ満月銀杏霜夜
星月夜過疎のシンボル凛と立つ
大山寺弁慶銀杏散るはじむ
伊勢海老にかぶりつく子や冬の浜
■100分de名著 有吉佐和子(3)老いてなお輝きわたる尊厳「恍惚の人」②
介護する昭子 認知症の茂造
ソコロワ山下聖美 伊集院光 阿部みちこ
ワンオペ介護に苦しむ昭子
茂造の認知症も悪化の一途をたどる
明け方近く、昭子は押しつぶされそうな胸苦しさを覚えて眼をさました。
驚いたことに茂造が、掛布団の上から昭子の躰の上に乗って呻いている。
昭子は咄嗟に舅を突き飛ばして起きた。「なんですか、お爺ちゃん」
「ああ、昭子さんが、いない。昭子さんがいない。昭子さんがいないんですよォ」
「お爺ちゃん」大声で呼ぶと、やっと茂造は「昭子に気がついて、その途端に
前身の関節が外れたように、放り出された糸の切れた人形のように、
布団の上にぺたんと伸びてしまった。
これから大変なことになってくる予感があった。
だんだん壊れ方がひどくなって来るような気がする。
「老人ホームに入れちゃえばいいじゃないか」
老人ホームという選択肢
敬老会館の事務員から地域の福祉事務所について情報を得る
「私、この仕事についてそろそろ五年ですけど、お嫁さんからお礼言われたり
物をもらったりしたのは今日が初めてです。びっくりしちゃった。
立花さんは幸せですねえ」
感心なお嫁さんと言われ戸惑う
昭子が動くことによって物語は進む
信利が前向きでない 老人ホームについて聞かれても黙ってしまう
昭子は職場の上司に地域の老人福祉指導主事に相談することを勧められる
―はい、私が老人福祉指導主事です。
昭子は自分が仕事を持っている女だということを強調して訴えたかったが、
思いがけず電話に出た相手が女性だったので却って意を強くしていた。
職業を持っている婦人なら昭子の悩みもよりよく理解してくれるだろう。
「お爺さん、こんにちは」
「下の方はいかがですか」
「鎮静剤で眠るようになってから、ときどきお寝しょをします」
「その程度でしたらねぇ、このお年ならいい方ですよ。
それに環境としてもお幸せですよ、こちらのお爺さんは。
第一に躰が不自由ではないし、経済的にも恵まれていらっしゃるし、
家も子供さんも、孫までおありになるんだから」
こう言われて昭子は慌てた。それは下を見ればキリはないかもしれないけれど、
現実にこの家では茂造がこうなって家中が、特に昭子が大変に困っているのだ。
福祉の人から「お幸せ」と言われ…
当時はなるべく家で介護するという固定観念があった
「有料老人ホーム」利用資格
健康で身の廻りのことができ共同生活にたえられる人
阿部みちこさん曰く
「恍惚の人」は家族全員読んだ方がいいと思います別の部屋で
実はどこのホームも満員ですよ 老人福祉指導主事
老人を抱えたら誰かが犠牲になることはどうも仕方がないですね
高齢者福祉行政がいかに未発達だったか
この著書は高齢者福祉行政の進歩に大きな影響を与えた大ベストセラー
私が社会に問題を提起したのではなく
これで社会に問題を提起すべきだと思った読者が多かった
1973年NHKラジオ「文学と私」出演時の言葉
茂造さんが風呂で溺れて急性肺炎になるが奇跡の生還を果たす
茂造は、病後は昭子の名前も忘れてしまったらしくて、
用があるとモシモシと声をかけるのだが、
それだけ人見知りをしなくなったのかどうか。
エミにはひどくよくなついて、昭子の留守の
月曜と水曜と金曜に、まだ一度も問題が起こったことがない。
エミが買物に出かけるときは、昭子と同じように茂造を連れてでるらしいが、
ついでに散歩をして済美山の方まで行ってきたりするらしい。
偏見を持たない若者夫婦
エミは茂造のおむつも取り替えてくれる
現代のケアの姿勢にも繋がっている
室内で排泄をするという状況に
一方で花や小鳥に心を奪われ無心の笑顔を見せる
「敏(さとし)が生まれたばかりの頃、こんな具合に笑ったわ。
(中略)
子供って天使だと思ったものよ。お爺ちゃんがそれね。
生きながら神になるってこれかしら」
認知症が悪化する一方で…
命 生きるということを俯瞰する視点
有吉佐和子女史は
老いてもなお尊厳を失わない人間の姿に光を当てようとした
「自分もいつかなる」常にこの作品に書きされている
私、「恍惚の人」のなかで「老醜(しゅう)」ということばを一つも使っていない。
だってそうでしょう?私だって高峰さんだって、いずれはああなるんだから、
私、人間を冒涜したくないという配慮はしているつもりなのに、
その精神を読み落されているのは残念だわ。
高峰秀子「いっぴきの虫」より
あのときこそ茂造は死んだかと思って昭子は仰天したのだ。
考えてみると、あれは死そのものに慌てたのではなくて、
昭子は自分の過失を懼(おそ)れたのだった。
年寄りの世話は嫌やだ、と こんな土壇場でそんなことを
考えるのが本当に情けない。
この半年間の昭子の悪戦苦闘が、結果としてまるで
無意味になってしまうではないか。
今までは茂造の存在が迷惑で迷惑でたまらなかったけれど、
よし今日からは茂造を生かせるだけ生かしてやろう。
誰でもない、それは私がやれることだ。
日中は止んでいた雨が、また降り始めていた。
昭子はこの夜の雨音を、しっかりと心の中に聴き入れていた。
人間らしく命に向き合う昭子
自分勝手な思いと気高いものが同居
「生かしてやろう」
命の肯定
どのような命であれ生かすべきものだという倫理観
敏「ママ、もうちょっと生かしといてもよかったね」
10代後半の男子の照れ隠し
読者に委ねられたラストシーン 開かれたラスト
阿部みちこ 委ねられたラストシーンが苦手な方で
結局まとめサイトとかないかなって見ちゃう…
自分の腑に落ちる形を思って人に話す 伊集院光
読者のコミュニケーションが弾むのが有吉佐和子の作品
「ママ、もうちょっと生かしといてもよかったね」
昭子は自分の頭の中がまるで真空のようになっているのを感じた。
昭子は鳥籠をかかえたままぺたんと座り、すると昭子の胸で
ホオジロが羽をばたつかせ、ちょっとうめいた。
その拍子に涙が眼から噴きこぼれたが、自分が泣いていることに
気がついたのはそれから随分後のことだった。
昭子は鳥籠を抱きしめ、いつまでもそうして座っていた。
2024年12月25日水曜日
日曜美術館 熊野&吉良上野介&三遊亭小遊三&「金字塔」
酸強き甘き蜜柑や傷みあり
面白がれる能力持ちて冬日向
デザインは判断力と龍の玉
霜の夜や辛いときほどスキルアップ
冴ゆる夜を衣纏った下品かな
■日曜美術館 熊野 聖なる謎~神の像・神の宝~
全ての命の源である水 万物を生み出し育む母なる力を
この滝に感じていたのでしょうか❓
熊野の聖地を生み出したのは人知を超えた大地のエネルギーだったのです。
此の神の魂を祭るには花の時には亦花を以ちて祭る
「日本書紀」
全てを焼き尽くす火はまた全てを育てる命の源
火への畏怖と恵みへの感謝が満ちていきます
そして山を炎が下って行く遥かいにしえ
熊野の大地を生み出したマグマのように
熊野は聖なる謎に満ちている
■偉人・敗北からの教訓
第71回「吉良上野介・怒りの矛先となった忠臣蔵の敵役」
吉良上野介 敗北の伏線
気付かぬうちに恨みを買うことも
日頃から相手の気持ちを読んだ行動が肝要
吉良上野介 敗北の瞬間
自分の身に危機が迫ったらできる限りの対策をとることが肝要
吉良上野介の敗北から学ぶ教訓
過ぎたるは及ばざるがごとし
■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん【落語家・三遊亭小遊三▽笑点の裏側を公開?】
どんな一日でしたか❓その答えは…。
「明日になってみなきゃ分かんないでしょ!」
昭和の大先輩 三遊亭小遊三師匠の言葉
「寝ていて転んだ試しなし」
面白がれる能力持ちて冬日向
デザインは判断力と龍の玉
霜の夜や辛いときほどスキルアップ
冴ゆる夜を衣纏った下品かな
■日曜美術館 熊野 聖なる謎~神の像・神の宝~
全ての命の源である水 万物を生み出し育む母なる力を
この滝に感じていたのでしょうか❓
熊野の聖地を生み出したのは人知を超えた大地のエネルギーだったのです。
此の神の魂を祭るには花の時には亦花を以ちて祭る
「日本書紀」
全てを焼き尽くす火はまた全てを育てる命の源
火への畏怖と恵みへの感謝が満ちていきます
そして山を炎が下って行く遥かいにしえ
熊野の大地を生み出したマグマのように
熊野は聖なる謎に満ちている
■偉人・敗北からの教訓
第71回「吉良上野介・怒りの矛先となった忠臣蔵の敵役」
吉良上野介 敗北の伏線
気付かぬうちに恨みを買うことも
日頃から相手の気持ちを読んだ行動が肝要
吉良上野介 敗北の瞬間
自分の身に危機が迫ったらできる限りの対策をとることが肝要
吉良上野介の敗北から学ぶ教訓
過ぎたるは及ばざるがごとし
■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん【落語家・三遊亭小遊三▽笑点の裏側を公開?】
どんな一日でしたか❓その答えは…。
「明日になってみなきゃ分かんないでしょ!」
昭和の大先輩 三遊亭小遊三師匠の言葉
「寝ていて転んだ試しなし」
■漢字ふむふむ 歴史に翻弄された金字塔
中国で「金字塔」はピラミッドのこと
日本では後世に長く残るような”不滅の業績“
中国でピラミッドを表す「金字塔」という漢字は
19世紀後半に日本に入ってきたと考えられます
「万国史記」(1879年)ベストセラーになり
金字塔が多くの人に知られることとなった
日本でも金字塔はピラミッドのことだった
遣欧使節団 1864年日本人で初めてピラミッドを見学した
この幕末の使節団には福沢諭吉も1862年に参加していた
明治時代中頃に差し掛かると金字塔に新しい使い方が!
ジャーナリスト徳富蘇峰(小説家徳富蘆花の兄)は
イギリスの鉄道工事を目の当たりにして感動!
この言葉にならない驚きを伝えたい そこで閃いたのが金字塔
「金字塔の如く」と例えられた 第二次世界大戦では
世界戦史に不滅の金字塔を打ち立てたのだ
ソ満國境線上空に不滅の金字塔と使われた
戦意や国威の発揚を促す言葉として利用された
つまり後世に残る偉大な業績を表す簡単な言葉として
金字塔は使われいった
いつしか金字塔は”不滅のモノ“”偉大な業績“の象徴として捉え
比喩的な意味を拡大していったのではないかと考えられる
中国で「金字塔」はピラミッドのこと
日本では後世に長く残るような”不滅の業績“
中国でピラミッドを表す「金字塔」という漢字は
19世紀後半に日本に入ってきたと考えられます
「万国史記」(1879年)ベストセラーになり
金字塔が多くの人に知られることとなった
日本でも金字塔はピラミッドのことだった
遣欧使節団 1864年日本人で初めてピラミッドを見学した
この幕末の使節団には福沢諭吉も1862年に参加していた
明治時代中頃に差し掛かると金字塔に新しい使い方が!
ジャーナリスト徳富蘇峰(小説家徳富蘆花の兄)は
イギリスの鉄道工事を目の当たりにして感動!
この言葉にならない驚きを伝えたい そこで閃いたのが金字塔
「金字塔の如く」と例えられた 第二次世界大戦では
世界戦史に不滅の金字塔を打ち立てたのだ
ソ満國境線上空に不滅の金字塔と使われた
戦意や国威の発揚を促す言葉として利用された
つまり後世に残る偉大な業績を表す簡単な言葉として
金字塔は使われいった
いつしか金字塔は”不滅のモノ“”偉大な業績“の象徴として捉え
比喩的な意味を拡大していったのではないかと考えられる
2024年12月24日火曜日
兼題「冬麗」&テーマ「おつかれさま/ごくろうさま」
死を迎え浮き上がる骨冬の猫
霜の夜を尻持ち上げた病める猫
背伸びする猫の視線へ冬の色
まったりと窓越しの冬母子の猫
かじけ猫自由奔放丸まりて
■NHK俳句 兼題「冬麗」
選者 高野ムツオ ゲスト 能町みね子 レギュラー 中西アルノ
ゲスト 高山れおな 奥坂まや 司会 柴田英嗣
年間テーマ「語ろう俳句!」
11月頃は「小春日和」 12月頃は「冬日和」
その中で「冬麗」は別の味わいを出す 「麗」は春の季語
春らしい日差しになったことが感じられる
一 冬麗の高きに傾(かし)ぎ昼の月 高山れおな
冬麗は天候を表す季語 「昼の月」も空に浮かぶもの 季語を変えた方が良い
「月」が入っていれば秋の季語とする 「昼の月」を季語に入れない歳時記もある
「冬麗」の趣を中心にした句 巧みな句 空の景色を一元的に描写した句
「傾ぎ」安定感がない表現 なので「ぎ」でよい「ぐ」では安定してしまう
二 冬うらら電信柱が長すぎる 能町みね子
フランスの詩人 ジュール・ルナール「長すぎる」(題名:蛇)を思い出した
わざわざ「長すぎる」と詠んだところに作者の発見がある
滑稽味と俳諧みがある どこかシュールで怖い
冬なので薄暗い気持ちも反映されている
三 冬麗や餓(かつ)うる如く岩峰(がんぽう)鋭(と)し 奥坂まや
松尾芭蕉も若い頃は漢語を駆使して破調の俳句を作った 俳句の伝統を感じた
作者は10代 季語は冬麗以外の方が良い 冬の槍ヶ岳をイメージした
四 はんぶんこ豚まんはふはふ冬うらら 中西アルノ
「三段切れ」「はんぶんの」にすると三段切れにならなかった
五 冬麗や闇はスマホに閉じ込めて 高野ムツオ
スマホの画面は真っ暗 人工的なひとつの闇 「冬麗」の上には宇宙がある
宇宙の闇を「冬麗」が閉じこめている 冬の青空の上には宇宙の闇がある
・特選三席発表 兼題「冬麗」
一席 冬麗の地層に眠る貝の殻 山下民子
二席 冬麗や毬藻の揺るる湖(うみ)の底 大津留直(おおつるただし)
三席 隣り合ふ豚舎と牛舎冬うらら 田中和行
特選
冬うらら席を譲りしランドセル 後藤耕平
鳶職の声高きより冬うらら 中田白甫
手話一語一語に笑顔冬うらら 木原登
冬うらら削蹄耐えて太き尿 野々村澄夫
冬うららシールだらけの床柱 大岩真理
冬麗や農具に残る泥と藁 平間三政
参照:https://www.nhk.jp/p/ts/6Q6J1ZGX37/blog/bl/pLvva3ZRZL/bp/pNgn875Jre/
■NHK短歌 テーマ「おつかれさま/ごくろうさま」
選者 枡野浩一 ゲスト pha 司会 尾崎世界観
年間テーマ「あなたへの手紙 かなたへの手紙」
目上とか目下とかもうないくらい「ごくろうさま」な俺たちだった
枡野浩一
おつかれさま すごく便利な言葉だなと思った pha
・31音の手紙
入選九首 テーマ「おつかれさま/ごくろうさま」
一席 ときどきのおつかれさまは控えめにあなたを好きと言ってるつもり
弘中典子
私 テレビでしか見たことのない人だけど居なくなったら悲しいものだ
田中佳(よし)
おはようやこんにちはって言わせてよ疲れることはまだしてないし
仲川暁実
三席 振り向いて「おつかれさま」と呟いたタクシー運転手のコンシーラー
田中りょう
改札は社員証では通れない社員の顔をようやく外す
久藤さえ
“お疲れ”の付箋貼られてうたた寝の一人確かにいる目撃者
髙塚美衣
私 がんばったがんばったけどダメだったダメだったけど何とかなった
富尾大地
駆け足で来た宅配の若者はシャツが背中にはりついている
君しぐれ
二席 好きだから登山しているこの僕に「ごくろうさま」は不適切ワード
久保田洋二
・改悪添削
ときどきのおつかれさまは控えめにあなたを好きと言ってるつもり
⇩(自動的な感じがする 押しつけがましい圧を感じる
「控えめに」と「ときどきの」の呼応の仕方がバランスが良かった
この句の良さは頭だけで考えていない感じがするところ
経験の中で感情の引き出しをうまく引き出せた
言葉から短歌を作っても良い 自分の日々の暮らしの中でいろんなことに
気がつくことの方が短歌作りは大事 傷つきながら気づいたことを
心の中にため込んでおくと表現になっていく 手渡せている言葉と
作りたいことを並べているだけの言葉は大違い)
毎日のおつかれさまは控えめにあなたを好きと言ってるつもり
・phaさんの短歌 「おつかれさま/ごくろうさま」
牛すじに大根おろしをのせるように湿った布を首筋に貼る
pha
短歌を作る良さは❓
ちょっと現実から離れられる 現実から距離を取って気分が楽になる pha
別の形で現実を捉え直すことで心の余裕が持てる pha
歌は何度も歌える歌じゃないと歌にはできない 尾崎世界観
言葉が嵌っているのを見ると安心する 尾崎世界観
自分では到底できないような表現になっているのが救い 尾崎世界観
悲しい出来事なのに水槽にしてみたら綺麗だなみたいな 枡野浩一
・言葉のバトン
赤(しゃく)銅の漁師の顔と瓶ビール
肥沼和之 バー店主・ジャーナリスト
⇩
燃える夕日に連なるカワウ
田向(たむかい)健一 獣医師
燃えるような夕焼けと鳥を入れたらつまみがイメージできるのかな…。
哺乳類の可愛さとか爬虫類のかっこよさとかおもしろさとか
タランチャラの静な喜びだとか 病気の動物はどこが痛いとか言わないので
病状から察して人の言葉に変えて行く作業をしています
霜の夜を尻持ち上げた病める猫
背伸びする猫の視線へ冬の色
まったりと窓越しの冬母子の猫
かじけ猫自由奔放丸まりて
■NHK俳句 兼題「冬麗」
選者 高野ムツオ ゲスト 能町みね子 レギュラー 中西アルノ
ゲスト 高山れおな 奥坂まや 司会 柴田英嗣
年間テーマ「語ろう俳句!」
11月頃は「小春日和」 12月頃は「冬日和」
その中で「冬麗」は別の味わいを出す 「麗」は春の季語
春らしい日差しになったことが感じられる
一 冬麗の高きに傾(かし)ぎ昼の月 高山れおな
冬麗は天候を表す季語 「昼の月」も空に浮かぶもの 季語を変えた方が良い
「月」が入っていれば秋の季語とする 「昼の月」を季語に入れない歳時記もある
「冬麗」の趣を中心にした句 巧みな句 空の景色を一元的に描写した句
「傾ぎ」安定感がない表現 なので「ぎ」でよい「ぐ」では安定してしまう
二 冬うらら電信柱が長すぎる 能町みね子
フランスの詩人 ジュール・ルナール「長すぎる」(題名:蛇)を思い出した
わざわざ「長すぎる」と詠んだところに作者の発見がある
滑稽味と俳諧みがある どこかシュールで怖い
冬なので薄暗い気持ちも反映されている
三 冬麗や餓(かつ)うる如く岩峰(がんぽう)鋭(と)し 奥坂まや
松尾芭蕉も若い頃は漢語を駆使して破調の俳句を作った 俳句の伝統を感じた
作者は10代 季語は冬麗以外の方が良い 冬の槍ヶ岳をイメージした
四 はんぶんこ豚まんはふはふ冬うらら 中西アルノ
「三段切れ」「はんぶんの」にすると三段切れにならなかった
五 冬麗や闇はスマホに閉じ込めて 高野ムツオ
スマホの画面は真っ暗 人工的なひとつの闇 「冬麗」の上には宇宙がある
宇宙の闇を「冬麗」が閉じこめている 冬の青空の上には宇宙の闇がある
・特選三席発表 兼題「冬麗」
一席 冬麗の地層に眠る貝の殻 山下民子
二席 冬麗や毬藻の揺るる湖(うみ)の底 大津留直(おおつるただし)
三席 隣り合ふ豚舎と牛舎冬うらら 田中和行
特選
冬うらら席を譲りしランドセル 後藤耕平
鳶職の声高きより冬うらら 中田白甫
手話一語一語に笑顔冬うらら 木原登
冬うらら削蹄耐えて太き尿 野々村澄夫
冬うららシールだらけの床柱 大岩真理
冬麗や農具に残る泥と藁 平間三政
参照:https://www.nhk.jp/p/ts/6Q6J1ZGX37/blog/bl/pLvva3ZRZL/bp/pNgn875Jre/
■NHK短歌 テーマ「おつかれさま/ごくろうさま」
選者 枡野浩一 ゲスト pha 司会 尾崎世界観
年間テーマ「あなたへの手紙 かなたへの手紙」
目上とか目下とかもうないくらい「ごくろうさま」な俺たちだった
枡野浩一
おつかれさま すごく便利な言葉だなと思った pha
・31音の手紙
入選九首 テーマ「おつかれさま/ごくろうさま」
一席 ときどきのおつかれさまは控えめにあなたを好きと言ってるつもり
弘中典子
私 テレビでしか見たことのない人だけど居なくなったら悲しいものだ
田中佳(よし)
おはようやこんにちはって言わせてよ疲れることはまだしてないし
仲川暁実
三席 振り向いて「おつかれさま」と呟いたタクシー運転手のコンシーラー
田中りょう
改札は社員証では通れない社員の顔をようやく外す
久藤さえ
“お疲れ”の付箋貼られてうたた寝の一人確かにいる目撃者
髙塚美衣
私 がんばったがんばったけどダメだったダメだったけど何とかなった
富尾大地
駆け足で来た宅配の若者はシャツが背中にはりついている
君しぐれ
二席 好きだから登山しているこの僕に「ごくろうさま」は不適切ワード
久保田洋二
・改悪添削
ときどきのおつかれさまは控えめにあなたを好きと言ってるつもり
⇩(自動的な感じがする 押しつけがましい圧を感じる
「控えめに」と「ときどきの」の呼応の仕方がバランスが良かった
この句の良さは頭だけで考えていない感じがするところ
経験の中で感情の引き出しをうまく引き出せた
言葉から短歌を作っても良い 自分の日々の暮らしの中でいろんなことに
気がつくことの方が短歌作りは大事 傷つきながら気づいたことを
心の中にため込んでおくと表現になっていく 手渡せている言葉と
作りたいことを並べているだけの言葉は大違い)
毎日のおつかれさまは控えめにあなたを好きと言ってるつもり
・phaさんの短歌 「おつかれさま/ごくろうさま」
牛すじに大根おろしをのせるように湿った布を首筋に貼る
pha
短歌を作る良さは❓
ちょっと現実から離れられる 現実から距離を取って気分が楽になる pha
別の形で現実を捉え直すことで心の余裕が持てる pha
歌は何度も歌える歌じゃないと歌にはできない 尾崎世界観
言葉が嵌っているのを見ると安心する 尾崎世界観
自分では到底できないような表現になっているのが救い 尾崎世界観
悲しい出来事なのに水槽にしてみたら綺麗だなみたいな 枡野浩一
・言葉のバトン
赤(しゃく)銅の漁師の顔と瓶ビール
肥沼和之 バー店主・ジャーナリスト
⇩
燃える夕日に連なるカワウ
田向(たむかい)健一 獣医師
燃えるような夕焼けと鳥を入れたらつまみがイメージできるのかな…。
哺乳類の可愛さとか爬虫類のかっこよさとかおもしろさとか
タランチャラの静な喜びだとか 病気の動物はどこが痛いとか言わないので
病状から察して人の言葉に変えて行く作業をしています
2024年12月23日月曜日
こころの時代 宮沢賢治(3)「ほんたうのたべもの」
空気読めない家族が主役凍る朝
冴ゆる朝品なき目つき箸遣い
他人は無視己貫く寒夜かな
寒き夜や背骨のただれ搔きむしる
褥瘡(じょくそう)へ軟膏塗布冬の月
■こころの時代 宮沢賢治(3)「ほんたうのたべもの」としての童話
これらのわたくしのおはなしは
みんな林や野はらや鉄道路線やらで、
虹や月あかりからもらってきたのです。
わたくしは、これらの ちひさなものがたりの幾きれかが、
おしまひ、あなたのすきとほつた ほんたうのたべものに
なることを、どんなにねがふかわかりません。
注文の多い料理店
中学生の私が、花巻駅に迎いに出たとき、まず兄の元気な顔に安心し、
それからそのトランクの大きなことに驚いた。
その年の正月に兄は、念仏とお題目のことについて、
父と激しく話し合った後で、いきなり東京へ逃げたのだ。
童話もうんと書いたと言う。
一ヵ月に三千枚も書いたときには原稿用紙から字が飛びだして、
そこらあたりを飛び回ったもんだと話したこともある程だから、
七カ月もそんなことをしている中には、原稿も随分増えたに相違ない。
「童子(わらし)こさえる代りに書いたものだもや」などと言いながら
兄はそれはみんなに読んでくれたのだった。
蜘蛛やなめくじ、狸やねずみ、山男や風の又三郎の話は、
私共を喜ばせたし、何という不思議なことばかりする兄だと思ったのだ。
宮沢清六「兄のトランク」
わたしたちは、氷砂糖をほしいくらゐもたないでも、きれいにすきとほつた
風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。
またわたくしは、はたけや森の中で、ひどいぼろぼろのきものが、
いちばんすばらしいびろうどや羅紗(らしゃ)や宝石いりのきものに、
かはつてゐるのをたびたび見ました。
わたくしは、さういふきれいなたべものやきものをすきです。
これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、
虹や月あかりからもらってきたのです。
ほんたうに、かしわばやしの青い夕方を、ひとりで通りかかつたり、
十一月の山の風のなかに、ふるへながら立つたりしますと、
もうどうしてもこんな気がしてしかたないのです。
ほんたうにもう、どうしてもこんなことがあるやうで、
しかたないといふことを、わたくしはそのとほり書いたまでです。
ですから、これらのなかには、あなたのためになるところもあるでせうし、
ただそれつきりのところもあるでせうが、
わたくしには、そのみわけが良くつきません。
なんのことだか、わけのわからないところも、あるでせうが、
そんなところは、わたくしにもまた、わけがわからないのです。
けれども、わたくしは、これらのちひさなものがたりの幾きれかが、
おしまひ、あなたのすきとほつたほんたうのたべものになることを、
どんなにねがふかわかりません。
大正十二年十二月二十日 宮沢賢治
注文の多い料理店 序文
どんぐりと山猫
おかしなはがきが、ある土曜日の夕がた、一郎のうちにきました。
かねた一郎さま 九月十九日
あなたは、ごきげんよろしいほで、けっこです。
あした、めんどなさいばんしますから、おいで
んなさい。とびどぐもたないでくなさい。
山ねこ 拝
こんなのです。字はまるでへたで、墨すみもがさがさして指につくくらいでした。
けれども一郎はうれしくてうれしくてたまりませんでした。
はがきをそっと学校のかばんにしまって、うちじゅうとんだりはねたりしました。
一郎は、足もとでパチパチ塩のはぜるような、音をききました。
びっくりして屈かがんで見ますと、草のなかに、あっちにもこっちにも、
黄金(きんいろ)の円いものが、ぴかぴかひかっているのでした。
よくみると、みんなそれは赤いずぼんをはいたどんぐりで、もうその数ときたら、
三百でも利(き)かないようでした。わあわあわあわあ、みんななにか云いっているのです。
「裁判ももう今日で三日目だぞ、いい加減になかなおりをしたらどうだ。」
山ねこが、すこし心配そうに、それでもむりに威張(いば)って言いますと、
どんぐりどもは口々に叫びました。
「いえいえ、だめです、なんといったって頭のとがってるのがいちばんえらいんです。
そしてわたしがいちばんとがってゐます。」
「いゝえ、ちがいます。まるいのがえらいのです。いちばんまるいのはわたしです。」
「大きなことだよ。大きなのがいちばんえらいんだよ。
わたしがいちばん大きいからわたしがえらいんだよ。」
「さうでないよ。わたしのはうがよほど大きいと、
きのふも判事さんがおっしゃったぢゃないか。」
「だめだい、そんなこと。せいの高いのだよ。せいの高いことなんだよ。」
「押おしっこのえらいひとだよ。押しっこをしてきめるんだよ。」
もうみんな、がやがやがやがや言って、なにがなんだか、
まるで蜂はちの巣すをつっついたようで、わけがわからなくなりました。
そこでやまねこが叫びました。
「やかましい。ここをなんとこころえる。しずまれ、しずまれ。」
どんぐりはみんなしずまりました。山猫が一郎にそっと申しました。
「このとほりです。どうしたらいゝでせう。」
一郎はわらってこたへました。
「そんなら、こう言いわたしたらいいでしょう。このなかでいちばんばかで、
めちゃくちゃで、まるでなっていないようなのが、
いちばんえらいとね。ぼくお説教できいたんです。」
山猫(やまねこ)はなるほどというふうにうなずいて、それからいかにも気取って、
繻子(しゅす)のきものの胸(えり)を開いて、
黄いろの陣羽織をちょっと出してどんぐりどもに申しわたしました。
「よろしい。しずかにしろ。申しわたしだ。このなかで、いちばんえらくなくて、
ばかで、めちゃくちゃで、てんでなってゐなくて、
あたまのつぶれたようなやつが、いちばんえらいのだ。」
どんぐりは、しいんとしてしまいました。
それはそれはしいんとして、堅かたまってしまひました。
https://xn--aozora-963eygh54akdx158d8ztc.gr.jp/cards/000081/files/43752_17657.html
「願文」最澄767-822
「愚中(ぐちゅう)の極愚(ごくぐ)、狂中(おうちゅう)の極狂(ごくおう)、
塵禿(じんとく)の有情(うじょう)、底下(ていげ)の最澄」
妙法蓮華経「薬草喩品」
迦葉。譬 如三千大千世界。山川谿谷土地。所生卉木 叢林。及諸薬草。種類若干。名色各異。
密雲弥 布。遍覆三千大千世界。一時等注。
其澤普洽。 卉木叢林。及諸薬草。
小根小莖。小枝小葉。中 根中莖。中枝中葉。大根大莖。大枝大葉。
諸樹 大小。随上中下。各有所受。
一雲所雨。稱 其種性。而得生長。華菓敷實。雖一地所生。 一雨所潤。而諸草木。各有差別。
仏亦如是 出現於世 譬如大雲 普覆一切
恒為一切 平等説法 如為一人 衆多亦然
サッダルマ 正法 妙法
差別(しゃべつ) 我観一切普皆平等
「よだかの星」
顔は、ところどころ、味噌をつけたやうにまだらで、
くちばしは、ひらたくて、耳までさけてゐます。
足は、まるでよぼよぼで、一間とも歩けません。
ほかの鳥は、もう、よだかの顔を見ただけでも、
いやになってしまふといふ工合(ぐあい)でした。
「まああのざまをごらん。ほんたうに、鳥の仲間のつらよごしだよ。」
「ね、まあ、あの口の大きいことさ。きっと、かへるの親類か何かなんだよ。」
こんな調子です。
よだかは、じっと目をつぶって考へました。
(一たい僕は、なぜかうみんなにいやがられるのだらう。
僕の顔は、味噌をつけたやうで、口は裂けてるからなあ。
それだって、僕は今まで、なんにも悪いことをしたことがない。
赤ん坊のめじろが巣から落ちてゐたときは、助けて巣へ連れて行ってやった。
そしたらめじろは、赤ん坊をまるでぬす人からでもとりかへすやうに
僕からひきはなしたんだなあ。
それからひどく僕を笑ったっけ。)
よだかは口を大きくひらいて、はねをまっすぐに張って、まるで矢のやうに
そらをよこぎりました。小さな羽虫が幾匹も幾匹もその咽喉にはひりました。
また一匹の甲虫が、夜だかののどに、はひりました。
そしてまるでよだかの咽喉をひっかいてばたばたしました。
よだかはそれを無理にのみこんでしまひましたが、その時、
急に胸がどきっとして、夜だかは大声を上げて泣き出しました。
泣きながらぐるぐるぐるぐる空をめぐったのです。
(あゝ、かぶとむしや、たくさんの羽虫が、毎晩僕に殺される。
そしてその他ゞ一つの僕が今度は鷹に殺される。
それがこんなにつらいのだ。あゝ、つらい、つらい。
僕はもう虫を食べないで餓ゑて死なう。
いやその前にもう鷹が僕を殺すだらう。
いや、その前に僕は遠くの遠くの空の向ふに行ってしまはう。)
よだかはもうすっかり力を落としてしまって、はねを閉ぢて、地に落ちて行きました。
そしてもう一尺で地面にその弱い足がつくといふとき、
よだかは俄かにのろしのやうにそらへとびあがりました。
それからキシキシキシキシキシッと高く高く叫びました。
夜だかは、どこまでも、どこまでも、まっすぐに空へのぼって行きました。
寒さや霜がまるで剣のやうによだかを刺しました。
よだかははねがすっかりしびれてしまひました。
そしてなみだぐんだ目をあげてもう一ぺんそらを見ました。
さうです。これがよだかの最後でした。
もうよだかは落ちてゐるのか、のぼっていゐるのか、さかさまになってゐるのか、
上を向いてゐるのかも、わかりませんでした。
たゞこゝろもちはやすらかに、その血のついた大きなくちばしは、
横にまがってはゐましたが、たしかに少しわらって居りました。
それからしばらくたって よだかははっきりまなこをひらきました。
そして自分のからだがいま 燐(りん)の火のやうな青い美しい光になって、
しづかに燃えてゐるのを見ました。
そしてよだかの星は燃えつづけました。いつまでもいつまでも燃えつづけました。
今でもまだ燃えてゐます。
諸法 すべての事物・現象
諸法実相
般若 真理を見通す智慧
賢治は童話や詩を子供たちに読んできかせるのが好きであった。
私がまだ小学校に入らないころにも、兄は自分で絵をかきながら、
昔ばなしなどを聞かせてくれたものだ。
私は兄から童話「蜘蛛となめくぢと狸」と「双子の星」を
読んで聞かせられたことをその口調まではっきりおぼえている。
処女作の童話を、まっさきに私ども家族に読んできかせた得意さは
察するに余りあるもので、赤黒く日焼けした顔を輝かし、
目をきらきらさせながら、これからの人生にどんな素晴らしいことが
待っているかを予期していたような当時の兄が見えるようである。
宮沢清六「兄のトランク」
冴ゆる朝品なき目つき箸遣い
他人は無視己貫く寒夜かな
寒き夜や背骨のただれ搔きむしる
褥瘡(じょくそう)へ軟膏塗布冬の月
■こころの時代 宮沢賢治(3)「ほんたうのたべもの」としての童話
これらのわたくしのおはなしは
みんな林や野はらや鉄道路線やらで、
虹や月あかりからもらってきたのです。
わたくしは、これらの ちひさなものがたりの幾きれかが、
おしまひ、あなたのすきとほつた ほんたうのたべものに
なることを、どんなにねがふかわかりません。
注文の多い料理店
中学生の私が、花巻駅に迎いに出たとき、まず兄の元気な顔に安心し、
それからそのトランクの大きなことに驚いた。
その年の正月に兄は、念仏とお題目のことについて、
父と激しく話し合った後で、いきなり東京へ逃げたのだ。
童話もうんと書いたと言う。
一ヵ月に三千枚も書いたときには原稿用紙から字が飛びだして、
そこらあたりを飛び回ったもんだと話したこともある程だから、
七カ月もそんなことをしている中には、原稿も随分増えたに相違ない。
「童子(わらし)こさえる代りに書いたものだもや」などと言いながら
兄はそれはみんなに読んでくれたのだった。
蜘蛛やなめくじ、狸やねずみ、山男や風の又三郎の話は、
私共を喜ばせたし、何という不思議なことばかりする兄だと思ったのだ。
宮沢清六「兄のトランク」
わたしたちは、氷砂糖をほしいくらゐもたないでも、きれいにすきとほつた
風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。
またわたくしは、はたけや森の中で、ひどいぼろぼろのきものが、
いちばんすばらしいびろうどや羅紗(らしゃ)や宝石いりのきものに、
かはつてゐるのをたびたび見ました。
わたくしは、さういふきれいなたべものやきものをすきです。
これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、
虹や月あかりからもらってきたのです。
