冬景色米の選挙を騒ぐ過疎
閑静な過疎も賑わう冬の米
冬の朝いのしし闊歩小松島
チョコレート食べる時期あり冬銀河
独り身に寄り添う毛布夜明け前
■10min.ボックス 現代文 短歌
三十一音で表現する詩「短歌」
五七五七七。
わずか三十一音の短い言葉で表現する短歌は、日本の伝統的な詩の形です。
四季折々の美しさや、恋心、そして喜びや悲しみなどがつづられてきました。
かつて、日本の伝統的な歌は、「漢詩」に対し、「和歌」と呼ばれていました。
わが国で初めて作られた勅撰(ちょくせん)和歌集である『古今和歌集』。
ここに収められている歌のほとんどは短歌でした。
和歌は大切な教養の一つ
当時の歌の作り手のほとんどは貴族たちです。
彼らにとって、和歌は日々の暮らしや行事、恋愛などに欠かせない大切な教養の一つでした。
「月見れば ちぢに物こそかなしけれ わが身ひとつの秋にはあらねど/大江千里」
―秋の月を見ていると、心は複雑に乱れ、ものがなしさに包まれます。
秋は私だけの季節ではないのに。
さまざまな言葉の技巧
貴族のたしなみとしての和歌ではさまざまな技巧を凝らし、
間接的に想いを伝えることが好まれました。
「つれづれの ながめにまさる涙川 袖のみぬれて逢ふよしもなし/藤原敏行」
―あなたに逢えない寂しさで私の涙川も、長雨であふれる川のようになりました。
その涙で袖がぬれるばかりですが、お逢いする手立てもありません。
一つの言葉にいくつもの意味を重ねることで、募る気持ちを表現しています。
新しい短歌の幕明け
社会の仕組みや人々の考え方が一変した明治時代、短歌の世界にも大きな変化が起こります。
明治30年ごろ、古い慣習にとらわれず、
自分自身の心情や感動をありのままに表現しようとする歌人が登場したのです。
そうした変化を象徴する歌集が明治34年に発表されました。
『みだれ髪』です。若さや美しさ、そして性を大胆に取り上げ、注目を集めました。
「若さ」を誇らしく詠む
若い女性の美しさを誇らしく詠んだ歌です。
「その子二十 櫛にながるる黒髪の おごりの春のうつくしきかな」
―その子は今、娘盛りの二十歳。櫛通りのよい豊かな黒髪は、
ほこらしいほど青春の美しさにあふれている。
「春みじかし 何に不滅の命ぞと ちからある乳(ち)を手にさぐらせぬ」。
あっという間に過ぎていく青春を情熱的に生きる若い女性の姿が詠まれています。
古い価値観にとらわれない与謝野晶子
『みだれ髪』の作者は、与謝野晶子です。
彼女が目指したのは女性の自立。
「女性は男性に従い、つつましくあるべき」という古い価値観と戦い続けました。
『みだれ髪』に収められた大胆かつ率直な短歌の数々は大きな反響を呼びました。
のちに夫となる男性への恋心を詠んだ歌です。
「やは肌の あつき血汐にふれも見で さびしからずや道を説く君」
―恋する私の若い肌にもふれずに、ただ理想ばかりを言うあなた、それでさびしくはないのですか。
新しい短歌、新しい歌人の登場
明治から大正、そして昭和にかけて、新しい短歌や歌人が次々と登場します。
作者自身の貧しい暮らしぶりを詠んだ歌です。
「はたらけど はたらけど猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざり ぢつと手を見る/石川啄木」。
日常生活の些細な出来事をスケッチするように詠んだ歌です。
「ただひとつ 惜しみて置きし白桃(しろもも)の ゆたけきを吾(われ)は食ひをはりけり/斉藤茂吉」。
一つだけ大事にとって置いた大好物の桃。
それを食べ終えたときの満足感が伝わってきます。
思いを伝えるさまざまな試行
「自分の思い」を伝える。そのための挑戦がいろいろな歌人によって行われてきました。
作者が長野県を訪ねたときに詠んだ歌です。
「あの光るのは千曲川ですと、指差した、山高帽の野菜くさい手。/北原白秋」。
案内してくれた人が地元の名所を誇らしげに指差して言った言葉を、そのまま歌に取り入れています。
五七五七七の形式にさえとらわれない自由な短歌も登場します。自由律短歌です。
「自然がずんずん体のなかを通過する――山、山、山/前田夕暮」。
作者が初めて飛行機に乗ったときの驚きを大胆に表現しています。
三十一音に込められた「伝えたい思い」
最近では、携帯電話やパソコンを使って短歌を作り、
ラジオやインターネット上で発表する若い人たちも増えています。
10代の若者がNHKのラジオ番組に寄せた短歌には、
身のまわりの出来事や日々感じたことが表現されています。
短歌は時代を表す鏡でもあるのです。
「本当の 自分の心見つけたい 仮面ばかりでうんざりだから」。
「しゅわしゅわと とけるブルーのシャーベット そういうふうにあなたは消えた」。
「あの上で きみが待ってることにして 上着を脱いでペダルを踏むよ」。
三十一音に込められた「伝えたい思い」。それが短歌です。
参照:https://www2.nhk.or.jp/school/watch/bangumi/?das_id=D0005150045_00000
■ギュッと!四国 家藤正人の俳句道場
第11回かがわ「里海」づくりシンポジウム
家藤正人の句会ライブ In かがわ国際会議場
小島まで泳ぐ洗礼夏休み 太田牧子
「案山子」にまつわるお話。
徳島県三好市は“かかしの里”として知られ、
300体以上が地区に点在し、多くの観光客が訪れている。とか…。
知らなかった…。
ギュッと!特選
海風や案山子の襤褸(ぼろ)に帆の記憶 沼野大統領
背景が伝わる。言葉の経済効率に優れていた。奥行きのある俳句。
襤褸は以前は帆に使われていたことが巧く表現されていた。
季語「案山子」のもつ、希望のある哀れともいうべき独特のニュアンスが活きている。
兼題「案山子(かかし)」秋の季語
霊山をおりて不思議な案山子村 みやこ
田を守る案山子の衣装ハイセンス 如月弥生
児童らの手作り案山子誇らしげ 小手川とし
佳作 公民館案山子作りの105人 小物打楽器
佳作 三十度傾(かし)ぐ案山子とツーショット 井上きうい
今ちょっとリアクション無理案山子かな 田頭京花
秀作 豪農に生まれ案山子の子沢山 西田月旦
佳作 親知らず抜かれ目のあう案山子かな 辻和音 取り合わせの句
AIでしゃべる案山子や休耕田 どいつ薔芭
秀作 大谷が投げ大谷が打つ案山子 佐藤志祐
案山子にも手を振りゆくは選挙カー もちのくも
秀作 神降りてこぬやうに描く案山子かな ギル
正人のもったいない
荒田護る朽ちし案山子や斜め十五度 空郷阿房人
17音の小さな器には入りきらない情報量。季語に任せる。
最後「に」でリズムを整える。
推敲
荒田護る案山子や斜め十五度に
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