やんわりとシアートップス夏闊歩
(セザンヌ)質感と遠近法の夏休み
(セザンヌ)茂る草自己肯定の強き圧
セザンヌを認めたピカソ青林檎
身体からジョワイユもれん夏の空
■100分de名著 宮本常一「忘れられた日本人」(4)「世間師」の思想
畑中章宏(民俗学者) 伊集院光 阿部みちこ
世間とは人々の行動を束縛する「しがらみ」として捉えられている
宮本自身は共同体自体が1つの世間
その外側にも別の世界がありそこを渡り歩くという開かれたイメージ
世間師とは
自分が生まれた故郷から移動して外の世間を渡り歩いてきた人
「梶田富五郎翁」
浅藻 梶田富五郎
「たいがいのことはきいてああげられるが、あそこは
シゲ地じゃからたたりがあるといけん」というから
「たたりがあってもええ、それに生き神さまの天子様が
日本をおさめる時代になったんじゃから、
天道法師もわしらにわるさはすまい」ということになって、
浅藻へ納屋をたてることをゆるしてもろうて久賀へ戻って来やした。
港をひらくちうのは、港の中にごろごろしちょる石を
のけることでごいす。人間ちうものは知恵のあるもんで、
思案の末に大けえ石をのけることを考えついたわいの。
潮がひいて海の浅うなったとき、石のそばへ船を二はいつける。
船と船との間へ丸太をわたして 元気のええものが、
藤蔓(ふじづる)でつくった 大けな縄を持ってもぐって石へかける。
そしてその縄を船にわたした丸太にくくる。
潮がみちてくると船が浮かんでくるから、
石もひとりで海の中へ宙に浮きやしょう。
そうすると船と沖へ漕ぎ出して石を深いところへおとす。(中略)
根気ようやっていると、どうやら船の
つくるところくらいはできあがりやしてのう。
やっぱり世の中で一番えらいのが人間のようでごいす。
パイオニアのライフストーリーを通して
「ある港や集落がなぜそこにできたか」
「産業が発展していったか」に着目した
技術を伝えて歩く 意味合いもあった
漁民は魚を追って移住
農民は新田開発や大災害によって共同体単位で他の土地に移住
自分たちが豊かになるためには
新しい土地を切り拓いて故郷から移動した
周防大島出身ということが複数の世間を行き来することに
抵抗がなく 肯定的に受け入れるという宮本常一の素地になっている
女の世間 生活誌
昔にゃァ世間を知らん娘は嫁にもらいてがのうての、(中略)
世間をしておらんとどうしても考えが狭まうなりますけにのう
昔は、若い娘たちはよくにげ出した。父親が何にも
知らない間に たいていは母親としめしあわせて、
すでに旅へ出ている朋輩(ほうばい)をたよって出ていくのである。
娘たちは盆、正月になると戻って来る者が多い。
その時しめしあわせておく。
そこで伊予方言をほんの少々おぼえて来て、「伊予に三十日おったら、
島(故里)のことばをとんとわすれた」と伊予方言のアクセントで言って
皆をわらわせた。しかしそれからさきができない。
近所の女のところへやっていって、「伊予に三十日おったら、
島のことばをとんとわすれた、おかい(おばさん)かい(粥)を炊いて
下れえ(下さい)」とあと半分は島の言葉で言ったという笑い話がある。
娘たちにとって旅はそうした見習いの場であったのだが、それは
島の者の持っていない知識をもっている事をほこりにしたのである。
女性は家や共同体に縛りつけられて 生まれ故郷から出ないで
一生を終えるイメージが強いが子育てや生業(なりわい)を
進める上で島の中の常識だけではなく 外の世界では
どうしているのかを知っておかなければならない
共同体の外側にある色々な世間の価値観を学ぶことは
家族や共同体にとっても意味のあることだった
言葉すら違う人たちがいることを「知る」「知らない」では全然違う
「世間師(二)」
左近熊太翁
地租改正 1873-81年に明治政府が行った土地と租税の改革
「やっと世間のことがわかるようになったときには、
もう七十になっていましてな。
わしも一生何をしたことやらわかりまへん」
世間師の人々から見えること
それにしてもこの人の一生を見ていると、(中略)
その努力の大半が大した効果もあげず埋没していくのである。
明治から大正、昭和の前半にいたる間、
どこの村にも世間師が少なからずいた。
それが、村をあたらしくしていくための
ささやかな方向づけをしたことはみのがせない。
どこの村にもこのような世間師がいた
名士として記念碑に名を刻むのは成功を遂げた一部の人だけ
村の歴史は一方向的に進歩するのではなく
成功と失敗の繰り返しで漸進(ぜんしん)的なもの
停滞の歴史というものがあまり伝わっていない
停滞は「何も起こらなかった」記録にも残らない
新潟県佐渡
1980(昭和55)年 周防大島にて郷土大学発足
私は長いあいだ歩きつづけてきた。
そして多くの人にあい、多くのものを見てきた。
それがまだ続いているのであるが、その長い道程の中で
考えつづけた一つは、いったい進歩というのは
何であろうか、(注略)ということであった。
(中略)失われるものがすべて不要であり、
時代おくれのもので、あったのだろうか。(中略)これから
さきも人間は長い道を歩いてゆかなければならないが
何が進歩であるのか ということへの反省は たえず
なされなければ ならないのではないかと思っている。
「民俗学の旅」より
何が進歩なのかということを考えないとだめ
民俗学の枠を超えた活動
離島振興法
離島の自立的発展と定住を促進させるため 1953年に施行された法律
自分の経験をもとにリアルに世の中を変えるにはどうすればいいのか
それぞれの地域が経済的・文化的にいかに豊かになるか
が宮本の生涯のテーマとも言える
民俗学者の仕事の範疇(はんちゅう)を超えていると思われるが
宮本は政治を動かすような生臭いこともいとわなかった
徹底したリアリストだった
地域ごとに様々な事情があり個別の歴史があり
そこに住んでいる人のライフストーリーも様々
ということにも目を向けていかなくてはならない
画一的なマニュアルはないと宮本は実践的に言っているのではないか
2024年6月30日日曜日
2024年6月29日土曜日
戦争が迫ってきた時に読む本&俳句道場&マーケット・アナライズより&三島喜美代女史
(レアの雄)子育て中牛の頭突きも受ける夏
(レアの子)ぎこちなく父追いかけん青野かな
夏の空いつも一緒のレア親子
いち早く子を隠す夏鷹見つけ
レアの子や父追いかけん夏の雲
■理想的本箱 君だけのブックガイド
選「戦争が迫ってきた時に読む本」
吉岡里帆 太田緑ロランス 幅允孝(はばよしたか)
▪戦争は女の顔をしていない
著者 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 三浦みどり訳
戦場で確かに存在した名もなき女性たちの感情
彼らが語るとき、わたしは耳を傾けている…
彼らが沈黙しているとき、わたしは耳を傾けている…
▪短くて恐ろしいフィルの時代
著者 ジュージ・ソーンダーズ 岸本佐和子訳
独裁者になるきっかけは失恋だった
《他者》とみなしたものを根絶やしにしたがる
人間のエゴにまつわる物語
私たちの中に必ずフィルはいる
▪ひろしま 著者 石内都
写真集 写真だからこそ伝わる戦争
身に着けていた人たちの日常と生を静かによみがえらせる
今、私に出来ることは、眼の前にあるモノ達と
共有している空気にピントを合わせ、その場の時間を
たぐり寄せながらシャッターを押すだけだ。
石内都「在りつづけるモノ達へ」より
■ぎゅっと!四国
初蛍やさしき水と指をもて 家藤正人(小野小学校にて)
杉岡を鵜呑みにせずに大洲まで すぎう(鵜)か
家藤正人の俳句道場 兼題「紫陽花」(夏の季語)
紫陽花の傍題 四葩(よひら)・七変化・濃(こ)紫陽花など
佳作 弾む足取り紫陽花のお出迎え すそのあや
紫陽花の青濃し苦土石灰(せっかい)畑に撒く 山根円壱
佳作 見下ろせば紫陽花青きロープウェイ トーマス阿波
花嫁の髪にあぢさゐ二つ三つ KAZUピー
添削 花嫁の髪にあぢさゐニ三片(にさんぺん)
秀作 あじさいの影あじさいの葉に落ちて 沢唯果
(一物仕立て)
佳作 過疎なれど通学路には紫陽花を 西之もりはん
義娘(むすめ)よりアジサイコットンキャンディ 松山のおじさん
(季語ではなくなている)
参観日紫陽花柄のスカートで 中井ゆそし
(季語ではなくなっている)
鉢小(ち)さし紫陽花は頭五人分 松井くろ
中七「は」は要らない 七音にした方が良い
走馬灯うすれゆくかな紫陽花忌 マドンナ
(「走馬灯」と「紫陽花忌(俳人、水原秋桜子の忌日。 7月17日」季重なり)
佳作 紫陽花の雨滴くるくる万華鏡 美雨
秀作 紫陽花とカウンセラーの相槌と 坂本梨帆
正人のもったいない
咲き誇る庭燦燦と紫陽花や 松花遊子
詠嘆の「や」を下五に持っていくのは難しい
「敷地内禁煙」の緋と濃紫陽花 ひでやん
傍題を使うと良い 「緋」と「濃」で色の対比もよい
▪ギュッと!特選
接岸は未定紫陽花ぼよんぼよん 板柿せっか
選句ポイントは躍動する季語 接岸は効率効果が良い想像が膨らませ易い
次回の兼題「夏の海」(夏の季語)
■マーケット・アナライズCONNECT より
実質賃金が上がったのは群馬と大分。
賃上げに必要なのは「賃上げ補助金」と
外圧に伴う労働市場の流動化。
群馬の高崎ではコストコが参入時に
自給を1,500円にした事で
周辺企業の時給に変化があったそうです。
同じ事が熊本でも起こっているそうです。
■三島喜美代女史のことを2024年6月23日の
「日曜美術館 アートシーン」で初めて知りました。
6月26日 新聞で彼女が6月19日亡くなられたことを知りました。
6月27日「ねこのめ美じゅつかん」で紹介されていました。
東京の美術館で開催される初の三島の個展開催中だったのに…。
(三島喜美代―未来への記憶 | 展覧会 | 練馬区立美術館)
言葉の化石を造り続けた三島喜美代女史…。
残念でなりません。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
(レアの子)ぎこちなく父追いかけん青野かな
夏の空いつも一緒のレア親子
いち早く子を隠す夏鷹見つけ
レアの子や父追いかけん夏の雲
■理想的本箱 君だけのブックガイド
選「戦争が迫ってきた時に読む本」
吉岡里帆 太田緑ロランス 幅允孝(はばよしたか)
▪戦争は女の顔をしていない
著者 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 三浦みどり訳
戦場で確かに存在した名もなき女性たちの感情
彼らが語るとき、わたしは耳を傾けている…
彼らが沈黙しているとき、わたしは耳を傾けている…
▪短くて恐ろしいフィルの時代
著者 ジュージ・ソーンダーズ 岸本佐和子訳
独裁者になるきっかけは失恋だった
《他者》とみなしたものを根絶やしにしたがる
人間のエゴにまつわる物語
私たちの中に必ずフィルはいる
▪ひろしま 著者 石内都
写真集 写真だからこそ伝わる戦争
身に着けていた人たちの日常と生を静かによみがえらせる
今、私に出来ることは、眼の前にあるモノ達と
共有している空気にピントを合わせ、その場の時間を
たぐり寄せながらシャッターを押すだけだ。
石内都「在りつづけるモノ達へ」より
■ぎゅっと!四国
初蛍やさしき水と指をもて 家藤正人(小野小学校にて)
杉岡を鵜呑みにせずに大洲まで すぎう(鵜)か
家藤正人の俳句道場 兼題「紫陽花」(夏の季語)
紫陽花の傍題 四葩(よひら)・七変化・濃(こ)紫陽花など
佳作 弾む足取り紫陽花のお出迎え すそのあや
紫陽花の青濃し苦土石灰(せっかい)畑に撒く 山根円壱
佳作 見下ろせば紫陽花青きロープウェイ トーマス阿波
花嫁の髪にあぢさゐ二つ三つ KAZUピー
添削 花嫁の髪にあぢさゐニ三片(にさんぺん)
秀作 あじさいの影あじさいの葉に落ちて 沢唯果
(一物仕立て)
佳作 過疎なれど通学路には紫陽花を 西之もりはん
義娘(むすめ)よりアジサイコットンキャンディ 松山のおじさん
(季語ではなくなている)
参観日紫陽花柄のスカートで 中井ゆそし
(季語ではなくなっている)
鉢小(ち)さし紫陽花は頭五人分 松井くろ
中七「は」は要らない 七音にした方が良い
走馬灯うすれゆくかな紫陽花忌 マドンナ
(「走馬灯」と「紫陽花忌(俳人、水原秋桜子の忌日。 7月17日」季重なり)
佳作 紫陽花の雨滴くるくる万華鏡 美雨
秀作 紫陽花とカウンセラーの相槌と 坂本梨帆
正人のもったいない
咲き誇る庭燦燦と紫陽花や 松花遊子
詠嘆の「や」を下五に持っていくのは難しい
「敷地内禁煙」の緋と濃紫陽花 ひでやん
傍題を使うと良い 「緋」と「濃」で色の対比もよい
▪ギュッと!特選
接岸は未定紫陽花ぼよんぼよん 板柿せっか
選句ポイントは躍動する季語 接岸は効率効果が良い想像が膨らませ易い
次回の兼題「夏の海」(夏の季語)
■マーケット・アナライズCONNECT より
実質賃金が上がったのは群馬と大分。
賃上げに必要なのは「賃上げ補助金」と
外圧に伴う労働市場の流動化。
群馬の高崎ではコストコが参入時に
自給を1,500円にした事で
周辺企業の時給に変化があったそうです。
同じ事が熊本でも起こっているそうです。
■三島喜美代女史のことを2024年6月23日の
「日曜美術館 アートシーン」で初めて知りました。
6月26日 新聞で彼女が6月19日亡くなられたことを知りました。
6月27日「ねこのめ美じゅつかん」で紹介されていました。
東京の美術館で開催される初の三島の個展開催中だったのに…。
(三島喜美代―未来への記憶 | 展覧会 | 練馬区立美術館)
言葉の化石を造り続けた三島喜美代女史…。
残念でなりません。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
2024年6月28日金曜日
なりそめ 夏井いつきが語る「大人の恋」
石立山をツキノワグマの夏闊歩
見る人の記憶に記録油虫
夏の原子煩悩なるレアの父
夏の雲卵産むだけレアの雌
夏の雨卵育むレアの雄
■超多様性トークショー!なりそめ 夏井いつきが語る「大人の恋」
夏井いつき先生は元々は中学校の国語教師
30代で俳句の世界へ
お相手は8歳年上の兼光さん
長年、CMプロデューサーとして数々のCMを手掛け
でんぷん麺のCMの製作も…。
現在はマネージャーとしてテレビ出演のサポートも熟している。
夏井いつき
たった17音を通してお互いに理解し合おう認め合おう
俳句っていうのは多様性の最先端を100年前からやってきている
兼光さん
夏井は1から100まで俳句 それ以外のことは僕がやりましょう
出会った当時、兼光さんは二度の離婚を経験
夏井さんも離婚後二人の子供を育てていました。
いつき先生
離婚って物凄くエネルギーを必要とする
あんな無駄な負のエネルギーを使うのは二度とやりたくないと思っていた
どうしてCoupleに?
出会い ひとめぼれ 兼光さんが夏井いつき先生の俳句にひとめぼれした
「つながれぬ手は垂れ末黒野(すぐろの)の太陽 夏井いつき」
2004年BS俳句王国
俳句は17音の言葉がすべて 一人一人が違う受け止め方は全部正解
俳句はや陽性が詰まっている感じ 田村淳
兼光さんは月1回(愛媛県)松山でやっている句会に大阪から通った
深入りしたくなかった いつき先生…。
「ある日、出雲からどうやって帰るんですか❓
空いてるから車で迎えに行きましょうか❓」と、兼光さん
「ラッキー、旅費は浮くし時短にもなった。
その時、紳士的でもあった。男の人にドアを開けてもらう
生活していなかったので、一歩進んだ。
ボーイフレンドと会っている空気感?」と、いつき先生
「部屋空いてるけど来る?」いつき先生
御幸ハウスと呼んでいた一軒家があった
酒飲んで句会していた空間があった
そこには私の子ども2人とよそ様の子どもを3人預かっていた
俳句つながりでいろんな子どもたちにも出会う
登校拒否の子たちとがっつり関わっていた
親とちょっと離してあげるだけで冷却期間が生まれる
「部屋空いてるけど来る?」と言ったら来た子が3人いた。
10代後半の子たちだった。
兼光さんは目の前にある現実を受け入れるタイプ。
違和感とか無理をしているということはなかった。
「俳人夏井いつき」と「人間夏井いつき」では
後者と付き合いたくなった
「嫌がってるかもしれないけど、籍入れて結婚しません❓」と兼光さん
「結婚は二度としません」といつき先生
結婚したら何が面倒くさいかをいつき先生が言うと…。
「あなたのために料理はやりたくない」
「あなたのために洗濯時間がもったいない」と言われる度に兼光さんは…。
一つ一つ潰していった。
次、言う事がなくなってくだらないことになっていった。
最後に兼光さん「それ理由になりますか❓」と言われ
「確かに…。」と思ったいつき先生
「100%俳人をやってくれ」「100%肯定する」と言われ…。
めっちゃラッキーと思った。
俳句を作る人に惚れているんだなと言うことが解って来て
「俳人夏井いつき」と「人間夏井いつき」
両方をちゃんとサポートして
能力のある人は100%生かすべき
それ以外のことをする人に僕がなっていいと思うようになった
2006年結婚
大坂と松山という別居婚開始 その期間8年
兼光さんの定年退職をきっかけに松山で新婚生活をスタート
夏井いつきのマネージャーをスタート
その頃からテレビ出演が増えた
いつきさんの負担も極力減らしてくれている
兼光さんなしでは今の状況は考えられない
思わぬ出来事が…。
兼光さんに肺癌が見つかった
しかし、兼光さんが淡々と段どって
自分がいない間のことを全部決めていく
「全てのことは必ずなるようになる それを受け入れるしかない」兼光さん
いつきさんのお子様も淡々と日常を熟していく姿に物凄く救われた
みんなで日常をやろう
「摘出せる肺は蛍の匂ひして 夏井いつき」
さみしい匂いがする 肺のかけらが 蛍の匂いと一緒やな
負の感情の時も俳句は出てくる
負の感情を言葉にすることで客観的に見ることができる
うつの渦の中に入らず自分を保つことができる
人生の杖 俳句が人生の杖になると言っているのだけれど
負の感情に自分を落とさないために俳句が人生の杖になる
そして兼光さんがもう1本の杖になってくれている
結婚を拒んでいた人とは思えない。と田村淳さん
俳句は夏井いつき先生にとっては人生の杖
現在、兼光さんは俳句と同じ位置にいるのは感慨深いと田村淳さん
それを聞いたいつきさん「感動しちゃった」
6年前松山に二人の新居を建てました
料理担当は兼光さん 晩酌は二人にとって大切な時間
意外な一面 勝村政信さん
「先生はお酒大好きなだけで、そんなに強くない
『気持ち良くなってきた』みたいになって
ご飯を食べていると赤ちゃんみたいにこぼす
『どうしてそんなに落ちているんですか』と兼光さん
保護者の兼光さんが『じゃあそろそろ帰りましょうか❓』
子どもですね。」
あまりいつき先生がお皿を割るので、
昔の趣味の「金継ぎ」を始めたとか…。
一生かかってもしきれないくらいの食器があるとか…。
いつき先生の苦手なところを兼光さんが粘土で補強してくれている
どんな形でも成型できるしどんな形とも寄り添えるという意味では
兼光さんは粘土なのかなと…。
多様性とは?
兼光「今ここにいることを大事に 自然に大事にし合う関係が…。」
夏井「認め合うこと 好き嫌いはあるけど オリジナリティを認め合う
俳句は地球を救う」
見る人の記憶に記録油虫
夏の原子煩悩なるレアの父
夏の雲卵産むだけレアの雌
夏の雨卵育むレアの雄
■超多様性トークショー!なりそめ 夏井いつきが語る「大人の恋」
夏井いつき先生は元々は中学校の国語教師
30代で俳句の世界へ
お相手は8歳年上の兼光さん
長年、CMプロデューサーとして数々のCMを手掛け
でんぷん麺のCMの製作も…。
現在はマネージャーとしてテレビ出演のサポートも熟している。
夏井いつき
たった17音を通してお互いに理解し合おう認め合おう
俳句っていうのは多様性の最先端を100年前からやってきている
兼光さん
夏井は1から100まで俳句 それ以外のことは僕がやりましょう
出会った当時、兼光さんは二度の離婚を経験
夏井さんも離婚後二人の子供を育てていました。
いつき先生
離婚って物凄くエネルギーを必要とする
あんな無駄な負のエネルギーを使うのは二度とやりたくないと思っていた
どうしてCoupleに?
出会い ひとめぼれ 兼光さんが夏井いつき先生の俳句にひとめぼれした
「つながれぬ手は垂れ末黒野(すぐろの)の太陽 夏井いつき」
2004年BS俳句王国
俳句は17音の言葉がすべて 一人一人が違う受け止め方は全部正解
俳句はや陽性が詰まっている感じ 田村淳
兼光さんは月1回(愛媛県)松山でやっている句会に大阪から通った
深入りしたくなかった いつき先生…。
「ある日、出雲からどうやって帰るんですか❓
空いてるから車で迎えに行きましょうか❓」と、兼光さん
「ラッキー、旅費は浮くし時短にもなった。
その時、紳士的でもあった。男の人にドアを開けてもらう
生活していなかったので、一歩進んだ。
ボーイフレンドと会っている空気感?」と、いつき先生
「部屋空いてるけど来る?」いつき先生
御幸ハウスと呼んでいた一軒家があった
酒飲んで句会していた空間があった
そこには私の子ども2人とよそ様の子どもを3人預かっていた
俳句つながりでいろんな子どもたちにも出会う
登校拒否の子たちとがっつり関わっていた
親とちょっと離してあげるだけで冷却期間が生まれる
「部屋空いてるけど来る?」と言ったら来た子が3人いた。
10代後半の子たちだった。
兼光さんは目の前にある現実を受け入れるタイプ。
違和感とか無理をしているということはなかった。
「俳人夏井いつき」と「人間夏井いつき」では
後者と付き合いたくなった
「嫌がってるかもしれないけど、籍入れて結婚しません❓」と兼光さん
「結婚は二度としません」といつき先生
結婚したら何が面倒くさいかをいつき先生が言うと…。
「あなたのために料理はやりたくない」
「あなたのために洗濯時間がもったいない」と言われる度に兼光さんは…。
一つ一つ潰していった。
次、言う事がなくなってくだらないことになっていった。
最後に兼光さん「それ理由になりますか❓」と言われ
「確かに…。」と思ったいつき先生
「100%俳人をやってくれ」「100%肯定する」と言われ…。
めっちゃラッキーと思った。
俳句を作る人に惚れているんだなと言うことが解って来て
「俳人夏井いつき」と「人間夏井いつき」
両方をちゃんとサポートして
能力のある人は100%生かすべき
それ以外のことをする人に僕がなっていいと思うようになった
2006年結婚
大坂と松山という別居婚開始 その期間8年
兼光さんの定年退職をきっかけに松山で新婚生活をスタート
夏井いつきのマネージャーをスタート
その頃からテレビ出演が増えた
いつきさんの負担も極力減らしてくれている
兼光さんなしでは今の状況は考えられない
思わぬ出来事が…。
兼光さんに肺癌が見つかった
しかし、兼光さんが淡々と段どって
自分がいない間のことを全部決めていく
「全てのことは必ずなるようになる それを受け入れるしかない」兼光さん
いつきさんのお子様も淡々と日常を熟していく姿に物凄く救われた
みんなで日常をやろう
「摘出せる肺は蛍の匂ひして 夏井いつき」
さみしい匂いがする 肺のかけらが 蛍の匂いと一緒やな
負の感情の時も俳句は出てくる
負の感情を言葉にすることで客観的に見ることができる
うつの渦の中に入らず自分を保つことができる
人生の杖 俳句が人生の杖になると言っているのだけれど
負の感情に自分を落とさないために俳句が人生の杖になる
そして兼光さんがもう1本の杖になってくれている
結婚を拒んでいた人とは思えない。と田村淳さん
俳句は夏井いつき先生にとっては人生の杖
現在、兼光さんは俳句と同じ位置にいるのは感慨深いと田村淳さん
それを聞いたいつきさん「感動しちゃった」
6年前松山に二人の新居を建てました
料理担当は兼光さん 晩酌は二人にとって大切な時間
意外な一面 勝村政信さん
「先生はお酒大好きなだけで、そんなに強くない
『気持ち良くなってきた』みたいになって
ご飯を食べていると赤ちゃんみたいにこぼす
『どうしてそんなに落ちているんですか』と兼光さん
保護者の兼光さんが『じゃあそろそろ帰りましょうか❓』
子どもですね。」
あまりいつき先生がお皿を割るので、
昔の趣味の「金継ぎ」を始めたとか…。
一生かかってもしきれないくらいの食器があるとか…。
いつき先生の苦手なところを兼光さんが粘土で補強してくれている
どんな形でも成型できるしどんな形とも寄り添えるという意味では
兼光さんは粘土なのかなと…。
多様性とは?
兼光「今ここにいることを大事に 自然に大事にし合う関係が…。」
夏井「認め合うこと 好き嫌いはあるけど オリジナリティを認め合う
俳句は地球を救う」
2024年6月27日木曜日
あの本、読みました?~今村翔吾が語る司馬遼太郎、池波正太郎、藤沢周平の魅力
知恵島の色とりどりの百合の花
江川沿い百合の花の香惜しげなく
百合の花水辺の香り聞きたくて
五月闇高所得者となりにけり
薄味を病疑う夏の朝
■あの本、読みました?~今村翔吾が語る司馬遼太郎、池波正太郎、藤沢周平の魅力
本と歴史 今村翔吾
今年4月に77歳で亡くなったアメリカの作家 ポール・オースターを追悼
翻訳家・柴田元幸と魅力を語り合う
▪歴史小説は人生のカンニングペーパー
「教養としての歴史小説」今村翔吾 ダイヤモンド社
歴史小説:史実をもとに書かれた小説
時代小説:古い時代の事件や人物を素材とした小説
水戸黄門は時代小説
幕末はわかりにくい
おススメの歴史小説作家は今村翔吾
火喰鳥 羽州ぼろ鳶組 今村翔吾 祥伝社文庫
イクサガミ天 今村翔吾著 講談社文庫
「まずはお配りした木札を首のお掛け下さい。
これを外せば金を得る資格は失します。お気をつけ下さい」
皆が言われたように首に木札を掛ける。
「本日、総勢二百九十二人の方々にお集り頂きました。
皆様にはこれから東京へと向かって頂きます」
槐(えんじ)が諸手を開いて言うと、またどよめきが巻き起こった。
腕の立つものを集め、武器を手に東京へ向かう。
真っ先に頭を過ぎさったのは、愁二郎と同じことを考えて
動揺を露わにする者もいるが、槐は心を見抜くように首を横に振る。
「政府に弓引くという訳ではございません。一つ皆様に
心技体の全てを競うという「遊び」をして頂きたい」
歴史小説家になったきっかけは❓
小学五年生の時、「真田太平記(一)天魔の夏」池波正太郎著 新潮文庫
Debutのきっかけは北方謙三
竜馬がゆく 司馬遼太郎著 文春文庫
燃えよ剣 司馬遼太郎著 新潮文庫
翔ぶが如く 司馬遼太郎 文春文庫
真田太平記 池波正太郎 新潮文庫
鬼平犯科帳 池波正太郎 文春文庫
殺しの四人 池波正太郎 講談社文庫
用心棒日月抄 藤沢周平 新潮文庫
たそがれ清兵衛 藤沢周平 新潮文庫
蝉しぐれ 藤沢周平 文春文庫
伊賀忍法帖 山田風太郎 講談社文庫
それでも、だれひとり、目がはなせなかった。
五メートルばかりはなれてむかいあった
二人の男のあいだに交流するすさまじい殺気の波が、
すべての人びとの視覚中枢に灼きつけられていたからだ。
(注略)
忍法の争いに、実のところ、卑怯という言葉はない。
いかなるハンディキャップもみとめられず、
いかなるトリックも容認される。
忍者の世界に、武門の法は適用できぬ。
そこには、奇襲、暗殺、だまし討ち、それだけに
手段をえらばぬ苛烈無慈悲のたたかいがあがあるのみだ。
マジ ヤバイ ビビる 江戸時代から使われていた
マジ 江戸時代に芸人の楽屋言葉から生まれた「まじめ」の略
ヤバい 江戸時代の射撃場を「矢場」と呼んでおり
そこで悪事が行われていたことが語源 ヤバい人たちの隠語
ビビる 平安時代(紫式部)から使われていた
鎧がこすれる音が「ビンビン響く」ことから生まれた言葉
人生の悩みは歴史小説が解決する
林祐輔 番組プロデューサー
楽毅(がっき) 宮城谷昌光 新潮文庫
いまの君主は、人を求めず、利を求め、地を求めている。
武力で奪いとったものを、武力で守ろうとしている。
だが、一城の守将の心をつかめば、やすやすとその城はてにはいり、
一国の君主の心をとれば、おのずとその国はころがりこんでくる。
人心を得るほうが利は大きいのである。
価値観の違いを学べる 歴史小説「楽毅」
中間管理職は読むべし
ある時突然人生を変えてくれるのが「教養」
「海を破る者」今村翔吾著 文藝春秋 最新作
▪追悼 ポール・オースターの人生と魅力
鈴木保奈美×翻訳家 柴田元幸
保奈美さんがド緊張 憧れの人と対面
ポール・オースター 2024年4月 77歳で亡くなられました
九段理江(芥川賞作家)さんも大ファン
「闇の中の男」は芥川賞作品「東京都同情塔」のヒントになった作品
「闇の中の男」ポール・オースター著 柴田元幸訳 新潮社刊
伍長、と男は言って、ブリックの手をがっちり熱っぽく握る。
俺はトーバック軍曹、あんたの上司だ。
みんなサージ軍曹って呼ぶがね。
(中略)
私、ここで何してるんですか❓
とブリックは、募ってくる苦悶を抑えながら訊く。
おいおい、しっかりしろよ。お前戦争やってんだぞ。
なんだと思ったんだ。
(中略)
アメリカはイラクで戦争してるじゃないですか。
誰だって知ってます。
イラクなんかどうだってんだ。
ここはアメリカさ、アメリカがアメリカと戦争してるんだ。
なんの話ですか❓
内戦だよ、フリック。お前、なんにも知らんのか❓もう四年目だぞ。
運命を変えた偶然の出会い
「ガラスの街」ポール・オースター著 柴田元幸著 新潮文庫刊
ほんの何か月かで、自分は別人になってしまったのだ。
かつて自分を思い出そうとしてみたが、うまく行かなかった。
この新しいクインを見て、クインは肩をすくめた。
どうでもいいことだ。かつてはある人物で、
いまは別の人物になった、それだけのことだ。
よくも悪くもなっていない。違っているというだけの話なのだ。
1990年オースターと初対面
普段の生活は❓食べ物に興味がない
オースターの描きたかったもの
物語の中の映画 小説に映画が描かれる「幻影の書」
「幻影の書」ポール・オースター著 柴田元幸著 新潮文庫刊
ある午後、マーティンとクレアは台所で昼食を食べている。
(中略)
電話が鳴る。マーティンが立ち上がって、フレームの外に出たとたん、
カメラはアングルを反転させ、ドリーでクレアに近づいていく。
彼女の表情が、悦びあふれる友愛から心配に変わるのを、
恐怖さえそこに混じっているのを我々は見る。
(中略)
わからないの、マーティン❓と彼女は言う。
一週間一緒にいて、あなたはまだわからないって言うの?
彼がわかってないことは一目瞭然である。
そして見ている我々もやはりわかっていない。
明るく美しいクレアは、いまや一個の謎と化した。
未訳「4321」タイトルが意味するものは❓
江川沿い百合の花の香惜しげなく
百合の花水辺の香り聞きたくて
五月闇高所得者となりにけり
薄味を病疑う夏の朝
■あの本、読みました?~今村翔吾が語る司馬遼太郎、池波正太郎、藤沢周平の魅力
本と歴史 今村翔吾
今年4月に77歳で亡くなったアメリカの作家 ポール・オースターを追悼
翻訳家・柴田元幸と魅力を語り合う
▪歴史小説は人生のカンニングペーパー
「教養としての歴史小説」今村翔吾 ダイヤモンド社
歴史小説:史実をもとに書かれた小説
時代小説:古い時代の事件や人物を素材とした小説
水戸黄門は時代小説
幕末はわかりにくい
おススメの歴史小説作家は今村翔吾
火喰鳥 羽州ぼろ鳶組 今村翔吾 祥伝社文庫
イクサガミ天 今村翔吾著 講談社文庫
「まずはお配りした木札を首のお掛け下さい。
これを外せば金を得る資格は失します。お気をつけ下さい」
皆が言われたように首に木札を掛ける。
「本日、総勢二百九十二人の方々にお集り頂きました。
皆様にはこれから東京へと向かって頂きます」
槐(えんじ)が諸手を開いて言うと、またどよめきが巻き起こった。
腕の立つものを集め、武器を手に東京へ向かう。
真っ先に頭を過ぎさったのは、愁二郎と同じことを考えて
動揺を露わにする者もいるが、槐は心を見抜くように首を横に振る。
「政府に弓引くという訳ではございません。一つ皆様に
心技体の全てを競うという「遊び」をして頂きたい」
歴史小説家になったきっかけは❓
小学五年生の時、「真田太平記(一)天魔の夏」池波正太郎著 新潮文庫
Debutのきっかけは北方謙三
竜馬がゆく 司馬遼太郎著 文春文庫
燃えよ剣 司馬遼太郎著 新潮文庫
翔ぶが如く 司馬遼太郎 文春文庫
真田太平記 池波正太郎 新潮文庫
鬼平犯科帳 池波正太郎 文春文庫
殺しの四人 池波正太郎 講談社文庫
用心棒日月抄 藤沢周平 新潮文庫
たそがれ清兵衛 藤沢周平 新潮文庫
蝉しぐれ 藤沢周平 文春文庫
伊賀忍法帖 山田風太郎 講談社文庫
それでも、だれひとり、目がはなせなかった。
五メートルばかりはなれてむかいあった
二人の男のあいだに交流するすさまじい殺気の波が、
すべての人びとの視覚中枢に灼きつけられていたからだ。
(注略)
忍法の争いに、実のところ、卑怯という言葉はない。
いかなるハンディキャップもみとめられず、
いかなるトリックも容認される。
忍者の世界に、武門の法は適用できぬ。
そこには、奇襲、暗殺、だまし討ち、それだけに
手段をえらばぬ苛烈無慈悲のたたかいがあがあるのみだ。
マジ ヤバイ ビビる 江戸時代から使われていた
マジ 江戸時代に芸人の楽屋言葉から生まれた「まじめ」の略
ヤバい 江戸時代の射撃場を「矢場」と呼んでおり
そこで悪事が行われていたことが語源 ヤバい人たちの隠語
ビビる 平安時代(紫式部)から使われていた
鎧がこすれる音が「ビンビン響く」ことから生まれた言葉
人生の悩みは歴史小説が解決する
林祐輔 番組プロデューサー
楽毅(がっき) 宮城谷昌光 新潮文庫
いまの君主は、人を求めず、利を求め、地を求めている。
武力で奪いとったものを、武力で守ろうとしている。
だが、一城の守将の心をつかめば、やすやすとその城はてにはいり、
一国の君主の心をとれば、おのずとその国はころがりこんでくる。
人心を得るほうが利は大きいのである。
価値観の違いを学べる 歴史小説「楽毅」
中間管理職は読むべし
ある時突然人生を変えてくれるのが「教養」
「海を破る者」今村翔吾著 文藝春秋 最新作
▪追悼 ポール・オースターの人生と魅力
鈴木保奈美×翻訳家 柴田元幸
保奈美さんがド緊張 憧れの人と対面
ポール・オースター 2024年4月 77歳で亡くなられました
九段理江(芥川賞作家)さんも大ファン
「闇の中の男」は芥川賞作品「東京都同情塔」のヒントになった作品
「闇の中の男」ポール・オースター著 柴田元幸訳 新潮社刊
伍長、と男は言って、ブリックの手をがっちり熱っぽく握る。
俺はトーバック軍曹、あんたの上司だ。
みんなサージ軍曹って呼ぶがね。
(中略)
私、ここで何してるんですか❓
とブリックは、募ってくる苦悶を抑えながら訊く。
おいおい、しっかりしろよ。お前戦争やってんだぞ。
なんだと思ったんだ。
(中略)
アメリカはイラクで戦争してるじゃないですか。
誰だって知ってます。
イラクなんかどうだってんだ。
ここはアメリカさ、アメリカがアメリカと戦争してるんだ。
なんの話ですか❓
内戦だよ、フリック。お前、なんにも知らんのか❓もう四年目だぞ。
運命を変えた偶然の出会い
「ガラスの街」ポール・オースター著 柴田元幸著 新潮文庫刊
ほんの何か月かで、自分は別人になってしまったのだ。
かつて自分を思い出そうとしてみたが、うまく行かなかった。
この新しいクインを見て、クインは肩をすくめた。
どうでもいいことだ。かつてはある人物で、
いまは別の人物になった、それだけのことだ。
よくも悪くもなっていない。違っているというだけの話なのだ。
1990年オースターと初対面
普段の生活は❓食べ物に興味がない
オースターの描きたかったもの
物語の中の映画 小説に映画が描かれる「幻影の書」
「幻影の書」ポール・オースター著 柴田元幸著 新潮文庫刊
ある午後、マーティンとクレアは台所で昼食を食べている。
(中略)
電話が鳴る。マーティンが立ち上がって、フレームの外に出たとたん、
カメラはアングルを反転させ、ドリーでクレアに近づいていく。
彼女の表情が、悦びあふれる友愛から心配に変わるのを、
恐怖さえそこに混じっているのを我々は見る。
(中略)
わからないの、マーティン❓と彼女は言う。
一週間一緒にいて、あなたはまだわからないって言うの?
