2023年7月31日月曜日

100分de名著 金子みすゞ ①

岳人の森レンゲショウマの咲きはじむ
炎昼や日除けの中をうずくまり
扇風機抱きて移動極暑かな
号砲や祭の報せ響きをり
午後一時熱風回す扇風機

■100分de名著 金子みすゞ ①
こだまでしょうか、
いいえ、誰でも。
金子みすゞ「こだまでしょうか」より

大漁 金子みすゞ
朝焼け小焼けだ
大漁だ
大羽鰮(おおばいわし)の
大漁だ
浜は祭りの
ようだけど
海のなかでは
何万の
鰮のとむらい
するだろう。
「童話」大正十三年三月号

お乳の川 金子みすゞ
なくな、仔犬よ、
日が暮れる。
暮れりゃ
母さんいなくとも、
紺の夜空に
ほんのりと
お乳の川が
みえよもの。
「美しい町」

みすゞの詩の特徴
① 視点の移動・逆転 ②対比 ③比喩の素晴らしさ

かなりあ 西城八十
唄を忘れた金糸雀(かなりあ)は
後の山に捨てましょか。
いえ、いえ、それはなりませぬ。
唄を忘れた金糸雀は
背戸の小藪に埋めましょか。
いえ、いいえそれもなりませぬ。
唄を忘れた金糸雀は
柳の鞭でぶちましょか。
いえ、いいえそれはかわいそう。
唄を忘れた金糸雀は
象牙の船に、銀の櫂(かい)、
月夜の海に浮かべれば
忘れた歌をおもいだす。

鶏さん 野口雨情
雛の母さん
親鶏さん
鳥屋に買われて
ゆきました
大寒子寒で
寒いのに
親なし雛に
なりました
雛に別れた
親鶏さん
鳥屋で淋しく
暮らすでしょう
「金の星」大正十年一月号

にわとり 金子みすゞ
お年をとった、にわとりは
荒れた畑に立って居る。
わかれたひよこは、どうしたか
畑に立って、思ってる
草のしげった、畑には
葱の坊主が三四本
よごれて、白いにわとりは
荒れた畑に立っている
「童話」大正十二年十月号

お魚 金子みすゞ
海の魚はかわいそう。
お米は人につくられる、
牛は牧場で飼われてる、
鯉もお池で麩を貰う。
けれども海のお魚は
何にも世話にならないし
いたずら一つしないのに
こうして私に食べられる。
ほんとに魚はかわいそう。
「童話」大正十二年九月号

積った雪 金子みすゞ
上の雪
さむかろな。
つめたい月がさしていて。
下の雪
重かろな。
何百人ものせていて。
中の雪
さみしかろな。
空も地面(じばた)もみえないで。
「空のかあさま」

鯨法会 金子みすゞ
鯨法会は春のくれ、
海に飛魚採れるころ。
浜のお寺で鳴る鐘が、
ゆれて水面をわたるとき、
村の漁師が羽織着て、
浜のお寺へいそぐとき、
沖で鯨の子がひとり、
その鳴る鐘を聞きながら
死んだ父さま、母さまを、
こいし、こいしと泣いてます。
海のおもてを、鐘の音は、
海のどこまで、ひびくやら。
「さみしい王女」

悲しみが文学へと昇華

2023年7月30日日曜日

ロッチと子羊50&名言

蓮の花修(なおちゃん)と桜利斗(おりとちゃん)の生きた日々
夏の(生コンクリート)打設バイブレーターフル稼働
文旦の花病の兆しありありと
天空を紫陽花咲かん雲辺寺
神経は使ふものなり青林檎

■ロッチと子羊50

生まれ持った情感性を取り戻し
あなたの身体が心地いいと感じるままに
人を受け入れればいいのです
ミシェル・アンリ哲学の要約

情感性とは受動性+情念(心から湧き出る思い)

無意識にいつの間にか受け取ってしまう情感性がある
情感性は身体と深いつながりがあると唱えた
身体が心地いい⇨心が受け入れたい

無意識のうちに気持ちいいものを受け入れる


約束しそれを実行することによって
私たちは初めて自分になるのです
アーレント哲学の要約

約束=Promise
   前もって 送る(ラテン語mittere)
自分の思いを前もって未来へ送る
未来を作ることができる
約束を守るということはやるべきものが見えてくる

締め切りを約束に変える事により
計画的に進むことができる

相手が見えたほうが頑張れる

締め切り 焦って時間が過ぎる
約束 相手の顔が見える と変わってくる

哲学プラクティス
未来への約束ノートを作る
他者が必要
誰に何を約束するか具体的に書く

約束を守るためにいつまでに何をするか具体的に書く
そうすることによってなりたい自分に近づいていく

■名言
亀井勝一郎 曰く
「せっかく本を読んでも忘れてしまうといって
 悲観している人がいる。
 読書を貯金と思っているらしい。
 忘れようと努力しても忘れられない一句があったら、
 それがあなたの血肉となる。」

吉田松陰 曰く
「小人が恥じるのは、自分の外面である。
 君子が恥じるのは、自分の内面である。」

黒田官兵衛 曰く
「文武は車の両輪のごとく、
 そのひとつが欠けても駄目である、と昔の人もいっている。
 治世に文を用い、乱世に武を用いるのは、
 当然のことであるが、
 治世に武を忘れず、乱世に文を捨てないのが、
 最も肝要である。」

2023年7月29日土曜日

言葉にできない、そんな夜。35

名越の祓(なごしのはらえ)母を許さんセガティーニ
夏の闇涅槃を描いたセガティーニ
夏の露高い処へ移り住む
夏の空美し過ぎて怖過ぎて
茂吉には理解及ばず雲の峰

■言葉にできない、そんな夜。35
ゲスト 松下洸平 美村里江 桐山照史 朝井リョウ
司会 小沢一敬

▪テーマ 噓がばれたときの気持ち
早期撤退が大事
嘘で世界を変えてやる

ファンデーションがコンクリートのように
固まってしまった気がする。顔が動かない。
(中略)
カッと体中を巡る血が
顔の中心に集まってきたのがわかった。
「ごめんなさい」この人が求めているのは
そんな言葉ではないとわかっているのに、
言ってしまう。
朝井リョウ「もう一度生まれる」

「ごめんなさい」の間に
次何を言うか考える

外側と内側の差を書きたかった

母心配す。
然(しか)しこっちは寧ろ
ウソが明白にされたので
過去3か年半の
可なり辛い自責感を去る。
中原中也「我が詩観」

自分は、世界が一瞬にして
地獄の業火(ごうか)に包まれて
燃え上がるのを
眼前に見るような心地がして、
わあっ!と叫んで
発狂しそうな気配を
必死の力で抑えました。
太宰治「人間失格」

恥辱の業火 と朝井リョウ 

▪同じ人に同じ話をしてしまったときの気持ち
オレ、この人が次何言うかわかる…。 松下洸平   
予知能力発動
タイムリープしてる?
日常に感(かま)けてしまって体験が足りてないな…まずい… 美村里江
もってなくてよかった~ 桐山照史
会話も捻挫するのだ 朝井リョウ
リピート アフター ミー 小沢一敬

▪テーマ 言いようのない寂しさ、なんて言う?
荒療治ですね(汗) 朝井リョウ

咳をしても一人 尾崎放哉選句集・小豆島時代」

空虚な空気の中にぽつねんと一人取残された。 梶井基次郎「檸檬」

ぽつねん 朝井リョウ
自意識 美村里江 うっすら 桐山照史 ぽつり 松下洸平

小沢メモ
ぽつねん 一人で寂しそうにしているさま
三日ぶりに開いたのに
着信もメールもゼロだった。
(中略)
だるまさんがころんだで鬼になって、
かなりもったいぶって、
だ~る~まさ~んがこ~ろ~んだっ!
とやったのに
振り向いたらだれもいなかった、
みたいな心境だ。
綿矢りさ「勝手にふるえてろ」

孤独は終わらない
それでも愛されるまで
旅路は続いてく
闇に溶けるまで
松下洸平「旅路」

僕はたまらなく孤独だった。
僕は何かにつかまりたいと思った。
しかしまわりを見回しても、
つかまるべきものは何もなかった。
つるりとして捉えどころのない
氷の迷宮の中に僕はいた。
闇は白く、音はうつろに響いた。
村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス(下)」

二行目に根源的な欲求を感じた。 朝井リョウ
何かにつかまって安定したい

2023年7月28日金曜日

理想的本箱&プレバト纏め

青柿や役立つことを旨として
美郷梅酸味漂う土用干し
パレットを黄色に染めた梅の香
夏の陽へ見頃迎えた古代蓮
浜朴(はまぼう)や群れて咲きをり美波町

■理想的本箱 君だけのブックガイド
選書テーマ 情報の海に溺れそうな時に読む本

▪1984 著者 ジョージ・オーウェル 田内志文 訳

1949年に書かれた1984年の未来を描いた小説
情報監視社会の恐怖
現実がこの作品に近づいてきたような気がすると選書家の幅允孝氏

過去を支配するものは未来を支配する
今を支配するものは過去を支配する

▪何者 著者 朝井リョウ

本人の実像とSNSと言う虚像の二面性
裏アカウントに現れる人間の本音

▪静寂とは 著者 アーリング・カッゲ 田村義進 訳

静けさとは何か
それはどこにあるのか
それがなぜ今重要なのか
静けさはいつでも、
どこにでもある

どこにいても
静けさは
見つけられる

■プレバト纏め 2023年7月27日
▪名人特待生俳句抜き打ちテスト

風薫る初のマニキュアは百円   山之内すず
若夏をラッパ飲みする白帽子   市川右團次
添削 制帽は白はつなつをラッパ飲み

春暁の実家オムツは三枚目   早見あかり
添削 春暁のあくび三回目のオムツ
雪濡らすバス待つ我の単語帳   向井慧
添削 雪濡らすバス待つ我の単語帳

小高の地心に刻む春日傘   二階堂高嗣
手酌酒祖父の背中や年歩む   二階堂高嗣
添削 酒を酌む祖父の背中や年歩む
手酌せる祖父の背中や年歩む

ますかけの手にある我の木の葉髪   梅沢富美男
添削 ますかけの手相ぞ我に木の葉髪
桐の花いつかは来ない紙袋   梅沢富美男

白秋や漢字ドリルに書く名前   梅沢富美男
添削 漢字ドリルに白秋の我が記す
何度目のオセロ薄目のこたつ猫   梅沢富美男

▪跡形もなく添削された俳句
炎天に映える黒肌まだ足りぬ   みちょぱ
添削 美しき日焼けの肌をなおも焼く
添削 美しき日焼けの肌を焼く焼く焼く

疲れたなあ追い込む季節冬隣   村上佳菜子
添削 練習終えスケートシーズンは間近

クマわたし揺れる母観て露寂し   市川由紀乃
添削 嫁ぐ秋母へ感謝のテディベア

葉の隙間溢れ蟲くる歯の隙間   くっきー!
添削 木漏れ日やこぼるる飯にたかる虫

▪あと一歩で1位になれた俳句の添削
扇風機市民ホールの舞台袖   小林幸子
添削 開演の舞台袖なる扇風機

夏の雲ソフトクリームと溶けてゆく   嶋佐和也
添削 溶けてゆくソフトクリームそして
添削 溶けてゆくソフトクリームそして
   (・中黒点)

