ドラレコに喧嘩売られて冬の径
遮断機の変わらぬ音や冬の空
糠床の蕪の根と葉の匂い聞く
八十を過ぎた女や冬を生く
長過ぎた独居暮らしを冬の月
■10min.ボックス現代文 舞姫(森鴎外)
げに東(ひんがし)に帰る今の我は、西に航(こう)せし昔の我ならず、
我と我が心さへ変はりやすきをも悟り得たり。
主人公 太田豊太郎 エリス
ただ所動的、器械的の人物になりて自ら悟らざりしが、
我が足音に驚かされて顧りみたる面(おもて)、
余に詩人の筆なければこれを写すべくもあらず。
彼らは速了にも、余をもつて色を舞姫の群れに漁するものとしたり。
我ら二人の間にはまだ痴騃(ちがい)なる歓楽のみ存じたりしを。
弱き心が招く悲劇
エリスと余とはいつよりとはなしに、あるかなきかの収入を
合わせて、憂きが中にも楽しき月日を送りぬ。
相沢謙吉
我が弱き心には思ひ定めん由なかりしが、
しばらく友の言に従ひて、この情縁を断たんと約しき。
もしこの手にしもすがらずば、本国をも失ひ、名誉を
引き返さん道をも絶ち、身はこの広漠たる欧州大都の人の海に
葬られんかと思ふ念、心頭を衝いて起これり。
「我が豊太郎ぬし、かくまでに我をば欺きたまひしか。」
■ねこのめ美じゅつかん 54歩め
麗子像は❝デロリ❞だからこそ美しい!?
天一美術館 群馬県 利根郡 みなかみ町
建築家・吉村順三の遺作となった美術館
岸田劉生の「麗子像」をはじめとして、
佐伯祐三、安井曽太郎、熊谷守一や
ロダン、ルノワール、ピカソといった東西の巨匠の名画から
高麗・李朝の陶磁器に至る矢吹コレクションの白眉を展示している。
劉生の日記
人形は早くて半年かゝると云うから
来る時分にはもう一二寸伸びてゐる事と思ふ。
余の処へ走つてきて、腕時計だつたと云って
興奮して大喜びしてゐた。
東洋人独特のぬるりとした顔の描写、
そういう❝デロリ❞とした美しさ
生々しい生きものの汚さを持つ❝でろり❞とした感じ
■漢字ふむふむ 嵐なのにキャンプ?
中国で「嵐」と言えば、湿気を含んだ穏やかな風
中国語の「岚 lán」と言えば「もや」を指す
嵐という漢字は平安時代中国から伝わった
その頃の意味は山から吹く風だった
「吹くからに秋の草木のしをるればむべ山嵐を嵐といふらむ」
山から風が吹くとすぐ草木がしおれてしまう つまり
草木を倒してしまうほどの強い風=嵐 となった
兵庫では六甲おろし 群馬では赤木おろし という呼び名がある
日本で嵐と言えば暴風雨 地理的要因で意味が変わっていった
■夏井いつき俳句チャンネル
【特別投句企画】荒木健太郎杯、いよいよ上位賞発表!【結果発表②】
閑職の楽し鉄床雲近し 片野瑞木 いつき賞
バオバブだよかなとこ雲と言うよりは 家守らびすけ 正人賞
風荒し鉄鋸雲へ火の夕日 樫の木 第2位
山頂は晴れ積乱雲を横に見る 有村自壊 第3位
わたあめとどっちが重い積乱雲 千暁 第1位
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