摘み取った朝顔食卓の茶碗
深川の紅さす女夏の夕
深川をはしゃぐ女と夕立と
夏の色皿とボールと鉢重ね
ミニマムなライン表現独活の花
■俵万智女史の短歌
金曜の六時に君と会うために始まっている月曜の朝
会うまでの時間たっぷり浴びたくて各駅停車で新宿に行く
揺れながら前へ進まず子育てはおまえがくれた木馬の時間
自分の時間ほしくないかと問われれば自分の時間をこの子と過ごす
トーストの焼きあがりよく我が部屋の空気ようよう夏になりゆく
不快指数信じて過ごす木曜日元気がないのは天気のせいだ
アルバムに去年の夏を見ておりぬこの赤ん坊はもうどこにもいない
この夏の心を予約するように贈られている麦わら帽子
陽の中に君と分け合うはつなつのトマト確かな薄皮を持つ
逢うたびに抱かれなくてもいいように一緒に暮らしてみたい七月
ポン・ヌフに初夏(はつなつ)の風ありふれた恋人同士として歩きたい
四万十(しまんと)に光の粒をまきながら川面をなでる風の手のひら
沖に出て小さきカヌーとなりながら手を振るものを若者と呼ぶ
潮風に君の匂いがふいに舞う抱き寄せられて貝殻になる
江ノ島に遊ぶ一日それぞれの未来があれば写真は撮らず
愛よりもいくぶん確かなものとしてカモメに投げるかっぱえびせん
■名言
ラ・フォンテーヌ 曰く
「無知な友ほど危険なものはない。
賢い敵の方が余程ましだ。」
モンテスキュー 曰く
「私たちは三つの教育を受ける。
一つは両親から、もう一つは校長から、
残りの一つは社会から教えられる。
そしてこの三番目は
初めの二つに全て矛盾する。」
ジンメル 曰く
「至上の処世術は、妥協することなく、
適応することである。」
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