次回は3時間スペシャル

2023年7月27日木曜日

中園孔二の言葉&林芙美子の手紙&格助詞「に」を掘り下げる③

軽視さる子どもの権利ハンモック
お寺カフェ雀頭筆(じゃくとうふで)を握る夏
汗たらり写経極めんお寺カフェ
夏書(げがき)終え一行違え書き直し
夏の風手もみ足もみ油煙墨

■中園孔二の言葉
ぼくが何か一つのものを見ている時
となりで一緒になって見てくれる誰かが必要なんだ

自分の絵は自分が一番見ていると思うけど
自分だけが気づいていることを
他の人にはわからないと思っていることを
❝ポン❞って言われると嬉しい

■林芙美子の書いた「赤毛のアン」翻訳者 村岡花子への手紙
風も吹くなり
雲も光るなり
生きてゐる幸福は
波間の鴎(かもめ)のごとく
縹渺(ひょうびょう)とただよい
生きている幸福は
あなたも知ってゐる
私もよく知ってゐる
花のいのちはみじかくて
苦しきことのみ多かれど
風も吹くなり
雲も光るなり

■夏井いつき俳句チャンネル
格助詞「に」を掘り下げる その③【動作・作用の起こるみなもと】

⑦動作・作用の起こるみなもとを表す(受け身)
盗人に金をとらえる
人にぶたれる
恋人に苦しめらるる薔薇の夜

⑤動作・作用の起こる原因やきっかけを表す
父の日の酒に溺るるばかりなり⇨父の日の酒に病みたるばかりなり
やぶ蚊に苦しむ
恐ろしさにふるえる
前祝いに酒を飲む
山登りに夢中になる
恋人の苦しむ薔薇の夜の深し

2023年7月26日水曜日

ロッチと子羊49&名言

深み増す経年変化炎暑かな
夏を生くタペストリーの一頁
風死すや我が人生の泣訴状
矢立(やたて)使ひて輪郭えがく熱帯夜
鏡の中の質素な浴衣無精ひげ

■ロッチと子羊49

出来事を左右することはできません
人生とは出来事に気持ちを合わせることなのです
エピクテトス哲学の要約

エピクテトス哲学
出来音とは何か?
出来事は2種類存在する
期待こそが人を不安に陥れるものである
なので、期待することをやめる
自分でコントロールできる出来事とできない出来事がある

哲学プラクティス
自分の中で起こる事はできる
外部で起こる事はできない
出来事を区別して対応する(気持ちを合わせる)
コントロールできることに集中する

▪パティシエ 徳永純司
行為は常に共同的なものです
勝つも負けるも自分だけの行為ではありません
和辻哲郎哲学の要約

和辻哲郎哲学は間柄で考察したもの
人間(じんかん)自分だけの行為は存在しない

優勝できなかったのは自分のせいだと思っている
共同行為なのですべてを背負う必要はない

■名言
鎌田洋 曰く
「もちろん、今日の理想の配置は
 明日には変わってしまうものかもしれません。
 それでも、これがいいのではないかと考え、
 行動し続けることが大切です。
 なぜなら、一見、ムダに思えるような
 試行錯誤を繰り返した末にしか、
 本当の理想の姿は見えてこないからです。」

林真理子女史 曰く
「道に迷い込むことによって逆に、
 自分が本当に進みたい道がはっきりと見えてくるということは
 多いのではないでしょうか。」

吉川英治 曰く
「登山の目標は山頂と決まっている。
 しかし、人生の面白さはその山頂にはなく、
 かえって逆境の、山の中腹にある。」

2023年7月25日火曜日

兼題「噴水」

坊主頭や霧立ち込めた夏を行く
まとわりついた山の大気と御来光
炎天下病の兆しありありと
山雀(やまがら)や虎視眈々とホバリング
ベガスではキャッシュの人気夏の星

■NHK俳句 兼題「噴水」
選者 高野ムツオ ゲスト ニシダ レギュラー 中西アルノ
司会 柴田英嗣

第4週のテーマ「語ろう!俳句」
兼題「噴水」
「涼しさを呼ぶ」「人が集まるところ」がポイント
ニシダ 黒岩徳将VS斉藤志歩 中西アルノ

▪一回戦
噴水に人を待つ白ワンピース   青山ネモフィラ
噴水や溺れる羽虫打ちつづけ   ニシダ
(やの切れ字は場面が切り替わりますが
 全く違った場面じゃなくてもいいと思います。
 「古池や蛙飛び込む水の音」でも同じ場面で
 「や」を使ってここでリズムを整えて
 余韻を残すという方法もあります。
 今回も効果的に使われている。)

▪特選三席発表 兼題「噴水」
三席 噴水の止んでひとりになりにけり   川辺靖修(やすのぶ)
二席 噴水にも一礼をして退職す   清水呑舟(どんしゅう)
一席 噴水のなかで時間が混ざり合ふ   野上卓(たかし)

特選
噴水とホットドッグと中也の詩   古賀游
噴水の鉾先誰も傷付けず   はせがわ水素
話さうとすれば噴水不意に止む   山田蹴人
噴水や銃口からはなぜ噴かぬ   北里有李
噴水の何処へも行けぬ高さかな   白石昌弘
噴水のやうに泣ける子だつたなら   横縞

参照
https://www.nhk.jp/p/ts/6Q6J1ZGX37/blog/bl/pLvva3ZRZL/bp/pm3AA45qB2/

▪二回戦
噴水が何も濡らさず落にけり   黒岩徳将
(空虚感 虚無感を詠んだ句
 瀧の上に水現れて落ちにけり 後藤夜半の本歌取り
 「けり」も良く響いて良い句。)
噴水や都に歌のよく流行り   斉藤志歩

黒岩チームは人がいない句 齋藤チームは人のいる句となった

2023年7月24日月曜日

題「見上げる」

(ベルト・モリゾ)愛されて愛され過ぎた暑き日よ
(セガンティーニ)不幸を生きて才見いださる風の香
(NO LIMIT,YOUR LIFE)
走馬灯ALSと告げられて
目高めくALSと闘いて
ALSを生きた証を玉の汗

■NHK短歌 題「見上げる」
選者 岡野大嗣 ゲスト 知花くららさん。司会 尾崎世界観
年間テーマは「グッとくる瞬間」今月は「見上げる」

月をみるこんな真上にあったから気づかなかった時間の後で
岡野大嗣

ちかごろは子どもみたいに笑ふねとビールを飲みほすゆふぐれの母
知花くらら

▪岡野大嗣のグッときた九首 テーマ「見上げる」
空を見る今日の野菜がぎっしりの買い物袋をぶら下げながら
岩倉曰(いわく)
運動会リレーで転んだ目の先に怖い顔したぢいちゃんがゐた
福島隆史
三席 何回も飛ぶ夢を見るこの棟で一番地面に近い寝室
桃園ユキチ
一席 私 地下鉄の階段を駆けて入道雲ずっとむかしに女子高生だった
岡田捺那(なつな)
働かずもらえる金を抱く帰路に見あげる別にデカくない月
喜多抱(いたく)
お仏壇を見上げてじっと掌(て)を合わす早くわたしのおやつになあれ
松尾留美子
二席 「びわやな」と見上げる父を見るために車椅子木の下にとめおり
星田美紀
青空を見上げてよろこぶ人の中わたしは眩しいなって思った
田中佳(よし)
私 スクリーンに役所広司の迫力よまだ私にも涙が出るんだ
高原晴子

▪知花くららさんの表現者の視点
フラメンコを踊ってくださいました。
初めて自分が解放された瞬間を
感じられた表現手段だったそうです。
音楽に身を委ねてリズムを感じて体を使う
フラメンコのダイナミックさに
惚れこんでしまわれたとか…。
「もっとちゃんと踊りなさい」と言われたそうです。
型ばかりを追っていた自分への「げき」でした。
「踊りも音楽だ」リズムを殺さないでほしい。
リズムが体に通ってない踊りはすぐにわかる
「自分らしさとは?」
ちゃんと自分で経験して考えて感じたいタイプ
肌の感覚を大切にしたい

私から「全てはBasicです。」と一言…。
Basicがないと感じられません。

▪それぞれの「見上げる」それぞれの表現
蚯蚓(きゅういん)の腹に蠢く蟻散りて梅雨の冷たき気まぐれを仰ぐ
知花くらら
蚯蚓とはミミズのこと

ママー、あめー、と降ってくる声散ってゆく蟻に暮らしの灯を見ていれば
岡野大嗣

▪ことばのバトン
午後のおやつはいちご大福   矢沢吉美

もちもちで包んだ幸せほおばって   小宮山碧生(あおい)
友の呼ぶ僕のあだ名は悪くない他のやつには呼ばせないけど
皇居松の間で開かれた歌会始に最年少で選ばれた歌

2023年7月23日日曜日

言葉にできない、そんな夜。34

夕凪や気力をなくす無重力
上下関係なき無重力雲の峰
炎昼やドーパミン減る無重力
ふれあいでやる気復活日の盛(さかり)
熱帯夜赤ちゃん歓喜だるまさん

■言葉にできない、そんな夜。34
今夜のゲスト 松下洸平 美村里江 桐山照史 朝井リョウ
司会 小沢一敬

▪テーマ おじけづく自分を奮い立たせるとき
逃げちゃダメだ…
逃げちゃダメだ 逃げちゃダメだ 逃げちゃダメだ
逃げちゃダメだ!
庵野秀明「新世紀エヴァンゲリオン」