彼がわかってないことは一目瞭然である。
そして見ている我々もやはりわかっていない。
明るく美しいクレアは、いまや一個の謎と化した。
未訳「4321」タイトルが意味するものは❓
2024年6月26日水曜日
あいことば&「楊梅(やまもも)」&前田美波里の言葉
水苔の深まる緑山犬嶽(やまいぬだけ)
苔むさん牙むいたよな巨石群
純白のアナベル凛と熊谷寺(くまだにじ)
髪洗ふ向き合えたなら悩みなし
頁から聞こえくる音夏の夜
■あいことば
オードリー・ヘップバーン女史が、亡くなる数日前に
息子たちに読んで聞かせたという詩です。
『時を越えた美しさの秘密』
"Time Tested Beauty Tips" ―Sam Leveson
魅力的な唇であるためには、美しい言葉を使いなさい。
For attractive lips, speak words of kindness.
愛らしい瞳であるためには、他人の美点を探しなさい。
For lovely eyes, seek out the good in people.
スリムな体であるためには、飢えた人々と食べ物を分かち合いなさい。
For a slim figure, share your food with the hungry.
豊かな髪であるためには、一日に一度子供の指で梳いてもらいなさい。
For beautiful hair, let a child run his fingers through it once a day.
美しい身のこなしのためには、決してひとりで歩むことがないと知ることです。
For poise, walk with the knowledge you'll never walk alone ...
物は壊れれば復元できませんが、人は転べば立ち上がり、失敗すればやり直し、挫折すれば再起し、間違えれば矯正し、
People, even more than things, have to be restored, renewed, revived,
何度でも再出発することができます。
reclaimed and redeemed and redeemed ...
誰も決して見捨ててはいけません。
Never throw out anybody.
人生に迷い、助けて欲しいとき、いつもあなたの手のちょっと先に助けてくれる手がさしのべられていることを、忘れないで下さい。
Remember, if you ever need a helping hand,
you'll find one at the end of your arm.
年をとると、人は自分にふたつの手があることに気づきます。
As you grow older you will discover that you have two hands.
ひとつの手は、自分自身を助けるため、
もうひとつの手は他者を助けるために。
One for helping yourself, the other for helping others.
女性の美しさは 身にまとう服にあるのではなく、
The beauty of a woman is not in the clothes she wears,
その容姿でもなく、髪を梳くしぐさにあるのでもありません。
the figure that she carries, or the way she combs her hair.
女性の美しさは、その人の瞳の奥にあるはずです。
The beauty of a woman must be seen from in her eyes,
そこは心の入り口であり、愛情のやどる場所でもあるからです。
because that is the doorway to her heart,
女性の美しさは、顔のほくろなどに影響されるものではなく、
The beauty of a woman is not in a facial mole,
その本当の美しさは その人の精神に反映されるものなのです。
but true beauty in a woman is reflected in her soul.
それは心のこもった思いやりの気持ちであり、時として見せる情熱であり、
It is the caring that she lovingly gives, the passion that she shows,
その美しさは、年を追うごとに磨かれていくものなのです。
and the beauty of a woman with passing years only grows!
参照:https://www.facebook.com/profile.php?id=100064438849199
■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「楊梅(やまもも)」
「楊梅」この漢字を書いて「やまもも」と読みます
勿論この漢字の通り「ようばい」という読み方もあります
かなり背丈の高い木になりましてものによっては
15m以上にも成長するそうです
季節が来ると赤い実を山ほど実を付けて
それがどんどん地面に降ってきてその「楊梅」を拾っては
食べたという記憶のある方も多いのではないでしょうか
かなり黒くなるぐらいまで熟れたものの方が
美味しいらしいですね
生食する以外にもジャムにしたり「楊梅」をお酒に漬けて
「楊梅酒」を作ったりとか色んな利用法があるようです
大人になっても不意に食べたくなるそんな「楊梅」ですね
■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん~昭和の大先輩とおかしな2人~#17
昭和の大先輩 前田美波里の言葉
「ポジティブに生きよう」前田美波里
苔むさん牙むいたよな巨石群
純白のアナベル凛と熊谷寺(くまだにじ)
髪洗ふ向き合えたなら悩みなし
頁から聞こえくる音夏の夜
■あいことば
オードリー・ヘップバーン女史が、亡くなる数日前に
息子たちに読んで聞かせたという詩です。
『時を越えた美しさの秘密』
"Time Tested Beauty Tips" ―Sam Leveson
魅力的な唇であるためには、美しい言葉を使いなさい。
For attractive lips, speak words of kindness.
愛らしい瞳であるためには、他人の美点を探しなさい。
For lovely eyes, seek out the good in people.
スリムな体であるためには、飢えた人々と食べ物を分かち合いなさい。
For a slim figure, share your food with the hungry.
豊かな髪であるためには、一日に一度子供の指で梳いてもらいなさい。
For beautiful hair, let a child run his fingers through it once a day.
美しい身のこなしのためには、決してひとりで歩むことがないと知ることです。
For poise, walk with the knowledge you'll never walk alone ...
物は壊れれば復元できませんが、人は転べば立ち上がり、失敗すればやり直し、挫折すれば再起し、間違えれば矯正し、
People, even more than things, have to be restored, renewed, revived,
何度でも再出発することができます。
reclaimed and redeemed and redeemed ...
誰も決して見捨ててはいけません。
Never throw out anybody.
人生に迷い、助けて欲しいとき、いつもあなたの手のちょっと先に助けてくれる手がさしのべられていることを、忘れないで下さい。
Remember, if you ever need a helping hand,
you'll find one at the end of your arm.
年をとると、人は自分にふたつの手があることに気づきます。
As you grow older you will discover that you have two hands.
ひとつの手は、自分自身を助けるため、
もうひとつの手は他者を助けるために。
One for helping yourself, the other for helping others.
女性の美しさは 身にまとう服にあるのではなく、
The beauty of a woman is not in the clothes she wears,
その容姿でもなく、髪を梳くしぐさにあるのでもありません。
the figure that she carries, or the way she combs her hair.
女性の美しさは、その人の瞳の奥にあるはずです。
The beauty of a woman must be seen from in her eyes,
そこは心の入り口であり、愛情のやどる場所でもあるからです。
because that is the doorway to her heart,
女性の美しさは、顔のほくろなどに影響されるものではなく、
The beauty of a woman is not in a facial mole,
その本当の美しさは その人の精神に反映されるものなのです。
but true beauty in a woman is reflected in her soul.
それは心のこもった思いやりの気持ちであり、時として見せる情熱であり、
It is the caring that she lovingly gives, the passion that she shows,
その美しさは、年を追うごとに磨かれていくものなのです。
and the beauty of a woman with passing years only grows!
参照:https://www.facebook.com/profile.php?id=100064438849199
■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「楊梅(やまもも)」
「楊梅」この漢字を書いて「やまもも」と読みます
勿論この漢字の通り「ようばい」という読み方もあります
かなり背丈の高い木になりましてものによっては
15m以上にも成長するそうです
季節が来ると赤い実を山ほど実を付けて
それがどんどん地面に降ってきてその「楊梅」を拾っては
食べたという記憶のある方も多いのではないでしょうか
かなり黒くなるぐらいまで熟れたものの方が
美味しいらしいですね
生食する以外にもジャムにしたり「楊梅」をお酒に漬けて
「楊梅酒」を作ったりとか色んな利用法があるようです
大人になっても不意に食べたくなるそんな「楊梅」ですね
■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん~昭和の大先輩とおかしな2人~#17
昭和の大先輩 前田美波里の言葉
「ポジティブに生きよう」前田美波里
2024年6月25日火曜日
兼題「密豆」&テーマ「いってらっしゃい/いってきます」
線状降水帯を鳴く老鴬
雨音に負けぬ鴬ホーホケキョ
どしゃ降りを嘆く鴬ファルセット
救護法渋沢逝去二カ月後(無季句)
じゃがいもの茎からとまと海陽町
■NHK俳句 兼題「密豆」
選者 高野ムツオ ゲスト 神野紗希 筑紫磐井(つくしばんせい)
能町(のうまち)みね子 レギュラー 中西アルノ 司会 柴田英嗣
年間テーマ「語ろう!俳句」
「密豆」夏に食べることで涼しさを呼ぶもの
①密豆は儲けうすしや日影町 筑紫磐井
②トラックに密豆が踏みつぶされた 能町みね子
③密豆にマンゴー信教の自由 神野紗希
④密豆やあずま屋に蟻ぞろぞろ 中西アルノ
⑤密豆やまもなく線状降水帯 高野ムツオ
私は⑤が好きでした。
▪特選3席発表 兼題「密豆」
一席 密豆や老母恋しているらしい 橋本美重子(みえこ)
二席 密豆も商店街も消えてゐた 山川公司(こうじ)
三席 冥王星のごとき密豆の黒 入口弘德(ひろのり)
特選
蜜豆や乗るべきだつたあの誘い 田口健
蜜豆の光を崩す笑ひ声 佐藤英子
蜜豆を出してきたって許さない 湯屋ゆうや
蜜豆や都電に揺るる喫茶店 藤雪陽
蜜豆や祖母は記憶の友と食べ 月夜田しー太
凸凹とみつ豆を蜜ゆきわたり 神野志季三江
参照:https://www.nhk.jp/p/ts/6Q6J1ZGX37/blog/bl/pLvva3ZRZL/bp/p0yq3d5eQ0/
高野ムツオ先生の言葉
ひとつの言葉がどれだけ「世界」を持っているか
目の前にあるいろんな言葉でも
その言葉にはルーツや歴史があって
目方によって別物になることが
「密豆」という題材で知ることができた
■NHK短歌 テーマ「いってらっしゃい/いってきます」
選者 枡野浩一 ゲスト 片桐はいり 司会 尾崎世界観
年間テーマ「あなたへの手紙 かなたへの手紙」
気をつけていってらっしゃい行きよりも明るい帰路になりますように
枡野浩一
▪31音の手紙
入選九首 テーマ「いってらっしゃい/いってきます」
二席 「いってきます」「いってらっしゃい」住むことは毎朝別れをくりかえすこと
奥村真帆
「行ってきます」と言いつつゆっくり靴を履く俺も行くよと早く言ってよ
葉月ままこ
保育所を急いで出ようとする私に行ってらっしゃい娘の声が
松浦知惠子
一席 ありがとうわたしの親でいてくれていってらっしゃいまた会いましょう
中森菜穂子
玄関を開けて光を浴びるたび主人公だけ夢とかはない
髙原希美(のぞみ)
三席 喧嘩して「いってきます」が無かった日「無事ついたよ」は知らせてほしい
小田槙哉
あっちにもあるものばかり詰められた母の手提げが腕に食い込む
中山あゆみ
いってらっしゃい言われた頃は言う人の気も知らないで振り向きもせず
田中京子
おめでとういってらっしゃいもう二度と戻って来るな、来てもいいけど
檜澤(ひざわ)さくら
▪改悪添削
その短歌の魅力的なところをわざとダメにすることで
やっぱり元が良かったとみんなに味わって欲しい
玄関を開けて光を浴びるだけ主人公だが夢とかはない
髙原希美
添削(明るいだけの短歌はつまらない暗いだけでもつまらない
前半は明るいけど後半は冷静さがでるみたいなバランスが大切
短歌は二面性が描ける アンビバランス両面性みたいな
いい方をします 矛盾を抱えている表現が魅力的)
玄関を開けて光を浴びるだけ主人公だし夢がいっぱい
▪片桐はいりさんの短歌
この先はどこへも行けるくらがりですいつでもどうぞどこまでもどうぞ
片桐はいり
映画館を表現するとき「暗闇」と言っていたが
「くらがり」とも言えることを知った
違和感は嫌なことではなく希望の光とも言える
「ばかばかしい」「間抜け」は大切。バランスを取りたい。
真面目なんだけど笑みがこぼれるって良い。
枡野違和感 存在感 世界観 いいですね…。
カントリオ!
▪言葉のバトン
愛しぬく想いを継いで歌詞にする
ガールズトーク
⇩
野原が花で満ちてくように
コールレイ
凄い言葉がたまってきちゃって それを吐き出さなくちゃならなくなる
自分には言葉しかない そういう人生だったと思います
いまが一番楽しい 子どもも独立して髪も白くなって全てから解放された
雨音に負けぬ鴬ホーホケキョ
どしゃ降りを嘆く鴬ファルセット
救護法渋沢逝去二カ月後(無季句)
じゃがいもの茎からとまと海陽町
■NHK俳句 兼題「密豆」
選者 高野ムツオ ゲスト 神野紗希 筑紫磐井(つくしばんせい)
能町(のうまち)みね子 レギュラー 中西アルノ 司会 柴田英嗣
年間テーマ「語ろう!俳句」
「密豆」夏に食べることで涼しさを呼ぶもの
①密豆は儲けうすしや日影町 筑紫磐井
②トラックに密豆が踏みつぶされた 能町みね子
③密豆にマンゴー信教の自由 神野紗希
④密豆やあずま屋に蟻ぞろぞろ 中西アルノ
⑤密豆やまもなく線状降水帯 高野ムツオ
私は⑤が好きでした。
▪特選3席発表 兼題「密豆」
一席 密豆や老母恋しているらしい 橋本美重子(みえこ)
二席 密豆も商店街も消えてゐた 山川公司(こうじ)
三席 冥王星のごとき密豆の黒 入口弘德(ひろのり)
特選
蜜豆や乗るべきだつたあの誘い 田口健
蜜豆の光を崩す笑ひ声 佐藤英子
蜜豆を出してきたって許さない 湯屋ゆうや
蜜豆や都電に揺るる喫茶店 藤雪陽
蜜豆や祖母は記憶の友と食べ 月夜田しー太
凸凹とみつ豆を蜜ゆきわたり 神野志季三江
参照:https://www.nhk.jp/p/ts/6Q6J1ZGX37/blog/bl/pLvva3ZRZL/bp/p0yq3d5eQ0/
高野ムツオ先生の言葉
ひとつの言葉がどれだけ「世界」を持っているか
目の前にあるいろんな言葉でも
その言葉にはルーツや歴史があって
目方によって別物になることが
「密豆」という題材で知ることができた
■NHK短歌 テーマ「いってらっしゃい/いってきます」
選者 枡野浩一 ゲスト 片桐はいり 司会 尾崎世界観
年間テーマ「あなたへの手紙 かなたへの手紙」
気をつけていってらっしゃい行きよりも明るい帰路になりますように
枡野浩一
▪31音の手紙
入選九首 テーマ「いってらっしゃい/いってきます」
二席 「いってきます」「いってらっしゃい」住むことは毎朝別れをくりかえすこと
奥村真帆
「行ってきます」と言いつつゆっくり靴を履く俺も行くよと早く言ってよ
葉月ままこ
保育所を急いで出ようとする私に行ってらっしゃい娘の声が
松浦知惠子
一席 ありがとうわたしの親でいてくれていってらっしゃいまた会いましょう
中森菜穂子
玄関を開けて光を浴びるたび主人公だけ夢とかはない
髙原希美(のぞみ)
三席 喧嘩して「いってきます」が無かった日「無事ついたよ」は知らせてほしい
小田槙哉
あっちにもあるものばかり詰められた母の手提げが腕に食い込む
中山あゆみ
いってらっしゃい言われた頃は言う人の気も知らないで振り向きもせず
田中京子
おめでとういってらっしゃいもう二度と戻って来るな、来てもいいけど
檜澤(ひざわ)さくら
▪改悪添削
その短歌の魅力的なところをわざとダメにすることで
やっぱり元が良かったとみんなに味わって欲しい
玄関を開けて光を浴びるだけ主人公だが夢とかはない
髙原希美
添削(明るいだけの短歌はつまらない暗いだけでもつまらない
前半は明るいけど後半は冷静さがでるみたいなバランスが大切
短歌は二面性が描ける アンビバランス両面性みたいな
いい方をします 矛盾を抱えている表現が魅力的)
玄関を開けて光を浴びるだけ主人公だし夢がいっぱい
▪片桐はいりさんの短歌
この先はどこへも行けるくらがりですいつでもどうぞどこまでもどうぞ
片桐はいり
映画館を表現するとき「暗闇」と言っていたが
「くらがり」とも言えることを知った
違和感は嫌なことではなく希望の光とも言える
「ばかばかしい」「間抜け」は大切。バランスを取りたい。
真面目なんだけど笑みがこぼれるって良い。
枡野違和感 存在感 世界観 いいですね…。
カントリオ!
▪言葉のバトン
愛しぬく想いを継いで歌詞にする
ガールズトーク
⇩
野原が花で満ちてくように
コールレイ
凄い言葉がたまってきちゃって それを吐き出さなくちゃならなくなる
自分には言葉しかない そういう人生だったと思います
いまが一番楽しい 子どもも独立して髪も白くなって全てから解放された
2024年6月24日月曜日
100分de名著 宮本常一「忘れられた日本人」(3)無名の人が語りだす
夏の原強き陽射しと対峙せり
サンバイザー日除けとならずうつむかん
夏座敷足投げだして深呼吸
山笑うルソーも笑う緑かな
夏の鉢消えてしまったミニトマト
■100分de名著 宮本常一「忘れられた日本人」(3)無名の人が語りだす
畑中章宏 民族学者
土佐源氏 宮本常一の代表作
私たちが教科書で習う歴史は貴族や武士が文字で記録した話
その一方で庶民が歴史の中に記録されるのは
災害や飢饉の時に死んだ人の数で語られるだけ
小さな歴史
あんたなどこかな?はァ長州か、(中略)
あんたもよっぽど酔狂者じゃ。
乞食の話を聞きに来るとはのう…。(中略)
しかし、わしはあんたのような物好きにあうのははじめてじゃ、
八十にもなってのう、八十じじいの話をききたいというて
やって来る人にあうとは思わだった。
しかしのう、わしは八十年何もしておらん。
人をだますこととおなご(おんな)をかまう事ですぎてしもうた。
わるい、しようもない牛を追うていって、
「この牛はええ牛じゃ」いうておいて来る。
そうしてものの半年もたっていって見ると、
百姓というものはそのわるい牛をちゃんとええ牛にしておる。
そりゃええ百姓ちうもんは神さまのようなもんで、
石ころでも自分の力で金にかえよる。
そういうものから見れば、わしら人間のかすじゃ。
ただ人のものをだまってとらんのがとりえじゃった。
「おかたさまおかたさま、あんたのように牛を大事にする人は
見たことがありません。どだい尻をなめてもええほど
きれいにしておられる」というたら、それこそおかしそうに、
「あんなこといいなさる。どんなにきれいにしても
尻がなめられようか」といいなさる。
「なめますで、なめますで、牛どうしでもなめますで。
すきな女のお尻ならわたしでもなめますで」いうたら
おかたさまはまっかになってあんた向こうをむきなさった。(中略)
牡牛は澄ました後牡牛の尻をなめるので
「それ見なされ…」というと「牛のほうが愛情が深いのか知ら」
といいなさった。
わしはなァ その時はっと気がついた。
「この方はあんまりしあわせではないのだなァ」とのう。
わしはなァ、人はずいぶんだましたが、牛はだまさだった。(中略)
女もおなじで、かまいはしたがだましはしなかった。(中略)
ああ、目の見えぬ三十年は長うもあり、みじこうもあった。
かまうた女のことを思い出してのう。
どの女もみなやさしいええ女じゃった。
土佐源氏
立川志らく師匠の朗読を聞いて感想
(宮本に)心を開いて話し始めてエンジンがかかっていく感じ
落語に通じるものがある(伊集院光氏)
はみ出した人間の語りを生かそうとしている
こういうことはこれまでの民俗学にも歴史書にもなかった(畑中章宏氏)
「土佐源氏」は存在したのか?
「土佐源氏」は実際に検証が行われていて
モデルの人物はいたが一部創作が指摘されている
科学的に検証できないが庶民がそういう体験をしたという
言い伝え自体が重要
ばくろうの人から各地で話を聞いて「
土佐源氏」という1つのキャラクターにした
民俗学の聞き書きの場合脚色して虚構化する語りが認められている
わざわざ訪ねて来てくれた宮本に対してサービスをして
話を盛ったり仲間の体験した話を
自分のことのように話したのかもしれない
伊集院光氏
宮本を前に喋ることがうれしくなったおじいさんが
自分の思い出とごっちゃになっている
色々なものをどんどん提供している
聞く側が奥行きをどう感じるかが大切でそれが全くないと「報告」
なぜ「土佐源氏」を書いた?
ばくろう(移動しながら牛馬を扱う仕事を生業としていた人
不定期にやって来て物を売り芸を披露して
去っていく人々が見過ごされてきた
宮本常一は社会の周縁にいる人々にも社会の構成に含まれている
私たちの一部であることを示そうとした
伊集院光氏
世の中のメインから外れた暮らしをしている人の集合体
「小さな歴史を忘れてもらっちゃ困るんですけど」
「おまえこれを『いない』とは言わせないぞ」
間もなくこの人々の代筆を私がするようになる。
手紙も読んであげねばならぬ。
三十代の人でも字を知らない人がある。(中略)
長屋の人たちは悪い人はいなかった。
しかしみな気が弱く小さかった。
人の邪魔にならぬように精一ぱい生きているのだが、
みな袋小路へ追いつめられて生きているようで
新しい世界をきり拓くことを知らなかった。
私はそうした現実に義憤をおぼえるよりも、ここにまた一つ
世界があり秩序があり、それなりに生きている姿に
いろいろのことを考えさせられたのである。(中略)
そういう人たちを内包して生活している社会が、
政治社会の外側に存在していた。
その人たちの生活を向上させる方法はないものであろうか。
慈善事業としてでなく、自分たちで起(た)ち上って
いくような道はないものかと考えた。
「民俗学の旅」より
周防大島の場合には島民の間で
大きな経済格差や貧富の差はなかった
伊集院光氏
「ただそこで隠れているか」というとそういうこともなくて
一方的に「かわいそうだ 気の毒だ」と思ったわけでもない
慈善事業としてこの人たちを助けるのも違う
攻撃しあったりするのではなく調和や助け合いで維持されている
階層構造を革命的にひっくり返すのではなく相互扶助によって
それぞれの階層が全体に豊かになればいい
小笠原(中略)あんたが、下の田ではたらいているときに、(中略)
今夜は戸をたててはいけんぞ(中略)、というて、表のあかりが
見えるようにしておいた。
金田金 へえ、そうじゃったのかのう。わしはまた、あの家は
いつでも夜おそうまで表にあかりをつけてくれているで、
鍬先が見えるもんだから夜おそうまで仕事ができてありがたかった。
宮本 この座談会でそれが語られるまで、一方はその好意を相手に
つたえておらず、相手の方は夜のおそいうちだと
思いこんでいたという事実である。
村共同体にはこうした目に見えないたすけあいがあるものだと思った。
「名倉談義」の意図
「民衆は常に搾取されて虐げられてきた」
という歴史観が学問の世界を覆っていた
貧しい村でも相互扶助で飢餓のような事態も乗り越えて
今日まで生きながらえてきたという無名の人々の歴史があった
伊集院光氏
貧しい農民は搾取され続けるか
談判や反乱を起こして権利を勝ち取るか
二択ではないという提案を宮本はしている
緩やかな助け合い
ある朝のことでありました。
目がさめて何気なく見ると、
あの家に後光がさしているではありませんか。
わたしはおどろきましてな。それも実は何でもない事で。(中略)
朝日が出て、その光が水のたまった田にあたって、
和さんの家へあたります。あさひが直接にもあたります。(中略)
それがあの家をかがやくように明るうして、中二階のガラス障子が
それこそ金が光るように光ります。(中略)
まァとにかくおどろきましね。
この家はこれからきっとよい事があると思いました。
ここでこうして見ておりますと、言葉一つかわさなくても、
どの家がどういう風か手にとるようにわかります。
そしてみんなの家によい事があると、ほっとするのであります。
何と申しましても村の内が栄えるのが一ばんよい事であります。
サンバイザー日除けとならずうつむかん
夏座敷足投げだして深呼吸
山笑うルソーも笑う緑かな
夏の鉢消えてしまったミニトマト
■100分de名著 宮本常一「忘れられた日本人」(3)無名の人が語りだす
畑中章宏 民族学者
土佐源氏 宮本常一の代表作
私たちが教科書で習う歴史は貴族や武士が文字で記録した話
その一方で庶民が歴史の中に記録されるのは
災害や飢饉の時に死んだ人の数で語られるだけ
小さな歴史
あんたなどこかな?はァ長州か、(中略)
あんたもよっぽど酔狂者じゃ。
乞食の話を聞きに来るとはのう…。(中略)
しかし、わしはあんたのような物好きにあうのははじめてじゃ、
八十にもなってのう、八十じじいの話をききたいというて
やって来る人にあうとは思わだった。
しかしのう、わしは八十年何もしておらん。
人をだますこととおなご(おんな)をかまう事ですぎてしもうた。
わるい、しようもない牛を追うていって、
「この牛はええ牛じゃ」いうておいて来る。
そうしてものの半年もたっていって見ると、
百姓というものはそのわるい牛をちゃんとええ牛にしておる。
そりゃええ百姓ちうもんは神さまのようなもんで、
石ころでも自分の力で金にかえよる。
そういうものから見れば、わしら人間のかすじゃ。
ただ人のものをだまってとらんのがとりえじゃった。
「おかたさまおかたさま、あんたのように牛を大事にする人は
見たことがありません。どだい尻をなめてもええほど
きれいにしておられる」というたら、それこそおかしそうに、
「あんなこといいなさる。どんなにきれいにしても
尻がなめられようか」といいなさる。
「なめますで、なめますで、牛どうしでもなめますで。
すきな女のお尻ならわたしでもなめますで」いうたら
おかたさまはまっかになってあんた向こうをむきなさった。(中略)
牡牛は澄ました後牡牛の尻をなめるので
「それ見なされ…」というと「牛のほうが愛情が深いのか知ら」
といいなさった。
わしはなァ その時はっと気がついた。
「この方はあんまりしあわせではないのだなァ」とのう。
わしはなァ、人はずいぶんだましたが、牛はだまさだった。(中略)
女もおなじで、かまいはしたがだましはしなかった。(中略)
ああ、目の見えぬ三十年は長うもあり、みじこうもあった。
かまうた女のことを思い出してのう。
どの女もみなやさしいええ女じゃった。
土佐源氏
立川志らく師匠の朗読を聞いて感想
(宮本に)心を開いて話し始めてエンジンがかかっていく感じ
落語に通じるものがある(伊集院光氏)
はみ出した人間の語りを生かそうとしている
こういうことはこれまでの民俗学にも歴史書にもなかった(畑中章宏氏)
「土佐源氏」は存在したのか?
「土佐源氏」は実際に検証が行われていて
モデルの人物はいたが一部創作が指摘されている
科学的に検証できないが庶民がそういう体験をしたという
言い伝え自体が重要
ばくろうの人から各地で話を聞いて「
土佐源氏」という1つのキャラクターにした
民俗学の聞き書きの場合脚色して虚構化する語りが認められている
わざわざ訪ねて来てくれた宮本に対してサービスをして
話を盛ったり仲間の体験した話を
自分のことのように話したのかもしれない
伊集院光氏
宮本を前に喋ることがうれしくなったおじいさんが
自分の思い出とごっちゃになっている
色々なものをどんどん提供している
聞く側が奥行きをどう感じるかが大切でそれが全くないと「報告」
なぜ「土佐源氏」を書いた?
ばくろう(移動しながら牛馬を扱う仕事を生業としていた人
不定期にやって来て物を売り芸を披露して
去っていく人々が見過ごされてきた
宮本常一は社会の周縁にいる人々にも社会の構成に含まれている
私たちの一部であることを示そうとした
伊集院光氏
世の中のメインから外れた暮らしをしている人の集合体
「小さな歴史を忘れてもらっちゃ困るんですけど」
「おまえこれを『いない』とは言わせないぞ」
間もなくこの人々の代筆を私がするようになる。
手紙も読んであげねばならぬ。
三十代の人でも字を知らない人がある。(中略)
長屋の人たちは悪い人はいなかった。
しかしみな気が弱く小さかった。
人の邪魔にならぬように精一ぱい生きているのだが、
みな袋小路へ追いつめられて生きているようで
新しい世界をきり拓くことを知らなかった。
私はそうした現実に義憤をおぼえるよりも、ここにまた一つ
世界があり秩序があり、それなりに生きている姿に
いろいろのことを考えさせられたのである。(中略)
そういう人たちを内包して生活している社会が、
政治社会の外側に存在していた。
その人たちの生活を向上させる方法はないものであろうか。
慈善事業としてでなく、自分たちで起(た)ち上って
いくような道はないものかと考えた。
「民俗学の旅」より
周防大島の場合には島民の間で
大きな経済格差や貧富の差はなかった
伊集院光氏
「ただそこで隠れているか」というとそういうこともなくて
一方的に「かわいそうだ 気の毒だ」と思ったわけでもない
慈善事業としてこの人たちを助けるのも違う
攻撃しあったりするのではなく調和や助け合いで維持されている
階層構造を革命的にひっくり返すのではなく相互扶助によって
それぞれの階層が全体に豊かになればいい
小笠原(中略)あんたが、下の田ではたらいているときに、(中略)
今夜は戸をたててはいけんぞ(中略)、というて、表のあかりが
見えるようにしておいた。
金田金 へえ、そうじゃったのかのう。わしはまた、あの家は
いつでも夜おそうまで表にあかりをつけてくれているで、
鍬先が見えるもんだから夜おそうまで仕事ができてありがたかった。
宮本 この座談会でそれが語られるまで、一方はその好意を相手に
つたえておらず、相手の方は夜のおそいうちだと
思いこんでいたという事実である。
村共同体にはこうした目に見えないたすけあいがあるものだと思った。
「名倉談義」の意図
「民衆は常に搾取されて虐げられてきた」
という歴史観が学問の世界を覆っていた
貧しい村でも相互扶助で飢餓のような事態も乗り越えて
今日まで生きながらえてきたという無名の人々の歴史があった
伊集院光氏
貧しい農民は搾取され続けるか
談判や反乱を起こして権利を勝ち取るか
二択ではないという提案を宮本はしている
緩やかな助け合い
ある朝のことでありました。
目がさめて何気なく見ると、
あの家に後光がさしているではありませんか。
わたしはおどろきましてな。それも実は何でもない事で。(中略)
朝日が出て、その光が水のたまった田にあたって、
和さんの家へあたります。あさひが直接にもあたります。(中略)
それがあの家をかがやくように明るうして、中二階のガラス障子が
それこそ金が光るように光ります。(中略)
まァとにかくおどろきましね。
この家はこれからきっとよい事があると思いました。
ここでこうして見ておりますと、言葉一つかわさなくても、
どの家がどういう風か手にとるようにわかります。
そしてみんなの家によい事があると、ほっとするのであります。
何と申しましても村の内が栄えるのが一ばんよい事であります。
2024年6月23日日曜日
ヴィクトール・フランクル(3)豊かさの中の「空虚」
潮明寺雨に打たれて七変化
夏の風四葩の花の朝露を
鴬に負けじと鳴かん夏の鳥
いざ行かんドクターヘリと夏の鳥
杖ついて停車をさせる夏の道
■こころの時代
ヴィクトール・フランクル(3)豊かさの中の「空虚」
小野正嗣 勝田芽生
人間が生きることには、つねに、どんな状況でも、意味がある。
それは、生き延びる見込みなど皆無のときに
わたしたちを絶望から踏みとどまらせる、唯一の考えだったのだ。
「霧と夜」ヴィクトール・フランクル
生きる目的を見出せず、生きる内実を失い、
自分が存在することの意味をなくすとともに、
がんばり抜く意味も見失った人は痛ましいかぎりだった。
そのような人々とはよりどころを一切失って、
あっという間に崩れていった。
「霧と夜」ヴィクトール・フランクル
「意味」の喪失感は今日非常に増えています
とりわけ若者の間に広がっています
それは空虚感を伴うことがよくあります
昔のようにもはや伝統的価値観が
何をすべきかを教えてはくれません
今や人々は基本的に何をしたいのかさえも
わからなくなっています
フランクルの初めての著作 「医師によるメンタルケア」
ピッターマンは、無理やり私に白紙の書式に署名させ、
後でそれをウィーン神経科ポリクリニックの
空きポストへの願書に書き変えた。
かくして、それからの二十五年間、
私はこの病院の部長を務めることになったのである。
「フランクル回想録」
多くの患者たちが病院や診療所に殺到して空虚感を訴えています。
彼らは無意味感を訴えるのです。
それは感情的、あるいは精神的な疾患ではなく、
実存的絶望であり、精神的苦痛なのです。
「意味喪失の時代における教育の使命」
國學院大學での言葉(1969年)より
私はドイツ オーストリア スイスの学生にも調査を実施しました
25%の学生が無意味感を抱いているという結果でした
アメリカの学生ではそれが60%でした
生きていることが明らかに無意味だと思い絶望感を抱いたとしても
若者たちはそれを恥じることはありません
生きることに意味があるかどうかを問うのは人間の特権です
生きる意味が開示されるまで忍耐強く待てばいいのです
意味の喪失感
埋めたい空虚感 空洞は埋められない 過剰自己観察
発信することが目的となる
人の悲しみはジークムント・フロイトは過去が原因と捉えた
心が満たされていない時、過去の悲しい出来事が蘇ってくる
このように考えることは、ある岩が姿を現して
目に見えるようになることが
引き潮の原因だとしてしまうのと同じことです。
実際には、引き潮のときにこの岩が
水面に現れてくるだけのことなのです。
これと同じように、
何らかの劣等感や葛藤、問題やトラウマも
それ自体が病気の原因なのではありません。
不安と憂慮に駆られているので、
このようなことを絶えず考えてしまうのです。
「Theorie Therapie der Neurosen」
実存主義 マルティン・ハイデッッガー カール・ヤスパース
カミュ サルトル ポンティ 大江健三郎 は
虚無的な実存主義 悲観的な実存主義
フランクル ヤスパース は 肯定的実存主義
Existere 実存 Ex 外に sister 立つ
実存主義では運命に過去に支配されない自分が重要
精神的次元 コペルニクス的転回 天動説
ここで必要なのは、人生の意味に対する
問いかけ全体を方向転換させることです。
私たちが自分で学び、さらに絶望している人たちにも
教えなくてはならないのは、私たちが人生から何を
期待できるか、というのが重要なのでは決してなく、
むしろ、人生が私たちから何を期待しているかが
重要だということなのです。
つまり、人生の意味を安易に問うのはもうやめて、
自分自身が人生から常に問われているのだと自覚しよう、
ということです。
「夜と霧」
アンテナのことを「良心」とフランクルと呼んだ
良心とは意味を受信する器官
良心をしっかり立てて常に磨いておかなくてはならない
良心とは他者との関係のときに使う眼差しであり配慮
「苦悩に意味は何に苦悩するかではなく
どのように苦悩するかの中にあるのだ」
Viktor E.Frankl
いまの時代 自分の人生の「憎しみの連鎖」に
意識的に目を向けることが重要です
ロゴセラピーは他人の人生、人の存在を大切にすることは
自分の人生をを大切にしている事と同じ
まなざしの循環 精神性の循環
自分で自分を教育する
死を考えるとき自分がどう生きるか?を考えること
夏の風四葩の花の朝露を
鴬に負けじと鳴かん夏の鳥
いざ行かんドクターヘリと夏の鳥
杖ついて停車をさせる夏の道
■こころの時代
ヴィクトール・フランクル(3)豊かさの中の「空虚」
小野正嗣 勝田芽生
人間が生きることには、つねに、どんな状況でも、意味がある。
それは、生き延びる見込みなど皆無のときに
わたしたちを絶望から踏みとどまらせる、唯一の考えだったのだ。
「霧と夜」ヴィクトール・フランクル
生きる目的を見出せず、生きる内実を失い、
自分が存在することの意味をなくすとともに、
がんばり抜く意味も見失った人は痛ましいかぎりだった。
そのような人々とはよりどころを一切失って、
あっという間に崩れていった。
「霧と夜」ヴィクトール・フランクル
「意味」の喪失感は今日非常に増えています
とりわけ若者の間に広がっています
それは空虚感を伴うことがよくあります
昔のようにもはや伝統的価値観が
何をすべきかを教えてはくれません
今や人々は基本的に何をしたいのかさえも
わからなくなっています
フランクルの初めての著作 「医師によるメンタルケア」
ピッターマンは、無理やり私に白紙の書式に署名させ、
後でそれをウィーン神経科ポリクリニックの
空きポストへの願書に書き変えた。
かくして、それからの二十五年間、
私はこの病院の部長を務めることになったのである。
「フランクル回想録」
多くの患者たちが病院や診療所に殺到して空虚感を訴えています。
彼らは無意味感を訴えるのです。
それは感情的、あるいは精神的な疾患ではなく、
実存的絶望であり、精神的苦痛なのです。
「意味喪失の時代における教育の使命」
國學院大學での言葉(1969年)より
私はドイツ オーストリア スイスの学生にも調査を実施しました
25%の学生が無意味感を抱いているという結果でした
アメリカの学生ではそれが60%でした
生きていることが明らかに無意味だと思い絶望感を抱いたとしても
若者たちはそれを恥じることはありません
生きることに意味があるかどうかを問うのは人間の特権です
生きる意味が開示されるまで忍耐強く待てばいいのです
意味の喪失感
埋めたい空虚感 空洞は埋められない 過剰自己観察
発信することが目的となる
人の悲しみはジークムント・フロイトは過去が原因と捉えた
心が満たされていない時、過去の悲しい出来事が蘇ってくる
このように考えることは、ある岩が姿を現して
目に見えるようになることが
引き潮の原因だとしてしまうのと同じことです。
実際には、引き潮のときにこの岩が
水面に現れてくるだけのことなのです。
これと同じように、
何らかの劣等感や葛藤、問題やトラウマも
それ自体が病気の原因なのではありません。
不安と憂慮に駆られているので、
このようなことを絶えず考えてしまうのです。
「Theorie Therapie der Neurosen」
実存主義 マルティン・ハイデッッガー カール・ヤスパース
カミュ サルトル ポンティ 大江健三郎 は
虚無的な実存主義 悲観的な実存主義
フランクル ヤスパース は 肯定的実存主義
Existere 実存 Ex 外に sister 立つ
実存主義では運命に過去に支配されない自分が重要
精神的次元 コペルニクス的転回 天動説
ここで必要なのは、人生の意味に対する
問いかけ全体を方向転換させることです。
私たちが自分で学び、さらに絶望している人たちにも
教えなくてはならないのは、私たちが人生から何を
期待できるか、というのが重要なのでは決してなく、
むしろ、人生が私たちから何を期待しているかが
重要だということなのです。
つまり、人生の意味を安易に問うのはもうやめて、
自分自身が人生から常に問われているのだと自覚しよう、
ということです。
「夜と霧」
アンテナのことを「良心」とフランクルと呼んだ
良心とは意味を受信する器官
良心をしっかり立てて常に磨いておかなくてはならない
良心とは他者との関係のときに使う眼差しであり配慮
「苦悩に意味は何に苦悩するかではなく
どのように苦悩するかの中にあるのだ」
Viktor E.Frankl
いまの時代 自分の人生の「憎しみの連鎖」に
意識的に目を向けることが重要です
ロゴセラピーは他人の人生、人の存在を大切にすることは
自分の人生をを大切にしている事と同じ
まなざしの循環 精神性の循環
自分で自分を教育する
死を考えるとき自分がどう生きるか?を考えること
2024年6月22日土曜日
父親が嫌いになった時に読む本&スーパーコンピューター「京」&ブランクーシ&島津義久の句
夏座敷手ごね仕上げよ掌よ
詫び寂びのマイナスの美よ夏点前
夏茶碗わざとなゆがみ歪(いびつ)な美
夏茶碗自然の流れとむらを持ち
夏茶の湯茶碗の裏のきれいさび
■理想的本箱 君だけのブックガイド
選「父親が嫌いになった時に読む本」
▪「生きるとか死ぬとか父親とか」著者ジェーン・スー
父と対峙したから書けた憎しみと愛のラブレター
▪「そして父にならない」著者 カトーコーキ
父から受けた呪いを父にならないことで解く
彼は自分の子供を自らの所有物と認識し
人格の境界線を曖昧にすることで
子供は親にコントロールされて然るべきとの考えを肯定した
▪「百」著者 色川武大(たけひろ)
衰えた父と新しい関係を見つけるための小説
ナルコレプシー(強い眠気が繰り返し起こる睡眠障害)を
色川自身も持っていた
■新プロジェクトX より
スーパーコンピューター「京」の開発に挑んだエンジニア
追永勇次氏と安島雄一郎氏と吉田利雄氏のドラマを拝見しました。
そして、陰の立役者は安島恵美さんであることを知ることとなりました。
胸が熱くなり涙腺崩壊となりかけました。
素晴らしかった!天才の頭脳戦を覗かせて貰ったような…。
■日曜美術館 アートシーン「ブランクーシ 本質を象る」展
コンスタンティン・ブランクーシ(1876-1957)の言葉
「対象の真の意味に迫ろうとすることで
単純さに到達するのである」
「真なるものとは外面的な形ではなく
観念 つまり事物の本質である」
■偉人・敗北からの教訓
第49回「シリーズ③九州攻めと島津義久」
島津義久敗北の伏線
出る杭は打たれる
周囲を気にするのもほどほどに状況を考えることが必要
島津義久敗北の瞬間
優秀な駒も制御できなければ意味をなさない
重要な場面では自分を突き通すことも大事
1611年 79歳の生涯を閉じた義久の句
世の中の米(よね)と水とを汲み尽くし尽くしてのちは天つ大空
(世の中のあらゆる事を経験し尽くして
その後は澄み切った大空のように思い残すことはない)
島津義久の敗北から学ぶ教訓
慢心はせず時代に合わせた力を養うべし
詫び寂びのマイナスの美よ夏点前
夏茶碗わざとなゆがみ歪(いびつ)な美
夏茶碗自然の流れとむらを持ち
夏茶の湯茶碗の裏のきれいさび
■理想的本箱 君だけのブックガイド
選「父親が嫌いになった時に読む本」
▪「生きるとか死ぬとか父親とか」著者ジェーン・スー
父と対峙したから書けた憎しみと愛のラブレター
▪「そして父にならない」著者 カトーコーキ
父から受けた呪いを父にならないことで解く
彼は自分の子供を自らの所有物と認識し
人格の境界線を曖昧にすることで
子供は親にコントロールされて然るべきとの考えを肯定した
▪「百」著者 色川武大(たけひろ)
衰えた父と新しい関係を見つけるための小説
ナルコレプシー(強い眠気が繰り返し起こる睡眠障害)を
色川自身も持っていた
■新プロジェクトX より
スーパーコンピューター「京」の開発に挑んだエンジニア
追永勇次氏と安島雄一郎氏と吉田利雄氏のドラマを拝見しました。
そして、陰の立役者は安島恵美さんであることを知ることとなりました。
胸が熱くなり涙腺崩壊となりかけました。
素晴らしかった!天才の頭脳戦を覗かせて貰ったような…。
■日曜美術館 アートシーン「ブランクーシ 本質を象る」展
コンスタンティン・ブランクーシ(1876-1957)の言葉
「対象の真の意味に迫ろうとすることで
単純さに到達するのである」
「真なるものとは外面的な形ではなく
観念 つまり事物の本質である」
■偉人・敗北からの教訓
第49回「シリーズ③九州攻めと島津義久」
島津義久敗北の伏線
出る杭は打たれる
周囲を気にするのもほどほどに状況を考えることが必要
島津義久敗北の瞬間
優秀な駒も制御できなければ意味をなさない
重要な場面では自分を突き通すことも大事
1611年 79歳の生涯を閉じた義久の句
世の中の米(よね)と水とを汲み尽くし尽くしてのちは天つ大空
(世の中のあらゆる事を経験し尽くして
その後は澄み切った大空のように思い残すことはない)
島津義久の敗北から学ぶ教訓
慢心はせず時代に合わせた力を養うべし
2024年6月21日金曜日
雨の行列で一句&名言
雨受けて夏桑挿し木息づくや?