ほんたうに、かしわばやしの青い夕方を、ひとりで通りかかつたり、
十一月の山の風のなかに、ふるへながら立つたりしますと、
もうどうしてもこんな気がしてしかたないのです。
ほんたうにもう、どうしてもこんなことがあるやうで、
しかたないといふことを、わたくしはそのとほり書いたまでです。
ですから、これらのなかには、あなたのためになるところもあるでせうし、
ただそれつきりのところもあるでせうが、
わたくしには、そのみわけが良くつきません。
なんのことだか、わけのわからないところも、あるでせうが、
そんなところは、わたくしにもまた、わけがわからないのです。
けれども、わたくしは、これらのちひさなものがたりの幾きれかが、
おしまひ、あなたのすきとほつたほんたうのたべものになることを、
どんなにねがふかわかりません。
大正十二年十二月二十日 宮沢賢治
注文の多い料理店 序文
どんぐりと山猫
おかしなはがきが、ある土曜日の夕がた、一郎のうちにきました。
かねた一郎さま 九月十九日
あなたは、ごきげんよろしいほで、けっこです。
あした、めんどなさいばんしますから、おいで
んなさい。とびどぐもたないでくなさい。
山ねこ 拝
こんなのです。字はまるでへたで、墨すみもがさがさして指につくくらいでした。
けれども一郎はうれしくてうれしくてたまりませんでした。
はがきをそっと学校のかばんにしまって、うちじゅうとんだりはねたりしました。
一郎は、足もとでパチパチ塩のはぜるような、音をききました。
びっくりして屈かがんで見ますと、草のなかに、あっちにもこっちにも、
黄金(きんいろ)の円いものが、ぴかぴかひかっているのでした。
よくみると、みんなそれは赤いずぼんをはいたどんぐりで、もうその数ときたら、
三百でも利(き)かないようでした。わあわあわあわあ、みんななにか云いっているのです。
「裁判ももう今日で三日目だぞ、いい加減になかなおりをしたらどうだ。」
山ねこが、すこし心配そうに、それでもむりに威張(いば)って言いますと、
どんぐりどもは口々に叫びました。
「いえいえ、だめです、なんといったって頭のとがってるのがいちばんえらいんです。
そしてわたしがいちばんとがってゐます。」
「いゝえ、ちがいます。まるいのがえらいのです。いちばんまるいのはわたしです。」
「大きなことだよ。大きなのがいちばんえらいんだよ。
わたしがいちばん大きいからわたしがえらいんだよ。」
「さうでないよ。わたしのはうがよほど大きいと、
きのふも判事さんがおっしゃったぢゃないか。」
「だめだい、そんなこと。せいの高いのだよ。せいの高いことなんだよ。」
「押おしっこのえらいひとだよ。押しっこをしてきめるんだよ。」
もうみんな、がやがやがやがや言って、なにがなんだか、
まるで蜂はちの巣すをつっついたようで、わけがわからなくなりました。
そこでやまねこが叫びました。
「やかましい。ここをなんとこころえる。しずまれ、しずまれ。」
どんぐりはみんなしずまりました。山猫が一郎にそっと申しました。
「このとほりです。どうしたらいゝでせう。」
一郎はわらってこたへました。
「そんなら、こう言いわたしたらいいでしょう。このなかでいちばんばかで、
めちゃくちゃで、まるでなっていないようなのが、
いちばんえらいとね。ぼくお説教できいたんです。」
山猫(やまねこ)はなるほどというふうにうなずいて、それからいかにも気取って、
繻子(しゅす)のきものの胸(えり)を開いて、
黄いろの陣羽織をちょっと出してどんぐりどもに申しわたしました。
「よろしい。しずかにしろ。申しわたしだ。このなかで、いちばんえらくなくて、
ばかで、めちゃくちゃで、てんでなってゐなくて、
あたまのつぶれたようなやつが、いちばんえらいのだ。」
どんぐりは、しいんとしてしまいました。
それはそれはしいんとして、堅かたまってしまひました。
https://xn--aozora-963eygh54akdx158d8ztc.gr.jp/cards/000081/files/43752_17657.html
「願文」最澄767-822
「愚中(ぐちゅう)の極愚(ごくぐ)、狂中(おうちゅう)の極狂(ごくおう)、
塵禿(じんとく)の有情(うじょう)、底下(ていげ)の最澄」
妙法蓮華経「薬草喩品」
迦葉。譬 如三千大千世界。山川谿谷土地。所生卉木 叢林。及諸薬草。種類若干。名色各異。
密雲弥 布。遍覆三千大千世界。一時等注。
其澤普洽。 卉木叢林。及諸薬草。
小根小莖。小枝小葉。中 根中莖。中枝中葉。大根大莖。大枝大葉。
諸樹 大小。随上中下。各有所受。
一雲所雨。稱 其種性。而得生長。華菓敷實。雖一地所生。 一雨所潤。而諸草木。各有差別。
仏亦如是 出現於世 譬如大雲 普覆一切
恒為一切 平等説法 如為一人 衆多亦然
サッダルマ 正法 妙法
差別(しゃべつ) 我観一切普皆平等
「よだかの星」
顔は、ところどころ、味噌をつけたやうにまだらで、
くちばしは、ひらたくて、耳までさけてゐます。
足は、まるでよぼよぼで、一間とも歩けません。
ほかの鳥は、もう、よだかの顔を見ただけでも、
いやになってしまふといふ工合(ぐあい)でした。
「まああのざまをごらん。ほんたうに、鳥の仲間のつらよごしだよ。」
「ね、まあ、あの口の大きいことさ。きっと、かへるの親類か何かなんだよ。」
こんな調子です。
よだかは、じっと目をつぶって考へました。
(一たい僕は、なぜかうみんなにいやがられるのだらう。
僕の顔は、味噌をつけたやうで、口は裂けてるからなあ。
それだって、僕は今まで、なんにも悪いことをしたことがない。
赤ん坊のめじろが巣から落ちてゐたときは、助けて巣へ連れて行ってやった。
そしたらめじろは、赤ん坊をまるでぬす人からでもとりかへすやうに
僕からひきはなしたんだなあ。
それからひどく僕を笑ったっけ。)
よだかは口を大きくひらいて、はねをまっすぐに張って、まるで矢のやうに
そらをよこぎりました。小さな羽虫が幾匹も幾匹もその咽喉にはひりました。
また一匹の甲虫が、夜だかののどに、はひりました。
そしてまるでよだかの咽喉をひっかいてばたばたしました。
よだかはそれを無理にのみこんでしまひましたが、その時、
急に胸がどきっとして、夜だかは大声を上げて泣き出しました。
泣きながらぐるぐるぐるぐる空をめぐったのです。
(あゝ、かぶとむしや、たくさんの羽虫が、毎晩僕に殺される。
そしてその他ゞ一つの僕が今度は鷹に殺される。
それがこんなにつらいのだ。あゝ、つらい、つらい。
僕はもう虫を食べないで餓ゑて死なう。
いやその前にもう鷹が僕を殺すだらう。
いや、その前に僕は遠くの遠くの空の向ふに行ってしまはう。)
よだかはもうすっかり力を落としてしまって、はねを閉ぢて、地に落ちて行きました。
そしてもう一尺で地面にその弱い足がつくといふとき、
よだかは俄かにのろしのやうにそらへとびあがりました。
それからキシキシキシキシキシッと高く高く叫びました。
夜だかは、どこまでも、どこまでも、まっすぐに空へのぼって行きました。
寒さや霜がまるで剣のやうによだかを刺しました。
よだかははねがすっかりしびれてしまひました。
そしてなみだぐんだ目をあげてもう一ぺんそらを見ました。
さうです。これがよだかの最後でした。
もうよだかは落ちてゐるのか、のぼっていゐるのか、さかさまになってゐるのか、
上を向いてゐるのかも、わかりませんでした。
たゞこゝろもちはやすらかに、その血のついた大きなくちばしは、
横にまがってはゐましたが、たしかに少しわらって居りました。
それからしばらくたって よだかははっきりまなこをひらきました。
そして自分のからだがいま 燐(りん)の火のやうな青い美しい光になって、
しづかに燃えてゐるのを見ました。
そしてよだかの星は燃えつづけました。いつまでもいつまでも燃えつづけました。
今でもまだ燃えてゐます。
諸法 すべての事物・現象
諸法実相
般若 真理を見通す智慧
賢治は童話や詩を子供たちに読んできかせるのが好きであった。
私がまだ小学校に入らないころにも、兄は自分で絵をかきながら、
昔ばなしなどを聞かせてくれたものだ。
私は兄から童話「蜘蛛となめくぢと狸」と「双子の星」を
読んで聞かせられたことをその口調まではっきりおぼえている。
処女作の童話を、まっさきに私ども家族に読んできかせた得意さは
察するに余りあるもので、赤黒く日焼けした顔を輝かし、
目をきらきらさせながら、これからの人生にどんな素晴らしいことが
待っているかを予期していたような当時の兄が見えるようである。
宮沢清六「兄のトランク」
2024年12月22日日曜日
谷川俊太郎年の絵本&藤城清治の影絵
冬の景我が子甚振(いたぶ)りしばくとは
葬儀でのギャルの振る舞い室の花
北颪(きたおろし)子育てできぬコギャルをり
熱々の釜揚げうどんアルデンテ
伸びきった釜揚げうどん後2本
■ぼくは しんだ じぶんで しんだ 谷川俊太郎と死の絵本
90歳になった詩人谷川俊太郎が新たな絵本を出した。
テーマは「子供の自死」。
リモートで行われた絵本作りの2年間、
絵を描く合田里美に谷川は何度も描き直しを求めた。
意図は何?合田は必死に探る中で、谷川の死への思索、
そして子供たちへのメッセージを見つけていく。
主人公の自死を読者が「わかったつもり」になることを詩人は拒否していた…。
合田の作画をアニメ化し、特異な絵本の誕生を追体験する。
ぼく
ぼくはしんだ
じぶんでしんだ
ひとりでしんだ
こわくなかった
いたくなかった
おかあさんごめんなさい
ジョイさよなら(ジョイは愛犬の名)
あおぞらきれいだった
ともだちすきだった
でもしんだ
おにぎりおいしかった
むぎちゃつめたかった
でもしんだ
ぼくはしんだ
いちばんになりたかった
かねもちになりたかった
でもしんだ
ぼくはしんだ
おとうさんえらくなっても
おかあさんをきらいにならないで
ぼくはしんだ
ひとりでしんだ
うちゅうはおおきすぎる
じかんはおわらない
なにもわからず
ぼくはしんだ
なにもほしくなくなって
なぜかここにいたくなくなって
ぼくはしんだ
じぶんでしんだ
(2020年1月6日版)
万有引力とは
ひき合う孤独の力である
宇宙はひずんでいる
それ故みんなはもとめ合う
宇宙はどんどん膨らんでゆく
それ故みんなは不安である
二十億光年の孤独に
僕は思わずくしゃみをした
(二十億光年の孤独 より)
意味よりも大事なものは 何か存在するってこと
意味付けないで じっと見つめる
意味を見つけたら満足しちゃう
そうじゃないものを作りたいとは思っています
■新美の巨人たち【100歳現役!藤城清治の影絵】
やがて傘が出来上がり
外に干していると
突然強い風がサァと
吹いてきて
傘を空に
舞い上げてしまいました
彦兵衛があわてて
傘の柄につかまった
とたん
風は彦兵衛をも
クルクルと空高く
巻き上げてしまいました
そして高い空の
明るい雲の上に
フワッとつきました
あたりを見回すと
雷様が太鼓を背負って
ふしぎぞうに
彦兵衛を見ていました
「雨を降らせた傘屋さん」より
地球を愛し
自然を愛し
生きる喜びを訴えているぼくが
ただ自重し
傍観して いいのだろうかと
思うようになった
「藤城清治美術館 那須高原」より
近くを流れる熊川に
サケが遡上しているのを
はじめて見て感動する
見渡す限りススキが原だ
ススキは風になびき
ひまわりは咲いていた
地球も人も
あらゆる命はきっと
この災害をのりこえ
生きつづけ
新しい未来を
つくってゆくことだろう
「魔法の森に燃える再生の炎 藤城清治作(2013)」
人間が住めないんだって言ってる所に
サケが子どもを産みに こう来てるんだ
人間だって こう何かもっと
頑張るぞって いけるんじゃないかなと思ったし
悪いイメージばっかりじゃなくて
火が燃えてるってことはね やっぱり
非常に自然の中では大事なことだと込めた
戦争なら戦争 負けたら負けた
苦しい時ちゅうか 何か困った時でも
光りがあって太陽があって月があって人間が生きていればね
何でもどんなことでも出来るっていう
花が咲き猫がいる犬がいる色んなね
昆虫がいる 鳥が飛んでる そういうのを見たら
ふっと 何か面白いとか 楽しいとかね
自然の中で一番苦しくなった時に
一番何か面白いことが思いつくちゅうかね
葬儀でのギャルの振る舞い室の花
北颪(きたおろし)子育てできぬコギャルをり
熱々の釜揚げうどんアルデンテ
伸びきった釜揚げうどん後2本
■ぼくは しんだ じぶんで しんだ 谷川俊太郎と死の絵本
90歳になった詩人谷川俊太郎が新たな絵本を出した。
テーマは「子供の自死」。
リモートで行われた絵本作りの2年間、
絵を描く合田里美に谷川は何度も描き直しを求めた。
意図は何?合田は必死に探る中で、谷川の死への思索、
そして子供たちへのメッセージを見つけていく。
主人公の自死を読者が「わかったつもり」になることを詩人は拒否していた…。
合田の作画をアニメ化し、特異な絵本の誕生を追体験する。
ぼく
ぼくはしんだ
じぶんでしんだ
ひとりでしんだ
こわくなかった
いたくなかった
おかあさんごめんなさい
ジョイさよなら(ジョイは愛犬の名)
あおぞらきれいだった
ともだちすきだった
でもしんだ
おにぎりおいしかった
むぎちゃつめたかった
でもしんだ
ぼくはしんだ
いちばんになりたかった
かねもちになりたかった
でもしんだ
ぼくはしんだ
おとうさんえらくなっても
おかあさんをきらいにならないで
ぼくはしんだ
ひとりでしんだ
うちゅうはおおきすぎる
じかんはおわらない
なにもわからず
ぼくはしんだ
なにもほしくなくなって
なぜかここにいたくなくなって
ぼくはしんだ
じぶんでしんだ
(2020年1月6日版)
万有引力とは
ひき合う孤独の力である
宇宙はひずんでいる
それ故みんなはもとめ合う
宇宙はどんどん膨らんでゆく
それ故みんなは不安である
二十億光年の孤独に
僕は思わずくしゃみをした
(二十億光年の孤独 より)
意味よりも大事なものは 何か存在するってこと
意味付けないで じっと見つめる
意味を見つけたら満足しちゃう
そうじゃないものを作りたいとは思っています
■新美の巨人たち【100歳現役!藤城清治の影絵】
やがて傘が出来上がり
外に干していると
突然強い風がサァと
吹いてきて
傘を空に
舞い上げてしまいました
彦兵衛があわてて
傘の柄につかまった
とたん
風は彦兵衛をも
クルクルと空高く
巻き上げてしまいました
そして高い空の
明るい雲の上に
フワッとつきました
あたりを見回すと
雷様が太鼓を背負って
ふしぎぞうに
彦兵衛を見ていました
「雨を降らせた傘屋さん」より
地球を愛し
自然を愛し
生きる喜びを訴えているぼくが
ただ自重し
傍観して いいのだろうかと
思うようになった
「藤城清治美術館 那須高原」より
近くを流れる熊川に
サケが遡上しているのを
はじめて見て感動する
見渡す限りススキが原だ
ススキは風になびき
ひまわりは咲いていた
地球も人も
あらゆる命はきっと
この災害をのりこえ
生きつづけ
新しい未来を
つくってゆくことだろう
「魔法の森に燃える再生の炎 藤城清治作(2013)」
人間が住めないんだって言ってる所に
サケが子どもを産みに こう来てるんだ
人間だって こう何かもっと
頑張るぞって いけるんじゃないかなと思ったし
悪いイメージばっかりじゃなくて
火が燃えてるってことはね やっぱり
非常に自然の中では大事なことだと込めた
戦争なら戦争 負けたら負けた
苦しい時ちゅうか 何か困った時でも
光りがあって太陽があって月があって人間が生きていればね
何でもどんなことでも出来るっていう
花が咲き猫がいる犬がいる色んなね
昆虫がいる 鳥が飛んでる そういうのを見たら
ふっと 何か面白いとか 楽しいとかね
自然の中で一番苦しくなった時に
一番何か面白いことが思いつくちゅうかね
2024年12月21日土曜日
久夫氏お見舞い&あの人に会いたい「渡辺和子」
寒茜生きることへの強き意思
冬の月中興の祖となりにけり
隙間風手間暇かけて生きてます
鐘氷る真直(まなお)に夢二見た女
しづり雪品なきしぐさ言の葉よ
■久夫氏のお見舞い
久夫氏が17日真夜中緊急搬送
18日午後一番に心臓バイパス手術
19日お見舞いへ
久夫氏の笑顔にほっとする。
面会中リハビリの医師より容態の説明を受ける。
その後義兄のリハビリを一緒に体験。
踵上げ体操⇨スクワット⇨柔軟体操⇨Walk(フロアーをかなりのスピードで1Km闊歩)。
こんな有意義なお見舞いは初めてだった。
楽しかった!
次回は紀満子義姉をお連れしなくては…。
■あの人に会いたい
ノートルダム清心学園 前理事長 渡辺和子 1927―2016
シスター渡辺和子さん。
9才の頃、二・二六事件で陸軍総監だった父親を、
青年将校たちによって自身の目の前で殺された。
29才で修道女として生きることを決心。
2012年に出版された『置かれた場所で咲きなさい』では、
“思い通りにはいかない人生でも幸せになれる教え”が、
やさしい言葉で綴(つづ)られている。
人並みならぬ数々の苦難を乗り越えてきた渡辺さんの壮絶な人生を、
哲学に富んだその言葉とともに振り返る。
「置かれた場所で咲きなさい」渡辺和子著
ノートルダム清心学園理事長/幻冬舎刊
何もできなくていい。ただ笑顔でいよう。
たんぽぽの花はばらの花になれない
けれどばらの花もたんぽぽになれない
自分はたんぽぽとしてたんぽぽらしく
一生懸命に咲けばいいんじゃないか
父親は陸軍教育総監 渡辺錠太郎氏
昭和11年ニ・二六事件 2月26日早朝 陸軍の少年将校たちが
渡辺さんの自宅を襲撃 父親が殺害される一部始終を目の前で目撃
「お父様が射殺された現場に渡辺さんいらっしゃったそうですね」
「私いつも父と母の真ん中に川の字になって寝ておりましたから
ちょうど父が外でひどい音がしたのでもう覚悟をしていたのか
起き上がりまして (父は)拳銃をふすまから取り出して 私には
和子はお母さまの所へ行きなさいと そのときには弾が寝間を通っていて
私も弾をかいくぐって 父のそばに戻りましたらば とっても
困った顔をいたしまして 立てかけたテーブルの陰に入るようにと
(父が)合図をいたしまして 私もその場の雰囲気から
陰に入りました途端に 父の真正面のふすまが開き 軽機関銃が据えられて
結局 逃がさないためでしょうか 足を狙い撃ちしまして そのうちに
青年将校や兵隊さんが6~7人 寝間に入っておいでになって
私が物陰から見ていた目の前で 父を突いたり切ったり
最後のとどめを刺して…。
18歳の時カトリックの洗礼を受けます。
父の非常にむごたらしい死を この目で見たので
自分自身が新しい人になりたい(という思いで)洗礼を受けますと言った
ノートルダム修道会 29歳の時でした
人に尽くすことを知っていきました
(昭和38年)36歳でノートルダム清心女子大学の学長になりますが
自分は何をすべきか この時点では試行錯誤が続いていました
道徳の時間では何を教えたらよいのか迷っていました。
そんな時、尊敬する神父から一編の詩が渡辺さんに気づきを与えてくれました。
「髪が植えたところで咲きなさい」
咲くということは諦めることではなく
周りの人たちを幸せにすること
境遇は得られない しかし生き方は変えることができる
幸せを感じられるかどうかは 自分次第…。
本当に目からうろこが落ちた
幸せは自分の心が決めるという言葉があるが
今までは幸せにしてもらうはずだとか
こんなに苦労して分かってくれるはずだとか
それをすっかり変えましてね
発想を転換するとうか そうしたら 学校が明るくなりました
この詩との出会いは これまでの蟠りを拭い去るきっかけともなりました。
それは二・二六事件から50年後のことでした。
昭和61年事件から50年目の法要に父親を殺めた青年将校たちの出席を決意します。
思い切って出かけた将校らのお墓参りで心の変化が…。
安らかにお休みくださいと心の中でつぶやいて 立って
こんなところに長くいる必要もないと思って
とんとんと二段下りてきたら そこで 2人の男の方が涙流して待っていらして
僕は高橋少尉の弟です 僕は安田少尉の弟です
ああ あの時に父のとどめを刺しに来た二人の(青年将校の弟)
本当は僕たちが先に閣下のお墓をお参りするはずなのに
和子さんが先に 兄たちの墓に参ってくださり 本当に申し訳ございません
ところで閣下はどこにお墓をお持ちですかと おっしゃったんですね 二人で
すらすらすらと(お墓の場所を)書き留めてありがとうございましたって
以来 安田さんは毎年欠かさず渡辺錠太郎さんのお墓参りに訪れている
敵さえも愛することができたら 人間にとっては素晴らしいことだと思います
無条件に相手を受け入れることは なまやさしいことではない
けれども その人をじっと見つめて
ああ この人は幸せになる権利を持っている
ようやくこの時に苦しい時にどうすべきか
この難しい問いへの答えをようやく見つけることができました
「人生には穴が開くことがある しかし 人を恨んだり
なぜなぜと聞くのでなくて 穴が開くまで見えなかったものを
その穴から見てやろうと そして 見えるんだと そういうほうへ
自分を切り替えていきたい」
冬の月中興の祖となりにけり
隙間風手間暇かけて生きてます
鐘氷る真直(まなお)に夢二見た女
しづり雪品なきしぐさ言の葉よ
■久夫氏のお見舞い
久夫氏が17日真夜中緊急搬送
18日午後一番に心臓バイパス手術
19日お見舞いへ
久夫氏の笑顔にほっとする。
面会中リハビリの医師より容態の説明を受ける。
その後義兄のリハビリを一緒に体験。
踵上げ体操⇨スクワット⇨柔軟体操⇨Walk(フロアーをかなりのスピードで1Km闊歩)。
こんな有意義なお見舞いは初めてだった。
楽しかった!
次回は紀満子義姉をお連れしなくては…。
■あの人に会いたい
ノートルダム清心学園 前理事長 渡辺和子 1927―2016
シスター渡辺和子さん。
9才の頃、二・二六事件で陸軍総監だった父親を、
青年将校たちによって自身の目の前で殺された。
29才で修道女として生きることを決心。
2012年に出版された『置かれた場所で咲きなさい』では、
“思い通りにはいかない人生でも幸せになれる教え”が、
やさしい言葉で綴(つづ)られている。
人並みならぬ数々の苦難を乗り越えてきた渡辺さんの壮絶な人生を、
哲学に富んだその言葉とともに振り返る。
「置かれた場所で咲きなさい」渡辺和子著
ノートルダム清心学園理事長/幻冬舎刊
何もできなくていい。ただ笑顔でいよう。
たんぽぽの花はばらの花になれない
けれどばらの花もたんぽぽになれない
自分はたんぽぽとしてたんぽぽらしく
一生懸命に咲けばいいんじゃないか
父親は陸軍教育総監 渡辺錠太郎氏
昭和11年ニ・二六事件 2月26日早朝 陸軍の少年将校たちが
渡辺さんの自宅を襲撃 父親が殺害される一部始終を目の前で目撃
「お父様が射殺された現場に渡辺さんいらっしゃったそうですね」
「私いつも父と母の真ん中に川の字になって寝ておりましたから
ちょうど父が外でひどい音がしたのでもう覚悟をしていたのか
起き上がりまして (父は)拳銃をふすまから取り出して 私には
和子はお母さまの所へ行きなさいと そのときには弾が寝間を通っていて
私も弾をかいくぐって 父のそばに戻りましたらば とっても
困った顔をいたしまして 立てかけたテーブルの陰に入るようにと
(父が)合図をいたしまして 私もその場の雰囲気から
陰に入りました途端に 父の真正面のふすまが開き 軽機関銃が据えられて
結局 逃がさないためでしょうか 足を狙い撃ちしまして そのうちに
青年将校や兵隊さんが6~7人 寝間に入っておいでになって
私が物陰から見ていた目の前で 父を突いたり切ったり
最後のとどめを刺して…。
18歳の時カトリックの洗礼を受けます。
父の非常にむごたらしい死を この目で見たので
自分自身が新しい人になりたい(という思いで)洗礼を受けますと言った
ノートルダム修道会 29歳の時でした
人に尽くすことを知っていきました
(昭和38年)36歳でノートルダム清心女子大学の学長になりますが
自分は何をすべきか この時点では試行錯誤が続いていました
道徳の時間では何を教えたらよいのか迷っていました。
そんな時、尊敬する神父から一編の詩が渡辺さんに気づきを与えてくれました。
「髪が植えたところで咲きなさい」
咲くということは諦めることではなく
周りの人たちを幸せにすること
境遇は得られない しかし生き方は変えることができる
幸せを感じられるかどうかは 自分次第…。
本当に目からうろこが落ちた
幸せは自分の心が決めるという言葉があるが
今までは幸せにしてもらうはずだとか
こんなに苦労して分かってくれるはずだとか
それをすっかり変えましてね
発想を転換するとうか そうしたら 学校が明るくなりました
この詩との出会いは これまでの蟠りを拭い去るきっかけともなりました。
それは二・二六事件から50年後のことでした。
昭和61年事件から50年目の法要に父親を殺めた青年将校たちの出席を決意します。
思い切って出かけた将校らのお墓参りで心の変化が…。
安らかにお休みくださいと心の中でつぶやいて 立って
こんなところに長くいる必要もないと思って
とんとんと二段下りてきたら そこで 2人の男の方が涙流して待っていらして
僕は高橋少尉の弟です 僕は安田少尉の弟です
ああ あの時に父のとどめを刺しに来た二人の(青年将校の弟)
本当は僕たちが先に閣下のお墓をお参りするはずなのに
和子さんが先に 兄たちの墓に参ってくださり 本当に申し訳ございません
ところで閣下はどこにお墓をお持ちですかと おっしゃったんですね 二人で
すらすらすらと(お墓の場所を)書き留めてありがとうございましたって
以来 安田さんは毎年欠かさず渡辺錠太郎さんのお墓参りに訪れている
敵さえも愛することができたら 人間にとっては素晴らしいことだと思います
無条件に相手を受け入れることは なまやさしいことではない
けれども その人をじっと見つめて
ああ この人は幸せになる権利を持っている
ようやくこの時に苦しい時にどうすべきか
この難しい問いへの答えをようやく見つけることができました
「人生には穴が開くことがある しかし 人を恨んだり
なぜなぜと聞くのでなくて 穴が開くまで見えなかったものを
その穴から見てやろうと そして 見えるんだと そういうほうへ
自分を切り替えていきたい」
2024年12月20日金曜日
あの本、読みました?~海が舞台の名作~凪良ゆう&伊与原新
生まれ持つ美的感覚日向ぼこ
冬苺悠然とした存在感
手足荒る買うたび量の減りゆかん
尾竹竹坡(ちくは)梅描き終えて筆を置く
人知れず春待ち続け(尾竹)竹坡(ちくは)逝く
■あの本、読みました?
~海が舞台の名作~凪良ゆう&「宙わたる教室」伊与原新の新作
鈴木保奈美 角谷暁子
汝、星のごとく 凪良ゆう/講談社 河北壮平
八日目の蝉 角田光代/中公文庫
望郷 湊かなえ/文春文庫 石井一成
村上海賊の娘 和田竜/新潮社 田中範央
宙わたる教室 伊与原新/文藝春秋
最新作 藍を繋ぐ海 伊与原新/新潮社
共通点 瀬戸内の海 今回のテーマは名著に海あり~瀬戸内編~
理系作家 伊与原信が描く海の小説とは?
黒潮は大きな物語のテーマ 注目し着想した
『人生は「気分」が10割最高の一日が一生続く106の習慣』の一文
キム・ダスル著/岡崎暢子訳/ダイヤモンド社
心がぐらついたときに無視すべき3つのこと
(中略)
1他人のうわさや悪口
(中略)
2他人からの嫉妬
(中略)
3自分の弱さを否定すること
(中略)
メンタルが揺らいでも、崩れないで。
揺らいだって、その度に立て直せばいい。
気分は何度でも整えることができる。
林祐輔P 河北壮平
「汝、星のごとく」の一文 凪良ゆう/講談社
「海がこんなに静かやって、この島きて初めて知ったわ」
ふいに櫂が言った。
「瀬戸内は穏やかなんだよ」
「波の音もせん」
「夕方は特に凪ぐから」
(中略)
太陽はもう水平線近くまで落下していた。
海が静かに姿を変えてゆく。
猛々しいほど煌めいていた海面は暗く沈み、まったりとしたうねりを
見せはじめ、その下にとんでもない深さがあることをわたしたちに気づかせる。
「引きずり込まれそうや」
「怖いね」
「おまえは見慣れとるやろ」
「見てても慣れないよ。海はわからんって、お祖父ちゃんがよく言ってた。
知ってるつもりで油断したら持っていかれるって。
(中略)
この島で生まれ育ったからこそ、海が怖いものだと知っている。
日によって、季節によって荒れ狂う。世界に平穏はない。
人生に嵐は避けられないと教えるように。
瀬戸内の海は自分たちを閉じ込める檻?
「ライオンのおやつ」小川糸著/ポプラ文庫
瀬戸内の海を舞台にした理由
主人公・雫にとって瀬戸内の海は?自分の小ささを意識できるもの
「ライオンのおやつ」の一文 小川糸著/ポプラ文庫
こちらにいらっしゃる折には、ぜひ舟に乗ることをおすすめします。
今はもう、陸路でも来られるようになりましたが、船からの眺めは格別です。
穏やかな瀬戸内の風景を、どうぞ心ゆくまで味わってください。
村上海賊の娘 和田竜/新潮文庫 田中範央(新潮社)
日本に海賊は実存した?
小説より脚本を先に書き上げた
村上海賊の娘(四) 和田竜著/新潮文庫
潮は明石の瀬戸から難波海に流れ込み、友ヶ島水道へと抜けていく。
すなわち北から進軍してきた村上海賊に順潮で、真鍋海賊にとっては逆潮だった。
海上はまだ穏やかに見えるが、海中はそうではない。
うねりにうねって安宅の舳先を押し戻しているはずだった。
村上元吉とやらは、潮目を読んだ上で行軍経路も決めていたのだろう。
潮流をまともに受けている。
(中略)
安宅は関船二艘に押し返されていく。討ち抜きは完全に封じられていた。
海の戦いだからこそ女性でも活躍できた
田中範央氏から鈴木保奈美さんへお薦めの本
星夜航行 飯島和一著/新潮文庫
徳川家を追われた沢瀬甚五郎の話 刊行まで九年の歳月を費やした
伊与原新 登場 最新作「藍を継ぐ海」瀬戸内の海が舞台の小説
(宙わたる教室 伊与原新/文藝春秋 ドラマになる)
徳島の田舎町で祖父と暮らす中学2年生の沙月(さつき)
姉が家を飛び出した寂しさもありウミガメの卵を孵化させようとしていた
彼女の思いはやがて思わぬ出会いを生み出す
寂れた集落と黒潮に乗って太平洋を回遊するウミガメとの対比が鮮やかな小説
伊与原信氏は元々地磁気を研究していた
地磁気とは地球が持つ磁性 地球により生じる磁場のこと
黒潮を描いた理由は? 黒潮なのになぜ「藍」?
黒潮は透明度が高く太陽の光が水中であまり反射しない
光りが行ったきり戻ってこないので黒く見える
「ウミガメ」と「姉妹」の関係性
「藍を繋ぐ海」の一文 伊与原新/新潮社
この子ガメは、紗月ちゃんー。佐和の言葉が耳の奥でいつまでも響いて、
紗月は小さく震えた。震えているのは、九歳の自分だ。
姉に置いていかれて、誰もいない浜に一人立ちつくし、
涙をためた瞳を揺らしている。
それを今初めて、十三歳の自分が抱きしめる。
あのとき誰かにそうして欲しかったように。
沙月はやっとわかった気がした。
なぜあのとき、子ガメを持ち帰ったのか。そしてなぜ今また、
卵を盗んでまでそれを孵そうとしているのか。
姫ケ浦のウミガメを保護したいわけではない。
数を増やしたいわけではない。ただ、自分の子ガメをこの手で海に
放ちたいだけなのだ。そしてその子ガメは、沙月の代わりに姫ケ浦を出ていく。
黒潮にのって、果てしなく広い海へ。想像もつかないような、遠い世界へ。
沙月にとって「瀬戸内の海」はどういう存在?
ネイティブアメリカンの祖先は日本人?
「藍を繋ぐ海」の一文 伊与原新/新潮社
遠い遠い昔、ハイダ・グワイの北にある島に、
遠い遠い海から人々が流れ着いた。人々のリーダーは、姉妹でした。
お姉さんのグループは島に残って、トリンギット族になった。
妹のグループはハイダ・グワイにやってきた。それがハイダ族の祖先です」
(中略)
「母は言いました」ティムが続ける。
「その姉妹たち、日本から来たに違いない」
(中略)
「ハイダ・グワイのビーチ、ほんとにたくさん、日本のもの流れ着くからです。
私のビーチコーミングのコレクション、日本のものばかり。
漢字の看板、漁の道具、片仮名のボトル」「へえ、ほうなんやね」佐和が言った。
「森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて」星野道夫著/文春文庫
アラスカに伝わる神話を追い求めた紀行文
専門的な知識はどう調べる?
伊与原信さんが鈴木保奈美さんにお薦めの本
「海に降る」朱野帰子著/幻冬舎文庫
女性として初めて〈しんかい6500〉のパイロットを目指すストーリー
ジャムステックの全面協力のもとに記されている
https://www.jamstec.go.jp/j/
冬苺悠然とした存在感
手足荒る買うたび量の減りゆかん
尾竹竹坡(ちくは)梅描き終えて筆を置く
人知れず春待ち続け(尾竹)竹坡(ちくは)逝く
■あの本、読みました?
~海が舞台の名作~凪良ゆう&「宙わたる教室」伊与原新の新作
鈴木保奈美 角谷暁子
汝、星のごとく 凪良ゆう/講談社 河北壮平
八日目の蝉 角田光代/中公文庫
望郷 湊かなえ/文春文庫 石井一成
村上海賊の娘 和田竜/新潮社 田中範央
宙わたる教室 伊与原新/文藝春秋
最新作 藍を繋ぐ海 伊与原新/新潮社
共通点 瀬戸内の海 今回のテーマは名著に海あり~瀬戸内編~
理系作家 伊与原信が描く海の小説とは?
黒潮は大きな物語のテーマ 注目し着想した
『人生は「気分」が10割最高の一日が一生続く106の習慣』の一文
キム・ダスル著/岡崎暢子訳/ダイヤモンド社
心がぐらついたときに無視すべき3つのこと
(中略)
1他人のうわさや悪口
(中略)
2他人からの嫉妬
(中略)
3自分の弱さを否定すること
(中略)
メンタルが揺らいでも、崩れないで。
揺らいだって、その度に立て直せばいい。
気分は何度でも整えることができる。
林祐輔P 河北壮平
「汝、星のごとく」の一文 凪良ゆう/講談社
「海がこんなに静かやって、この島きて初めて知ったわ」
ふいに櫂が言った。
「瀬戸内は穏やかなんだよ」
「波の音もせん」
「夕方は特に凪ぐから」
(中略)
太陽はもう水平線近くまで落下していた。
海が静かに姿を変えてゆく。
猛々しいほど煌めいていた海面は暗く沈み、まったりとしたうねりを
見せはじめ、その下にとんでもない深さがあることをわたしたちに気づかせる。
「引きずり込まれそうや」
「怖いね」
「おまえは見慣れとるやろ」
「見てても慣れないよ。海はわからんって、お祖父ちゃんがよく言ってた。
知ってるつもりで油断したら持っていかれるって。
(中略)
この島で生まれ育ったからこそ、海が怖いものだと知っている。
日によって、季節によって荒れ狂う。世界に平穏はない。
人生に嵐は避けられないと教えるように。
瀬戸内の海は自分たちを閉じ込める檻?