履修必須の作品

ファイト!闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト!冷たい水の中を
ふるえながらのぼってゆけ
中島みゆき「ファイト!」

圧倒的なそばにいてくれている感
厳しさの中の優しさ

壁にぶつかっても、孤独に苛(さいな)まれても、
やるべきことをやる。
大切な人に、誇れる自分で自分でいるために。
清水友佳子「最愛第4話」

正義は相対的 流動的
人間の体温を感じる

巨大なものを敵とする場合、なりふり構わず、
自分の正体すら捨てても、逃げるべきだ。
洪水に巻き込まれたら、
荷物や服を捨ててでも生き残ればいい。
失うものは大きいが、
人生を完全に失うわけではない。
伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」

闘うか逃げるかを判断することが大事
人生経験を差し出す言葉

自分の美学・哲学・プライドさえも捨てる

君は残り湯で私の服を洗い、狭いベッドで私を抱きしめる。
その硬い声、慣れた肌の匂い。
私は君が嫌いだった。新しい服が欲しかったし、旅に出たかった。
それでも離れがたかった。
明日懐かしさに揺り起こされたら、もう遠い光の中にいる。
島本理生

どうしようもない愛に縛られている主人公
「残り湯」だけで距離感が測れる

▪テーマ 後回しにしてギリギリで焦るとき
痴れ者のひとり祭り 開催中!   美村里江
一人火サス。   松下洸平
あれ?昨年も…その前の年も…
変われる人かどうかってもうはじまってた。   桐山照史
慌てて見たところで それはもう
締め切り日前日の世界への礼儀のようなものだ。   朝井リョウ  
馬鹿ンス   小沢一敬

▪テーマ 「終わった」と感じたときの気持ち
どうすればいい?
とにかく、早くドアを開けなければ…。
しかし、視界がゆるゆるしている。
切迫しているのに、どこか現実感がない。
これは冷静というのではない。
神経が鈍磨しているのにすぎない。
おれはまだ十分酔っているのだ。
吉村喜彦「ビア・ボーイ」

あんなに盛り上がっていた場は一気に静まり、
歌い終わった私は地獄通りからやって来た
不吉な女になっていた。
針の筵(むしろ)を歩くような思いで席に戻り、
ひきつったままの顔で
ビールをゴクリと飲み干した。
さくらももこ「もものかんづめ」

小沢メモ
さくらももこ「もものかんづめ」が
朝井さんにとって人生を変えた作品

ナンセンス 楽しい時間を提供してくれた
何でもない場所が彩られる

見慣れた景色の中にいるはずなのに、
宇宙から自分のつむじを見下ろしているようだ。
壮絶な焦り、途方も無い諦念(ていねん)、
別方向に振り切った感情の最大値たちが混ざり合った結果、
なぜか❝ゼロ❞になっている。
朝井リョウ

主観から客観へ
0をかけたら全て0
最高の誉め言葉
似てるように頑張った一文   朝井リョウ

2023年7月22日土曜日

理想の本箱&名言

トルティーヤ口内負傷極暑かな
午前二時衣類脱ぎ捨て扇風機
炎熱や汗するたびのドライヤー
(メーヘレン)独創的な贋作創り夏の果
夏芝居孤独携え凛と立つ

■理想的本箱 君だけのブックガイド
選書テーマ 初めてお葬式に行った時に読む本

▪死んでいない者 著者 滝口悠生
記憶が呼び覚まされる唐突さ
ドラマチックさ

▪ハレルヤ 著者 保坂和志
昨日の写真は撮れなくても昨日はなくなる訳ではない
時を飛び越えながら自由に生きている

世界があれば生きていた命は
死んでも生きつづける

あの時点で人生は可能性の放射のように開け、
死はその可能性を閉じさせられない…。 
「こことよそ」本文より

▪おばあちゃんのはこぶね 
著者 M.B.ゴフスタイン 谷川俊太郎 訳 

死を経ても世界をあたたかく照らす術(すべ)がある

よろこびとかなしみはにじのよう
生きている事を祝福しようというメッセージ

私も創られたもので、
私もまた色々なモノを創った。
私たちみんなの存在が、
真実を顕(あらわ)にする
一本の木が、一枚の葉を出現させる、
それこそが真実。
鳥が留まりさえずる枝をつくる、
それこそが真実。
(ああ、私はなんてすばらしい時を生きているのか。)
あなたがなすべき仕事がまだ、残されている。
ねぇ、よく聞いてー
私たちはそんな物語を紡いでいくのよ。
おばあちゃんのはこぶね 巻末に収められている
77才の時ホスピスで書かれた言葉です。

■名言
芥川龍之介 曰く
「我々を走らせる軌道は、
 機関車にはわかっていないように
 我々自身にもわかっていない。
 この軌道もおそらくは
 トンネルや鉄橋に通じていることであろう。」

山本美憂 曰く
「迷うっていうのは、
 やりたいけど不安があるっていうことだと思うから、
 その不安を解消するには
 やってみないと分からない。」

貝原益軒 曰く
「喜びの時も怒りも時も
 何も行動をしてはいけない
 喜びもやみ怒りもやみ
 平常心を取り戻した後に
 事を行なうようにしなさい。」

2023年7月21日金曜日

パウル・クレー 黄金の魚&夕立で一句

朝に夕鳥と山分けブルーベリー
文旦の新芽また逝く夏旺(さか)ん
利己的かつ利他的夏の暁
勇敢かつ臆病竹の皮脱ぐ
夏の風陽射し眩しやさざ波や

■パウル・クレー 黄金の魚 
詩 谷川俊太郎
おおきなさかなはおおきなくちで
ちゅうくらいのさかなをたべ
ちゅうくらいのさかなは
ちいさなさかなをたべ
ちいさなさかなは
もっとちいさな
さかなをたべ
いのちはいのちをいけにえとして
ひかりかがやく
しあわせはふしあわせをやしないとして
はなひらく
どんなよろこびのふかいうみにも
ひとつぶのなみだが
とけていないということはない

パウル・クレーの言葉
「絵はすでにあるものを描くものではない。
 無から生まれてくるものが創造である。」
「まだ道ははるかである。」

リリー・クレー宛の手紙 1933年4月6日
「たとえばぼくがユダヤ人であってもガリチア人であっても、
 ぼくの人格も、ぼくの仕事も、少しも変更をこうむることはないでしょう。
 ユダヤ人も外国人もドイツ人より劣っていることはないというぼくの考え、
 立場は変えられないのです。
 権力者に媚びる悲喜劇的な役割を演じるよりも、
 降りかかる災難を甘受するほうを選びたいのです。」

代表作 パルナッソス山へ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%BC

パウル・クレーはワシリー・カンデンスキーと同級生
パウル・クレーはワシリー・カンデンスキーより難解。
































■プレバト纏め 2023年7月20日
夕立(ゆだち)で一句
夏の季語(子季語として 夕立晴 夕立雲 スコール 驟雨などがある。)

特待生昇格試験
森口瑤子
口々に夕立のこと路線バス
添削(バス停に立っているのか?バスの中に入っているのか?
   そこは明確にした方が季語「夕立」の見え方がはっきりしてくる。)
口々に乗り来夕立の路線バス

千賀健永
驟雨過ぎ海の詩集を買う港
(「驟雨」「詩集」の響きが非常に良い意味。
 静けさ・センチメンタルな感じというムードに似合っている。
 「海の詩集を買う」の後、最後に「港」を出した。
 雨上がりの雨・土・アスファルトの匂いなどがここにあり
 「港」までいって潮風・海の匂い。
 嗅覚の効果を押さえている。)

永世名人 千原ジュニアのお手本
千原ジュニア
750ccの飛魚の如大夕立
添削(躍動感・スピード感がある。
   「~のごと」「~のような」を使う比喩は直喩(ちょくゆ)という。
   直喩は作者の存在が一句の中に残る。
   「~のごと・ような」を使わない比喩を隠喩(いんゆ)という。
   隠喩は作者の存在は句には残らない。)
750cc飛魚夕立(ゆだち)の湾岸線

次回7月27日は「名人・特待生なら間違えようのない俳句クイズ」

2023年7月20日木曜日

俵万智女史の短歌&名言

摘み取った朝顔食卓の茶碗
深川の紅さす女夏の夕
深川をはしゃぐ女と夕立と
夏の色皿とボールと鉢重ね
ミニマムなライン表現独活の花

■俵万智女史の短歌
金曜の六時に君と会うために始まっている月曜の朝

会うまでの時間たっぷり浴びたくて各駅停車で新宿に行く

揺れながら前へ進まず子育てはおまえがくれた木馬の時間

自分の時間ほしくないかと問われれば自分の時間をこの子と過ごす

トーストの焼きあがりよく我が部屋の空気ようよう夏になりゆく

不快指数信じて過ごす木曜日元気がないのは天気のせいだ

アルバムに去年の夏を見ておりぬこの赤ん坊はもうどこにもいない

この夏の心を予約するように贈られている麦わら帽子

陽の中に君と分け合うはつなつのトマト確かな薄皮を持つ

逢うたびに抱かれなくてもいいように一緒に暮らしてみたい七月

ポン・ヌフに初夏(はつなつ)の風ありふれた恋人同士として歩きたい

四万十(しまんと)に光の粒をまきながら川面をなでる風の手のひら

沖に出て小さきカヌーとなりながら手を振るものを若者と呼ぶ

潮風に君の匂いがふいに舞う抱き寄せられて貝殻になる

江ノ島に遊ぶ一日それぞれの未来があれば写真は撮らず

愛よりもいくぶん確かなものとしてカモメに投げるかっぱえびせん

■名言
ラ・フォンテーヌ 曰く
「無知な友ほど危険なものはない。
 賢い敵の方が余程ましだ。」

モンテスキュー 曰く
「私たちは三つの教育を受ける。
 一つは両親から、もう一つは校長から、
 残りの一つは社会から教えられる。
 そしてこの三番目は
 初めの二つに全て矛盾する。」