夏の夜や灯りが繋ぐニューヨーク
明易(あけやすし)絵に語らせて息潜む
歴史伝える証人となる菖蒲
酔芙蓉儚き時をたゆみなく
■プレバト纏め 2024年6月20日
雨の行列で一句
特別永世名人 締めのお手本 梅沢富美男
遥かなる長持唄の喜雨をゆく
(長持ち唄とは昔の結婚式で嫁入り行列の際に歌われた祝いの歌
上五はイメージとして使われがちな言葉
この場合距離感として映像になっている
喜雨「夏の季語」日照りが長く続いた後に降る雨のこと
遠くから花嫁行列が見えてきて長持ち唄が聞こえてきて
待ちに待った雨が降り出してくれた そんな光景を歌っている)
俳句史に残る句集作り 永世名人 村上健志
出産発表前の句
2024年3月28日 花曇昼夜の区別なき赤子
2023年12月14日 レノン忌や小さき手にまだ利き手なし
五月雨(さみだれ)の傘をはみ出るアンナヴァン
添削(読み手への配慮があった方が良い
五月雨を「梅雨」にすると音数が節約できる)
五月雨の傘よ片手のアンナヴァン
梅雨の傘軽し片手のアンナヴァン
1位 IKKO
タクシー待つ単衣(ひとえ)鴇(とき)色雨曇
(単衣「夏の季語」裏地のない夏物の和服のこと
軽やかに良い句が 上五で場所・場面・人物が出てくる
効率の良い上五 鴇色とは黄みがかった淡く優しい桃色
ほんのりとした柔らかい上品なピンク色
雨曇は灰色のイメージ ピンク色と灰色の対比
調べが俳句の命)
2位 水田信二
夕虹の列前の男の傘当たる
(小さな迷惑も俳句の種に
上五が字余りの句 「夕虹や」とすることで五音にできる
「列」を入れたことで前の男との距離感がわかる
綺麗な夕虹に気づかない無粋な奴が傘を広げて迷惑
色々な当たり方が想像できる)
3位 小山慶一郎
梅雨寒やこぞって並びしワンタン麺
添削(中七は極力7音にする 「し」は過去の意味
季語の鮮度が落ちる 「今並んでいる」とした方が
季語の鮮度・ワンタン麺の鮮度も上がる
寒いからワンタン麺を食べたくなるこの発想が凡人に
軸足が残っている だから季語は寒ければ良い
そういう指摘を村上さんはしたんだと思う)
梅雨寒やこぞって並ぶワンタン麺
4位 モモコグミカンパニー
イヤホンに囁く推しや梅雨じめり
添削(「や」季語の印象に対して損 俳句は季語が主語
微調整すると良い 耳に「囁き」が残る
耳に皮膚感のような感じで残る 皮膚感の季語
皮膚感で繋ぐと 季語「梅雨じめり」が主役になる
これにしていたら2位は確実)
イヤホンに推しの囁き梅雨じめり
5位 高橋光臣
梅雨晴れやぴょんぴょん跳ねる親子傘
添削(傘と跳ねるは要らない 傘を差したまま喜んで跳ねている親子
梅雨の蝶「夏の季語」梅雨の晴れ間を飛ぶ蝶のこと)
親と子の傘のぴょんぴょん梅雨の蝶
次回のお題「遅刻して走っているシーン」
■名言
小林多喜二 曰く
「闇があるから光がある
そして闇から出てきた人こそ、本当に
光のありがたさがわかるんだ。」
永六輔 曰く
「愛することの反対は、
憎み合うことではありません
無関心になることです。」
西田一見 曰く
「力不足を思い知るのは、
未来へ進もうとしている証拠。」
夏の夜や灯りが繋ぐニューヨーク
明易(あけやすし)絵に語らせて息潜む
歴史伝える証人となる菖蒲
酔芙蓉儚き時をたゆみなく
■プレバト纏め 2024年6月20日
雨の行列で一句
特別永世名人 締めのお手本 梅沢富美男
遥かなる長持唄の喜雨をゆく
(長持ち唄とは昔の結婚式で嫁入り行列の際に歌われた祝いの歌
上五はイメージとして使われがちな言葉
この場合距離感として映像になっている
喜雨「夏の季語」日照りが長く続いた後に降る雨のこと
遠くから花嫁行列が見えてきて長持ち唄が聞こえてきて
待ちに待った雨が降り出してくれた そんな光景を歌っている)
俳句史に残る句集作り 永世名人 村上健志
出産発表前の句
2024年3月28日 花曇昼夜の区別なき赤子
2023年12月14日 レノン忌や小さき手にまだ利き手なし
五月雨(さみだれ)の傘をはみ出るアンナヴァン
添削(読み手への配慮があった方が良い
五月雨を「梅雨」にすると音数が節約できる)
五月雨の傘よ片手のアンナヴァン
梅雨の傘軽し片手のアンナヴァン
1位 IKKO
タクシー待つ単衣(ひとえ)鴇(とき)色雨曇
(単衣「夏の季語」裏地のない夏物の和服のこと
軽やかに良い句が 上五で場所・場面・人物が出てくる
効率の良い上五 鴇色とは黄みがかった淡く優しい桃色
ほんのりとした柔らかい上品なピンク色
雨曇は灰色のイメージ ピンク色と灰色の対比
調べが俳句の命)
2位 水田信二
夕虹の列前の男の傘当たる
(小さな迷惑も俳句の種に
上五が字余りの句 「夕虹や」とすることで五音にできる
「列」を入れたことで前の男との距離感がわかる
綺麗な夕虹に気づかない無粋な奴が傘を広げて迷惑
色々な当たり方が想像できる)
3位 小山慶一郎
梅雨寒やこぞって並びしワンタン麺
添削(中七は極力7音にする 「し」は過去の意味
季語の鮮度が落ちる 「今並んでいる」とした方が
季語の鮮度・ワンタン麺の鮮度も上がる
寒いからワンタン麺を食べたくなるこの発想が凡人に
軸足が残っている だから季語は寒ければ良い
そういう指摘を村上さんはしたんだと思う)
梅雨寒やこぞって並ぶワンタン麺
4位 モモコグミカンパニー
イヤホンに囁く推しや梅雨じめり
添削(「や」季語の印象に対して損 俳句は季語が主語
微調整すると良い 耳に「囁き」が残る
耳に皮膚感のような感じで残る 皮膚感の季語
皮膚感で繋ぐと 季語「梅雨じめり」が主役になる
これにしていたら2位は確実)
イヤホンに推しの囁き梅雨じめり
5位 高橋光臣
梅雨晴れやぴょんぴょん跳ねる親子傘
添削(傘と跳ねるは要らない 傘を差したまま喜んで跳ねている親子
梅雨の蝶「夏の季語」梅雨の晴れ間を飛ぶ蝶のこと)
親と子の傘のぴょんぴょん梅雨の蝶
次回のお題「遅刻して走っているシーン」
■名言
小林多喜二 曰く
「闇があるから光がある
そして闇から出てきた人こそ、本当に
光のありがたさがわかるんだ。」
永六輔 曰く
「愛することの反対は、
憎み合うことではありません
無関心になることです。」
西田一見 曰く
「力不足を思い知るのは、
未来へ進もうとしている証拠。」
2024年6月20日木曜日
あの本、読みました?~「本と東大」
川沿いを源氏蛍が群れをなし
夏座敷詫び寂びの美や黒茶碗
夏点前わざとな歪み黒織部
麻衣織部好みの歪(いびつ)の美
単物沓(くつ)形茶碗破格の美
■あの本、読みました?~「本と東大」
東大生が一番読んでいる本&東大卒作家・小川哲
國分功一郎 窪拓哉 渡邊新月
2023年東大生が1番読んだ本
「暇と退屈の倫理学」の一文 國分功一郎著 新潮文庫刊
愚かなる人間は、退屈に耐えられないから
気晴らしをもとめているにすぎないというのに、
自分が追いもとめるもののなかに本当に
幸福があると思い込んでいる、とパスカルは言うのである。
(中略)
狩りとは何か?パスカルはこう言う。
狩りとは買ったりもらったりしたのでは
欲しくもないウサギを追いかけて一日中
駆けずり回ることである。
人は獲物が欲しいのではない。
退屈から逃れたいから、気晴らしをしたいから、
ひいては、みじめな人間の運命から
眼をそらしたいから、狩りに行くのである。
東大生に読まれている本
思考の整理学 外山滋比古著 ちくま文庫
声で考えるのは、現代人においても
決して見すてたことではなかろう。
書き上げた原稿を読みなおして、手を入れる。
原稿は黙って書くが、読みかえしは、音読する。
(中略)
そして、もし、読みつかえるところがあれば、
かならず問題がひそんでいる。
再考してみなくてはならない。
沈黙の読み返しではたいていこういうところを見のがしてしまう。
声は、目だけで見つけることのできない文章の穴を発見する。
声は思いのほか、賢明なのであろう。
東大出身直木賞作家《小川哲》の頭の中
理系から文系に変わった理由
大学院生の時小説家になろうと思った
学生時代は岩波文庫を順番に読んでいた
読書が小川哲に与えた影響
「君のクイズ」の一文 小川哲著 朝日新聞出版
帰宅してから、僕はSNSにアップされていた本庄絆の優勝シーンを見た。
「問題―」と聞こえた瞬間、ボタンを押した本庄絆が
「ママ、クリーニング小野寺よ」と口にする。
場面には映っていないが、舞台袖ではスタッフが慌てているし、
問い読みのアナウンサーの顔は青ざめている。
画面の右にいる僕は、きょろきょろと周囲を見回してから、
困惑した表情で下を向いている。
もう一度、本庄絆が「ママ、クリーニング小野寺よ」と答える。
しばらく間があって、「ピンポン」と音が鳴る。
真新しいことは何一つ見つからない。
僕がステージで見たことがすべてだった。
ただステージ上の僕が知らなかった唯一の情報として、
テレビ放送画面には本来読まれるはずだった問題が表示されていた。
「君のクイズ」誕生秘話 大変だったこと 小説の題材は何から?
「地図と拳」誕生秘話 情報収集の方法 林祐輔番組プロデューサー
「地図と拳」の一文 小川哲著 集英社
石本とは東横線の代官山駅で待ち合わせた。
(中略)
四辺を坂道で区切られた区画のちょうど中心に
目的のアパートがあった。
同潤会が設計したという重ね建て四戸は、
鉄筋コンクリート造りで、下階は東西が出入り口となっており、
上階には北側の階段から上るようである。
大震災の後に立てられたことは間違いないようだが、
モダンというよりは紋切り型の建築だった。
二階の手前が中川の部屋だった。
(中略)
石本が言うには、中川は「千年に一人の秀才」らしい。
(中略)
明男は慌てて立ちあがった。
尻の下にはフランス語の論文が置かれていた。
「ル・コルビュジェ」石本がそう口にした。
中川が「知ってるのか?」と聞き返した。
「いえ、読みあげただけです。
英語よりはフランス語の方が得意なので」
「『輝く都市』ですね」と明男は付け足した。
「もう読んだのか?」「いえ、読みたいと思っていました」
「若手建築家で集まって、この論文の
勉強会をしようという話をしているんだ。君もどうかな」
「ええ」と明男は答えた。
「千年に一人の秀才」に少なからず興味が湧いていたし、
こうして他人に興味が湧くこと自体、ずいぶん久しぶりのことだった。
直木賞受賞作「地図と拳」の一文 小川哲著 集英社
「ヒュン」という音がした。中川の耳元を高速の塊が通過したのだった。
第三の銃声だ、と思った。
銃声は二種類ではなく、三種類だった。
自分が撃った音、他人が撃った音。
そして自分に向けて撃たれた音。
第三の「ヒュン」という銃声は、「ドン」や「パン」の記憶を
かき消してしまうほど強烈な音だった。自分が一銭五厘の
使い捨て歩兵として戦場に立っていることを思い知らされる音であり、
籤引きでたまたま「生」は出たことを教えてくれる音だった。
小川哲の小説の書き方 小説を書く時のこだわり
小川哲が鈴木保奈美にオススメの一冊
「スローターハウス5」
カート・ヴォネガット・ジュニア著 伊藤典夫翻訳 ハヤカワ文庫SF
時の流れの呪縛から解き放たれたビリー・ピルグリムは自分の生涯の
未来と過去を往来する奇妙な時間旅行者になっていた
時間の迷路の果てに彼が見たものは何か?
著者自身の戦争体験をまじえた半自伝的長篇
柴田元幸
ポール・オースターの翻訳で知られる日本を代表する翻訳家
鈴木保奈美が大ファン
小川哲の次回作 スタートアップ ベンチャービジネス
投資家と出版社 企業家と小説家 ギャンブル
夏座敷詫び寂びの美や黒茶碗
夏点前わざとな歪み黒織部
麻衣織部好みの歪(いびつ)の美
単物沓(くつ)形茶碗破格の美
■あの本、読みました?~「本と東大」
東大生が一番読んでいる本&東大卒作家・小川哲
國分功一郎 窪拓哉 渡邊新月
2023年東大生が1番読んだ本
「暇と退屈の倫理学」の一文 國分功一郎著 新潮文庫刊
愚かなる人間は、退屈に耐えられないから
気晴らしをもとめているにすぎないというのに、
自分が追いもとめるもののなかに本当に
幸福があると思い込んでいる、とパスカルは言うのである。
(中略)
狩りとは何か?パスカルはこう言う。
狩りとは買ったりもらったりしたのでは
欲しくもないウサギを追いかけて一日中
駆けずり回ることである。
人は獲物が欲しいのではない。
退屈から逃れたいから、気晴らしをしたいから、
ひいては、みじめな人間の運命から
眼をそらしたいから、狩りに行くのである。
東大生に読まれている本
思考の整理学 外山滋比古著 ちくま文庫
声で考えるのは、現代人においても
決して見すてたことではなかろう。
書き上げた原稿を読みなおして、手を入れる。
原稿は黙って書くが、読みかえしは、音読する。
(中略)
そして、もし、読みつかえるところがあれば、
かならず問題がひそんでいる。
再考してみなくてはならない。
沈黙の読み返しではたいていこういうところを見のがしてしまう。
声は、目だけで見つけることのできない文章の穴を発見する。
声は思いのほか、賢明なのであろう。
東大出身直木賞作家《小川哲》の頭の中
理系から文系に変わった理由
大学院生の時小説家になろうと思った
学生時代は岩波文庫を順番に読んでいた
読書が小川哲に与えた影響
「君のクイズ」の一文 小川哲著 朝日新聞出版
帰宅してから、僕はSNSにアップされていた本庄絆の優勝シーンを見た。
「問題―」と聞こえた瞬間、ボタンを押した本庄絆が
「ママ、クリーニング小野寺よ」と口にする。
場面には映っていないが、舞台袖ではスタッフが慌てているし、
問い読みのアナウンサーの顔は青ざめている。
画面の右にいる僕は、きょろきょろと周囲を見回してから、
困惑した表情で下を向いている。
もう一度、本庄絆が「ママ、クリーニング小野寺よ」と答える。
しばらく間があって、「ピンポン」と音が鳴る。
真新しいことは何一つ見つからない。
僕がステージで見たことがすべてだった。
ただステージ上の僕が知らなかった唯一の情報として、
テレビ放送画面には本来読まれるはずだった問題が表示されていた。
「君のクイズ」誕生秘話 大変だったこと 小説の題材は何から?
「地図と拳」誕生秘話 情報収集の方法 林祐輔番組プロデューサー
「地図と拳」の一文 小川哲著 集英社
石本とは東横線の代官山駅で待ち合わせた。
(中略)
四辺を坂道で区切られた区画のちょうど中心に
目的のアパートがあった。
同潤会が設計したという重ね建て四戸は、
鉄筋コンクリート造りで、下階は東西が出入り口となっており、
上階には北側の階段から上るようである。
大震災の後に立てられたことは間違いないようだが、
モダンというよりは紋切り型の建築だった。
二階の手前が中川の部屋だった。
(中略)
石本が言うには、中川は「千年に一人の秀才」らしい。
(中略)
明男は慌てて立ちあがった。
尻の下にはフランス語の論文が置かれていた。
「ル・コルビュジェ」石本がそう口にした。
中川が「知ってるのか?」と聞き返した。
「いえ、読みあげただけです。
英語よりはフランス語の方が得意なので」
「『輝く都市』ですね」と明男は付け足した。
「もう読んだのか?」「いえ、読みたいと思っていました」
「若手建築家で集まって、この論文の
勉強会をしようという話をしているんだ。君もどうかな」
「ええ」と明男は答えた。
「千年に一人の秀才」に少なからず興味が湧いていたし、
こうして他人に興味が湧くこと自体、ずいぶん久しぶりのことだった。
直木賞受賞作「地図と拳」の一文 小川哲著 集英社
「ヒュン」という音がした。中川の耳元を高速の塊が通過したのだった。
第三の銃声だ、と思った。
銃声は二種類ではなく、三種類だった。
自分が撃った音、他人が撃った音。
そして自分に向けて撃たれた音。
第三の「ヒュン」という銃声は、「ドン」や「パン」の記憶を
かき消してしまうほど強烈な音だった。自分が一銭五厘の
使い捨て歩兵として戦場に立っていることを思い知らされる音であり、
籤引きでたまたま「生」は出たことを教えてくれる音だった。
小川哲の小説の書き方 小説を書く時のこだわり
小川哲が鈴木保奈美にオススメの一冊
「スローターハウス5」
カート・ヴォネガット・ジュニア著 伊藤典夫翻訳 ハヤカワ文庫SF
時の流れの呪縛から解き放たれたビリー・ピルグリムは自分の生涯の
未来と過去を往来する奇妙な時間旅行者になっていた
時間の迷路の果てに彼が見たものは何か?
著者自身の戦争体験をまじえた半自伝的長篇
柴田元幸
ポール・オースターの翻訳で知られる日本を代表する翻訳家
鈴木保奈美が大ファン
小川哲の次回作 スタートアップ ベンチャービジネス
投資家と出版社 企業家と小説家 ギャンブル
2024年6月19日水曜日
知恵泉 柳宗悦 反発を力に変えよ!
広重の彩る空よはたた神
祠目指さん弁天山の山開き
待ちわびた鮎魚解禁海部川
激流の淀みで狙う鮎の群れ
里山を源氏蛍の飛び始め
■先人たちの底力 知恵泉 柳宗悦 反発を力に変えよ!
柳宗悦(1889~1961)思想家
若松英輔 林家たい平 和田彩花
河井寛次郎 濱田庄司らと百年前に「民藝」の活動を同じくしていた
沖縄は民藝の桃源郷
知恵その一 よそ者の声に耳を傾けろ!
歴史的に長く育てられた 貴重な特色を捨て去って
繫栄を望むが如きは 愚かな錯誤と言わねばならない
「琉球での仕事」より
縣民よ、再び云う。標準語を勉強せよ。
されど同時に諸氏自身の所有である母語を振興せしめよ。
諸君は日本國民として 不必要な遠慮に堕してはならぬ。
縣人よ、沖縄縣民たることを誇りとせられよ。
「国語問題に関し沖縄県学務部に答ふるの書」より
その土地から必然的に生れ出たもの それは「民藝」と同じ
地域固有の文化を守らなければいけない
来られた方々の眞情が 自らほとばしり出てきた
我々に對(たい)する好誼というのか、仰(おさ)へられた感情の解放と
云うのかを凡てを裸にして 沖縄人としての喜びを言葉に
踊りに唄に現はして 吾々を歓待された。
「柳宗悦手記」より
生きた言葉を持ているから 私たちは私たちでいられる
大衆じゃなくて私でいられる これは言葉のとても大きな力
よそ者の声は鳴り止まない声
言葉はその人の中でだんだん深まっていく
「個」の生活と人々とのつながりは矛盾しない
行くだけがつながりを深める行為じゃない
妻 兼子(近代日本を代表する声楽家)
長男 宗理(工業デザイナー)
次男 美術史家
四男 園芸家
一家揃って美を追求しました
柳宗理(長男)(1915~2011)
昭和10年(1935)東京美術学校西洋画科入学
バウハウスを知る ドイツ・ワイマールで始まった芸術とデザインの運動
私はあくまで 機械ということを根底として 父と一線を画していた
「柳宗悦の民藝運動と今後の展開」より
知恵その二 次世代の道筋を縛るな!
宗理が招いたイタリアからのお客様の言葉
こんな悪いデザインはない この食器がカチっというような
金属では食べ心地がよくない 日本の箸のほうがよほど優れている
「用の美に思う」より
この言葉で宗理の目が覚めました
私には「食べるための道具」を 根本に立ち返って考えなさい
と聞こえたのである
「用の美に思う」より
日本の美は世界に通用する
バウハウス創始者の言葉
バタフライ・スツール
昭和31年(1956)発表
「手仕事」と「デザイン」は良き暮らしを補完し合う仲間
昭和36年(1961)柳宗悦 永眠(享年72)
その後、宗悦の後を継ぎ日本民藝館の館長となり
96歳で亡くなるまで新たな民藝運道を展開していったのです
美しいものは空気をつくる
ぼくが見えている世界を見せてあげる
そうすると自分のなりたい落語家像だったり
自分なりの道が見えてくる
彼(息子)がなりたい落語家は僕が決めつける落語家ではない
林家たい平師匠
「与える」ことと「決める」ことを混同する
機会はどこまで与えてもかまわない
「これが良い」「これでなくてはならない」
ということを決めてはならない
ただ違う道を行きたい ひかれた道をなぞりたくない
自分の人生の中で「あった方がいいもの」
「なくてはならないもの」を感じわける
ひとつでも誰かの心に花を咲かせるようなことができればいい
苦しいとき 困ったとき つらいとき
美しさをひとつだけ手に入れたら耐えられる
林家たい平師匠
祠目指さん弁天山の山開き
待ちわびた鮎魚解禁海部川
激流の淀みで狙う鮎の群れ
里山を源氏蛍の飛び始め
■先人たちの底力 知恵泉 柳宗悦 反発を力に変えよ!
柳宗悦(1889~1961)思想家
若松英輔 林家たい平 和田彩花
河井寛次郎 濱田庄司らと百年前に「民藝」の活動を同じくしていた
沖縄は民藝の桃源郷
知恵その一 よそ者の声に耳を傾けろ!
歴史的に長く育てられた 貴重な特色を捨て去って
繫栄を望むが如きは 愚かな錯誤と言わねばならない
「琉球での仕事」より
縣民よ、再び云う。標準語を勉強せよ。
されど同時に諸氏自身の所有である母語を振興せしめよ。
諸君は日本國民として 不必要な遠慮に堕してはならぬ。
縣人よ、沖縄縣民たることを誇りとせられよ。
「国語問題に関し沖縄県学務部に答ふるの書」より
その土地から必然的に生れ出たもの それは「民藝」と同じ
地域固有の文化を守らなければいけない
来られた方々の眞情が 自らほとばしり出てきた
我々に對(たい)する好誼というのか、仰(おさ)へられた感情の解放と
云うのかを凡てを裸にして 沖縄人としての喜びを言葉に
踊りに唄に現はして 吾々を歓待された。
「柳宗悦手記」より
生きた言葉を持ているから 私たちは私たちでいられる
大衆じゃなくて私でいられる これは言葉のとても大きな力
よそ者の声は鳴り止まない声
言葉はその人の中でだんだん深まっていく
「個」の生活と人々とのつながりは矛盾しない
行くだけがつながりを深める行為じゃない
妻 兼子(近代日本を代表する声楽家)
長男 宗理(工業デザイナー)
次男 美術史家
四男 園芸家
一家揃って美を追求しました
柳宗理(長男)(1915~2011)
昭和10年(1935)東京美術学校西洋画科入学
バウハウスを知る ドイツ・ワイマールで始まった芸術とデザインの運動
私はあくまで 機械ということを根底として 父と一線を画していた
「柳宗悦の民藝運動と今後の展開」より
知恵その二 次世代の道筋を縛るな!
宗理が招いたイタリアからのお客様の言葉
こんな悪いデザインはない この食器がカチっというような
金属では食べ心地がよくない 日本の箸のほうがよほど優れている
「用の美に思う」より
この言葉で宗理の目が覚めました
私には「食べるための道具」を 根本に立ち返って考えなさい
と聞こえたのである
「用の美に思う」より
日本の美は世界に通用する
バウハウス創始者の言葉
バタフライ・スツール
昭和31年(1956)発表
「手仕事」と「デザイン」は良き暮らしを補完し合う仲間
昭和36年(1961)柳宗悦 永眠(享年72)
その後、宗悦の後を継ぎ日本民藝館の館長となり
96歳で亡くなるまで新たな民藝運道を展開していったのです
美しいものは空気をつくる
ぼくが見えている世界を見せてあげる
そうすると自分のなりたい落語家像だったり
自分なりの道が見えてくる
彼(息子)がなりたい落語家は僕が決めつける落語家ではない
林家たい平師匠
「与える」ことと「決める」ことを混同する
機会はどこまで与えてもかまわない
「これが良い」「これでなくてはならない」
ということを決めてはならない
ただ違う道を行きたい ひかれた道をなぞりたくない
自分の人生の中で「あった方がいいもの」
「なくてはならないもの」を感じわける
ひとつでも誰かの心に花を咲かせるようなことができればいい
苦しいとき 困ったとき つらいとき
美しさをひとつだけ手に入れたら耐えられる
林家たい平師匠
2024年6月18日火曜日
10人のお坊さん&瀬戸内寂聴 遺句集「定命」より
もう一度夢追いかけん夏木立
斜面では神領百合の雅やか
色変わりブルーベリーがふっくらと
北斎は形広重は色いかづちよ
傘雲の下雲湧かぬ五月富士
■瀬戸内寂聴 遺句集「定命(じょうみょう)」より
菖蒲湯に全身ゆだねわが定命
凍蝶や亡き魂追うかほろほろと
■10人のお坊さん(3)生きる意味
「中部経典」毒矢のたとえ
目の前のことをしっかりと見つめる 今できることをしっかり見つめる
今できることをしっかりと 今見つめていく
むしろ生きる意味はその先にはきっきりと見えてくる
天上天下唯我独尊
私たち人間一人一人がそれぞれにしかできない大切な使命がある
諦(たい あきらめる)
物事を断念するという意味ではなく 物事を明らかにするという意味
願生(がんしょう)
私たち自身は願い生まれてきた存在である
今自分ができる精いっぱいのことをこの瞬間やっていく
それが生きる意味につながっていくのでは?
役に立つ
役に立つということにこだわっていくと人間のことを
役に立つ人間とたたない人間に分けてしまう
分別 仏教では無分別を説いています 分けない考え方です
全てを二項対立で考えてしまう
人間以外はただ呼吸してその時を生きている ただ生きる
その意味を下ろす時間を作ってはいかがでしょうか?
生きていること 年老うこと 病に遭うこと いつか死ぬこと
生 横に三本の線 白 桃色 緑色 雪 花 新芽
斜めの線は春の明るい光 中心の線は新芽が張る姿
私たちは生きている そして生かされている
一人で生まれてきて 死ぬのは一人
この体には終わりがあるかもしれない でも命も思いも
その人が頑張ってきたことも終わることはない
今を精いっぱい生きる これが生かされている私たちの目的
そして精いっぱい供養をしてください
供養とはこの体が終わったときに必ず大切な人とまた会える
もう一回会ったときにどんな顔で会いたいか
生きる皆さんの生きざま 付ける足跡が供養
足元には必ず生きる意味はある 生かされている
精いっぱい精いっぱい地に足を付けて足跡
たくさん付けて精いっぱい生きましょう
■10人のお坊さん(4)忘れられない過去
和顔愛語
優しい言葉 そして笑顔でこの世を救う
「それが成し遂げなかったら 私は仏様にならない」
お地蔵様のご真言は「おん かかか びざんまえい そわか」
「咲」は笑顔の象形文字
過去の思いとか記憶というのは 無理に忘れようとしないこと
そして 無理に思い出そうともしないこと
心は水面と同じようなもので 水面に石を投げると 波紋が広がる
それをむりにおさめようとすると 余計に波紋が立っていく
穏やかにする一番の早道は何もしないこと 放っておくこと
過去は変えられない 放っておくのが一番
常懐悲感心遂醒悟
常に悲観 常に悲しさを抱きながら生きていると
心遂に醒悟す やがて悟りに近づく
共感を抱ける 互いでそれを乗り越えられる
「過去も未来もない」仏教の教えではそう説かれています
仏教では過去の後悔も未来の心配も
今生きている私の心で起こっている
過去のことも未来のことも自身の妄想が作り出している
とらわれなくてもよいと説いている
手を合わせて南無阿弥陀仏 念仏を唱えます
念は今という字に心 今の私に集中する 今を大切にする
合掌の姿勢が大事 右手が清浄な手 きれいな手
左手が不浄な手 汚い手 という意味が込められている
自分の心 今までの体験の中に 良かったこと うれしかったことや
楽しかったこと 一方で公開することや悲しかったこと
辛かった経験があると思う 両手を合わせて南無阿弥陀仏とお参りする
両経験をひっくるめてあなた それをまるごとひっくるめて
救ってあげますよ という思いが阿弥陀如来の願い
忘れられない過去にとらわれて 思い悩む自分に
嫌悪感を抱くのではなく その過去もひっくるめて
今の自分である ということを受け止めていただきたい
■10人のお坊さん(5)見た目
我が人生の主人公は私 人と比べることはない
自分に自信を持ちましょう 自分を評価しよう
個性だと思ってもよいし 自分だけの宝物と思っていい
他は我にあらず
あなたがあなたらしく生きるために 今の姿の自分を愛してください
信心銘 至道無難 唯嫌揀択(ゆいけんけんじゃく)
この仏道を極める困難なきことは ただ揀択を嫌う 選ぶことを嫌う
信心とは自分自身の心を信じること 自分自身の気持ちに向き合って
自分に自信を持つ 自分の心を信じることができれば
コンプレックスも軽くなるのではないでしょうか
阿弥陀如来のお経
仏説無量寿経 全部で48の願いがかけられている
三願 私たちがみんな黄金に光り輝くように
四願 私たちの美しい醜いという違いを超えて生き生きと幸せに生きられるように
人間だろうが動物だろうが虫だろうが全ての命は等しく光る輝いている
仏様は私たちのことをあなたの姿はあなたのままで光り輝いている
あなたのその姿が美しいんだと応援してくれている
私感
私は浄土真宗のお坊さんはちょっと苦手でした。
論点をずらしたり、厳し過ぎるように聞こえました。
心に全く届きませんでした。
なので記載は控えました。
そんな自分との出会いに驚いているところです。
斜面では神領百合の雅やか
色変わりブルーベリーがふっくらと
北斎は形広重は色いかづちよ
傘雲の下雲湧かぬ五月富士
■瀬戸内寂聴 遺句集「定命(じょうみょう)」より
菖蒲湯に全身ゆだねわが定命
凍蝶や亡き魂追うかほろほろと
■10人のお坊さん(3)生きる意味
「中部経典」毒矢のたとえ
目の前のことをしっかりと見つめる 今できることをしっかり見つめる
今できることをしっかりと 今見つめていく
むしろ生きる意味はその先にはきっきりと見えてくる
天上天下唯我独尊
私たち人間一人一人がそれぞれにしかできない大切な使命がある
諦(たい あきらめる)
物事を断念するという意味ではなく 物事を明らかにするという意味
願生(がんしょう)
私たち自身は願い生まれてきた存在である
今自分ができる精いっぱいのことをこの瞬間やっていく
それが生きる意味につながっていくのでは?
役に立つ
役に立つということにこだわっていくと人間のことを
役に立つ人間とたたない人間に分けてしまう
分別 仏教では無分別を説いています 分けない考え方です
全てを二項対立で考えてしまう
人間以外はただ呼吸してその時を生きている ただ生きる
その意味を下ろす時間を作ってはいかがでしょうか?