「ライオンのおやつ」小川糸著/ポプラ文庫
瀬戸内の海を舞台にした理由
主人公・雫にとって瀬戸内の海は?自分の小ささを意識できるもの
「ライオンのおやつ」の一文 小川糸著/ポプラ文庫
こちらにいらっしゃる折には、ぜひ舟に乗ることをおすすめします。
今はもう、陸路でも来られるようになりましたが、船からの眺めは格別です。
穏やかな瀬戸内の風景を、どうぞ心ゆくまで味わってください。
村上海賊の娘 和田竜/新潮文庫 田中範央(新潮社)
日本に海賊は実存した?
小説より脚本を先に書き上げた
村上海賊の娘(四) 和田竜著/新潮文庫
潮は明石の瀬戸から難波海に流れ込み、友ヶ島水道へと抜けていく。
すなわち北から進軍してきた村上海賊に順潮で、真鍋海賊にとっては逆潮だった。
海上はまだ穏やかに見えるが、海中はそうではない。
うねりにうねって安宅の舳先を押し戻しているはずだった。
村上元吉とやらは、潮目を読んだ上で行軍経路も決めていたのだろう。
潮流をまともに受けている。
(中略)
安宅は関船二艘に押し返されていく。討ち抜きは完全に封じられていた。
海の戦いだからこそ女性でも活躍できた
田中範央氏から鈴木保奈美さんへお薦めの本
星夜航行 飯島和一著/新潮文庫
徳川家を追われた沢瀬甚五郎の話 刊行まで九年の歳月を費やした
伊与原新 登場 最新作「藍を継ぐ海」瀬戸内の海が舞台の小説
(宙わたる教室 伊与原新/文藝春秋 ドラマになる)
徳島の田舎町で祖父と暮らす中学2年生の沙月(さつき)
姉が家を飛び出した寂しさもありウミガメの卵を孵化させようとしていた
彼女の思いはやがて思わぬ出会いを生み出す
寂れた集落と黒潮に乗って太平洋を回遊するウミガメとの対比が鮮やかな小説
伊与原信氏は元々地磁気を研究していた
地磁気とは地球が持つ磁性 地球により生じる磁場のこと
黒潮を描いた理由は? 黒潮なのになぜ「藍」?
黒潮は透明度が高く太陽の光が水中であまり反射しない
光りが行ったきり戻ってこないので黒く見える
「ウミガメ」と「姉妹」の関係性
「藍を繋ぐ海」の一文 伊与原新/新潮社
この子ガメは、紗月ちゃんー。佐和の言葉が耳の奥でいつまでも響いて、
紗月は小さく震えた。震えているのは、九歳の自分だ。
姉に置いていかれて、誰もいない浜に一人立ちつくし、
涙をためた瞳を揺らしている。
それを今初めて、十三歳の自分が抱きしめる。
あのとき誰かにそうして欲しかったように。
沙月はやっとわかった気がした。
なぜあのとき、子ガメを持ち帰ったのか。そしてなぜ今また、
卵を盗んでまでそれを孵そうとしているのか。
姫ケ浦のウミガメを保護したいわけではない。
数を増やしたいわけではない。ただ、自分の子ガメをこの手で海に
放ちたいだけなのだ。そしてその子ガメは、沙月の代わりに姫ケ浦を出ていく。
黒潮にのって、果てしなく広い海へ。想像もつかないような、遠い世界へ。
沙月にとって「瀬戸内の海」はどういう存在?
ネイティブアメリカンの祖先は日本人?
「藍を繋ぐ海」の一文 伊与原新/新潮社
遠い遠い昔、ハイダ・グワイの北にある島に、
遠い遠い海から人々が流れ着いた。人々のリーダーは、姉妹でした。
お姉さんのグループは島に残って、トリンギット族になった。
妹のグループはハイダ・グワイにやってきた。それがハイダ族の祖先です」
(中略)
「母は言いました」ティムが続ける。
「その姉妹たち、日本から来たに違いない」
(中略)
「ハイダ・グワイのビーチ、ほんとにたくさん、日本のもの流れ着くからです。
私のビーチコーミングのコレクション、日本のものばかり。
漢字の看板、漁の道具、片仮名のボトル」「へえ、ほうなんやね」佐和が言った。
「森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて」星野道夫著/文春文庫
アラスカに伝わる神話を追い求めた紀行文
専門的な知識はどう調べる?
伊与原信さんが鈴木保奈美さんにお薦めの本
「海に降る」朱野帰子著/幻冬舎文庫
女性として初めて〈しんかい6500〉のパイロットを目指すストーリー
ジャムステックの全面協力のもとに記されている
https://www.jamstec.go.jp/j/
2024年12月19日木曜日
天草四郎&「防寒帽」&告訴&「キモー」
燃えたぎる情熱を生く冬日
三畳の質素な棲み家だいこ干す
枯木立革新的な墨遣い
冬の空コントラストとグラデーション
悲しめとは言いませんが露凍る
■偉人・敗北からの教訓 第70回「天草四郎・神の子として挑んだ島原の乱」
天草四郎 敗北の伏線
キリスト教弾圧・重税・飢餓が重なる
民衆の求めた神の子を演じさせられた
天草四郎 敗北の瞬間
四郎を信じてくれた一揆勢は全滅
来世の救済を望むしかなかった
天草四郎の敗北から学ぶ教訓
他力本願はダメ
■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「防寒帽」
読んで字のごとく防寒帽 寒さを防ぐための帽子なわけです
雪国では比較的ポピュラーな季語でもあるようです
ただの「冬帽子」という季語とは違って
寒さを防ぐことに特化しているわけです
極寒の土地では毛皮製のこの「防寒帽」のことを
特別に「毛帽子」という言い方をしたり
女性が真綿をのばして肩につく位まで作った
「綿帽子」という言い方があったり
そして更に雪国で上半身にまでかぶる
「雪帽子」なるものがあったりします
かつて現代ではもう見られなくなったかもしれませんが
藁で編んでかぶる「藁帽子」なんていう傍題もあるようです
僕生まれてこの方ずっと南国愛媛におりますもので
この雪国の土地で生まれた地方の季語
一度体感してみたいものです
■漢字ふむふむ 告訴するだけだよ
告訴の意味 日本語は訴える 中国は告げる、教える
告訴という漢字は平安時代 中国から伝わって来た
「続日本紀」提案時代初期に編纂
この時は告訴=告げる、申しあげる という意味だった
その後忘れ去られていた 明治時代突然復活した
「和英語林集青第3版」1886年
治罪法という今の刑事訴訟法とかの元になる法律ですが
これができた時に「告訴」が入っている
近代法典の整備 そこでフランスから「日本近代法の父」と呼ばれる
法学者 ボアソナード を招いた
Plainte(犯罪に遭った被害者が訴えを起こすという意味)
日本語に当てはまる言葉がなかったため「告訴」が選ばれた
被害者の権利や権限が第三者と区別して
特に意識されるようになったことは重要
告訴という言葉を採用したことは新たな時代の幕開けと言える
■ワルイコあつまれ(110)
松尾葉翔 辻内京子 石原良純
稚児俳句 キモー
キモーのポイント
「気持ち悪い」という感情だけにならないようにする
シチュエーションを設定するのが難しい
水槽の海鼠(なまこ)キモーと突きけり 辻内京子
切字「けり」句の最後に使い完了や断定の意味合いを与える
切字を使うことで軽い言葉「キモー」を俳句になじませた
海鼠:冬の季語
クリスマスわたし誘うのえっ、キモー 石原良純
松尾葉流 「時・所・人」をはっきりさせる
気持ちは直接的に言わず情景で描写する
えっは言葉の無駄遣いになっている
添削 メール見てキモー聖夜を誘われて
具体的な「メール」と詠むことで情景を想像しやすくした
意味の切れ目が五・七・五をまたぐように詠み違和感を出した
かさかさキモー!冬繰り返す割れ血の口 松尾葉翔
俳句グルーブ できるだけ言葉を詰め込んで字の数が多い
字余りでリズムを乱すことで困っている様子を表現
「割れ血の口」情報を詰め込んでいるのに意味不明
添削 空風や唇(くち)に血の味してキモー
空風:冬の季語 冬の強く乾いた風
良純さんおひさしぶりだね元気だった? 松尾葉翔
三畳の質素な棲み家だいこ干す
枯木立革新的な墨遣い
冬の空コントラストとグラデーション
悲しめとは言いませんが露凍る
■偉人・敗北からの教訓 第70回「天草四郎・神の子として挑んだ島原の乱」
天草四郎 敗北の伏線
キリスト教弾圧・重税・飢餓が重なる
民衆の求めた神の子を演じさせられた
天草四郎 敗北の瞬間
四郎を信じてくれた一揆勢は全滅
来世の救済を望むしかなかった
天草四郎の敗北から学ぶ教訓
他力本願はダメ
■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「防寒帽」
読んで字のごとく防寒帽 寒さを防ぐための帽子なわけです
雪国では比較的ポピュラーな季語でもあるようです
ただの「冬帽子」という季語とは違って
寒さを防ぐことに特化しているわけです
極寒の土地では毛皮製のこの「防寒帽」のことを
特別に「毛帽子」という言い方をしたり
女性が真綿をのばして肩につく位まで作った
「綿帽子」という言い方があったり
そして更に雪国で上半身にまでかぶる
「雪帽子」なるものがあったりします
かつて現代ではもう見られなくなったかもしれませんが
藁で編んでかぶる「藁帽子」なんていう傍題もあるようです
僕生まれてこの方ずっと南国愛媛におりますもので
この雪国の土地で生まれた地方の季語
一度体感してみたいものです
■漢字ふむふむ 告訴するだけだよ
告訴の意味 日本語は訴える 中国は告げる、教える
告訴という漢字は平安時代 中国から伝わって来た
「続日本紀」提案時代初期に編纂
この時は告訴=告げる、申しあげる という意味だった
その後忘れ去られていた 明治時代突然復活した
「和英語林集青第3版」1886年
治罪法という今の刑事訴訟法とかの元になる法律ですが
これができた時に「告訴」が入っている
近代法典の整備 そこでフランスから「日本近代法の父」と呼ばれる
法学者 ボアソナード を招いた
Plainte(犯罪に遭った被害者が訴えを起こすという意味)
日本語に当てはまる言葉がなかったため「告訴」が選ばれた
被害者の権利や権限が第三者と区別して
特に意識されるようになったことは重要
告訴という言葉を採用したことは新たな時代の幕開けと言える
■ワルイコあつまれ(110)
松尾葉翔 辻内京子 石原良純
稚児俳句 キモー
キモーのポイント
「気持ち悪い」という感情だけにならないようにする
シチュエーションを設定するのが難しい
水槽の海鼠(なまこ)キモーと突きけり 辻内京子
切字「けり」句の最後に使い完了や断定の意味合いを与える
切字を使うことで軽い言葉「キモー」を俳句になじませた
海鼠:冬の季語
クリスマスわたし誘うのえっ、キモー 石原良純
松尾葉流 「時・所・人」をはっきりさせる
気持ちは直接的に言わず情景で描写する
えっは言葉の無駄遣いになっている
添削 メール見てキモー聖夜を誘われて
具体的な「メール」と詠むことで情景を想像しやすくした
意味の切れ目が五・七・五をまたぐように詠み違和感を出した
かさかさキモー!冬繰り返す割れ血の口 松尾葉翔
俳句グルーブ できるだけ言葉を詰め込んで字の数が多い
字余りでリズムを乱すことで困っている様子を表現
「割れ血の口」情報を詰め込んでいるのに意味不明
添削 空風や唇(くち)に血の味してキモー
空風:冬の季語 冬の強く乾いた風
良純さんおひさしぶりだね元気だった? 松尾葉翔
2024年12月18日水曜日
2024年上がった株下がった株総決算!カズレーザーと学ぶ。
ほとばしる命の火炎寒暮かな
濃密な色彩を置く冬銀河
反骨と挫折の余生からっ風
貂(てん)走る気付かれぬよう木から木へ
暮早し自分の価値は自分で決める
■カズレーザーと学ぶ。より
2024年上がった株下がった株総決算!
テスタ 大槻奈那 渡部清二
1、 トランプ新時代で勝ち組になる方法
上院下院過半数以上のTripleレッドなので
トランプの政策が実現しやすい状態となった
影響は日本企業の株価にも…。
マツダ急落 スズキ上昇 生産拠点の違い
アメリカファーストの関税(輸入品にかけられる税金)政策
企業の株価も変動
メキシコの全自動車に100~200%の関税
マツダはメキシコに工場を作っている
スズキはアジア・中東などへ輸出している
上がっているメキシコ関連企業 東洋水産
東洋水産は1974年4月ロサンゼルスに工場建設(トヨタより早い)
メキシコでマルちゃんが強く ブラジルは日清が強い
ポルトガルは明星が強い
大槻奈那 上がった関税は価格に転嫁される ドルが上がって円が下がる
ドル高円安になる 輸出産業にはプラス
渡部清二 円高ドル安を見ている 為替は政治で決まる
その方向づけのために金融政策される 円安ドル高のスタートは
2021年1月バイデン大統領就任 コロナが起きて財政が拡大された
トランプは国内産業を強化 ドル安政策を打つのでは?
トランプ曰く今の円安は大参事だ!と言っている 円高ドル安に向かうと思う
カズレーザー アメリカ国民=自分を指示している人 ドル安を取るのでは?
カワセの一日の取引量は6兆ドル 政治家や国が決める規模ではない
トランプ勝利で上がった株 東レ 中国製品への関税率爆増
中国の輸入品に関税10%追加する メキシコ・カナダは25%
中国⇨アメリカ 医療などの繊維製品
アメリカの関税が増えたら東南アジアや日本に輸出
中国はインフレ経済が回り始めたけど再びデフレに戻るかも
中国からアメリカへの輸出はパソコン・スマホ・小口貨物
SHEINとかTemuとか
韓国や日本が送り先になる可能性大
移民・麻薬の問題 政策をとって欲しい
関税・政治交渉の材料にしようとしている
イーロン・マスクと規制緩和
金融緩和 自動運転 宇宙開発
政府効率化委員会を立ち上げた
約100億円をトランプ陣営に献金 役職に起用された
3000億ドル持っている 約45兆円 フィンランドのGDP約3000億ドル
政府の無駄を見直し事業仕分け 2兆ドル削減(約300兆円)をうたっている
アメリカの年間予算6兆ドル(約900兆円)なので3分の1を削減しようとしている
民営化 政府の役割をカットするかもしれない
トヨタの探査用ローバー
ソフトバンク トランプはAI開発を重視
2024年11月ソフトバンクがエヌビディアと協業を発表
政策には逆らわず乗っかる 強い力が働くことが多い テスタ
トランプ減税
法人税21%⇨15% 所得税39.6%⇨37%
トランプは税金を失くして手取りを増やそうとしている
手取りが増えると景気が良くなる 金利が上がっていく
ビットコイン トランプは重視している
財務長官にビットコイン支持のスコット・ベッセントを起用する
トランプ氏の息子 ドナルド・トランプ・ジュニアと
ビットコインを推進しようとしている
アメリカ政府は犯罪で押収したビットコインを保有している
20万ビットコイン 約3兆円 戦略的準備金と言っている
貯蔵して使うつもり 史上最高値を記録して1ビットコイン98000ドル
日本円に直すと1516万円 約15年前は30万円だった
この1年で150%以上高騰した ビットコインだけが凄い
2009年1ビットコイン 0.00076ドルが
2024年1ビットコイン9万8000ドルに…。1000万倍以上になった。
ビットコインの問題点 通貨=決済の手段 投資の目的ではない
ジャパニーズウイスキー 55年の熟成ウイスキー100本限定
300万円で出した。転売価格8000万円
本来ウイスキーは飲んで楽しむもの 違う形で値段がついた
ビットコインは持っておけば価格が上がる
というまさに投機で持っているのでは?
通貨として使用は非常に少ない
エルサルバドルが通貨に使っている 誰も使っていない
最近は価値がなくなりづらくなっているのではないか…❓
ビットコインにはデメリット 使うときに膨大な電力を使う
ハッキングとかトラブルが付きものなのでリスクは高い
ビットコインは節税対象として有利
ビットコイン約50%税金 株式約20%税金
ビットコインの値段⇧⇨会社の資産増
株買っておけば儲かる マイクロストラテジー今年上がった銘柄の1つ
ビットコイン約380億ドル 時価総額約939億ドル
明らかにバブル リスクはめっちゃある
2、2024年上がった株下がった株
市場に出回っているお金約1600兆円
防災シャッターの会社 三和ホールディングス 年始より株価は倍
オリエンタルランド 年始より猛暑で急落 将来的には有望
年初より上昇率5倍 電線、海底ケーブル、光ファイバーを作る会社 フジクラ
(フジクラ:光ファイバーの接続に不可欠な融着機トップシェア)
訪日外国人観光客過去最高!インバウンドに沸く日本
ネオ・インバウンドに注目
中国人富裕層が日本へ移住
アリババ創業者ジャック・マー 元JD.com最高責任者リチャード・リウは
日本に長期滞在
タワマン価格は12年前より約2倍
資産100万ドル(1憶5000万円)以上中国人富裕層がタワマン爆買い移住
ダスキンは急伸している
来年のトピックス
103万円の壁 178万円になったら…。
食に行く プチ贅沢が起こる
従業員の年収がUPすると株価も上昇している
3、テスタと行くぶらりお宝株探し
荷物を配送付きロッカーに預けると手ぶらで観光できる
ロッカーの製造会社 配送業者の株をチェック
はやりそうなものの周辺を考える
知らない企業の広告は今伸びている可能性があるのでチェック
クラウド型労務管理サービス AI関連
クレジットカード決済 QR乗車券 の導入が進んでいる
インバウンド客が切符を買わずに済む 関西では500以上の駅で導入
クレカ犯罪の増加によるスキミング防止対策の企業
仮想通過 2018年仮想通過の会社が
ハッキング攻撃に合い580億円が盗まれた
セキュリティの「クシム」の株が爆揚がりした
セルフレジ 生体認証対応レジができた
指をかざしたら終わり 指の静脈なので指紋ではない コピーも取れない
生体認証サービス「SAKULaLa」さらに進んだら目になると思う
目の虹彩認証システム NEC株価上昇
この先10年で市場規模約5倍
コインランドリー いまだに増え続けている 20年前より2倍に
屋内ゴルフ練習場を併設 カフェとかセルフホワイトニングとか洗車場とか…。
他にはネイルサロンとかエステとか業種を超えたフュージョンビジネスに注目
余る売れていない⇨株価下がる材料
濃密な色彩を置く冬銀河
反骨と挫折の余生からっ風
貂(てん)走る気付かれぬよう木から木へ
暮早し自分の価値は自分で決める
■カズレーザーと学ぶ。より
2024年上がった株下がった株総決算!
テスタ 大槻奈那 渡部清二
1、 トランプ新時代で勝ち組になる方法
上院下院過半数以上のTripleレッドなので
トランプの政策が実現しやすい状態となった
影響は日本企業の株価にも…。
マツダ急落 スズキ上昇 生産拠点の違い
アメリカファーストの関税(輸入品にかけられる税金)政策
企業の株価も変動
メキシコの全自動車に100~200%の関税
マツダはメキシコに工場を作っている
スズキはアジア・中東などへ輸出している
上がっているメキシコ関連企業 東洋水産
東洋水産は1974年4月ロサンゼルスに工場建設(トヨタより早い)
メキシコでマルちゃんが強く ブラジルは日清が強い
ポルトガルは明星が強い
大槻奈那 上がった関税は価格に転嫁される ドルが上がって円が下がる
ドル高円安になる 輸出産業にはプラス
渡部清二 円高ドル安を見ている 為替は政治で決まる
その方向づけのために金融政策される 円安ドル高のスタートは
2021年1月バイデン大統領就任 コロナが起きて財政が拡大された
トランプは国内産業を強化 ドル安政策を打つのでは?
トランプ曰く今の円安は大参事だ!と言っている 円高ドル安に向かうと思う
カズレーザー アメリカ国民=自分を指示している人 ドル安を取るのでは?
カワセの一日の取引量は6兆ドル 政治家や国が決める規模ではない
トランプ勝利で上がった株 東レ 中国製品への関税率爆増
中国の輸入品に関税10%追加する メキシコ・カナダは25%
中国⇨アメリカ 医療などの繊維製品
アメリカの関税が増えたら東南アジアや日本に輸出
中国はインフレ経済が回り始めたけど再びデフレに戻るかも
中国からアメリカへの輸出はパソコン・スマホ・小口貨物
SHEINとかTemuとか
韓国や日本が送り先になる可能性大
移民・麻薬の問題 政策をとって欲しい
関税・政治交渉の材料にしようとしている
イーロン・マスクと規制緩和
金融緩和 自動運転 宇宙開発
政府効率化委員会を立ち上げた
約100億円をトランプ陣営に献金 役職に起用された
3000億ドル持っている 約45兆円 フィンランドのGDP約3000億ドル
政府の無駄を見直し事業仕分け 2兆ドル削減(約300兆円)をうたっている
アメリカの年間予算6兆ドル(約900兆円)なので3分の1を削減しようとしている
民営化 政府の役割をカットするかもしれない
トヨタの探査用ローバー
ソフトバンク トランプはAI開発を重視
2024年11月ソフトバンクがエヌビディアと協業を発表
政策には逆らわず乗っかる 強い力が働くことが多い テスタ
トランプ減税
法人税21%⇨15% 所得税39.6%⇨37%
トランプは税金を失くして手取りを増やそうとしている
手取りが増えると景気が良くなる 金利が上がっていく
ビットコイン トランプは重視している
財務長官にビットコイン支持のスコット・ベッセントを起用する
トランプ氏の息子 ドナルド・トランプ・ジュニアと
ビットコインを推進しようとしている
アメリカ政府は犯罪で押収したビットコインを保有している
20万ビットコイン 約3兆円 戦略的準備金と言っている
貯蔵して使うつもり 史上最高値を記録して1ビットコイン98000ドル
日本円に直すと1516万円 約15年前は30万円だった
この1年で150%以上高騰した ビットコインだけが凄い
2009年1ビットコイン 0.00076ドルが
2024年1ビットコイン9万8000ドルに…。1000万倍以上になった。
ビットコインの問題点 通貨=決済の手段 投資の目的ではない
ジャパニーズウイスキー 55年の熟成ウイスキー100本限定
300万円で出した。転売価格8000万円
本来ウイスキーは飲んで楽しむもの 違う形で値段がついた
ビットコインは持っておけば価格が上がる
というまさに投機で持っているのでは?
通貨として使用は非常に少ない
エルサルバドルが通貨に使っている 誰も使っていない
最近は価値がなくなりづらくなっているのではないか…❓
ビットコインにはデメリット 使うときに膨大な電力を使う
ハッキングとかトラブルが付きものなのでリスクは高い
ビットコインは節税対象として有利
ビットコイン約50%税金 株式約20%税金
ビットコインの値段⇧⇨会社の資産増
株買っておけば儲かる マイクロストラテジー今年上がった銘柄の1つ
ビットコイン約380億ドル 時価総額約939億ドル
明らかにバブル リスクはめっちゃある
2、2024年上がった株下がった株
市場に出回っているお金約1600兆円
防災シャッターの会社 三和ホールディングス 年始より株価は倍
オリエンタルランド 年始より猛暑で急落 将来的には有望
年初より上昇率5倍 電線、海底ケーブル、光ファイバーを作る会社 フジクラ
(フジクラ:光ファイバーの接続に不可欠な融着機トップシェア)
訪日外国人観光客過去最高!インバウンドに沸く日本
ネオ・インバウンドに注目
中国人富裕層が日本へ移住
アリババ創業者ジャック・マー 元JD.com最高責任者リチャード・リウは
日本に長期滞在
タワマン価格は12年前より約2倍
資産100万ドル(1憶5000万円)以上中国人富裕層がタワマン爆買い移住
ダスキンは急伸している
来年のトピックス
103万円の壁 178万円になったら…。
食に行く プチ贅沢が起こる
従業員の年収がUPすると株価も上昇している
3、テスタと行くぶらりお宝株探し
荷物を配送付きロッカーに預けると手ぶらで観光できる
ロッカーの製造会社 配送業者の株をチェック
はやりそうなものの周辺を考える
知らない企業の広告は今伸びている可能性があるのでチェック
クラウド型労務管理サービス AI関連
クレジットカード決済 QR乗車券 の導入が進んでいる
インバウンド客が切符を買わずに済む 関西では500以上の駅で導入
クレカ犯罪の増加によるスキミング防止対策の企業
仮想通過 2018年仮想通過の会社が
ハッキング攻撃に合い580億円が盗まれた
セキュリティの「クシム」の株が爆揚がりした
セルフレジ 生体認証対応レジができた
指をかざしたら終わり 指の静脈なので指紋ではない コピーも取れない
生体認証サービス「SAKULaLa」さらに進んだら目になると思う
目の虹彩認証システム NEC株価上昇
この先10年で市場規模約5倍
コインランドリー いまだに増え続けている 20年前より2倍に
屋内ゴルフ練習場を併設 カフェとかセルフホワイトニングとか洗車場とか…。
他にはネイルサロンとかエステとか業種を超えたフュージョンビジネスに注目
余る売れていない⇨株価下がる材料
2024年12月17日火曜日
100分de名著 有吉佐和子(2)「恍惚の人」①
寒き朝髭蓄えて庭掃除
姿消す黒き車よ冬の雨
冬陽射し開店前をひと眠り
冬日向オープン前のパーキング
眩しけりまどろみ抱き冬の駅
■100分de名著 有吉佐和子スペシャル(2)「老い」を直視できない人々「恍惚の人」①
ソコロワ山下聖美 伊集院光 阿部みちこ
「恍惚の人」(昭和47年刊行)
認知症の老人とその家族の物語 200万部を越えるベストセラー
1970年に日本の65歳以上の人口が7%を超える
現在は30%ですから現代にも続く問題が記されている
戦後の経済繁栄の裏側に潜む真実を小説によって見せた
最新家電や流行食品の描写がリアル
高齢化社会・認知症という大きなテーマの中に身近なモチーフを散りばめる
ストーリーテラーとしての力量が融合した作品
立花昭子 夫と息子と暮らす働く女性 離れには夫の両親が住んでいる
むこうから背の高い老人が、まっ直ぐにこちらを向いて歩いてくるのが見えた。
どういうわけか血相が変わっている。
ネクタイをしめ革靴をはいているが、外套はきていない。傘も持っていない。
「寒くないんですか、お爺ちゃん、雪が降っているのに」
「いや、寒くありません」
「どこへいらっしゃるところだったのですか?」
「会社の帰りですかな」
「え?ええ、私はお勤めの帰りですけど、お爺ちゃんは?」
「ああ、雪ですねえ」
質問には答えずに、舅の茂造は夢を見るような眼つきで空をふり仰ぎ、
いつの間にか昭子と一緒に、来た方角へ戻り始めていた。
「婆さんが起きてくれないもんだから私は腹が空いてかなわんのです」
彼はじっと死んだ妻を見詰めていたのだったが、やがて首を曲げて
息子の方を顧みると、言った。
「婆さんは、いつまで寝てる気ですかなあ」
信利は驚いて父親の顔を真正面から見た。
茂造の言葉の調子に、信利を誰と思っているのか曖昧な、
まるで他人相手に喋っているようなものを感じたからである。
茂造の眼を見詰めた。それは黄色く濁っていて、瞬かなかった。
輝きもなかった。信利の顔を見返しながら、
焦点は遥か彼方にあるような遠い眼をしていた。
それは恍惚として夢を見ているようにも思われた。
混乱の日々の始まり
舅茂造は嫁昭子に完全におんぶにだっこ状態
息子敏(さとし)「犬だって猫だって飼い主はすぐ覚えるし忘れないんだから
自分に一番必要な相手だけは本能的に知っているんじゃないかな
茂造が庭に面した硝子戸に蜘蛛のようにはりついて震えているのが見えた。
「ああ、昭子さん、小便です。ションベンがでそうなんですよ。」
「それなら、お便所はここですよ」
昭子が反対側にある便所の戸を開けて電気をつけると、
茂造は前を広げながら入ったが、また悲鳴を上げた。
「昭子さん、出ませんよ。ここでは小便がでないです」
「昭子さん、苦しいですよ。漏れそうですよ。ああ、ああ、ああっ」
「お爺ちゃん、庭でしてしまいなさい」「ここで、ですか」
「ええ」昭子が肯(うなず)いたのと、びしゃっと音がして、
庭土の上に白煙が立ったのが同時だった。
ふらふらしている茂造を、背後から抱えるようにして支え、
音を聞きながら昭子は大変なことになったと思った。
これから毎晩こういうことが繰返されるのだろうか。
音が止まっても、茂造がそのままの姿勢でいるので「お爺ちゃん」
声をかけると、茂造は昭子の存在にようやく気がついたらしく、
「ああ昭子さん、月が綺麗ですよ」と言った。
見上げると冬の夜空に皎々(こうこう)と皎(しろ)い月が輝いていた。
冴えた月影はほとんど満月に近い。
昭子は茫然として、しばらく声もなく、
舅と共に庭に佇み、月を見上げていた。
緊張が弛緩(しかん) 悲劇と喜劇を行き来する人間を描いている
悲しみの中にも笑いあり
テリー・ギリアム(1940~)イギリスの映画監督
コメディグループ「モンティ・パイソン」のメンバー
昭子だけにのしかかる昭和の介護
家庭のことは妻が担うのが当たり前の時代
不満を抱えつつ昭子自身も介護は自分の役目と認識
隣の母屋で昭子がキンキンと大声で怒鳴っているのが聞こえる
電話をあちこちにかけているのだろう。
「ママはずっとああかい?」
「うん、ずっと、ああだ。布団出して、お医者呼んで、
お婆ちゃん着替えさせて、その間ずっと、僕に怒鳴ってしようがないのにさ」
「呼んで来いよ」
「呼ばなくても来るよ。来るなり起こるぜ、何もしないって言って」
家事は他人事な昭和の男たち
何もしない男性たちはかばう意見が多かった
男性たちの描き方も当時の感覚としては大変リアル
普通に生きる女性たちの心の叫びが
鮮度抜群の状態でパッケージングされている
数々の魅力的な「ぐち」として出現
愚痴にこそ人間としての本音がある=愚痴文学
信利の属する世代の男性が持っている女性観には
牢固(ろうこ)として抜き難い封建色がある。
彼らは決して、妻が働くことによって家庭経済が
潤っている事実を認めようとしない。
彼らは妻が勝手にやりたいことをやっているのだと嘯(うそぶ)き、
その分、妻としての勤めをなおざりにしているのに対しては
寛容と忍耐をもって臨(のぞ)んでいると思いこんでいる。
今は、これからいつまでこんな暮らしが続くのかという絶望感で一杯だった。
茂造が死んでくれたらどんなに楽だろう。
そんな考えに罪悪感も後ろめたさも、もうなかった。
「すまないな、いつも」と言った。
夫の言葉さえ思い出すと腹立ちになる。
本当にすまないと思ったら、信利は昭子と交替すべきではないか。
嫌(いや)なことはみんな妻に押し付ける。これが家庭における亭主の実態だ。
響き渡る女性たちの本音
女性の家庭内での労働搾取問題を指摘する
観点から読み解く論文も発表されている
敏が昭子たちに言い放った言葉
「いやだなあ。こんなにしてまで生きたいものかなあ」
「パパも、ママも、こんなに長生きしないでね」
老いに近い昭子と信利にとってはショックだったはず
世代間に広がる感覚の溝
世代の断絶、親子の断絶という言葉が世の中で蝶々されるようになって久しい。
最近は新聞も雑誌も競って書きたてる上に、学生運動も最も過激な部分だけが
写真入りで報道されるので、若者の持つ親たちはびくびくして暮らしている。
厳しくすると反撥して暴走する、しかし過保護は不良化を招くというのだから、
親はどうしていいのか分からない。
断絶、断絶、ダンゼツ。
今も同じ?世代間ギャップ
断絶 昭和44年刊行のドラッカー「断絶の時代」がきっかけで流行語に
昭子や信利も茂造を「明治の男」と言う
どの時代でも断絶はあるので普遍性を読み取ることができる
茂造はメディア
姿消す黒き車よ冬の雨
冬陽射し開店前をひと眠り
冬日向オープン前のパーキング
眩しけりまどろみ抱き冬の駅
■100分de名著 有吉佐和子スペシャル(2)「老い」を直視できない人々「恍惚の人」①
ソコロワ山下聖美 伊集院光 阿部みちこ
「恍惚の人」(昭和47年刊行)
認知症の老人とその家族の物語 200万部を越えるベストセラー
1970年に日本の65歳以上の人口が7%を超える
現在は30%ですから現代にも続く問題が記されている
戦後の経済繁栄の裏側に潜む真実を小説によって見せた
最新家電や流行食品の描写がリアル
高齢化社会・認知症という大きなテーマの中に身近なモチーフを散りばめる
ストーリーテラーとしての力量が融合した作品
立花昭子 夫と息子と暮らす働く女性 離れには夫の両親が住んでいる
むこうから背の高い老人が、まっ直ぐにこちらを向いて歩いてくるのが見えた。
どういうわけか血相が変わっている。
ネクタイをしめ革靴をはいているが、外套はきていない。傘も持っていない。
「寒くないんですか、お爺ちゃん、雪が降っているのに」
「いや、寒くありません」
「どこへいらっしゃるところだったのですか?」
「会社の帰りですかな」
「え?ええ、私はお勤めの帰りですけど、お爺ちゃんは?」
「ああ、雪ですねえ」
質問には答えずに、舅の茂造は夢を見るような眼つきで空をふり仰ぎ、
いつの間にか昭子と一緒に、来た方角へ戻り始めていた。
「婆さんが起きてくれないもんだから私は腹が空いてかなわんのです」
彼はじっと死んだ妻を見詰めていたのだったが、やがて首を曲げて
息子の方を顧みると、言った。
「婆さんは、いつまで寝てる気ですかなあ」
信利は驚いて父親の顔を真正面から見た。
茂造の言葉の調子に、信利を誰と思っているのか曖昧な、
まるで他人相手に喋っているようなものを感じたからである。
茂造の眼を見詰めた。それは黄色く濁っていて、瞬かなかった。
輝きもなかった。信利の顔を見返しながら、
焦点は遥か彼方にあるような遠い眼をしていた。
それは恍惚として夢を見ているようにも思われた。
混乱の日々の始まり
舅茂造は嫁昭子に完全におんぶにだっこ状態
息子敏(さとし)「犬だって猫だって飼い主はすぐ覚えるし忘れないんだから
自分に一番必要な相手だけは本能的に知っているんじゃないかな
茂造が庭に面した硝子戸に蜘蛛のようにはりついて震えているのが見えた。
「ああ、昭子さん、小便です。ションベンがでそうなんですよ。」
「それなら、お便所はここですよ」
昭子が反対側にある便所の戸を開けて電気をつけると、
茂造は前を広げながら入ったが、また悲鳴を上げた。
「昭子さん、出ませんよ。ここでは小便がでないです」
「昭子さん、苦しいですよ。漏れそうですよ。ああ、ああ、ああっ」
「お爺ちゃん、庭でしてしまいなさい」「ここで、ですか」
「ええ」昭子が肯(うなず)いたのと、びしゃっと音がして、
