2024年5月6日月曜日

兼題「風薫る」&テーマ「オノマトぺを入れる」

夏草やパノプティコンという施設
支配するパノプティコンの暑き夜
すべてを見張るパノプティコンや旱(ひでり)
空気と倫理判断基準明早し
夏怒涛空気が支配する日本

■NHK俳句 兼題「風薫る」
年間テーマ「俳句の凝りをほぐします」
選者 堀田季何 レギュラー 庄司浩平 司会 柴田英嗣

今回のテーマは取り合わせ
白(はく)牡丹といふといへども紅(こう)ほのか   高浜虚子
夕風や牡丹崩るゝ石の上   正岡子規

俳句には一物仕立てと取り合わせがある
一物仕立てとは一句全体がその季語についての話
取り合わせとはふたつの要素で組み合わせた句

どういう形で組み合わせると句が生き生きするか
取り合わせのパターン
① 同じ情景
② 物と心
③ 二物衝撃

パターン①同じ情景
① 遠火事や玻璃(はり)にひとすぢ鳥の糞(まり)   相子智恵
② 閲覧の先師の蔵書風薫る   松崎鉄之助

五感で同時に感じられる ①
風は触覚 嗅覚にも来る 蔵書は視覚 同時に感じられる ②
視覚 聴覚 嗅覚 味覚 触覚の五感 いずれかで同時に感じられる

「同じ情景」凝りのある句は❓
同時に感じられない
スリッパを横切り蟻や海に波
「同じ情景」ツボポイント
2つの要素が同時に感じられる

パターン②「物と心」
① さま〲の事おもひ出す桜かな   松尾芭蕉
② 先生はふるさとの山風薫る   日野草城

物と心で響き合っている ポイント
近すぎる/遠すぎる

人の世はみな儚くて桜かな 二つの要素がめちゃくちゃ近い
先生はふるさとの山冷蔵庫 距離が遠すぎる

「物と心」ツボポイント
当たり前すぎないけど説得力がある ちょうどいい距離

物と心
A海老味の濃きラーメンや春愁   遠すぎる
Bテレビ画面端に時刻や春愁   成功している句
C何となく流るる涙春愁   近すぎる
D友はもう一人の自分春愁   心と心「物と心」ではない 漠然としている
               雰囲気に流される 片方は物にする

春愁(はるうれひ 春になって理由もなく気分を落ちたり物憂げになること)
「春愁」は(物理的に感じられない)心の季語

▪特選六句 兼題「風薫る」
風薫る森に犇(ひしめ)くオノマトペ   田上邦雄
象の鼻よく動く日や風薫る   荒田苔石(たいせき)
朴直(ぼくちょく)の君はAI風薫る   井上三哉(さんや)
ヴルストの弾ける皮や風薫る   コンフィ
私 薫風はこのときめきを甲斐とする   南方日午(みなかたひうま)
月よりも白き馬乳酒(ばにゅうしゅ)風薫る   広木登一

▪柴田の歩み
良い距離間のライバル登場
庄司の歩み
人も物も心もイイ距離間で。

■NHK短歌 テーマ「オノマトぺを入れる」
年間テーマ「“私”に出会おう ~2年目の飛躍~」
選者 川野里子 レギュラー 内藤秀一郎 深尾あむ 司会 ヒコロヒー

オノマトぺ
擬態語 もぞもぞ ピカピカ
擬音語(擬声語) ガシャン わんわん

オノマトぺ 特に擬態語は日本語に豊かにあり表現を広げてくれる

▪飛躍の扉
擬態語の短歌
鯉のぼりほうとふくらみくたと降るこの緩慢なる力見よとぞ
川野里子「五月の王」

擬音語の短歌
打楽器はごんぼごんぼと闇を打ちアフリカの月膨張しはじむ
永井陽子「不思議な楽器」

音で風景 雰囲気 気持ちも伝えることができる

▪入選六首 テーマ「オノマトぺを入れる」
城門をズドーンズドーンと閉めていく笑顔のままで独りになりたい
川口真(しん)
ぶんぶんと自分のことを振り回すどっちが未来かわからないほど
中森菜穂子
私 すうーっと透けることなどなく逝きし祖母の重さにシーツは沈む
葉村直
前世は獣か母はわが腕をガシッと掴み厠(かわや)へ歩く
浦上紀子
ギイイーット正倉院の扉あき千年前の何かが動く
呰上(あざかみ)洋子
一席 約束の地へ駆け出す前による「たられば」と鳴るファミリーマート
やまぐちわたる

みつけた!キラリポイント
秀一郎 獣か母は
あむ 自分のことを振り回す

▪秀一郎あむの飛躍のカギ
「オノマトペを創作する」
金平糖をかむ音に作者自身が映り込む

□金平糖を踏むような会話の□□
ざらりおん金平糖を踏むような会話のざらりおん ざらり、おん
田丸まひる「ピース降る」

オノマトぺは心の中をじかに表現してくれる言葉

あれ程に待ちわびていた開花でもひとたび咲けば心ヒリヒリ
深尾あむ 添削(語順と「桜」を入れる)
ひとたび咲けば心ヒリヒリあれ程に待ちわびていた桜が咲いても

フワフワと東京にも雪が降る僕も無理矢理はしゃいでみる
内藤秀一郎 添削(字足らずを添削 
キラキラと東京に淡い雪が降る僕も無理矢理はしゃいでみるか

オノマトぺを入れ替えるだけで微妙に表現できる心理が変わってくる
オノマトペは音を表現しているようで心の動きや自分の感情を表現している

▪ことばのバトン
エグい花粉も聴こえない庭
東京農工大学 短歌会会長 ほきゅみ

ほこり立つ突風に散る梅の花
東京農工大学 短歌会 枯芝
さようなら君の幸せが、この街に、僕に、ないと言うのであれば、

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