生きていること 年老うこと 病に遭うこと いつか死ぬこと
生 横に三本の線 白 桃色 緑色 雪 花 新芽
斜めの線は春の明るい光 中心の線は新芽が張る姿
私たちは生きている そして生かされている
一人で生まれてきて 死ぬのは一人
この体には終わりがあるかもしれない でも命も思いも
その人が頑張ってきたことも終わることはない
今を精いっぱい生きる これが生かされている私たちの目的
そして精いっぱい供養をしてください
供養とはこの体が終わったときに必ず大切な人とまた会える
もう一回会ったときにどんな顔で会いたいか
生きる皆さんの生きざま 付ける足跡が供養
足元には必ず生きる意味はある 生かされている
精いっぱい精いっぱい地に足を付けて足跡
たくさん付けて精いっぱい生きましょう
■10人のお坊さん(4)忘れられない過去
和顔愛語
優しい言葉 そして笑顔でこの世を救う
「それが成し遂げなかったら 私は仏様にならない」
お地蔵様のご真言は「おん かかか びざんまえい そわか」
「咲」は笑顔の象形文字
過去の思いとか記憶というのは 無理に忘れようとしないこと
そして 無理に思い出そうともしないこと
心は水面と同じようなもので 水面に石を投げると 波紋が広がる
それをむりにおさめようとすると 余計に波紋が立っていく
穏やかにする一番の早道は何もしないこと 放っておくこと
過去は変えられない 放っておくのが一番
常懐悲感心遂醒悟
常に悲観 常に悲しさを抱きながら生きていると
心遂に醒悟す やがて悟りに近づく
共感を抱ける 互いでそれを乗り越えられる
「過去も未来もない」仏教の教えではそう説かれています
仏教では過去の後悔も未来の心配も
今生きている私の心で起こっている
過去のことも未来のことも自身の妄想が作り出している
とらわれなくてもよいと説いている
手を合わせて南無阿弥陀仏 念仏を唱えます
念は今という字に心 今の私に集中する 今を大切にする
合掌の姿勢が大事 右手が清浄な手 きれいな手
左手が不浄な手 汚い手 という意味が込められている
自分の心 今までの体験の中に 良かったこと うれしかったことや
楽しかったこと 一方で公開することや悲しかったこと
辛かった経験があると思う 両手を合わせて南無阿弥陀仏とお参りする
両経験をひっくるめてあなた それをまるごとひっくるめて
救ってあげますよ という思いが阿弥陀如来の願い
忘れられない過去にとらわれて 思い悩む自分に
嫌悪感を抱くのではなく その過去もひっくるめて
今の自分である ということを受け止めていただきたい
■10人のお坊さん(5)見た目
我が人生の主人公は私 人と比べることはない
自分に自信を持ちましょう 自分を評価しよう
個性だと思ってもよいし 自分だけの宝物と思っていい
他は我にあらず
あなたがあなたらしく生きるために 今の姿の自分を愛してください
信心銘 至道無難 唯嫌揀択(ゆいけんけんじゃく)
この仏道を極める困難なきことは ただ揀択を嫌う 選ぶことを嫌う
信心とは自分自身の心を信じること 自分自身の気持ちに向き合って
自分に自信を持つ 自分の心を信じることができれば
コンプレックスも軽くなるのではないでしょうか
阿弥陀如来のお経
仏説無量寿経 全部で48の願いがかけられている
三願 私たちがみんな黄金に光り輝くように
四願 私たちの美しい醜いという違いを超えて生き生きと幸せに生きられるように
人間だろうが動物だろうが虫だろうが全ての命は等しく光る輝いている
仏様は私たちのことをあなたの姿はあなたのままで光り輝いている
あなたのその姿が美しいんだと応援してくれている
私感
私は浄土真宗のお坊さんはちょっと苦手でした。
論点をずらしたり、厳し過ぎるように聞こえました。
心に全く届きませんでした。
なので記載は控えました。
そんな自分との出会いに驚いているところです。
2024年6月17日月曜日
兼題「鮎」&テーマ「鏡」
夏足袋の端正な所作魅入る人
夏館無駄なき気品そこかしこ
雅な美小堀遠州夏の風
夏料理洗練されし「きれいさび」
雨粒がきらり紫陽花通り道
■NHK俳句 兼題「鮎」
選者 木暮陶句郎 ゲスト ウド鈴木 司会 柴田英嗣
年間テーマ「季語を器に盛る」
骨董マニア
古くて美しいものを身近に置いてそれを使いながら楽しんでいる
日本中の川に遡上して大変親しまれた魚
「香魚」とも呼ばれて香りがとてもいい
ただ鮎は1年しか生きない「年魚」とも言われている
「鮎」は夏の季語 鮎の稚魚は「氷魚(ひうお)」と呼ばれている
氷のように透き通っている「氷魚」は冬の季語
昔から朝廷に献上され有名 鮎の香りがする
「氷魚」を使うときは冬の季語として使う
(海から)遡上してくる鮎を「若鮎」という
「若鮎」は春の季語
「錆鮎」産卵期を迎える秋になると体が錆色になることから由来
また「子持ち鮎」と呼ばれ秋の季語となります
春夏秋冬を持つ魚
月のいろして鮎に斑のひとところ 上村占魚(せんぎょ)
鮎を釣り上げた瞬間を切り取った句
胸びれに「月の斑」が出ている これは天然の鮎の特徴
「藍藻(らんそう)」という藻を食べると藻の色素が出てきて模様になる
別名「追い星」と言います 天然の鮎は月の色(追い星)が出ている
「いい鮎が釣れた」喜びがこの句になっている
今月の陶器は 川底の岩に鮎の大好きな苔がつく
その苔を鮎が食べると「食み跡」がつく
それもイメージして焼かれた陶器
俳句では「季重なり」はダメじゃないですか
だけど料理は「季重なり」してもいい
いろいろな季語がこの中に入っている
「夏の月」も季語 「冷やしそうめん」も
▪特選六句発表 兼題「鮎」
吾の影の短し鮎の影疾(はや)し はぐれ杤餅(とちもち)
(「疾し」は「素早い」という意味
「吾の影」と「鮎の影」の対句表現が見事
九音・八音の句跨り リズムが良くて臨場感のある句になった)
対岸の父のこゑ消す鮎の川 主藤充子(すとうみつこ)
(「ゑ」が歴史的かなづかい 「ゑ」は「ぅえ」と発音
思い出の父の声が今でも脳裏に残っている)
鮎食うてその夜の夢の瀬音かな 前田恵美
色褪せし鱒二(ますじ)の色紙鮎の宿 髙野茂
(井伏鱒二の「鱒二」は筆名 もともと釣り好き
それで「鱒二」という名前をつけた
「鮎の宿」は釣り人が泊まる宿 鮎料理も食べられる
そこに鱒二先生も来て鮎を釣ったんじゃないか
「鱒」と「鮎」が微妙に響き合っている)
喧嘩っ早そうな奴を選んで囮(おとり)鮎 堀田福朗
(「友釣り」というのはある意味反語表現 「友」といっても
鮎を釣るための仕掛け 他の鮎が来たら追い払おうと追いかける
友釣りのための一番初めの鮎は買わないといけない
生け簀の中でどれがいいかなと選ぶとき 一番スピード感のある
喧嘩っ早そうな鮎を選んだ 二十一音ある でも違和感がない
リズムと内容に句がマッチしているからスピード感のあるいい句)
阿武隈川(あぶくま)のここが瀬頭(せがしら)鮎の宿 黒澤正行
(この方は釣り師だと思う)
▪ウド鈴木の一句
今年も鮎ごちそうなりたや占おか ウド鈴木
添削(希望を示す「たし」という助動詞の連体形
「また食べたい」という気持ちを「たき」に込めました
「逢う」は自分の思いが強い)
今年また巡り逢ひたき鮎料理
▪特選三席 兼題「鮎」
三席 鮎の宿逢はぬと決めた人と会ふ 内本恵美子
(「逢う」「会う」に心を表現している
仮に「逢う」と「会う」が逆だったら別の展開が想像できる
「あ」がこの句のリズムを作っている)
二席 満月のしづくを鮎と呼びにけり 里村閑(しずか)
(「満月のしづくはが鮎なんだ」と言っている
「鮎」という季語の新しい一面)
一席 鮎のいる川を誇りに育つ子ら 村松陽子
(「鮎のいる川」だけで自然が豊か 守られている自然だと
いうことも分かる 作者は岐阜県ですからきっと
郡上八幡の吉田川の景色を見てこの句を作ったのでは?)
▪柴田の歩み
鮎は万能な季語だなぁ
■NHK短歌 テーマ「鏡」
選者 大森静佳 ゲスト 三宅夏帆 司会 尾崎世界観
年間テーマ「ものがたりの深みへ」
第171回芥川賞の候補作にミュージシャンとしても活動する
尾崎世界観さんの「転の声」がノミネートされました。
心よりお喜び申し上げます。
年甲斐もなく嬉しくて飛び上がってしまいました。🙌
鏡とは日常的なアイテムでありつつ
別世界につながりやすい道具
つくつくぼふし三面鏡の三面のおくがに啼(な)きてちひさきひかり
葛原妙子
おくがとは奥深いところの意
歌に物語あり
▪入選九首 テーマ「鏡」
歯磨きの飛沫(しぶき)飛ぶことなくなりて母の鏡の鈍く光れり
柊子(しゅうこ)
知つてゐて得(とく)せしことは無けれども泉鏡花は刺身が嫌ひ
秋本哲(てつ)
きみに会うまでの道のり日を浴びてガラス戸ぜんぶが姿見になる
大野恭敬(やすたか)
二席 鏡から鏡へ飛びうつるように雨後の街路を駆けてゆく犬
高原すいか
万華鏡綺麗なものを見るときのあなたの猫背が美しかった
植垣颯希(そうき)
三席 もう若くないとも若いんだからとも言われる万華鏡だからかな
砂崎柊(しゅう)
一席 鏡には鏡のちから私には私のいのちでは出かけます
大岩真理
玉子スープに映る景色を崩しつつ私はたぶん一人で生きる
成遼泰
雨粒は無数の鏡どの僕もあなたじゃなきゃと呟いている
ナカムラロボ
▪ものがたりの深みへ
「ポーの一族」萩尾望都作
エドガーたち吸血鬼は普通に生活している間は
鏡に映らなくなってしまう
人間と一緒にいる時は鏡に映るように偽装できる
少年の姿のまま永遠の時を生きるエドガー
これ以上低くならないぼくの声夜の鏡の奥にしずめる
大森静佳
モヤモヤした感情や気分を丁寧に言葉にしてみる
青ざめた翼で永遠を漕ぐよアランあなたの髪がつめたい
大森静佳
自分の内側にある作品への思いが音から引き出される
自分の中の気づいていなかった部分に気づける
▪言葉のバトン
空のあなたはどうしてますか
妙圓(えん)寺住職 本間大智
⇩
愛しぬく想いを継いで歌詞にする
ガールズトーク
自分っていう人間が生まれるまでに
いろんな人の愛があって今日がある
ラップを表現していくこと
ラップを教えていくこと
次の世代につなげていきたいな
「愛しぬく」と「歌詞にする」韻を踏んでいます
夏館無駄なき気品そこかしこ
雅な美小堀遠州夏の風
夏料理洗練されし「きれいさび」
雨粒がきらり紫陽花通り道
■NHK俳句 兼題「鮎」
選者 木暮陶句郎 ゲスト ウド鈴木 司会 柴田英嗣
年間テーマ「季語を器に盛る」
骨董マニア
古くて美しいものを身近に置いてそれを使いながら楽しんでいる
日本中の川に遡上して大変親しまれた魚
「香魚」とも呼ばれて香りがとてもいい
ただ鮎は1年しか生きない「年魚」とも言われている
「鮎」は夏の季語 鮎の稚魚は「氷魚(ひうお)」と呼ばれている
氷のように透き通っている「氷魚」は冬の季語
昔から朝廷に献上され有名 鮎の香りがする
「氷魚」を使うときは冬の季語として使う
(海から)遡上してくる鮎を「若鮎」という
「若鮎」は春の季語
「錆鮎」産卵期を迎える秋になると体が錆色になることから由来
また「子持ち鮎」と呼ばれ秋の季語となります
春夏秋冬を持つ魚
月のいろして鮎に斑のひとところ 上村占魚(せんぎょ)
鮎を釣り上げた瞬間を切り取った句
胸びれに「月の斑」が出ている これは天然の鮎の特徴
「藍藻(らんそう)」という藻を食べると藻の色素が出てきて模様になる
別名「追い星」と言います 天然の鮎は月の色(追い星)が出ている
「いい鮎が釣れた」喜びがこの句になっている
今月の陶器は 川底の岩に鮎の大好きな苔がつく
その苔を鮎が食べると「食み跡」がつく
それもイメージして焼かれた陶器
俳句では「季重なり」はダメじゃないですか
だけど料理は「季重なり」してもいい
いろいろな季語がこの中に入っている
「夏の月」も季語 「冷やしそうめん」も
▪特選六句発表 兼題「鮎」
吾の影の短し鮎の影疾(はや)し はぐれ杤餅(とちもち)
(「疾し」は「素早い」という意味
「吾の影」と「鮎の影」の対句表現が見事
九音・八音の句跨り リズムが良くて臨場感のある句になった)
対岸の父のこゑ消す鮎の川 主藤充子(すとうみつこ)
(「ゑ」が歴史的かなづかい 「ゑ」は「ぅえ」と発音
思い出の父の声が今でも脳裏に残っている)
鮎食うてその夜の夢の瀬音かな 前田恵美
色褪せし鱒二(ますじ)の色紙鮎の宿 髙野茂
(井伏鱒二の「鱒二」は筆名 もともと釣り好き
それで「鱒二」という名前をつけた
「鮎の宿」は釣り人が泊まる宿 鮎料理も食べられる
そこに鱒二先生も来て鮎を釣ったんじゃないか
「鱒」と「鮎」が微妙に響き合っている)
喧嘩っ早そうな奴を選んで囮(おとり)鮎 堀田福朗
(「友釣り」というのはある意味反語表現 「友」といっても
鮎を釣るための仕掛け 他の鮎が来たら追い払おうと追いかける
友釣りのための一番初めの鮎は買わないといけない
生け簀の中でどれがいいかなと選ぶとき 一番スピード感のある
喧嘩っ早そうな鮎を選んだ 二十一音ある でも違和感がない
リズムと内容に句がマッチしているからスピード感のあるいい句)
阿武隈川(あぶくま)のここが瀬頭(せがしら)鮎の宿 黒澤正行
(この方は釣り師だと思う)
▪ウド鈴木の一句
今年も鮎ごちそうなりたや占おか ウド鈴木
添削(希望を示す「たし」という助動詞の連体形
「また食べたい」という気持ちを「たき」に込めました
「逢う」は自分の思いが強い)
今年また巡り逢ひたき鮎料理
▪特選三席 兼題「鮎」
三席 鮎の宿逢はぬと決めた人と会ふ 内本恵美子
(「逢う」「会う」に心を表現している
仮に「逢う」と「会う」が逆だったら別の展開が想像できる
「あ」がこの句のリズムを作っている)
二席 満月のしづくを鮎と呼びにけり 里村閑(しずか)
(「満月のしづくはが鮎なんだ」と言っている
「鮎」という季語の新しい一面)
一席 鮎のいる川を誇りに育つ子ら 村松陽子
(「鮎のいる川」だけで自然が豊か 守られている自然だと
いうことも分かる 作者は岐阜県ですからきっと
郡上八幡の吉田川の景色を見てこの句を作ったのでは?)
▪柴田の歩み
鮎は万能な季語だなぁ
■NHK短歌 テーマ「鏡」
選者 大森静佳 ゲスト 三宅夏帆 司会 尾崎世界観
年間テーマ「ものがたりの深みへ」
第171回芥川賞の候補作にミュージシャンとしても活動する
尾崎世界観さんの「転の声」がノミネートされました。
心よりお喜び申し上げます。
年甲斐もなく嬉しくて飛び上がってしまいました。🙌
鏡とは日常的なアイテムでありつつ
別世界につながりやすい道具
つくつくぼふし三面鏡の三面のおくがに啼(な)きてちひさきひかり
葛原妙子
おくがとは奥深いところの意
歌に物語あり
▪入選九首 テーマ「鏡」
歯磨きの飛沫(しぶき)飛ぶことなくなりて母の鏡の鈍く光れり
柊子(しゅうこ)
知つてゐて得(とく)せしことは無けれども泉鏡花は刺身が嫌ひ
秋本哲(てつ)
きみに会うまでの道のり日を浴びてガラス戸ぜんぶが姿見になる
大野恭敬(やすたか)
二席 鏡から鏡へ飛びうつるように雨後の街路を駆けてゆく犬
高原すいか
万華鏡綺麗なものを見るときのあなたの猫背が美しかった
植垣颯希(そうき)
三席 もう若くないとも若いんだからとも言われる万華鏡だからかな
砂崎柊(しゅう)
一席 鏡には鏡のちから私には私のいのちでは出かけます
大岩真理
玉子スープに映る景色を崩しつつ私はたぶん一人で生きる
成遼泰
雨粒は無数の鏡どの僕もあなたじゃなきゃと呟いている
ナカムラロボ
▪ものがたりの深みへ
「ポーの一族」萩尾望都作
エドガーたち吸血鬼は普通に生活している間は
鏡に映らなくなってしまう
人間と一緒にいる時は鏡に映るように偽装できる
少年の姿のまま永遠の時を生きるエドガー
これ以上低くならないぼくの声夜の鏡の奥にしずめる
大森静佳
モヤモヤした感情や気分を丁寧に言葉にしてみる
青ざめた翼で永遠を漕ぐよアランあなたの髪がつめたい
大森静佳
自分の内側にある作品への思いが音から引き出される
自分の中の気づいていなかった部分に気づける
▪言葉のバトン
空のあなたはどうしてますか
妙圓(えん)寺住職 本間大智
⇩
愛しぬく想いを継いで歌詞にする
ガールズトーク
自分っていう人間が生まれるまでに
いろんな人の愛があって今日がある
ラップを表現していくこと
ラップを教えていくこと
次の世代につなげていきたいな
「愛しぬく」と「歌詞にする」韻を踏んでいます
2024年6月16日日曜日
100分de名著 宮本常一「忘れられた日本人」(2)伝統社会に秘められた知恵
ドライバーそこもかしこも昼寝かな
粉々になる前の時の記念日
夏の夜や好きに生きよと望まれて
月涼し人生は生ききらないと
自分の足ですっくと立たん青田
■100分de名著 宮本常一
「忘れられた日本人」(2)伝統社会に秘められた知恵
指南役 畑中章宏(民俗学者) 伊集院光
伝統や慣習が色濃く残っている集落に長年続いてきた
「非合理的」と思われるものの中に
現代を考える上でにヒントが隠されている
▪対馬にて 昭和二十年代 長崎県対馬
いってみると会場の中には 板間に二十人ほどすわっており、
外の樹の下に三人五人とかたまって
うずくまったまま話し合っている。
雑談をしているように見えたが そうではない。
事情をきいてみると、村でとりきめをおこなう場合には、
みんなの納得のいくまで 何日でもはなしあう。(中略)
とにかくこうして 二日も協議がつづけられている。
この人たちにとっては 夜もなく昼もない。(中略)
みんなが納得のいくまではなしあった。
だから結論が出ると、それはキチンと守らねばならなかった。
話といっても理屈をいうのではない。
一つの事柄について 自分の知っているかぎりの
関係ある事例をあげていくのである。
話に花が咲くというのは こういう事なのであろう。
千尋藻(ちろも)を訪ねたときも
全員一致の合意を取り付けなければならないといわれます
外はよい月夜で、家のまえは入海(いりうみ)、
海の向うは低い山がくっきりと黒く、海は風がわたって、
月光が波に千々(ちぢ)にくだけていた。(中略)
渚まで出てみると、ちょうど総代たちが家へ帰るため
船にのるところであった。(中略)
船が出るとき 「ご迷惑をかけて どうもありがとうございました」
とお礼というと、
「いや、これで私の役目も無事にすみました」といって
月夜の海の彼方へ船をこいでいった。
対馬に伝わる「寄りあい」
地区の問題をみんなで話し合う合議制度
満場一致になるまで話し合って物議を決める民主主義の一例
自分たちの家が経験したことを披歴(ひれき)し合う
結果は残っていても その間に話し合ったことは
記録に残っていない
寄りあいをすることによって みんなで家々の過去の歴史を共有する
複数の議題を話し合う
寄りあいの場では複数の議題を持ち寄ることによって
「この経験は何時間か前に話していた あの議題に合うのではないか」
みんなの団結力を考えていくと 多数決の方が早くて
効率的だと思うけど そこに何かストレスが残ると
大体のことを共同作業でやる村にとっては積もり積もって致命的になる
▪村の寄りあい 福井県敦賀(するが)
観音講のことについて 根ほり葉ほりきいていくと
「つまり嫁の悪口を言う講よの」と一人がまぜかえすようにいった。
しかしすぐそれを訂正するように 別の一人が、
年よりは愚痴の多いもので、つい嫁の悪口がいいたくなる。
そこでこうした所ではなしあうのだが、そうすれば面と向かって
嫁に辛くあたらなくてもすむという。(中略)
つまりこの講は年よりだけの 泣きごとの講だというのである。
私はこれを たいへんおもしろいことだと思った。
自らおば捨山的な世界をつくっているのである。
お茶に漬物程度のごく粗末な食物で、ごく狭い範囲の女が集まって
ほんの一、二時間おしゃべりをして 別れるのである。(中略)
半分はふざけたような笑い話であるが、
その間に村の色々な情報交換がおこなわれる。
そしてそれで十分それぞれの家の性格を
のみこむこともできるのである。
そして、そういう集まりがもとになって
作業など決める集まりも行われる。
作業の中では田植の早乙女や養蚕の盛んなころには
共同飼育の当番決めなどたいてい女の集まりによって
おこなわれていたし、また家普請(いえぶしん)や葬儀などにも
女だけの協力作業はあるもので、
そういう事を中心にした集まりもおこなわれていた。
年齢階梯制(かいていせい)
講のひとつのきっかけとしては 自分たちが
好きな神様・仏様などを信仰する集まり
「自分たちは観音を推したい」ファンダム
代表者は往復の道のりで色々なものを
見聞きして帰ってこなければいけない
地元の講に戻って話す それが「土産話」
年齢で分かれているのがおもしろい
二十三夜講
旧暦23日の夜
主に女性たちが月の出を待って飲食を共にする集まり
養蚕 技術の情報交換
「どの桑を食べさせればよい繭ができるか」という技術の交換
自分たちの上の世代の姑さんの悪口が一体化している
これが「講」の機能
西洋化された私たちには「非合理的」だが
彼らには彼らの理屈があった
「子供をさがす」
共同体の制度的なまた機能的な分析は
この近頃いろいろなされているが、
それが実際にどのように生きているか。
ここに小さなスケッチをはさんでおこう。
これは周防大島の小さい農村が舞台である。
Aは山畑の小屋へ Bは池や川のほとりを、
Cは子どもの友だちの家を、Dは隣部落へという風に、
子どもの行きはしないかと おもわれるところへ、
それぞれさがしにいってくれている。(中略)
ということは村の人たちが、子どもの家の事情や
その暮ら方をすっかり知りつくしているということであろう。
(中略)目に見えぬ 村の意志のようなものが動いていて、
だれに命令されると言うことでなしに、ひとりひとりの行動に
おのずから統一ができているようである。
「あいつのことだから、どこかへ飲みにいったかもわからない」
というものと、「いや、山寺までいったのではないか」
というものとがいた。(中略)
一時間ほどして戻って来て、「こいつ、よくも俺をだましたな」
と子供を追いまわして、「もう一ぺんだましたら承知せんぞ」
と言ってかえっていった。
彼はのんべえで、子供たちをいつもどなりつけていたが、
子どもに人気があった。
かれは子どもがいなくなったときいて、子どもの
一ばん仲のよい友だちのいる山寺までさがしにったのである。
そこは一番さびしく 不便な山の中であった。
「子供をさがす」
共同体の成員に全く役に立たない
共同体を支えていない人は1人もいない
完全にこの社会一度壊れてしまうと再生は難しそうだ
ということもこのテキパキとした動きから感じる
今でも災害が起こった時には大きな機能を持っているのではないか
粉々になる前の時の記念日
夏の夜や好きに生きよと望まれて
月涼し人生は生ききらないと
自分の足ですっくと立たん青田
■100分de名著 宮本常一
「忘れられた日本人」(2)伝統社会に秘められた知恵
指南役 畑中章宏(民俗学者) 伊集院光
伝統や慣習が色濃く残っている集落に長年続いてきた
「非合理的」と思われるものの中に
現代を考える上でにヒントが隠されている
▪対馬にて 昭和二十年代 長崎県対馬
いってみると会場の中には 板間に二十人ほどすわっており、
外の樹の下に三人五人とかたまって
うずくまったまま話し合っている。
雑談をしているように見えたが そうではない。
事情をきいてみると、村でとりきめをおこなう場合には、
みんなの納得のいくまで 何日でもはなしあう。(中略)
とにかくこうして 二日も協議がつづけられている。
この人たちにとっては 夜もなく昼もない。(中略)
みんなが納得のいくまではなしあった。
だから結論が出ると、それはキチンと守らねばならなかった。
話といっても理屈をいうのではない。
一つの事柄について 自分の知っているかぎりの
関係ある事例をあげていくのである。
話に花が咲くというのは こういう事なのであろう。
千尋藻(ちろも)を訪ねたときも
全員一致の合意を取り付けなければならないといわれます
外はよい月夜で、家のまえは入海(いりうみ)、
海の向うは低い山がくっきりと黒く、海は風がわたって、
月光が波に千々(ちぢ)にくだけていた。(中略)
渚まで出てみると、ちょうど総代たちが家へ帰るため
船にのるところであった。(中略)
船が出るとき 「ご迷惑をかけて どうもありがとうございました」
とお礼というと、
「いや、これで私の役目も無事にすみました」といって
月夜の海の彼方へ船をこいでいった。
対馬に伝わる「寄りあい」
地区の問題をみんなで話し合う合議制度
満場一致になるまで話し合って物議を決める民主主義の一例
自分たちの家が経験したことを披歴(ひれき)し合う
結果は残っていても その間に話し合ったことは
記録に残っていない
寄りあいをすることによって みんなで家々の過去の歴史を共有する
複数の議題を話し合う
寄りあいの場では複数の議題を持ち寄ることによって
「この経験は何時間か前に話していた あの議題に合うのではないか」
みんなの団結力を考えていくと 多数決の方が早くて
効率的だと思うけど そこに何かストレスが残ると
大体のことを共同作業でやる村にとっては積もり積もって致命的になる
▪村の寄りあい 福井県敦賀(するが)
観音講のことについて 根ほり葉ほりきいていくと
「つまり嫁の悪口を言う講よの」と一人がまぜかえすようにいった。
しかしすぐそれを訂正するように 別の一人が、
年よりは愚痴の多いもので、つい嫁の悪口がいいたくなる。
そこでこうした所ではなしあうのだが、そうすれば面と向かって
嫁に辛くあたらなくてもすむという。(中略)
つまりこの講は年よりだけの 泣きごとの講だというのである。
私はこれを たいへんおもしろいことだと思った。
自らおば捨山的な世界をつくっているのである。
お茶に漬物程度のごく粗末な食物で、ごく狭い範囲の女が集まって
ほんの一、二時間おしゃべりをして 別れるのである。(中略)
半分はふざけたような笑い話であるが、
その間に村の色々な情報交換がおこなわれる。
そしてそれで十分それぞれの家の性格を
のみこむこともできるのである。
そして、そういう集まりがもとになって
作業など決める集まりも行われる。
作業の中では田植の早乙女や養蚕の盛んなころには
共同飼育の当番決めなどたいてい女の集まりによって
おこなわれていたし、また家普請(いえぶしん)や葬儀などにも
女だけの協力作業はあるもので、
そういう事を中心にした集まりもおこなわれていた。
年齢階梯制(かいていせい)
講のひとつのきっかけとしては 自分たちが
好きな神様・仏様などを信仰する集まり
「自分たちは観音を推したい」ファンダム
代表者は往復の道のりで色々なものを
見聞きして帰ってこなければいけない
地元の講に戻って話す それが「土産話」
年齢で分かれているのがおもしろい
二十三夜講
旧暦23日の夜
主に女性たちが月の出を待って飲食を共にする集まり
養蚕 技術の情報交換
「どの桑を食べさせればよい繭ができるか」という技術の交換
自分たちの上の世代の姑さんの悪口が一体化している
これが「講」の機能
西洋化された私たちには「非合理的」だが
彼らには彼らの理屈があった
「子供をさがす」
共同体の制度的なまた機能的な分析は
この近頃いろいろなされているが、
それが実際にどのように生きているか。
ここに小さなスケッチをはさんでおこう。
これは周防大島の小さい農村が舞台である。
Aは山畑の小屋へ Bは池や川のほとりを、
Cは子どもの友だちの家を、Dは隣部落へという風に、
子どもの行きはしないかと おもわれるところへ、
それぞれさがしにいってくれている。(中略)
ということは村の人たちが、子どもの家の事情や
その暮ら方をすっかり知りつくしているということであろう。
(中略)目に見えぬ 村の意志のようなものが動いていて、
だれに命令されると言うことでなしに、ひとりひとりの行動に
おのずから統一ができているようである。
「あいつのことだから、どこかへ飲みにいったかもわからない」
というものと、「いや、山寺までいったのではないか」
というものとがいた。(中略)
一時間ほどして戻って来て、「こいつ、よくも俺をだましたな」
と子供を追いまわして、「もう一ぺんだましたら承知せんぞ」
と言ってかえっていった。
彼はのんべえで、子供たちをいつもどなりつけていたが、
子どもに人気があった。
かれは子どもがいなくなったときいて、子どもの
一ばん仲のよい友だちのいる山寺までさがしにったのである。
そこは一番さびしく 不便な山の中であった。
「子供をさがす」
共同体の成員に全く役に立たない
共同体を支えていない人は1人もいない
完全にこの社会一度壊れてしまうと再生は難しそうだ
ということもこのテキパキとした動きから感じる
今でも災害が起こった時には大きな機能を持っているのではないか
2024年6月15日土曜日
よみ旅!in兵庫(後編)&ブランクーシの言葉&偉人・敗北からの教訓第48回&「月見ず月」
夏山路目の前熊の現れり
夏の朝稚拙おとなの学芸会
夏の雨傘さす前にずぶ濡れて
冷奴生活ランク上げられず
また増えた犇(ひし)めくカード草茂る
■夏井いつきのよみ旅!in兵庫 後編
With ROLAND 川上洋介
立春の慈雨ようやく収穫白い玉 濱田厚子
立春…春の季語
やはらかき赤子のほほや桃の花 前迫美旗子
桃の花…春の季語
潮干狩ふっつりやなぁの声いずこ 近江美佐
潮干狩…春の季語
ふっつり…「大変だな」とか「骨が折れる」の意
天才は言語化できない ROLAND
浄瑠璃の思い遣えよ野掛(のが)け芝居 吉田新九朗
人形のこころは指にある遅日 夏井いつき
新玉の皮舞い散らし店運ぶ 西野陽菜
新たまねぎ…夏の季語
桜鯛姑(しゅうとめ)知らずの嫁の身 磯﨑照子
桜鯛…晩春の季語
嫁は娘と思っております
俳句ひとくちMEMO
桜鯛は春の季語 春を知らせる淡路島の名物
■新美の巨人たち ロマンスカーの原点!ブランクーシ「空間の鳥」
コンスタンティン・ブランクーシの言葉
「生涯を通じて
飛躍の本質ほど
私が追及したものはない
飛躍、それは
なんと幸福であることか!」
■偉人・敗北からの教訓 第48回「シリーズ秀吉②四国攻めと長宗我部元親」
長宗我部元親 敗北の伏線
予期せぬ一大事を乗り越え真の連鎖を断ち切る選択が肝心
長宗我部元親 敗北の伏線
命さえあれば何度でも再起は可能
失敗した後こそ腐らず謙虚に
長宗我部元親の敗北から学ぶ教訓
時代の移り変わりを読み再起を図るべし
■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「月見ず月」
これは旧暦の呼び名になってくるんですが
何月のことか分かりますか❓
「皐月」と言いますと皆さん
どんな月を想像するでしょうか
気持ちのいい晴れた5月のことを
イメージしている人は間違いです
この「月見ず月」「皐月」というのは
現代の陽暦でいいますと6月頃にあたる
つまり梅雨の時期になるわけですね
梅雨でどんどん雨が降って月が見えない
そのことから「月見ず月」と
呼ばれるようになったそうです
夏の朝稚拙おとなの学芸会
夏の雨傘さす前にずぶ濡れて
冷奴生活ランク上げられず
また増えた犇(ひし)めくカード草茂る
■夏井いつきのよみ旅!in兵庫 後編
With ROLAND 川上洋介
立春の慈雨ようやく収穫白い玉 濱田厚子
立春…春の季語
やはらかき赤子のほほや桃の花 前迫美旗子
桃の花…春の季語
潮干狩ふっつりやなぁの声いずこ 近江美佐
潮干狩…春の季語
ふっつり…「大変だな」とか「骨が折れる」の意
天才は言語化できない ROLAND
浄瑠璃の思い遣えよ野掛(のが)け芝居 吉田新九朗
人形のこころは指にある遅日 夏井いつき
新玉の皮舞い散らし店運ぶ 西野陽菜
新たまねぎ…夏の季語
桜鯛姑(しゅうとめ)知らずの嫁の身 磯﨑照子
桜鯛…晩春の季語
嫁は娘と思っております
俳句ひとくちMEMO
桜鯛は春の季語 春を知らせる淡路島の名物
■新美の巨人たち ロマンスカーの原点!ブランクーシ「空間の鳥」
コンスタンティン・ブランクーシの言葉
「生涯を通じて
飛躍の本質ほど
私が追及したものはない
飛躍、それは
なんと幸福であることか!」
■偉人・敗北からの教訓 第48回「シリーズ秀吉②四国攻めと長宗我部元親」
長宗我部元親 敗北の伏線
予期せぬ一大事を乗り越え真の連鎖を断ち切る選択が肝心
長宗我部元親 敗北の伏線
命さえあれば何度でも再起は可能
失敗した後こそ腐らず謙虚に
長宗我部元親の敗北から学ぶ教訓
時代の移り変わりを読み再起を図るべし
■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「月見ず月」
これは旧暦の呼び名になってくるんですが
何月のことか分かりますか❓
「皐月」と言いますと皆さん
どんな月を想像するでしょうか
気持ちのいい晴れた5月のことを
イメージしている人は間違いです
この「月見ず月」「皐月」というのは
現代の陽暦でいいますと6月頃にあたる
つまり梅雨の時期になるわけですね
梅雨でどんどん雨が降って月が見えない
そのことから「月見ず月」と
呼ばれるようになったそうです
2024年6月14日金曜日
ひとりで生きる みんなで生きる 作家・若竹千佐子
夏の夜や痛みとうまく付き合えぬ
幸せは掴み取るもの夏の雲
緊張の中の余白や雲の峰
燕の子猫の餌食となりにけり
鳩の巣や猫の一撃受けにけり
■こころの時代
ひとりで生きる みんなで生きる 作家・若竹千佐子
2018年にデビュー作『おらおらでひとりいぐも』で
第158回芥川賞を受賞した作家の若竹千佐子さん。
作品は、専業主婦として暮らすなかで抱えてきた葛藤や最愛の夫との
突然の死別から立ち直った自らの経験がベースとなっている。
その若竹さんが新たな作品の舞台に選んだのが、出身地である岩手県遠野市。
自己を深く見つめつづける若竹さんの創作を通して、老いや孤独、
生死の問題とどう向き合って生きていけばよいのか考える。
「おらおらでひとりでいぐも」
あいやぁ、おらの頭このごろ、なんぼかおがしくなってきたんでねばが
どうすっべぇ、この先ひとりで、如何にすべがぁ
如何にもかじょにもしかたなかっべぇ てしたごどねでば、なにそれぐれ
だいじょぶだ、おめには、おらがついでっから。
おめとおらは最後まで一緒だがら あいやぁ、そういうおめは誰なのよ
決まってっぺだら。おらだば、おめだ。おめだば、おらだ。
「おらは独りがいい 独りがいい 独りは気がそろう」
「ちさちゃん(結婚)決めっぺ」
「おまえは この家のために 何にもならなかった」
「終焉の日」
仕事は限りなくある やればやるほど出てくる
やった端から出てくる出てくる やってもやっても間に合わない
やってもやってもお気に召さない 仕事いっぱい、
私いっぱいいっぱい 仕事、仕事、だが、賃金なし、
無報酬で仕事と言えるか 私やりたい、こうしたいああしたい
いっさいなし、じかんなし、ゆとりなし もう、
一切のしがらみを捨てろ。一番大事なものを、大事な順から捨てろ。
親を捨てろ、子を捨てろ。自由だ、自由だ、自由に生きてやる。
夫 和美さん(享年59)20009年 交通事故により逝去
「ドラゴンボール」
小さなアパートに にぎやかな曲が流れている
年若い夫婦と小さな子供の三人家族が住んでいる
そうさ いまこそ アドベンちゃん
小さな息子にはadventureは自分と同じかわいい男の子の名前なのだ
息子のかわいらしい勘違いを笑いながら妻は傍らの夫にささやく
「ねぇ わたしたちも永遠の命がほしいと思わない」
肯定の返事が今すぐにでも聞けると思いながら
「いやだね 永遠の命があれば 俺は永遠に働きつづけなくちゃならない」
目を丸くする妻に 夫は優しい目でさらに言う
「終わりがあるからいいんだよ 終わりがあるから 今 頑張れる」
歳月が流れる 風のように 雲のように
一戸建ての家には中年の夫婦と高校生の息子 小学生の娘が住んでいる
年々膨らむ教育費をあがなうために 妻は外に働きに出る
働くということがコップ一杯の喜びとコップ百杯の忍耐とで
出来上がっていることに 妻は気づく
疲れた妻は夫にささやく 「ねぇ 永遠の命なんていらないよね」
「あはは やっと俺の気持ちが分かったか」
そして 変わらぬやさしさで妻にこう言う
「終わりがあるからいいんだよ 終わりがあるから 今 頑張れる」
歳月が流れる 風のように 雲のように
がらんどうの 静かな家の中で
独りになった妻は夫の遺影に向かってこう叫ぶ
「永遠の命なんかいらない 今すぐ
今すぐ あなたのところに 私を連れて行って」
写真の夫は やさしく妻に微笑みかける けれども何にも答えない
妻はなおも懇願する 夫は何も答えない
眠れない夜 浅い呼吸のそのうちに
それでも朝はやってくる 残酷な朝はやってくる
独りになった妻には 一日は永遠のように長いのだ
「秩父春風馬提曲 第三章」
あの人が死んでしまったんだ あの人が死んでしまった、
道々の木に呼びかけて歩きました。
木が黙ってそれを受け入れて
あたしと一緒に泣いてくれる気がしたのです。
あたしの内側から聞こえてくるあの声
和美さんの声でもあり、あたしの声でもあるのではないか、
和美さんは死んであたしの心と一体となった。
和美さんはあたしの中に生き続けている。
私は私でひとりで生きていく
「おらおらでひとりいぐも」
あのときにおらは分がってしまったのです。
死はあっちゃにあるのでなぐ、おらどのすぐそばに
息をひそめて待っているのだずごどが。
それでもまったぐいっていいほど恐れはねのす。
何故って。亭主のいるどころだおん。何故って。待っているがらだおん。
おらは今むしろ死に魅せられているのだす。
どんな痛みも苦しみもそこでいったん回収される。
死は恐れでなくて解放なんだなす。
これほどの安心ほかにあったべか。
安心しておらは前を向ぐ。おらの今は、こわいものなし。
桃子さん(1作目)の亜流じゃない小説を書きたい気持ちになりました
「かっかどるどるどぅ」共に生きる意味
ねぇ、家族ってさ、血がつながらなくっても、家族になれないかな。
みんなで一緒にご飯を食べてさ、笑ってられたらそれでいいんだ。
一緒にご飯を食べる人がいるって、それだけで幸せなことなんだ。
ゆるくつながる人間関係があればそれでいい、
それがあたしの考える家族だ。
オシラ様 馬と娘が悲恋の末に昇天し 神様になった
語り部 細越澤史子さんのお話
そうして この80になった婆様 やっとご あの世さ行っだど
毎日あの世で歩ってらず ある時 その若けぇ者さ ばったり行ぎ会ったずもな
「あやぁ おめさん 何故それの誰それだなぁ おらなぁ おめさんと
添い遂げるべと思って やっとあの世さ来た な おれと一緒になんべぇ」
そうしたどころぁこの兄コ 「何した?あらまだ二十歳だ
とってもおめえなどと一緒になってらいね」
そう言って行ってしまったんだど さぁ この婆様
泣いで泣いで泣いでらったずんどもは 諦めて天の川さ身を投げて
それが今あやめの花になって 咲いてんだとさ どんとはれ
供養絵額(くようえがく)
六角牛山(ろっこうしさん)
遠野は若竹千佐子女史にとって心の帰属する場所
老いることは経験すること 解ること
解ることは楽しい だから老いることも楽しいんだ
「母に会う」
母に会うのは正直嬉しさ半分、気の重さ半分なのだった。
この前会ったときは 私のことが分からなかった。
本を見せて、「これおらが書いた」というと
本を手にとって、帯をすらすらと読んだ。
「六十三歳の新人、新たな老いを生きる…」
裏表紙のあらすじを読むのもよどみない。
前会った時、ボケていたのがうそのようだ。
別れ際、私は四十年間言いたくても言えなかった言葉を口にした。
「仕事にいぐから」
母は満足げに「いげ」と言った。
母トミさん 2019年 永眠
幸せは掴み取るもの夏の雲
緊張の中の余白や雲の峰
燕の子猫の餌食となりにけり
鳩の巣や猫の一撃受けにけり
■こころの時代
ひとりで生きる みんなで生きる 作家・若竹千佐子
2018年にデビュー作『おらおらでひとりいぐも』で
第158回芥川賞を受賞した作家の若竹千佐子さん。
作品は、専業主婦として暮らすなかで抱えてきた葛藤や最愛の夫との
突然の死別から立ち直った自らの経験がベースとなっている。
その若竹さんが新たな作品の舞台に選んだのが、出身地である岩手県遠野市。
自己を深く見つめつづける若竹さんの創作を通して、老いや孤独、
生死の問題とどう向き合って生きていけばよいのか考える。
「おらおらでひとりでいぐも」
あいやぁ、おらの頭このごろ、なんぼかおがしくなってきたんでねばが
どうすっべぇ、この先ひとりで、如何にすべがぁ
如何にもかじょにもしかたなかっべぇ てしたごどねでば、なにそれぐれ
だいじょぶだ、おめには、おらがついでっから。
おめとおらは最後まで一緒だがら あいやぁ、そういうおめは誰なのよ
決まってっぺだら。おらだば、おめだ。おめだば、おらだ。
「おらは独りがいい 独りがいい 独りは気がそろう」
「ちさちゃん(結婚)決めっぺ」
「おまえは この家のために 何にもならなかった」
「終焉の日」
仕事は限りなくある やればやるほど出てくる
やった端から出てくる出てくる やってもやっても間に合わない
やってもやってもお気に召さない 仕事いっぱい、
私いっぱいいっぱい 仕事、仕事、だが、賃金なし、
無報酬で仕事と言えるか 私やりたい、こうしたいああしたい
いっさいなし、じかんなし、ゆとりなし もう、
一切のしがらみを捨てろ。一番大事なものを、大事な順から捨てろ。
親を捨てろ、子を捨てろ。自由だ、自由だ、自由に生きてやる。
夫 和美さん(享年59)20009年 交通事故により逝去
「ドラゴンボール」
小さなアパートに にぎやかな曲が流れている
年若い夫婦と小さな子供の三人家族が住んでいる
そうさ いまこそ アドベンちゃん
小さな息子にはadventureは自分と同じかわいい男の子の名前なのだ
息子のかわいらしい勘違いを笑いながら妻は傍らの夫にささやく
「ねぇ わたしたちも永遠の命がほしいと思わない」
肯定の返事が今すぐにでも聞けると思いながら
「いやだね 永遠の命があれば 俺は永遠に働きつづけなくちゃならない」
目を丸くする妻に 夫は優しい目でさらに言う
「終わりがあるからいいんだよ 終わりがあるから 今 頑張れる」
歳月が流れる 風のように 雲のように
一戸建ての家には中年の夫婦と高校生の息子 小学生の娘が住んでいる
年々膨らむ教育費をあがなうために 妻は外に働きに出る
働くということがコップ一杯の喜びとコップ百杯の忍耐とで
出来上がっていることに 妻は気づく
疲れた妻は夫にささやく 「ねぇ 永遠の命なんていらないよね」
「あはは やっと俺の気持ちが分かったか」
そして 変わらぬやさしさで妻にこう言う
「終わりがあるからいいんだよ 終わりがあるから 今 頑張れる」
歳月が流れる 風のように 雲のように
がらんどうの 静かな家の中で
独りになった妻は夫の遺影に向かってこう叫ぶ
「永遠の命なんかいらない 今すぐ
今すぐ あなたのところに 私を連れて行って」
写真の夫は やさしく妻に微笑みかける けれども何にも答えない
妻はなおも懇願する 夫は何も答えない
眠れない夜 浅い呼吸のそのうちに
それでも朝はやってくる 残酷な朝はやってくる
独りになった妻には 一日は永遠のように長いのだ
「秩父春風馬提曲 第三章」
あの人が死んでしまったんだ あの人が死んでしまった、
道々の木に呼びかけて歩きました。
木が黙ってそれを受け入れて
あたしと一緒に泣いてくれる気がしたのです。
あたしの内側から聞こえてくるあの声
和美さんの声でもあり、あたしの声でもあるのではないか、
和美さんは死んであたしの心と一体となった。
和美さんはあたしの中に生き続けている。
私は私でひとりで生きていく
「おらおらでひとりいぐも」
あのときにおらは分がってしまったのです。
死はあっちゃにあるのでなぐ、おらどのすぐそばに
息をひそめて待っているのだずごどが。
それでもまったぐいっていいほど恐れはねのす。
何故って。亭主のいるどころだおん。何故って。待っているがらだおん。
おらは今むしろ死に魅せられているのだす。
どんな痛みも苦しみもそこでいったん回収される。
死は恐れでなくて解放なんだなす。
これほどの安心ほかにあったべか。
安心しておらは前を向ぐ。おらの今は、こわいものなし。
桃子さん(1作目)の亜流じゃない小説を書きたい気持ちになりました
「かっかどるどるどぅ」共に生きる意味
ねぇ、家族ってさ、血がつながらなくっても、家族になれないかな。
みんなで一緒にご飯を食べてさ、笑ってられたらそれでいいんだ。
一緒にご飯を食べる人がいるって、それだけで幸せなことなんだ。
ゆるくつながる人間関係があればそれでいい、
それがあたしの考える家族だ。
オシラ様 馬と娘が悲恋の末に昇天し 神様になった
語り部 細越澤史子さんのお話
そうして この80になった婆様 やっとご あの世さ行っだど
毎日あの世で歩ってらず ある時 その若けぇ者さ ばったり行ぎ会ったずもな
「あやぁ おめさん 何故それの誰それだなぁ おらなぁ おめさんと
添い遂げるべと思って やっとあの世さ来た な おれと一緒になんべぇ」
そうしたどころぁこの兄コ 「何した?あらまだ二十歳だ
とってもおめえなどと一緒になってらいね」
そう言って行ってしまったんだど さぁ この婆様
泣いで泣いで泣いでらったずんどもは 諦めて天の川さ身を投げて
それが今あやめの花になって 咲いてんだとさ どんとはれ
供養絵額(くようえがく)
六角牛山(ろっこうしさん)
遠野は若竹千佐子女史にとって心の帰属する場所
老いることは経験すること 解ること
解ることは楽しい だから老いることも楽しいんだ
「母に会う」
母に会うのは正直嬉しさ半分、気の重さ半分なのだった。
この前会ったときは 私のことが分からなかった。
本を見せて、「これおらが書いた」というと
本を手にとって、帯をすらすらと読んだ。
「六十三歳の新人、新たな老いを生きる…」
裏表紙のあらすじを読むのもよどみない。
前会った時、ボケていたのがうそのようだ。
別れ際、私は四十年間言いたくても言えなかった言葉を口にした。
「仕事にいぐから」
母は満足げに「いげ」と言った。
母トミさん 2019年 永眠
2024年6月13日木曜日
あの本、読みました?本と音楽!
