2023年7月24日月曜日

題「見上げる」

(ベルト・モリゾ)愛されて愛され過ぎた暑き日よ
(セガンティーニ)不幸を生きて才見いださる風の香
(NO LIMIT,YOUR LIFE)
走馬灯ALSと告げられて
目高めくALSと闘いて
ALSを生きた証を玉の汗

■NHK短歌 題「見上げる」
選者 岡野大嗣 ゲスト 知花くららさん。司会 尾崎世界観
年間テーマは「グッとくる瞬間」今月は「見上げる」

月をみるこんな真上にあったから気づかなかった時間の後で
岡野大嗣

ちかごろは子どもみたいに笑ふねとビールを飲みほすゆふぐれの母
知花くらら

▪岡野大嗣のグッときた九首 テーマ「見上げる」
空を見る今日の野菜がぎっしりの買い物袋をぶら下げながら
岩倉曰(いわく)
運動会リレーで転んだ目の先に怖い顔したぢいちゃんがゐた
福島隆史
三席 何回も飛ぶ夢を見るこの棟で一番地面に近い寝室
桃園ユキチ
一席 私 地下鉄の階段を駆けて入道雲ずっとむかしに女子高生だった
岡田捺那(なつな)
働かずもらえる金を抱く帰路に見あげる別にデカくない月
喜多抱(いたく)
お仏壇を見上げてじっと掌(て)を合わす早くわたしのおやつになあれ
松尾留美子
二席 「びわやな」と見上げる父を見るために車椅子木の下にとめおり
星田美紀
青空を見上げてよろこぶ人の中わたしは眩しいなって思った
田中佳(よし)
私 スクリーンに役所広司の迫力よまだ私にも涙が出るんだ
高原晴子

▪知花くららさんの表現者の視点
フラメンコを踊ってくださいました。
初めて自分が解放された瞬間を
感じられた表現手段だったそうです。
音楽に身を委ねてリズムを感じて体を使う
フラメンコのダイナミックさに
惚れこんでしまわれたとか…。
「もっとちゃんと踊りなさい」と言われたそうです。
型ばかりを追っていた自分への「げき」でした。
「踊りも音楽だ」リズムを殺さないでほしい。
リズムが体に通ってない踊りはすぐにわかる
「自分らしさとは?」
ちゃんと自分で経験して考えて感じたいタイプ
肌の感覚を大切にしたい

私から「全てはBasicです。」と一言…。
Basicがないと感じられません。

▪それぞれの「見上げる」それぞれの表現
蚯蚓(きゅういん)の腹に蠢く蟻散りて梅雨の冷たき気まぐれを仰ぐ
知花くらら
蚯蚓とはミミズのこと

ママー、あめー、と降ってくる声散ってゆく蟻に暮らしの灯を見ていれば
岡野大嗣

▪ことばのバトン
午後のおやつはいちご大福   矢沢吉美

もちもちで包んだ幸せほおばって   小宮山碧生(あおい)
友の呼ぶ僕のあだ名は悪くない他のやつには呼ばせないけど
皇居松の間で開かれた歌会始に最年少で選ばれた歌

0 件のコメント:

コメントを投稿