ジンメル 曰く
「至上の処世術は、妥協することなく、
 適応することである。」

2023年7月19日水曜日

ロッチと子羊48&読書対決

夏の出羽島40秒で潜り獲る
まぜくりは月に一度のお楽しみ(無季句)
阿波の夏金時豆を入れた寿司
夏陽射し吾をじりじりと照りつけん
起き抜けの後ろ姿や夏の朝

■ロッチと子羊48

▪ヘーゲル哲学の要約
否定は肯定の反対ではありません
否定によってはじめて
私たちは存在できるのです

自分の意見を言いやすくするヘーゲル哲学
過去でもない 未来でもない
否定したことによって違う選択肢を一つ一つ消していけた
否定によっていらないものをそぎ落とす
⇨物事の存在は確かになる

正解が解らないものに対して
どんどん否定しても大丈夫❓
否定することによって考え方がはっきりする
よって、以前より解かり合える中になる

みんなでより良いものを作るには否定が必要
理想の結果を目指すにはいらないものをそぎ落とす否定が必要

哲学プラクティス
みんな否定を実は求めている
いい結果に向かう否定はお互いの壁にならない
その先にお互いが求める理想の結果が待っている

否定があるからこそ相手の気持ちがわかる

▪ジラール哲学の要約
物事に深く踏み込むためには
相手をよく見て正しい欲望を
持つことが大事です

他人に深く踏み込むためのジラールの哲学
すべての欲望は模範としての欲望
無意識に自分を重ね合わせるから

対立を避けるために我慢を重ね
深く踏み込めなくなった可能性がある

問題点
他者と欲望が対立しない場合でも
対立を恐れて踏み込まない
対立を別の言葉に変換するとうまくいく
それは「憧れ」
憧れを向けると欲望の一部をかなえられる
相手に憧れを向けると同じ目標に向かう仲間と思える

踏み込んだ関係が築ける

対立の恐れが邪魔をして相手をきちんと見られていない
相手を見ているようで自分の恐ればかり見ている

哲学プラクティス
これからはもっと相手を知ろうとする

■夏井いつき俳句チャンネル
【読書対決!】俳句でプレゼン!ローゼンVS正人【後編】

朝霧や木こりの斧の重たくて   家藤正人
直角に曲がって去るぬ梅雨の猫   ローゼン千津
短夜や猫に小指を吸われゐる   ローゼン千津
サイレンや本にほこりと声と黴   家藤正人

ローゼン・千津女史選
講談社 
伊藤潤二の猫日記「よん&むー」伊藤潤二

家藤正人選
創元推理文庫
「失われたものたちの本」ジョン・コナリー

今回はローゼン千津選が選ばれました。

2023年7月18日火曜日

題「ゆらゆら」

創造は過程にあらん草いきれ
雲海や色と形の交響曲
夏の浜クォ・ヴァディスと問われけり
炎昼をエコを実践救急車
健康か?家計を取るか❓溽暑かな

■NHK短歌 題「ゆらゆら」
選者 吉川宏志 ゲスト 林家たい平 司会 尾崎世界観

今月のテーマ リズムに感情を込める
字余り、字足らず、句切れによってリズムを作る
いかに自分の感情をリズムに乗せるか

ゆらゆらと雪しずむ窓腹の子が眠たいらしく妻もねむれり
吉川宏志

▪入選九首 テーマ「ゆらゆら」
言い残した言葉はないかゆらゆらと浅い呼吸の母に春灯(しゅんとう)
伊東澄子
ゆらゆらと思い出される人がいてあなたにもいる昼過ぎて雨
大津穂波
三席 一本の祖父がゆらゆら火葬場と空を繋いで揺れていたこと
遠藤健人
寸又峡(すまたきょう)夢の吊り橋ゆらゆらと先ゆく夫(つま)のゆらぎと渡る
簾田淳美(みすだあつみ)
まっしろな新米五キロゆらゆらと抱かねば寝ないこともあったと
福山桃花
一席 遺された私の方がゆらゆらとあなたの煙になりそうだった
後藤啓輔
ゆらゆらと一人称の海を行く僕俺私の船を乗り継ぎ
西田浩之
放射線治療の日々がゆらゆらと身体の記憶十年生きた
嶌(しま)菜穂子
二席 先輩のポニーテールのゆらゆらが譜面の外の全てと思う
溝口のぞみ

一席を選んだ理由
立ち添ひて消えやしまなし憂きことを思ひ乱るる煙くらべに
女三の宮

▪表現の最前線
戦後歌壇を代表する歌人 塚本邦雄
前衛短歌を牽引
(けし)にかもぬまで獨(ひとり)身のャーロック・ホームズを朋(とも)と
罌粟は麻薬の原料植物
「し」が歌のリズムを刻んでいる
句またがりに「ムズ」を持ってきたことが後々残る
刻んでいく感じ

▪尾崎世界観 表現の最前線
機械的なリズムの中で表現するから
自由に行ったり来たり出来る
あえて感情を抑えながらの歌だから
それぞれの人生を乗せやすくなる
感情を乗せすぎてしまうと
見ている側が感情を持っていけない

▪林家たい平 表現の最前線
「ぞろぞろ」はリズム感だけで進めていく。
たい平さんの落語の中では秩父屋台話と言う
お祭りの太鼓が鳴り続けている。
先人から受け継いだ基本中の基本を
学ぶことが4年間それがあってから
自分の芸風を確立するために何をするか
基本がないと先には進めないと思っています
短歌も同じで基本があってこそ自分の中でリズムができる
古い歌を自分の中に入れながら
そこから新しいものを作っていく

▪リズムに感情を込めて
言葉は「意味」だけではない
「リズム」によって想いが伝わっていく部分が大きい

細胞のひとつひとつに入っていく
リズムによって人間が活性化されたり
動かされていくということを短歌にすごく感じさせられる

意識したらそこで消えてしまう
自分の知らない部分がいくつかないと魅力はない

▪ことばのバトン
竹の秋触れては破れ土筆水母 ドゥーグル・リンズィー

午後のおやつはいちご大福 矢沢吉美
風景と時の流れを奏でゆく一人のときも二人のときも

2023年7月17日月曜日

兼題「香水」

音楽の視覚化する蚕の蝶
点は音、線は時間や夏の空
木を音符、リズムに見立て夏深む
哲学とポエム融合夏終る
異次元の難解さ夏の暁

■NHK俳句 兼題「香水」
選者 村上鞆彦 ゲスト 福田麻貴 レギュラー 中西アルノ
司会 柴田英嗣

第三週の年間テーマは「人生を詠う」
今週は「恋愛」

▪ぐっとくる名句鑑賞 
木犀(もくせい)や恋のはじめの丁寧語   南十二国

恋はその人のことを想う
心理的距離はすごく近いのに
社会的距離は遠い 福田麻貴

野にて裂く封書一片曼殊沙華   鷲谷七菜子

恋の終わりを詠んだ句
別れの言葉がしたためられていたのかな
それをズタズタに裂くという
曼殊沙華は彼岸花のことで鮮烈な赤が印象的
相手からもらった手紙を引き裂いている
ドラマチックな一句です

和歌では恋愛が積極的に詠まれています
俳句は和歌の流れを汲むジャンルですから
俳句でも恋愛は詠めるんだと知っておいて欲しい

▪特選六句発表 兼題「香水」
香水の一滴離婚調停日   近藤由香子
清拭(せいしき)の湯に香水の一しづく   雅喜(まさき)
香水といふもの持たぬ余生かな   金野(こんの)喜久枝
香水でまた一騒ぎ転校生   齋藤洋(ひろし)
(人事句 「生活・行事の季語」を使って人や暮らしを詠んだ句)
私 焼く前に好きな香水振つてやり   小林禎志(ただし)
(悲しみよりも愛情の方を強く感じる 感受性が強い 福田麻貴)
私 香水とドレスの緋色(ひいろ)のみ残る   中村起一

▪夏井家伝授!
家藤正人&中西アルノ 0から俳句

白玉と愛す人にも嘘ついて   鈴木真砂女
白玉とかけて愛す人にも嘘ついてと解く その心は❓

自分の体験とか自分の記憶とその場面を
結びつけて味わうことができる
思い出とか含めて語ってくれた

0から俳句POINT
「取り合わせ」の句は自由な想像ができる

▪今日マチ子、今日の一句
今はまだ馳せる秋思(しゅうし)や渋谷駅   福田麻貴

秋の暮ハチ公前を避けて待つ   村上鞆彦

▪特選三席発表 兼題「香水」
三席 香水を一滴雲の上に寝る   島田和子
二席 パルファムをつけて瞳強くなる   梅澤春雄
香の強さ(オーデコロン⇨オードトワレ⇨オードパルファム⇨パルファム)
「が」と「の」では音の響きが濁らないのと濁るのでは
内容からするとこの場合は「瞳の」と濁らない方がきれい。
意味としては「が」昔の文法では「が」=「の」
その句によって使い分けをしたい
一席 香水や小瓶の中に雨の森   シュリ
(超現実ではあるが鮮やかなイメージ展観が印象的な句
 美しい香水瓶の中に雨が降っている 森のイメージが広がっている)

▪柴田の歩み
が=の 場合による
(一文字にこだわるのは大事なこと
 一文字たりとも揺るがせにせず)