編笠や心尽くしの思い遣り
永遠に続く縁(えにし)や水中花
下位となる優先順位海霧(じり)深し
徒然の境地味わう雲の峰
スキル身に付く独りの時間夏日
■あの本、読みました?
本と音楽!太宰治とオフコース、朝井リョウと宇多田、椎名林檎
ミュージシャンは本で出来ている!?
亀田誠治 朝井リョウ 九段理江 石原正康
亀田誠治
オフコースと太宰治に影響を受けた
「人間失格」の一文 太宰治著 新潮文庫歓
つまり自分には、人間の営みというものが未だに何もわかっていない、
ということになりそうです。自分の幸福の観念と、世のすべての人たちの
幸福の観念とが、まるで食いちがっているような不安、
自分はその不安のために夜々、転輾(てんてん)し、呻吟し、
発狂しかけた事さえあります。
太宰治の女性像とオフコースの女性像
「令嬢アユ」太宰治著 青空文庫POD
ジャボリという大きな音がした。たしかに、ジャボリという音であった。
見ると令嬢は、見事に岩から落ちている。胸まで水に没している。
釣竿を固く握って、「あら、あら。」と言いながら岸に這い上がって来た。
まさしく濡れ鼠のすがたである。白いドレスが両脚にぴったり吸いついている。
(中略)
令嬢の白い簡単服の胸のあたりに血が、薔薇の花くらいの大きさでにじんでいる。
令嬢は、自分の胸を、うつむいてちらと見て、「桑の実よ。」と
平気な顔をして言った。「胸のポケットに、桑の実をいれて置いたのよ。
あとで食べようと思っていたら、損をした。」
「秋の気配」作詞・作曲 小田和正
あれがあなたの好きな場所 港が見下ろせるこだかい公園
あなたの声が小さくなる ぼくは黙って外を見てる
眼を閉じて 息を止めて さかのぼる ほんのひととき
こんなことは今までなかった ぼくがあなたから離れてゆく
ぼくがあなたから離れてゆく
「女生徒」太宰治著 角川文庫
朝の私は一ばん醜い。両方の脚が、くたくたに疲れて、そうして、
もう、何もしたくない。熟睡していないせいかしら。
朝は健康だなんて、あれは嘘。朝は灰色。いつもいつも同じ。
一ばん虚無だ。朝の寝床の中で、私はいつも厭世的だ。いやになる。
「こころは気紛れ」作詞・作曲 小田和正
ララ ララ 責めないで あなたを好きだけど
愛してるなんて 私は言えない
だからドアを開けて 外へ出たいから
午後のひかりは 私をさそう
シャクな はなしだけど ゆれるこころ
止めることもできず黙っていた
まるであなたは ゆきずりのオンナのよう
春にゆられ うつろな眼差しは遠い空の果て
カンペ
林祐輔P(音楽プロデューサー)が尾崎豊の小説持ってます
「黄昏ゆく街で」尾崎豊著 角川文庫
真実の愛を求めさまよう青年の優しさと
苦悩を描いた未完の長編ラヴ・ストーリー
※現在は電子書籍のみ販売中
「閃光少女」作詞 椎名林檎 作曲 亀田誠治
今日現在が確かなら万事快調よ
明日には全く憶えて居なくたっていいの
昨日の予想が感度を奪うわ 先回りしないで
今日現在を最高値で通過して行こうよ
昨日まで電池を残す考えなんてないの
昨日の誤解で歪んだ焦点は新しく合わせて
切り取ってよ、一瞬の光を写真機は要らないわ
五感を持ってお出で 私は今しか知らない
貴方の今に閃きたい
九段理江がプレイリストを作る理由 作品と音楽
椎名林檎の世界観
朝井リョウは宇多田ヒカルでできている
「深い河」遠藤周作著 講談社文庫
周りの陽はかげったが、ガンジス河だけはさきほどと同じように、
すべてのものに無関心にゆっくり動いている。
沼田はそこが死せる者たちの次の世界のような気がした。
彼は自分がずっと昔に描いた童話を心に甦らせた。
「Deep River」作詞・作曲宇多田ヒカル
点と点をつなぐように 線を描く指がなぞるのは
私の来た道それとも行き先
線と線を結ぶ二人 やがてみんな海に辿り着き
ひとつになるから怖くないけど
いくつもの河を流れ わけも聞かずに
与えられた名前とともに
全てを受け入れるなんて しなくていいよ
私たちの痛みが今 飛び立った
「悪い音楽」九段理江著 文藝春秋
責任/逆鱗/適任/成人/駅員/平均/迷信/永眠。
誰の責任?責任をとるのは誰?責任を誰がとる?誰がとる責任?
誰がとる責任?/チェックインした視聴覚室/九人で満員の超三密/
揃ったメンツナンセンス/二股ビッチが好きなメンズ/
ぶん殴った相手はノー・ディフェンス/血迷った保護者のPretence。
Fantome 宇多田ヒカル
「忘却」作詞・作曲Utada Hikaru・Chiba Yuki
足がちぎれても 義足でも どこまでも 走れメロス
口閉じてるけど 開ける目を 強い酒と吐いたゲロ
二度と戻らない できればもう一回 飲んだ唾を吐きたい
男にも二言あり 大好きだから嫌い 会えるんなら会いたい
幸せなのに辛い 俺たちは欲張り またないものねだり 何もないお願い
作家が執筆の時に聞く音楽
五分後の世界 村上龍著 幻冬舎文庫
モーツァルト ピアノ協奏曲 20番か21番を聞いていたとか…。
蜜蜂と遠雷 恩田陸著 幻冬舎文庫
小説で表現する音楽
新装版 限りなく透明に近いブルー 村上龍著 講談社文庫
永遠に続く縁(えにし)や水中花
下位となる優先順位海霧(じり)深し
徒然の境地味わう雲の峰
スキル身に付く独りの時間夏日
■あの本、読みました?
本と音楽!太宰治とオフコース、朝井リョウと宇多田、椎名林檎
ミュージシャンは本で出来ている!?
亀田誠治 朝井リョウ 九段理江 石原正康
亀田誠治
オフコースと太宰治に影響を受けた
「人間失格」の一文 太宰治著 新潮文庫歓
つまり自分には、人間の営みというものが未だに何もわかっていない、
ということになりそうです。自分の幸福の観念と、世のすべての人たちの
幸福の観念とが、まるで食いちがっているような不安、
自分はその不安のために夜々、転輾(てんてん)し、呻吟し、
発狂しかけた事さえあります。
太宰治の女性像とオフコースの女性像
「令嬢アユ」太宰治著 青空文庫POD
ジャボリという大きな音がした。たしかに、ジャボリという音であった。
見ると令嬢は、見事に岩から落ちている。胸まで水に没している。
釣竿を固く握って、「あら、あら。」と言いながら岸に這い上がって来た。
まさしく濡れ鼠のすがたである。白いドレスが両脚にぴったり吸いついている。
(中略)
令嬢の白い簡単服の胸のあたりに血が、薔薇の花くらいの大きさでにじんでいる。
令嬢は、自分の胸を、うつむいてちらと見て、「桑の実よ。」と
平気な顔をして言った。「胸のポケットに、桑の実をいれて置いたのよ。
あとで食べようと思っていたら、損をした。」
「秋の気配」作詞・作曲 小田和正
あれがあなたの好きな場所 港が見下ろせるこだかい公園
あなたの声が小さくなる ぼくは黙って外を見てる
眼を閉じて 息を止めて さかのぼる ほんのひととき
こんなことは今までなかった ぼくがあなたから離れてゆく
ぼくがあなたから離れてゆく
「女生徒」太宰治著 角川文庫
朝の私は一ばん醜い。両方の脚が、くたくたに疲れて、そうして、
もう、何もしたくない。熟睡していないせいかしら。
朝は健康だなんて、あれは嘘。朝は灰色。いつもいつも同じ。
一ばん虚無だ。朝の寝床の中で、私はいつも厭世的だ。いやになる。
「こころは気紛れ」作詞・作曲 小田和正
ララ ララ 責めないで あなたを好きだけど
愛してるなんて 私は言えない
だからドアを開けて 外へ出たいから
午後のひかりは 私をさそう
シャクな はなしだけど ゆれるこころ
止めることもできず黙っていた
まるであなたは ゆきずりのオンナのよう
春にゆられ うつろな眼差しは遠い空の果て
カンペ
林祐輔P(音楽プロデューサー)が尾崎豊の小説持ってます
「黄昏ゆく街で」尾崎豊著 角川文庫
真実の愛を求めさまよう青年の優しさと
苦悩を描いた未完の長編ラヴ・ストーリー
※現在は電子書籍のみ販売中
「閃光少女」作詞 椎名林檎 作曲 亀田誠治
今日現在が確かなら万事快調よ
明日には全く憶えて居なくたっていいの
昨日の予想が感度を奪うわ 先回りしないで
今日現在を最高値で通過して行こうよ
昨日まで電池を残す考えなんてないの
昨日の誤解で歪んだ焦点は新しく合わせて
切り取ってよ、一瞬の光を写真機は要らないわ
五感を持ってお出で 私は今しか知らない
貴方の今に閃きたい
九段理江がプレイリストを作る理由 作品と音楽
椎名林檎の世界観
朝井リョウは宇多田ヒカルでできている
「深い河」遠藤周作著 講談社文庫
周りの陽はかげったが、ガンジス河だけはさきほどと同じように、
すべてのものに無関心にゆっくり動いている。
沼田はそこが死せる者たちの次の世界のような気がした。
彼は自分がずっと昔に描いた童話を心に甦らせた。
「Deep River」作詞・作曲宇多田ヒカル
点と点をつなぐように 線を描く指がなぞるのは
私の来た道それとも行き先
線と線を結ぶ二人 やがてみんな海に辿り着き
ひとつになるから怖くないけど
いくつもの河を流れ わけも聞かずに
与えられた名前とともに
全てを受け入れるなんて しなくていいよ
私たちの痛みが今 飛び立った
「悪い音楽」九段理江著 文藝春秋
責任/逆鱗/適任/成人/駅員/平均/迷信/永眠。
誰の責任?責任をとるのは誰?責任を誰がとる?誰がとる責任?
誰がとる責任?/チェックインした視聴覚室/九人で満員の超三密/
揃ったメンツナンセンス/二股ビッチが好きなメンズ/
ぶん殴った相手はノー・ディフェンス/血迷った保護者のPretence。
Fantome 宇多田ヒカル
「忘却」作詞・作曲Utada Hikaru・Chiba Yuki
足がちぎれても 義足でも どこまでも 走れメロス
口閉じてるけど 開ける目を 強い酒と吐いたゲロ
二度と戻らない できればもう一回 飲んだ唾を吐きたい
男にも二言あり 大好きだから嫌い 会えるんなら会いたい
幸せなのに辛い 俺たちは欲張り またないものねだり 何もないお願い
作家が執筆の時に聞く音楽
五分後の世界 村上龍著 幻冬舎文庫
モーツァルト ピアノ協奏曲 20番か21番を聞いていたとか…。
蜜蜂と遠雷 恩田陸著 幻冬舎文庫
小説で表現する音楽
新装版 限りなく透明に近いブルー 村上龍著 講談社文庫
2024年6月12日水曜日
知恵泉 柳宗悦 多様性社会をどう築くか?&小林旭の言葉
解放区どっちもどっち五月闇(さつきやみ)
明易し浮かぶ心象風景へ
夏の雲大人のために描く絵本
贅沢な時間を生きてこその夏
夏の夜や面白きこと日々重ね
■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん
~昭和の大先輩とおかしな2人~#16 小林旭の言葉
「徹 小林旭」人生に徹する
明易し浮かぶ心象風景へ
夏の雲大人のために描く絵本
贅沢な時間を生きてこその夏
夏の夜や面白きこと日々重ね
■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん
~昭和の大先輩とおかしな2人~#16 小林旭の言葉
「徹 小林旭」人生に徹する
■先人たちの底力 知恵泉 柳宗悦 多様性社会をどう築くか?
批評家・随筆家 若松英輔 林家たい平 和田彩花
民藝 思想家 柳宗悦(1889~1961)
民族固有の文化 民藝運動
日常生活で用いられるために生まれて人と寄り添うために生まれた
用途から生まれている美しさ 他の用途でも生きる
明治22年(1889)東京麻布に生まれる
父 柳楢悦(元軍人 貴族院議員も務めた)
「白樺」明治43年(1910)4月刊行
中心人物は志賀直哉 武者小路実篤
「個」の確立を主張 新しい潮流を紹介
柳が陶酔したのはロダン「考える人」
彼が彫刻の何れを取りても、高遠なる萬有信教の思想が著しく現はれて居る、
「宗教家としてのロダン」より
ロダンから彫像も贈られた
しかし、思想家 大杉栄(1885~1923年)は彼らを「遊びである」と糾弾
「近代思想」大正2年(1913)6月号
日本が数萬の人を殺して得た臺灣(たいわん)も樺太も朝鮮も、
此ロダンの彫刻の前には、比較にならないほど
小さなもののような気がしました。
「ロダン彫刻入京記」より
日本民藝館 常務理事 杉山享司
国家よりも個人の尊重を重んじなければいけない
大正3年(1914)朝鮮土器を見て
その冷な土器に、人間の温かみ、高貴、
荘厳を讀み得ようとは昨日迄夢みだにしなかった。
「我孫子から通信一」より
美の神秘に驚いた 人間の血の通う命の輝き
知恵その一
憧れに捉われるな さすれば 真の価値が見えてくる
政府が同化政策を進める中で朝鮮では独自の文化が失われつつありました
朝鮮民族の憤懣が募っていった
三・一独立運動 大正8年(1919)3月1日が勃発
朝鮮人を想ふ 讀賣新聞(大正8年5月20日)
日本は多額の金と軍隊と政治家とをその国に送ったであろうが
いつ心の愛を贈った場合があろうか
朝鮮の人々よ、余は御身らの故国の芸術を愛し、人情を愛し、
その歴史がなめた淋しい経験に尽きない同情を持つ一人である
わきくる愛を御身らに贈らずにはいられない
(初めての政治批判)
景福宮 光化門が保存となった一文
光化門よ、長命なるべきお前の運命が短命に終わろうとしている
お前を産んだお前の親しい民族は今言葉を慎む事を命ぜられているのだ
それ故にそれらの人々に代わって、お前を愛し惜(お)しんでいるものが
この世にあるという事を、生前のお前に知らせたいのだ。
「失われんとする一朝鮮建築のために」より
生まれてきたものを取り上げる それが陶芸家の仕事
美しいというのは徹底的に質的なもの
質的なものこそ大事にしなければならない
誰が言ったかよりも何が言われているかの方が大事
柳は「誰が」というのではなく「何が」ということが見えた人
いろんな色が見えてくる1つの壷の中に
そこが美しいと思える人間でいなければいけない
AIの作る文章は見た目に美しいんだけれど
柳が考えたような美がない 真実がない
手仕事であるということ
憧れるものに対してすべて美しいのではなく
自分たちが持っているものも美しい
憧れていたものと本当につながるためには
自分の中にあるものと出会わないとダメ
憧れって自分の目指すべき道
美しさは1つの力 人を突き動かす
大正13年(1924) 山梨にて
私は即座に心を奪われました
その口元に漂う微笑は私を限りなく惹きつけました
上人は幕末における最大の彫刻家だ
「木喰上人発見の縁起」より
木喰明満(もくじきみょうまん)(地蔵菩薩像)
微笑仏(みしょうぶつ)とも呼ばれていた
日本民藝館 常務理事 杉山享司
美は作るのではなく必然的に心が手に移って
ものが無心の状態で生まれてくる
それが本当の美なんだ
妻 兼子は演奏会を開き柳を支えた
日本は手仕事の国であることに気づいた
柳が重視したのは「直感」
知恵その二
世間が見向きもしない価値に目を向けろ
河井寛次郎、濱田庄司と交流を深める
下手物⇨民衆的工藝 民藝を思いついた
①実用的
鑑賞を目的に作られたものではなく用いるために作られた
②無銘
無名の職人によって作られたもので名を誇るための仕事ではない
③適正価格
民衆の日用生活の需要に応えるために数多く安い価格で作られた
④地方色
各地の生活様式に根ざした独自の色や形や
模様といった豊かな地域性が現れている
⑤協業
伝統に培われた熟練の技による共同の作業から生まれた
監修 日本民藝館 杉山享司
手仕事の復権 美の生活化 生活文化運動
吾々が固有のものを尊(たっと)ぶということは
他の国のものを謗(そし)るとか
侮(あなど)るとかいう意味が伴ってはなりません
国々はお互いに固有のものを尊び合わねばなりません
世界は一つに結ばれているものだということを
かえって固有のものから学びます
「手仕事の日本」より
誰も気がつかない美しさを自分で見つけて
その美しさで自分の心の中を満たしていけば
美しいものをすべて美しいと思える心が養えるよ
価値は取引できない
民藝というのは人はその人ができることで他の人を幸せにできる
「美しい」って小さな驚き
驚きが少なくなると美との関係が薄まってくる
批評家・随筆家 若松英輔 林家たい平 和田彩花
民藝 思想家 柳宗悦(1889~1961)
民族固有の文化 民藝運動
日常生活で用いられるために生まれて人と寄り添うために生まれた
用途から生まれている美しさ 他の用途でも生きる
明治22年(1889)東京麻布に生まれる
父 柳楢悦(元軍人 貴族院議員も務めた)
「白樺」明治43年(1910)4月刊行
中心人物は志賀直哉 武者小路実篤
「個」の確立を主張 新しい潮流を紹介
柳が陶酔したのはロダン「考える人」
彼が彫刻の何れを取りても、高遠なる萬有信教の思想が著しく現はれて居る、
「宗教家としてのロダン」より
ロダンから彫像も贈られた
しかし、思想家 大杉栄(1885~1923年)は彼らを「遊びである」と糾弾
「近代思想」大正2年(1913)6月号
日本が数萬の人を殺して得た臺灣(たいわん)も樺太も朝鮮も、
此ロダンの彫刻の前には、比較にならないほど
小さなもののような気がしました。
「ロダン彫刻入京記」より
日本民藝館 常務理事 杉山享司
国家よりも個人の尊重を重んじなければいけない
大正3年(1914)朝鮮土器を見て
その冷な土器に、人間の温かみ、高貴、
荘厳を讀み得ようとは昨日迄夢みだにしなかった。
「我孫子から通信一」より
美の神秘に驚いた 人間の血の通う命の輝き
知恵その一
憧れに捉われるな さすれば 真の価値が見えてくる
政府が同化政策を進める中で朝鮮では独自の文化が失われつつありました
朝鮮民族の憤懣が募っていった
三・一独立運動 大正8年(1919)3月1日が勃発
朝鮮人を想ふ 讀賣新聞(大正8年5月20日)
日本は多額の金と軍隊と政治家とをその国に送ったであろうが
いつ心の愛を贈った場合があろうか
朝鮮の人々よ、余は御身らの故国の芸術を愛し、人情を愛し、
その歴史がなめた淋しい経験に尽きない同情を持つ一人である
わきくる愛を御身らに贈らずにはいられない
(初めての政治批判)
景福宮 光化門が保存となった一文
光化門よ、長命なるべきお前の運命が短命に終わろうとしている
お前を産んだお前の親しい民族は今言葉を慎む事を命ぜられているのだ
それ故にそれらの人々に代わって、お前を愛し惜(お)しんでいるものが
この世にあるという事を、生前のお前に知らせたいのだ。
「失われんとする一朝鮮建築のために」より
生まれてきたものを取り上げる それが陶芸家の仕事
美しいというのは徹底的に質的なもの
質的なものこそ大事にしなければならない
誰が言ったかよりも何が言われているかの方が大事
柳は「誰が」というのではなく「何が」ということが見えた人
いろんな色が見えてくる1つの壷の中に
そこが美しいと思える人間でいなければいけない
AIの作る文章は見た目に美しいんだけれど
柳が考えたような美がない 真実がない
手仕事であるということ
憧れるものに対してすべて美しいのではなく
自分たちが持っているものも美しい
憧れていたものと本当につながるためには
自分の中にあるものと出会わないとダメ
憧れって自分の目指すべき道
美しさは1つの力 人を突き動かす
大正13年(1924) 山梨にて
私は即座に心を奪われました
その口元に漂う微笑は私を限りなく惹きつけました
上人は幕末における最大の彫刻家だ
「木喰上人発見の縁起」より
木喰明満(もくじきみょうまん)(地蔵菩薩像)
微笑仏(みしょうぶつ)とも呼ばれていた
日本民藝館 常務理事 杉山享司
美は作るのではなく必然的に心が手に移って
ものが無心の状態で生まれてくる
それが本当の美なんだ
妻 兼子は演奏会を開き柳を支えた
日本は手仕事の国であることに気づいた
柳が重視したのは「直感」
知恵その二
世間が見向きもしない価値に目を向けろ
河井寛次郎、濱田庄司と交流を深める
下手物⇨民衆的工藝 民藝を思いついた
①実用的
鑑賞を目的に作られたものではなく用いるために作られた
②無銘
無名の職人によって作られたもので名を誇るための仕事ではない
③適正価格
民衆の日用生活の需要に応えるために数多く安い価格で作られた
④地方色
各地の生活様式に根ざした独自の色や形や
模様といった豊かな地域性が現れている
⑤協業
伝統に培われた熟練の技による共同の作業から生まれた
監修 日本民藝館 杉山享司
手仕事の復権 美の生活化 生活文化運動
吾々が固有のものを尊(たっと)ぶということは
他の国のものを謗(そし)るとか
侮(あなど)るとかいう意味が伴ってはなりません
国々はお互いに固有のものを尊び合わねばなりません
世界は一つに結ばれているものだということを
かえって固有のものから学びます
「手仕事の日本」より
誰も気がつかない美しさを自分で見つけて
その美しさで自分の心の中を満たしていけば
美しいものをすべて美しいと思える心が養えるよ
価値は取引できない
民藝というのは人はその人ができることで他の人を幸せにできる
「美しい」って小さな驚き
驚きが少なくなると美との関係が薄まってくる
2024年6月11日火曜日
100分de名著 宮本常一「忘れられた日本人」(1)もう一つの民俗学
暑き日やくわえ煙草の老ライダー
汗拭ひマスク必須の過疎の店
染み付いたしまつな暮らし夏料理
世間への不安と不満夏の月
暑き夜や作り笑いを暮す人
■100分de名著 宮本常一「忘れられた日本人」(1)もう一つの民俗学
宮本常一(1907~1981)に人物像に迫る
昭和の高度成長期に活躍した民族学者
生涯旅した距離は約16万キロ(地球4周分)
教えて下さるのは民俗学者 畑中章宏氏
聞き書きをした人物のエピソードに
ふさわしい形(叙述形式)でまとめている
歴史書というのは「何年何月に電車が通った」
「テレビが入ってきた」「何が起こったか」は記録される
「人々がどのように心を動かされたか」は
歴史書には書かれていない
そういうものを拾い集めていこうという「模索の書」
「私の祖父」
市五郎はいつも朝四時にはおきた。それから山へ行って
一仕事してかえってきて朝飯をたべる。朝飯といっても
お粥である。それから田畑の仕事に出かける。
昼まではみっちり働いて、昼食がすむと、夏ならば
三時まで昼寝をし、コビルマをたべてまた田畑に出かける。
そしてくらくなるまで働く。(中略)
仕事を終えると神様、仏壇を拝んでねた。
とにかくよくつづくものだと思われるほど働いたのである。
しかしそういう生活に不平も持たず疑問も持たず、
一日一日を無事にすごされることを感謝していた。
山口県周防大島
ある日、日が暮れかけて、谷をへだてた向こうの畑を見ると、
キラキラ光るものがある。何だろうと祖父にきくと、
「マメダが提灯をとぼしているのだ」といった。
マメダというのは豆狸のことである。
マメダは愛嬌のあるもので、わるいいたずらはしないし、
人間が山でさびしがっていると出てきて友だちに
なってくれるものだとおしえてくれた。
実はこれは粟畑の鳥おどしに鏡のかけらをさげていたのへ、
夕日が反射して光っていたのである。(中略)
それから後、山の奥で木をきる斧の音がしても、
山の彼方で石をわるタガネの音がしても、みんなマメダの
しわざではないかと、思うようになったが、そう思うことで、
山の奥、山の彼方へ心ひかれるようになっていった。
伊集院光
デオドラントしてしまうことでにおいとかが急に消える
いろいろなものが混ざったものを混ざったまま入れることのおもしろさ
民俗学の旅 十か条
一、汽車へ乗ったら窓から外をよく見よ、田や畑に何が植えられているか、育ちがよいかわるいか、村の家が大きいか小さいか、瓦屋根か草葺きか、そういうこともよく見ることだ。駅へついたら人の乗りおりに注意せよ、そしてどういう服装をしているかに気をつけよ。また、駅の荷置場にどういう荷がおかれているかをよく見よ。そういうことでその土地が富んでいるか貧しいか、よく働くところかそうでないかよくわかる。
二、村でも町でも新しくたずねていったところはかならず高いところへ上ってみよ、そして方向を知り、目立つものを見よ。峠の上で村を見おろすようなことがあったら、お宮の森やお寺や目につくものをまず見、家のあり方や田畑のあり方を見、周囲の山々を見ておけ、そして山の上で目をひいたものがあったら、そこへはかならずいって見ることだ。高いところでよく見ておいたら道にまようようなことはほとんどない。
三、金があったら、その土地の名物や料理はたべておくのがよい。その土地の暮らしの高さがわかるものだ。
四、時間のゆとりがあったら、できるだけ歩いてみることだ。いろいろのことを教えられる。
五、金というものは儲けるのはそんなにむずかしくない。しかし使うのがむずかしい。それだけは忘れぬように。
六、私はおまえを思うように勉強させてやることができない。だからおまえには何も注文しない。しかし身体は大切にせよ。三十歳まではおまえを勘当したつもりでいる。しかし三十すぎたら親のあることを思い出せ。
七、ただし病気になったり、自分で解決のつかないようなことがあったら、郷里へ戻ってこい、親はいつでも待っている。
八、これからさきは子が親に孝行する時代ではない。親が子に孝行する時代だ。そうしないと世の中はよくならぬ。
九、自分でよいと思ったことはやってみよ、それで失敗したからといって、親は責めはしない。
十、人の見残したものを見るようにせよ。その中にいつも大事なものがあるはずだ。あせることはない。自分のえらんだ道をしっかり歩いていくことだ。
※宮本善十郎(宮本常一の父)が息子に語った十か条〔『民俗学の旅』所収〕
※宮本常一(1907〜1981・山口県周防大島生まれの民俗学者・社会教育者)
https://terakoya-juku.com/blog/detail/20221226/
どのように風景が変化していくか 田畑にどういうものが植えてあるのか
一つ一つの集落の違いや貧富の差というものも見えてくる
「できるだけ歩いてみること」が宮本常一の民俗学の重要なところ
渋沢敬三(1896~1963)渋沢栄一の孫で
後に大蔵大臣を務め日本経済を支えた人物
自費で自宅にアチック・ミューゼアムを建てる
宮本常一は教員を辞めアチック・ミューゼアムに入社。
渋沢敬三から言われたこと この時宮本常一32歳。
大事なことは決して主流になってはいけない
主流になるということは舞台に立って
役者が演技をするようなものなので
やっているとつい大事なことを見落としてしまう
だから「いつも片隅にいてモノを見る」ということが大事なこと
主な日本の民俗学者
南方熊楠(1867年~1941年)
柳田国男(1875年~1962年)
折口信夫(1887年~1953年)
宮本常一(1907年~1981年)
柳田の民俗学の動機は経世済民(世をおさめ民をすくうこと)
そのためには「心の有り様」を掘り下げる
その1つが民間信仰や民間伝承
宮本は「忘れられた日本人」を書く少し前から
柳田の民俗学に疑問を持っていた
渋沢に影響を受けた宮本
それを整理してならべることで民族誌というのは事足りるのだろうか。(中略)
人々の日々いとなまれている生活をもっとつぶさに見るべきではなかろうか。
民族誌ではなく生活誌の方がもっと大事に取り上げられるべきであり、
また生活を向上させる梃子(てこ)となった技術についてはもっときめこまかに
これを構造的にとらえてみることが大切ではないかと考えるようになった。
ただ豊かになるだけではだめ 普通の庶民が何をしてきたか
小さな日々の営みの中の経済行為や産業を見ていかなければならないと
渋沢敬三は考えた
宮本と柳田の違い
「オシラサマ」をどう記したか❓
柳田国男「遠野物語」
昔ある処に貧しき百姓あり。妻はなくて美しき娘あり。
また一匹の馬を養う。娘この馬を愛して夜になれば
厩舎(うまや)に行きて寝(い)ね、ついに馬と夫婦になれり。
ある夜父はこの事を知りて、その次の日に娘には知らせず、
馬を連れ出して桑の木につり下げて殺したり。
その夜娘は(中略)驚き悲しみて桑の木の下に行き、
死したる馬の首に縋(すが)りて泣きいたりしを、
父はこれを悪(にく)みて斧をもって後より馬の首を切り落せしに、
たちまち娘はその首に乗りたるまま天に昇りされり。
オシラサマというのはこの時よりなりたる神なり
宮本常一「庶民の発見」より
遠野地方では、このオシラサマに、毎年一枚ずつ布片(ぬのきれ)を
かぶせていく習慣があった。(中略)
この布施の地質を上からみていくと、モスリン、ナイスモス、
機織(はたおり)木綿、金巾(かねきん)、手紡(つむぎ)織木綿、
絹薄地、絹経細緯太(きぬたてほそよこぶと)、マダ布、
麻布、紙、真綿の順になっていて、(中略)
機織木綿から上にあるものはほとんど例外なしに
化学染料が用いられていて、植物染料を見かけない。(中略)
日本に化学染料の入ったと思われるのは明治初期である。
そしていちはやく化学染料のものが、オシラサマに用いられている。
元来、信仰は保守的なものと思われるが、半面、それが
長く続いていくためには時代に即応する新しさも持っているのである。
「遠野物語」のオシラサマの話はどのように(この民間信仰が)
生まれてきたかをファンタジックに描いている
宮本常一は「もの自体」に着目して
「どういう衣や線量が入ってきたか」によって
その地域の歴史を掘り起こそうとしている
対照的な着眼点
「自分たちが『豊かさ』や『ありがたい』と思うものを
きせてあげてあげよう」ということが化学染料のような
1番新しいものを着せる行為につながっている
庶民は伝統墨守と思われているが
学者が考える以上に新しいことを試みている
「文字を持つ伝承者(1)」
「おもしろいお爺さんですよ。逢うたら一ぺんに好きになれる人です。(中略)
島根県田所村に田中梅治を訪ねました。
公職を退いてからは全く晴耕雨読の生活に入りいつも
懐に手帳を入れていて田を耕しているときも、気がつくことが
あると田を打つ手をやめて畔に出て腰をおろし、これを書きとめた。
「鉛筆をなめましてな、あれはああだった、これはこうだったと、
考えながら土を見、空を見あげて書いておりますと、
空にぽっかり白い雲なんどが浮かんでおりまして、
今度は一句作りたくなる」
「自然ノ美ニ親シミツツ自分ノ土地ヲ耕シツツ、国民ノ大切ノ食料ヲ
作ッテヤル、コンナ面白ク愉快ナ仕事ガ外ニ何ガアルカ(中略)」
としるしているのは、やせ我慢でも何でもなく、
そういう村を作りあげて来たものの自信にみちたほこりからであった。
老ではあるけど老害ではない
宮本のこだわり
80歳以上の老人から話を聞くことが重要
明治維新という非常に大きな過渡期を経験してきた人
明治維新というものが近代とそれ以前との大きな変化だった
歴史書にはそういう体験が感情も含めて記録されていない
高度経済成長期は「新しい近代」という大きな変貌が起こっている
その先駆的な例として明治維新の
近代化を押さえておかなければならない
自分たちのこれからの進歩や発展をどう考えていくか
汗拭ひマスク必須の過疎の店
染み付いたしまつな暮らし夏料理
世間への不安と不満夏の月
暑き夜や作り笑いを暮す人
■100分de名著 宮本常一「忘れられた日本人」(1)もう一つの民俗学
宮本常一(1907~1981)に人物像に迫る
昭和の高度成長期に活躍した民族学者
生涯旅した距離は約16万キロ(地球4周分)
教えて下さるのは民俗学者 畑中章宏氏
聞き書きをした人物のエピソードに
ふさわしい形(叙述形式)でまとめている
歴史書というのは「何年何月に電車が通った」
「テレビが入ってきた」「何が起こったか」は記録される
「人々がどのように心を動かされたか」は
歴史書には書かれていない
そういうものを拾い集めていこうという「模索の書」
「私の祖父」
市五郎はいつも朝四時にはおきた。それから山へ行って
一仕事してかえってきて朝飯をたべる。朝飯といっても
お粥である。それから田畑の仕事に出かける。
昼まではみっちり働いて、昼食がすむと、夏ならば
三時まで昼寝をし、コビルマをたべてまた田畑に出かける。
そしてくらくなるまで働く。(中略)
仕事を終えると神様、仏壇を拝んでねた。
とにかくよくつづくものだと思われるほど働いたのである。
しかしそういう生活に不平も持たず疑問も持たず、
一日一日を無事にすごされることを感謝していた。
山口県周防大島
ある日、日が暮れかけて、谷をへだてた向こうの畑を見ると、
キラキラ光るものがある。何だろうと祖父にきくと、
「マメダが提灯をとぼしているのだ」といった。
マメダというのは豆狸のことである。
