夏足袋の端正な所作魅入る人
夏館無駄なき気品そこかしこ
雅な美小堀遠州夏の風
夏料理洗練されし「きれいさび」
雨粒がきらり紫陽花通り道
■NHK俳句 兼題「鮎」
選者 木暮陶句郎 ゲスト ウド鈴木 司会 柴田英嗣
年間テーマ「季語を器に盛る」
骨董マニア
古くて美しいものを身近に置いてそれを使いながら楽しんでいる
日本中の川に遡上して大変親しまれた魚
「香魚」とも呼ばれて香りがとてもいい
ただ鮎は1年しか生きない「年魚」とも言われている
「鮎」は夏の季語 鮎の稚魚は「氷魚(ひうお)」と呼ばれている
氷のように透き通っている「氷魚」は冬の季語
昔から朝廷に献上され有名 鮎の香りがする
「氷魚」を使うときは冬の季語として使う
(海から)遡上してくる鮎を「若鮎」という
「若鮎」は春の季語
「錆鮎」産卵期を迎える秋になると体が錆色になることから由来
また「子持ち鮎」と呼ばれ秋の季語となります
春夏秋冬を持つ魚
月のいろして鮎に斑のひとところ 上村占魚(せんぎょ)
鮎を釣り上げた瞬間を切り取った句
胸びれに「月の斑」が出ている これは天然の鮎の特徴
「藍藻(らんそう)」という藻を食べると藻の色素が出てきて模様になる
別名「追い星」と言います 天然の鮎は月の色(追い星)が出ている
「いい鮎が釣れた」喜びがこの句になっている
今月の陶器は 川底の岩に鮎の大好きな苔がつく
その苔を鮎が食べると「食み跡」がつく
それもイメージして焼かれた陶器
俳句では「季重なり」はダメじゃないですか
だけど料理は「季重なり」してもいい
いろいろな季語がこの中に入っている
「夏の月」も季語 「冷やしそうめん」も
▪特選六句発表 兼題「鮎」
吾の影の短し鮎の影疾(はや)し はぐれ杤餅(とちもち)
(「疾し」は「素早い」という意味
「吾の影」と「鮎の影」の対句表現が見事
九音・八音の句跨り リズムが良くて臨場感のある句になった)
対岸の父のこゑ消す鮎の川 主藤充子(すとうみつこ)
(「ゑ」が歴史的かなづかい 「ゑ」は「ぅえ」と発音
思い出の父の声が今でも脳裏に残っている)
鮎食うてその夜の夢の瀬音かな 前田恵美
色褪せし鱒二(ますじ)の色紙鮎の宿 髙野茂
(井伏鱒二の「鱒二」は筆名 もともと釣り好き
それで「鱒二」という名前をつけた
「鮎の宿」は釣り人が泊まる宿 鮎料理も食べられる
そこに鱒二先生も来て鮎を釣ったんじゃないか
「鱒」と「鮎」が微妙に響き合っている)
喧嘩っ早そうな奴を選んで囮(おとり)鮎 堀田福朗
(「友釣り」というのはある意味反語表現 「友」といっても
鮎を釣るための仕掛け 他の鮎が来たら追い払おうと追いかける
友釣りのための一番初めの鮎は買わないといけない
生け簀の中でどれがいいかなと選ぶとき 一番スピード感のある
喧嘩っ早そうな鮎を選んだ 二十一音ある でも違和感がない
リズムと内容に句がマッチしているからスピード感のあるいい句)
阿武隈川(あぶくま)のここが瀬頭(せがしら)鮎の宿 黒澤正行
(この方は釣り師だと思う)
▪ウド鈴木の一句
今年も鮎ごちそうなりたや占おか ウド鈴木
添削(希望を示す「たし」という助動詞の連体形
「また食べたい」という気持ちを「たき」に込めました
「逢う」は自分の思いが強い)
今年また巡り逢ひたき鮎料理
▪特選三席 兼題「鮎」
三席 鮎の宿逢はぬと決めた人と会ふ 内本恵美子
(「逢う」「会う」に心を表現している
仮に「逢う」と「会う」が逆だったら別の展開が想像できる
「あ」がこの句のリズムを作っている)
二席 満月のしづくを鮎と呼びにけり 里村閑(しずか)
(「満月のしづくはが鮎なんだ」と言っている
「鮎」という季語の新しい一面)
一席 鮎のいる川を誇りに育つ子ら 村松陽子
(「鮎のいる川」だけで自然が豊か 守られている自然だと
いうことも分かる 作者は岐阜県ですからきっと
郡上八幡の吉田川の景色を見てこの句を作ったのでは?)
▪柴田の歩み
鮎は万能な季語だなぁ
■NHK短歌 テーマ「鏡」
選者 大森静佳 ゲスト 三宅夏帆 司会 尾崎世界観
年間テーマ「ものがたりの深みへ」
第171回芥川賞の候補作にミュージシャンとしても活動する
尾崎世界観さんの「転の声」がノミネートされました。
心よりお喜び申し上げます。
年甲斐もなく嬉しくて飛び上がってしまいました。🙌
鏡とは日常的なアイテムでありつつ
別世界につながりやすい道具
つくつくぼふし三面鏡の三面のおくがに啼(な)きてちひさきひかり
葛原妙子
おくがとは奥深いところの意
歌に物語あり
▪入選九首 テーマ「鏡」
歯磨きの飛沫(しぶき)飛ぶことなくなりて母の鏡の鈍く光れり
柊子(しゅうこ)
知つてゐて得(とく)せしことは無けれども泉鏡花は刺身が嫌ひ
秋本哲(てつ)
きみに会うまでの道のり日を浴びてガラス戸ぜんぶが姿見になる
大野恭敬(やすたか)
二席 鏡から鏡へ飛びうつるように雨後の街路を駆けてゆく犬
高原すいか
万華鏡綺麗なものを見るときのあなたの猫背が美しかった
植垣颯希(そうき)
三席 もう若くないとも若いんだからとも言われる万華鏡だからかな
砂崎柊(しゅう)
一席 鏡には鏡のちから私には私のいのちでは出かけます
大岩真理
玉子スープに映る景色を崩しつつ私はたぶん一人で生きる
成遼泰
雨粒は無数の鏡どの僕もあなたじゃなきゃと呟いている
ナカムラロボ
▪ものがたりの深みへ
「ポーの一族」萩尾望都作
エドガーたち吸血鬼は普通に生活している間は
鏡に映らなくなってしまう
人間と一緒にいる時は鏡に映るように偽装できる
少年の姿のまま永遠の時を生きるエドガー
これ以上低くならないぼくの声夜の鏡の奥にしずめる
大森静佳
モヤモヤした感情や気分を丁寧に言葉にしてみる
青ざめた翼で永遠を漕ぐよアランあなたの髪がつめたい
大森静佳
自分の内側にある作品への思いが音から引き出される
自分の中の気づいていなかった部分に気づける
▪言葉のバトン
空のあなたはどうしてますか
妙圓(えん)寺住職 本間大智
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愛しぬく想いを継いで歌詞にする
ガールズトーク
自分っていう人間が生まれるまでに
いろんな人の愛があって今日がある
ラップを表現していくこと
ラップを教えていくこと
次の世代につなげていきたいな
「愛しぬく」と「歌詞にする」韻を踏んでいます
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