冬陽射し五十二軒の縁側へ
居合わせる想いそれぞれ冬ぬくし
あなたへの佇む思い帰り花
居場所なき人集まりて落葉焚く
残り鷺あらゆるチャンス逃さない
■10min.ボックス現代文 初恋(島崎藤村)
まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり
やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり
わがこころなきためいきの
その髪の毛にかかるとき
たのしき恋を盃を
君が情に酌みしかな
林檎畠の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ
ついに新しき詩歌の時は来たりぬ。
(「藤村詩集」序)
近づく二人の距離
「恋愛」が新しかった時代
坪内逍遥「当世書生気質」(明治18~19年)
■偉人・敗北からの教訓 第67回「紫式部・『源氏物語』誕生と宮中での苦悩」
紫式部の栄光と敗北
973年誕生 宣孝と結婚 夫との別離 「源氏物語」を執筆 彰子の女房に抜擢
宮廷から逃げ実家に引きこもる 5カ月後復帰
源氏物語には和歌は795首含まれている
敗北の伏線~「源氏物語」を書き始めた理由~
全54帖 3部構成
第1部 光源氏が宮廷内で栄華を極める
第2部 因果応報で苦難を受ける光源氏
第3部 息子・薫 正妻の密通の子の恋模様
貴族の権力闘争 出世欲 嫉妬心 人間の心理に深く切り込む
1千年以上にわたり読み続けられる
・紫式部 敗北の伏線
自分の世界に入り込み過ぎるのも注意が必要
たまに意識的に心を開くように
敗北の瞬間~宮廷逃亡までのカウントダウン~
身の憂さは 心のうちに したひきて いまここのへぞ 思い乱るる
「紫式部集」より
敗北の瞬間
元々紫式部が書きたかった物語は光源氏の栄光の物語ではない
人生の生き難さ 息苦しさを伝えたかった
人生の苦悩、人生の真実を伝えたかった
第二部からは光源氏の無残な後半生を描いた
身の憂さを感じて生きてきた
そんな苦しみから救ってくれたのは中宮・彰子
十二歳で道長に嫁ぎ権力掌握のコマとされてきた彰子
自分の力で人生を切り開く彰子の姿に人生の喜びを感じるようになった
やがて彰子は敦成親王をもうけのちに天皇の母となる
・紫式部 敗北の瞬間
時には逃げることも大事だが逃げ続けるだけでなく
少し工夫してみると世界がガラリと変わるかも
敗北がもたらしたもの~娘に託した女性としての生き方~
石山寺 紫式部供養塔
仏さんの教えの中に妄語戎というのがありまして
嘘をついてはだめだ 物語は虚構である
紫式部は嘘をついてしまったということで
地獄へ落ちたとも言われています
紫式部のひとり娘・賢子(けんし)
紫式部と前後して彰子の女房になりました
紫式部が娘・賢子に贈ったのは
女房としての心得を記した「紫式部日記」だった
やがて天皇の乳母 従三位となった
紫式部は母としての役目を果した
夫の死 女房たちのいじめ 敗北からしたたかに立ち直った
作家 母親 キャリアウーマン 誰も真似のできない
平安時代を駆け抜けていった
娘・賢子が天皇の乳母になったことが一番嬉しかったかもしれない
運命は抗いがたいものだなと悟ったのではないか❓
いづくとも 身のやる方の知られねば 憂しと見つつも 永らふるかな
「紫式部集」より
(憂さばかりのこの世のどこに身を置けばよいか私は知りません
この世は憂いだけですがそれでも私は寿命が尽きるまで生きていきます)
「源氏物語」が日本にもたらしたもの
人の心を洞察する大切さ
洞察力が他人を思いやる気持ちになって
日本人の独特の美徳を形作っていった
現代の日本社会は形作られてきた
・紫式部の敗北から学ぶ教訓
自分と向き合う時間を持つ
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