庭土の上に白煙が立ったのが同時だった。
ふらふらしている茂造を、背後から抱えるようにして支え、
音を聞きながら昭子は大変なことになったと思った。
これから毎晩こういうことが繰返されるのだろうか。
音が止まっても、茂造がそのままの姿勢でいるので「お爺ちゃん」
声をかけると、茂造は昭子の存在にようやく気がついたらしく、
「ああ昭子さん、月が綺麗ですよ」と言った。
見上げると冬の夜空に皎々(こうこう)と皎(しろ)い月が輝いていた。
冴えた月影はほとんど満月に近い。
昭子は茫然として、しばらく声もなく、
舅と共に庭に佇み、月を見上げていた。
緊張が弛緩(しかん) 悲劇と喜劇を行き来する人間を描いている
悲しみの中にも笑いあり
テリー・ギリアム(1940~)イギリスの映画監督
コメディグループ「モンティ・パイソン」のメンバー
昭子だけにのしかかる昭和の介護
家庭のことは妻が担うのが当たり前の時代
不満を抱えつつ昭子自身も介護は自分の役目と認識
隣の母屋で昭子がキンキンと大声で怒鳴っているのが聞こえる
電話をあちこちにかけているのだろう。
「ママはずっとああかい?」
「うん、ずっと、ああだ。布団出して、お医者呼んで、
お婆ちゃん着替えさせて、その間ずっと、僕に怒鳴ってしようがないのにさ」
「呼んで来いよ」
「呼ばなくても来るよ。来るなり起こるぜ、何もしないって言って」
家事は他人事な昭和の男たち
何もしない男性たちはかばう意見が多かった
男性たちの描き方も当時の感覚としては大変リアル
普通に生きる女性たちの心の叫びが
鮮度抜群の状態でパッケージングされている
数々の魅力的な「ぐち」として出現
愚痴にこそ人間としての本音がある=愚痴文学
信利の属する世代の男性が持っている女性観には
牢固(ろうこ)として抜き難い封建色がある。
彼らは決して、妻が働くことによって家庭経済が
潤っている事実を認めようとしない。
彼らは妻が勝手にやりたいことをやっているのだと嘯(うそぶ)き、
その分、妻としての勤めをなおざりにしているのに対しては
寛容と忍耐をもって臨(のぞ)んでいると思いこんでいる。
今は、これからいつまでこんな暮らしが続くのかという絶望感で一杯だった。
茂造が死んでくれたらどんなに楽だろう。
そんな考えに罪悪感も後ろめたさも、もうなかった。
「すまないな、いつも」と言った。
夫の言葉さえ思い出すと腹立ちになる。
本当にすまないと思ったら、信利は昭子と交替すべきではないか。
嫌(いや)なことはみんな妻に押し付ける。これが家庭における亭主の実態だ。
響き渡る女性たちの本音
女性の家庭内での労働搾取問題を指摘する
観点から読み解く論文も発表されている
敏が昭子たちに言い放った言葉
「いやだなあ。こんなにしてまで生きたいものかなあ」
「パパも、ママも、こんなに長生きしないでね」
老いに近い昭子と信利にとってはショックだったはず
世代間に広がる感覚の溝
世代の断絶、親子の断絶という言葉が世の中で蝶々されるようになって久しい。
最近は新聞も雑誌も競って書きたてる上に、学生運動も最も過激な部分だけが
写真入りで報道されるので、若者の持つ親たちはびくびくして暮らしている。
厳しくすると反撥して暴走する、しかし過保護は不良化を招くというのだから、
親はどうしていいのか分からない。
断絶、断絶、ダンゼツ。
今も同じ?世代間ギャップ
断絶 昭和44年刊行のドラッカー「断絶の時代」がきっかけで流行語に
昭子や信利も茂造を「明治の男」と言う
どの時代でも断絶はあるので普遍性を読み取ることができる
茂造はメディア
2024年12月16日月曜日
兼題「湯豆腐」&テーマ「プレゼント」
透明な朝の光と冬の風
デッサンは声なき会話冬ぬくし
無意識の心理を描く月氷る
暮早し長き首と長き顔
左手に確(しか)と筆持ち冬を生く
■NHK俳句 兼題「湯豆腐」
選者 木暮陶句郎 ゲスト 須東潤一 司会 柴田英嗣
年間テーマ「季語を器に盛る」
待機晩成 自分の順番が来るまで待っていればきっと大成する
須東潤一
随意の孤独 「自由にする」ということは孤独も伴う
須東潤一
レッドライン=超えてはいけない線
超えてはいけない線を超えないと到達できない景色がある
作品を作る時のルールは「自分の内側から出すもの」
外部からは一切影響を受けない
内面から出た言葉を書いてそれに合う絵を描く
詩画アート 作品を見た人が元気になって欲しい
湯豆腐 出汁は昆布 そして薬味を付けて それぞれが食べる
古くから日本人に愛されてきた 縄文時代から煮炊きは行われている
煮ることで食材が美味しくなる 日本の食文化の中で洗練されている
酒にも合う
湯豆腐の名句
湯豆腐にうつくしき火の廻りけり 萩原麦草
湯豆腐はゆっくり温める(温めている)間の時間を楽しんでいる
食べる段階にはうつくしい火が湯豆腐にまわったと思う
今回の作品は
縄文時代に馳せて焼いた陶句郎先生
火焔土器 火をイメージした土器 でした
・特選六句発表 兼題「湯豆腐」
小さき日の瑠璃湯豆腐の生成色(きなりいろ) 舞矢愛
湯豆腐の煮えて波音遠ざかる 山口誠
(波の音は変わっていないのに興味が移った)
湯豆腐や酒も飲めずに八十路まで 丸田征男
湯豆腐やまづ通訳が食べてみせ 穴山ゆう
(通訳が食べてみせるところが面白い 滑稽なイメージがあっていい)
湯豆腐や少しどうだと妻に注(つ)ぐ 西山修(おさむ)
(「少しどうだ?」と徳利を持ち上げる会話が見えてくる
夫婦のほんわかした雰囲気が湯豆腐という季語を通して描かれている)
私 湯豆腐や妻突然に毒を吐く 原田香伯
(二物配合 身近にあった言葉の毒 シンプルな湯豆腐だからこそいい
対比が素晴らしい)
・特選三席
一席 好物の癖に湯豆腐すぐ崩す 髙木統(おさみ)
「好物の癖に」を笑顔で言っている姿が浮かぶ 微笑ましく感じる)
二席 湯豆腐やテレビは大雪の渋谷 藤雪陽
(須東さんは長野県 私は群馬県 「可哀想だな渋谷の人は」なんて思いながら
温かい湯豆腐を食べる そんな映像が見えてくる)
三席 湯豆腐に足の先まで熱くなる 林日向(ひな)子
(湯豆腐という食材に喜びや感謝の気持ちがある
「や」切字が多く使われていたがこの句は「に」じゃないとダメ
湯豆腐によって体全体の血がめぐり温まってきた)
・俳句やろうぜ 黒岩徳将
岡一夏さん いかすみ句会を開催
参加者は毎回50~60人 ひとり2句投句 100ちょい(句)集まる
リアルに会えない方といっしょに句会をしたい
コミュニケーションが目的 オンライン句会で定期的に
「俳句を誰かにみてもらいたい」という人が集まっている
露草を歩み来し靴土手に脱ぐ 黒岩徳将
秋の蝶ぷるぷるのあとぱつとひらく 岡一夏
・湯豆腐にうつくしき火の廻りけり 萩原麦草 作品へ
弱火の方が食材との付き合いが長くなる 絆も深まる
桜と日本人の絆もあって 葉桜の季語が初夏 湯豆腐は冬
初夏から冬までの期間 弱火で温めている付き合いの期間を例えた
・柴田の歩み
アーティストから学ぶこと多し
■NHK短歌 テーマ「プレゼント」
選者 大森静佳 ゲスト 鴻巣(こうのす)友季子 司会 尾崎世界観
年間テーマ「“ものがたり”の深みへ」
「翻訳は解釈である」鴻巣友季子
翻訳は球体に光を当てるような作業
どうしても訳しきれない伝えきれない部分ができる
翻訳の苦しみでもありおもしろいところでもある
・歌に“ものがたり”あり
入選九首 テーマ「プレゼント」
大切なものにはリボンなどついてなくなって見落としてそうな夕焼け
小仲翠太(おなかすいた)
三席 オレンジと黄色の花をよくもらうよかった明るいひとに見えてる
奥村真帆
二席 できたてのロボットみたい花束を逆さまのまま突きつけてきて
原田冬
一席 プレゼント「ぷ」から始まる音がいい「ぷぷぷ」と笑って「れれれ」と驚く
森岡政子
ラッピングの色はなるべく地味にするバスに忘れてしまえるように
竹内一二(かずじ)
私 あげたがる人から貰うチョコパイのでかくて甘く重い何らか
刈田陽子
思うよりきみのまんまでビビットな授乳ケープがよく似合ってる
瀬生(せおう)ゆう子
心配は文体よりも筆圧につよく出ていて母からの梨
芍薬
私 祖父は何を贈ったのだろうデパートの包装紙だけ仕舞われし棚
仲原佳
・ものがたりの深みへ
賢者の贈り物
デラ 「時計用のチェーン」を買うために「髪の毛」を売る
ジム 「くし」を買うために「時計」を売る
この物語は一般的には子ども用と思われているが
話法が物凄く凝っている
デラとジムの愛情にに満ちた物語をシニカルな視点で語る
このギャップが面白い
3種類の話法が使われている
デラの心の中を語る話法
デラの様子を語る話法
読み手に直接話しかける手法
この毒舌的な語りは単なるお涙ちょうだいの
物語にならず名作として残っていると思う
尾崎世界観氏はカメラで全部を見渡しているような感覚で書いている
大森静佳女史は短歌は一人称の文学と言われているので一人称で描く時が多い
短歌は「君」とか「あなた」という言葉を入れた時に
読者と作者の距離が一瞬近づく感じがある
「あなたと」詠まれてていると読者である自分に
呼びかけられているような感じがする
宛先がある一人称
蜂蜜色にきらめく滝として落ちる髪はあなたの記憶の底へ
大森静佳
すすり泣いて、すすり上げて、少し微笑む、
Sobs,sniffles,and smales
翻訳の苦労は気が付かれなければ気が付かれないほどいい
雪の夜を揺らめきながらゆきなさい〈明日〉を贈り合ってふたりは
大森静佳
・言葉のバトン
脊柱起立筋のサメを見ろ
上野俊彦 日本ボディビル・フィットネス連盟
⇩
赤(しゃく)銅の漁師の顔と瓶ビール
肥沼和之 バー店主・ジャーナリスト
もうどっぷり新宿で生活しているので歌舞伎町の雰囲気はありつつも
心にグッとくるようなドラマを取材することが多いです
駆け出しのころに作った歌集「ヤクザ短歌」より
遠慮せず何でも聞けよと言われても地雷ないのか❓躊躇する僕
遠慮して当たり障りのないことを聞くような奴、物書き失格
思い出します 色々聞きたいんだけどこんなこと聞いたら
怒り出すんじゃないか?とか…。
10年ほど前から歌会を開催しています
短歌の面白さは語り過ぎない所かなと思います みなまで言わない
残りを想像する察するっていう事が凄く文学的だなと…。
デッサンは声なき会話冬ぬくし
無意識の心理を描く月氷る
暮早し長き首と長き顔
左手に確(しか)と筆持ち冬を生く
■NHK俳句 兼題「湯豆腐」
選者 木暮陶句郎 ゲスト 須東潤一 司会 柴田英嗣
年間テーマ「季語を器に盛る」
待機晩成 自分の順番が来るまで待っていればきっと大成する
須東潤一
随意の孤独 「自由にする」ということは孤独も伴う
須東潤一
レッドライン=超えてはいけない線
超えてはいけない線を超えないと到達できない景色がある
作品を作る時のルールは「自分の内側から出すもの」
外部からは一切影響を受けない
内面から出た言葉を書いてそれに合う絵を描く
詩画アート 作品を見た人が元気になって欲しい
湯豆腐 出汁は昆布 そして薬味を付けて それぞれが食べる
古くから日本人に愛されてきた 縄文時代から煮炊きは行われている
煮ることで食材が美味しくなる 日本の食文化の中で洗練されている
酒にも合う
湯豆腐の名句
湯豆腐にうつくしき火の廻りけり 萩原麦草
湯豆腐はゆっくり温める(温めている)間の時間を楽しんでいる
食べる段階にはうつくしい火が湯豆腐にまわったと思う
今回の作品は
縄文時代に馳せて焼いた陶句郎先生
火焔土器 火をイメージした土器 でした
・特選六句発表 兼題「湯豆腐」
小さき日の瑠璃湯豆腐の生成色(きなりいろ) 舞矢愛
湯豆腐の煮えて波音遠ざかる 山口誠
(波の音は変わっていないのに興味が移った)
湯豆腐や酒も飲めずに八十路まで 丸田征男
湯豆腐やまづ通訳が食べてみせ 穴山ゆう
(通訳が食べてみせるところが面白い 滑稽なイメージがあっていい)
湯豆腐や少しどうだと妻に注(つ)ぐ 西山修(おさむ)
(「少しどうだ?」と徳利を持ち上げる会話が見えてくる
夫婦のほんわかした雰囲気が湯豆腐という季語を通して描かれている)
私 湯豆腐や妻突然に毒を吐く 原田香伯
(二物配合 身近にあった言葉の毒 シンプルな湯豆腐だからこそいい
対比が素晴らしい)
・特選三席
一席 好物の癖に湯豆腐すぐ崩す 髙木統(おさみ)
「好物の癖に」を笑顔で言っている姿が浮かぶ 微笑ましく感じる)
二席 湯豆腐やテレビは大雪の渋谷 藤雪陽
(須東さんは長野県 私は群馬県 「可哀想だな渋谷の人は」なんて思いながら
温かい湯豆腐を食べる そんな映像が見えてくる)
三席 湯豆腐に足の先まで熱くなる 林日向(ひな)子
(湯豆腐という食材に喜びや感謝の気持ちがある
「や」切字が多く使われていたがこの句は「に」じゃないとダメ
湯豆腐によって体全体の血がめぐり温まってきた)
・俳句やろうぜ 黒岩徳将
岡一夏さん いかすみ句会を開催
参加者は毎回50~60人 ひとり2句投句 100ちょい(句)集まる
リアルに会えない方といっしょに句会をしたい
コミュニケーションが目的 オンライン句会で定期的に
「俳句を誰かにみてもらいたい」という人が集まっている
露草を歩み来し靴土手に脱ぐ 黒岩徳将
秋の蝶ぷるぷるのあとぱつとひらく 岡一夏
・湯豆腐にうつくしき火の廻りけり 萩原麦草 作品へ
弱火の方が食材との付き合いが長くなる 絆も深まる
桜と日本人の絆もあって 葉桜の季語が初夏 湯豆腐は冬
初夏から冬までの期間 弱火で温めている付き合いの期間を例えた
・柴田の歩み
アーティストから学ぶこと多し
■NHK短歌 テーマ「プレゼント」
選者 大森静佳 ゲスト 鴻巣(こうのす)友季子 司会 尾崎世界観
年間テーマ「“ものがたり”の深みへ」
「翻訳は解釈である」鴻巣友季子
翻訳は球体に光を当てるような作業
どうしても訳しきれない伝えきれない部分ができる
翻訳の苦しみでもありおもしろいところでもある
・歌に“ものがたり”あり
入選九首 テーマ「プレゼント」
大切なものにはリボンなどついてなくなって見落としてそうな夕焼け
小仲翠太(おなかすいた)
三席 オレンジと黄色の花をよくもらうよかった明るいひとに見えてる
奥村真帆
二席 できたてのロボットみたい花束を逆さまのまま突きつけてきて
原田冬
一席 プレゼント「ぷ」から始まる音がいい「ぷぷぷ」と笑って「れれれ」と驚く
森岡政子
ラッピングの色はなるべく地味にするバスに忘れてしまえるように
竹内一二(かずじ)
私 あげたがる人から貰うチョコパイのでかくて甘く重い何らか
刈田陽子
思うよりきみのまんまでビビットな授乳ケープがよく似合ってる
瀬生(せおう)ゆう子
心配は文体よりも筆圧につよく出ていて母からの梨
芍薬
私 祖父は何を贈ったのだろうデパートの包装紙だけ仕舞われし棚
仲原佳
・ものがたりの深みへ
賢者の贈り物
デラ 「時計用のチェーン」を買うために「髪の毛」を売る
ジム 「くし」を買うために「時計」を売る
この物語は一般的には子ども用と思われているが
話法が物凄く凝っている
デラとジムの愛情にに満ちた物語をシニカルな視点で語る
このギャップが面白い
3種類の話法が使われている
デラの心の中を語る話法
デラの様子を語る話法
読み手に直接話しかける手法
この毒舌的な語りは単なるお涙ちょうだいの
物語にならず名作として残っていると思う
尾崎世界観氏はカメラで全部を見渡しているような感覚で書いている
大森静佳女史は短歌は一人称の文学と言われているので一人称で描く時が多い
短歌は「君」とか「あなた」という言葉を入れた時に
読者と作者の距離が一瞬近づく感じがある
「あなたと」詠まれてていると読者である自分に
呼びかけられているような感じがする
宛先がある一人称
蜂蜜色にきらめく滝として落ちる髪はあなたの記憶の底へ
大森静佳
すすり泣いて、すすり上げて、少し微笑む、
Sobs,sniffles,and smales
翻訳の苦労は気が付かれなければ気が付かれないほどいい
雪の夜を揺らめきながらゆきなさい〈明日〉を贈り合ってふたりは
大森静佳
・言葉のバトン
脊柱起立筋のサメを見ろ
上野俊彦 日本ボディビル・フィットネス連盟
⇩
赤(しゃく)銅の漁師の顔と瓶ビール
肥沼和之 バー店主・ジャーナリスト
もうどっぷり新宿で生活しているので歌舞伎町の雰囲気はありつつも
心にグッとくるようなドラマを取材することが多いです
駆け出しのころに作った歌集「ヤクザ短歌」より
遠慮せず何でも聞けよと言われても地雷ないのか❓躊躇する僕
遠慮して当たり障りのないことを聞くような奴、物書き失格
思い出します 色々聞きたいんだけどこんなこと聞いたら
怒り出すんじゃないか?とか…。
10年ほど前から歌会を開催しています
短歌の面白さは語り過ぎない所かなと思います みなまで言わない
残りを想像する察するっていう事が凄く文学的だなと…。
2024年12月15日日曜日
たけくらべ&「湯」&「皮肉」&「ちちんぱいぱい」
鐘氷る他人の本性変えられぬ
冬の草雨に打たれて倒れても
月氷る夢追いかけて疲れ果て
もうしあげることなかりけり寒夜(かんや)
思い切り楽しみなさいしぐれ虹
■漢字ふむふむ「湯」を見て逃げ出した!
湯という漢字は中国ではスープという意味
古代中国戦国時代 哲学者孟子の言葉(儒学者かと思っていました)
「冬日則飲湯、夏日則飲水
冬はお湯を飲み夏は水を飲む 「孟子」より
「神農本草経」(推定1~2世紀頃)
湯は煎じ薬という意味になった
湯=漢方薬の煮汁
中国では食べ物と薬の差別はなく口に入るものはみんな薬
薬膳のスープだろうと葛根湯であろうと
天然物を煮出したスープのことを全部「湯(とう)」と言っている
アメリカではhot water 韓国では뜨거운 물 フランスではeau chaude
インドではगरम पानी 中国語では热水 湯は外国にはない
日本は火山国で温泉に恵まれている お湯をいろんな形で利用してきた経緯がある
頻度が高い言葉は短くした方が楽なのです
「湯」という一語で言い換える動機付けは他の文化に比べればあるかもしれない
■夏井いつき俳句チャンネル
【第3回】楽しい日本語【ちちんぱいぱい・前編】
natsui yt 364 4
ちちんぱいぱいむささびを追ふ子らよ ローゼン千津
ちちんぱいぱい呪文はかなはぬものだ冬 夏井いつき
ちちんぱいぱい八年凶の初神籤 家藤正人
■漢字ふむふむ なぜ皮と肉で“皮肉(ひにく)”なの?
皮肉とは遠回しにいじわるく弱点をつくこと
日本に“皮肉”が伝わったのは鎌倉時代
仏典には達磨大師の逸話が記されていた
達磨大師は修業の成果を体の一部に例えて評価していた
皮 肉 骨 髄 四字熟語としても伝わった
日本では皮肉と骨髄が分かれて新たな意味を持つようになっていった
皮肉はうわべ、浅い 骨髄は奥、深い という意味で捉えられるようになった
江戸時代の書物「戴恩記」には
「老いて稽古ができず皮肉(うわべ)だけ関わる(現代訳)」
そこで登場したのは夏目漱石「虞美人草」より
「何でも奥歯に物の挟まった様な皮肉ばかり云ふんですよ」
思っていることをはっきり言わず皮肉ばかり
芥川龍之介も続きました。「秋」には
「御姉様の親切なお言葉も、皮肉のやうな気さへ致しました。」
お姉様の親切な言葉も皮肉のような気がした。(現代訳)
文化的に日本人は思っていることをはっきり言わず遠回しに言う癖がある
それを皮肉(うわべ)に例えるのはちょうど良かったのかもしれません
■10min.ボックス現代文 たけくらべ(樋口一葉)
100年前、明治時代に書かれた小説。主人公の名前は美登利。14歳の娘です。
大黒屋の美登利とて、生国(せうこく)は紀州、言葉のいさゝか訛れるも可愛(かわゆ)く、
第一は切れ離れよき気象を喜ばぬ人なし。子供に似合わぬ銀貨入れの重きも道理、
姉なる人が全盛の余波(はごり)、同級の女生徒二十人に揃ひのごむ鞠(まり)を
与へしはおろかの事、馴染の筆やに店(たな)ざらしの手遊(てあそび)を
買(かひ)しめて、喜ばせし事もあり。
美登利の恋心 相手は一歳年上の藤本信如 寺の息子で真面目な優等生でした
運動会の出来事です
「これにてお拭きなされ」と介抱をなしけるに、友だちの中なる嫉妬(やきもち)や
見つけて「藤本は坊主のくせに女と話をして、嬉しさうに礼を言つたは
可笑しいでは無いか、大方(おほかた)美登利さんは藤本の女房(かみさん)に
なるのであらう」などゝ取沙汰しける。
「ゑゝ例(いつも)の通りの心根」「何を憎んでそのやうに無常(つれなき)
そぶりはみせらるゝ。言ひたい事は此方(こなた)にあるを、余りな人」
信如は今ぞ淋しう見かへれば、紅入り友仙の雨に濡れて、
紅葉の形のうるはしきが我が足近く散(ちり)ぼひたる、
子どもから大人へ
次第〱に心細き思ひ、すべて昨日の美登利の身に覚えなかりし
思ひをまうけて、物の恥かしさ言ふばかりなく
「ゑゝ厭や〱、大人に成るは厭やな事。なぜこのやうに年をば取る。
もう七月(なゝつき)十月(とつき)、一年も以前(もと)へ帰りたいに」
誰の仕業と知るよしなけれど、美登利は何ゆゑとなく懐かしき
思ひにて、違ひ棚の一輪挿しに入れて、淋しく清き姿をめでけるが、
聞くともなしに伝え聞く、その明けの日は、信如が
何がしの学林に袖の色かへぬべき当日なりしとぞ。
冬の草雨に打たれて倒れても
月氷る夢追いかけて疲れ果て
もうしあげることなかりけり寒夜(かんや)
思い切り楽しみなさいしぐれ虹
■漢字ふむふむ「湯」を見て逃げ出した!
湯という漢字は中国ではスープという意味
古代中国戦国時代 哲学者孟子の言葉(儒学者かと思っていました)
「冬日則飲湯、夏日則飲水
冬はお湯を飲み夏は水を飲む 「孟子」より
「神農本草経」(推定1~2世紀頃)
湯は煎じ薬という意味になった
湯=漢方薬の煮汁
中国では食べ物と薬の差別はなく口に入るものはみんな薬
薬膳のスープだろうと葛根湯であろうと
天然物を煮出したスープのことを全部「湯(とう)」と言っている
アメリカではhot water 韓国では뜨거운 물 フランスではeau chaude
インドではगरम पानी 中国語では热水 湯は外国にはない
日本は火山国で温泉に恵まれている お湯をいろんな形で利用してきた経緯がある
頻度が高い言葉は短くした方が楽なのです
「湯」という一語で言い換える動機付けは他の文化に比べればあるかもしれない
■夏井いつき俳句チャンネル
【第3回】楽しい日本語【ちちんぱいぱい・前編】
natsui yt 364 4
ちちんぱいぱいむささびを追ふ子らよ ローゼン千津
ちちんぱいぱい呪文はかなはぬものだ冬 夏井いつき
ちちんぱいぱい八年凶の初神籤 家藤正人
■漢字ふむふむ なぜ皮と肉で“皮肉(ひにく)”なの?
皮肉とは遠回しにいじわるく弱点をつくこと
日本に“皮肉”が伝わったのは鎌倉時代
仏典には達磨大師の逸話が記されていた
達磨大師は修業の成果を体の一部に例えて評価していた
皮 肉 骨 髄 四字熟語としても伝わった
日本では皮肉と骨髄が分かれて新たな意味を持つようになっていった
皮肉はうわべ、浅い 骨髄は奥、深い という意味で捉えられるようになった
江戸時代の書物「戴恩記」には
「老いて稽古ができず皮肉(うわべ)だけ関わる(現代訳)」
そこで登場したのは夏目漱石「虞美人草」より
「何でも奥歯に物の挟まった様な皮肉ばかり云ふんですよ」
思っていることをはっきり言わず皮肉ばかり
芥川龍之介も続きました。「秋」には
「御姉様の親切なお言葉も、皮肉のやうな気さへ致しました。」
お姉様の親切な言葉も皮肉のような気がした。(現代訳)
文化的に日本人は思っていることをはっきり言わず遠回しに言う癖がある
それを皮肉(うわべ)に例えるのはちょうど良かったのかもしれません
■10min.ボックス現代文 たけくらべ(樋口一葉)
100年前、明治時代に書かれた小説。主人公の名前は美登利。14歳の娘です。
大黒屋の美登利とて、生国(せうこく)は紀州、言葉のいさゝか訛れるも可愛(かわゆ)く、
第一は切れ離れよき気象を喜ばぬ人なし。子供に似合わぬ銀貨入れの重きも道理、
姉なる人が全盛の余波(はごり)、同級の女生徒二十人に揃ひのごむ鞠(まり)を
与へしはおろかの事、馴染の筆やに店(たな)ざらしの手遊(てあそび)を
買(かひ)しめて、喜ばせし事もあり。
美登利の恋心 相手は一歳年上の藤本信如 寺の息子で真面目な優等生でした
運動会の出来事です
「これにてお拭きなされ」と介抱をなしけるに、友だちの中なる嫉妬(やきもち)や
見つけて「藤本は坊主のくせに女と話をして、嬉しさうに礼を言つたは
可笑しいでは無いか、大方(おほかた)美登利さんは藤本の女房(かみさん)に
なるのであらう」などゝ取沙汰しける。
「ゑゝ例(いつも)の通りの心根」「何を憎んでそのやうに無常(つれなき)
そぶりはみせらるゝ。言ひたい事は此方(こなた)にあるを、余りな人」
信如は今ぞ淋しう見かへれば、紅入り友仙の雨に濡れて、
紅葉の形のうるはしきが我が足近く散(ちり)ぼひたる、
子どもから大人へ
次第〱に心細き思ひ、すべて昨日の美登利の身に覚えなかりし
思ひをまうけて、物の恥かしさ言ふばかりなく
「ゑゝ厭や〱、大人に成るは厭やな事。なぜこのやうに年をば取る。
もう七月(なゝつき)十月(とつき)、一年も以前(もと)へ帰りたいに」
誰の仕業と知るよしなけれど、美登利は何ゆゑとなく懐かしき
思ひにて、違ひ棚の一輪挿しに入れて、淋しく清き姿をめでけるが、
聞くともなしに伝え聞く、その明けの日は、信如が
何がしの学林に袖の色かへぬべき当日なりしとぞ。
2024年12月14日土曜日
あの本、読みました?~「走る」名著!あさのあつこ
冬の朝老ゆも一朶の雲を追う
冬の山静かに前へ歩む女(ひと)
(アルゼンチンタンゴ)冬ぬくし横に流れる音抱き
見つめ合い足踏みならし冬を舞う
冬の海弱いときほど挫けるな
■あの本、読みました?~「走る」名著!あさのあつこ&三浦しをん&池井戸&春樹
鈴木保奈美 角谷暁子
青春小説作家あさのあつこが走ることに一度負けてでも自分の意志で帰ってくる
敗北を知らない人は勝利も知らない
走る小説にこめた思いを語る
「ホワイトカラー消滅」の一文 富山和彦著/NHK出版新書
今、簡単な原稿づくりなども初稿は生成AIで作ることがはじまっている。
しかし、そこから編集するのは人間にしかできない。
編集においては、問いを立てる部分とディシジョン(決定)の
部分は人間に残る。生成AIには問いが立てられないからだ。
走りたくなる本ってどんな本?
為末大
瀬古利彦の「走る」本3選
① 「箱根駅伝」池井戸潤
注目!学生連合の指揮を執るのが新人監督
② 「冬の喝采」黒木亮
立ちつくす群衆の中で、唯一動いている人間。
あっと思う間もなく、臙脂色(えんじいろ)は大きくなり、
目の前に苦痛で顔を歪めた瀬古利彦が迫ってきた。
周囲でどよめきや歓声が沸き起こっていた。
「頼むぞ、金山!」「はい!」
③ 「走ることについて語るときに僕の語ること」村上春樹著/文藝春秋
僕が外苑で走り始めたころには、瀬古利彦が現役でやはりここを走っていた。
必死の形相でロス・オリンピックのための走り込みをしていた。
金色に光るメダルだけが彼の頭の中にあるものだった。
「俺たちの箱根駅伝」の一文
池井戸潤著/文藝春秋
五・六キロの常盤橋を渡り、急激に右に曲がるカーブに
さしかかったときのことだ。弾の視界に、一本の線が見えた。
自分が踏み出す一歩は“点”だが、
走るルートは“線”になって弾の眼前に示されている。
連続カーブを大回りすることなく、いかに短く走るか。
その小さなノウハウが、結果を左右することを弾に指摘したのは、
他ならぬ甲斐監督だ。その走るべきルートが線になって弾を誘っている。
(中略)
声援の中、自分にしか見えない一本の線、
その先を見据えて、弾は無心で手と脚を動かし続けている。
(中略)
弾の走りは、なんというかーゾーンに入っていた。
アスリートが体験する「ゾーン」とは❓
為末が実体験「ゾーン」
2001年世界陸上 銅メダル 日本人初の短距離種目メダル獲得
観客の声が小さくなり自分の足音だけが大きく聞こえていた
気がつくと300メートル地点をトップで走っていた
「ゾーン」に入る特徴
時間感覚が変になる 音が小さくなる 相手の息遣いが聞こえる
もう一個は幽体離脱 自分の体が勝手に動いている
ランナーズハイとゾーンは違うという事は
「風が強く吹いている」三浦しをんが書いている
「風が強く吹いている」の一文 三浦しをん著/新潮文庫
ランナーズ・ハイは、ジョッグをしていても訪れる。
心身の条件がそろったときに、ある程度の距離を走りつづければ、
ランナーズ・ハイと言われる状態にはなる。
「この調子だと、ランナーズ・ハイになるな」と、
慣れてくると事前にじわじわと察せられることからも、
癖のようなものだと清瀬は思っている。
(中略)
だがゾーンはどうやら、唐突に訪れるらしい。
ランナーズ・ハイよりも鮮烈で、瞬間的に、しかも試合中にのみ起こる。
闘牛士も、牛を殺す「真実の瞬間」に、時間を超えた不思議な恍惚を
味わうことがあると知り、清瀬は「なるほど」と思った。
ランナーズ・ハイとゾーンは、現象は似ているが、
たぶんきっかけとなる回路が違うのだ。
ランナーズ・ハイが体を動かすことで引き起こされるのに対し、
ゾーンは極度に緊張し集中した心理が契機となるのではないか。
「フロー体験 喜びの現象学」M・チクセントミハイ著/今村浩明訳/世界思想社
幸せになるためにフローになるのではなくフローになることが幸せなのだ
世界と戦うときの心のあり方
「走ることについて語るときに僕の語ること」村上春樹著/文藝春秋
才能と集中力と持続力が必要と記されている
才能は持って生まれたものだけど、
集中力と持続力はトレーニングによって培えられる
日々、休まずに書き続け、意識を集中して仕事をすることが、
自分という人間にとって必要なことなのだという情報を
身体システムに継続して送り込み、しっかりと覚え込ませるわけだ。
そして少しずつその限界値を押し上げていく。
気づかれない程度にわずかずつ、その目盛りをこっそりと移動させていく。
これは日々ジョギングを続けることによって、筋肉を強化し、
ランナーとしての体型を作り上げていくのと同じ種類の作業である。
刺激し、持続する。刺激し、持続する。この作業には
もちろん我慢が必要である。しかしそれだけの見返りはある。
限界値を押し上げると見えるもの
自分を騙す 限界値を上げていく時
日本人の記録が伸びる不思議な要因
「大阪 人づくりの逆襲」の一文 石川智久著/青春新書
私が新卒で就職した住友銀行は住友グループであり、関西の会社です。
新人研修の際の、役員の発言が印象に残っています。
それは「おいあくま」です。怒るな、威張るな、焦るな、腐るな、
負けるなの 頭文字を並べているのです。
あさのあつこの「青春小説」
スポーツが書きたかったのではなく主人公が書きたかった
スポーツ経験ゼロの作者が描く「走る」小説
主人公がいてその後にスポーツを持ってきた
最初から4部作で構想していた?
「ランナー」の一文 あさのあつこ著/幻冬舎文庫
そうだ、走るとはこういうものだった。白い一筋の道を
想いのままに進む。そういうものだった。
花の香りの染まり、そのくせ冷たい空気が身体の真ん中を貫く。
その空気に溶け込んでいく。自分が解けて、際限なく広がり、
一朶の雲にも、一陣の風にも変わっていく。
そんな感覚を束の間だが、味わう。
この一文は為末さんの言うランナーズ・ハイだと思う。林P
碧李(あおい)は走る。暮れなずむ初夏の街も、さすがに夜の中に沈もうとしている。
残光が山の端を微かな朱色に染めてはいるが、空の大半は藍から茄子紺
そして黒へと色を濃くし、見上げる度に星の数が増えていた。
作家あさのあつこの表現力の原点
スポーツを描く上で心がけているもの
物語は人の心を「ちょっと揺らすこと」
「レーンランナー3」の一文 あさのあつこ著/幻冬舎文庫
競技者はいつか引退しなければならない 如何ともしがたい肉体の衰えのために
あまたの名選手がトラックをフィールドを去っていった。
しかし俺は違う 俺は見るものだ 見守るものだ
年を経てもたとえこの足が萎えても腕を失っても
見続け見守り続けられる 陸上の面白さを堪能できる
主人公を見守るマネージャー信哉の存在
作家あさのあつこが少年主人公に描く本当の理由
若者の「起業」の青春小説
青春小説の大家が伝えたい思い
「アーセナルにおいでよ」の一文 あさのあつこ著/水鈴社
甲斐は誰とも会わず、部屋に閉じこもっていることを望んだのに、
周りがそれをなかなか許しも認めもしてくれなかったのだ。
部屋から出た後の支援なり、居場所はそれなりに提示してくれるのに、
部屋の中でどう過ごしたいかを問われることは一度もなかった。
「アーセナルにおいでよ」大人が考え直すべきこととは
「一律、現状を何とかしましょうみたいになっちゃってて…
そこに、違和感みたいなの覚えちゃったんだ。
それで、ふっと思ったのが、おれたちって、えっと“高校生”とか
”中学生“とか、”子ども“みたいなワードで括られるけど、
でも、抱えてる悩みとか問題とかって、それぞれだろ。
そこんとこは大人と同じだよな」
(中略)
「だから、今、おれたちが抱えているそれぞれの悩みなり、
問題なりを相談できて、それぞれに合った方法で解決していく、
そういう場所が創れないかって考えたんだ」
(中略)
そう、欲しいものは武器だ。
「しっかりしろ」も「がんばれ」もいらない。
目の前の現実と対等に切り結ぶための武器だけが必要だ。
「言葉で伝える」力はすごいもの
聞くことが大事!
冬の山静かに前へ歩む女(ひと)
(アルゼンチンタンゴ)冬ぬくし横に流れる音抱き
見つめ合い足踏みならし冬を舞う
冬の海弱いときほど挫けるな
■あの本、読みました?~「走る」名著!あさのあつこ&三浦しをん&池井戸&春樹
鈴木保奈美 角谷暁子
青春小説作家あさのあつこが走ることに一度負けてでも自分の意志で帰ってくる
敗北を知らない人は勝利も知らない
走る小説にこめた思いを語る
「ホワイトカラー消滅」の一文 富山和彦著/NHK出版新書
今、簡単な原稿づくりなども初稿は生成AIで作ることがはじまっている。
しかし、そこから編集するのは人間にしかできない。
編集においては、問いを立てる部分とディシジョン(決定)の
部分は人間に残る。生成AIには問いが立てられないからだ。
走りたくなる本ってどんな本?
