2024年5月16日木曜日

理想の本箱「ひとりぼっちの孤独を感じた時に読む本」&稚児俳句「無理ゲー」

夏の山クラブで芝をしばき切る
ジャンボ軍団師匠は何処夏の風
青芝やジャンボ軍団奮闘中
河原鶸(カワラヒワ)エンジン音と夏を飛ぶ
夏の鳥軒から軒へ急ぎをり

■理想的本箱 君だけのブックガイド
「ひとりぼっちの孤独を感じた時に読む本」
主宰 吉岡里穂 司書 太田緑ロランス 選書家 幅允孝(よしたか)

▪ひとりたのしむ 著者 熊谷守一
孤独の果てに辿り着いた画家の純潔な画と言葉
獨楽(どくらく)=ひとりたのしむ
もっと放っておいて長生きさせてくれっていうのが、
正直なわたしの気持ちです。
1932年52歳の時に豊島区に自宅を新築 
そこから1977年亡くなるまでの45年間殆ど家から出ることがなかった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%8A%E8%B0%B7%E5%AE%88%E4%B8%80

▪ここに素敵なものがある 
著者 リチャード・ブローティガン 中上哲夫訳
ビートジェネレーション 
アメリカの物質文明に反抗し既成概念にとらわれない世代
ささやかに吐き出された孤独の言葉が優しく誰かを包む
気づくことは何かを失うことだ
ぼくは考える、恐らく死者を悼むときでさえも、
このことに気づくために失ったものについて。
掘ったばかりの墓穴のように妙に若々しく
一日が独楽のようにくるくると同じ場所を練り歩く、
その影に降る雨と一緒に。
ゆっくりきみをその気にさせよう、
まるで夢の中でピクニックをしているような気持ちに。
蟻なんかいないよ。雨なんか降らないさ。
ぼくらは十一時のニュースだった、
ぼくらが愛し合っている間、僕ら以外の世界は
地獄にころげ落ちていたからだ。
恐怖からきみは一人ぼっちになるだろう、
きみはいろんなことをする、だけどどれも
ぜんぜんきみらしくない。
出来損ないの天使のようにわが身を守りながら
彼女はふたたび恋に落ちる。破局に終わるさだめの恋に。
それがいつも彼女らしいやり方なのだ。
うれしいよ、彼女の恋の相手がぼくでなくて。
ここに素敵なものがある。
きみがはしがるようなものはぼくにはほとんど残っていない。
それはきみの掌(て)のなかで初めて色づく。
それはきみがふれることで初めて形となる。

リチャード・ブローティガンの作風がこうなったのは
俳句の影響を受けているからだとか…。
10代の頃に松尾芭蕉と小林一茶がお気に入りだったとか…。
彼の余白への感じ方が変わってくるかも…。
巻末には日本がすごく好きだった詩人の仲間として
寺山修司氏の葬儀に参加した時の
エピソードや詩のことにも触れられている。
参列に参加した人の靴の下にいた蟻についてだった。
いつも小さくて弱いものに目が向くのだそうです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/リチャード・ブローティガン

▪Sunny 著者 松本大洋
子供たちが孤独や寂しさと折り合いをつける純真さと救いの物語
「時間」というんはホンマ良うできてるてワシは思う…
どんだけ楽しいときも、どんだけ悲しいときも、
ずっとそのままいうわけにはイカン。これは救いやとワシは思う。
(5巻第26話より)
これは負けない孤独はないということを私たちに教えてくれている一言。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E6%9C%AC%E5%A4%A7%E6%B4%8B

■ワルイコあつまれ(86)
辻内京子 髙柳克弘 松尾葉翔
稚児俳句「無理ゲー」
ゲームに限らず達成が困難なときにも使う

小突きあいつつ無理ゲーと芽吹き山   髙柳克弘
(芽吹き山 春の季語 木々が芽吹き始めた山)

無理ゲーと言い眼に涙春夕焼   辻内京子
(春夕焼 はるゆやけ 春の季語 
ポイント 音数を少なくするため独特な読み方をする季語がある
夕立⇨ゆだち 大根⇨だいこ 夕焼は本来夏の季語
春夕焼は春の穏やかな情緒のある夕焼け 希望が感じられる)

犬走る花舞ぜーぜーこりゃ無理ゲー   松尾葉翔

辻内京子先生の添削
無理ゲーと叫び犬追う飛花の中
(飛花 春の季語 桜の花びらが舞い落ちるようす)

高柳克弘先生の添削
犬追うも無理ゲー花の屑舞って
(花の屑 春の季語 散った桜の花びら

松尾葉翔先生の締めの一句
無理ゲーと言ったけれども食らいつけ

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