2024年11月17日日曜日

あの本、読みました?「三体」&小川糸

鷦鷯(みそさざい)時間気にすることもなく
(MLB)依怙贔屓阻止するカメラ冬日向
引き算の美学用いて声冴ゆる
100㏄のお薄飲み干す小春
稚拙ゆえ心に響く冬の月

■あの本、読みました?三部作の楽しみ方!「三体」&伊坂幸太郎&小川糸
鈴木保奈美 角谷暁子 林祐輔プロデューサー

・三部作小説の楽しみ方
大森望 三部作は物語に入りやすい

「三体」劉慈欣著/大森望 光吉さくら ワン・チャイ訳/立原透耶 監修/早川書房
メインストーリー「地球人と地球外文明が戦う話」
三体 1960年代~2007年頃 ワン・ミャオ ナノテク研究者
三体Ⅱ黒暗森林~2208年まで ルオ・ジー 元天文学者
三体Ⅲ死神永生~2000万年後? チェン・シン 女性エンジニア

第一部は「警察ミステリー」
第二部は「知恵比べ」
第三部は「ラブストーリー」

・「生殖記」の一文 朝井リョウ著/小学館
まさに今いろ~んな種類の体組成計の前で
「自分は真剣に悩んでいますよ」
みたいな表情をしているこのオス個体、
その振る舞いは全部そういうフリで、
こいつの頭は驚くほど稼働していないってことです。
尚成、何にも考えてないんです。
(中略)
「これは?よさそうじゃん」ほら、案の定、“流れ”がやってきました。
頼れる友人という名の流れです。「うーん…」聞きました?
わざわざ休日に買い物に付き合ってくれている他個体が
情報を提供してくれているのに、「うーん…」ですよ?
ご丁寧に「…」までつけて、せめてポジなのかネガなのかどっちかに
振れたくらいの反応を寄越しなさいよ。

・小川糸の描く「生きること三部作」
① 食堂かたつむり ②ライオンのおやつ ③小鳥とリムジン

① 食べることから生きることを考えた
② 死をテーマにして生きることを浮かび上がらせた
③ 愛することが生きることにつながるということを書いた

生まれて食べて死んで をくるくる繰り返している三部作
人生は「生」「死」「食」繰り返している

第一部「食堂かたつむり」
変わった料理が登場する理由は?

「おい!」男性が不快そうな表情で睨み付けているのは、
髪の毛だった。しかも、正確には陰毛だった。
「サンドイッチにこんなものが入っているなんて、最悪な店だな」
「食堂かたつむり」の一文

小川糸が書きたい対極にあるもの

こんなに素敵な野菜料理、初めて食べました!」
最初に声を上げたのは先生だった。続いて跡取りさんも言った。
「すばらしかったです。これは、特別にどこかから取り寄せた
野菜なんですか?」期待通りの質問に、私は心の中で飛び上がった。
そして、急いで筆談ノートに文字を連ねた。
けれどあまりにうれしくて、心の中の言葉に指先が追い付かない。
それで、じれったくなって、すべてこちらの男性の畑で作られた
野菜なんです、と身振り手振りでふたりに説明した。
「えっ」跡取りさんは、一瞬驚いた様子だった。
そして、跡取りさんを見る先生の目も一変した。
(中略)
跡取りさんは、自分が農家の跡取り息子だということを、
誇りに思ってはいないようなのだ。けれどもしかしたら、
今回の料理で、そのことを払拭できたかもしれない。
私には、ふたりのお見合いの結果よりも、そのことの方がうれしかった。

食事も「命」をもらっている

第二部「ライオンのおやつ」
ホスピスを舞台にした理由
(人生最後の食事 デルテ・シッパー著/川岸史訳 
シンコーミュージック・エンタテインメント
ホスピスで最後の食事を提供している)
「おやつ」を題材にした理由
おやつは記憶と結びついている

私が、小学校の二年か三年の時だったと思います。
ちょうど日曜日が、父の誕生日でした。
それまで、父が私の誕生日をお祝いしてくれることはあっても、
私が父の誕生日をお祝いする、ということはありませんでした。
けれど、その時に私はふと、今日は私が父の誕生日会を開いてあげよう、
とひらめいたのです。その日、私は初めて、
ひとりでお菓子を作ることに挑戦しました。
(中略)
私が選んだのは、ミルクレープというお菓子でした。
薄いクレープ生地をたくさん焼いて、その間にクリームをはさんで
重ねていきます。きっと子どもながらに、自分でも作れそうな
簡単なお菓子を選んだのでしょう。
(中略)
そのミルクレープの味が忘れられません。
自分で作って言うのもなんですが、本当においしかったのです。
それに、なによりもうれしかったのは、父が喜んでくれたことです。
あのミルクレープを、旅立つ前に、もう一度食べたいです。
「ライオンのおやつ」の一文
小川糸著/ポプラ文庫

第三部「小鳥とリムジン」
大吉の日は、まるでその料理をそのまま口に入れたかのような
豊かな気分を味わうことができる。こんな日は、決まっていい日だ。
コジマさんのオムツから、便がもれていない。
今日は、小吉とまでは言えないものの、まぁまぁの吉だった。
「小鳥とリムジン」の一文 小川糸著/ポプラ社

辛いことも思い返せば笑い話に

理夢人を後ろの荷台に乗せて、
私はぐいっと思いっきりペダルを踏み込んだ。
「上手、上手、小鳥、案外運動神経あるじゃん」
理夢人が歓声を上げる。私は、真剣だった。真っ直ぐ前方へと
自転車を走らせることに、全神経を集中させる。
(中略)
「大丈夫?嫌じゃない?」理夢人の両手がそっと伸びてきて、
私のおへその辺りで繋がった。「大丈夫、嫌じゃないよ」
泣きそうになるのをぐっと堪えて、私は理夢人の言葉を肯定形で繰り返す。
だって、今泣いたら、涙で周りが見えなくなって転んでしまう。
だから、今泣くわけにはいかない。それに、
私は今自分の子の目に映る光を、余すことなく記憶に留めたい。
だから、最大限まぶたを開けて、目の前の映像や匂いや音を、
脳裏にしっかり焼きつけた。私たちは、冷たい風に
フォトンを飛び散らせながら、小さな田舎の町を駆け抜ける。
「小鳥とリムジン」の一文 小川糸著/ポプラ社

性教育をすると寝た子を起こすかって言うけど、僕から言わせれば、
ちゃんとした性教育をしないことの方が
寝た子を変なふうに起こすと思うんだけど
「小鳥とリムジン」の一文 小川糸著/ポプラ社

小川糸女史から鈴木保奈美女史へのお薦め本
「植物と叡智の間守り人」ロビン・ウォール・キマラー著/三木直子訳 築地書館

三部作小説の楽しみ方《伊坂幸太郎》PK 大森望
「PK」「超人」「密使」の三つの物語が一冊にまとめられた未来三部作
『PK新装版』伊坂幸太郎著/講談社文庫
最初から三部作構成を考えていた?

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