2023年7月16日日曜日

言葉にできない、そんな夜。33&「墳井(ふけい)」

茗荷の子花抜き取りて食卓へ
母の味瓜のスープで目から汗
朝曇母の茶筅で点てるお茶
滝浴や修行の如くシャワー浴ぶ
大概にしろ夏を悪臭岸化学

■言葉にできない、そんな夜。33
ゲスト 木村カエラ 桐山照史 ヒャダイン 村山由佳
司会 小沢一敬

▪今夜のテーマ うれしい以上のうれしい
人生でいちばんうれしかったこと
天にも上る以上の気持ち ヒャダイン
僕の子供に生まれてきてくれてありがとう 桐山照史
涙(るい)は友を呼ぶ

心をコショコショくすぐられて、
思わず笑みがこぼれたよ。   木村カエラ

心を不可抗力で喜ばされた ヒャダイン

うれしいがあふれるとき 心⇨体⇨表情 木村カエラ

「第一話、見たよ。『サウンドバック』」
緊張と興奮に背筋が伸びる。
(中略)
瞳が身構える間もなく、王子が言った。
「おもしろかった」と。
息が詰まって、呼吸できなくなる。
誇張でなく、そうなった。鳥肌が立った。
―おもしろかった。
彼の声が身体の内側で反響する。
足先があたたまって、震える。
辻村深月「ハケンアニメ」

確かめて理解するまでに時間がいるうれしさ 木村カエラ
心では制御できない ヒャダイン
身体を通ていった言葉だけを書いている 村山由佳

人間にはどうして
こんなに深いよろこびが
与えられているのだろう。
まぶしいような
彼はそう思った。
武者小路実篤「友情」

根源的な問い 村山由佳

かつてないほど心が浮き立ち、
ダイアナは恍惚となる。
こんな会話に心の底から飢えていた。
この時間が永遠に続けばいいと、
涙が滲むほど強く願う。
柚木麻子「本屋さんのダイアナ」

恍惚とは物事に心を奪われてうっとりする様子

嬉しさとどん底が極端にある 木村カエラ
人と同じモノをシェアすることなんて楽しい ヒャダイン

▪街中でこけたとき この気持ちなんて言う
何も聞かれてないケド 桐山照史
ケガなし!服、異常なし!大!優!勝! ヒャダイン
間違った文字を消すように
その瞬間だけ消しゴムで消した。
去った後に残った消しカスが
私の恥じらいとしてついてきた。
あとは表情を消さなくては。 木村カエラ
しばしご歓談ください。 村山由佳
えっ!?俺が地球で地球が俺で!? 小沢一敬

▪テーマ 誕生日が来て年をとるときの気持ち
「私、ニ十歳になる準備なんて
 全然できてないのよ。変な気分。
 何だかうしろから
 無理に押し出されちゃったみたいね」
村上春樹「ノルウェイの森」20歳のときの気持ち

他人事感な文章 第三者視点 冷静さ 客観性 ヒャダイン

彼女は一月に30になったばかりだった。
彼女はまだ分水嶺のあちら側にいた。
彼はもう分水嶺のこちら側にいた。
そう考えるとなんだか不思議な気がした。
村上春樹「プールサイド」35歳のときの気持ち

得たものではなく自分が失たものについて書いている 村山由佳

小沢メモ 
分水嶺とは
「雨水の異なる水系に分かれる場所」という地理用語
「物事の方向性を決める分かれ目」と言う意味もある。
35歳問題
人生の選択について葛藤する時期が35歳ごろに訪れる

誕生日が近づくと周りが
「いくつになるんですか?」とかいうんだけど、
いつ生まれたのかこだわるのなんて
ワインだけでよくない❓
小沢一敬 42歳直前の気持ち

昔描いた「未来」との
距離感、違和感、増すばかり。
こそばゆい新しい数字
慣れる頃にゃ次の誕生日。
ヒャダイン

頭の中は二十歳の頃から変わっていない 村山由佳
偉人が年下になっていく ヒャダイン

ふと立ち止まって両手を見れば
いつのまにかずいぶん荷物が増えていて、
でもどれもこれもがだいじだから
このまま抱えて歩いてく。
お疲れ、あたし。
休んだら、またもうちょっと先まで
行けそうかい?
村山由佳

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「噴井(ふけい)」

「ふきい」とも言いますが
この字を書いて「噴井(ふけい)」と読みます
同う季語かと言いますと
清水が噴き出ている井戸のことです
地理的なことを言うと山麓や扇状地の末端などに
見られるそうです
情報を調べてみると現在でも色々と「墳井」はあるようで
富山の「黒部川扇状地」等が有名で
共同の洗い場として現在でも使われているそうです
「墳井」というもののメカニズム
水を通しやすい帯水層というものが地下を走ってて
そこの地下水がどんどん流れているそうです
そこは地下水の量が多いため水圧が強い
その水圧の強い帯水層に地上から管を打ち込むと
水圧によって自然と水が湧き上がってくる
そういう自分で「墳井」を作れる
「自墳井」と言うものが出来るそうです
ちょっとやってみたい気もしますねぇ
おいそれと出来なそうですが

2023年7月15日土曜日

理想的本箱&「滴り」

ニューヨーク元はオランダ植民地(無季句)
(2023年夏)風なくば胸をはだけて扇風機
熱帯夜回り続ける換気扇
炎昼や強い湿度に怒髪せり
クーラーや就寝中は止められぬ

■理想的本箱 君だけのブックガイド
選書テーマ 
自分の見た目が気になる時に読む本

ルッキズム
容姿や身体的特徴で人を判断する外見主義

▪クリティカル・ワード
ファッションスタディーズ
私と社会と衣服の関係 
藤田裕史 藤嶋陽子 宮脇千絵 編

ファッションスタディーズ
ファッションを哲学 社会学 文化人類学 
メディア論 ジェンダー論などから研究

人を見た目で判断することとは❓
適切な評価とは何か❓
セットで考えていかなくてはならない問題。

▪アンソーシャル・ディスタンス
著者 金原ひとみ

デバッガー
不具合やバグを取り除く人

私は大山君と付き合っているのではなくて

老いに怯えながら彼と一緒に居たいと願う自分と
付き合っているのではなかろうか❓

彼女のエゴが膨張していく様子が描かれていた

自分の見た目が気になるあまり
他者との関係性がうまく構築できない

自分は他社の視線の数だけある

一個の鏡でしか見えなくなった視界の狭さ、
自意識なのか❓世の中なのか❓

▪ぜんぶ体型のせいにするのをやめてみた。
著者 竹井夢子

私が思う美しさとは何か
外見に対する努力とはどんなことか
自分の頭で考えることが大切だと思います

自分らしさの肯定
勇気のある一冊

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「滴(したた)り」

「滴る」という動詞の形で使うこともあります
この「滴り」がどういう季語かと言いますと
ただ例えば蛇口からポタポタ水が落ちている
そんなもののことは季語「滴り」とは言わないのです
どういうものをいうかと言いますと
崖の岩肌を伝わったり苔などに沁み込んだ水が
水滴となって下にポタポタとと落ちる
「清水」のことを「滴り」と呼ぶんですね
ジャンルとしては「地理」に分類される季語です
実際に山に行ったりすると「滴り」という季語の現場に
立ち会う事ができるかと思います
よくあるのが雨が降った後の雫とか
鍾乳洞で見かける雫なんかの事を
「滴る」と表現した句に出会うこともありますが
厳密にはそれらは季語「滴り」にはならないので
注意が必要です

2023年7月14日金曜日

パフェで一句&兼題「蛸」&読書対決!

外来に溢れる笑顔溽暑かな
煩雑なマイナ保険や油照
患者より多きスタッフ夏旺ん(さかん)
不自由を一歩踏み出す夏深し
炎昼や押す車いす笑みと笑み

■プレバト纏め 2023年7月13日
パフェで一句

永世名人フジモンのお手本
藤本敏史
パフェグラス底まで至る匙盛夏

特待生昇格試験
立川志らく
桃のパフェに溺れ死海の謎解き

本上まなみ
パフェ二塔はさむ二人の夏終わる

1位 結城モエ
結い髪の従姉はパルフェ風涼し
(「パルフェ」はフランス語でパフェのこと。)

2位 かたせ梨乃
夏帽子Wi-Fiのある町屋カフェ
添削
夏帽子ぬぎWi-Fiの町屋カフェ

3位 辰巳琢郎
白雨くるパフェのはしごの初デート
添削
白雨くる来る二店目の恋のパフェ

4位 西村真二
兄とパフェ桜桃懸けた匙の殺陣
添削
兄の匙と戦うパフェのさくらんぼ

次回のお題は「夕立」

■ギュッと!四国
夏井いつきの俳句道場
兼題「蛸(たこ)」夏の季語 傍題には蛸壺がある

蛸売り場昨日も横目に今日も見た   かず
じいちゃんが安う買(こ)うても蛸こうた   平々凡子
秀作 朝市やトロ箱逃げる蛸買い来(く)   たま
秀作 蛸逃げる排水口の穴狭し   森静香
面食らう飯(いい)蛸釣りの餌らっきょ   小田毬藻(まりも)
秀作 どこからが頭で胴で岩で蛸   清水縞午(しまうし)
秀作 金突(かなつ)きの先に隠れたつもりの蛸   つしまの珠紋(たまもん)
蛸壺やもがきもがいて死を待つか   比呂
佳作 指間から揉み出る脚や蛸洗   芳昭
島めぐり旬蛸料理舌鼓   森正則
釜上がり湯気を香るや蛸御膳   大西けん坊
炊き上げて玉となりたる赫し蛸   朱胡江
(添削 赫き蛸 もしくは 蛸赫し)

▪秀作への道
季語の鮮度
眠りから目覚める姿蛸に似て   田頭京花
蛸の如大楠の枝広がれり   小野蝶花
蛸のごと自由自在の妻強し   よっちゃん
蛸の足ぶち切るように受話器置く   マーゴとレニー
(添削 受話器叩き切るように蛸足ぶち切りぬ)