為末大
瀬古利彦の「走る」本3選
① 「箱根駅伝」池井戸潤
注目!学生連合の指揮を執るのが新人監督
② 「冬の喝采」黒木亮
立ちつくす群衆の中で、唯一動いている人間。
あっと思う間もなく、臙脂色(えんじいろ)は大きくなり、
目の前に苦痛で顔を歪めた瀬古利彦が迫ってきた。
周囲でどよめきや歓声が沸き起こっていた。
「頼むぞ、金山!」「はい!」
③ 「走ることについて語るときに僕の語ること」村上春樹著/文藝春秋
僕が外苑で走り始めたころには、瀬古利彦が現役でやはりここを走っていた。
必死の形相でロス・オリンピックのための走り込みをしていた。
金色に光るメダルだけが彼の頭の中にあるものだった。
「俺たちの箱根駅伝」の一文
池井戸潤著/文藝春秋
五・六キロの常盤橋を渡り、急激に右に曲がるカーブに
さしかかったときのことだ。弾の視界に、一本の線が見えた。
自分が踏み出す一歩は“点”だが、
走るルートは“線”になって弾の眼前に示されている。
連続カーブを大回りすることなく、いかに短く走るか。
その小さなノウハウが、結果を左右することを弾に指摘したのは、
他ならぬ甲斐監督だ。その走るべきルートが線になって弾を誘っている。
(中略)
声援の中、自分にしか見えない一本の線、
その先を見据えて、弾は無心で手と脚を動かし続けている。
(中略)
弾の走りは、なんというかーゾーンに入っていた。
アスリートが体験する「ゾーン」とは❓
為末が実体験「ゾーン」
2001年世界陸上 銅メダル 日本人初の短距離種目メダル獲得
観客の声が小さくなり自分の足音だけが大きく聞こえていた
気がつくと300メートル地点をトップで走っていた
「ゾーン」に入る特徴
時間感覚が変になる 音が小さくなる 相手の息遣いが聞こえる
もう一個は幽体離脱 自分の体が勝手に動いている
ランナーズハイとゾーンは違うという事は
「風が強く吹いている」三浦しをんが書いている
「風が強く吹いている」の一文 三浦しをん著/新潮文庫
ランナーズ・ハイは、ジョッグをしていても訪れる。
心身の条件がそろったときに、ある程度の距離を走りつづければ、
ランナーズ・ハイと言われる状態にはなる。
「この調子だと、ランナーズ・ハイになるな」と、
慣れてくると事前にじわじわと察せられることからも、
癖のようなものだと清瀬は思っている。
(中略)
だがゾーンはどうやら、唐突に訪れるらしい。
ランナーズ・ハイよりも鮮烈で、瞬間的に、しかも試合中にのみ起こる。
闘牛士も、牛を殺す「真実の瞬間」に、時間を超えた不思議な恍惚を
味わうことがあると知り、清瀬は「なるほど」と思った。
ランナーズ・ハイとゾーンは、現象は似ているが、
たぶんきっかけとなる回路が違うのだ。
ランナーズ・ハイが体を動かすことで引き起こされるのに対し、
ゾーンは極度に緊張し集中した心理が契機となるのではないか。
「フロー体験 喜びの現象学」M・チクセントミハイ著/今村浩明訳/世界思想社
幸せになるためにフローになるのではなくフローになることが幸せなのだ
世界と戦うときの心のあり方
「走ることについて語るときに僕の語ること」村上春樹著/文藝春秋
才能と集中力と持続力が必要と記されている
才能は持って生まれたものだけど、
集中力と持続力はトレーニングによって培えられる
日々、休まずに書き続け、意識を集中して仕事をすることが、
自分という人間にとって必要なことなのだという情報を
身体システムに継続して送り込み、しっかりと覚え込ませるわけだ。
そして少しずつその限界値を押し上げていく。
気づかれない程度にわずかずつ、その目盛りをこっそりと移動させていく。
これは日々ジョギングを続けることによって、筋肉を強化し、
ランナーとしての体型を作り上げていくのと同じ種類の作業である。
刺激し、持続する。刺激し、持続する。この作業には
もちろん我慢が必要である。しかしそれだけの見返りはある。
限界値を押し上げると見えるもの
自分を騙す 限界値を上げていく時
日本人の記録が伸びる不思議な要因
「大阪 人づくりの逆襲」の一文 石川智久著/青春新書
私が新卒で就職した住友銀行は住友グループであり、関西の会社です。
新人研修の際の、役員の発言が印象に残っています。
それは「おいあくま」です。怒るな、威張るな、焦るな、腐るな、
負けるなの 頭文字を並べているのです。
あさのあつこの「青春小説」
スポーツが書きたかったのではなく主人公が書きたかった
スポーツ経験ゼロの作者が描く「走る」小説
主人公がいてその後にスポーツを持ってきた
最初から4部作で構想していた?
「ランナー」の一文 あさのあつこ著/幻冬舎文庫
そうだ、走るとはこういうものだった。白い一筋の道を
想いのままに進む。そういうものだった。
花の香りの染まり、そのくせ冷たい空気が身体の真ん中を貫く。
その空気に溶け込んでいく。自分が解けて、際限なく広がり、
一朶の雲にも、一陣の風にも変わっていく。
そんな感覚を束の間だが、味わう。
この一文は為末さんの言うランナーズ・ハイだと思う。林P
碧李(あおい)は走る。暮れなずむ初夏の街も、さすがに夜の中に沈もうとしている。
残光が山の端を微かな朱色に染めてはいるが、空の大半は藍から茄子紺
そして黒へと色を濃くし、見上げる度に星の数が増えていた。
作家あさのあつこの表現力の原点
スポーツを描く上で心がけているもの
物語は人の心を「ちょっと揺らすこと」
「レーンランナー3」の一文 あさのあつこ著/幻冬舎文庫
競技者はいつか引退しなければならない 如何ともしがたい肉体の衰えのために
あまたの名選手がトラックをフィールドを去っていった。
しかし俺は違う 俺は見るものだ 見守るものだ
年を経てもたとえこの足が萎えても腕を失っても
見続け見守り続けられる 陸上の面白さを堪能できる
主人公を見守るマネージャー信哉の存在
作家あさのあつこが少年主人公に描く本当の理由
若者の「起業」の青春小説
青春小説の大家が伝えたい思い
「アーセナルにおいでよ」の一文 あさのあつこ著/水鈴社
甲斐は誰とも会わず、部屋に閉じこもっていることを望んだのに、
周りがそれをなかなか許しも認めもしてくれなかったのだ。
部屋から出た後の支援なり、居場所はそれなりに提示してくれるのに、
部屋の中でどう過ごしたいかを問われることは一度もなかった。
「アーセナルにおいでよ」大人が考え直すべきこととは
「一律、現状を何とかしましょうみたいになっちゃってて…
そこに、違和感みたいなの覚えちゃったんだ。
それで、ふっと思ったのが、おれたちって、えっと“高校生”とか
”中学生“とか、”子ども“みたいなワードで括られるけど、
でも、抱えてる悩みとか問題とかって、それぞれだろ。
そこんとこは大人と同じだよな」
(中略)
「だから、今、おれたちが抱えているそれぞれの悩みなり、
問題なりを相談できて、それぞれに合った方法で解決していく、
そういう場所が創れないかって考えたんだ」
(中略)
そう、欲しいものは武器だ。
「しっかりしろ」も「がんばれ」もいらない。
目の前の現実と対等に切り結ぶための武器だけが必要だ。
「言葉で伝える」力はすごいもの
聞くことが大事!
2024年12月13日金曜日
2人の思い出で一句&「通し鮎」
冬の地よ磔刑(たっけい)のメタファー遺す
枯野原無名の戦士今もなお
辿り着く先の未来は冬の雨
本質に迫りくるゴヤ冬の月
寒苦鳥(かんくちょう)記憶としての現象へ
■プレバト纏め 2024年12月12日
「2人の思い出」で一句
梅沢富美男&最愛の妻池田明子
特別永世名人 梅沢富美男のお手本
花嫁の父となる日や冬薔薇
添削(コンビニ俳句)
父としていま祝婚の冬薔薇
1位 安東和津&池畑慎之介
冬落暉駱駝は星に膝を折り 安東和津
(冬落暉:冬の季語)
2位 藤本敏史&金田哲
カクテキを摘む寒夜のメッキ箸 藤本敏史
添削
逆鱗や冷麺喉を通らない
3位 宮田俊哉&玉森裕太
カウコン後の弾丸登山初霞 玉森裕太
4位 近藤千尋&高橋ユウ
カフェラテを飲むきみの睫毛冬日和 近藤千尋
添削
カフェラテや君の睫毛へ冬日差
5位 ゆうちゃみ&ゆいちゃみ
初旅は白浜初のギャルメイク ゆうちゃみ
添削(初旅:新年の季語)
初旅の妹初のギャルメイク
6位 丸山桂里奈&本並健司
息白し討論しながら踊るタコ 丸山桂里奈
添削
息白く討論タコ焼きは熱し
■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「通し鮎」
鮎といえば非常に釣り人にとっては目がない
そんな夏の季語なわけですが この「通し鮎」は冬の季語になっています
一体なぜ夏の季語の「鮎」がとも思うんですけれども 通常鮎は一年でその
一生を終えてしまうらしいのですが 稀に河口近くの水の深みなどに留まって
年を越す鮎がいるのだそうです 長く生きた分身体はすごく大きくなる
ようなのですが その分格段に味が落ちると歳時記には解説されております
ある意味命を使い尽くしているとそんな「通し鮎」なのでしょうかね
実際食べ比べてみたら一目瞭然で分かるのかどうなのか
食べ比べてみたいですねぇ
枯野原無名の戦士今もなお
辿り着く先の未来は冬の雨
本質に迫りくるゴヤ冬の月
寒苦鳥(かんくちょう)記憶としての現象へ
■プレバト纏め 2024年12月12日
「2人の思い出」で一句
梅沢富美男&最愛の妻池田明子
特別永世名人 梅沢富美男のお手本
花嫁の父となる日や冬薔薇
添削(コンビニ俳句)
父としていま祝婚の冬薔薇
1位 安東和津&池畑慎之介
冬落暉駱駝は星に膝を折り 安東和津
(冬落暉:冬の季語)
2位 藤本敏史&金田哲
カクテキを摘む寒夜のメッキ箸 藤本敏史
添削
逆鱗や冷麺喉を通らない
3位 宮田俊哉&玉森裕太
カウコン後の弾丸登山初霞 玉森裕太
4位 近藤千尋&高橋ユウ
カフェラテを飲むきみの睫毛冬日和 近藤千尋
添削
カフェラテや君の睫毛へ冬日差
5位 ゆうちゃみ&ゆいちゃみ
初旅は白浜初のギャルメイク ゆうちゃみ
添削(初旅:新年の季語)
初旅の妹初のギャルメイク
6位 丸山桂里奈&本並健司
息白し討論しながら踊るタコ 丸山桂里奈
添削
息白く討論タコ焼きは熱し
■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「通し鮎」
鮎といえば非常に釣り人にとっては目がない
そんな夏の季語なわけですが この「通し鮎」は冬の季語になっています
一体なぜ夏の季語の「鮎」がとも思うんですけれども 通常鮎は一年でその
一生を終えてしまうらしいのですが 稀に河口近くの水の深みなどに留まって
年を越す鮎がいるのだそうです 長く生きた分身体はすごく大きくなる
ようなのですが その分格段に味が落ちると歳時記には解説されております
ある意味命を使い尽くしているとそんな「通し鮎」なのでしょうかね
実際食べ比べてみたら一目瞭然で分かるのかどうなのか
食べ比べてみたいですねぇ
2024年12月12日木曜日
趣味どきっ!茶の湯 武者小路千家(1)炉開き(2)炭点前
ゴヤを詠う
冬の海今も聞こえんゴヤの声
寒昴裸のマハで捕えられ
青空と山並みの線冬の景
息白し大地に置いた左足
冬の色マドリードの光と闇
■趣味どきっ!茶の湯 武者小路千家 炉中に広がる世界(1)炉開き
喫茶去(きっさこ) 盛永宗興 筆
禅宗の言葉「まあお茶を呑みなさい」という意味
甘露(お茶の味を現した言葉)
5月に摘んだお茶の葉を茶壷(ちゃつぼ)の中に入れて半年間熟成させる
濃茶の葉と薄茶の葉が入れてある 茶室の中に持ち出して来て縁を切って
濃茶と薄茶を取り出し石臼を挽き お茶を点て呑んでいただく
11月から12初旬にかけて口切りの茶事を催す
炉を開く季節が茶人にとってはお正月
茶家の正月と呼ばれている
炉開きの時期の茶会
露路の歩き方
茶室での客作法
新茶で寿ぐ
露地に植える木は季節を問わず緑の美しい
常緑の樹々を見るという決まりになっている
「市中の山居」を千利休は「浮き世の外の道」と呼んだ
中門(ちゅうもん)は内露地と外露地に分ける境界線
檜皮葺(ひわだぶき)編み笠門とも呼ばれている
菊炭(きくずみ)中門から落ちた雨で苔が剝がれないように敷き詰めている
席入り
床の拝見
口切りや 青竹枯木 露次(地)のしも 一指斎 筆 掛け軸
掛け軸と共に茶壷が飾られている
(三段切れでは❓)
呂宋茶壷(るそんちゃつぼ) 一啜斎 銘 壺仙(こせん)
鎌倉時代から茶葉が栽培されていた京都宇治
寒冷紗で覆う
碾茶(てんちゃ)を配合して抹茶を作る
いろんなお茶を混ぜることでより味に深みが出て複層的な味わいでよくなる
色んなパターンでブレンドしてその中からその銘柄に会うお茶を選んで行く
主菓子をいただく
善哉はお祝いのお菓子 炉開きや口切りの時にいただく
楽長入 作 黒茶碗 銘 鉢開 写
露中細見(ろちゅうさいけん)
炉壇(ろだん) 炉の塗り壁の部分
■趣味どきっ!茶の湯 武者小路千家(2)炭手前
茶の湯の正月と呼ばれる11月
新茶をはじめて頂く喜びの季節です
茶室には炉が開かれ暖かな空間が広がります
炉の中は炭が美しく起こる別天地
茶の湯 武者小路千家 第2回は「炉中に広がる世界」
炭点前 ポイント 茶事の中で炭火のピークを調節する
茶事の流れ…席入り 炭点前 懐石 濃茶 薄茶
亭主の点前と客作法
道具を運び出す
炭斗(すみとり)…羽箒(はぼうき) 火箸 鐶(かん) 釜敷(かましき) 香合(こうごう)
灰器(はいき)を運び出す ぬれ灰 灰匙(はいさじ)
釜を上げる 炉縁を掃く
正客 次客 末客 炉を拝見する ぬれ灰をまく 炉の中を羽箒で掃き清める
炭をつぐ 胴(どう)炭 ぎっちょう 割ぎっちょう 管(くだ)炭 枝(えだ)炭 点(てん)炭
の順番に入れていく それぞれの炭には役割がある
菊炭(きくずみ) 次客と末客は元の位置に戻る
その後、香(こう)をたく 練香 一つを下火近くの灰の上にもう一つを胴炭の上に置く
炭点前の最後には場を清めるという役割が重要
時間調節に使う車炭(くるまずみ)がある これは武者小路千家独特のもの
大阪能勢 炭の産地 里で育った良質の櫟(くぬぎ)が使われる
台場くぬぎ 台木と呼ばれる木がたくさんあるところ
太い幹に小さな枝が生えてきて大きくしていく仕立て方を昔からしている
くぬぎには菊炭に適している 髄という栄養や水を上げていくような筋が
(焼くと)隙間となって割れ模様をつくる
炭焼き
皮が薄い 真円(しんえん) 中心から菊割れ 菊割れが細かい肌がゴツゴツしていない
茶炭専門店(京都中京区)で形が整えられる
炭点前の準備
炭斗に炭を入れる 割ぎっちょうから入れる 次に点炭 続いて割管炭
ぎっちょうを二つ入れていく
ポイント 炭点前で炭をつぐ順番を考えて置く
胴炭を割ぎっちょうとぎっちょうの間に載せる
車炭を点炭と管炭の上に載せる
最後に枝炭を入れる空いている所に置きたてかける
炭斗に炭道具を入れる
火箸の鐶を入れる 箒を置く 車炭の上に香合を置いて完成
灰器を準備する
灰の手入れ 番茶で煮だしたお湯を混ぜ合わせる 3か月かけて水分を飛ばす
炉開きの頃ほど良いぬれ灰ができ上がる
火事になったら灰を持って逃げろ
利休さんから使った灰が連綿(れんめん)と受け継がれているから
歴代の汗と涙が積み重なっているから
炉中細見 炉縁
部屋の雰囲気を壊さないためにお化粧をしている
搔合塗 渦蒔絵 炉縁 中村宗哲 造 四畳半以上の部屋で使う
桐木地 菊置上 炉縁 一瀬小兵衛 造 四畳半以下の小間で使う 置上(菊)
旧丸の内ビルヂング古材 松 炉縁 一瀬小兵衛 造
(目立て お茶の湯に転用 茶の湯の醍醐味でもある)
冬の海今も聞こえんゴヤの声
寒昴裸のマハで捕えられ
青空と山並みの線冬の景
息白し大地に置いた左足
冬の色マドリードの光と闇
■趣味どきっ!茶の湯 武者小路千家 炉中に広がる世界(1)炉開き
喫茶去(きっさこ) 盛永宗興 筆
禅宗の言葉「まあお茶を呑みなさい」という意味
甘露(お茶の味を現した言葉)
5月に摘んだお茶の葉を茶壷(ちゃつぼ)の中に入れて半年間熟成させる
濃茶の葉と薄茶の葉が入れてある 茶室の中に持ち出して来て縁を切って
濃茶と薄茶を取り出し石臼を挽き お茶を点て呑んでいただく
11月から12初旬にかけて口切りの茶事を催す
炉を開く季節が茶人にとってはお正月
茶家の正月と呼ばれている
炉開きの時期の茶会
露路の歩き方
茶室での客作法
新茶で寿ぐ
露地に植える木は季節を問わず緑の美しい
常緑の樹々を見るという決まりになっている
「市中の山居」を千利休は「浮き世の外の道」と呼んだ
中門(ちゅうもん)は内露地と外露地に分ける境界線
檜皮葺(ひわだぶき)編み笠門とも呼ばれている
菊炭(きくずみ)中門から落ちた雨で苔が剝がれないように敷き詰めている
席入り
床の拝見
口切りや 青竹枯木 露次(地)のしも 一指斎 筆 掛け軸
掛け軸と共に茶壷が飾られている
(三段切れでは❓)
呂宋茶壷(るそんちゃつぼ) 一啜斎 銘 壺仙(こせん)
鎌倉時代から茶葉が栽培されていた京都宇治
寒冷紗で覆う
碾茶(てんちゃ)を配合して抹茶を作る
いろんなお茶を混ぜることでより味に深みが出て複層的な味わいでよくなる
色んなパターンでブレンドしてその中からその銘柄に会うお茶を選んで行く
主菓子をいただく
善哉はお祝いのお菓子 炉開きや口切りの時にいただく
楽長入 作 黒茶碗 銘 鉢開 写
露中細見(ろちゅうさいけん)
炉壇(ろだん) 炉の塗り壁の部分
■趣味どきっ!茶の湯 武者小路千家(2)炭手前
茶の湯の正月と呼ばれる11月
新茶をはじめて頂く喜びの季節です
茶室には炉が開かれ暖かな空間が広がります
炉の中は炭が美しく起こる別天地
茶の湯 武者小路千家 第2回は「炉中に広がる世界」
炭点前 ポイント 茶事の中で炭火のピークを調節する
茶事の流れ…席入り 炭点前 懐石 濃茶 薄茶
亭主の点前と客作法
道具を運び出す
炭斗(すみとり)…羽箒(はぼうき) 火箸 鐶(かん) 釜敷(かましき) 香合(こうごう)
灰器(はいき)を運び出す ぬれ灰 灰匙(はいさじ)
釜を上げる 炉縁を掃く
正客 次客 末客 炉を拝見する ぬれ灰をまく 炉の中を羽箒で掃き清める
炭をつぐ 胴(どう)炭 ぎっちょう 割ぎっちょう 管(くだ)炭 枝(えだ)炭 点(てん)炭
の順番に入れていく それぞれの炭には役割がある
菊炭(きくずみ) 次客と末客は元の位置に戻る
その後、香(こう)をたく 練香 一つを下火近くの灰の上にもう一つを胴炭の上に置く
炭点前の最後には場を清めるという役割が重要
時間調節に使う車炭(くるまずみ)がある これは武者小路千家独特のもの
大阪能勢 炭の産地 里で育った良質の櫟(くぬぎ)が使われる
台場くぬぎ 台木と呼ばれる木がたくさんあるところ
太い幹に小さな枝が生えてきて大きくしていく仕立て方を昔からしている
くぬぎには菊炭に適している 髄という栄養や水を上げていくような筋が
(焼くと)隙間となって割れ模様をつくる
炭焼き
皮が薄い 真円(しんえん) 中心から菊割れ 菊割れが細かい肌がゴツゴツしていない
茶炭専門店(京都中京区)で形が整えられる
炭点前の準備
炭斗に炭を入れる 割ぎっちょうから入れる 次に点炭 続いて割管炭
ぎっちょうを二つ入れていく
ポイント 炭点前で炭をつぐ順番を考えて置く
胴炭を割ぎっちょうとぎっちょうの間に載せる
車炭を点炭と管炭の上に載せる
最後に枝炭を入れる空いている所に置きたてかける
炭斗に炭道具を入れる
火箸の鐶を入れる 箒を置く 車炭の上に香合を置いて完成
灰器を準備する
灰の手入れ 番茶で煮だしたお湯を混ぜ合わせる 3か月かけて水分を飛ばす
炉開きの頃ほど良いぬれ灰ができ上がる
火事になったら灰を持って逃げろ
利休さんから使った灰が連綿(れんめん)と受け継がれているから
歴代の汗と涙が積み重なっているから
炉中細見 炉縁
部屋の雰囲気を壊さないためにお化粧をしている
搔合塗 渦蒔絵 炉縁 中村宗哲 造 四畳半以上の部屋で使う
桐木地 菊置上 炉縁 一瀬小兵衛 造 四畳半以下の小間で使う 置上(菊)
旧丸の内ビルヂング古材 松 炉縁 一瀬小兵衛 造
(目立て お茶の湯に転用 茶の湯の醍醐味でもある)
2024年12月11日水曜日
「煎餅」&「故郷(魯迅)」&アインシュタイン&デ・キリコ
尾竹三兄弟を詠う
(尾竹越堂)冬の海兄の役割しっかりと
尾竹竹坡(ちくは)梅を描きて筆を置く
(尾竹国観)山眠る兄に従い姿消す
文展は広告場なり冬ぬくし
美術史から零れ落ちるも冬の月
言動が物議を醸し冬ざるる
■漢字ふむふむ 煎餅といえば…職人魂に感動!
煎餅は日本の平安時代、小麦の材料を油で炒ったものでした。
中国では小麦粉をクレープ状にしたものでした。
ところが江戸時代になると小麦粉以外の材料や
焼く以外の調理法も出て来た。
丸くて平たいものが煎餅の基本
余った米を保存食として煎餅にしたのがはじまり。塩煎餅。
草加市では旅人に売り始めた。煎餅と言えば米となった。
昔の草加の人たちは塩煎餅をさらに美味しくできないか❓
米の蒸し方、干し方、焼き方を少しずつ工夫した
その結果全国的に有名な人気商品になった。
■10min.ボックス現代文 故郷(魯迅)
厳しい寒さの中を、二千里の果てから、
別れて二十年にもなる故郷へ、私は帰った。
もう真冬の候であった。そのうえ故郷へ近づくにつれて、
雲模様は怪しくなり、冷たい風がヒューヒュー
音を立てて、船の中まで吹き込んできた。
苫のすき間から外をうかがうと、鉛色の空の下、
わびしい村々が、いささかの活気もなく、
あちこちに横たわっていた。
覚えず寂寥(せきりょう)の感が胸に込み上げた。
きらめく少年時代
このとき突然、わたしの脳裏に不思議な画面が繰り広げられたー
紺碧の空に金色の丸い月が懸かっている。その下は海辺の砂地で、
見渡すかぎり緑のすいかが植わっている。
その真ん中に十一、二歳の少年が銀の首輪をつるし、
鉄の刺叉を手にして立っている。
そして一匹の「チャー」を目がけて、ヤッとばかり突く。
すると「チャー」は、ひらりと身をかわして、
彼のまたをくぐって逃げてしまう。
この少年がルントウである。
ルントウ(閏土)
ああ、ルントウの心は神秘の宝庫で、わたしの遊び仲間とは大違いだ。
こんなことはわたしの友達は何も知ってはいない。
ルントウが海辺にいるとき、彼らはわたしと同様、
高い塀に囲まれた中庭から四角な空を眺めているだけなのだ。
魯迅(一八八一―一九三六)
故郷での再会
「ああルンちゃんーよく来たね…。」続いて言いたいことが、
あとからあとから、数珠つながりになって出かかった。
チアオチー、跳ね魚、貝殻、チャー…。
だがそれらは、何かでせき止められたように、
頭の中を駆け巡るだけで、口からは出なかった。
彼は突っ立ったままだった。喜びと寂しさの色が顔に現れた。
唇が動いたが、声にはならなかった。
最後に、うやうやしい態度に変わって、はっきりこう言った。
「だんな様!…」
船はひたすら前進した。両岸の緑の山々は、たそがれの中で
薄墨色に変わり、次々と船尾に消えた。わたしといっしょに
窓辺にもたれて、暮れてゆく外の景色を眺めていたホンルが
ふと問いかけた。
「伯父さん、僕たち、いつ帰ってくるの。」
「帰ってくる?どうしてまた、行きもしないうちに、帰るなんて考えたんだい。」
「だって、シュイションが僕に、家に遊びに来いって。」
大きな黒い目をみはって、彼はじっと考え込んでいた。
わたしも、わたしの母も、はっと胸をつかれた。
■ワルイコあつまれ(108)アインシュタイン
Q.アメリカの科学は成功すると思いますか❓
A.わたしが見るかぎりよくやっていると思いますよ
原子と分子の存在 光の性質 E=mc二乗 相対性理論
時間と空間は伸び縮みする
トーマス・エジソン曰く
「アインシュタインの理論については何も言えない
まったく理解できないから」
物理学の常識を覆していた 天才の素顔に迫る
E=mc二乗
エネルギー(E)と質量(m)の関係性を明らかにし物理学の常識を塗り替えた
相対性理論
一番速く走る者は光 秒速30万km
地上で光を放つと約1.3秒で月に到着
光の速度は如何なるところで放たれても秒速30万kmは変わらない
時間は相対的なもの 時間の中で満足できるものをやれ
チャップリン曰く「私は世界中の人に理解され愛されています。
あなたは世界中の人に理解されないのに世界中から賞賛されています。」
■ねこのめ美じゅつかん 49歩め
デ・キリコの言葉
かぎりなく神秘的で 孤独で 奇妙で 奥深い詩情
絵に意味や答えを求めることは無意味で 見る人は見た儘の印象を感じ取ればいい
ということ…。
(尾竹越堂)冬の海兄の役割しっかりと
尾竹竹坡(ちくは)梅を描きて筆を置く
(尾竹国観)山眠る兄に従い姿消す
文展は広告場なり冬ぬくし
美術史から零れ落ちるも冬の月
言動が物議を醸し冬ざるる
■漢字ふむふむ 煎餅といえば…職人魂に感動!
煎餅は日本の平安時代、小麦の材料を油で炒ったものでした。
中国では小麦粉をクレープ状にしたものでした。
ところが江戸時代になると小麦粉以外の材料や
焼く以外の調理法も出て来た。
丸くて平たいものが煎餅の基本
余った米を保存食として煎餅にしたのがはじまり。塩煎餅。
草加市では旅人に売り始めた。煎餅と言えば米となった。
昔の草加の人たちは塩煎餅をさらに美味しくできないか❓
米の蒸し方、干し方、焼き方を少しずつ工夫した
その結果全国的に有名な人気商品になった。
■10min.ボックス現代文 故郷(魯迅)
厳しい寒さの中を、二千里の果てから、
別れて二十年にもなる故郷へ、私は帰った。
もう真冬の候であった。そのうえ故郷へ近づくにつれて、
雲模様は怪しくなり、冷たい風がヒューヒュー
音を立てて、船の中まで吹き込んできた。
苫のすき間から外をうかがうと、鉛色の空の下、
わびしい村々が、いささかの活気もなく、
あちこちに横たわっていた。
覚えず寂寥(せきりょう)の感が胸に込み上げた。
きらめく少年時代
このとき突然、わたしの脳裏に不思議な画面が繰り広げられたー
紺碧の空に金色の丸い月が懸かっている。その下は海辺の砂地で、
見渡すかぎり緑のすいかが植わっている。
その真ん中に十一、二歳の少年が銀の首輪をつるし、
鉄の刺叉を手にして立っている。
そして一匹の「チャー」を目がけて、ヤッとばかり突く。
すると「チャー」は、ひらりと身をかわして、
彼のまたをくぐって逃げてしまう。
この少年がルントウである。
ルントウ(閏土)
ああ、ルントウの心は神秘の宝庫で、わたしの遊び仲間とは大違いだ。
こんなことはわたしの友達は何も知ってはいない。
ルントウが海辺にいるとき、彼らはわたしと同様、
高い塀に囲まれた中庭から四角な空を眺めているだけなのだ。
魯迅(一八八一―一九三六)
故郷での再会
「ああルンちゃんーよく来たね…。」続いて言いたいことが、
あとからあとから、数珠つながりになって出かかった。
チアオチー、跳ね魚、貝殻、チャー…。
だがそれらは、何かでせき止められたように、
頭の中を駆け巡るだけで、口からは出なかった。
彼は突っ立ったままだった。喜びと寂しさの色が顔に現れた。
唇が動いたが、声にはならなかった。
最後に、うやうやしい態度に変わって、はっきりこう言った。
「だんな様!…」
船はひたすら前進した。両岸の緑の山々は、たそがれの中で
薄墨色に変わり、次々と船尾に消えた。わたしといっしょに
窓辺にもたれて、暮れてゆく外の景色を眺めていたホンルが
ふと問いかけた。
「伯父さん、僕たち、いつ帰ってくるの。」
「帰ってくる?どうしてまた、行きもしないうちに、帰るなんて考えたんだい。」
「だって、シュイションが僕に、家に遊びに来いって。」
大きな黒い目をみはって、彼はじっと考え込んでいた。
わたしも、わたしの母も、はっと胸をつかれた。
■ワルイコあつまれ(108)アインシュタイン
Q.アメリカの科学は成功すると思いますか❓
A.わたしが見るかぎりよくやっていると思いますよ
原子と分子の存在 光の性質 E=mc二乗 相対性理論
時間と空間は伸び縮みする
トーマス・エジソン曰く
「アインシュタインの理論については何も言えない
まったく理解できないから」
物理学の常識を覆していた 天才の素顔に迫る
E=mc二乗
エネルギー(E)と質量(m)の関係性を明らかにし物理学の常識を塗り替えた
相対性理論
一番速く走る者は光 秒速30万km
地上で光を放つと約1.3秒で月に到着
光の速度は如何なるところで放たれても秒速30万kmは変わらない
時間は相対的なもの 時間の中で満足できるものをやれ
チャップリン曰く「私は世界中の人に理解され愛されています。
あなたは世界中の人に理解されないのに世界中から賞賛されています。」
■ねこのめ美じゅつかん 49歩め
デ・キリコの言葉
かぎりなく神秘的で 孤独で 奇妙で 奥深い詩情
絵に意味や答えを求めることは無意味で 見る人は見た儘の印象を感じ取ればいい
ということ…。
2024年12月10日火曜日
100分de名著 有吉佐和子①
冬の月インク固まるボールペン
冬の原自由に色をはべらせて
広重を模写したゴッホ冬星座
冬日没(い)る個性を残し断捨離へ
気紛れと共に歩みて冬の空
■100分de名著有吉佐和子スペシャル①埋もれた「女たちの人生」を掘り起こす
女性のリアル
山下聖美 伊集院光 阿部みちこ
1978年放送「歴史への招待」より
私は女だから女を書くという単純な理由じゃなくて
あまりにも多くの女が存在を蔑ろにされてきた
女を忘れていませんか?
加恵は八歳のとき初めて於継(おつぎ)を見た。
話を聞かせてくれた乳母の民に早速ねだって
隣村の平山へ出かけたのは夏で、
めざす家の前庭には雑草が生い繁り、
気違い茄子(なすび)の白い花々が暑苦しい緑の中で、
妙に冴え冴えと浮かんで見えた。
それは古ぼけた家の軒からふと外へ出て来た於継の色白の横顔と、
あまりにもよく似ていた。
手桶を下げている加恵に雲平は気がついた様子だったが、
一緒に振返った於継は、「ああ、もうよろしいわ、ご苦労さん」
と笑いながら云い、雲平の背を押して奥へ行ってしまった。
「今夜はひとりで、ゆっくりおやすみ」
加恵の心の中に思いがけず、まったく思いがけない烈しさで、
於継に対する憎悪が生まれたのはこの時である。
加恵は、女が家に入ることの難しさが、この断たれることのない
血縁の壁の中に入ることの難しさだということを
初めて思い知らされたのであった。
しかし加恵は絶望していなかった。それどころか、
それまで一途に敬愛していた於継に闘志を湧き立たせていた。
夫の母親は、妻には敵であった。
何一つ目に見える衝突があったわけでもないのに、
この女の二人はいつの頃からか滅多に口をきかなくなってしまっている。
(中略)
今では二人とも黙りこくって、
どちらから先に部屋を出ていくかという根競べしている。
あなたのためではなくお腹の子のため
「ご苦労さんやったのし、加恵さん。この次には男の子をオ産んで頂かして、え」
「麻沸騰(まふつとう)」の実験は私は使うてやりよし」
「雲平さんの研究に人間で試すことだけが残ってあるのを、
身近くいて気付かないのは阿保だけや。
私は雲平さんを産んだ親ですよってに、雲平さんの欲しいもの、
やりたいことは誰にましてはっきりと分かるのやしてよし」
「とんでもないことやしてよし。その実験に私は使うて頂こうと
かねてから心にきめて真下のよし。私で試して頂かして」
「分った」彼は自分の体を絞り上げたように云った。
云いきったとき、彼の目は涙とは違う、脂ぎったもので光っていた。
その太い眉には本然の慾望を通すという決意が見えた。
史実の裏に「あったかもしれない」物語に肉付けする手腕
通仙散 青洲が開発した全身麻酔薬
薬が悪かったかと雲平さんが心配するのをなんで黙って
おくれやなんだのやろ至らんことやして
加恵の腹部に胎動があった。生まれてくるものが生命を持っている
証拠を示しているのであった。加恵は黙然としていた。
死ぬ者を思っているとき、これから生きる者が胎動している。
人間というものが生まれたり死んだりするのは、
いったいなんという恐ろしいことなのだろう。
「なんで泣いてなさるのよし」
「そのことやったら悔やむどころか、私は嫁に行かなんだことを
何よりの幸福やったと思うて死んで行くんやしてよし」
私は見てましたえ。お母はんと、あねさんとのことは、
ようく見てましたのよし。
なんという怖ろしい間柄やろうと思うてましたのよし。
嫁に行くことが、あんな泥沼にぬめりこむことなのやったら、
なんで婚礼に女は着飾って晴れをしますのやろ。長い振袖も富貴綿の
厚い裾も翌日から黒い火が燃えつくようになるのによし。」
「そう思うてなさるのは、あねさんが勝ったからやわ」
女同士の争いも結局は男に利する家というシステムのいびつな構造
小陸は看破していた
小陸の大きな視点は有吉佐和子自身の視点
俯瞰するまなざし 人の生死を不偏的に描いている
菖蒲池の前にある華岡家の墓地の中で
加恵の墓石は於継の墓を背後にして、
於継のものより一回り以上も大きい。
しかしこの二人の女たちの墓石を二つ重ねて
倍にしても及ばないのは、華岡青洲の墓である。
この墓の真正面に立つと、すぐ後に順次に並んでいる加恵の墓石も、
於継の墓石も視界から消えてしまう。それほど大きい。
小さなお墓の存在こそ忘れるな というメッセージを受け取った山下聖美女史
小さき者、声なき者、無数の人たちの人生があった。このような人の声を忘れるな
リアルな人生というのは伏線回収全部できているわけではない
有吉佐和子女史は小説に文学にそれを残すことができる人だった
冬の原自由に色をはべらせて
広重を模写したゴッホ冬星座
冬日没(い)る個性を残し断捨離へ
気紛れと共に歩みて冬の空
■100分de名著有吉佐和子スペシャル①埋もれた「女たちの人生」を掘り起こす
女性のリアル
山下聖美 伊集院光 阿部みちこ
1978年放送「歴史への招待」より
私は女だから女を書くという単純な理由じゃなくて
あまりにも多くの女が存在を蔑ろにされてきた
女を忘れていませんか?