マメダは愛嬌のあるもので、わるいいたずらはしないし、
人間が山でさびしがっていると出てきて友だちに
なってくれるものだとおしえてくれた。
実はこれは粟畑の鳥おどしに鏡のかけらをさげていたのへ、
夕日が反射して光っていたのである。(中略)
それから後、山の奥で木をきる斧の音がしても、
山の彼方で石をわるタガネの音がしても、みんなマメダの
しわざではないかと、思うようになったが、そう思うことで、
山の奥、山の彼方へ心ひかれるようになっていった。
伊集院光
デオドラントしてしまうことでにおいとかが急に消える
いろいろなものが混ざったものを混ざったまま入れることのおもしろさ
民俗学の旅 十か条
一、汽車へ乗ったら窓から外をよく見よ、田や畑に何が植えられているか、育ちがよいかわるいか、村の家が大きいか小さいか、瓦屋根か草葺きか、そういうこともよく見ることだ。駅へついたら人の乗りおりに注意せよ、そしてどういう服装をしているかに気をつけよ。また、駅の荷置場にどういう荷がおかれているかをよく見よ。そういうことでその土地が富んでいるか貧しいか、よく働くところかそうでないかよくわかる。
二、村でも町でも新しくたずねていったところはかならず高いところへ上ってみよ、そして方向を知り、目立つものを見よ。峠の上で村を見おろすようなことがあったら、お宮の森やお寺や目につくものをまず見、家のあり方や田畑のあり方を見、周囲の山々を見ておけ、そして山の上で目をひいたものがあったら、そこへはかならずいって見ることだ。高いところでよく見ておいたら道にまようようなことはほとんどない。
三、金があったら、その土地の名物や料理はたべておくのがよい。その土地の暮らしの高さがわかるものだ。
四、時間のゆとりがあったら、できるだけ歩いてみることだ。いろいろのことを教えられる。
五、金というものは儲けるのはそんなにむずかしくない。しかし使うのがむずかしい。それだけは忘れぬように。
六、私はおまえを思うように勉強させてやることができない。だからおまえには何も注文しない。しかし身体は大切にせよ。三十歳まではおまえを勘当したつもりでいる。しかし三十すぎたら親のあることを思い出せ。
七、ただし病気になったり、自分で解決のつかないようなことがあったら、郷里へ戻ってこい、親はいつでも待っている。
八、これからさきは子が親に孝行する時代ではない。親が子に孝行する時代だ。そうしないと世の中はよくならぬ。
九、自分でよいと思ったことはやってみよ、それで失敗したからといって、親は責めはしない。
十、人の見残したものを見るようにせよ。その中にいつも大事なものがあるはずだ。あせることはない。自分のえらんだ道をしっかり歩いていくことだ。
※宮本善十郎(宮本常一の父)が息子に語った十か条〔『民俗学の旅』所収〕
※宮本常一(1907〜1981・山口県周防大島生まれの民俗学者・社会教育者)
https://terakoya-juku.com/blog/detail/20221226/
どのように風景が変化していくか 田畑にどういうものが植えてあるのか
一つ一つの集落の違いや貧富の差というものも見えてくる
「できるだけ歩いてみること」が宮本常一の民俗学の重要なところ
渋沢敬三(1896~1963)渋沢栄一の孫で
後に大蔵大臣を務め日本経済を支えた人物
自費で自宅にアチック・ミューゼアムを建てる
宮本常一は教員を辞めアチック・ミューゼアムに入社。
渋沢敬三から言われたこと この時宮本常一32歳。
大事なことは決して主流になってはいけない
主流になるということは舞台に立って
役者が演技をするようなものなので
やっているとつい大事なことを見落としてしまう
だから「いつも片隅にいてモノを見る」ということが大事なこと
主な日本の民俗学者
南方熊楠(1867年~1941年)
柳田国男(1875年~1962年)
折口信夫(1887年~1953年)
宮本常一(1907年~1981年)
柳田の民俗学の動機は経世済民(世をおさめ民をすくうこと)
そのためには「心の有り様」を掘り下げる
その1つが民間信仰や民間伝承
宮本は「忘れられた日本人」を書く少し前から
柳田の民俗学に疑問を持っていた
渋沢に影響を受けた宮本
それを整理してならべることで民族誌というのは事足りるのだろうか。(中略)
人々の日々いとなまれている生活をもっとつぶさに見るべきではなかろうか。
民族誌ではなく生活誌の方がもっと大事に取り上げられるべきであり、
また生活を向上させる梃子(てこ)となった技術についてはもっときめこまかに
これを構造的にとらえてみることが大切ではないかと考えるようになった。
ただ豊かになるだけではだめ 普通の庶民が何をしてきたか
小さな日々の営みの中の経済行為や産業を見ていかなければならないと
渋沢敬三は考えた
宮本と柳田の違い
「オシラサマ」をどう記したか❓
柳田国男「遠野物語」
昔ある処に貧しき百姓あり。妻はなくて美しき娘あり。
また一匹の馬を養う。娘この馬を愛して夜になれば
厩舎(うまや)に行きて寝(い)ね、ついに馬と夫婦になれり。
ある夜父はこの事を知りて、その次の日に娘には知らせず、
馬を連れ出して桑の木につり下げて殺したり。
その夜娘は(中略)驚き悲しみて桑の木の下に行き、
死したる馬の首に縋(すが)りて泣きいたりしを、
父はこれを悪(にく)みて斧をもって後より馬の首を切り落せしに、
たちまち娘はその首に乗りたるまま天に昇りされり。
オシラサマというのはこの時よりなりたる神なり
宮本常一「庶民の発見」より
遠野地方では、このオシラサマに、毎年一枚ずつ布片(ぬのきれ)を
かぶせていく習慣があった。(中略)
この布施の地質を上からみていくと、モスリン、ナイスモス、
機織(はたおり)木綿、金巾(かねきん)、手紡(つむぎ)織木綿、
絹薄地、絹経細緯太(きぬたてほそよこぶと)、マダ布、
麻布、紙、真綿の順になっていて、(中略)
機織木綿から上にあるものはほとんど例外なしに
化学染料が用いられていて、植物染料を見かけない。(中略)
日本に化学染料の入ったと思われるのは明治初期である。
そしていちはやく化学染料のものが、オシラサマに用いられている。
元来、信仰は保守的なものと思われるが、半面、それが
長く続いていくためには時代に即応する新しさも持っているのである。
「遠野物語」のオシラサマの話はどのように(この民間信仰が)
生まれてきたかをファンタジックに描いている
宮本常一は「もの自体」に着目して
「どういう衣や線量が入ってきたか」によって
その地域の歴史を掘り起こそうとしている
対照的な着眼点
「自分たちが『豊かさ』や『ありがたい』と思うものを
きせてあげてあげよう」ということが化学染料のような
1番新しいものを着せる行為につながっている
庶民は伝統墨守と思われているが
学者が考える以上に新しいことを試みている
「文字を持つ伝承者(1)」
「おもしろいお爺さんですよ。逢うたら一ぺんに好きになれる人です。(中略)
島根県田所村に田中梅治を訪ねました。
公職を退いてからは全く晴耕雨読の生活に入りいつも
懐に手帳を入れていて田を耕しているときも、気がつくことが
あると田を打つ手をやめて畔に出て腰をおろし、これを書きとめた。
「鉛筆をなめましてな、あれはああだった、これはこうだったと、
考えながら土を見、空を見あげて書いておりますと、
空にぽっかり白い雲なんどが浮かんでおりまして、
今度は一句作りたくなる」
「自然ノ美ニ親シミツツ自分ノ土地ヲ耕シツツ、国民ノ大切ノ食料ヲ
作ッテヤル、コンナ面白ク愉快ナ仕事ガ外ニ何ガアルカ(中略)」
としるしているのは、やせ我慢でも何でもなく、
そういう村を作りあげて来たものの自信にみちたほこりからであった。
老ではあるけど老害ではない
宮本のこだわり
80歳以上の老人から話を聞くことが重要
明治維新という非常に大きな過渡期を経験してきた人
明治維新というものが近代とそれ以前との大きな変化だった
歴史書にはそういう体験が感情も含めて記録されていない
高度経済成長期は「新しい近代」という大きな変貌が起こっている
その先駆的な例として明治維新の
近代化を押さえておかなければならない
自分たちのこれからの進歩や発展をどう考えていくか
2024年6月10日月曜日
兼題「植田」&テーマ「嫉妬」
風青し情緒のままを生き行かん
保育園過疎に開園夏の風
いろどりの赤き帳簿や青き嶺
無常観生きて生かされ網代傘(あじろがさ)
程々の距離保ちつつ夏を生く
■NHK俳句 兼題「植田」
選者 西山睦 ゲスト 若井新一 司会 柴田英嗣
年間テーマ「やさしい手」
吹かれ立ち身じろぎもせず青山河 西山睦
青山河が夏の季語 青々として茂った山や川
▪若井新一さんの「やさしい手」米づくり・俳句三選
水 しろがねの水躍り込む植田かな 若井新一
土 泥舐めむばかりに這うて田草取 若井新一
若井新一さんの田草取の句一覧
泥舐めむばかりに這うて田草取
田草取り終へ両膝を畦(あぜ)に突く
もの言はぬ時の長しや田草取
抜き足を泥の離さず田草取
腰燃えむばかり真昼の田草取
太陽に額づくごとし田草取
稲 黄金の波へ乗り出す稲刈機 若井新一
▪特選六句発表 兼題「植田」
植田より最後のひと足抜きにけり 吉田勝也
来年の結(ゆい)は二戸なり植田風 太田省三
畔(あぜ)の昼ほうじ茶匂う植田かな 畑(はた)美保子
「いい雨」と父のうなずく植田かな 中島正則
植田ゆく鯨のやうな雲の腹 沼野大統領
病欠の午後を植田のひかり浴ぶ 内藤羊皐(ようこう)
▪特選三席発表 今週の兼題「植田」
一席 朝の日の朝の日らしき植田かな 上田和代
二席 ブレザーに変はりし母校植田風 村上玲子
三席 引越の車窓明るき植田かな 夏野猫宙(ねこぞら)
▪俳句やろうぜ 黒岩徳将
俳句と短歌の二刀流 第12回星野立子新人賞
女性史上最年少で受賞 野城知里(22歳)
半睡の文字で受賞
クロイワ推しの一句
指に砂糖燕まつすぐ沈みゆく 野城知里
取り合わせ 季語(つばめ)+季語以外の事柄
詠む時は気持ちがあると思う
「物」に「気持ち」を託せるのが俳句ならではの良いところ
喜怒哀楽とかじゃない小さな弦(音)の震えみたいな
すっごい小さな感動みたいな「心が少し動いた」気持ちを伝えたい
野城さん 早読み一句 お題「初夏」
初夏や鳩いくたびも向きを変え 野城知里
▪柴田の歩み
自分の職業を詠んで近くなろう
■NHK短歌 テーマ「嫉妬」
選者 俵万智 ゲスト 凰稀(おおき)かなめ 司会 ヒコロヒー
年間テーマ「光る愛の歌」
大河ドラマ「光る君へ」とのコラボの第2週
▪入選九首 テーマ「嫉妬」
預かった猫の毛なのねウェーブがかかってるのね金色なのね
麻倉遥
きみたちが同じバッグを持っててもリプはつけない気付きもしない
畑依裕(よりひろ)
一席「すごいね」に混じってしまうざらざらを潰していますカレーの匙で
北村保
三席 わたしより先に生まれただけなのに姉の部屋には陽がよく当たる
中村マコト
長男の好物ばかり並べ置く実家の味を割箸(わりばし)で食む
丸山ま美
妬まれる要素が何もないことで私はとても得をしている
伊藤澄子
産休に入る友への花を買う我は受粉せぬめしべを持ちて
古澤茅世加(ちよか)
二席 恋人の話題を避けた型抜きの抜いた形で分かってしまう
今井マイ
退院を遂げしベッドの空き地へと不法投棄の如き舌打ち
村松正敏
▪「光る君」で短歌を10倍楽しもう!
顔の見える相手への嫉妬と顔の見えない相手への嫉妬
どっちが深い?
高松殿(明子)は目に見える別の妻
そうじゃない別の誰かに対するメラメラ歓
「嫉妬」にまつわる赤染衛門の歌
やすらはで寝なましものをさ夜ふけてかたぶくまでの月を見しかな
赤染衛門
万智訳
迷わずに寝ればよかった気がつけば月を見送るためだけの夜
来るのかな❓来ないのかな❓と言っているうちに
夜がふけて月が傾くそこまで時間がたってしまったという歌
赤染衛門が姉妹に代わって詠んでいる歌
赤染衛門の夫 大江匡衡(まさひら)が尾張の国司をしていたときに
他の女性のところに行ったりそこで子供が生まれたりして
帰ってこない夫を待つのに疲れたこともあった
通い婚の時代 このシステムは嫉妬せざるを得ない
「嫉妬」の名歌がたくさん生まれた時代
送ってこそ歌
「光る君」から学べる 短歌づくりのポイントは?
その題で詠んだという「てい」で醜い心も吐き出せる
ネガティブな感情もしっかり自分と向き合って見つめることは大事
作品になったことでマイナスの感情もプラスの土産を持って帰ってきた
感情に捨てるとこなし
短歌づくりのポイント
歌に詠むことで自分の気持ちに向き合える
マイナスな気持ちでも心にためず吐き出せる
君や来む我や行かむのいさよひにまきの板戸もささず寝にけり
万智訳
来る来ない行く行かないの十六夜(いざよい)に
戸を開けたまま寝てしまったわ
「言葉の裏に込められた思いを感じ取れるようになると歌が上達する」
これは現代短歌を作る私たちにもいえる
ひとの歌を読めるようになると自分の歌も上達する
俵万智女史の嫉妬
つまらない人を独占するより
すてきな人をシェアしたほうがいいと思う
▪言葉のバトン
工場の煙が遠く立ち上る
神戸大学短歌会 奥村鼓太郎
⇩
空のあなたはどうしてますか
妙圓(えん)寺住職 本間大智
保育園過疎に開園夏の風
いろどりの赤き帳簿や青き嶺
無常観生きて生かされ網代傘(あじろがさ)
程々の距離保ちつつ夏を生く
■NHK俳句 兼題「植田」
選者 西山睦 ゲスト 若井新一 司会 柴田英嗣
年間テーマ「やさしい手」
吹かれ立ち身じろぎもせず青山河 西山睦
青山河が夏の季語 青々として茂った山や川
▪若井新一さんの「やさしい手」米づくり・俳句三選
水 しろがねの水躍り込む植田かな 若井新一
土 泥舐めむばかりに這うて田草取 若井新一
若井新一さんの田草取の句一覧
泥舐めむばかりに這うて田草取
田草取り終へ両膝を畦(あぜ)に突く
もの言はぬ時の長しや田草取
抜き足を泥の離さず田草取
腰燃えむばかり真昼の田草取
太陽に額づくごとし田草取
稲 黄金の波へ乗り出す稲刈機 若井新一
▪特選六句発表 兼題「植田」
植田より最後のひと足抜きにけり 吉田勝也
来年の結(ゆい)は二戸なり植田風 太田省三
畔(あぜ)の昼ほうじ茶匂う植田かな 畑(はた)美保子
「いい雨」と父のうなずく植田かな 中島正則
植田ゆく鯨のやうな雲の腹 沼野大統領
病欠の午後を植田のひかり浴ぶ 内藤羊皐(ようこう)
▪特選三席発表 今週の兼題「植田」
一席 朝の日の朝の日らしき植田かな 上田和代
二席 ブレザーに変はりし母校植田風 村上玲子
三席 引越の車窓明るき植田かな 夏野猫宙(ねこぞら)
▪俳句やろうぜ 黒岩徳将
俳句と短歌の二刀流 第12回星野立子新人賞
女性史上最年少で受賞 野城知里(22歳)
半睡の文字で受賞
クロイワ推しの一句
指に砂糖燕まつすぐ沈みゆく 野城知里
取り合わせ 季語(つばめ)+季語以外の事柄
詠む時は気持ちがあると思う
「物」に「気持ち」を託せるのが俳句ならではの良いところ
喜怒哀楽とかじゃない小さな弦(音)の震えみたいな
すっごい小さな感動みたいな「心が少し動いた」気持ちを伝えたい
野城さん 早読み一句 お題「初夏」
初夏や鳩いくたびも向きを変え 野城知里
▪柴田の歩み
自分の職業を詠んで近くなろう
■NHK短歌 テーマ「嫉妬」
選者 俵万智 ゲスト 凰稀(おおき)かなめ 司会 ヒコロヒー
年間テーマ「光る愛の歌」
大河ドラマ「光る君へ」とのコラボの第2週
▪入選九首 テーマ「嫉妬」
預かった猫の毛なのねウェーブがかかってるのね金色なのね
麻倉遥
きみたちが同じバッグを持っててもリプはつけない気付きもしない
畑依裕(よりひろ)
一席「すごいね」に混じってしまうざらざらを潰していますカレーの匙で
北村保
三席 わたしより先に生まれただけなのに姉の部屋には陽がよく当たる
中村マコト
長男の好物ばかり並べ置く実家の味を割箸(わりばし)で食む
丸山ま美
妬まれる要素が何もないことで私はとても得をしている
伊藤澄子
産休に入る友への花を買う我は受粉せぬめしべを持ちて
古澤茅世加(ちよか)
二席 恋人の話題を避けた型抜きの抜いた形で分かってしまう
今井マイ
退院を遂げしベッドの空き地へと不法投棄の如き舌打ち
村松正敏
▪「光る君」で短歌を10倍楽しもう!
顔の見える相手への嫉妬と顔の見えない相手への嫉妬
どっちが深い?
高松殿(明子)は目に見える別の妻
そうじゃない別の誰かに対するメラメラ歓
「嫉妬」にまつわる赤染衛門の歌
やすらはで寝なましものをさ夜ふけてかたぶくまでの月を見しかな
赤染衛門
万智訳
迷わずに寝ればよかった気がつけば月を見送るためだけの夜
来るのかな❓来ないのかな❓と言っているうちに
夜がふけて月が傾くそこまで時間がたってしまったという歌
赤染衛門が姉妹に代わって詠んでいる歌
赤染衛門の夫 大江匡衡(まさひら)が尾張の国司をしていたときに
他の女性のところに行ったりそこで子供が生まれたりして
帰ってこない夫を待つのに疲れたこともあった
通い婚の時代 このシステムは嫉妬せざるを得ない
「嫉妬」の名歌がたくさん生まれた時代
送ってこそ歌
「光る君」から学べる 短歌づくりのポイントは?
その題で詠んだという「てい」で醜い心も吐き出せる
ネガティブな感情もしっかり自分と向き合って見つめることは大事
作品になったことでマイナスの感情もプラスの土産を持って帰ってきた
感情に捨てるとこなし
短歌づくりのポイント
歌に詠むことで自分の気持ちに向き合える
マイナスな気持ちでも心にためず吐き出せる
君や来む我や行かむのいさよひにまきの板戸もささず寝にけり
万智訳
来る来ない行く行かないの十六夜(いざよい)に
戸を開けたまま寝てしまったわ
「言葉の裏に込められた思いを感じ取れるようになると歌が上達する」
これは現代短歌を作る私たちにもいえる
ひとの歌を読めるようになると自分の歌も上達する
俵万智女史の嫉妬
つまらない人を独占するより
すてきな人をシェアしたほうがいいと思う
▪言葉のバトン
工場の煙が遠く立ち上る
神戸大学短歌会 奥村鼓太郎
⇩
空のあなたはどうしてますか
妙圓(えん)寺住職 本間大智
2024年6月9日日曜日
茶碗&安楽死&お釈迦様の自死&「冷蔵庫」
百均の価格上昇水を打つ
20日ぶり愛車の帰宅風薫る
売れ残り今日も当たらず冷奴
名ばかりの高所得者や雲の峰
燕の子身を乗り出すもまたも無視
■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「冷蔵庫」
「えっ『冷蔵庫』って季語なの?」
と思われる方も多いかもしれませんね
現在はどの家庭にも必ずと言っていいほどある
生活必需品ですけれども昔は「冷蔵庫」が
一般的ではなかったんですね
夏場はいろんな食べ物も傷みやすくまた冷たいものを
家庭で召し上がりたいんだけれども冷やす機能がない
昔の「冷蔵庫」はどんなものだったかといいますと
木の箱あるいは金属の箱の上の方には氷を入れておいて
その氷の冷気が段々下に箱の中で下がってくるそれによって
下の部分に入れておいてものを
冷やすそういう作りになっていたのです
夏の暑さを凌ぐための人々の工夫
それが夏の季語として残っていったわけです
■茶碗について
千利休が「自然の中に美を見出した」とすれば、
古田織部は「自然からの美の創造」を追求しました。
千利休が自然をひたすら磨き上げたのに対して、
古田織部は人の手により自然から芸術を形作りました。
https://minirism.org/ja/kirei-sabi-chashitsu-ja/
■『最期を選ぶ ~安楽死のない国で 私たちは~』
https://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/20231020.html
何度も何度も拝見しました。
英語が堪能でないとスイスへ行っても死ねないのですね。
■自死に対するお釈迦様のお考え
お釈迦さまは、自死を選んだ人に対して、こうおっしゃいました。
「涅槃(ねはん)に入られた」と。
それはつまり、永遠の悟りの境地に入ったということ。
死を迎えることによって肉体は痛みがなくなるわけですから、
究極の安楽の状態に入ったと表現されました。
そう、実は仏教では、さまざまな事情や動機によっては、
自死に対して必ずしもだめだという表現をしていないのです。」
心が救われました。
刑法上の「安楽死」とは、 「死期が切迫し、
激しい苦痛にあえいでいる患者に対して、
殺害して苦痛から解放する」場合 をいい、
「尊厳死」とは、「治療不可能な病気にかかって、
意識を回復する見込みがなくなっ た患者に対して、
延命治療を中止する」場合をいう。
「安楽死」は薬物を投与して生命を終わらせる、
「尊厳死」は治療をやめることで死期を早める、
「自然死」は身体機能の低下による死という違いがあります。
尊厳死と安楽死はどちらも本人の意思に
基づいて実施される点は同じですが、
自然な死を迎えられるかどうかという点では大きな違いがあります。
一日も早く日本でも「安楽死」「尊厳死」が認められる日が来ますように…。
「10人のお坊さん」でもこの問題について取り上げて欲しかったです。
https://www.nhk.jp/p/ts/YN499WWPNN/
売れ残り今日も当たらず冷奴
名ばかりの高所得者や雲の峰
燕の子身を乗り出すもまたも無視
■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「冷蔵庫」
「えっ『冷蔵庫』って季語なの?」
と思われる方も多いかもしれませんね
現在はどの家庭にも必ずと言っていいほどある
生活必需品ですけれども昔は「冷蔵庫」が
一般的ではなかったんですね
夏場はいろんな食べ物も傷みやすくまた冷たいものを
家庭で召し上がりたいんだけれども冷やす機能がない
昔の「冷蔵庫」はどんなものだったかといいますと
木の箱あるいは金属の箱の上の方には氷を入れておいて
その氷の冷気が段々下に箱の中で下がってくるそれによって
下の部分に入れておいてものを
冷やすそういう作りになっていたのです
夏の暑さを凌ぐための人々の工夫
それが夏の季語として残っていったわけです
■茶碗について
千利休が「自然の中に美を見出した」とすれば、
古田織部は「自然からの美の創造」を追求しました。
千利休が自然をひたすら磨き上げたのに対して、
古田織部は人の手により自然から芸術を形作りました。
https://minirism.org/ja/kirei-sabi-chashitsu-ja/
■『最期を選ぶ ~安楽死のない国で 私たちは~』
https://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/20231020.html
何度も何度も拝見しました。
英語が堪能でないとスイスへ行っても死ねないのですね。
■自死に対するお釈迦様のお考え
お釈迦さまは、自死を選んだ人に対して、こうおっしゃいました。
「涅槃(ねはん)に入られた」と。
それはつまり、永遠の悟りの境地に入ったということ。
死を迎えることによって肉体は痛みがなくなるわけですから、
究極の安楽の状態に入ったと表現されました。
そう、実は仏教では、さまざまな事情や動機によっては、
自死に対して必ずしもだめだという表現をしていないのです。」
心が救われました。
刑法上の「安楽死」とは、 「死期が切迫し、
激しい苦痛にあえいでいる患者に対して、
殺害して苦痛から解放する」場合 をいい、
「尊厳死」とは、「治療不可能な病気にかかって、
意識を回復する見込みがなくなっ た患者に対して、
延命治療を中止する」場合をいう。
「安楽死」は薬物を投与して生命を終わらせる、
「尊厳死」は治療をやめることで死期を早める、
「自然死」は身体機能の低下による死という違いがあります。
尊厳死と安楽死はどちらも本人の意思に
基づいて実施される点は同じですが、
自然な死を迎えられるかどうかという点では大きな違いがあります。
一日も早く日本でも「安楽死」「尊厳死」が認められる日が来ますように…。
「10人のお坊さん」でもこの問題について取り上げて欲しかったです。
https://www.nhk.jp/p/ts/YN499WWPNN/
2024年6月8日土曜日
長田弘氏の詩
夏の霧追い立てられて過ぎゆく日
心細さと不安を持ちて迎え梅雨
永遠に帰依「南無阿弥陀仏」安吾
走馬灯忘れられなきことのある
自由となりて羽ばたく時か?青葉
■長田弘氏という詩人を知りました。
「死ではなく、その人が
じぶんのなかにのこしていった
たしかな記憶を、わたしは信じる。」
「詩ふたつ」より
「本を読もう。
もっと本を読もう。
もっともっと本を読もう。
書かれた文字だけが本ではない。
日の光り、星の瞬き、鳥の声、
川の音だって、本なのだ。…」
「世界は一冊の本」より
「イツカ、向コウデ」
人生は長いと、ずっと思っていた。
間違っていた。おどろくほど短かった。
きみは、そのことに気付いていたか?
なせばなると、ずっと思っていた。
間違っていた。なしとげたものなんかない。
きみは、そのことに気づいていたか?
わかってくれるはずと、思っていた。
間違っていた。誰も何もわかってくれない。
きみは、そのことに気づいていたか?
ほんとうは、新しい定義が必要だったのだ。
生きること、楽しむこと、そして歳をとることの。
きみは、そのことに気づいていたか?
まっすぐに生きるべきだと、思っていた。
間違っていた。ひとは曲がった木のように生きる。
きみは、そのことに気づいていたか?
サヨウナラ、友ヨ、イツカ、向コウデ会オウ。
「死者の贈り物」より
「魂は」
悲しみは、言葉をうつくしくしない。
悲しいときは、黙って、悲しむ。
言葉にならないものが、いつも胸にある。
嘆きが言葉に意味をもたらすことはない。
純粋さは言葉を信じがたいものにする。
激情はけっして言葉を正しくしない。
恨みつらみは言葉をだめにしてしまう。
ひとが誤るのは、いつでも言葉を
過信してだ。きれいな言葉は嘘をつく。
この世を醜くするのは、不実な言葉だ。
誰でも、なんでもいうことができる。だから、
何をいいえるか、ではない。
何をいいえないか、だ。
銘記する。
言葉はただそれだけだと思う。
言葉にできない感情は、じっと抱いてゆく、
魂を温めるように。
その姿勢のままに、言葉をたもつ。
じぶんのうちに、じぶんの体温のように。
一人の魂はどんな言葉でつくられているか?
「一日の終わりの詩集」より
「ねむりのもりのはなし」
いまはむかし あるところに
あべこべの くにがあったんだ
はれたひは どしゃぶりで
あめのひは からりとはれていた
そらには きのねっこ
つちのなかに ほし
とおくは とってもちかくって
ちかくが とってもとおかった
うつくしいものが みにくい
みにくいものが うつくしい
わらうときには おこるんだ
おこるときには わらうんだ
みるときは めをつぶる
めをあけても なにもみえない
あたまは じめんにくっつけて
あしで かんがえなくちゃいけない
きのない もりでは
はねをなくした てんしを
てんしをなくした はねが
さがしていた
はなが さけんでいた
ひとは だまっていた
ことばに いみがなかった
いみには ことばがなかった
つよいのは もろい
もろいのが つよい
ただしいは まちがっていて
まちがいが ただしかった
うそが ほんとのことで
ほんとのことが うそだった
あべこべの くにがあったんだ
いまはむかし あるところに
「長田弘詩集」より
「カシコイモノヨ、教えてください」
冒険とは、
一日一日と、日を静かに過ごすことだ。
誰かがそう言ったのだ。
プラハのカフカだったと思う。
人はそれぞれの場所にいて、
それぞれに、世に知られない
一人の冒険家のように生きなければならないと。
けれども、一日一日が冒険なら、
人の一生の、途方もない冒険には、
いったいどれだけ、じぶんを支えられる
ことばがあれば、足りるだろう?
夜、覆刻ギュツラフ訳聖書を開き、
ヨアンネスノ タヨリ ヨロコビを読む。
北ドイツ生まれの、宣教の人ギュツラフが、
日本人の、三人の遭難漂流民の助けを借りて、
遠くシンガポールで、うつくしい木版で刷った
いちばん古い、日本語で書かれた聖書。
ハジマリニ カシコイモノゴザル
コノカシコイモノ ゴクラクトモニゴザル。
コノカシコイモノワゴクラク。
コノカシコイモノとは、ことばだ。
ゴクラクが、神だ。福音がわたしたちに
もたらすものは、タヨリ ヨロコビである。
今日、ひつようなのは、一日一日の、
静かな冒険のためのことば、祈ることばだ。
ヒトノナカニ イノチアル
コノイノチワ ニンゲンノヒカリ
コノヒカリワ クラサノナカニカガヤク。
だから、カシコイモノヨ、教えて下さい。
どうやって祈るかを、ゴクラクをもたないものに。
「世界はうつくしいと」より
心細さと不安を持ちて迎え梅雨
永遠に帰依「南無阿弥陀仏」安吾
走馬灯忘れられなきことのある
自由となりて羽ばたく時か?青葉
■長田弘氏という詩人を知りました。
「死ではなく、その人が
じぶんのなかにのこしていった
たしかな記憶を、わたしは信じる。」
「詩ふたつ」より
「本を読もう。
もっと本を読もう。
もっともっと本を読もう。
書かれた文字だけが本ではない。
日の光り、星の瞬き、鳥の声、
川の音だって、本なのだ。…」
「世界は一冊の本」より
「イツカ、向コウデ」
人生は長いと、ずっと思っていた。
間違っていた。おどろくほど短かった。
きみは、そのことに気付いていたか?
なせばなると、ずっと思っていた。
間違っていた。なしとげたものなんかない。
きみは、そのことに気づいていたか?
わかってくれるはずと、思っていた。
間違っていた。誰も何もわかってくれない。
きみは、そのことに気づいていたか?
ほんとうは、新しい定義が必要だったのだ。
生きること、楽しむこと、そして歳をとることの。
きみは、そのことに気づいていたか?
まっすぐに生きるべきだと、思っていた。
間違っていた。ひとは曲がった木のように生きる。
きみは、そのことに気づいていたか?
サヨウナラ、友ヨ、イツカ、向コウデ会オウ。
「死者の贈り物」より
「魂は」
悲しみは、言葉をうつくしくしない。
悲しいときは、黙って、悲しむ。
言葉にならないものが、いつも胸にある。
嘆きが言葉に意味をもたらすことはない。
純粋さは言葉を信じがたいものにする。
激情はけっして言葉を正しくしない。
恨みつらみは言葉をだめにしてしまう。
ひとが誤るのは、いつでも言葉を
過信してだ。きれいな言葉は嘘をつく。
この世を醜くするのは、不実な言葉だ。
誰でも、なんでもいうことができる。だから、
何をいいえるか、ではない。
何をいいえないか、だ。
銘記する。
言葉はただそれだけだと思う。
言葉にできない感情は、じっと抱いてゆく、
魂を温めるように。
その姿勢のままに、言葉をたもつ。
じぶんのうちに、じぶんの体温のように。
一人の魂はどんな言葉でつくられているか?
「一日の終わりの詩集」より
「ねむりのもりのはなし」
いまはむかし あるところに
あべこべの くにがあったんだ
はれたひは どしゃぶりで
あめのひは からりとはれていた
そらには きのねっこ
つちのなかに ほし
とおくは とってもちかくって
ちかくが とってもとおかった
うつくしいものが みにくい
みにくいものが うつくしい
わらうときには おこるんだ
おこるときには わらうんだ
みるときは めをつぶる
めをあけても なにもみえない
あたまは じめんにくっつけて
あしで かんがえなくちゃいけない
きのない もりでは
はねをなくした てんしを
てんしをなくした はねが
さがしていた
はなが さけんでいた
ひとは だまっていた
ことばに いみがなかった
いみには ことばがなかった
つよいのは もろい
もろいのが つよい
ただしいは まちがっていて
まちがいが ただしかった
うそが ほんとのことで
ほんとのことが うそだった
あべこべの くにがあったんだ
いまはむかし あるところに
「長田弘詩集」より
「カシコイモノヨ、教えてください」
冒険とは、
一日一日と、日を静かに過ごすことだ。
誰かがそう言ったのだ。
プラハのカフカだったと思う。
人はそれぞれの場所にいて、
それぞれに、世に知られない
一人の冒険家のように生きなければならないと。
けれども、一日一日が冒険なら、
人の一生の、途方もない冒険には、
いったいどれだけ、じぶんを支えられる
ことばがあれば、足りるだろう?