全部蛸を比喩に使っている
比喩で季語の鮮度が低下

▪ギュッと特選
蛸いましめる行商の婆(ばば)の素手   せのおあまん

選句のポイント
季語の現場の人物描写が素晴らしい

次回の兼題「阿波踊(あわおどり)」秋の季語
ポイントは細部を見て細部を描写する

■夏井いつき俳句チャンネル
【読書対決!】どっちが読みたい?ローゼン VS 正人【前編】

ローゼン・千津女史選
フィールコミックスSWING
「女の園の星」和山やま

講談社 
伊藤潤二の猫日記「よん&むー」伊藤潤二

家藤正人選
創元推理文庫
「失われたものたちの本」ジョン・コナリー

2023年7月13日木曜日

言葉にできない、そんな夜。32

朝凪やタヒチを想うアレアレア
ゴーギャンの愛したタヒチアレアレア(無季句)
晩夏光(シャガール)妻への愛を描きつづけ
煙草燻らす取り持ちばばあ沙羅の花
旱星(ひでりぼし)ソバーキュリアス急増中

■言葉にできない、そんな夜。32
ゲスト 木村カエラ 桐山照史 ヒャダイン 村山由佳
司会 小沢一敬

▪テーマ 夏の到来に心躍るとき
心はうわの空 指折り数える
ばら色の夏休み
笑顔が似合う 楽しくなる 理由(わけ)もなく胸ドキドキ
体中が感じてる空と海のハーモニー
灼け付く陽射し 激しく揺れ 湧き出す勇気 今なら
打ちあけられそう 心も程よく 夏だね
TUBE「夏だね」

小沢メモ
TUBEの冬に出したシングル曲「冬のプレゼント」
マジで嫌いな冬の訪れ 冷めた銀の世界
TUBE「冬のプレゼント」

夏になるに従って、
町そのものが
障子を取り外したようになった。
佐多稲子「素足の娘」

夏の初めの
白墨(はくぼく)の粉のような日の光が 、
ちらちらちらちらと降るばかりだった。
久米正雄「学生時代」

蝶の銀粉のような日ざし   村山由佳

飛び込みのシーズンである夏の到来を
最初にかぎつけるのは
自分の血液だろうと知季(ともき)は思う。
沸々する感じ。
赤身が増す感じ。
一気に加速する感じ。
森絵都「DIVE!!上」

狂騒と焦燥と興奮と後悔
何もかも全部ある季節
嫌いになんかなれっこない
小沢一敬

夏本番と言うけれど夏にリハーサルなんてないのにな
小沢一敬

▪トイレに間に合うかどうかの瀬戸際
今スタートラインに立っている。
どうかピストルを鳴らさないで。
フライングしてしまう。
木村カエラ

俺の俺…
世界で1番
しゃべるやん
桐山照史

ゆらさないで
話しかけないで
いっそ世界よ 今終わって
村山由佳

過去の悪事は謝る!
未来のラッキーは前借する!
だから だから…
オラに力を!!!
ヒャダイン

本日、運行に乱れあり
小沢一敬

▪褒められたい 認められたい 承認欲求
気づいてほしい
認めてほしい
それだけの行為だった
返してほしい
愛してほしい
そんなの愛じゃなかった
藤井風「やば。」

見返りを求めるようになると愛じゃなくなる
精神の餓鬼
村山由佳

如何でしょ 私のダンスダンスダンス
ねぇどうでしょ? それなりでしょ?
一人きり 見よう見まねで憶えたよ
凄いでしょ?
異常な世界で凡に生きるのがとても難しい
令月にして風和らぎ まあまあ踊りましょ
米津玄師「でしょましょ」

わたしはトクベツ。
わたしはトクベツ。
あなたたちとはワケがちがう。
うらやんで、あこがれて、ののしって!
ああきもちいい、シアワセ。
なのにずっとお腹はペコペコ。
喰っても食っても、くっても、クッテモ。
ヒャダイン

カタカナのところだけ「ウソの言葉」   桐山照史

努力があってその結果がある
何もなく褒められても満たされない   木村カエラ

自分で自分を認められたときでないと承認欲求は満たされない
村山由佳

凡だけど目立ちたい二律背反

何卒 私に与えて下さい。
一点の駆引ございませぬ。
(中略)
困難の一年でございました。
死なずに生きとおして来たことだけでも
ほめて下さい。
太宰治

小沢メモ
泣訴状(きゅうそじょう)と呼ばれ全長5mにも及ぶらしい

2023年7月12日水曜日

沼にハマってきいてみた 短歌沼

故郷の山迫りくる夏の雲
ぽたぽたと落ちゆく汗ややる気失せ
(USオープン)
CORPUZ選手胸より腹に余裕見る
HULL選手点のゴルフに挑みけり
HATAOKA選手執着し過ぎなくす感

■沼にハマってきいてみた 短歌沼

▪心に響いたマンガの名言10選!
あきらめたらそこで試合終了ですよ…? SLAM DUNK 安西光義監督
生き様で後悔したくない 呪術廻戦 虎杖悠仁
美しく最後を飾りつける暇があるなら最後まで美しく生きようじゃねーか 銀魂 坂田銀時
“海賊王”に!おれはなるっ! ONE PIECE ルフィ
下げる頭持ってなくていい 人を想う“心”を持て
生殺与奪の権を他人に握らせるな! 鬼滅の刃 富岡義勇
背中の傷は剣士の恥だ ONE PIECE ゾロ
ところで平凡な俺よ 下を向いている暇はあるのか ハイキュー! 田中龍之介
何も捨てることができない人には何も変えることはできないだろう 進撃の巨人 アルミン
ひとにできて、きみにだけできないなんてことあるもんか。 ドラえもん ドラえもん

▪出演者選マンガの名言
嘘はとびきりの愛なんだよ? 推しの子 星野アイ
たくあんたべてんのかと思った みかん ユズヒコ
恵まれすぎてる 僕のヒーローアカデミア デク
これでいいのだ 天才バカボン バカボンのパパ

▪短歌
これ見れば短歌の世界がわかるはずいきなり詠めたらカッコいいぬ~

新学期となりの席の男の子お道具箱でバッタを飼ってる 
葵(姉・中1)作

ふうせんが九つとんでいきましたひきざんはいつもちょっとかなしい 
聡介(弟・小4)作

初めての茶道部の日の新しいくつ下の白メモ帳の白 


タンポポの綿毛で練習したおかげ二歳のろうそくふぅーっとひと息 
母聖子さん作

明日から私の後ろは君の席今日からシャンプー増量月間
宮崎西高校・文芸部

不安げな新入生とガーベラを高校という日向へ迎える
牧水・短歌甲子園 優勝 古谷

黄昏と夜の境界線を探すあなたの瞳は十八時
古谷(高3)作

フォト短歌
ヨルシカのライブTシャツ壁掛けて願掛けをした当落発表

そういえば真っ白だったスニーカー3年経ってもりやまっしろ(自分の色)

知ってるかい年々増える外来種賢くなってイカでは釣れぬ
ハマ・オカモト作

出世魚?見たことないよ外来種?沼にいるから淡水魚かな
サーヤ作

手ブレ気味息子の勇姿を追う時はプロカメラマンもただのお父さん
オーイシマサヨシ作

湖と池と沼とのその違い調べてみよう収録のあと
葵(姉・中1)作

ぬっしーの下がわどうなっている?ぬまにもぐってひみつをみるよ
聡介(弟・小4)作

ケーブルは星座のように繋がってテレビ局とは小さな銀河
古谷(高3)作

2023年7月11日火曜日

題「職場でのこと」

涼やかを揺蕩う瓜や井戸の脇
晩夏光ますます増えるガラパゴス
必要なき機能つけすぎ秋を待つ
ふだん着とよそゆきの人晩夏かな
山枇杷や思考停止の待ち時間

■NHK短歌
選者 山崎聡子 ゲスト 五月女ケイ子 司会 ヒコロヒー

年間テーマ「伝えられなかった思い」
6月は「職場でのこと」

「新人はいいから後ろで見ておきな」フリルの戦闘服の先輩
上坂あゆ美

▪つぶやきを短歌に
トラックで朝を運んで行く人を夜に浸(ひた)したこの目で見た
山崎聡子

▪てれび歌会
入選九首 テーマ「職場でのこと」
三席 もう二度と入ることなき教室に蛍を放つように辞めたり
水鳥
一席 打ち抜きの当番がきてシスターのように社訓を読みあげる朝
ひびの祈り
二席 15階富嶽(ふがく)快晴借景に部長がカラス導き座る
掛口弘
 ブラックと今は言はれてゐるけれど職員室の夜の珈琲
浅井克弘
派遣さん、と呼ばれるひとの本当の名を呼ぶほんの少し大きく
神守(かみもり)彩枝
注文書納品書の束分ける手が昨夜(ゆうべ)のきみの手を忘れゆく
星田美紀
仕事場の冷凍倉庫の端の端つららを育てているのは私
高橋裕樹
問い合わせコールと雨が止んだ午後5時いっせいに虹を見ている
風鈴
 竜巻に巻かれる城を遠くからながめるような昔の職場
樋口淳一郎

▪五月女ケイ子さんの「職場でのこと」
歩数計今日も100歩を切ったけど私の机はどこでもドアー
五月女ケイ子

▪ことばのバトン
過去退(の)けたるは春筍か   井口吾郎

竹の秋触れては破れ土筆水母(つくしくらげ)
(掬う掌のくらげや生命線深く)
ドゥーグル・リンズィー(海洋生物学者)

2023年7月10日月曜日

兼題「日向水」&名言

熱帯夜チルドリンクに酔いしれて
画一化された幸せ晩夏光
可視化され共感されて溽暑かな
死ぬるまで生くる人生雨蛙
つつましく日々呼吸せり夏深む

■NHK俳句 兼題「日向水(ひなたみず)」
選者 山田佳乃 ゲスト 横山だいすけ 司会 柴田英嗣

年間テーマ「俳句とエコロジー」
今週の兼題「日向水(ひなたみず)」
忘れられあるが如くに日向水   高浜虚子

▪名句de穴埋めクイズ
わらぢ売る土産物屋の日向水   浜崎壬午(じう)

