2024年5月13日月曜日

兼題「草笛」&テーマ「家族」

夏の夜や痛みの消える日を待たん
穏やかな心の余裕夏の空
空想と創造の喜び風薫る
空想や夢を抱きて夏の風
万緑や吾の宝石を磨く日々

■NHK俳句 兼題「草笛」
年間テーマ「やさしい手」
選者 西山睦 ゲスト 網野月を 司会 柴田英嗣

バイエルとソナチネハノン風薫る   西山睦
音楽人生×俳句

▪俳句三選「やさしい手」
拍 トレモロのトライアングル雪を呼ぶ   網野月を
  トレモロすると(細かく叩き続けると)音量が維持できる
  歌舞伎では雪を太鼓で湿度が高い日本の雪を表現する
  拍はリズム 俳句もリズムら響きを大切にする
  西洋音楽には12の音がある 
  それをリズムに合わせて音楽を作る
  俳句にも50ほどの音があるが活字だと全部同じ大きさ
  50種類全部違った音の長さ前後にくる音が違うとまた変わる
  五七五の調べはゴムひもみたいに伸びたり縮んだりする
  凡(およ)そ天下に去來(きょらい)程の小さき墓に参りけり 
  高浜虚子 25音と言えども字余りは許される
  リズムきちっと入っていればOK 50音全てが音符
楽 楽聖忌馬鈴は既に超えにけり   網野月を
  音楽の世界では楽聖と言えばベートーベンを指します
  ベートーベンが亡くなったのが3月26日 その日が楽聖忌
  馬齢はぼうっと何もしないで歳を重ねてしまったの意
  益々べートーベンを尊敬している
笛 草笛や祈るかたちとなる親子 網野月を
  私が父に教わった口笛は手を合わせてそこに葉を挟む
  草笛に限らず親から子へ教わっていくもの
  教わらなくても習っていくもの
  網野さんの原点ともいえる句
  個人的な背景を知らなくても親子が祈る
  と言うのは普遍的な命を感じられる句
  音を雪に感じるとか草笛も一説では
  鳥の声を、まねしたと言われる
  自然からいただくという点では俳句をすごく似ている
  どこまで作れば完成するのか?と考えるようになった
  崖っぶちまで作る

▪特選六句発表 兼題「草笛」
草笛やもうすぐ母の帰る道   升水(ますみず)恵美子
遠くまで草笛吹きし喪あけかな   曽根新五郎
草笛のかすれかすれて荷物番   智久薫子(ともひさかおるこ)
草笛の手ほどき子ども食堂で   小田和夫
草笛や明日はバイトの給料日   佐藤慶夫(のぶお)
父よりも母の草笛奔放に   可笑式(おかしき)

▪特選三席発表
一席 草笛の少年あした家を出る   前田憲治
二席 どの牛も草笛聞けば舎に戻り   丹伊田拓(にいたひろお)
三席 戦場の兄の草笛まだ続く   髙野登

▪俳句やろうぜ 若手俳人探査隊長 黒岩徳将
俳句道まっしぐら大学生 垂水文弥(20歳)

垂水文弥氏の尊敬する鳥居真理子女史の句
福助のお辞儀は永遠に雪が降る   鳥居真理子

クロイワ推しの一句
二人食ふちりめんじゃこは夜の粒子   垂水文弥

「フロンティア」をねらっていく俳人だと感じました
クロイワ徳将

▪柴田の歩み
25音もありなんだ やってみよう

■NHK短歌 テーマ「家族」
年間テーマ「光る愛の歌」
選者 俵万智 ゲスト 玉置玲央 司会 ヒコロヒー

▪入選九首 テーマ「家族」
娘待つ駅へと向かう遅い夜無口な父型ロボットとなり
榊原葉二
二席 母ほどに母にはなれず娘ほど娘でもなく芋を煮るなり
横縞
台紙ごと姉と一緒に嫁ぎゆきヤマザキじゃないパンを買う春
くらたか湖春
三席 晩ごはん妻にかわって用意して妻の席から家族ながめる
山田真人
祖父の世話する子を良い子と褒めた日よヤングケアラーの言葉なき頃
髙島和子
守られていた実感はないままに家のかたちの貯金箱割る
高原すいか
冷凍は永遠とする母の目を盗み掘り出す何かの化石
三月とあ
一席  あの傘は父さんが差していったから十年たっても見つからないね
藤田結子(ゆいこ)
 そういえば喪服の場所もわからない教えてくれる君がいないと
松村智裕

▪「光る君へ」で短歌を10倍楽しもう!
これもまた家族のかたち灰色の下着が二枚並ぶベランダ
小佐野彈「メタリック」
家族観が変わりつつあるなかでこういう歌が生まれている
短歌は時代を反映していくもの
短歌づくりのポイント
時代や社会背景をいかした表現を目指そう
親と子の情 変わらないものもある

光る君へより
人の親の心は闇にあらねども子を思う道にまどひぬるかな
(子を思う親の心というものは闇にさまよう迷子のごとし 万智訳)
詠むときに自分の思いをいかにのせるか
一般論で考えてもなかなか良い「家族」の歌はできない
自分の「家族」への思いを具体的にからめていく
経験を具体的に混ぜ込んでいく 俵万智

フックになるような言葉
自分にしか見つけられない表現を入れ込んでいく ヒコロヒー

短歌づくりのポイント
普遍的なテーマを自分にしか見つけられない表現を

玉置玲央さん「家族」の歌
生きていく場所は違えど魂はなんだかんだで繋がっている
藤原家も魂の部分では繋がている
「いく」としたことでこれからの未来をも含めた
素晴らしい表現と俵万智先生絶賛
短歌は芝居みたいだと思った 正解がない
受け取ってくれる方次第

▪私感
玉置玲央さんのファンになってしまいました
素晴らしい感性をお持ちの俳優さんでした
応援しています

▪ことばのバトン
ほこり立つ突風に散る梅の花
枯芝 東京農工大 短歌会

毒をはぐくむ桜木の陰
三々凪四葩(ささなぎよひら)同志社大学短歌会
短歌など詠めないくらい幸せになりたい思い出に石一つ

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