夜、覆刻ギュツラフ訳聖書を開き、
ヨアンネスノ タヨリ ヨロコビを読む。
北ドイツ生まれの、宣教の人ギュツラフが、
日本人の、三人の遭難漂流民の助けを借りて、
遠くシンガポールで、うつくしい木版で刷った
いちばん古い、日本語で書かれた聖書。
ハジマリニ カシコイモノゴザル
コノカシコイモノ ゴクラクトモニゴザル。
コノカシコイモノワゴクラク。
コノカシコイモノとは、ことばだ。
ゴクラクが、神だ。福音がわたしたちに
もたらすものは、タヨリ ヨロコビである。
今日、ひつようなのは、一日一日の、
静かな冒険のためのことば、祈ることばだ。
ヒトノナカニ イノチアル
コノイノチワ ニンゲンノヒカリ
コノヒカリワ クラサノナカニカガヤク。
だから、カシコイモノヨ、教えて下さい。
どうやって祈るかを、ゴクラクをもたないものに。
「世界はうつくしいと」より
2024年6月7日金曜日
稚児俳句「じわる」&初デートで一句&短歌
才能に触発されて霹靂神(はたたがみ)
夕蛍(ゆうぼたる)情緒に沿いて生み出さん
田植時人それぞれの価値あらん
ひとっとび夏の終わりのことりっぷ
夏の月老後のためを生きる日々
■ワルイコあつまれ(90)
稚児俳句 辻内京子 髙柳克弘 松尾葉翔
じわる じわじわ笑えてくること
切れ字(や・かな・けり)が使えない
正座の脚しびれてじわる夏座敷 辻内京子
(夏座敷 夏の季語 すだれなどを使った夏仕様の和室
上五を字余りにした 堅苦しく居心地が悪い様子を字余りで表現)
ほっぺたの田植えの泥にみなじわる 髙柳克弘
(田植え 夏の季語
広い景色と小さなものを対比してダイナミックな情景に
からだの一部分を詠んでリアルな子どもたちの様子を表現)
ウシガエルフェス開催中かなじわる 松尾葉翔
(うしがえる 夏の季語
蛙合戦 春の季語 蛙が繁殖期に池や沼でひしめき合っている様子)
添削ポイント
リズムが気になる
句またがり 1つの言葉が「五・七・五」の切めをまたぐこと
句またがりが2つ 中七と下五
添削
ウシガエルフェス町を響動(とよ)もす声じわる 辻内京子
(どこかで「五・七・五」を保つと句がまとまる)
ウシガエルこれはフェスかとじわる夜 髙柳克弘
(造語って実はむつしくて発想は生かしたいと思った
「かな」が疑問か切れ字かわかりづらい)
■プレバト纏め 2024年6月6日
初デートで一句
永世名人締めのお手本
吊橋の下は万緑初デート 梅沢富美男
添削(初デートという場所として季語「万緑」は意外性がある
取り合わせは良い 全体読んだ時に違和感が残る
それは「下」初デートの思い 吊橋の様子と響き合う)
初デートの吊橋万緑に揺れる
俳句史に残る句集作り あと24句
初デート上出来茄子上手く炊けた 藤本敏史
(初デートらしい光景から思い浮かべる季語を探しに行く
なので似たような俳句になっていく 似た発想から飛び抜けている
茄子が面白い 非常に意外性がある
茄子という季語が出てきた瞬間
熟年初老に近いようなおっちゃんの初デート
しみじみとエエ句やないか おっちゃん幸せになってくれよ
言葉を変えて整えているのも上手い)
次回のお題「雨の行列」
■短歌 俵万智女史のXより
▪キングと天使 木下龍也×俵万智
夜、埋めてほしいのはぼくなのになぜ穴を女を探すんだろう
プロフィール 穴埋め問題解くように記入してゆくこれが私か
いいねした数は心が何片に割れているのか教えてくれる
すきま風吹いていること知られたくないから心の窓は全開
ぼくは王 就寝前の軽やかな右スワイプは「近う寄れ」の意
トランプのようにめくってゆく画面 私のハートのキングを探す
▪「アボカドの種」からイブの短歌
インスタにあげた光のページェント「オレも近くにいる」ってマジか
ドラマならやや嘘くさき設定に再会しておりクリスマス・イブ
シャルドネの味を教えてくれたひと今も私はシャルドネが好き
「どうだった? 私のいない人生は」聞けず飲み干すミントなんちゃら
▪MOTIVE‼歌会vol.3
炊飯器保温している機械音わが家の日々をうたい続ける
motone
しっぽ振る朝夕散歩楽しくて思い出になる15歳9か月
まみまま
旦那への不満爆発日々辛く肌のお手入れ心安らか
ねこばやし
ふつつかな娘ですがと頭下げ畳にできたシミを見ている
夏はまだか
きみの中の花瓶は修復できるからなずなすずしろを摘みにいこうか
山梨の歌人三枝浩樹
夕蛍(ゆうぼたる)情緒に沿いて生み出さん
田植時人それぞれの価値あらん
ひとっとび夏の終わりのことりっぷ
夏の月老後のためを生きる日々
■ワルイコあつまれ(90)
稚児俳句 辻内京子 髙柳克弘 松尾葉翔
じわる じわじわ笑えてくること
切れ字(や・かな・けり)が使えない
正座の脚しびれてじわる夏座敷 辻内京子
(夏座敷 夏の季語 すだれなどを使った夏仕様の和室
上五を字余りにした 堅苦しく居心地が悪い様子を字余りで表現)
ほっぺたの田植えの泥にみなじわる 髙柳克弘
(田植え 夏の季語
広い景色と小さなものを対比してダイナミックな情景に
からだの一部分を詠んでリアルな子どもたちの様子を表現)
ウシガエルフェス開催中かなじわる 松尾葉翔
(うしがえる 夏の季語
蛙合戦 春の季語 蛙が繁殖期に池や沼でひしめき合っている様子)
添削ポイント
リズムが気になる
句またがり 1つの言葉が「五・七・五」の切めをまたぐこと
句またがりが2つ 中七と下五
添削
ウシガエルフェス町を響動(とよ)もす声じわる 辻内京子
(どこかで「五・七・五」を保つと句がまとまる)
ウシガエルこれはフェスかとじわる夜 髙柳克弘
(造語って実はむつしくて発想は生かしたいと思った
「かな」が疑問か切れ字かわかりづらい)
■プレバト纏め 2024年6月6日
初デートで一句
永世名人締めのお手本
吊橋の下は万緑初デート 梅沢富美男
添削(初デートという場所として季語「万緑」は意外性がある
取り合わせは良い 全体読んだ時に違和感が残る
それは「下」初デートの思い 吊橋の様子と響き合う)
初デートの吊橋万緑に揺れる
俳句史に残る句集作り あと24句
初デート上出来茄子上手く炊けた 藤本敏史
(初デートらしい光景から思い浮かべる季語を探しに行く
なので似たような俳句になっていく 似た発想から飛び抜けている
茄子が面白い 非常に意外性がある
茄子という季語が出てきた瞬間
熟年初老に近いようなおっちゃんの初デート
しみじみとエエ句やないか おっちゃん幸せになってくれよ
言葉を変えて整えているのも上手い)
次回のお題「雨の行列」
■短歌 俵万智女史のXより
▪キングと天使 木下龍也×俵万智
夜、埋めてほしいのはぼくなのになぜ穴を女を探すんだろう
プロフィール 穴埋め問題解くように記入してゆくこれが私か
いいねした数は心が何片に割れているのか教えてくれる
すきま風吹いていること知られたくないから心の窓は全開
ぼくは王 就寝前の軽やかな右スワイプは「近う寄れ」の意
トランプのようにめくってゆく画面 私のハートのキングを探す
▪「アボカドの種」からイブの短歌
インスタにあげた光のページェント「オレも近くにいる」ってマジか
ドラマならやや嘘くさき設定に再会しておりクリスマス・イブ
シャルドネの味を教えてくれたひと今も私はシャルドネが好き
「どうだった? 私のいない人生は」聞けず飲み干すミントなんちゃら
▪MOTIVE‼歌会vol.3
炊飯器保温している機械音わが家の日々をうたい続ける
motone
しっぽ振る朝夕散歩楽しくて思い出になる15歳9か月
まみまま
旦那への不満爆発日々辛く肌のお手入れ心安らか
ねこばやし
ふつつかな娘ですがと頭下げ畳にできたシミを見ている
夏はまだか
きみの中の花瓶は修復できるからなずなすずしろを摘みにいこうか
山梨の歌人三枝浩樹
2024年6月6日木曜日
理想的本箱「眠れない時に読む本」
深き海霧(じり)置いてけぼりにされた日よ
夏の月時間を盗み平然と
待ったなし溶けゆく時間雲の峰
満たされる時間と共にソーダ水
時の源くちなしの花の香(かぐわ)しき
■理想的本箱 君だけのブックガイド「眠れない時に読む本」
▪トムは真夜中の庭で フィリパ・ピアス作 高杉一郎訳
眠れない夜がつないだ少年と少女の冒険譚(たん)
子どもを大人にするだけではなく
大人の中にある子どもの無垢を再生させる
▪泣きたい夜の甘味処 著者 中山有香里
痛みと対峙してきた著者が描く生きるための甘いもの漫画
今日は散々な日だった…
少しでも優しくされたら
泣いてしまいそうな日だ
ん❓こんな遅い時間に店…❓
あの 開いてますか❓
えっなにこの店!❓
変な店に入ってしまった
内は一品しかないですよ
ドーナッツです
こんな夜明けにドーナッツ…
久しぶりに見た この懐かしい感じのやつ
ってクリームつけて
あ… おいしい あったかい…
油断すると 泣いてしまいそうだ…
やっと今日初めて仕事以外のことを考えられた
ハァ~ よしっ
お花見…❓
あっ いらっしゃい!
あ はい…
どうぞ
わっ お花見だ…
うちは一品しかないんですが 今日はこれ…
いちご大福です
今日で私は 仕事を辞めた
一生懸命勉強して役に立ちたくて続けてきたけど
急に頑張れなくなった…
最後は小さな花束をもらって
自由にはなったけどこれからのことを考えると不安でー
もうどこへ行っても私は頑張れないかもしれない…
桜きれいでしょう
はい…
でも意外と繊細で 急に咲かなくなることもあるんですよ
追肥したり環境をいろいろ整えてあげたり
大切にしてあげたら時間はかかるけど
またちゃんと開花するんですよ
まずは自分を大切にできたなら
自分のために何か始めようかな
花はまた咲くのだろうか
本日 あなただけのものあります…❓
いらっしゃいませ
あら可愛い子どもちゃんも
すみません…子供の夜泣きがおさまらなくて…
少し外の空気を吸いに出たんです うちすぐそこで…
じゃあ さっそく一品出しますね
今日は“あなたの好きなものだけでパフェ”を作ります
あなただけのものって これか…!
えっと… では大学芋とこれと… これ!
さつまいもとミルクアイスのパフェです
私…お芋が好きで…こんなパフェがあったらって思っていて
おいしい…すっごく…久しぶりに
自分のために何かを選んだ気がする
この子が生まれたとき良い母になろうと思った
でも現実は危険から守るために怒って怒って怒って
夫は仕事が忙しい時期だったから
私が頑張らないと良い母親でいて
栄養バランスも考えて ニコニコしなきゃって思ってた
でもニコニコなんてできなくて…
この子に何かあったらと思うと怖くて怖くて仕方なかった
この子と二人きりの家の中は息が詰まりそうで苦しくなってー
今夜外に出たんだ
素敵なパフェですね おいしそう
でも 自分の好きなものばかり盛って…お恥ずかしい
全然いいんですよ
パフェの由来は“パルフェ”つまり“パーフェクト”(完全な)
フランス語のパルフェ Parfait=英語のパーフェクトPerfect
どんな選択をしたっていいんですよ
確かにパティシエが作ったようなパフェも素敵ですが
どんな形でもパフェ…“パーフェクト”です
「完璧」ってなんでしょうね
自分が納得できたらそれでOKなんじゃないですか❓
いつか…ポロ…ポロ…そんなふうに自分を肯定できたら…
あ゛~…これから家も片付けなくっちゃ…あ゛~
洗いものして洗濯もの取り込んで夕飯作って頑張らないと…
…だけど確かに「良い母」とか「こうあるべき」とか
誰が決めたんだろう どんな選択をしても
「それでいいんだよ」と自分で肯定してあげられたら…
誰かの決めたパーフェクトと
自分のパーフェクト一緒じゃなくていいのかもしれない
お…!❓なんか匂う!!すっきりした顔しとる 帰ろ帰ろー
甘みを食べることは正当防衛!
▪果てしなき流れの果てに 著者 小松左京
あらゆるジャンルを編み上げ 宇宙の深淵に挑んだ一大叙事詩
わかってるよ 任務❓ どんな具体的な手がかりがある?
終焉と言うのは認識にもあるのかね❓
Year22XX 超科学研究所
待ってくれ おれに命令するあんたは誰だ?
俺は誰だ❓禁止区域って何だ❓
あんたがおれのボスなら大急ぎで教えてくれ
おれは誰だ❓何をすればいい❓
超科学研究所 資料衛星内倉庫
認識の達成 認識に終焉はないあるのはかえって時間のほうだ
進化や歴史に未来から干渉する者たちと
それを阻止しようとする者たちの攻防
夏の月時間を盗み平然と
待ったなし溶けゆく時間雲の峰
満たされる時間と共にソーダ水
時の源くちなしの花の香(かぐわ)しき
■理想的本箱 君だけのブックガイド「眠れない時に読む本」
▪トムは真夜中の庭で フィリパ・ピアス作 高杉一郎訳
眠れない夜がつないだ少年と少女の冒険譚(たん)
子どもを大人にするだけではなく
大人の中にある子どもの無垢を再生させる
▪泣きたい夜の甘味処 著者 中山有香里
痛みと対峙してきた著者が描く生きるための甘いもの漫画
今日は散々な日だった…
少しでも優しくされたら
泣いてしまいそうな日だ
ん❓こんな遅い時間に店…❓
あの 開いてますか❓
えっなにこの店!❓
変な店に入ってしまった
内は一品しかないですよ
ドーナッツです
こんな夜明けにドーナッツ…
久しぶりに見た この懐かしい感じのやつ
ってクリームつけて
あ… おいしい あったかい…
油断すると 泣いてしまいそうだ…
やっと今日初めて仕事以外のことを考えられた
ハァ~ よしっ
お花見…❓
あっ いらっしゃい!
あ はい…
どうぞ
わっ お花見だ…
うちは一品しかないんですが 今日はこれ…
いちご大福です
今日で私は 仕事を辞めた
一生懸命勉強して役に立ちたくて続けてきたけど
急に頑張れなくなった…
最後は小さな花束をもらって
自由にはなったけどこれからのことを考えると不安でー
もうどこへ行っても私は頑張れないかもしれない…
桜きれいでしょう
はい…
でも意外と繊細で 急に咲かなくなることもあるんですよ
追肥したり環境をいろいろ整えてあげたり
大切にしてあげたら時間はかかるけど
またちゃんと開花するんですよ
まずは自分を大切にできたなら
自分のために何か始めようかな
花はまた咲くのだろうか
本日 あなただけのものあります…❓
いらっしゃいませ
あら可愛い子どもちゃんも
すみません…子供の夜泣きがおさまらなくて…
少し外の空気を吸いに出たんです うちすぐそこで…
じゃあ さっそく一品出しますね
今日は“あなたの好きなものだけでパフェ”を作ります
あなただけのものって これか…!
えっと… では大学芋とこれと… これ!
さつまいもとミルクアイスのパフェです
私…お芋が好きで…こんなパフェがあったらって思っていて
おいしい…すっごく…久しぶりに
自分のために何かを選んだ気がする
この子が生まれたとき良い母になろうと思った
でも現実は危険から守るために怒って怒って怒って
夫は仕事が忙しい時期だったから
私が頑張らないと良い母親でいて
栄養バランスも考えて ニコニコしなきゃって思ってた
でもニコニコなんてできなくて…
この子に何かあったらと思うと怖くて怖くて仕方なかった
この子と二人きりの家の中は息が詰まりそうで苦しくなってー
今夜外に出たんだ
素敵なパフェですね おいしそう
でも 自分の好きなものばかり盛って…お恥ずかしい
全然いいんですよ
パフェの由来は“パルフェ”つまり“パーフェクト”(完全な)
フランス語のパルフェ Parfait=英語のパーフェクトPerfect
どんな選択をしたっていいんですよ
確かにパティシエが作ったようなパフェも素敵ですが
どんな形でもパフェ…“パーフェクト”です
「完璧」ってなんでしょうね
自分が納得できたらそれでOKなんじゃないですか❓
いつか…ポロ…ポロ…そんなふうに自分を肯定できたら…
あ゛~…これから家も片付けなくっちゃ…あ゛~
洗いものして洗濯もの取り込んで夕飯作って頑張らないと…
…だけど確かに「良い母」とか「こうあるべき」とか
誰が決めたんだろう どんな選択をしても
「それでいいんだよ」と自分で肯定してあげられたら…
誰かの決めたパーフェクトと
自分のパーフェクト一緒じゃなくていいのかもしれない
お…!❓なんか匂う!!すっきりした顔しとる 帰ろ帰ろー
甘みを食べることは正当防衛!
▪果てしなき流れの果てに 著者 小松左京
あらゆるジャンルを編み上げ 宇宙の深淵に挑んだ一大叙事詩
わかってるよ 任務❓ どんな具体的な手がかりがある?
終焉と言うのは認識にもあるのかね❓
Year22XX 超科学研究所
待ってくれ おれに命令するあんたは誰だ?
俺は誰だ❓禁止区域って何だ❓
あんたがおれのボスなら大急ぎで教えてくれ
おれは誰だ❓何をすればいい❓
超科学研究所 資料衛星内倉庫
認識の達成 認識に終焉はないあるのはかえって時間のほうだ
進化や歴史に未来から干渉する者たちと
それを阻止しようとする者たちの攻防
2024年6月5日水曜日
あの本、読みました?東野圭吾、森博嗣、伊与原新…理系作家の魅力
福永義昭氏へ
暑き日や座り続けた十時間
汗みずくひとつの音に愛込めて
皐月波自信と不安抱きつつ
揺るがない信念持ちて夏の月
星涼し聞かせたかったカンパネラ
■あの本、読みました?
~東野圭吾、森博嗣、伊与原新…理系作家の魅力
鈴木保奈美 角谷暁子
星新一 伊与原新 池澤夏樹 森博嗣 森見登美彦 東野圭吾
共通点は理系作家
AIをはじめテクノロジーの急速な進化
教育現場ではScience(科学)Technology(技術)Engineering(工学・ものづくり)
Arts(芸術・リベラルアーツ)Mathematics(数学)
STEAM 理系人材が注目
医学部を除く大学で理系学部卒業の「理系作家」その魅力に迫る
作家 伊与原新 神戸大学理学部地球科学科出身
本の執筆の裏側を語る
「月って実は一年に三・八センチずつ地球から離れていってるんですよ」
「あれ、これどういうこと?」って言う風に読んでる人が続きを読んでくれる
田内学 東京大学工学部 情報工学出身
秋月透馬 上智大学工学部 東野圭吾氏担当
河北壮平 大阪大学工学部 応用理工学科卒業 理系編集者
▪数学者VS物理学者 知的格闘技の面白さ
容疑者Xの献身 東野圭吾著 文春文庫
草薙の頭の中には、今日の昼間に湯川と交わした会話の内容が蘇っていた。
あの物理学者はもし事件に石神が関わっているなら殺害が
計画的なものだと思えない、という主張を曲げようとしなかった。
「もし彼が関わったのだとしたら、殺人そのものには
手を出せない状況だった。ということしか考えられない。
つまり彼が事態を把握した時点で、すでに殺人は
完了していたわけだ。そこから彼にできたことは何か。
事件の隠ぺいが可能なら、それをしただろう。不可能なら、
捜査陣の追及を逃れるためのあらゆる方策を練る。
花岡靖子たちにも指示を与える。刑事の質問にどのように答え、
どのタイミングでどんな証拠を出すか、などね」
要するに、これまで花岡靖子や美里が草薙たちに行ってきた
供述のすべては、彼女たちの意思によるものではなく、
石神が後ろで糸を引くことによって成されたものだ、
というのが湯川の推理だった。
感情的に破綻しない湯川のはずが…
「入ってもらってくれ」湯川は小声で答えた。
間もなく入ってきたのは三人の男だった。
(中略)
あの日に集まった友永の教え子たちだ。君たち、と友永はつぶやいた。
「僕が呼んだんです」湯川はいった。
「おそらく僕は証言台に立つことになるでしょう。
僕は今の話を法廷でするつもりです。そして、情状酌量を訴えます。
先生が何を願っていようと、
一日でも早く刑務所から出られるように努力します。」
(中略)
友永は右手を目に当てた。身体が揺れている。嗚咽が漏れた。
参ったな、と彼は口元を緩めた。
「この結末は予想外だ。やられた。いやあ、参った。」
(中略)
「君は変わったな。昔は科学にしか興味がなかったはずなのに、
一体いつの間に、人の心がわかるようになった」湯川は微笑した。
「人の心も科学です。途轍もなく奥深い」
友永は教え子をずっとみつめ、」頷いた。
「その通りだな」そして白髪頭を下げた。「ありがとう」
(トリック×ロジック)を人間ドラマを乗数で✖
東野ミステリーの面白さ
理系ミステリーの魅力 知的好奇心を刺激してくれる
▪森博嗣(作家・工学博士)
名古屋大学工学部建築学科出身 工学部の助教授(当時)を務める傍ら
「すべてがFになる」でメフィスト賞を受賞しデビュー。
以後人気作品を続々発表。
すべてがFになる 森博嗣著 講談社文庫
きみのお金は誰のため 田内学著 東洋経済新報社
あれは、昨晩のことだった。ベッドの上で、
優斗は数学者が殺される推理小説を読んでいた。
(別ページ)
店内はそんなに広くないが、大好きな推理小説コーナーは充実している。
逆に言えば、その品揃えが優斗を推理小説にハマらせたとも言える。
棚を指でなぞりながら気になった本を取り出しては、試し読みを繰り返した。
作家・田内学が語る 森博嗣の魅力は?
文体の美しさは理系の論文からきている!?
極限まで無駄がそぎ落とされている
「そもそも、生きていることの方が異常なのです」四季は微笑んだ。
「死んでいることが本来で、生きているというのは、そうですね…、
機械が故障しているような状態。生命なんてバグですものね」
「バグ?コンピューターのバグですか?」
犀川は一瞬にして彼女の思想を理解した。
(中略)
「そう、たとえばね、先生。眠りたいって思うでしょう?
眠ることの心地良さって不思議です。なぜ、私たちの意識は、
意識を失うことを望むのでしょう?意識がなくなることが、
正常だからではないですか?眠っているのを
起こさせるのって不快ではありませんか?
覚醒は本能的に不快なものです。誕生だって同じこと…。
生まれてくる赤ちゃんって、だから、
みんな泣いているんですね。生まれたくなかたって…」
作家・田内学 理系作家のオススメ本は?
作家 星新一 東京大学農学部農芸化学科出身
声の網 星新一著 角川文庫
50年後の世界を的確に予言している
秋月透馬 理系作家のオススメ本は?
あの光 香月夕花著 集英社
香月夕花は京都大学工学部卒業
愛を語る理系小説
「ねえ唯さん?あなたは愛に飢えることで、その価値を知ったでしょう?」
奈津子はこれ以上ないくらい優しく、
大切なことを教え諭す調子で、その女性に話しかけた。
「そこらの凡庸な子供は愛情をただでもらうから、大人になっても、
ボーッと待ってればそのうち誰かがくれるだろうって思い込む。
でもそうじゃない。愛情ってね、ただではもらえないのよ。
誰かに愛してもらいたければ、自分の中に、価値を
作り出すことが必要だわ。あなたは生まれながらにして、
その訓練に身を投じて、立派に成し遂げたの」
唯ちゃんはすっかり心を掴まれた様子で聞いている。
「だからこそそんなに魅力的なのよ。寂しさを隠し持った人間にはね、
他人を強烈に惹きつける力が備わるの。あなたの表情を見れば分かるわ。
それは素晴らしいことじゃないかしら?」
奈津子はとびきり華やかな笑顔で話を諦めた。酔っぱらって騒がしかった
お姉さんたちが黙り込み、じっと感じ入っている。
河北壮平 理系作家のオススメ本は?
眼球堂の殺人~The Book~ 周木律著 講談社文庫
周木律は国立大学 建築学部卒業
物理的ギミックのトリックが満載
▪理系作家 伊与原新が語る理系小説の書き方
神戸大学理学部卒
東京大学大学院で地球惑星科学を専攻博士課程を修了
研究者時代にトリックを思いつき作家に
お台場アイランドベイビー 伊与原新著 角川文庫
科学知識の表現の仕方
「子育てって、月に似てると思うんですよ。親が地球で、子どもが月」
「ああ」「知ってました?実際、
月は地球から生まれたようなもんなんですよ。
原始地球に火星サイズの小天体が衝突しましてね、
飛び散った破片が集まってできたのが、月」
(中略)
「幼いころは、無邪気にくるくる回って、いろんな顔を見せてくれる。
うれしい顔。悲しい顔、すねた顔、楽しい顔、さびしい顔、全部です。
でも、時が経つにつれて、だんだん地球から離れていって、
あんまり回ってくれなくなって、とうとう地球には
見せない顔を持つようになる。」
(中略)
自分は、どうだっただろう。十やそこらのころから、
自分の思いや感情を父に伝えようとはしなくなった。
父のほうでも、息子の気持ちを知ろうとはしなかった。
こちらはただ乱暴に要求をつきつけ、
向こうは有無を言わさずはねつける。その繰り返しだ。
「まあ、それが成長するってことなんでしょうけど、
やっぱり、悲しいですよね」
「ジョン・キーツ」「美しきものはとこしえに歓びである」
という言葉で知られるイギリス・ロマン派の詩人
「リチャード・ドーキンス」
原因が分かるからこそ楽しめる理系小説
小説のテーマも探し方
「宙わたる教室」伊与原新著 文藝春秋
「八月の銀の雪」伊与原新著 新潮社刊
「内核は、地球の中にある、もう、一つの星です。
(中略)
この星の表面、びっしり全部、銀色の森です。
高さ百メートルもある、鉄の木の森。
正体は、樹枝状に伸びた鉄の結晶です。
そして、その森には、銀色の雪が降っているかもしれない。
これも、鉄の結晶の小さなかけらです。
外核の底で、液体の鉄が凍って生まれる。
それが、内核の表面に落ちていきます。
ゆっくり、静かに、雪みたいに」
中学入試の国語問題に使われている
理系作家伊与原信がオススメする理系小説
プロジェクト・ヘイル・メアリー アンディ・ウィアー著 翻訳/早川書房
理系小説以外に楽しめる本
日本に現れたオーロラの謎 片岡龍峰著 DOJIN選書
暑き日や座り続けた十時間
汗みずくひとつの音に愛込めて
皐月波自信と不安抱きつつ
揺るがない信念持ちて夏の月
星涼し聞かせたかったカンパネラ
■あの本、読みました?
~東野圭吾、森博嗣、伊与原新…理系作家の魅力
鈴木保奈美 角谷暁子
星新一 伊与原新 池澤夏樹 森博嗣 森見登美彦 東野圭吾
共通点は理系作家
AIをはじめテクノロジーの急速な進化
教育現場ではScience(科学)Technology(技術)Engineering(工学・ものづくり)
Arts(芸術・リベラルアーツ)Mathematics(数学)
STEAM 理系人材が注目
医学部を除く大学で理系学部卒業の「理系作家」その魅力に迫る
作家 伊与原新 神戸大学理学部地球科学科出身
本の執筆の裏側を語る
「月って実は一年に三・八センチずつ地球から離れていってるんですよ」
「あれ、これどういうこと?」って言う風に読んでる人が続きを読んでくれる
田内学 東京大学工学部 情報工学出身
秋月透馬 上智大学工学部 東野圭吾氏担当
河北壮平 大阪大学工学部 応用理工学科卒業 理系編集者
▪数学者VS物理学者 知的格闘技の面白さ
容疑者Xの献身 東野圭吾著 文春文庫
草薙の頭の中には、今日の昼間に湯川と交わした会話の内容が蘇っていた。
あの物理学者はもし事件に石神が関わっているなら殺害が
計画的なものだと思えない、という主張を曲げようとしなかった。
「もし彼が関わったのだとしたら、殺人そのものには
手を出せない状況だった。ということしか考えられない。
つまり彼が事態を把握した時点で、すでに殺人は
完了していたわけだ。そこから彼にできたことは何か。
事件の隠ぺいが可能なら、それをしただろう。不可能なら、
捜査陣の追及を逃れるためのあらゆる方策を練る。
花岡靖子たちにも指示を与える。刑事の質問にどのように答え、
どのタイミングでどんな証拠を出すか、などね」
要するに、これまで花岡靖子や美里が草薙たちに行ってきた
供述のすべては、彼女たちの意思によるものではなく、
石神が後ろで糸を引くことによって成されたものだ、
というのが湯川の推理だった。
感情的に破綻しない湯川のはずが…
「入ってもらってくれ」湯川は小声で答えた。
間もなく入ってきたのは三人の男だった。
(中略)
あの日に集まった友永の教え子たちだ。君たち、と友永はつぶやいた。
「僕が呼んだんです」湯川はいった。
「おそらく僕は証言台に立つことになるでしょう。
僕は今の話を法廷でするつもりです。そして、情状酌量を訴えます。
先生が何を願っていようと、
一日でも早く刑務所から出られるように努力します。」
(中略)
友永は右手を目に当てた。身体が揺れている。嗚咽が漏れた。
参ったな、と彼は口元を緩めた。
「この結末は予想外だ。やられた。いやあ、参った。」
(中略)
「君は変わったな。昔は科学にしか興味がなかったはずなのに、
一体いつの間に、人の心がわかるようになった」湯川は微笑した。
「人の心も科学です。途轍もなく奥深い」
友永は教え子をずっとみつめ、」頷いた。
「その通りだな」そして白髪頭を下げた。「ありがとう」
(トリック×ロジック)を人間ドラマを乗数で✖
東野ミステリーの面白さ
理系ミステリーの魅力 知的好奇心を刺激してくれる
▪森博嗣(作家・工学博士)
名古屋大学工学部建築学科出身 工学部の助教授(当時)を務める傍ら
「すべてがFになる」でメフィスト賞を受賞しデビュー。
以後人気作品を続々発表。
すべてがFになる 森博嗣著 講談社文庫
きみのお金は誰のため 田内学著 東洋経済新報社
あれは、昨晩のことだった。ベッドの上で、
優斗は数学者が殺される推理小説を読んでいた。
(別ページ)
店内はそんなに広くないが、大好きな推理小説コーナーは充実している。
逆に言えば、その品揃えが優斗を推理小説にハマらせたとも言える。
棚を指でなぞりながら気になった本を取り出しては、試し読みを繰り返した。
作家・田内学が語る 森博嗣の魅力は?
文体の美しさは理系の論文からきている!?
極限まで無駄がそぎ落とされている
「そもそも、生きていることの方が異常なのです」四季は微笑んだ。
「死んでいることが本来で、生きているというのは、そうですね…、
機械が故障しているような状態。生命なんてバグですものね」
「バグ?コンピューターのバグですか?」
犀川は一瞬にして彼女の思想を理解した。
(中略)
「そう、たとえばね、先生。眠りたいって思うでしょう?
眠ることの心地良さって不思議です。なぜ、私たちの意識は、
意識を失うことを望むのでしょう?意識がなくなることが、
正常だからではないですか?眠っているのを
起こさせるのって不快ではありませんか?
覚醒は本能的に不快なものです。誕生だって同じこと…。
生まれてくる赤ちゃんって、だから、
みんな泣いているんですね。生まれたくなかたって…」
作家・田内学 理系作家のオススメ本は?
作家 星新一 東京大学農学部農芸化学科出身
声の網 星新一著 角川文庫
50年後の世界を的確に予言している
秋月透馬 理系作家のオススメ本は?
あの光 香月夕花著 集英社
香月夕花は京都大学工学部卒業
愛を語る理系小説
「ねえ唯さん?あなたは愛に飢えることで、その価値を知ったでしょう?」
奈津子はこれ以上ないくらい優しく、
大切なことを教え諭す調子で、その女性に話しかけた。
「そこらの凡庸な子供は愛情をただでもらうから、大人になっても、
ボーッと待ってればそのうち誰かがくれるだろうって思い込む。
でもそうじゃない。愛情ってね、ただではもらえないのよ。
誰かに愛してもらいたければ、自分の中に、価値を
作り出すことが必要だわ。あなたは生まれながらにして、
その訓練に身を投じて、立派に成し遂げたの」
唯ちゃんはすっかり心を掴まれた様子で聞いている。
「だからこそそんなに魅力的なのよ。寂しさを隠し持った人間にはね、
他人を強烈に惹きつける力が備わるの。あなたの表情を見れば分かるわ。
それは素晴らしいことじゃないかしら?」
奈津子はとびきり華やかな笑顔で話を諦めた。酔っぱらって騒がしかった
お姉さんたちが黙り込み、じっと感じ入っている。
河北壮平 理系作家のオススメ本は?
眼球堂の殺人~The Book~ 周木律著 講談社文庫
周木律は国立大学 建築学部卒業
物理的ギミックのトリックが満載
▪理系作家 伊与原新が語る理系小説の書き方
神戸大学理学部卒
東京大学大学院で地球惑星科学を専攻博士課程を修了
研究者時代にトリックを思いつき作家に
お台場アイランドベイビー 伊与原新著 角川文庫
科学知識の表現の仕方
「子育てって、月に似てると思うんですよ。親が地球で、子どもが月」
「ああ」「知ってました?実際、
月は地球から生まれたようなもんなんですよ。
原始地球に火星サイズの小天体が衝突しましてね、
飛び散った破片が集まってできたのが、月」
(中略)
「幼いころは、無邪気にくるくる回って、いろんな顔を見せてくれる。
うれしい顔。悲しい顔、すねた顔、楽しい顔、さびしい顔、全部です。
でも、時が経つにつれて、だんだん地球から離れていって、
あんまり回ってくれなくなって、とうとう地球には
見せない顔を持つようになる。」
(中略)
自分は、どうだっただろう。十やそこらのころから、
自分の思いや感情を父に伝えようとはしなくなった。
父のほうでも、息子の気持ちを知ろうとはしなかった。
こちらはただ乱暴に要求をつきつけ、
向こうは有無を言わさずはねつける。その繰り返しだ。
「まあ、それが成長するってことなんでしょうけど、
やっぱり、悲しいですよね」
「ジョン・キーツ」「美しきものはとこしえに歓びである」
という言葉で知られるイギリス・ロマン派の詩人
「リチャード・ドーキンス」
原因が分かるからこそ楽しめる理系小説
小説のテーマも探し方
「宙わたる教室」伊与原新著 文藝春秋
「八月の銀の雪」伊与原新著 新潮社刊
「内核は、地球の中にある、もう、一つの星です。
(中略)
この星の表面、びっしり全部、銀色の森です。
高さ百メートルもある、鉄の木の森。
正体は、樹枝状に伸びた鉄の結晶です。
そして、その森には、銀色の雪が降っているかもしれない。
これも、鉄の結晶の小さなかけらです。
外核の底で、液体の鉄が凍って生まれる。
それが、内核の表面に落ちていきます。
ゆっくり、静かに、雪みたいに」
中学入試の国語問題に使われている
理系作家伊与原信がオススメする理系小説
プロジェクト・ヘイル・メアリー アンディ・ウィアー著 翻訳/早川書房
理系小説以外に楽しめる本
日本に現れたオーロラの謎 片岡龍峰著 DOJIN選書
2024年6月4日火曜日
よみ旅!In 兵庫(前編)&「ウェストン祭」&ウォルター・ウェストンの言葉
見能林ブロンズ鴇の初飛来
蒼き空散る花追わず淡々と
風薫る神の祝福受けし人
雲の峰心の可視化進行中
危うさを秘めた自信や夏の海
■夏井いつきのよみ旅!In 兵庫(前編)
With ROLAND
蓮池國男
柴田音吉(伊藤博文の155年前のコートがテーラーに置いてあった。
このテーラーは創業156年)
春愁や帰港の日まで紙テープ 山本弘子
(春愁…春の季語)
岩攀(よ)づるザイルの先の空は春 戸田祐一
高砂飯蛸(たかさごいいだこ)ぬらりくらりとごうのわく 柴生(しばふ)里香
(「業を煮やす」この業のことだと 腹の立つという意)
俳句ひとくちMEMO
高砂飯蛸は春の季語 高砂市でよく獲れることからその名がつく
羊の毛刈るっていうのも春の季語
確りミルクを飲めていたらしっぽふるふるしています
六甲牧場で2週間前に生まれた羊に命名ホワイトちゃんとましろちゃん
産声と共にたつ湯気春の日に 堀内美咲
羊に名あたへて春の日のもふもふ 夏井いつき
おばちゃんと呼んで幾年(いくとせ)しゃぼん玉 佃和喜
(しゃぼん玉…春の季語)
川の字の朝寝を包む旅の空 平林恵美
(朝寝…春の季語 春宵一刻値千金 春は朝寝をしたくなる
昼寝は夏の季語)
俳句にした光景は永遠にパッキングされる 夏井いつき
■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「ウェストン祭」
この「ウェストン祭」は「山開」の傍題になっています
「山開」自体は晩夏の季語とされているのですが
この「ウェストン祭」が実施されるのは
毎年6月第一日曜日と決まっています
季語として扱う際にはこの時期のズレにも
考慮する必要がありそうです
実際「ウェストン祭」はどういうものかといいますと
日本に赴任されていた有名な宣教師ウォルター・ウェストン氏を
讃える祭典ということだそうです
非常に登山文化の発展に寄与されたということで
二千二十四年は6月2日日曜日午前10時から長野県松本市
上高地ウェストン碑前広場にて実施されるそうです
どんな祭典なのか実際にこの目で見てみたいですね
■新美の巨人たち【初夏の旅…上高地帝国ホテル】
槍ヶ岳や穂高連峰を踏破した
英国人宣教師 ウォルター・ウェストン(1861~1940)が書いた
「日本アルプスの登山と探索」 より
谷間の空気は清く澄んで木々の葉には
ダイヤモンドのような朝露が煌めいていた
頭上高く聳える松の木の甘い香り
足の方から聞こえてくる遠い渓流のざわめき
見覚えのある高い山の頂きに
覗いている真っ青な小さな空
もうそれだけで生きていることが
嬉しくなってしまうのだ
蒼き空散る花追わず淡々と
風薫る神の祝福受けし人
雲の峰心の可視化進行中
危うさを秘めた自信や夏の海
■夏井いつきのよみ旅!In 兵庫(前編)
With ROLAND
蓮池國男
柴田音吉(伊藤博文の155年前のコートがテーラーに置いてあった。
このテーラーは創業156年)
春愁や帰港の日まで紙テープ 山本弘子
(春愁…春の季語)
岩攀(よ)づるザイルの先の空は春 戸田祐一
高砂飯蛸(たかさごいいだこ)ぬらりくらりとごうのわく 柴生(しばふ)里香
(「業を煮やす」この業のことだと 腹の立つという意)
俳句ひとくちMEMO
高砂飯蛸は春の季語 高砂市でよく獲れることからその名がつく
羊の毛刈るっていうのも春の季語
確りミルクを飲めていたらしっぽふるふるしています
六甲牧場で2週間前に生まれた羊に命名ホワイトちゃんとましろちゃん
産声と共にたつ湯気春の日に 堀内美咲
羊に名あたへて春の日のもふもふ 夏井いつき
おばちゃんと呼んで幾年(いくとせ)しゃぼん玉 佃和喜
(しゃぼん玉…春の季語)
川の字の朝寝を包む旅の空 平林恵美
(朝寝…春の季語 春宵一刻値千金 春は朝寝をしたくなる
昼寝は夏の季語)
俳句にした光景は永遠にパッキングされる 夏井いつき
■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「ウェストン祭」
この「ウェストン祭」は「山開」の傍題になっています
「山開」自体は晩夏の季語とされているのですが
この「ウェストン祭」が実施されるのは
毎年6月第一日曜日と決まっています
季語として扱う際にはこの時期のズレにも
考慮する必要がありそうです
実際「ウェストン祭」はどういうものかといいますと
日本に赴任されていた有名な宣教師ウォルター・ウェストン氏を
讃える祭典ということだそうです
非常に登山文化の発展に寄与されたということで
二千二十四年は6月2日日曜日午前10時から長野県松本市
上高地ウェストン碑前広場にて実施されるそうです
どんな祭典なのか実際にこの目で見てみたいですね
■新美の巨人たち【初夏の旅…上高地帝国ホテル】
槍ヶ岳や穂高連峰を踏破した
英国人宣教師 ウォルター・ウェストン(1861~1940)が書いた
「日本アルプスの登山と探索」 より
谷間の空気は清く澄んで木々の葉には
ダイヤモンドのような朝露が煌めいていた
頭上高く聳える松の木の甘い香り
足の方から聞こえてくる遠い渓流のざわめき
見覚えのある高い山の頂きに
覗いている真っ青な小さな空
もうそれだけで生きていることが
嬉しくなってしまうのだ
2024年6月3日月曜日
兼題「万緑」&題「橋」
ゴールなき一所懸命髪洗ふ
南吹くツクシイバラの強き香
船窪を四百歳のオンツツジ
努力なき人への政治海霧かな
傷ついた人への賛歌夏の月
■NHK俳句 兼題「万緑」
選者 堀田希何 レギュラー 庄司浩平 司会 柴田英嗣
年間テーマ「俳句の凝りをほぐします」
今週のテーマ 取り合わせ
全く異なる2つの要素が組み合わさっている俳句
①同じ情景(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の
五感いずれかで同時に感じられる)
遠火事や玻璃にひとすぢ鳥の糞(まり) 相子智恵
②物と心(五感で感じられる「物」感情や考え五感で感じられない「心」)
さま〲の事おもひ出す桜かな 松尾芭蕉
万緑やシェフの気まぐれ土団子(だんご) 柴田英嗣
視覚 触覚 同じ情景になっている
写真機のからっぽ許す万緑や 庄司浩平
添削 万緑や写真機のからっぽ許す
③二物衝撃(2つのイメージには因果関係がなく意外性があり衝撃的
2つのイメージは五感で感じる「物」だけとは限らない)
万有引力あり馬鈴薯にくぼみあり 奥坂まや
(中七に創造したものをなくすことで意外性があって衝撃)
二物衝撃にもちょうどよい近さと遠さがある
先生方のあいだでは「細い糸で繋がっている」と言うらしい
細い糸でわずかに繋がっているところが妙味
ポイント 二つのポイントが細い糸でつながる
真ん中の連想ワードを抜き取り俳句にする
靴箆(べら)の大きな力春の山 岸田奎
「二物衝撃」ツボポイント
細い糸でつながる距離感で取り合わせる
二物衝撃 名句への連想ゲーム
ミサイルが来る風呂吹に箸の穴 杉山久子
(同じ情景ではない)
①連想が細い糸でつながっている
②連想と連想の間は抜いて俳句にする
③連想を逆戻りしてはいけない
二物衝撃を制するものは取り合わせを制する
▪特選六句 兼題「万緑」
万緑とは夏 見渡す限り生命力のある圧倒的な緑それが万緑
万緑や僕はたすけてが言えない 栗皮
ホルモン剤二錠万緑が痛い 井上れんげ
万緑や立て札朽ちてなほ禁ず 葉村直
空海の糞(まり)堆(うずたか)し万緑裡(り) 寺尾当卯(あてう)
万緑になりゆくはやさはやおくり 磯村咲希(さき)
万緑や脳(なずき)おほいに水使ふ 斎藤秀雄
▪柴田の歩み
二物衝撃を学び 取り合わせを制す
庄司の歩み
衝撃的な出会いを求めて…。レッツゴー( ´∀` )!