▪特選六句発表 兼題「日向水」
通るたび海女の触れゆく日向水   須田真弓
避難所の夕陽の眩し日向水   藤雪陽
日向水風の緑を宿しけり   じゃすみん
突然の雨突き刺さる日向水   北村浩子
空色の小さき着替えと日向水   杉本美佐子
瀬戸の海見て子を洗う日向水   大洋(たいよう)

▪夏井家伝授!家藤正人&中西アルノ
0から俳句

取り合わせの名句
白玉や愛す人にも嘘ついて   鈴木真砂女

0から俳句POINT
「取り合わせ」作者から読者に投げかけるなぞなぞ

▪横山だいすけが一句披露
太鼓の音急ぎて流す日向水   横山だいすけ
添削
太鼓の音聞きて飛び出る日向水

▪特選三席 発表!
三席 雲一つ風で四つに日向水   杉村裕(ひろし)
二席 鉢の死の少し動きぬ日向水   容市
一席 日向水通る人影みな濡れる   久信田史夫

▪柴田の歩み
宿しけりを使いたし

■名言
オードリー・ヘップバーン 曰く
「どんな日であれ、その日をとことん楽しむこと。
 ありのままの一日。ありのままの人々。
 過去は、現在に感謝すべきだということを
 わたしに教えてくれたような気がします。
 未来を心配してばかりいたら、
 現在を思うさま楽しむゆとりが奪われてしまうわ。」

マトリックス より
「道を知っていることと実際に歩くことは違う。」

K・ヘプバーン 曰く
「正しいか間違っているかなんて
 どうだっていいこと
 重要なのは逃げ出さないことだけ。」

2023年7月9日日曜日

理想的本箱&名言

復活なきキリスト教蛍飛ぶ
通貨安によるインフレ梅雨じめり
人力と根性で勝つ梅雨の月
エッシャーは無限を有限へ朱夏(しゅか)
夏の日やパウル・クレーが突然に

■理想的本箱
選書テーマ 戦争が迫ってきた時に読む本

▪戦争は女の顔をしていない
著者 ズヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
三浦みどり訳

戦場に確かに存在した名もなき女性たちの感情

彼らが語るとき、わたしは耳を傾けている…
彼らが沈黙しているとき、わたしは耳を傾けている…

▪短くて恐ろしいフィルの時代
著者 ジョージ・ソーンダーズ
岸本佐和子訳

独裁者になるきっかけは失恋だった。
いつ誰がなってもおかしくない。
と、警告を届けられていた。

他者とみなしたものを根絶やしにしたがる
人間のエゴにまつわる物語

私たちの中にフィル(熱狂的独裁者)はいる。

▪ひろしま
著者 石内都

身につけていた人たちの日常と生を静かによみがえらせる

今、私に出来ることは、
眼の前にあるモノ達と共有している
空気にピントを合わせ、
その場の時間をたぐり寄せながら
シャッターを押すだけだ。
石内都「在りつづけるモノ達へ」より

幅允孝氏(ブックディレクター)
凄く尊い、覚えていたい、忘れたくない
切実に思った一冊でした。

■名言
赤毛のアン より
「人生は広くもなれば狭くもなる
 それは人生から何を得るかではなく
 人生に何をそそぎ込むかにかかっている。」

ジェームズ・オッペンハイム 曰く
「愚か者は、幸福をどこか遠いところにあると
 思い込んでいる。
 利口者は幸福を足元で育てている。」

ビル・ゲイツ 曰く
「自分が出したアイデアを、
 少なくとも一回は人に笑われるようでなければ、
 独創的な発想をしているとは言えない。」

2023年7月8日土曜日

若者の「○○離れ」の論点&稚児俳句

ついり雲作りし自分に酔いしれて
夏の猫残る野性よ小鳥食む
梅雨寒し聞くに及ばず右顧左眄(うこさべん)
駅わじきオオムラサキの雄の羽化
髪洗ふ作る流行に踊らされ

■マーケットアナライズCONNECT より
若者の「○○離れ」の論点
若者の消費は自分を満たすことには消費を惜しまないが
それを追求したいが故にその他の消費においては賢く消費を抑える
⇨必要でないモノをわざわざ自分が消費する必要があるか検討する

将来に対するビジョンが見出しにくく
且つストレスに溢れる現代社会を生き抜いていく上で
消費者の志向は現在思考となりがち

価値観が多様化し、従来の幸福や価値観に変化が

■ワルイコあつまれ
稚児俳句
ガーン
ポイント 感情を表す言葉は使わない方がよい

ワンピース泥はねガーン五月晴れ   高柳克弘
(五月晴れ 梅雨の晴れ間のこと)

くじ引いてガーン夜店の灯が眩し   辻内京子
(夜店が夏の季語)
ポイント 「ガーン」で感情を表現するかわりに
くじの結果は省略

窓開けて雨降りガーンくせ毛バーン   松尾葉翔
(無季俳句)
ポイント 戦争や災害など重い内容を詠む場合は
     季語を使わないこともある
添削
ほよほよのくせ毛にガーン梅雨長し   辻内京子
(ほよほよはオノマトペ 
 様々な状態や動きなどを音で表現した言葉
 オノマトペは独自性があり
 情景をイメージしやすい表現が望ましい
 梅雨長し 夏の季語)

五月雨やくせ毛うつれる窓にガーン   高柳克弘
(五月雨 夏の季語 梅雨の時期に降る雨のこと
 や切れという伝統的な手法 上五でや 下五名詞で終わる)

これからわたしはあ~や切れだ~   松尾葉翔

2023年7月7日金曜日

冷やし中華で一句&「花冷」深堀り

出荷待つ日日草の赤く燃え
今日もまた鍛うミエリン梅雨の星
梅雨の空再ミエリン化待ち焦がれ
ニーチェ説く永劫回帰ついり雲
仏教や輪廻転生西日射す

■プレバト纏め 2023年7月6日
冷やし中華で一句

永世名人 ジュニアのお手本
千原ジュニア
町中華日傘を開く最後尾
(考え抜かれた語順。カメラワークが良かった。季語が主役に立っている。)

永世名人への道
横尾渉
炎天の列や限定二十食 
(炎天や限定二十食の列 千原ジュニア)

特待生昇格試験
中田喜子
遠き日の銀座冷麵(ひやめん)待つもよし 
(「遠き日」思い出を含んだ時間情報。思い出が心の中。
 今自分はそれを待っている。思い出と共に来るの待っている。
 冷麺を待つ時間と二つ重ねて、読み手に共有させている。
 「遠き日」長い時間「待つ」
 短い時間この時間軸を上手くダブらせている。)

1位 水野真紀
冷やし中華明日(あした)も朝練あるってよ
(明日はあすと読んだ方がリズミカル。)

2位 弓木奈於
夏風やふるさと恋し甘酢の香
添削(三段切れ。語順。)
ふるさとの夏風恋し甘酢の香

3位 八嶋智人
玉の汗金糸玉子を刻む子や
添削(私感 金糸玉子は錦糸卵と記すべきでは❓)
金糸玉子きざむ子の指汗の額(ぬか)

4位 椿鬼奴
冷やし中華残りし胡瓜母にらむ
添削(中七の表現があいまい。)
冷やし中華胡瓜残せばにらむ母

次回のお題は「パフェ」

■夏井いつき俳句チャンネル より
【季語】「花冷」を深掘りしてみました!

小学館 日本国語大辞典
花冷とは桜の咲く頃、急に寒くなること
また、その寒さ 春の時候の季語

河出書房新社 歳時記には
花冷え 花の冷え 花冷ゆる が傍題に掲載されている

角川書店 昭和三十九年刊行
花冷え 傍題なし

講談社 昭和五十三年刊行 編者:鷹羽狩行 
花冷 桜冷 

講談社 昭和五十七年刊行
花冷 傍題として花の冷え

大泉書店 昭和六十一年刊行 編者:水原秋櫻子
花冷 「自然」に収録

講談社 平成十二年版 
花冷 傍題として花の冷え

雄山閣 平成十三年
花冷え 花冷ゆるの例句が掲載されている

角川学芸出版 平成二十年
花冷

角川書店 令和四年刊行
花冷 傍題は無し 例句には桜冷 桜の冷えが掲載

時代と編者によって把握の仕方、考え方の違いがある
歳時記に絶対はない
自分の意志をしっかり持つと良い

2023年7月6日木曜日

ロッチと子羊32&名言

風薫る体系化せり集合知
青時雨可視化されたる境界線
五月山雨の紗幕に守られて
夏の雨窓は閉ざすもくぐもりて
私語のごと夏の岩肌滴れて

■ロッチと子羊32
▪飽きたら無理に続ける必要はありません
無限の可能性を秘めた可塑性(かそせい)においては
最初の一歩が達成なのですから
マラブー哲学の要約
(可塑性とは造形するというギリシャ語から派生した
 フランス語「プラスティシテ」の訳
 形が変わることを意味する)
可塑性とは常に新しい形に変化すること

可塑性とは
自らの未来を形作りながら運動し続ける状態
マラブー的可塑性

目標達成orそれ以外の充実感
目標は唯一絶対ではない

哲学プラクティス
永遠に完成なんてない
小さな達成が積み重なって
物事は未来に向かって行っている
パイオニア精神を活用して
新境地を切り開いていけばいい
進展していくのを見守って
また次のことに着手する

▪凝り性で切り替え下手

凝り性は行き過ぎると止まりません
そんな時は考えられないことを考えましょう
ラッセル哲学の要因

心配性の裏返しです
心配する気持ちが強くなるから
凝ってしまってやめられない

凝り性×心配性=やめられない 止まらない

思考のスイッチをオフにする
ラッセルが考えた思考のスイッチをオフにする方法
1考えるべきときに考え決断する
2決断は覆さない
3振り返らない
4自己を超越するものを思考する