加恵は八歳のとき初めて於継(おつぎ)を見た。
話を聞かせてくれた乳母の民に早速ねだって
隣村の平山へ出かけたのは夏で、
めざす家の前庭には雑草が生い繁り、
気違い茄子(なすび)の白い花々が暑苦しい緑の中で、
妙に冴え冴えと浮かんで見えた。
それは古ぼけた家の軒からふと外へ出て来た於継の色白の横顔と、
あまりにもよく似ていた。
手桶を下げている加恵に雲平は気がついた様子だったが、
一緒に振返った於継は、「ああ、もうよろしいわ、ご苦労さん」
と笑いながら云い、雲平の背を押して奥へ行ってしまった。
「今夜はひとりで、ゆっくりおやすみ」
加恵の心の中に思いがけず、まったく思いがけない烈しさで、
於継に対する憎悪が生まれたのはこの時である。
加恵は、女が家に入ることの難しさが、この断たれることのない
血縁の壁の中に入ることの難しさだということを
初めて思い知らされたのであった。
しかし加恵は絶望していなかった。それどころか、
それまで一途に敬愛していた於継に闘志を湧き立たせていた。
夫の母親は、妻には敵であった。
何一つ目に見える衝突があったわけでもないのに、
この女の二人はいつの頃からか滅多に口をきかなくなってしまっている。
(中略)
今では二人とも黙りこくって、
どちらから先に部屋を出ていくかという根競べしている。
あなたのためではなくお腹の子のため
「ご苦労さんやったのし、加恵さん。この次には男の子をオ産んで頂かして、え」
「麻沸騰(まふつとう)」の実験は私は使うてやりよし」
「雲平さんの研究に人間で試すことだけが残ってあるのを、
身近くいて気付かないのは阿保だけや。
私は雲平さんを産んだ親ですよってに、雲平さんの欲しいもの、
やりたいことは誰にましてはっきりと分かるのやしてよし」
「とんでもないことやしてよし。その実験に私は使うて頂こうと
かねてから心にきめて真下のよし。私で試して頂かして」
「分った」彼は自分の体を絞り上げたように云った。
云いきったとき、彼の目は涙とは違う、脂ぎったもので光っていた。
その太い眉には本然の慾望を通すという決意が見えた。
史実の裏に「あったかもしれない」物語に肉付けする手腕
通仙散 青洲が開発した全身麻酔薬
薬が悪かったかと雲平さんが心配するのをなんで黙って
おくれやなんだのやろ至らんことやして
加恵の腹部に胎動があった。生まれてくるものが生命を持っている
証拠を示しているのであった。加恵は黙然としていた。
死ぬ者を思っているとき、これから生きる者が胎動している。
人間というものが生まれたり死んだりするのは、
いったいなんという恐ろしいことなのだろう。
「なんで泣いてなさるのよし」
「そのことやったら悔やむどころか、私は嫁に行かなんだことを
何よりの幸福やったと思うて死んで行くんやしてよし」
私は見てましたえ。お母はんと、あねさんとのことは、
ようく見てましたのよし。
なんという怖ろしい間柄やろうと思うてましたのよし。
嫁に行くことが、あんな泥沼にぬめりこむことなのやったら、
なんで婚礼に女は着飾って晴れをしますのやろ。長い振袖も富貴綿の
厚い裾も翌日から黒い火が燃えつくようになるのによし。」
「そう思うてなさるのは、あねさんが勝ったからやわ」
女同士の争いも結局は男に利する家というシステムのいびつな構造
小陸は看破していた
小陸の大きな視点は有吉佐和子自身の視点
俯瞰するまなざし 人の生死を不偏的に描いている
菖蒲池の前にある華岡家の墓地の中で
加恵の墓石は於継の墓を背後にして、
於継のものより一回り以上も大きい。
しかしこの二人の女たちの墓石を二つ重ねて
倍にしても及ばないのは、華岡青洲の墓である。
この墓の真正面に立つと、すぐ後に順次に並んでいる加恵の墓石も、
於継の墓石も視界から消えてしまう。それほど大きい。
小さなお墓の存在こそ忘れるな というメッセージを受け取った山下聖美女史
小さき者、声なき者、無数の人たちの人生があった。このような人の声を忘れるな
リアルな人生というのは伏線回収全部できているわけではない
有吉佐和子女史は小説に文学にそれを残すことができる人だった
2024年12月9日月曜日
兼題「聖夜」&テーマ「恋」
カラフルな車増殖過疎の冬
冬の朝ピンクの髪よビビリ毛よ
冬の暮腹突き出して歩く人
百均の値下げ商品白き息
寄せ鍋や賞味期限を過ぎてなお
■NHK俳句 兼題「聖夜」
選者 西山睦 ゲスト 荒井千佐代 司会 柴田英嗣
年間テーマ「やさしい手」
海原のけふきらきらと冬椿 西山睦
・荒井千佐代「やさしい手」俳句三選
忌 鍵盤のひとつ沈みて原爆忌
灯 オルガニストのみに灯や降誕祭(クリスマス)
影 白鍵に黒鍵の影凍返る(いてかえる)
凍返る:春の季語 春になって一度暖かくなってから
突然寒い日が戻って来ること
俳句には浄化作用があると思う
内面を詠むことが多いので自分の気持ちが重くなることも
心が濁ったり悩んだりしている時に一句にしようと精神を集中する
その段階で浄化されている 荒井千佐代
言葉の力 重荷をちょっと預ける 西山睦
俳句に出会わせてくれた神父様に感謝 柴田英嗣
オルガンと俳句は神父様の勧めで 俳句を残してきたから
今日のような機会を授かった 荒井千佐代
・今週の兼題「聖夜」(クリスマス・イブのこと)
旧い教会の暦では1日の始まりは朝ではなく日没からとなっている
特選六句発表
新妻の祈りに習ふ聖夜かな 楽和音(らくわおん)
夜半過ぎて消えぬ花舗(かほ)の灯聖夜かな 清水道夫
(花舗とは花屋さんのこと)
保育器の吾子へ聖夜の階のぼる 竹内美代子
許されて父母訪(と)ふ雪の聖夜かな 君島忍
聖夜の雪静かに包む街の声 相原夢凛(まりん)
白衣へと着替え聖夜の隅にいる 十月小萩(じゅうがつこはぎ)
特選三席
一席 をさなごや百の質問して聖夜 北清水麻衣子
二席 卒論の最終ページ聖夜の灯 佐藤雅之
三席 聖夜更(ふ)くフェリーに回る洗濯機 高松周璻(しゅうすい)
・俳句やろうぜ
岡一夏(31) 26歳から俳句作り
わずか5年で実力をつけ 投句した俳句は次々と入選 理系の俳人
先生のマスクが数式を唱ふ 岡一夏
「NHK俳句」2021年12月12日放送
俳句は感性100%ではない 技術(五七五・季語など)の部分もある
「観察して描写する」これはまさにScience
それでいいのだったら自分にもできるのではないかと思い始めた
独学の俳句 様々な媒体に投句
夏井いつき先生に選評を貰いエンジンがかかった
クロイワ推しの一句
阿(あ)の胸筋吽(うん)の腹筋雷迸る(らいはしる) 岡一夏
「NHK俳句」2022年7月3日放送
金剛力士の阿吽形像 隆々としたそれぞれの筋肉
リズム感よく読まれている
一線の雷に照らしだされるかのよう
モデルのしたのは東大寺 南大門の仁王像 修学旅行の記憶
胸筋の阿形像 腹筋の吽形像
上五中七が強いエネルギー 雷は走るよりは
「迸る(ほとばしる)」のほうが激しく雷が落ちている感じがした
拮抗させる 強強(つよつよ)の「取り合わせ」
Science的 バランスを考えるのは理系の俳人
・柴田の歩み
お花を買って帰ろう
■NHK短歌 テーマ「恋」
選者 俵万智 ゲスト 泉里香 司会 ヒコロヒー
年間テーマ「光る愛の歌」
泉里香さんは「光る君へ」の中で和泉式部の歌を五句読まれました。
その中で一番心に残っている句は
黒髪の乱れも知らずうちふせばまづかきやりし人ぞ恋しき 和泉式部
彼女の大胆さが歌に表れていました 泉里香
「まづ」という言葉づかいを古典でした人はいないくらい大胆 俵万智
「恋」は歌にとって王道中の王道のテーマ
歌は人の心を詠むもの 一番心が揺れ動くのは恋の場面
・入選九首 テーマ「恋」
バファリンを三日に一度飲むと言うそのときそばにいたいと願う
守谷(もりたに)直紀
送るよ、と駅までついてきてくれる駅が火星にあればいいのに
葉村直
初恋を相談できる窓口の小さなヤドカリの係員
久保哲也
三席 私 新しいヒールはいつも靴擦れでたぶんあなたのことも好きになる
神守彩枝(かみもりさえ)
「夫婦なら社宅で家賃二万だって」恋が終わって暮らしが始まる
中山あゆみ(「」はプロポーズかも…❓)
一席 許される範囲で想うだけでいい君の街産アスパラを買う
板倉亜澄(あずみ)
どこからが恋なのだろう点滅の青信号に止まれる私
りのん
レンチンのご飯で済ます週末に結婚報告LINEが届く
さとうきいろ
二席 私 俺たちの住むべき世界が違うなら家を持たずに飛び回ろうよ
葉山あも
・「光る君へ」で短歌を10倍楽しもう
憂きことも恋しきことも秋の夜の月には見ゆる心地こそすれ
和泉式部
辛いこと恋しいことを映し出す鏡と思う夜の月
万智訳
和泉式部のこれまでの恋の経験を月に重ねたような艶っぽい歌と私は解釈した
泉里香
「憂きこと」辛いことや恋しいことその恋の気持ちが歌にこめられている
俵万智
月を見てそこに何を見るかがその人の心を反映する
人を好きになる気持ちは変わらないが今の私たちだからこそ詠める恋の歌もある
長寿の時代になって70代80代の恋の歌も詠めるようになってきた
「どうだった?私のいない人生は」聞けず飲み干すミントなんちゃら
「アボカドの種」より
この歌は30年ぶりくらいに元彼に会ったときの歌
生まれて20年の人にはできない歌 年を重ねるごとに詠める歌は増えていく
恋は若い人の特権のような感じもするが歳を重ねたからこそ詠める「恋」もある
俵万智
・短歌づくりのポイント
時代ごとの恋愛のスタイルやアイテムを入れて現代だからこそ詠める恋の歌に挑戦しよう
「黙って喋って」ヒコロヒー著
恋は人の心を観察すること 俵万智
「もういいよ。反省してるなら」「本当?本当にごめん。もう傷つけたり
悲しませたりしないから。本当に、綾香のこと大事にするから。」
理玖は意を決したように、まるで何か覚悟でも決めたかのようにそう言って、
私は今日もまた、米印みたいだなあと思う。CDに付いていた歌詞カードの
サビの部分は上に米印が小さく打たれていて、後半になると「米印、繰り返し」
と略されている。理玖はこういう時に、いつもその言葉を初めて、
発するみたいな姿勢で何かを言うけど、その大半はただの米印で、あの時や
あの時と同じことを言うだけの米印部分を、親切丁寧になぞって
言ってくることさえもやっぱり、いつものことだった。
「黙って、喋って」ヒコロヒー著「ばかだねえ」より
俵万智女史がこの一文を短歌にしてみた
※(こめじるし)サビの部分を繰り返すようにあなたがまた言う「ごめん」
俵万智
これは二人がまた※に向かっていく様子が巧いとヒコロヒー女史
恋をしているときは心が敏感になっているので恋以外の歌もたくさん生まれがち
自分の好きなものに恋をする気持ちを持つのは歌を作るうえで大事
・言葉のバトン
はじめての海にほほえむ君の頬
中前安弘 スムージー・サラダ店店主
⇩
脊柱起立筋のサメを見る
上野俊彦 日本ボディビル・フィットネス連盟
冬の朝ピンクの髪よビビリ毛よ
冬の暮腹突き出して歩く人
百均の値下げ商品白き息
寄せ鍋や賞味期限を過ぎてなお
■NHK俳句 兼題「聖夜」
選者 西山睦 ゲスト 荒井千佐代 司会 柴田英嗣
年間テーマ「やさしい手」
海原のけふきらきらと冬椿 西山睦
・荒井千佐代「やさしい手」俳句三選
忌 鍵盤のひとつ沈みて原爆忌
灯 オルガニストのみに灯や降誕祭(クリスマス)
影 白鍵に黒鍵の影凍返る(いてかえる)
凍返る:春の季語 春になって一度暖かくなってから
突然寒い日が戻って来ること
俳句には浄化作用があると思う
内面を詠むことが多いので自分の気持ちが重くなることも
心が濁ったり悩んだりしている時に一句にしようと精神を集中する
その段階で浄化されている 荒井千佐代
言葉の力 重荷をちょっと預ける 西山睦
俳句に出会わせてくれた神父様に感謝 柴田英嗣
オルガンと俳句は神父様の勧めで 俳句を残してきたから
今日のような機会を授かった 荒井千佐代
・今週の兼題「聖夜」(クリスマス・イブのこと)
旧い教会の暦では1日の始まりは朝ではなく日没からとなっている
特選六句発表
新妻の祈りに習ふ聖夜かな 楽和音(らくわおん)
夜半過ぎて消えぬ花舗(かほ)の灯聖夜かな 清水道夫
(花舗とは花屋さんのこと)
保育器の吾子へ聖夜の階のぼる 竹内美代子
許されて父母訪(と)ふ雪の聖夜かな 君島忍
聖夜の雪静かに包む街の声 相原夢凛(まりん)
白衣へと着替え聖夜の隅にいる 十月小萩(じゅうがつこはぎ)
特選三席
一席 をさなごや百の質問して聖夜 北清水麻衣子
二席 卒論の最終ページ聖夜の灯 佐藤雅之
三席 聖夜更(ふ)くフェリーに回る洗濯機 高松周璻(しゅうすい)
・俳句やろうぜ
岡一夏(31) 26歳から俳句作り
わずか5年で実力をつけ 投句した俳句は次々と入選 理系の俳人
先生のマスクが数式を唱ふ 岡一夏
「NHK俳句」2021年12月12日放送
俳句は感性100%ではない 技術(五七五・季語など)の部分もある
「観察して描写する」これはまさにScience
それでいいのだったら自分にもできるのではないかと思い始めた
独学の俳句 様々な媒体に投句
夏井いつき先生に選評を貰いエンジンがかかった
クロイワ推しの一句
阿(あ)の胸筋吽(うん)の腹筋雷迸る(らいはしる) 岡一夏
「NHK俳句」2022年7月3日放送
金剛力士の阿吽形像 隆々としたそれぞれの筋肉
リズム感よく読まれている
一線の雷に照らしだされるかのよう
モデルのしたのは東大寺 南大門の仁王像 修学旅行の記憶
胸筋の阿形像 腹筋の吽形像
上五中七が強いエネルギー 雷は走るよりは
「迸る(ほとばしる)」のほうが激しく雷が落ちている感じがした
拮抗させる 強強(つよつよ)の「取り合わせ」
Science的 バランスを考えるのは理系の俳人
・柴田の歩み
お花を買って帰ろう
■NHK短歌 テーマ「恋」
選者 俵万智 ゲスト 泉里香 司会 ヒコロヒー
年間テーマ「光る愛の歌」
泉里香さんは「光る君へ」の中で和泉式部の歌を五句読まれました。
その中で一番心に残っている句は
黒髪の乱れも知らずうちふせばまづかきやりし人ぞ恋しき 和泉式部
彼女の大胆さが歌に表れていました 泉里香
「まづ」という言葉づかいを古典でした人はいないくらい大胆 俵万智
「恋」は歌にとって王道中の王道のテーマ
歌は人の心を詠むもの 一番心が揺れ動くのは恋の場面
・入選九首 テーマ「恋」
バファリンを三日に一度飲むと言うそのときそばにいたいと願う
守谷(もりたに)直紀
送るよ、と駅までついてきてくれる駅が火星にあればいいのに
葉村直
初恋を相談できる窓口の小さなヤドカリの係員
久保哲也
三席 私 新しいヒールはいつも靴擦れでたぶんあなたのことも好きになる
神守彩枝(かみもりさえ)
「夫婦なら社宅で家賃二万だって」恋が終わって暮らしが始まる
中山あゆみ(「」はプロポーズかも…❓)
一席 許される範囲で想うだけでいい君の街産アスパラを買う
板倉亜澄(あずみ)
どこからが恋なのだろう点滅の青信号に止まれる私
りのん
レンチンのご飯で済ます週末に結婚報告LINEが届く
さとうきいろ
二席 私 俺たちの住むべき世界が違うなら家を持たずに飛び回ろうよ
葉山あも
・「光る君へ」で短歌を10倍楽しもう
憂きことも恋しきことも秋の夜の月には見ゆる心地こそすれ
和泉式部
辛いこと恋しいことを映し出す鏡と思う夜の月
万智訳
和泉式部のこれまでの恋の経験を月に重ねたような艶っぽい歌と私は解釈した
泉里香
「憂きこと」辛いことや恋しいことその恋の気持ちが歌にこめられている
俵万智
月を見てそこに何を見るかがその人の心を反映する
人を好きになる気持ちは変わらないが今の私たちだからこそ詠める恋の歌もある
長寿の時代になって70代80代の恋の歌も詠めるようになってきた
「どうだった?私のいない人生は」聞けず飲み干すミントなんちゃら
「アボカドの種」より
この歌は30年ぶりくらいに元彼に会ったときの歌
生まれて20年の人にはできない歌 年を重ねるごとに詠める歌は増えていく
恋は若い人の特権のような感じもするが歳を重ねたからこそ詠める「恋」もある
俵万智
・短歌づくりのポイント
時代ごとの恋愛のスタイルやアイテムを入れて現代だからこそ詠める恋の歌に挑戦しよう
「黙って喋って」ヒコロヒー著
恋は人の心を観察すること 俵万智
「もういいよ。反省してるなら」「本当?本当にごめん。もう傷つけたり
悲しませたりしないから。本当に、綾香のこと大事にするから。」
理玖は意を決したように、まるで何か覚悟でも決めたかのようにそう言って、
私は今日もまた、米印みたいだなあと思う。CDに付いていた歌詞カードの
サビの部分は上に米印が小さく打たれていて、後半になると「米印、繰り返し」
と略されている。理玖はこういう時に、いつもその言葉を初めて、
発するみたいな姿勢で何かを言うけど、その大半はただの米印で、あの時や
あの時と同じことを言うだけの米印部分を、親切丁寧になぞって
言ってくることさえもやっぱり、いつものことだった。
「黙って、喋って」ヒコロヒー著「ばかだねえ」より
俵万智女史がこの一文を短歌にしてみた
※(こめじるし)サビの部分を繰り返すようにあなたがまた言う「ごめん」
俵万智
これは二人がまた※に向かっていく様子が巧いとヒコロヒー女史
恋をしているときは心が敏感になっているので恋以外の歌もたくさん生まれがち
自分の好きなものに恋をする気持ちを持つのは歌を作るうえで大事
・言葉のバトン
はじめての海にほほえむ君の頬
中前安弘 スムージー・サラダ店店主
⇩
脊柱起立筋のサメを見る
上野俊彦 日本ボディビル・フィットネス連盟
2024年12月8日日曜日
よみ旅!in山形後編&高山右近&ルイーズ・ブルジョワ&「鸊鷉(かいつぶり)」
子育て知らぬオランウータン冬野
森の人オランウータン冬の樹々
母ディラは子育て放棄森の冬
今を生きる全ての人へ山眠る
削ぎ落された幾何学模様冬星座
■夏井いつきのよみ旅!in山形 後編
尾花沢市観光ガイド 菅野美和子
「こて絵」こてというとどうしても壁を塗ったりってイメージ
「名乗り看板」とか戸袋が温泉街に集まっているのは珍しい
秋高しばっさばっさとシーツ干す 伊藤女以己(めいこ)
青とんぼ素肌にとまった露天風呂 堀典子
ご子息 真之介さんMEMO
1人暮らしの部屋で13種・45匹の生き物を飼育
好きなものを好きと言えねぇ男の方が格好悪い ROLAND
満月や尖る心の帰り道 伊藤幸(こう) 夫・健一さん
”スルースキル“って今の現代社会を生き抜くためにマストな能力 ROLAND
将棋駒生産日本一
将棋駒彫師 国井天竜(てんりゅう)
数え90歳 未だ所得税を支払っておられます
すかし彫り
銘駒を彫りつつ聞こゆる夜の鳴虫(むし) 国井天竜
天竜という雅号には天童の竜になるという決意が込められている
「絶対負けない 一匹おおかみになっちゃったから
天竜でどんどん伸びてきて今に至った」
一心に彫れば月へとのぼる龍 夏井いつき
七夕や子らの短冊見て冥利(みょうり) 植松保信
七夕:秋の季語
♪ヒロシマの有る国で 作詞・作曲 山本さとし
ヒロシマの有る国で しなければならないことは
ともる戦の火種を 消すことだろう
父と食む渋抜け粉ふく干し柿を 佐藤亜紀江
俳句ひとくちMAMO
干し柿は秋の季語 東北では冷たい風を利用
いつきセレクト
ひと冬を無事に過ごして村の人 庄司芳彦
■偉人・敗北からの教訓 第69回「高山右近・日本を追われたキリシタン大名」
高山右近 敗北の伏線
表向きだけの「棄教」ができなかった
高山右近 敗北の瞬間
武将として生き残る選択肢を確保できなかった
国を去る自らの想い
かへらじと かねて思へば 梓弓 なき数にいる 名をぞ とどむる
400年後に讃えられた右近
ユスト高山右近 列福式 2017年大阪城ホール
「福者」に列せられる
「信じているものを示せ」と言われた時に何かを証明したいが
「一番信じている事」を示すのは自分の命を懸けることではないかと思う
右近は初め殺し合いの中で生きていたが右近の良心がそれでは収まらなかった
上智大学教授 カトリック中央協議会委員 川村信三さん
高山右近の敗北から学ぶ教訓
一時の感情に左右されず将来を俯瞰して判断する
■日曜美術館 和解の糸を紡ぐ旅 ルイーズ・ブルジョワ
過去を捨てないなら過去を作り直すべきだわ
それが私の仕事である
ルイーズ・ブルジョワ
荷を担う女は荷に対して責任があり、
その荷はきわめて脆く、女は責任を一身に負う。
そう、それは良い母親ではないかもしれないという恐れ。
ルイーズ・ブルジョワ
「攻撃」しないと生きている気がしない
1961年頃
「彼女は私を見捨てた」(1978)演出・作詞 ルイーズ・ブルジョワ
彼女は私を見捨てた でも言わせて 彼女は母だったと
あの人は母だった 私はひとり
わたしの実家は直し屋だった。蜘蛛も直し屋。
人が巣の網にひっかかっても、蜘蛛は怒らない。
蜘蛛は巣を編み、繕って元通りにする。
ルイーズ・ブルジョワ
ルイーズ・ブルジョワ展 コピー
地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ
■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「鸊鷉(かいつぶり)」
なにかもう漢字がクシャクシャゴチャゴチャとしていますけれど
鳥という字が入っているから何か鳥なのだろうなと
予測ができる程度のものです この鸊鷉は漢字の一文字「入」という字に
「鳥」という字を合体させてこの「鳰(にお)」という読み方の方が
よく目にする形かもしれないですね 一年中湖や沼など
水辺で見かける鳥ではあるのですけれども 冬の湖の中でもよく見かける
しかもその色彩が目立つということから 冬の季語とされています
鳴き声も結構騒がしいというか 明るい耳によく届く声として
バードウォッチャーには親しまれているようです
非常に潜水が得意になっておりまして長い間水の中に潜って
魚を獲ることから息長鳥という息が長い鳥 そういう異称
別の呼び方もあるそうです 見かけて「あ、あれが『鸊鷉』だ」
なんて言えたらちょっと俳人っぽいですよね
森の人オランウータン冬の樹々
母ディラは子育て放棄森の冬
今を生きる全ての人へ山眠る
削ぎ落された幾何学模様冬星座
■夏井いつきのよみ旅!in山形 後編
尾花沢市観光ガイド 菅野美和子
「こて絵」こてというとどうしても壁を塗ったりってイメージ
「名乗り看板」とか戸袋が温泉街に集まっているのは珍しい
秋高しばっさばっさとシーツ干す 伊藤女以己(めいこ)
青とんぼ素肌にとまった露天風呂 堀典子
ご子息 真之介さんMEMO
1人暮らしの部屋で13種・45匹の生き物を飼育
好きなものを好きと言えねぇ男の方が格好悪い ROLAND
満月や尖る心の帰り道 伊藤幸(こう) 夫・健一さん
”スルースキル“って今の現代社会を生き抜くためにマストな能力 ROLAND
将棋駒生産日本一
将棋駒彫師 国井天竜(てんりゅう)
数え90歳 未だ所得税を支払っておられます
すかし彫り
銘駒を彫りつつ聞こゆる夜の鳴虫(むし) 国井天竜
天竜という雅号には天童の竜になるという決意が込められている
「絶対負けない 一匹おおかみになっちゃったから
天竜でどんどん伸びてきて今に至った」
一心に彫れば月へとのぼる龍 夏井いつき
七夕や子らの短冊見て冥利(みょうり) 植松保信
七夕:秋の季語
♪ヒロシマの有る国で 作詞・作曲 山本さとし
ヒロシマの有る国で しなければならないことは
ともる戦の火種を 消すことだろう
父と食む渋抜け粉ふく干し柿を 佐藤亜紀江
俳句ひとくちMAMO
干し柿は秋の季語 東北では冷たい風を利用
いつきセレクト
ひと冬を無事に過ごして村の人 庄司芳彦
■偉人・敗北からの教訓 第69回「高山右近・日本を追われたキリシタン大名」
高山右近 敗北の伏線
表向きだけの「棄教」ができなかった
高山右近 敗北の瞬間
武将として生き残る選択肢を確保できなかった
国を去る自らの想い
かへらじと かねて思へば 梓弓 なき数にいる 名をぞ とどむる
400年後に讃えられた右近
ユスト高山右近 列福式 2017年大阪城ホール
「福者」に列せられる
「信じているものを示せ」と言われた時に何かを証明したいが
「一番信じている事」を示すのは自分の命を懸けることではないかと思う
右近は初め殺し合いの中で生きていたが右近の良心がそれでは収まらなかった
上智大学教授 カトリック中央協議会委員 川村信三さん
高山右近の敗北から学ぶ教訓
一時の感情に左右されず将来を俯瞰して判断する
■日曜美術館 和解の糸を紡ぐ旅 ルイーズ・ブルジョワ
過去を捨てないなら過去を作り直すべきだわ
それが私の仕事である
ルイーズ・ブルジョワ
荷を担う女は荷に対して責任があり、
その荷はきわめて脆く、女は責任を一身に負う。
そう、それは良い母親ではないかもしれないという恐れ。
ルイーズ・ブルジョワ
「攻撃」しないと生きている気がしない
1961年頃
「彼女は私を見捨てた」(1978)演出・作詞 ルイーズ・ブルジョワ
彼女は私を見捨てた でも言わせて 彼女は母だったと
あの人は母だった 私はひとり
わたしの実家は直し屋だった。蜘蛛も直し屋。
人が巣の網にひっかかっても、蜘蛛は怒らない。
蜘蛛は巣を編み、繕って元通りにする。
ルイーズ・ブルジョワ
ルイーズ・ブルジョワ展 コピー
地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ
■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「鸊鷉(かいつぶり)」
なにかもう漢字がクシャクシャゴチャゴチャとしていますけれど
鳥という字が入っているから何か鳥なのだろうなと
予測ができる程度のものです この鸊鷉は漢字の一文字「入」という字に
「鳥」という字を合体させてこの「鳰(にお)」という読み方の方が
よく目にする形かもしれないですね 一年中湖や沼など
水辺で見かける鳥ではあるのですけれども 冬の湖の中でもよく見かける
しかもその色彩が目立つということから 冬の季語とされています
鳴き声も結構騒がしいというか 明るい耳によく届く声として
バードウォッチャーには親しまれているようです
非常に潜水が得意になっておりまして長い間水の中に潜って
魚を獲ることから息長鳥という息が長い鳥 そういう異称
別の呼び方もあるそうです 見かけて「あ、あれが『鸊鷉』だ」
なんて言えたらちょっと俳人っぽいですよね
2024年12月7日土曜日
100分de名著❝百人一首❞(4)時空と国境を超えて
言の葉を視覚に変えん長き夜よ
暮易し闇の生み出す世界へと
日短し命を懸けて遊びます
情報の墓場を照らす寒昴(かんすばる)
黒に見る生のイメージ寒威(かんい)かな
■100分de名著❝百人一首❞(4)時空と国境を超えて
ピーター・マクミラン 伊集院光 阿部みちこ
落語「崇徳院」と「ちはやふる」は3倍くらい上手にやれたはず 伊集院光
「百人一首」は姿を変えて 時代も世代も国境も超えて広まってきた 伊集院光
百人一首の未来の形 英語百人一首かるた 現代におきかえた超訳 ピーター・マクミラン
百人一首の超訳
六〇 古式部内侍(こしきぶのないし)
いく野の道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立
(大江山を通って行く、生野の道が遠いので、まだ天橋立を
踏んでみたこともありません もちろん、母からの手紙も見ていませんよ。)
(超訳)別にカンニングしてないし。実力舐めんな。
五 猿山太夫(さるやまだゆう)
奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋はかなしき
(奥深い山で、散った紅葉を 踏み分けて歩いて行き、
鳴いている鹿の声を聞く時は、ますます秋が 悲しく感じられる。)
(超訳)ハロウィンの翌日 渋谷で踏み分ける 大量のゴミ
平安時代は自然の楽しみに満ちている
今はほぼ都会にいる その溝を感じて欲しかった
環境やアイテムが変わっているけど思いの方は変わらない
三三 紀友則
ひさかたの光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらん
(超訳)このおだやかな春の日に、どうして私の鼻は落ち着きがないのだろうか
落ち着きない鼻 花粉症に置き換えられている
現代の自然環境に対する接触の仕方を表現
九 小野小町
花の色はうつりにけりないたづらに 我が身よにふるながめせしまに
美しい花の色が色あせてしまうことと
自分の老いを重ね合わせて衰えて言う姿を嘆く歌
(超訳)
私がおばあちゃんになっても
森高千里「私がおばあちゃんになっても」をオマージュ
普遍性がすごく伝わると思う まだ愛されるのか愛してくれるのか
もちろん愛しますよ 余韻を残す
必ず超訳と一緒に現代語訳を まず理解して置き換える
(超訳)このマンションも築20年なんだ あと何年住めるだろう
最後までローンが返せるんだろうか
普遍的ではない 日本人だけが築20年を古いと思うから
(超訳)新車で乗ってはや一五年 いつまで一緒にドライブできるか
これは普遍的 ルールがないと面白くないと思う
まずフランクに考えてみようという
「私も同じ気持ちになったことある」が大切
なぜ超訳を始めたのか❓
若い人は古典にトラウマがある 受験勉強させられて嫌になった
自分の生活と同じテーマで詠まれていることを理解してもらうため
超訳を作り始めた
美味しものを食べた時に詠んでいた人もいる
スマホには映らない心の部分まで入れてる 交流できる
古典の先入と意識は一緒 お互いがリスペクトできる
読み取った一瞬 自分のその時の感情が一瞬で記憶として残る
国堺を超える百人一首
英語の百人一首かるたを作成 ピーター・マクミラン
決まり字 歌を特定できる字 有名なのは大山札
五〇 藤原義孝
君がため惜しからざりし命さへながくもがなと思ひけるかな
一五 光孝天皇
君がため春の野に出でて若葉つむ我が衣手に雪は降りつつ
四〇 平兼盛
しのぶれど色に出でにけりわが恋はものや思ふと人の問ふまで
九五 前大僧正慈円(さきのだいそうじょうじえん)
おほけなく浮き世の民におほふかなわがたつ杣(そま)に墨染の袖
どちらもThough I ではじまり3節目で am try
競技かるたの醍醐味を英語かるたにも味わえるようにした
三 柿本人磨
あしびきの山鳥の尾のしだり尾の 長々し夜をひとりかも寝ん
山鳥の垂れ下がった尾のような、長い長い夜を、
私は寂しくひとりで寝ることになるのだろうか。
順番が溜めによってすごく理解できる 読み方にも意味がある 伊集院光
百人一首はどれも音も素晴らしい 英語で吟じることができること
(超訳)夜を長く山鳥の長い尾を感じさせるため視覚的に尾の形にした
ほぼ同じような音を何回も繰り返すことによって聴覚的な効果を生み出している
百人一首と遠くにありそうなラップみたいなもの
古典と現代に通ずるものもすごく感じる 言葉に対する繰り返しの効果
一〇 蝉丸
これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂(あふさか)の関
これがあの有名な、行く人も帰ってくる人もここで別れては、
知っている人も知らない人もここで会うという、逢坂の関なんだろうなあ。
行き交う動き 出会ったりわかれたりする世界観
一行おきに(単語を)置くことによって動きを表現
新しく感じる 現代語超訳の橋渡しになってくれる 情緒とリスペクト
一六 中納言行平
立ち別れいなばの山の峰に生(お)ふる まつとし聞かばいま帰り来(こ)む
あなたとお別れして、私は因幡の国へと去って行くが、
その因幡の国の稲葉山の峰に生えている松の名のように、
あなたが私を待っていると聞いたならば、
私はすぐにあなたのもとへ帰りましょう。
松と待つの掛詞 英語にも同じ掛詞ができる
pines松の木 pine人を恋しく思う
今の時代は親父ギャグだと思われる
無理矢理はめたやつは親父ギャグに聞こえる
リズムも意味合いも自然だったら尊敬される
六十 古式部内侍(こしきぶのないし)
大江山いく野の道の遠ければまだふみもせず天橋立
大江山を通って行く、生野の道が遠いので、まだ天橋立を
踏んでみたこともありません もちろん、母からの手紙も見ていませんよ。
掛詞をルビで表現した
破壊というより広げる
補いすぎると表の意味が逆転する
今後の百人一首の形は❓
これからの一千年は違う国の言葉でリメイクされていく
世界に広まる普遍的な「百人一首」を期待している
私感
ピーター・マクミラン氏の日本へのリスペクトをひしひしと感じました。
感謝の気持ちで一いっぱいです。
暮易し闇の生み出す世界へと
日短し命を懸けて遊びます
情報の墓場を照らす寒昴(かんすばる)
黒に見る生のイメージ寒威(かんい)かな
■100分de名著❝百人一首❞(4)時空と国境を超えて
ピーター・マクミラン 伊集院光 阿部みちこ
落語「崇徳院」と「ちはやふる」は3倍くらい上手にやれたはず 伊集院光
「百人一首」は姿を変えて 時代も世代も国境も超えて広まってきた 伊集院光
百人一首の未来の形 英語百人一首かるた 現代におきかえた超訳 ピーター・マクミラン
百人一首の超訳
六〇 古式部内侍(こしきぶのないし)
いく野の道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立
(大江山を通って行く、生野の道が遠いので、まだ天橋立を
踏んでみたこともありません もちろん、母からの手紙も見ていませんよ。)
(超訳)別にカンニングしてないし。実力舐めんな。
五 猿山太夫(さるやまだゆう)
奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋はかなしき
(奥深い山で、散った紅葉を 踏み分けて歩いて行き、
鳴いている鹿の声を聞く時は、ますます秋が 悲しく感じられる。)
(超訳)ハロウィンの翌日 渋谷で踏み分ける 大量のゴミ
平安時代は自然の楽しみに満ちている
今はほぼ都会にいる その溝を感じて欲しかった
環境やアイテムが変わっているけど思いの方は変わらない
三三 紀友則
ひさかたの光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらん
(超訳)このおだやかな春の日に、どうして私の鼻は落ち着きがないのだろうか
落ち着きない鼻 花粉症に置き換えられている
現代の自然環境に対する接触の仕方を表現
九 小野小町
花の色はうつりにけりないたづらに 我が身よにふるながめせしまに
美しい花の色が色あせてしまうことと
自分の老いを重ね合わせて衰えて言う姿を嘆く歌
(超訳)
私がおばあちゃんになっても
森高千里「私がおばあちゃんになっても」をオマージュ
普遍性がすごく伝わると思う まだ愛されるのか愛してくれるのか
もちろん愛しますよ 余韻を残す
必ず超訳と一緒に現代語訳を まず理解して置き換える
(超訳)このマンションも築20年なんだ あと何年住めるだろう
最後までローンが返せるんだろうか
普遍的ではない 日本人だけが築20年を古いと思うから
(超訳)新車で乗ってはや一五年 いつまで一緒にドライブできるか
これは普遍的 ルールがないと面白くないと思う
まずフランクに考えてみようという
「私も同じ気持ちになったことある」が大切
なぜ超訳を始めたのか❓
若い人は古典にトラウマがある 受験勉強させられて嫌になった
自分の生活と同じテーマで詠まれていることを理解してもらうため
超訳を作り始めた
美味しものを食べた時に詠んでいた人もいる
スマホには映らない心の部分まで入れてる 交流できる
古典の先入と意識は一緒 お互いがリスペクトできる
読み取った一瞬 自分のその時の感情が一瞬で記憶として残る
国堺を超える百人一首
英語の百人一首かるたを作成 ピーター・マクミラン
決まり字 歌を特定できる字 有名なのは大山札
五〇 藤原義孝
君がため惜しからざりし命さへながくもがなと思ひけるかな
一五 光孝天皇
君がため春の野に出でて若葉つむ我が衣手に雪は降りつつ
四〇 平兼盛
しのぶれど色に出でにけりわが恋はものや思ふと人の問ふまで
九五 前大僧正慈円(さきのだいそうじょうじえん)
おほけなく浮き世の民におほふかなわがたつ杣(そま)に墨染の袖
どちらもThough I ではじまり3節目で am try
競技かるたの醍醐味を英語かるたにも味わえるようにした
三 柿本人磨
あしびきの山鳥の尾のしだり尾の 長々し夜をひとりかも寝ん
山鳥の垂れ下がった尾のような、長い長い夜を、
私は寂しくひとりで寝ることになるのだろうか。
順番が溜めによってすごく理解できる 読み方にも意味がある 伊集院光
百人一首はどれも音も素晴らしい 英語で吟じることができること
(超訳)夜を長く山鳥の長い尾を感じさせるため視覚的に尾の形にした
ほぼ同じような音を何回も繰り返すことによって聴覚的な効果を生み出している
百人一首と遠くにありそうなラップみたいなもの
古典と現代に通ずるものもすごく感じる 言葉に対する繰り返しの効果
一〇 蝉丸
これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂(あふさか)の関
これがあの有名な、行く人も帰ってくる人もここで別れては、
知っている人も知らない人もここで会うという、逢坂の関なんだろうなあ。
行き交う動き 出会ったりわかれたりする世界観
一行おきに(単語を)置くことによって動きを表現
新しく感じる 現代語超訳の橋渡しになってくれる 情緒とリスペクト
一六 中納言行平
立ち別れいなばの山の峰に生(お)ふる まつとし聞かばいま帰り来(こ)む
あなたとお別れして、私は因幡の国へと去って行くが、
その因幡の国の稲葉山の峰に生えている松の名のように、
あなたが私を待っていると聞いたならば、
私はすぐにあなたのもとへ帰りましょう。
松と待つの掛詞 英語にも同じ掛詞ができる
pines松の木 pine人を恋しく思う
今の時代は親父ギャグだと思われる
無理矢理はめたやつは親父ギャグに聞こえる
リズムも意味合いも自然だったら尊敬される
六十 古式部内侍(こしきぶのないし)
大江山いく野の道の遠ければまだふみもせず天橋立
大江山を通って行く、生野の道が遠いので、まだ天橋立を
踏んでみたこともありません もちろん、母からの手紙も見ていませんよ。
掛詞をルビで表現した
破壊というより広げる
補いすぎると表の意味が逆転する
今後の百人一首の形は❓
これからの一千年は違う国の言葉でリメイクされていく
世界に広まる普遍的な「百人一首」を期待している
私感
ピーター・マクミラン氏の日本へのリスペクトをひしひしと感じました。
感謝の気持ちで一いっぱいです。
2024年12月6日金曜日
銭湯で一句&「滑子(なめこ)&海舟談「氷川清和」
隙間風金と名声なかりけり
日向ぼこ理性は眠り気紛れが
冬の夜や思考停止へ動く人
冬の暮独りぼっちを謳歌せり
水枯るや精神を病むDiet
■プレバト纏め 2024年12月5日
銭湯で一句
永世名人への道 中田喜子
「蛍の光」掛け湯忙しき湯屋柚子湯
(調べの力があった 蛍の光=おしまいの合図 情報が多い
調べの力をうまく使って情報量を凝縮した)
特待生昇格試験 蓮見翔
5巻がない除夜のコインランドリー
(6音と11音の破調の句 数字のリアリティー
破調の調べに対して口語徳の内容が合致している
偶然ではなく 狙ってやってきている
漢数字で書くのが定石なのですがわざとやっている
5を映像として探して映像観をの書き方で表現
除夜に一人でコインランドリーに来ている この人の境遇・現実
なぜ実家に帰らないのか?色んなことを想像させる これが俳句の力
たった17音しかないけれど季語「除夜」を主役にしながら人物を描いている)
1位 西岡徳間
雷鳴に女湯の声くぐもりて
(下五の描写をするだけで全部映像が立ち上がってくる
まさに銭湯の現場を下五の言い方・描写で表現 誉めるべきところ
惜しかった一点は上五の「に」が散文の調子になっている
これは「や」です 雷鳴を詠嘆すべき 音だけの映像を先にだし
銭湯の映像を後に出した方が良い)
雷鳴や女湯の声くぐもりて
2位 池田鉄洋
壁越しのドライヤーの音君待つ冬
添削(目の付け所は良い 実体験は一番リアリティーがある
写真を見てない人が文字面だけを読むのが俳句
怪しい知らない隣人が出てこない風呂屋で待っている状況だと
想像してくれる人の割合がグッと増える)
君を待つ冬かべ越しのドライヤー
3位 松本利夫
凍る朝湯の中にあり人の知恵
添削(凍る:冬の季語 作者の意図が分からない 575がプツプツ切れる調べを嫌う
三段切れ 調べをちゃんと作る 自分の思ったことを正しく伝える
風呂が人類の知恵?俳句のいろはを覚えるとすぐに上手になる)
湯に入れば人の知恵湧く冬の朝
4位 村重杏奈
湯冷めしておばにおこられこたつみかん
添削(季語が3つ 湯冷め こたつ みかん 季語は主役
17音の小さな舞台の上に主役が3人もいたらそのお芝居ぐちゃぐちゃになる
季語は一つにしてその季語を主役にする)
銭湯や湯冷めするなとおばあちゃん
5位 藤田憲右
体育の日ビリになってもせんとうだ
添削(ただのダジャレ 自己満足しているだけ 起死回生の可能性もある
俳句の取り合わせによって詩が発生する ビリを明るく受け止めるのは良い
ビリになったけど気持ちよく運動して銭湯も何ともいいじゃないかという句に)
ビリもまた良し体育の日の銭湯
■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「滑子(なめこ)」
「滑子」といったらお味噌汁に入っていたりだとか
結構生活の中でも身近な食材として触れることの多い季語ですね
この「滑子」は冬の季語になっておりまして歳時記で見つけた時
個人的に少し驚いたり致しました 秋の歳時記をめくると
沢山色んな種類のキノコが季語として載っているのですが
数少ない冬にも載っている そんなキノコになっています
そして秋の季語として「初滑子」というのもありまして
これはあの晩冬のあたりに生えてくるちょっと早めの「滑子」が
そうなるのだそうです 天然物の「滑子」これはかなり松茸に似た
良い香りがすると歳時記には記載があります
天然物一回食べてみたいものですね
■海舟談「氷川清和」一部現代語訳
自分の評判が下落してもじっと屈んでおれば
しばらくするとまた上がってくるものだ(中略)
その上がり下がりが十年間の辛抱ができる人こそ大物だ
日向ぼこ理性は眠り気紛れが
冬の夜や思考停止へ動く人
冬の暮独りぼっちを謳歌せり
水枯るや精神を病むDiet
■プレバト纏め 2024年12月5日
銭湯で一句
永世名人への道 中田喜子
「蛍の光」掛け湯忙しき湯屋柚子湯
(調べの力があった 蛍の光=おしまいの合図 情報が多い
調べの力をうまく使って情報量を凝縮した)
特待生昇格試験 蓮見翔
5巻がない除夜のコインランドリー
(6音と11音の破調の句 数字のリアリティー
破調の調べに対して口語徳の内容が合致している
偶然ではなく 狙ってやってきている
漢数字で書くのが定石なのですがわざとやっている
5を映像として探して映像観をの書き方で表現
除夜に一人でコインランドリーに来ている この人の境遇・現実
なぜ実家に帰らないのか?色んなことを想像させる これが俳句の力
たった17音しかないけれど季語「除夜」を主役にしながら人物を描いている)
1位 西岡徳間
雷鳴に女湯の声くぐもりて
(下五の描写をするだけで全部映像が立ち上がってくる
まさに銭湯の現場を下五の言い方・描写で表現 誉めるべきところ
惜しかった一点は上五の「に」が散文の調子になっている
これは「や」です 雷鳴を詠嘆すべき 音だけの映像を先にだし
銭湯の映像を後に出した方が良い)
雷鳴や女湯の声くぐもりて
2位 池田鉄洋
壁越しのドライヤーの音君待つ冬
添削(目の付け所は良い 実体験は一番リアリティーがある
写真を見てない人が文字面だけを読むのが俳句
怪しい知らない隣人が出てこない風呂屋で待っている状況だと
想像してくれる人の割合がグッと増える)
君を待つ冬かべ越しのドライヤー
3位 松本利夫
凍る朝湯の中にあり人の知恵
添削(凍る:冬の季語 作者の意図が分からない 575がプツプツ切れる調べを嫌う
三段切れ 調べをちゃんと作る 自分の思ったことを正しく伝える
風呂が人類の知恵?俳句のいろはを覚えるとすぐに上手になる)
湯に入れば人の知恵湧く冬の朝
4位 村重杏奈
湯冷めしておばにおこられこたつみかん
添削(季語が3つ 湯冷め こたつ みかん 季語は主役
17音の小さな舞台の上に主役が3人もいたらそのお芝居ぐちゃぐちゃになる
季語は一つにしてその季語を主役にする)
銭湯や湯冷めするなとおばあちゃん
5位 藤田憲右
体育の日ビリになってもせんとうだ
添削(ただのダジャレ 自己満足しているだけ 起死回生の可能性もある
俳句の取り合わせによって詩が発生する ビリを明るく受け止めるのは良い
ビリになったけど気持ちよく運動して銭湯も何ともいいじゃないかという句に)
ビリもまた良し体育の日の銭湯
■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「滑子(なめこ)」
「滑子」といったらお味噌汁に入っていたりだとか
結構生活の中でも身近な食材として触れることの多い季語ですね
この「滑子」は冬の季語になっておりまして歳時記で見つけた時
個人的に少し驚いたり致しました 秋の歳時記をめくると
沢山色んな種類のキノコが季語として載っているのですが
数少ない冬にも載っている そんなキノコになっています
そして秋の季語として「初滑子」というのもありまして
これはあの晩冬のあたりに生えてくるちょっと早めの「滑子」が
そうなるのだそうです 天然物の「滑子」これはかなり松茸に似た
良い香りがすると歳時記には記載があります
天然物一回食べてみたいものですね
■海舟談「氷川清和」一部現代語訳
自分の評判が下落してもじっと屈んでおれば
しばらくするとまた上がってくるものだ(中略)
その上がり下がりが十年間の辛抱ができる人こそ大物だ
2024年12月5日木曜日
藤原道真&「風流」&まんぽ旅&戸田奈津子女史へのBirthdaymessage!