■NHK短歌 題「橋」
選者 川野里子 レギュラー 内藤秀一郎 深尾あむ 司会 ヒコロヒー
年間テーマ「❝私❞に出会おう」
冒頭の「初句」終わりの「結句」は一番人の心に残りやすい
▪飛躍の扉
衝撃の初句 運命の結句
生きるとはこのやうにリボンつけることリボンのうれしさ焼け残る服
川野里子「ウォーターリリー」
(結句にもってくることで生きていた時のリボンの様子を印象に残す)
隣人にはじめて声をかけられる「おはよう」でなく「たすけてくれ」と
木下龍也「つむじ風、ここにあります」
誰にも言わないでー小さな声の残りおり闇をくぐりて映画館出づ
吉川宏志「雪の偶然」
(初句は全体を決める 初句以降に続く言葉の方向づけをする句
読者をぐっとつかんで方向づけた言葉の方にぐっと引き込む
―は余韻として残っている時間、時間差を表現)
▪入選六首 題「橋」
中島川の橋の眼鏡を透き行けり光となりて鶴の港へ
馬場実
鳩避(よ)けの下に集まる鳩の胸泣きたいのならそうすればいい
天音閑(あまねかん)
佐波(さば)川の橋を渡りて母に会う御襁褓(おむつき)がいまぬれていぬかと
山下睦子(むつこ)
一席 私 落ちた橋傾いたビル生きようねトランポリンの上だと思って
三島瀬波(せなみ)阪神淡路大震災の経験を詠んだ句だと即解かりました
水枯れの潜水橋を徒歩通勤いるけどいないハケンのアタシ
谷真澄
飛ぶことを諦めた俺の目の前で照らされている白鳥(はくちょう)大橋
君村類(るい)
秀一郎君のきらりポイント
泣きたいのならそうすればいい
あむちゃんのきらりポイント
白鳥大橋
▪秀一郎あむの飛躍のカギ
飛躍のカギ「初句と結句を意識する」
努力せず成し遂げられると、君は言うそんな橋なら駆け上がらない
内藤秀一郎 添削
瞬発力だけで行けると、君は言うそんな橋なら駆け上がらない
わたる時恋の願いが叶うという夢の吊り橋ミルキーブルー
深尾あむ 添削(結句は運命を反転させる)
わたる時恋の願いが叶うという夢の吊り橋ひとりでわたる
カーテンに春のひかりの添う朝(あした)はじめて見たり君の歯みがき
染野太郎「あの日の海」
結句にどんな加減のリアルさを入れるかはとても大事なこと
全体をキュッとうまい具合の力加減で引き締めてくれる言葉の選び方
うまいリアルさというものを結句で選べるといい
▪言葉のバトン
胸が背中がどこまでも向く
神戸大学短歌会 府田確(ふだたしか)
⇩
工場の煙が遠く立ち上る
神戸大学短歌会 奥村鼓太郎
大人数でひとつの歌を歌ったらどんどん溢れでてくる森林
(寝かせているみたいな気持ちあります技量が
追い付いてないこともあると思うので
思い出の情報を表わすのに十分じゃないことも
あると思うのであえて頭の中の残してます)
南吹くツクシイバラの強き香
船窪を四百歳のオンツツジ
努力なき人への政治海霧かな
傷ついた人への賛歌夏の月
■NHK俳句 兼題「万緑」
選者 堀田希何 レギュラー 庄司浩平 司会 柴田英嗣
年間テーマ「俳句の凝りをほぐします」
今週のテーマ 取り合わせ
全く異なる2つの要素が組み合わさっている俳句
①同じ情景(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の
五感いずれかで同時に感じられる)
遠火事や玻璃にひとすぢ鳥の糞(まり) 相子智恵
②物と心(五感で感じられる「物」感情や考え五感で感じられない「心」)
さま〲の事おもひ出す桜かな 松尾芭蕉
万緑やシェフの気まぐれ土団子(だんご) 柴田英嗣
視覚 触覚 同じ情景になっている
写真機のからっぽ許す万緑や 庄司浩平
添削 万緑や写真機のからっぽ許す
③二物衝撃(2つのイメージには因果関係がなく意外性があり衝撃的
2つのイメージは五感で感じる「物」だけとは限らない)
万有引力あり馬鈴薯にくぼみあり 奥坂まや
(中七に創造したものをなくすことで意外性があって衝撃)
二物衝撃にもちょうどよい近さと遠さがある
先生方のあいだでは「細い糸で繋がっている」と言うらしい
細い糸でわずかに繋がっているところが妙味
ポイント 二つのポイントが細い糸でつながる
真ん中の連想ワードを抜き取り俳句にする
靴箆(べら)の大きな力春の山 岸田奎
「二物衝撃」ツボポイント
細い糸でつながる距離感で取り合わせる
二物衝撃 名句への連想ゲーム
ミサイルが来る風呂吹に箸の穴 杉山久子
(同じ情景ではない)
①連想が細い糸でつながっている
②連想と連想の間は抜いて俳句にする
③連想を逆戻りしてはいけない
二物衝撃を制するものは取り合わせを制する
▪特選六句 兼題「万緑」
万緑とは夏 見渡す限り生命力のある圧倒的な緑それが万緑
万緑や僕はたすけてが言えない 栗皮
ホルモン剤二錠万緑が痛い 井上れんげ
万緑や立て札朽ちてなほ禁ず 葉村直
空海の糞(まり)堆(うずたか)し万緑裡(り) 寺尾当卯(あてう)
万緑になりゆくはやさはやおくり 磯村咲希(さき)
万緑や脳(なずき)おほいに水使ふ 斎藤秀雄
▪柴田の歩み
二物衝撃を学び 取り合わせを制す
庄司の歩み
衝撃的な出会いを求めて…。レッツゴー( ´∀` )!
■NHK短歌 題「橋」
選者 川野里子 レギュラー 内藤秀一郎 深尾あむ 司会 ヒコロヒー
年間テーマ「❝私❞に出会おう」
冒頭の「初句」終わりの「結句」は一番人の心に残りやすい
▪飛躍の扉
衝撃の初句 運命の結句
生きるとはこのやうにリボンつけることリボンのうれしさ焼け残る服
川野里子「ウォーターリリー」
(結句にもってくることで生きていた時のリボンの様子を印象に残す)
隣人にはじめて声をかけられる「おはよう」でなく「たすけてくれ」と
木下龍也「つむじ風、ここにあります」
誰にも言わないでー小さな声の残りおり闇をくぐりて映画館出づ
吉川宏志「雪の偶然」
(初句は全体を決める 初句以降に続く言葉の方向づけをする句
読者をぐっとつかんで方向づけた言葉の方にぐっと引き込む
―は余韻として残っている時間、時間差を表現)
▪入選六首 題「橋」
中島川の橋の眼鏡を透き行けり光となりて鶴の港へ
馬場実
鳩避(よ)けの下に集まる鳩の胸泣きたいのならそうすればいい
天音閑(あまねかん)
佐波(さば)川の橋を渡りて母に会う御襁褓(おむつき)がいまぬれていぬかと
山下睦子(むつこ)
一席 私 落ちた橋傾いたビル生きようねトランポリンの上だと思って
三島瀬波(せなみ)阪神淡路大震災の経験を詠んだ句だと即解かりました
水枯れの潜水橋を徒歩通勤いるけどいないハケンのアタシ
谷真澄
飛ぶことを諦めた俺の目の前で照らされている白鳥(はくちょう)大橋
君村類(るい)
秀一郎君のきらりポイント
泣きたいのならそうすればいい
あむちゃんのきらりポイント
白鳥大橋
▪秀一郎あむの飛躍のカギ
飛躍のカギ「初句と結句を意識する」
努力せず成し遂げられると、君は言うそんな橋なら駆け上がらない
内藤秀一郎 添削
瞬発力だけで行けると、君は言うそんな橋なら駆け上がらない
わたる時恋の願いが叶うという夢の吊り橋ミルキーブルー
深尾あむ 添削(結句は運命を反転させる)
わたる時恋の願いが叶うという夢の吊り橋ひとりでわたる
カーテンに春のひかりの添う朝(あした)はじめて見たり君の歯みがき
染野太郎「あの日の海」
結句にどんな加減のリアルさを入れるかはとても大事なこと
全体をキュッとうまい具合の力加減で引き締めてくれる言葉の選び方
うまいリアルさというものを結句で選べるといい
▪言葉のバトン
胸が背中がどこまでも向く
神戸大学短歌会 府田確(ふだたしか)
⇩
工場の煙が遠く立ち上る
神戸大学短歌会 奥村鼓太郎
大人数でひとつの歌を歌ったらどんどん溢れでてくる森林
(寝かせているみたいな気持ちあります技量が
追い付いてないこともあると思うので
思い出の情報を表わすのに十分じゃないことも
あると思うのであえて頭の中の残してます)
2024年6月2日日曜日
100分de名著 トーマス・マン❝魔の山❞(4)生への奉仕へ
夏の陽や腹がぎゅるぎゅる朝食後
苦潮や自己防衛を旨として
暑き日やゴム入れ替えて深呼吸
待っていました和田島のバッチ網(漁)
夏の海しらす陽光跳ね返す
■100分de名著 トーマス・マン❝魔の山❞(4)生への奉仕へ
小黒康正 九州大学教授
スイスの結核診療所「ベルクホーフ」の人々
ハンス・カストルプ ヨーアヒム・ツィームセン ベーレンス顧問官
レオ・ナフタ セテムブリーニ クラウディア・ショーシャ婦人
「御一同―結構。万事結構。私の言うべきことは、
何はさておき、とにもかくにも、私たちが義務を負っているー
犯すべからざる要求が私たちに向けられているということだー」
結局、彼は何も言ってなかったのだ。
しかし、彼の頭部は問答不要なほど堂々たるもので、
表情と身ぶりは、断乎とし、強烈で、力強いものであったから、
聞く耳を立てていたハンス・カストルプも含めて誰もが、
極めて重大なことを聞かされたと思ったし、まとまりのある
実質的な話がないのに気がついていたところで、
特に残念だと思わなかったのである。
「ぼくにはとってもよく分かるんだよ、君が女として
あの人をずいぶんと愛している気持ちが」
「あの人がわたしを愛しているの」と彼女は言った。
「その愛情にわたしは誇りを持ち、感謝をし、
彼に心服しているの。この気持ち、分かるでしょ」
圧倒的な生を表現する ペーペル・コルン
ショーシャ婦人のその後 あっさりベルクホーフを去る
部屋には以前よりも人数が一人多くなっていた。
それは、死んだ頃のように頬が暗く落ちくぼみ、
戦争ひげをはやしたヨーアヒムで、そのひげの中では唇が
実にふっくらと誇らしげに反り返っていたのだ。
まなざしは静かに優しく見守るように
ハンス・カストルプに、彼ひとりだけに注がれていた。
のどが絞めつけられ、四度五度と嗚咽が込み上げて、
心の奥底からひきつる。
「すまない」と彼は息をのんでつぶやいた。
それから眼に涙があふれ、もう何も見えなくなってしまったのだ。
「鉄かぶと」ヨーアヒムの被っていたもの 戦中戦後が同時に進行
ハンスからヨーアヒムへの謝罪
作者トーマス・マンからドイツの青年たちへの謝罪
これはある種のレクイエム小説 亡くなった人を思い出す
第6章「雪」
ハンスはある夢をみて「生への奉仕」に
目覚めるがその夜には忘れてしまう
月日が経つにつれて、ベルクホーフの中で悪霊のようなものが
徘徊し始めていた。どんな雰囲気になっていたのか。
―喧嘩の蔓延だ。
セテムブリーニとナフタは感情的になる。決闘となった。
「きさまは空に向けて撃った」
「どこに撃とうが私の勝手です」
「もう一度撃つんだ!」
「そのつもりは毛頭ない。あなたの番だ」
セテムブリーニ氏は、頭をもたげて天を臨みながら、
相手に対して斜に構え、真正面に向いていなかったが、
それは感動的な光景だった。
「卑怯者!」とナフタは叫んだが、それはこのように
人間臭い叫び声を上げることで撃たれるよりも
撃つ方がもっと勇気を必要とするのを認めてのことで、
そして決闘とはもはや、何の関係のない仕草で
ピストルを上げて、頭を撃ったのである。
戦争が起こる前の状態を示している
我々が戦争を導くかのように状況がだんだんと蔓延していく
その臨界点というのがふたりの決闘のシーン
ナフタの自死
こうして彼がここに来たときの真夏を迎えると、
本人のあずかり知らぬところだが、
1年の歳月そのものが7回めぐったのである。
すると、とどろきが鳴り響いたー抑え気味に言わせてもらえば、
地球を根底からぐらつかせた歴史的な青天の霹靂であった。
しかし私たちにすれば、魔の山を吹き飛ばし、7年間の
眠りびとを手荒に外に放り出す青天の霹靂だったのである。
さらばハンス・カストルプ、人生の誠実な厄介息子!
君の物語は終了だ。私たちは最後まで語った。ご機嫌ようー
君がとにかく無事にせよ戦死しているにせよだ!
君の先行きは暗い。
君は余寒に満たされながら「陣地とり」をすることで
死と肉体の放蕩の中から愛の夢が生まれる瞬間を経験した。
このように世界を覆う死の祝祭からも、雨模様の夜空を
いたるところで焦がす熱病のようなひどい劫火(ごうか)からも、
いつか愛が立ち現れるのであろうか。
青天の霹靂=第一次世界大戦
二人の兵士は誰なのか ヨーアヒムとカストルプ?
説明しないのが良い
デカダンス(没落)の克服?そして雪の章そして…。
見えない上昇志向があるように思える
「いつか愛が立ち現れるのであろうか。」
読む人へこの続きを見届けて欲しいという願いが込められている疑問形。
この作品が書き終えられたのち、第二次世界大戦が勃発した。
複雑なものがいかに複雑であるかを示すのが研究者の役目。
と、小黒康正先生。
苦潮や自己防衛を旨として
暑き日やゴム入れ替えて深呼吸
待っていました和田島のバッチ網(漁)
夏の海しらす陽光跳ね返す
■100分de名著 トーマス・マン❝魔の山❞(4)生への奉仕へ
小黒康正 九州大学教授
スイスの結核診療所「ベルクホーフ」の人々
ハンス・カストルプ ヨーアヒム・ツィームセン ベーレンス顧問官
レオ・ナフタ セテムブリーニ クラウディア・ショーシャ婦人
「御一同―結構。万事結構。私の言うべきことは、
何はさておき、とにもかくにも、私たちが義務を負っているー
犯すべからざる要求が私たちに向けられているということだー」
結局、彼は何も言ってなかったのだ。
しかし、彼の頭部は問答不要なほど堂々たるもので、
表情と身ぶりは、断乎とし、強烈で、力強いものであったから、
聞く耳を立てていたハンス・カストルプも含めて誰もが、
極めて重大なことを聞かされたと思ったし、まとまりのある
実質的な話がないのに気がついていたところで、
特に残念だと思わなかったのである。
「ぼくにはとってもよく分かるんだよ、君が女として
あの人をずいぶんと愛している気持ちが」
「あの人がわたしを愛しているの」と彼女は言った。
「その愛情にわたしは誇りを持ち、感謝をし、
彼に心服しているの。この気持ち、分かるでしょ」
圧倒的な生を表現する ペーペル・コルン
ショーシャ婦人のその後 あっさりベルクホーフを去る
部屋には以前よりも人数が一人多くなっていた。
それは、死んだ頃のように頬が暗く落ちくぼみ、
戦争ひげをはやしたヨーアヒムで、そのひげの中では唇が
実にふっくらと誇らしげに反り返っていたのだ。
まなざしは静かに優しく見守るように
ハンス・カストルプに、彼ひとりだけに注がれていた。
のどが絞めつけられ、四度五度と嗚咽が込み上げて、
心の奥底からひきつる。
「すまない」と彼は息をのんでつぶやいた。
それから眼に涙があふれ、もう何も見えなくなってしまったのだ。
「鉄かぶと」ヨーアヒムの被っていたもの 戦中戦後が同時に進行
ハンスからヨーアヒムへの謝罪
作者トーマス・マンからドイツの青年たちへの謝罪
これはある種のレクイエム小説 亡くなった人を思い出す
第6章「雪」
ハンスはある夢をみて「生への奉仕」に
目覚めるがその夜には忘れてしまう
月日が経つにつれて、ベルクホーフの中で悪霊のようなものが
徘徊し始めていた。どんな雰囲気になっていたのか。
―喧嘩の蔓延だ。
セテムブリーニとナフタは感情的になる。決闘となった。
「きさまは空に向けて撃った」
「どこに撃とうが私の勝手です」
「もう一度撃つんだ!」
「そのつもりは毛頭ない。あなたの番だ」
セテムブリーニ氏は、頭をもたげて天を臨みながら、
相手に対して斜に構え、真正面に向いていなかったが、
それは感動的な光景だった。
「卑怯者!」とナフタは叫んだが、それはこのように
人間臭い叫び声を上げることで撃たれるよりも
撃つ方がもっと勇気を必要とするのを認めてのことで、
そして決闘とはもはや、何の関係のない仕草で
ピストルを上げて、頭を撃ったのである。
戦争が起こる前の状態を示している
我々が戦争を導くかのように状況がだんだんと蔓延していく
その臨界点というのがふたりの決闘のシーン
ナフタの自死
こうして彼がここに来たときの真夏を迎えると、
本人のあずかり知らぬところだが、
1年の歳月そのものが7回めぐったのである。
すると、とどろきが鳴り響いたー抑え気味に言わせてもらえば、
地球を根底からぐらつかせた歴史的な青天の霹靂であった。
しかし私たちにすれば、魔の山を吹き飛ばし、7年間の
眠りびとを手荒に外に放り出す青天の霹靂だったのである。
さらばハンス・カストルプ、人生の誠実な厄介息子!
君の物語は終了だ。私たちは最後まで語った。ご機嫌ようー
君がとにかく無事にせよ戦死しているにせよだ!
君の先行きは暗い。
君は余寒に満たされながら「陣地とり」をすることで
死と肉体の放蕩の中から愛の夢が生まれる瞬間を経験した。
このように世界を覆う死の祝祭からも、雨模様の夜空を
いたるところで焦がす熱病のようなひどい劫火(ごうか)からも、
いつか愛が立ち現れるのであろうか。
青天の霹靂=第一次世界大戦
二人の兵士は誰なのか ヨーアヒムとカストルプ?
説明しないのが良い
デカダンス(没落)の克服?そして雪の章そして…。
見えない上昇志向があるように思える
「いつか愛が立ち現れるのであろうか。」
読む人へこの続きを見届けて欲しいという願いが込められている疑問形。
この作品が書き終えられたのち、第二次世界大戦が勃発した。
複雑なものがいかに複雑であるかを示すのが研究者の役目。
と、小黒康正先生。
2024年6月1日土曜日
フジコ・ヘミング その壮絶な人生
過疎になきプライバシーよ青簾(すだれ)
サイダーや耳目もろとも刺激せり
氷ぐるぐるアイスコーヒー香聞かん
打水や隣は今夜チリソース?
夏の月他人の不幸生き甲斐に
■NHKスペシャル 魂のピアニスト、逝く
~フジコ・ヘミング その壮絶な人生~
2023年11月2日自宅の階段から転落
2024年4月21日午前3時25分 フジコ・ヘミング逝去 享年92
完成なんて人間にはありえないですよね
どんな人もどんな芸術家も
これでいいのかなあなんて天国に行ったら聞けばいいんだ
天国に行ったらモーツァルトやショパンに会って
あれでよかったかと聞いてみますよ
絶対あれでよかったです すばらしいですと言うだろうと思うよ
天国も神様もありえないと いう人もいるけどもさ
そんなことはないですよ
何万何億と星があるじゃない
あの中にどこかにいるに違いないからね
ピアノうまくなろうと思ったら
楽器をうまくなろうと思ったら
コーラスに合唱団に入って歌えって
歌っているように弾きなさいってね
みんなパチパチパチって最近の人は拍子だけで
譜面通りに弾くじゃない あんなんじゃしょうがない
譜面の後ろにある霊感を感じない人はダメだ
ウチの母は全然お構いなしで そのころ
直してくれる人もいなかったんでしょうからね
母から習っていたよ それですぐに怒鳴りつけて
そろってないと 機械のようにそろえと言うの
それやったら芸術じゃないですよ 私はいま知ってるのよね
そんな必要はないからです そろってないって
機械みたいに弾けと だから機械みたいに弾いてたら
世界のコンクールでは一等になりますよね なったって
そんなので お客を引き付けるということはできないですよ
何も心がなくて ただこうやってね そろばんを
はじくみたいにやったって
うちの母が 私たち8時になると寝させられて
隣の部屋で母が弾いていたのはいいなぁと思ったけれど
ああ美しいと思ったショパンの「ノクターン」なんかを
ゆっくりした曲を弾いていて ああなんていいんだと思った
フジコさんは小学校のころショパンの曲が弾けるようになり
母の厳しい指導で嫌いだったピアノがとても好きになった
フジコさんはショパンを終生愛した
恋人ですよ 私の天国へ行ったら早く会いたいと
マヨルカ島
やっぱりショパンとジョルジュ・サンドが行ったところだからね
いろいろ本を読んで 何度も読んで 行きたいなぁと思ったの
ショパンは決して幸せな人間ではなかったから
なんか悲しみが私に伝わってくるような
バイオリンにスト バスコ・バッシレフ 指揮者 マリオ・コシック
カンパネラとはイタリア語で「鐘」という意味
人生の時々に鳴り響く教会の鐘をイメージさせる
「ラ・カンパネラ」はフジコさんの代名詞のような曲となった
1999年フジコさんは「ラ・カンパネラ」についてこんなことを語っていた
私が世界で一番うまいなんて思っているというんじゃなくて
私は自分の「カンパネラ」が一番気に入っていて
他の人の弾き方 嫌いなのよ
鐘の最も技巧を 技巧を凝らして作った鐘
一つ一つに魂が入っているようなさ
ぶっ壊れそうな「カンパネラ」だっていいじゃない
私はぶっ壊れそうな繊細なピアニスト 芸術家の方が好きだもん
あまり完全でさ 機械みたいなのは嫌い
そうそれがいいわよ 少しは間違ってもかまやしない
機械じゃあるまいしさ
リストの「ラ・カンパネラ」はパガニーニが作曲した
「バイオリン協奏曲第2番第3楽章」が原曲
ピアニストのフランツ・リストがその曲をもとに作曲しました
フジコさんは生涯独身 いつも寄り添ってくれていたのが猫たちだった
猫がいなかったら今の私はなかったろうと思う
やっぱり癒しの癒しですよね
私はお医者よりずっと効果がありますよ
私 耳が聞こえなくなって 学校の授業もできなくなって
もうついていけなくなって 何にも聞こえないの
それでとても悲しい悲しい思いをしましたね
学校の授業についていけなかったからさ
「日本の国内からはどこにも出られません」って言って
それで「これは大変だ」って言って
ドイツの大使がすごく私のファンで彼が全部やってくださって
赤十字の避難民のパスポートをもらって彼が作ってくださって
それでやっと ドイツへ行けたけれども
1961年フジコ西ベルリンへ29歳の時のことです
あのころ 無国籍の人はドイツにはごろごろいたわよ
ロシアとかハンガリーから逃げてきた人はみんな国籍はなかったからね
だから日本人だけですよ 日本人はなんか知らないけどさ
私がドイツに行ったときに 日本人の留学生がいっぱいいるじゃない
その人たちがみんな私にすごい冷たいのよ
そばにも寄るなというような具合で なんで こんなに嫌われるのかと
思ったけどね そういうのできっと みんな誤解したんじゃない
「無国籍」フジコさんって書いて 下に「無国籍」なんて書いてある
あんなのどうだっていいじゃないか 国籍って アメリカだろうね
3つぐらい国籍を持っている人だっているじゃない いっぱい
あのころはそんな時代だったから すごいなんか
みんなが嫌って私を
指揮者 作曲家 レナード・バーンスタイン(1918~1990)
私は もう涙枯れちゃって全然でない
涙が枯れちゃうことあるんですよね さんざん若いときに泣いたから
フジコさんは母の死がきっかけで1995年34年ぶりに帰国した
1999年「奇跡のカンパネラ」が大ヒット
67歳で一躍時の人となった
年が明け 痛みと闘うフジコさんからインタビュー取材の許しが出た
リハビリ専門の病院に転院していたフジコさんは
お化粧をして私たちを招き入れてくれた
ケガによる下半身麻痺に加え 腕や指が動きにくくなり
つらいリハビリが続いていた
フジコさんは この時ほとんど耳が聞こえなくなっていた
質問は文字にして 読んでもらうことにした
リストの生まれた家をフジコさんは訪ねたことがあった
家の形が良かった それと彼がすごく信仰にあついことも好きだった
そうですよ 後の彼はお坊さんになったでしょう?
牧師になった彼のお父さんかおじいさんも牧師だった
入院生活3か月目 今の心境をたずねた
リハビリは大変 ピアノを弾きたくない
多分もう弾きたくない わかんない
病状の改善はみられず気持ちが揺れ動いていたフジコさん
この日は医師の勧めもありリハビリを兼ねて
病院の1階にあるピアノの前へ進んだ
目もほとんど見えない中 鍵盤に指を置く
しばらく音を探ったあと 弾き始めたのは
幼い頃から親しんでいた モーツァルトのピアノソナタ
フジコさんは自らピアノのふたを閉じた
この日がフジコさんがピアノに触れた最後の日となった
番組の最後に流れたのはChopin/NocturneOp.9 No.2でした。
https://www.youtube.com/watch?v=CJV4l0cnNO4
弟 大月ウルフ氏は2022年に死去されているので
そのご家族が喪主を務められたそうです。
橋本潮氏(歌手)はお母さまが従姉妹関係だったとか…。
Xにて報告されています。
💚 🤍💜橋本潮@アニソン歌手💚 🤍💜🐍@UX_Singer
フジコ・ヘミング「お金持ちになりたい」流れ星に願い
今も「ケチですよ(笑)」〈フジコ・ヘミング追悼番組〉
https://dot.asahi.com/articles/-/223475?page=1
サイダーや耳目もろとも刺激せり
氷ぐるぐるアイスコーヒー香聞かん
打水や隣は今夜チリソース?
夏の月他人の不幸生き甲斐に
■NHKスペシャル 魂のピアニスト、逝く
~フジコ・ヘミング その壮絶な人生~
2023年11月2日自宅の階段から転落
2024年4月21日午前3時25分 フジコ・ヘミング逝去 享年92
完成なんて人間にはありえないですよね
どんな人もどんな芸術家も
これでいいのかなあなんて天国に行ったら聞けばいいんだ
天国に行ったらモーツァルトやショパンに会って
あれでよかったかと聞いてみますよ
絶対あれでよかったです すばらしいですと言うだろうと思うよ
天国も神様もありえないと いう人もいるけどもさ
そんなことはないですよ
何万何億と星があるじゃない
あの中にどこかにいるに違いないからね
ピアノうまくなろうと思ったら
楽器をうまくなろうと思ったら
コーラスに合唱団に入って歌えって
歌っているように弾きなさいってね
みんなパチパチパチって最近の人は拍子だけで
譜面通りに弾くじゃない あんなんじゃしょうがない
譜面の後ろにある霊感を感じない人はダメだ
ウチの母は全然お構いなしで そのころ
直してくれる人もいなかったんでしょうからね
母から習っていたよ それですぐに怒鳴りつけて
そろってないと 機械のようにそろえと言うの
それやったら芸術じゃないですよ 私はいま知ってるのよね
そんな必要はないからです そろってないって
機械みたいに弾けと だから機械みたいに弾いてたら
世界のコンクールでは一等になりますよね なったって
そんなので お客を引き付けるということはできないですよ
何も心がなくて ただこうやってね そろばんを
はじくみたいにやったって
うちの母が 私たち8時になると寝させられて
隣の部屋で母が弾いていたのはいいなぁと思ったけれど
ああ美しいと思ったショパンの「ノクターン」なんかを
ゆっくりした曲を弾いていて ああなんていいんだと思った
フジコさんは小学校のころショパンの曲が弾けるようになり
母の厳しい指導で嫌いだったピアノがとても好きになった
フジコさんはショパンを終生愛した
恋人ですよ 私の天国へ行ったら早く会いたいと
マヨルカ島
やっぱりショパンとジョルジュ・サンドが行ったところだからね
いろいろ本を読んで 何度も読んで 行きたいなぁと思ったの
ショパンは決して幸せな人間ではなかったから
なんか悲しみが私に伝わってくるような
バイオリンにスト バスコ・バッシレフ 指揮者 マリオ・コシック
カンパネラとはイタリア語で「鐘」という意味
人生の時々に鳴り響く教会の鐘をイメージさせる
「ラ・カンパネラ」はフジコさんの代名詞のような曲となった
1999年フジコさんは「ラ・カンパネラ」についてこんなことを語っていた
私が世界で一番うまいなんて思っているというんじゃなくて
私は自分の「カンパネラ」が一番気に入っていて
他の人の弾き方 嫌いなのよ
鐘の最も技巧を 技巧を凝らして作った鐘
一つ一つに魂が入っているようなさ
ぶっ壊れそうな「カンパネラ」だっていいじゃない
私はぶっ壊れそうな繊細なピアニスト 芸術家の方が好きだもん
あまり完全でさ 機械みたいなのは嫌い
そうそれがいいわよ 少しは間違ってもかまやしない
機械じゃあるまいしさ
リストの「ラ・カンパネラ」はパガニーニが作曲した
「バイオリン協奏曲第2番第3楽章」が原曲
ピアニストのフランツ・リストがその曲をもとに作曲しました
フジコさんは生涯独身 いつも寄り添ってくれていたのが猫たちだった
猫がいなかったら今の私はなかったろうと思う
やっぱり癒しの癒しですよね
私はお医者よりずっと効果がありますよ
私 耳が聞こえなくなって 学校の授業もできなくなって
もうついていけなくなって 何にも聞こえないの
それでとても悲しい悲しい思いをしましたね
学校の授業についていけなかったからさ
「日本の国内からはどこにも出られません」って言って
それで「これは大変だ」って言って
ドイツの大使がすごく私のファンで彼が全部やってくださって
赤十字の避難民のパスポートをもらって彼が作ってくださって
それでやっと ドイツへ行けたけれども
1961年フジコ西ベルリンへ29歳の時のことです
あのころ 無国籍の人はドイツにはごろごろいたわよ
ロシアとかハンガリーから逃げてきた人はみんな国籍はなかったからね
だから日本人だけですよ 日本人はなんか知らないけどさ
私がドイツに行ったときに 日本人の留学生がいっぱいいるじゃない
その人たちがみんな私にすごい冷たいのよ
そばにも寄るなというような具合で なんで こんなに嫌われるのかと
思ったけどね そういうのできっと みんな誤解したんじゃない
「無国籍」フジコさんって書いて 下に「無国籍」なんて書いてある
あんなのどうだっていいじゃないか 国籍って アメリカだろうね
3つぐらい国籍を持っている人だっているじゃない いっぱい
あのころはそんな時代だったから すごいなんか
みんなが嫌って私を
指揮者 作曲家 レナード・バーンスタイン(1918~1990)
私は もう涙枯れちゃって全然でない
涙が枯れちゃうことあるんですよね さんざん若いときに泣いたから
フジコさんは母の死がきっかけで1995年34年ぶりに帰国した
1999年「奇跡のカンパネラ」が大ヒット
67歳で一躍時の人となった
年が明け 痛みと闘うフジコさんからインタビュー取材の許しが出た
リハビリ専門の病院に転院していたフジコさんは
お化粧をして私たちを招き入れてくれた
ケガによる下半身麻痺に加え 腕や指が動きにくくなり
つらいリハビリが続いていた
フジコさんは この時ほとんど耳が聞こえなくなっていた
質問は文字にして 読んでもらうことにした
リストの生まれた家をフジコさんは訪ねたことがあった
家の形が良かった それと彼がすごく信仰にあついことも好きだった
そうですよ 後の彼はお坊さんになったでしょう?
牧師になった彼のお父さんかおじいさんも牧師だった
入院生活3か月目 今の心境をたずねた
リハビリは大変 ピアノを弾きたくない
多分もう弾きたくない わかんない
病状の改善はみられず気持ちが揺れ動いていたフジコさん
この日は医師の勧めもありリハビリを兼ねて
病院の1階にあるピアノの前へ進んだ
目もほとんど見えない中 鍵盤に指を置く
しばらく音を探ったあと 弾き始めたのは
幼い頃から親しんでいた モーツァルトのピアノソナタ
フジコさんは自らピアノのふたを閉じた
この日がフジコさんがピアノに触れた最後の日となった
番組の最後に流れたのはChopin/NocturneOp.9 No.2でした。
https://www.youtube.com/watch?v=CJV4l0cnNO4
弟 大月ウルフ氏は2022年に死去されているので
そのご家族が喪主を務められたそうです。
橋本潮氏(歌手)はお母さまが従姉妹関係だったとか…。
Xにて報告されています。
💚 🤍💜橋本潮@アニソン歌手💚 🤍💜🐍@UX_Singer
フジコ・ヘミング「お金持ちになりたい」流れ星に願い
今も「ケチですよ(笑)」〈フジコ・ヘミング追悼番組〉
https://dot.asahi.com/articles/-/223475?page=1
登録:
投稿 (Atom)