また会えたフジコの音色冬の朝
雲間から覗く紅葉や露天風呂
スケボーのスクラム強し冬ぬくし
スケボーを教え合う友冬の空
冬の風強き光に照らされて
■偉人・敗北からの教訓 第68回「藤原道真・怨霊から神となった平安貴族
寒草十首(かんそうじっそう)
社会的弱者たちの苦境を描いた十首
地方の実相を記録・告発する役割を果した
不似慈悲繁浮浪定可頻
国司が慈悲を持って繋ぎ止めなければ
浮浪逃亡は頻りに起きることだろう
阿衡紛議
「阿衡」は職掌のない名誉職と解釈した基経が職務放棄
宇多天皇側近で姻戚の学者・橘広相が辞職
890年讃岐から帰京
891年藤原基経 没
蔵人頭(くろうどのとう)
天皇の首席秘書 日常的に天皇と直接対面する側近中の側近
寛平の治
宇多天皇による親政
遣唐使廃止・私営田摘発・滝口武者(御所警固)設置
税制改革・天皇直属機関の強化なども行った
菅原道真 敗北の伏線
自らが好む道と社会的地位の二者択一は難しい
それを両立できるかが問題
896年 宇多天皇に道真長女入内
第59代天皇 宇多天皇 30歳
従三位・権中納言 菅原道真 52歳
大宰府左遷までおよそ3年半
897年 皇位継承
宇多上皇
第60代天皇 醍醐天皇 13歳
君富春秋臣漸老 恩無涯岸報猶遅
帝は将来長く私は老臣 皇恩は涯すなく 報いるには間に合わない
大宰府左遷まで3か月
道真が醍醐天皇を廃し 娘婿の斉世親王を皇位に就けようと企てている
大宰府左遷まで18日
901年 道真 従二位に
第60代天皇 醍醐天皇 17歳
道真を太宰員外帥とす
失脚の瞬間
太宰員外帥(だざいのいんがいのそち)
正規の帥・権帥とは区別された役職 失脚した大臣経験者の左遷先のひとつ
901年 大宰府赴任の勅命下る
醍醐天皇も成長していく過程で宇多法皇の介入が欝陶しくなってきた
東風吹かばにほひおこせよ梅の花主なしとて春を忘るな
隣家三四月 落涙百千行 万事皆如夢 時々仰彼蒼
延喜3年(903)2月25日 菅原道真 没 享年59
菅原道真 敗北の瞬間
自他の思惑が交差する人生スクランブル
一歩間違えると後々怖ろしいことに
909年 藤原時平 没 享年39
天変地異・疫病が頻発
道真が怨霊となり祟っているのではないか
第60代天皇 醍醐天皇
923年 右大臣に復し正二位を追贈
930年 清涼殿に落雷
930年 醍醐天皇 崩御 享年46
菅原道真の敗北から学ぶ教訓
自分の存在意義を常に意識しアピールすること
■漢字ふむふむ「風流」
中国の風流は男の人が女好きとか とてもチャラチャラ チャラ男の感じ
風流は立派な人物 風が通り過ぎていくような自由な精神を持った人
こういう人物は往々にして女性にモテる
女性を好む「色好み」という意味がだんだん偏ってきて
言葉の一部が広がって今のような意味になった
中国:チャラい 好色な
日本:優雅で趣がある
使われ始めたのは 万葉集 巻四
あしひきの山にしをれば風流(みやび)なみ我がするわざをとがめたまふな
みやびと読まれていた
山に住んでいる私は洗練された風流なことは
わかりませんがおとがめなさいませんように
風流(みやび) 上品で洗練された行い
松尾芭蕉によって詠まれた
風流の初やおくの田植うた
この田植え歌は奥州の旅で初めて出会った風流だ
■歩く歩く まんぽ旅 街の魅力を再発見(8) 短歌の言葉を探す
歌人 加藤千恵 上村ひなの 小島よしお
下の句 住みたい街の片隅にいる 今でも旅はつづいているから
上の句だけを考える これを「付け句」という
短歌を詠むコツ 五感をフル活用する
視覚 聴覚 嗅覚 味覚 触角
◇短歌を詠むコツ
必ずしも音数にこだわらず響きの良さを大切に
字余り 句またがり OK
完全なフィクションでも良い
昔を思い出したり”時“を意識したりするのもよい
全国まんぽ旅ガイド 自分が普段使わない言葉をとり入れよう
切り株が座ってくれと呼んでいる住みたい街の片隅にいる 小島よしお
顔のしわ水面に映って揺れている住みたい街の片隅にいる 小島よしお
口の端紫いもをつけながら住みたい街の片隅にいる 小島よしお
「俺を見ろ!」川鵜界のビルダーが住みたい街の片隅にいる 小島よしお
添削 「俺を見ろ!」川鵜のボディービルダーが住みたい街の片隅にいる
どんぐりの船をつくった5歳から今でも旅はつづいてるから 小島よしお
父になりゆっくり共に登る道今でも旅はつづいてるから 小島よしお
井の頭線に揺られて旅に出たい住みたい街の片隅にいる 上村ひなの
わんちゃんと目が合ったのはかんちがい住みたい街の片隅にいる 上村ひなの
神田川ここが私の源流です住みたい街の片隅にいる 上村ひなの
つながった想いに出逢う池のほとり住みたい街の片隅にいる 上村ひなの
ひとやすみみその塩気がしみわたる住みたい街の片隅にいる 上村ひなの
成長しコールダックは色変わり住みたい街の片隅にいる 上村ひなの
添削 コールダックもわたしも色が変化して住みたい街の片隅にいる
階段をちっちゃな足で踏み進め今でも旅はつづいてるから 上村ひなの
真っ直ぐと言葉を伝え歩いてる今でも旅はつづいてるから 上村ひなの
まんぽ旅 あしやすめ 加藤先生の短歌作品
カンチガイしつつそれでも歩いてく住みたい街の片隅にいる 加藤千恵
旭川 待っていた雪が記憶を隠すのを残さず溶けてなくなることを
名古屋市 軽やかに東と西を行き来してどこにもなかった形の夢を
高松市 柔らかな言葉を交わし食べるうどん雨のあんまり降らない町で
あなたの街でも付け句を
加藤先生おすすめの下の句
~今のわたしをたとえるのなら
~あしたもあるしあさってもある
~特別深い意味はないです
■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん
【戸田奈津子▽豪華ハリウッドスターたちとの交友録】より
Tom Cruiseから贈られてきたBirthdaymessage!
Dear Toda-San,
Happy Birthday!
I’m thinking of you.
Sending you my warmest wishes
For a beautiful year ahead.
Lot of love.
Tom
戸田奈津子女史とTom Cruise氏のお誕生日は7月3日だそうです。
雲間から覗く紅葉や露天風呂
スケボーのスクラム強し冬ぬくし
スケボーを教え合う友冬の空
冬の風強き光に照らされて
■偉人・敗北からの教訓 第68回「藤原道真・怨霊から神となった平安貴族
寒草十首(かんそうじっそう)
社会的弱者たちの苦境を描いた十首
地方の実相を記録・告発する役割を果した
不似慈悲繁浮浪定可頻
国司が慈悲を持って繋ぎ止めなければ
浮浪逃亡は頻りに起きることだろう
阿衡紛議
「阿衡」は職掌のない名誉職と解釈した基経が職務放棄
宇多天皇側近で姻戚の学者・橘広相が辞職
890年讃岐から帰京
891年藤原基経 没
蔵人頭(くろうどのとう)
天皇の首席秘書 日常的に天皇と直接対面する側近中の側近
寛平の治
宇多天皇による親政
遣唐使廃止・私営田摘発・滝口武者(御所警固)設置
税制改革・天皇直属機関の強化なども行った
菅原道真 敗北の伏線
自らが好む道と社会的地位の二者択一は難しい
それを両立できるかが問題
896年 宇多天皇に道真長女入内
第59代天皇 宇多天皇 30歳
従三位・権中納言 菅原道真 52歳
大宰府左遷までおよそ3年半
897年 皇位継承
宇多上皇
第60代天皇 醍醐天皇 13歳
君富春秋臣漸老 恩無涯岸報猶遅
帝は将来長く私は老臣 皇恩は涯すなく 報いるには間に合わない
大宰府左遷まで3か月
道真が醍醐天皇を廃し 娘婿の斉世親王を皇位に就けようと企てている
大宰府左遷まで18日
901年 道真 従二位に
第60代天皇 醍醐天皇 17歳
道真を太宰員外帥とす
失脚の瞬間
太宰員外帥(だざいのいんがいのそち)
正規の帥・権帥とは区別された役職 失脚した大臣経験者の左遷先のひとつ
901年 大宰府赴任の勅命下る
醍醐天皇も成長していく過程で宇多法皇の介入が欝陶しくなってきた
東風吹かばにほひおこせよ梅の花主なしとて春を忘るな
隣家三四月 落涙百千行 万事皆如夢 時々仰彼蒼
延喜3年(903)2月25日 菅原道真 没 享年59
菅原道真 敗北の瞬間
自他の思惑が交差する人生スクランブル
一歩間違えると後々怖ろしいことに
909年 藤原時平 没 享年39
天変地異・疫病が頻発
道真が怨霊となり祟っているのではないか
第60代天皇 醍醐天皇
923年 右大臣に復し正二位を追贈
930年 清涼殿に落雷
930年 醍醐天皇 崩御 享年46
菅原道真の敗北から学ぶ教訓
自分の存在意義を常に意識しアピールすること
■漢字ふむふむ「風流」
中国の風流は男の人が女好きとか とてもチャラチャラ チャラ男の感じ
風流は立派な人物 風が通り過ぎていくような自由な精神を持った人
こういう人物は往々にして女性にモテる
女性を好む「色好み」という意味がだんだん偏ってきて
言葉の一部が広がって今のような意味になった
中国:チャラい 好色な
日本:優雅で趣がある
使われ始めたのは 万葉集 巻四
あしひきの山にしをれば風流(みやび)なみ我がするわざをとがめたまふな
みやびと読まれていた
山に住んでいる私は洗練された風流なことは
わかりませんがおとがめなさいませんように
風流(みやび) 上品で洗練された行い
松尾芭蕉によって詠まれた
風流の初やおくの田植うた
この田植え歌は奥州の旅で初めて出会った風流だ
■歩く歩く まんぽ旅 街の魅力を再発見(8) 短歌の言葉を探す
歌人 加藤千恵 上村ひなの 小島よしお
下の句 住みたい街の片隅にいる 今でも旅はつづいているから
上の句だけを考える これを「付け句」という
短歌を詠むコツ 五感をフル活用する
視覚 聴覚 嗅覚 味覚 触角
◇短歌を詠むコツ
必ずしも音数にこだわらず響きの良さを大切に
字余り 句またがり OK
完全なフィクションでも良い
昔を思い出したり”時“を意識したりするのもよい
全国まんぽ旅ガイド 自分が普段使わない言葉をとり入れよう
切り株が座ってくれと呼んでいる住みたい街の片隅にいる 小島よしお
顔のしわ水面に映って揺れている住みたい街の片隅にいる 小島よしお
口の端紫いもをつけながら住みたい街の片隅にいる 小島よしお
「俺を見ろ!」川鵜界のビルダーが住みたい街の片隅にいる 小島よしお
添削 「俺を見ろ!」川鵜のボディービルダーが住みたい街の片隅にいる
どんぐりの船をつくった5歳から今でも旅はつづいてるから 小島よしお
父になりゆっくり共に登る道今でも旅はつづいてるから 小島よしお
井の頭線に揺られて旅に出たい住みたい街の片隅にいる 上村ひなの
わんちゃんと目が合ったのはかんちがい住みたい街の片隅にいる 上村ひなの
神田川ここが私の源流です住みたい街の片隅にいる 上村ひなの
つながった想いに出逢う池のほとり住みたい街の片隅にいる 上村ひなの
ひとやすみみその塩気がしみわたる住みたい街の片隅にいる 上村ひなの
成長しコールダックは色変わり住みたい街の片隅にいる 上村ひなの
添削 コールダックもわたしも色が変化して住みたい街の片隅にいる
階段をちっちゃな足で踏み進め今でも旅はつづいてるから 上村ひなの
真っ直ぐと言葉を伝え歩いてる今でも旅はつづいてるから 上村ひなの
まんぽ旅 あしやすめ 加藤先生の短歌作品
カンチガイしつつそれでも歩いてく住みたい街の片隅にいる 加藤千恵
旭川 待っていた雪が記憶を隠すのを残さず溶けてなくなることを
名古屋市 軽やかに東と西を行き来してどこにもなかった形の夢を
高松市 柔らかな言葉を交わし食べるうどん雨のあんまり降らない町で
あなたの街でも付け句を
加藤先生おすすめの下の句
~今のわたしをたとえるのなら
~あしたもあるしあさってもある
~特別深い意味はないです
■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん
【戸田奈津子▽豪華ハリウッドスターたちとの交友録】より
Tom Cruiseから贈られてきたBirthdaymessage!
Dear Toda-San,
Happy Birthday!
I’m thinking of you.
Sending you my warmest wishes
For a beautiful year ahead.
Lot of love.
Tom
戸田奈津子女史とTom Cruise氏のお誕生日は7月3日だそうです。
2024年12月4日水曜日
「遠慮」&よみ旅!in山形前編&モディリアーニ&田中一村&戸田奈津子
夢語る
分配金が年金の倍冬陽射し
ノーリスク・ハイリターンや冬日向
年金に頼らず自立冬の月
3号主婦の反撃開始冬の暮
冬の宵国のお荷物なりませぬ
■漢字ふむふむ 遠慮したので入ります!
遠慮とは中国では将来のことをよく考えるって意味
2500年前の中国の思想家 孔子の言葉
「人無遠慮必ず有近憂」からきている
将来のことをちゃんと考えておかないと必ず急な心配事が起こる
論語と一緒に日本に伝わり中国と同じ意味で使われていた
しかし、江戸時代 徳川吉宗によって変わった
吉宗は明律(みんりつ)を熟読するほどの勉強家だった
1742年 裁判や刑罰の基準となる法律を作った
その中に「遠慮」という刑罰も含まれていた
今でいう「謹慎」に近い刑だった
その結果「遠慮」は(外出を)差し控えると解釈された
差し控える⇨遠慮する となっていった
■夏井いつきのよみ旅!in山形 前編
(松尾芭蕉は)山形に40日くらいいらっしゃった
五月雨をあつめて早し最上川 と詠まれた
大和匡輔(きょうすけ)
親友の子の名前呼ぶ春隣 松浦桜香
春隣:冬の季語
ごでぎだのと声を掛けられ秋深し 清水孝
大儀それに丁寧に御をつけて 御大儀(ごでぎ) 庄内地域の古い方言
意味は「ありがとう」
子育ては生き直すごと星月夜 小林礼奈 長男真翔(まなと)
星月夜(ほしづくよ):秋の季語
酒田舞娘 鈴千代 鈴華 芸妓 小鈴 酒田甚句をご披露
酒田の花柳文化 江戸時代港町・酒田で栄える現在は7人のみ
名月や師の面影に苦笑い 芸妓 小鈴
師のこころ伝へて月の小鈴ふる 夏井いつき
帰省子の祖母にねだるは納豆汁(なっとじる) 朝岡剛
俳句ひとくちMEMO 納豆汁は冬の季語 冬を乗り切る山形の郷土食
冬の朝トンネルくぐりて海の青 芳賀瑞穂
芳賀さんMEMO 大学卒業後9年間 非正規雇用の講師として働く
いつきセレクト 集まった俳句からもう一句紹介します!
待ち人は小春を連れて来たりけり 本間るみ子
■プレミアムカフェ モディリアーニとその恋人の物語 より
「私が求めているものは現実でも非現実でもなく
無意識すなわち人類に本能的に備わっている神秘である」
「僕の興味を引くのは人間だけだ
人間の顔は自然の中でも最も優れた創造物である」
「僕の描く人物は例え瞳をつけなくても見ているのだ
そして黙って人生を肯定する」
「ジャンヌは赤褐色の髪をしてとても青白い顔をしていたので
“椰子の実”とあだ名させていたという
伝説ではジャンヌ・エビュテルヌは単なる優しい大人しい人間と
いうことになっている しかしジャンヌが描いた油絵が一つだけ
私の手元にあるが 中庭の風景のこの絵は若い女性としては
驚くべき大胆な絵である
ジャンヌは画家としてとても優れた才能を持っていた」
ラファエロのフォルナリーナ ピカソのジャックリーヌ
モディリアーニのジャンヌ は美の女神だった
モディリアーニの芸術を一番触発した人物
ペール・ラシェーズ墓地
一つの墓に眠る二人
墓碑銘には画家アメデオ・モディリアーニ
「まさに栄光に包まれんとする時 死の手に奪われたり」
ジャンヌ・エビュテルヌ
「よき伴侶として生のきわみまで献身せり」
最期の言葉には多くの伝説がある
ズボロフスキーには”親友をよろしく“と頼んだ
ジャンヌには”一緒に死ねば天国でも永遠に幸福だ“と言った
また“もう脳のほんの小さなかけらしか残っていない”と言ったり
病院に運ばれた時は“懐かしいイタリア”とつぶやいた
あまりにも最期の言葉が多すぎる…
1958年ジャンヌが書き表した伝記本 より
モディリアーニは星の子供でこの世の人ではなかった
参照できるサイト:https://www.suiha.co.jp/column/modiglianinoizi/
■新美の巨人たち 50歳で奄美に渡り新たな画境を拓いた田中一村
私はゑかきとして一つの大成功をしているのです
(知人に宛てた手紙 原文ママ)
5年 働いてお金を貯め 3年 絵画制作に専念
最高の到達点
私の繪(え)の最終決定版の繪が (中略)
なんと批評されても私は満足なのです。
それを見せるために描くのではなく
自分の良心を納得させるためにやったのですから
(知人への手紙の下書きより)
私の死後 50年か100年後に 私の絵を認めてくれる人が
出て来ればいいのです 私はそのために描いているのです
それが一村の答え
田中一村 1908-1977
その死から27年 奄美島に田中一村記念美術館が開館
現在作品や資料480点が収蔵されています
■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん~昭和の大先輩とおかしな 2人
昭和の大先輩 戸田奈津子の言葉
「❝好き❞に生きる 戸田奈津子」
映画字幕翻訳家・通訳。
豪華なハリウッドスターたちとの交流をお話しくださいました。
88歳となられた現在も現役。
滑舌のスピードと内容の濃さに驚きました。
分配金が年金の倍冬陽射し
ノーリスク・ハイリターンや冬日向
年金に頼らず自立冬の月
3号主婦の反撃開始冬の暮
冬の宵国のお荷物なりませぬ
■漢字ふむふむ 遠慮したので入ります!
遠慮とは中国では将来のことをよく考えるって意味
2500年前の中国の思想家 孔子の言葉
「人無遠慮必ず有近憂」からきている
将来のことをちゃんと考えておかないと必ず急な心配事が起こる
論語と一緒に日本に伝わり中国と同じ意味で使われていた
しかし、江戸時代 徳川吉宗によって変わった
吉宗は明律(みんりつ)を熟読するほどの勉強家だった
1742年 裁判や刑罰の基準となる法律を作った
その中に「遠慮」という刑罰も含まれていた
今でいう「謹慎」に近い刑だった
その結果「遠慮」は(外出を)差し控えると解釈された
差し控える⇨遠慮する となっていった
■夏井いつきのよみ旅!in山形 前編
(松尾芭蕉は)山形に40日くらいいらっしゃった
五月雨をあつめて早し最上川 と詠まれた
大和匡輔(きょうすけ)
親友の子の名前呼ぶ春隣 松浦桜香
春隣:冬の季語
ごでぎだのと声を掛けられ秋深し 清水孝
大儀それに丁寧に御をつけて 御大儀(ごでぎ) 庄内地域の古い方言
意味は「ありがとう」
子育ては生き直すごと星月夜 小林礼奈 長男真翔(まなと)
星月夜(ほしづくよ):秋の季語
酒田舞娘 鈴千代 鈴華 芸妓 小鈴 酒田甚句をご披露
酒田の花柳文化 江戸時代港町・酒田で栄える現在は7人のみ
名月や師の面影に苦笑い 芸妓 小鈴
師のこころ伝へて月の小鈴ふる 夏井いつき
帰省子の祖母にねだるは納豆汁(なっとじる) 朝岡剛
俳句ひとくちMEMO 納豆汁は冬の季語 冬を乗り切る山形の郷土食
冬の朝トンネルくぐりて海の青 芳賀瑞穂
芳賀さんMEMO 大学卒業後9年間 非正規雇用の講師として働く
いつきセレクト 集まった俳句からもう一句紹介します!
待ち人は小春を連れて来たりけり 本間るみ子
■プレミアムカフェ モディリアーニとその恋人の物語 より
「私が求めているものは現実でも非現実でもなく
無意識すなわち人類に本能的に備わっている神秘である」
「僕の興味を引くのは人間だけだ
人間の顔は自然の中でも最も優れた創造物である」
「僕の描く人物は例え瞳をつけなくても見ているのだ
そして黙って人生を肯定する」
「ジャンヌは赤褐色の髪をしてとても青白い顔をしていたので
“椰子の実”とあだ名させていたという
伝説ではジャンヌ・エビュテルヌは単なる優しい大人しい人間と
いうことになっている しかしジャンヌが描いた油絵が一つだけ
私の手元にあるが 中庭の風景のこの絵は若い女性としては
驚くべき大胆な絵である
ジャンヌは画家としてとても優れた才能を持っていた」
ラファエロのフォルナリーナ ピカソのジャックリーヌ
モディリアーニのジャンヌ は美の女神だった
モディリアーニの芸術を一番触発した人物
ペール・ラシェーズ墓地
一つの墓に眠る二人
墓碑銘には画家アメデオ・モディリアーニ
「まさに栄光に包まれんとする時 死の手に奪われたり」
ジャンヌ・エビュテルヌ
「よき伴侶として生のきわみまで献身せり」
最期の言葉には多くの伝説がある
ズボロフスキーには”親友をよろしく“と頼んだ
ジャンヌには”一緒に死ねば天国でも永遠に幸福だ“と言った
また“もう脳のほんの小さなかけらしか残っていない”と言ったり
病院に運ばれた時は“懐かしいイタリア”とつぶやいた
あまりにも最期の言葉が多すぎる…
1958年ジャンヌが書き表した伝記本 より
モディリアーニは星の子供でこの世の人ではなかった
参照できるサイト:https://www.suiha.co.jp/column/modiglianinoizi/
■新美の巨人たち 50歳で奄美に渡り新たな画境を拓いた田中一村
私はゑかきとして一つの大成功をしているのです
(知人に宛てた手紙 原文ママ)
5年 働いてお金を貯め 3年 絵画制作に専念
最高の到達点
私の繪(え)の最終決定版の繪が (中略)
なんと批評されても私は満足なのです。
それを見せるために描くのではなく
自分の良心を納得させるためにやったのですから
(知人への手紙の下書きより)
私の死後 50年か100年後に 私の絵を認めてくれる人が
出て来ればいいのです 私はそのために描いているのです
それが一村の答え
田中一村 1908-1977
その死から27年 奄美島に田中一村記念美術館が開館
現在作品や資料480点が収蔵されています
■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん~昭和の大先輩とおかしな 2人
昭和の大先輩 戸田奈津子の言葉
「❝好き❞に生きる 戸田奈津子」
映画字幕翻訳家・通訳。
豪華なハリウッドスターたちとの交流をお話しくださいました。
88歳となられた現在も現役。
滑舌のスピードと内容の濃さに驚きました。
2024年12月3日火曜日
あの本、読みました?東大生・京大生はどんな本を読んでいる?&新川帆立
冬星座押し潰された小さき人
Positiveに考え動き日向水
Negativeが襲い来る日や隙間風
冬の暮風呂で日々泣く燐の子
真夜中の洗濯ものや冬の雨
■あの本、読みました?
東大生・京大生はどんな本を読んでいる?生協ランキング
鈴木保奈美 角谷暁子 吉田真理 高野知宙(ちひろ) 林祐輔プロデューサー
新川帆立
「新装版 京都 ものがたりの道」の一文 彬子女王/毎日新聞出版
寺町通。京都市内を南北に走る通りで、豊臣秀吉が京都の街の防衛のために、
通りの東側に自院を集めたことから この名がついたと言われている。
今出川通より北は本当にお寺ばかり。住宅街の中にお寺や神社がさりげなく
溶け込みながら点在しており、お祭りのお神輿の担ぎ手の集合時間を
知らせるチラシなどがそこかしこに 貼ってあったりする。
観光客がたくさん訪れるお寺ではなく、本当に京都に住む人たちのためのお寺。
そんな「日常」の雰囲気がとても心地良い。
「センスの哲学」の一文 千葉雅也/文藝春秋
「絵を描くセンス」というと、白紙の上に線を走らせて、
ゼロから作り出すセンスが、問われていると思うかもしれません。
けれども、何もない状態から作ることは、美術でも音楽でも、ありません。
知っている作品とか、見たこと聞いたことがあるもの、
なにか印象などの素材があって、それを記憶から何となく選び、
組み合わせて変形し、そこから飛躍させて作品にするわけです。
創造行為の根底には、「選ぶ」ということがあります。
「いちおう東大です」の一文 祐樹真一郎/角川書店
渕上くんたちはどういう関係なの?」女性陣の一人に尋ねられ、渕上が
「あ、いちおう東大の同級生で」と答えた瞬間、
四人のうち三人の目の色が変わったのが見て取れた。
(中略)―またか。悪い気はしないものの、どこかうんざりする自分もいる。
ひとたびそのフィルターを通した瞬間、俺という人間を構成するあらゆる要素は
根こそぎ搦(から)めとられ、最終的に残るのは“東大の人”というラベルだけだから。
「片面の恋」の一文 辻堂ゆめ/角川書店
東京とそれ以外。女子高と共学校。名門中高一貫校と、
地元でしか名を知られていない普通の高校。
だからどうというわけではないのだけれど、彼女たちとの間に無視しようのない
差があることは、自分たちのシンプルで機能性重視の服装を顧みただけで明らかだった。
親にかけてもらった教育費の差、以上の何かが。
黒髪ロングの清楚系美人で、おっとりとした口調が周囲を惹きつける百合絵ちゃん。
明るい茶髪にパーマをかけていて、
パステルイエローのミニスカートがよく似合う愛理ちゃん。
こういう子たちが現実にいるんだ、と入学早々カルチャーショックを受けた。
東大生が東大で感じるカルチャーショック
現役東大生作家 浅野晧生とは
「責任」浅野晧生/角川文庫 横溝正史ミステリ&ホラー大賞優秀賞受賞作
「息のかたち」いしいしんじ/講談社
ひょんなことからひとの「息」が見えるようになった京都の高校生・夏実の物語
東大出身作家 新川帆立の頭の中
小説家を目指したキッカケ
新川帆立が小説家になるまで
「競争の番人」新川帆立/講談社
「競争の番人」の一文 新川帆立著/講談社
「僕だよ。僕の脳みそだ。九〇七号室の宿泊者、
年間三百人だとして時効が成立していない 五分間で千五百人。
宿泊カードを見れば住所と職業も分かるかな。
明日の朝まで時間はたっぷりある。僕なら、これら全てを暗記して、
無傷で外に持ち出せますよ」小勝負は平然と言った。
(中略)
ほんの数時間で、小勝負は全てを覚えた。白熊は小勝負の脇で、
宿泊カードを一枚ずつ渡していくだけだった。小勝負は宿泊台帳を
数秒見て、宿泊カードを数十秒見ると、すぐに脇に置いた。
すると白熊がまた別の宿泊カードを渡す。この繰り返しだ。
「人間コピー機みたいだね」素直な感想を口にすると、珍しく小勝負は笑った。
新刊「ひまわり」の取材
描く世界と伝えたい事
「ひまわり」の一文 新川帆立著/幻冬舎
二人がかりで私の体を押さえ、リクライニングをあげていく。
どっと息苦しくなった。突然、水中に投げ込まれたみたいだ。
頭がくらくらする。めまいがして、呼吸が浅くなる。
息ができなくて苦しい。ほんの何十センチ、目線があがるだけなのに、
脚がすくむような感じがした。高い山頂のグラグラと
揺れる岩の上に、頭だけぽんと置かれているようだ。
マサおじさんは母のはとこにあたる人だ。
中学卒業以来、鳶職をしており、かなり稼いでいるらしい。
「勉強なんて、一生で十時間もしたことない」と豪語する肉体派だ。
高校三年生のとき、法事で顔を合わせた。
私はちょうど大学受験を終え、第一志望の学校に合格したタイミングだった。
マサおじさんは親戚の中でもひときわ大げさに、
「すごい!」と言って私の手を握った。
(中略)
でも私はそのとき、何ともいえず嫌な気分になったのだ。
マサおじさんは勉強も受験も経験していない。
社会に出たら勉強なんて役に立たないと思ってるんじゃないだろうか。
受験一つで皆に褒めそやかされる私を、冷たい目で見ていたのではないか。
あなたは、言葉のプロ 法律家になるんでしょう。
言葉の力を信じなさい。
言葉があるかぎり僕たちはつながれる。
交渉するんです
勉強することは
積み上げた知性によって主人公は助けられた。
学ぶこと勉強することは大事。
「優しくあるためには勉強しなくてはならないと思っている」新川帆立女史
「言葉の力の強さを最後に感じた」鈴木保奈美女史
「みんな違ってみんないい、までは合意が取れている
これで終わると無関心で終わってしまう
私は読者さんと繋がりたいので主張しています
という自覚をもって小説を書いています」新川帆立女史
■私感 新川帆立女史の大ファンになってしまいました。
遂に出会えたかも…。(嬉々❣)
■私感 高野知宙女史の活舌が悪すぎて
何を言っているのがほとんど聞き取れませんでした。
字幕スーパーを入れて欲しかった。
Positiveに考え動き日向水
Negativeが襲い来る日や隙間風
冬の暮風呂で日々泣く燐の子
真夜中の洗濯ものや冬の雨
■あの本、読みました?
東大生・京大生はどんな本を読んでいる?生協ランキング
鈴木保奈美 角谷暁子 吉田真理 高野知宙(ちひろ) 林祐輔プロデューサー
新川帆立
「新装版 京都 ものがたりの道」の一文 彬子女王/毎日新聞出版
寺町通。京都市内を南北に走る通りで、豊臣秀吉が京都の街の防衛のために、
通りの東側に自院を集めたことから この名がついたと言われている。
今出川通より北は本当にお寺ばかり。住宅街の中にお寺や神社がさりげなく
溶け込みながら点在しており、お祭りのお神輿の担ぎ手の集合時間を
知らせるチラシなどがそこかしこに 貼ってあったりする。
観光客がたくさん訪れるお寺ではなく、本当に京都に住む人たちのためのお寺。
そんな「日常」の雰囲気がとても心地良い。
「センスの哲学」の一文 千葉雅也/文藝春秋
「絵を描くセンス」というと、白紙の上に線を走らせて、
ゼロから作り出すセンスが、問われていると思うかもしれません。
けれども、何もない状態から作ることは、美術でも音楽でも、ありません。
知っている作品とか、見たこと聞いたことがあるもの、
なにか印象などの素材があって、それを記憶から何となく選び、
組み合わせて変形し、そこから飛躍させて作品にするわけです。
創造行為の根底には、「選ぶ」ということがあります。
「いちおう東大です」の一文 祐樹真一郎/角川書店
渕上くんたちはどういう関係なの?」女性陣の一人に尋ねられ、渕上が
「あ、いちおう東大の同級生で」と答えた瞬間、
四人のうち三人の目の色が変わったのが見て取れた。
(中略)―またか。悪い気はしないものの、どこかうんざりする自分もいる。
ひとたびそのフィルターを通した瞬間、俺という人間を構成するあらゆる要素は
根こそぎ搦(から)めとられ、最終的に残るのは“東大の人”というラベルだけだから。
「片面の恋」の一文 辻堂ゆめ/角川書店
東京とそれ以外。女子高と共学校。名門中高一貫校と、
地元でしか名を知られていない普通の高校。
だからどうというわけではないのだけれど、彼女たちとの間に無視しようのない
差があることは、自分たちのシンプルで機能性重視の服装を顧みただけで明らかだった。
親にかけてもらった教育費の差、以上の何かが。
黒髪ロングの清楚系美人で、おっとりとした口調が周囲を惹きつける百合絵ちゃん。
明るい茶髪にパーマをかけていて、
パステルイエローのミニスカートがよく似合う愛理ちゃん。
こういう子たちが現実にいるんだ、と入学早々カルチャーショックを受けた。
東大生が東大で感じるカルチャーショック
現役東大生作家 浅野晧生とは
「責任」浅野晧生/角川文庫 横溝正史ミステリ&ホラー大賞優秀賞受賞作
「息のかたち」いしいしんじ/講談社
ひょんなことからひとの「息」が見えるようになった京都の高校生・夏実の物語
東大出身作家 新川帆立の頭の中
小説家を目指したキッカケ
新川帆立が小説家になるまで
「競争の番人」新川帆立/講談社
「競争の番人」の一文 新川帆立著/講談社
「僕だよ。僕の脳みそだ。九〇七号室の宿泊者、
年間三百人だとして時効が成立していない 五分間で千五百人。
宿泊カードを見れば住所と職業も分かるかな。
明日の朝まで時間はたっぷりある。僕なら、これら全てを暗記して、
無傷で外に持ち出せますよ」小勝負は平然と言った。
(中略)
ほんの数時間で、小勝負は全てを覚えた。白熊は小勝負の脇で、
宿泊カードを一枚ずつ渡していくだけだった。小勝負は宿泊台帳を
数秒見て、宿泊カードを数十秒見ると、すぐに脇に置いた。
すると白熊がまた別の宿泊カードを渡す。この繰り返しだ。
「人間コピー機みたいだね」素直な感想を口にすると、珍しく小勝負は笑った。
新刊「ひまわり」の取材
描く世界と伝えたい事
「ひまわり」の一文 新川帆立著/幻冬舎
二人がかりで私の体を押さえ、リクライニングをあげていく。
どっと息苦しくなった。突然、水中に投げ込まれたみたいだ。
頭がくらくらする。めまいがして、呼吸が浅くなる。
息ができなくて苦しい。ほんの何十センチ、目線があがるだけなのに、
脚がすくむような感じがした。高い山頂のグラグラと
揺れる岩の上に、頭だけぽんと置かれているようだ。
マサおじさんは母のはとこにあたる人だ。
中学卒業以来、鳶職をしており、かなり稼いでいるらしい。
「勉強なんて、一生で十時間もしたことない」と豪語する肉体派だ。
高校三年生のとき、法事で顔を合わせた。
私はちょうど大学受験を終え、第一志望の学校に合格したタイミングだった。
マサおじさんは親戚の中でもひときわ大げさに、
「すごい!」と言って私の手を握った。
(中略)
でも私はそのとき、何ともいえず嫌な気分になったのだ。
マサおじさんは勉強も受験も経験していない。
社会に出たら勉強なんて役に立たないと思ってるんじゃないだろうか。
受験一つで皆に褒めそやかされる私を、冷たい目で見ていたのではないか。
あなたは、言葉のプロ 法律家になるんでしょう。
言葉の力を信じなさい。
言葉があるかぎり僕たちはつながれる。
交渉するんです
勉強することは
積み上げた知性によって主人公は助けられた。
学ぶこと勉強することは大事。
「優しくあるためには勉強しなくてはならないと思っている」新川帆立女史
「言葉の力の強さを最後に感じた」鈴木保奈美女史
「みんな違ってみんないい、までは合意が取れている
これで終わると無関心で終わってしまう
私は読者さんと繋がりたいので主張しています
という自覚をもって小説を書いています」新川帆立女史
■私感 新川帆立女史の大ファンになってしまいました。
遂に出会えたかも…。(嬉々❣)
■私感 高野知宙女史の活舌が悪すぎて
何を言っているのがほとんど聞き取れませんでした。
字幕スーパーを入れて欲しかった。
2024年12月2日月曜日
兼題「息白し」&題「胡桃」
冬を生く革命的な思想持ち
原風景の風を集めて冬闊歩
冬紅葉山の街道びっしりと
大掃除シンクで点てて飲むお薄
冬の暮繋がる理解深まらん
■NHK俳句 兼題「息白し」
選者 堀田季何 レギュラー 庄司浩平 司会 柴田英嗣
年間テーマ 「俳句の凝りをほぐします」
今週のテーマ「切れ」
「切れ」は俳句の基本でありながらいろんな定義がある
4回に渡って「切れ」とは何かその使い方を季何流で伝授
俳句のコリをほぐします 切れ
直前の言葉を輝かせる効果があります そこから切れ味が見える
句中の切れ 句の途中に切れがある
サイドミラーに細きつららや落ちずゆく 野崎海芋
やがつららを輝かせている やがないと散文的
やを入れると韻律も引き締まる
句中の切れ 3つの方法 ①切字 ②体言止め ③終止形
3つのどれかであるとフレーズが終わった感が出る
① 魔法の言葉「切字」があるだけで「切れ」が生まれる
② 体言止め 名詞で会わる形 赤い太陽 走り去って友人
サイドミラー細きつららの落ちずゆく
③ 終止形 文末に「。」がつく形 太陽は赤い。 友人が走り去る。
サイドミラーにつららか細し落ちずゆく
強調するところが変わる
句中の切れ=切断ではない 強調してキレキレにする
句末の切れ 句の終わりに切れがある 切字「かな」「けり」
くろがねの秋の風鈴鳴りにけり 飯田蛇笏
意味は「鳴りました」強い感じ
掛稲(かけいね)のすぐそこにある湯吞かな 波多野爽波
余剰を引く効果がある 風情が出る
言葉を輝かせる 強い切れ 多くの俳句が強い切れを使っている
俳句は短いので焦点を当てないとぼやける
認識の瞬間を強調しコントロールする
A. 夜長なり/即身仏を鼠食ふ
B. 水晶の大魂(たいかい)に春きざすなり/
C. 湯豆腐や/心のごとき白さかな/(一句に1か所切れ)
D. クリスマス/ひとりぼっちだ買い物す(三段切れ)
・今週の兼題「息白し」特選六句
歳時記を編んだ高浜虚子 山本健吉
偉大な専門家たちも動物でも作ると書いている
英雄のポーズ白息吐き切りぬ 横縞
白息を抜け白息へまた駆ける 加藤幸龍
(白息を2回使うのは❓悪くない)
白息をかけて鏡の人となる 大川宣子
(「白い息」は季語にならない 「白息(しらいき)」という季語
「白息」だと物として捉えられる 色々な使い方ができるので便利)
初めてのお化粧に似て息白し 滝川陽子
マジシャンの鳩白息(しろいき)にもどりくる 河添美羽
白息をかけて姑獲鳥(うぶめ)の卵拭く 斎藤秀雄
*中国に伝承される「姑獲鳥(こかくちょう)」がルーツのひとつとされる
・柴田の歩み 切り過ぎ注意
庄司の歩み 切りにけり
■NHK短歌 題「胡桃(くるみ)」
選者 川野里子 レギュラー 内藤秀一郎 深尾あむ 司会 ヒコロヒー
今回のテーマ「批評眼を持とう!」年間テーマ「“私”に出会おう~2年目の飛躍~」
白熊に逢ひしことなき白熊は立ち上がりたり檻いっぱいに
川野里子「天窓紀行」
(こんなふうに白熊を扱っていいんだろうか)
そりゃそうさが口命の部首だから食べてゆく他ないんだ今日も
久永草太「命の部首」
妊娠を希望する人は手をあげて裁きのごとき保育士会議
谷川保子「おもてなしロボ」
子供を持つことが難しい現場についての批評
・入選六首 題「胡桃」
一瞬の秋のすきまに食(は)みており胡桃のパンの胡桃がきしむ
公木正(こうきせい)
一席 母親が胡桃割ろうとハンマーでたたいた音が工場の音
松本貫希(かんき)
一心にこの世の秘密を解くように胡桃を食べているハムスター
髙谷慎司
「会えたね」という顔をしてメルカリにくるみ割り人形ずっといる
西爽子(そうこ)
食欲の暴力を見る殻を割るくるみ割り器の静かな震え
八号坂唯一
履歴書をゆっくり埋める昼下がりそこにいたのか水面の胡桃
てと
・キラリポイント
「会えたね」 内藤秀一郎
この世の秘密を解くように 深尾あむ
・秀一郎 あむの飛躍のカギ
笑っとこほんとにそれはおもしろい?そんなグループで成り立つ僕ら
内藤秀一郎 添削
笑っとこほんとにそれはおもしろい?そんなグループでじゃれ合う僕ら
ダイエット逃げても逃げても追ってくるいつまで痩せれば許されますか
深尾あむ
ダイエットが逃げても逃げても追ってくるいつまで痩せれば許されますか
・言葉のバトン
真っ白な帆が風に広がる
杜崎ひらく 歌人
⇩
はじめての海にほほえむ君の頬
中前安弘 スムージー・サラダ店店主
原風景の風を集めて冬闊歩
冬紅葉山の街道びっしりと
大掃除シンクで点てて飲むお薄
冬の暮繋がる理解深まらん
■NHK俳句 兼題「息白し」
選者 堀田季何 レギュラー 庄司浩平 司会 柴田英嗣
年間テーマ 「俳句の凝りをほぐします」
今週のテーマ「切れ」
「切れ」は俳句の基本でありながらいろんな定義がある
4回に渡って「切れ」とは何かその使い方を季何流で伝授
俳句のコリをほぐします 切れ
直前の言葉を輝かせる効果があります そこから切れ味が見える
句中の切れ 句の途中に切れがある
サイドミラーに細きつららや落ちずゆく 野崎海芋
やがつららを輝かせている やがないと散文的
やを入れると韻律も引き締まる
句中の切れ 3つの方法 ①切字 ②体言止め ③終止形
3つのどれかであるとフレーズが終わった感が出る
① 魔法の言葉「切字」があるだけで「切れ」が生まれる
② 体言止め 名詞で会わる形 赤い太陽 走り去って友人
サイドミラー細きつららの落ちずゆく
③ 終止形 文末に「。」がつく形 太陽は赤い。 友人が走り去る。
サイドミラーにつららか細し落ちずゆく
強調するところが変わる
句中の切れ=切断ではない 強調してキレキレにする
句末の切れ 句の終わりに切れがある 切字「かな」「けり」
くろがねの秋の風鈴鳴りにけり 飯田蛇笏
意味は「鳴りました」強い感じ
掛稲(かけいね)のすぐそこにある湯吞かな 波多野爽波
余剰を引く効果がある 風情が出る
言葉を輝かせる 強い切れ 多くの俳句が強い切れを使っている
俳句は短いので焦点を当てないとぼやける
認識の瞬間を強調しコントロールする
A. 夜長なり/即身仏を鼠食ふ
B. 水晶の大魂(たいかい)に春きざすなり/
C. 湯豆腐や/心のごとき白さかな/(一句に1か所切れ)
D. クリスマス/ひとりぼっちだ買い物す(三段切れ)
・今週の兼題「息白し」特選六句
歳時記を編んだ高浜虚子 山本健吉
偉大な専門家たちも動物でも作ると書いている
英雄のポーズ白息吐き切りぬ 横縞
白息を抜け白息へまた駆ける 加藤幸龍
(白息を2回使うのは❓悪くない)
白息をかけて鏡の人となる 大川宣子
(「白い息」は季語にならない 「白息(しらいき)」という季語
「白息」だと物として捉えられる 色々な使い方ができるので便利)
初めてのお化粧に似て息白し 滝川陽子
マジシャンの鳩白息(しろいき)にもどりくる 河添美羽
白息をかけて姑獲鳥(うぶめ)の卵拭く 斎藤秀雄
*中国に伝承される「姑獲鳥(こかくちょう)」がルーツのひとつとされる
・柴田の歩み 切り過ぎ注意
庄司の歩み 切りにけり
■NHK短歌 題「胡桃(くるみ)」
選者 川野里子 レギュラー 内藤秀一郎 深尾あむ 司会 ヒコロヒー
今回のテーマ「批評眼を持とう!」年間テーマ「“私”に出会おう~2年目の飛躍~」
白熊に逢ひしことなき白熊は立ち上がりたり檻いっぱいに
川野里子「天窓紀行」
(こんなふうに白熊を扱っていいんだろうか)
そりゃそうさが口命の部首だから食べてゆく他ないんだ今日も
久永草太「命の部首」
妊娠を希望する人は手をあげて裁きのごとき保育士会議
谷川保子「おもてなしロボ」
子供を持つことが難しい現場についての批評
・入選六首 題「胡桃」
一瞬の秋のすきまに食(は)みており胡桃のパンの胡桃がきしむ
公木正(こうきせい)
一席 母親が胡桃割ろうとハンマーでたたいた音が工場の音
松本貫希(かんき)
一心にこの世の秘密を解くように胡桃を食べているハムスター
髙谷慎司
「会えたね」という顔をしてメルカリにくるみ割り人形ずっといる
西爽子(そうこ)
食欲の暴力を見る殻を割るくるみ割り器の静かな震え
八号坂唯一
履歴書をゆっくり埋める昼下がりそこにいたのか水面の胡桃
てと
・キラリポイント
「会えたね」 内藤秀一郎
この世の秘密を解くように 深尾あむ
・秀一郎 あむの飛躍のカギ
笑っとこほんとにそれはおもしろい?そんなグループで成り立つ僕ら
内藤秀一郎 添削
笑っとこほんとにそれはおもしろい?そんなグループでじゃれ合う僕ら
ダイエット逃げても逃げても追ってくるいつまで痩せれば許されますか
深尾あむ
ダイエットが逃げても逃げても追ってくるいつまで痩せれば許されますか
・言葉のバトン
真っ白な帆が風に広がる
杜崎ひらく 歌人
⇩
はじめての海にほほえむ君の頬
中前安弘 スムージー・サラダ店店主
2024年12月1日日曜日
こころの時代 宮沢賢治 久遠の宇宙を生きる(2)
冬陽射す甘藷ねっとり?しっとり派?
冬の空遥か彼方で鳴く鳶(とんび)
冬の山変化し続け永遠に
冬の風水面の揺らぎ没入感
山眠る森羅万象一体となる
■こころの時代 宮沢賢治 久遠の宇宙に生きる(2)
「春」と「修羅」のはざまで
わたくしといふ現象は仮定された有機交流電燈のひとつの青い証明です
風景やみんなといっしょに せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける因果交流電燈のひとつの青い照明です
これらは二十二箇月の過去とかんずる方角から紙と鉱質インクをつらね
ここまでたもちつゞけられた かげとひかりのひとくさりづつ
そのとほりの心象スケッチです
「春と修羅」
いかりのにがさまた青さ 四月の気層のひかりの底を
唾し はぎしりゆききする おれはひとりの修羅なのだ
欧州戦争後の混濁したいろいろの思想は、颱風のように襲いかかってきたが、
法華経を読んでからの世界に対する大きな祈願と、前途への輝くばかりの
望みのために、それらは幾度も打ち消されてはまた悩み、その心象の
克明なスケッチと、イーハトーヴォ童話の前期の作品が、毎日克明に手帳に刻まれていた。
いつも兄は手帳を持っていて、野山でも汽車の中でも暗がりでも病床でも、
死ぬまで自分の考えを忘れないうちにスケッチした。
宮沢清六「兄のトランク」
詩集の内容は出版するまで私共にも 知らせなかったけれども、
いちばん最後に序文を書き上げたときは大変上機嫌で、
「この序文には相当の自信がある。これは後で識者に見られても
恥ずかしいものではない。」という風な気焔(えん)を上げて読んでくれたものである。
しかし当時の私には、”因果交流電燈”や“四次延長”などはむずかし過ぎたし、
”修羅”や”宇宙塵“というような言葉に親しみを持てる年齢でもなかったのである。
けれども兄の死後、私にとってこれからの作品が もはや一生涯の間どうしても私から
離れることの出来ないものになったというのも運命である。
宮沢清六「兄のトランク」
わたくしといふ現象は仮定された有機交流電燈のひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)風景やみんなといっしょに
せはしくせはしく明滅しながら いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈のひとつの青い照明です(ひかりはたもち その電燈は失はれ)
これらは二十二箇月の過去とかんずる方角から紙と鉱質インクをつらね
(すべてわたくしと明滅し みんなが同時に感ずるもの)
ここまでたもちつゞけられた かげとひかりのひとくさりづつ
そのとほりの心象スケッチです
これらについて人や銀河や修羅や海胆(うに)は 宇宙塵をたべ または空気や
塩水を呼吸しながら それぞれ新鮮な本体論もかんがへませうが
それらも畢竟(ひっきょう)こゝろのひとつの風物です たゞたしかに
記録されたこれらのけしきは 記録されたそのとほりのこのけしきで
それが虚無ならば虚無自身がこのとほりで ある程度まではみんなに共通いたします
(すべてがわたくしの中のみんなであるやうに みんなのおのおののなかのすべてですから)
全てこれらの命題は 心象や時間それ自身の性質として第四次延長の中で主張されます
大正十三年一月廿日(はつか) 宮沢賢治
まことのことばはうしなはれ 雲はちぎれてそらをとぶ
ああかがやきの四月の底をはぎしり燃えてゆききする
おれはひとりの修羅なのだ
私一人は 一天四海の帰する所 妙法蓮華経の御前にご供養くださるべく
然らば供養する人も 供養の物も 等しく光を放ちて それ自らの
最大幸福と 一切群生の福祉とを齎すべく候
既に母上は然くご決心下され 父上も昨日は孰(いず)れかと
お考へなされ候程に 御座候へば 何卒何卒 お聞き届け下され度候
「父 政次郎への手紙」1918年3月11日
信仰が熱烈になって、度々父に 改宗を切望するあまり、
はげしく宗教論を繰り返すので、母も全く困った思案の末、
父に法華経を贈った高橋勘太郎氏を訪問して、
「あなたがお勧め下さった法華経を信仰する余り、賢治はいつも
父と法論をして困っていますが、どうしたらよいものでしょう。」
と問うたところ、
即座に「それは少しも差支えありません。お父さんの信ずる大無量寿経も、
賢治さんの信ずる法華経も、実はみな釈尊の教えで、よくよく
読みくだいてしらべますと全く同じことを教えているのです。」
と言われて、母も安心して帰ったということであった。
然(しか)し若い賢治はその話などで納得する筈もなく、家中を法華経に
帰依せしめて、正しい宗教に改めたいという理由から、
大正十年一月二十三日に突然旅費だけをもって東京に家出したのであった。
そして本郷帝大前で謄写版印刷の原紙を書いて生活し、上野鶯谷の
国柱(こくちゅう)会に奉仕して街頭布教をしたり図書館で勉強したりした。
父は心配してときどき小切手で送金したが「慎しみて抹したてまつる。賢治」
と書いて返してよこすので、父も心配しながらも苦笑いをしていた という。
宮沢清六「兄のトランク」
宮沢賢治の短歌
父よ父よ などて舎監(しゃかん)の前にして かのとき 銀の時計を捲きし
暖かく腹が充ちてゐては 私などはよい事を考へません
しかも今は 父のおかげで 暖く不足なくてゐますから
実にづるいことばかり考へてゐます。
「親友 保坂嘉内への葉書」1918年10月11日
心象のはひいろはがねから あけびのつるはくもにからまり
のばらのやぶや腐食の湿地 いちめんのいちめんの諂曲(てんごく)模様
(正午の管樂よりもしげく 琥珀のかけらがそそぐとき)
砕ける雲の眼路をかぎり れいろうの天の海には 聖玻璃の風が行き交ひ
ZYPRESSEN 春のいちれつ くろぐろと光素を吸ひ その暗い脚並からは
天山の雪の稜さへひかるのに(かげろふの波と白い偏光)
まことのことばはうしなはれ 雲はちぎれてそらをとぶ
ああかがやきの四月の底をはぎしり燃えてゆききする
おれはひとりの沙羅なのだ(玉髄の雲が流れてどこで啼くその春の鳥)
日輪青くかげろへば修羅は樹林に交響し 陥りくらむ天の椀から
黒い木の群落が延び その枝はかなしくしがり すべて二重の風景を
喪神の森の梢から ひらめいてとびたつからす
(気層いよいよすみわたりひのきもしんと天に立つころ)
草地の黄金のすぎてくるもの ことなくひとのかたちのもの
けらをまとひおれを見るその農夫 ほんたうにおれが見えるのか
まばゆい気圏の海のそこに(かなしみは青々ふかく)
ZYPRESSEN しづかにゆすれ 鳥はまた青ぞらを截(き)る
(まことのことばはここにはなく 修羅のなみだはつちにふる)
あたらしくそらに息つけば ほの白く肺はちぢまり
(このからだそらのみぢんにちらばれ)
いてふのこずゑまたひかり ZYPRESSEN いよいよ黒く
雲の火ばなは降りそそぐ
祖父はすぐ家の裏に 防空壕を掘ったわけです
当然そのときに 何を持ち込むか 大事なものを選べたわけですよね
祖父が選んだのは一番大事なものは やっぱり 賢治さんの遺した原稿類と
手紙類とか手帳類とか そういったものだった
防空壕と土蔵 その中にネズミの穴があって そこから火が入っていたんですね
だから 中のものは みんな蒸し焼き状態になって すぐ水をかけて
だから焦げ跡とか 水の染みとか残っているんですけれども 祖父の行動が
なければ 今現在 こういうものは残っていないということです
清六の孫 宮澤和樹
不思議という外はないのだが、数十冊の法華経といっしょに、
「春の修羅」の校正に用いた原稿が、すっかり好い色の狐色に
焼き上げられた紙の上に、インクの色も濃いセピア色に変わって、
そんなにひどい火事場から出て来たのである。
「春と修羅」の詩が 美しいチョコレート色に浮き出されて、
その独特なペン字で踊り上がっているのである。
宮沢清六「兄のトランク」
私は懐かしいやら可笑しいやらで 「やあ。」と云って頭を下げ、
兄もうれしそうに「やあ。」と麦わら帽子を取った。
太陽が赤く大きく揺れながら 西の山に落ちるまで、兄はこれから
やらねばならない沢山の企画を聞かせてくれた
宮沢清六「兄のトランク」
いろいろな暗い思想を 太陽の下でみんな汗といっしょに
昇華さしたそのあとのあんな楽しさは わたくしもまた知ってゐます
苦痛を享楽できる人は ほんたうの詩人です。
もし風や光の中に自分を忘れ世界が自分の庭になり あるいは惚として
銀河系全体をひとりのじぶんだと感ずるときはたのしいことではありませんか。
「弟 清六への手紙」1925年9月21日
冬の空遥か彼方で鳴く鳶(とんび)
冬の山変化し続け永遠に
冬の風水面の揺らぎ没入感
山眠る森羅万象一体となる
■こころの時代 宮沢賢治 久遠の宇宙に生きる(2)
「春」と「修羅」のはざまで
わたくしといふ現象は仮定された有機交流電燈のひとつの青い証明です
風景やみんなといっしょに せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける因果交流電燈のひとつの青い照明です
これらは二十二箇月の過去とかんずる方角から紙と鉱質インクをつらね
ここまでたもちつゞけられた かげとひかりのひとくさりづつ
そのとほりの心象スケッチです
「春と修羅」
いかりのにがさまた青さ 四月の気層のひかりの底を
唾し はぎしりゆききする おれはひとりの修羅なのだ
欧州戦争後の混濁したいろいろの思想は、颱風のように襲いかかってきたが、
法華経を読んでからの世界に対する大きな祈願と、前途への輝くばかりの
望みのために、それらは幾度も打ち消されてはまた悩み、その心象の
克明なスケッチと、イーハトーヴォ童話の前期の作品が、毎日克明に手帳に刻まれていた。
いつも兄は手帳を持っていて、野山でも汽車の中でも暗がりでも病床でも、
死ぬまで自分の考えを忘れないうちにスケッチした。
宮沢清六「兄のトランク」
詩集の内容は出版するまで私共にも 知らせなかったけれども、
いちばん最後に序文を書き上げたときは大変上機嫌で、
「この序文には相当の自信がある。これは後で識者に見られても
恥ずかしいものではない。」という風な気焔(えん)を上げて読んでくれたものである。
しかし当時の私には、”因果交流電燈”や“四次延長”などはむずかし過ぎたし、
”修羅”や”宇宙塵“というような言葉に親しみを持てる年齢でもなかったのである。
けれども兄の死後、私にとってこれからの作品が もはや一生涯の間どうしても私から
離れることの出来ないものになったというのも運命である。
宮沢清六「兄のトランク」
わたくしといふ現象は仮定された有機交流電燈のひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)風景やみんなといっしょに
せはしくせはしく明滅しながら いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈のひとつの青い照明です(ひかりはたもち その電燈は失はれ)
これらは二十二箇月の過去とかんずる方角から紙と鉱質インクをつらね
(すべてわたくしと明滅し みんなが同時に感ずるもの)
ここまでたもちつゞけられた かげとひかりのひとくさりづつ
そのとほりの心象スケッチです
これらについて人や銀河や修羅や海胆(うに)は 宇宙塵をたべ または空気や
塩水を呼吸しながら それぞれ新鮮な本体論もかんがへませうが
それらも畢竟(ひっきょう)こゝろのひとつの風物です たゞたしかに
記録されたこれらのけしきは 記録されたそのとほりのこのけしきで
それが虚無ならば虚無自身がこのとほりで ある程度まではみんなに共通いたします
(すべてがわたくしの中のみんなであるやうに みんなのおのおののなかのすべてですから)
全てこれらの命題は 心象や時間それ自身の性質として第四次延長の中で主張されます
大正十三年一月廿日(はつか) 宮沢賢治
まことのことばはうしなはれ 雲はちぎれてそらをとぶ
ああかがやきの四月の底をはぎしり燃えてゆききする
おれはひとりの修羅なのだ
私一人は 一天四海の帰する所 妙法蓮華経の御前にご供養くださるべく
然らば供養する人も 供養の物も 等しく光を放ちて それ自らの
最大幸福と 一切群生の福祉とを齎すべく候
既に母上は然くご決心下され 父上も昨日は孰(いず)れかと
お考へなされ候程に 御座候へば 何卒何卒 お聞き届け下され度候
「父 政次郎への手紙」1918年3月11日
信仰が熱烈になって、度々父に 改宗を切望するあまり、
はげしく宗教論を繰り返すので、母も全く困った思案の末、
父に法華経を贈った高橋勘太郎氏を訪問して、
「あなたがお勧め下さった法華経を信仰する余り、賢治はいつも
父と法論をして困っていますが、どうしたらよいものでしょう。」
と問うたところ、
即座に「それは少しも差支えありません。お父さんの信ずる大無量寿経も、
賢治さんの信ずる法華経も、実はみな釈尊の教えで、よくよく
読みくだいてしらべますと全く同じことを教えているのです。」
と言われて、母も安心して帰ったということであった。
然(しか)し若い賢治はその話などで納得する筈もなく、家中を法華経に
帰依せしめて、正しい宗教に改めたいという理由から、
大正十年一月二十三日に突然旅費だけをもって東京に家出したのであった。
そして本郷帝大前で謄写版印刷の原紙を書いて生活し、上野鶯谷の
国柱(こくちゅう)会に奉仕して街頭布教をしたり図書館で勉強したりした。
父は心配してときどき小切手で送金したが「慎しみて抹したてまつる。賢治」
と書いて返してよこすので、父も心配しながらも苦笑いをしていた という。
宮沢清六「兄のトランク」
宮沢賢治の短歌
父よ父よ などて舎監(しゃかん)の前にして かのとき 銀の時計を捲きし
暖かく腹が充ちてゐては 私などはよい事を考へません
しかも今は 父のおかげで 暖く不足なくてゐますから
実にづるいことばかり考へてゐます。
「親友 保坂嘉内への葉書」1918年10月11日
心象のはひいろはがねから あけびのつるはくもにからまり
のばらのやぶや腐食の湿地 いちめんのいちめんの諂曲(てんごく)模様
(正午の管樂よりもしげく 琥珀のかけらがそそぐとき)
砕ける雲の眼路をかぎり れいろうの天の海には 聖玻璃の風が行き交ひ
ZYPRESSEN 春のいちれつ くろぐろと光素を吸ひ その暗い脚並からは
天山の雪の稜さへひかるのに(かげろふの波と白い偏光)
まことのことばはうしなはれ 雲はちぎれてそらをとぶ
ああかがやきの四月の底をはぎしり燃えてゆききする
おれはひとりの沙羅なのだ(玉髄の雲が流れてどこで啼くその春の鳥)
日輪青くかげろへば修羅は樹林に交響し 陥りくらむ天の椀から
黒い木の群落が延び その枝はかなしくしがり すべて二重の風景を
喪神の森の梢から ひらめいてとびたつからす
(気層いよいよすみわたりひのきもしんと天に立つころ)
草地の黄金のすぎてくるもの ことなくひとのかたちのもの
けらをまとひおれを見るその農夫 ほんたうにおれが見えるのか
まばゆい気圏の海のそこに(かなしみは青々ふかく)
ZYPRESSEN しづかにゆすれ 鳥はまた青ぞらを截(き)る
(まことのことばはここにはなく 修羅のなみだはつちにふる)
あたらしくそらに息つけば ほの白く肺はちぢまり
(このからだそらのみぢんにちらばれ)
いてふのこずゑまたひかり ZYPRESSEN いよいよ黒く
雲の火ばなは降りそそぐ
祖父はすぐ家の裏に 防空壕を掘ったわけです
当然そのときに 何を持ち込むか 大事なものを選べたわけですよね
祖父が選んだのは一番大事なものは やっぱり 賢治さんの遺した原稿類と
手紙類とか手帳類とか そういったものだった
防空壕と土蔵 その中にネズミの穴があって そこから火が入っていたんですね
だから 中のものは みんな蒸し焼き状態になって すぐ水をかけて
だから焦げ跡とか 水の染みとか残っているんですけれども 祖父の行動が
なければ 今現在 こういうものは残っていないということです
清六の孫 宮澤和樹
不思議という外はないのだが、数十冊の法華経といっしょに、
「春の修羅」の校正に用いた原稿が、すっかり好い色の狐色に
焼き上げられた紙の上に、インクの色も濃いセピア色に変わって、
そんなにひどい火事場から出て来たのである。
「春と修羅」の詩が 美しいチョコレート色に浮き出されて、
その独特なペン字で踊り上がっているのである。
宮沢清六「兄のトランク」
私は懐かしいやら可笑しいやらで 「やあ。」と云って頭を下げ、
兄もうれしそうに「やあ。」と麦わら帽子を取った。
太陽が赤く大きく揺れながら 西の山に落ちるまで、兄はこれから
やらねばならない沢山の企画を聞かせてくれた
宮沢清六「兄のトランク」
いろいろな暗い思想を 太陽の下でみんな汗といっしょに
昇華さしたそのあとのあんな楽しさは わたくしもまた知ってゐます
苦痛を享楽できる人は ほんたうの詩人です。
もし風や光の中に自分を忘れ世界が自分の庭になり あるいは惚として
銀河系全体をひとりのじぶんだと感ずるときはたのしいことではありませんか。
「弟 清六への手紙」1925年9月21日
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