哲学プラクティス
心配してしまう思考のスイッチを
思考でオフにすることはできない
ある別の思考をオン

思考のスイッチがオフ

■名言
サルバドール・ダリ 曰く
「完璧を恐れるな‐絶対に到達できない。」

J・K・ローリング 曰く
「その人がどんな人かを知りたい時、
 同等ではなく、下の人をどう扱うかを見ればいい。」

ユダヤの格言
「人には口が一つなのに、
 耳は二つあるのは何故だろうか。
 それは自分が話す倍だけ
 他人の話を聞かなければならないからだ。」

2023年7月5日水曜日

言葉にできない、そんな夜。31

梅雨穴や裏切られたらさようなら
(山下りん)花橘イコン画家となるために
OutlookにたまるSpamや井水増す
沙羅双樹(さらそうじゅ)はかなさゆえの愛らしさ
五月晴れ蚯蚓の糞で存(ながら)えて

■言葉にできない、そんな夜。31
ゲスト 木村カエラ 桐山照史 ヒャダイン 村山由佳
司会 小沢一敬

▪今夜のテーマ 大好き以上の気持ち
ねぇ どうして すっごくすごく好きなこと
ただ 伝えたいだけなのに 
―DREAMS COME TRUE「LOVE LOVE LOVE」

「大好き」すぎると涙が出ちゃう

話したいことよりも何よりも
ただ逢うために逢いたい。
竹久夢二

ボクは文ちゃんがお菓子なら
頭から食べてしまいたい位
可愛い気がします。嘘じゃありません。
芥川龍之介

甘やかなのに凶暴 村山由佳

誰に何言われても、もうええわ
二人で仲良う、汗かこか 村山由佳(ちゆどーんとなりました)

すると彼女は、ふいに切羽詰まった声で、
ほとばしるように言った。
(逢いたい)
心臓が押しつぶされて、息ができない。
ひとを殺す気か、と思う。
村山由佳「おいしいコーヒーのいれ方」

愛情と破壊的なものは一緒 ヒャダイン
呼吸感 感情の起伏

感情を飲み込むとき心が壊れる 村山由佳

あなたはとてつもなく強力な力で私を吸い込む。
謎めいていて奥深い。私の中で渦巻くブラックホール。
木村カエラ (宇宙規模の愛)

▪この気持ち、どう表現?
ティッシュを一緒に洗濯しちゃった!

悩みは常に自分自身にまとわりついてくるものだ。
ついにそれが目に見える形となって姿を現した。
「あんた解決してみなよ」と言われてる気分になった。

トリプル「しー」
・はらだたしー・むなしー・やりなおしー 桐山照史

神(紙)が私を試している…。 村山由佳

あーあ地球、爆発しねぇっかな~ ヒャダイン

驚きの白!! 小沢一敬

▪涙の表現、なんて言う?

目滝 涙腺のパッキンやばめ ヒャダイン
涙は友を呼ぶ

涙が流れる瞬間

目の前の景色がふくれあがり、
水の底のようにゆらゆらと揺れた。
泣いているのだと
しばらくしてから気づいた。
角田光代「対岸の彼女」

窓から見えるきれいな真ん丸の月が、
じわじわとにじみ、揺れはじめた。
座ったままうずくまるような格好で
泣いた。
重松清「バスに乗って」
自分の感情が何かに負けた瞬間悟られたくない ヒャダイン

嘔吐の後には
とめどなく涙が流れた。
ぼろぼろという音が聞こえそうなほど
勢いよく大きな滴が目から垂れる。
金原ひとみ「ミーツ・ザ・ワールド」

流れるな 涙 心で止まれ
流れるな 涙 バスが出るまで
中島みゆき 「化粧」

小沢メモ
涙にはうれし涙、悔し涙以外にも種類がある
熱涙 興奮・感激して流す涙
暗涙 人知れず流す涙
血涙 つらい時に流す涙 「血涙をしぼる」のように使われる
   涙が枯れて目から血を流したという中国の話から

瞬きもせず、何かから逃れるように、
わたしから逃れるように、
涙は夜を目指す生き物のように、
わたしの頬を這い、
あとからあとから流れていった。
川上未映子「すべて真夜中の恋人たち」

泣いたら全部が壊れてしまうー。
そう思って我慢し続けていたら、
危うく自分が壊れるところだった。
泣き方を忘れるくらい久々だったのに、
涙も鼻水も大量にあふれてきて、熱くて、
しょっぱくて、顔じゅう痒くなって、
ああ、生きてる、と思った。
大丈夫。
生きてる。
村山由佳

涙は心の掃除 木村カエラ
涙は圧力鍋の逃し弁 村山由佳

2023年7月4日火曜日

題「海」

路傍のアガパンサスや涼しげに
梅雨の月マンダラートの埋められず
山桃や着果おおすぎ熟れられず
大賀ハス午前五時より開花せり
苔茂る転ばぬようにそろりそろ

■NHK短歌 題「海」
選者 川野里子 レギュラーゲスト 内藤秀一郎 深尾あゆむ 司会 ヒコロヒー
年間テーマ「私に会おう」

▪三十一音の物語
上の句と下の句の関係

色褪せて砂浜にひとつ漂着す海を歩いてきたゴム草履
川野里子
上の句は景 下の句はその風景を見て感じた心を表現
言葉と言葉の間に弾力 バネが生まれる

白鳥はふっくらと陽にふくらみぬありがとういつも見えないあなた
渡辺松男
上の句と下の句が化学反応を起こした

▪入選六首 題「海」
未来から来たのか過去へ来てるのかこのカーナビは海上を行く
みくに
一晩で眠りの海を泳ぎ切り最後のタッチで止める目覚まし
秋山楓
夏空と海の間を進みゆく飛び魚たちは誰の縫い針
石川真琴
プール後の授業で子らは居眠りしなんて静かな海なんだろう
初夏みどり
一席 「あっ、海」という顔をした上の子をルームミラーは静かに映す
中村マコト
凪(な)ぎわたる海にヨットの白き黙(もだ)神の手により置かれしごとく
好井晶子(まさこ)

▪秀一郎 あむのココカラ短歌
上の句と下の句の使い方
落差 飛躍の作り方

みずからの心臓よりも大きいか子がかじりつく苺ひとつぶ
大松達知

ニジマスが流しの横に置いてあるすべてのものがこわいと思う
平岡直子

きゅうくつなローファーのまま飛び込もうあばれる海勝負の夏
深尾あむ
(結句の字足らずは全体を不安定にする)
朝の海強い日差しに照らされて今日もみんなを主人公に
添削
朝の海強い日差しに照らされて今日のぼくら海賊する
内藤秀一郎

▪ことばのバトン
区役所で出生届型破り   FUNI(郭正勲)

過去退(の)けたるは春筍(はるたけのこ)か   井口吾郎
白藤に軽く贈るか虹降らし
逃げ水は遙か光るは弾み気に
(作る俳句は回文になっている)

2023年7月3日月曜日

兼題「夏休(なつやすみ)」

梅の雨依怙地(えこじ)通して忌避されて
井水増すはかなき意地を貫きて
脚下照顧(きゃっかしょうこ)と気骨稜々(きこつりょうりょう)五月晴
五月忌(さつきいみ)カバの流した朱い汗
梅雨の空ともに譲らぬ盾に矛(たてにほこ)

■NHK俳句 兼題「夏休(なつやすみ)」
選者 夏井いつき レギュラー出演 家藤正人 中西アルノ 司会 柴田英嗣
年間テーマ「凡人からの脱出」

▪ボンの段
残れるは宿題ばかり夏休   Aさん
宿題は延ばし延ばしの夏休み   Bさん
夏休み終わり感じる一夜漬け   安藤優汰
宿題に尻に火がつく夏休み   Kさん
残り日の減らぬ宿題 夏休み   落葉松落葉
どんどんと溜まる宿題夏休   森本悪夢
切羽詰まり急ぐ宿題夏休   端あつ子
夏休み宿題未完焦りくる   太田美智子

半ボンの段
宿題の工作残る夏休み   佐藤よし江
夏休み工作残る最終日   伊佐裕子
昆虫の宿題残る夏休   平古場志郎
宿題の俳句が残る夏休み   三田村畯右

「夏休」で「宿題」と言えば「残る」か「出来た」の二択
例句 宿題の俳句夏休みは嫌い(ウザい・ダルい)夏井いつき
残っている空気感は表現できる
「残る」を使うより明かりが見えてくる

脱ボンの段
宿題は雨の計測夏休み   石垣葉星
宿題は貝のペン立て夏休み   永江久美子
ボブ・ディランを訳す宿題夏季休暇   齋藤弓湖
(内容が具体的になってい
 オリジナリティーも高くなっている
 内容をはっきり書けば「脱ボン」できる)

凡人パーツ「宿題」をさらに発展!
恐竜の文鎮作る夏休   さゆ
押し花の重しは図鑑夏休み   西嶋佳子
夏休み原稿用紙の憂鬱   海野ちきまる
夏休み菌培養の9日目   白夜

「夏休」にもいろんな年齢の「夏休」がある
取り合わせたもので表現できる方がかっこいい

脱ボンポイントその1
オリジナリティーのある経験を盛り込む
「夏休」から連想しさらに展開する 「宿題」⇨「作文」

絵日記の緑の海月(くらげ)夏休   山下紅美子
鶏小屋の前で絵日記夏休み   風葉

脱ボンポイントその2
絵日記+夏休
具体的な情報を詠み込む

▪夏井家伝授!家藤正人&中西アルノ
0から俳句

0から俳句POINT
季語を知るには体験するのが大切
夏の季語を体験
トマトは蕃茄ともいう
兼題とは句会であらかじめ出されるお題

0から俳句POINT
句会の兼題で季語が出た場合 季語を入れて詠む
兼題の季語で俳句を作るにあたっては
季語を体験しているか そうでないか というのは
大きな分かれ道になる
体験しやすい季語 知らない季語が
兼題に出されることもある
その手法には名前がある それは「取り合わせ」
季語と関係ない事柄+季語
「取り合わせ」をチャレンジ
そのための兼題を出します
次回 季語「白玉」で「取り合わせ」を学びます

▪特選六句発表! 兼題「夏休」
東京も従姉妹(いとこ)も眩し 夏休み   君島忍
夏休み海は広いが友はいない   山ぼろろ
錆(さび)の水噴く夏休みの当番   板倉富士夫
餃子包む包む夏休みは嫌ひ   秋本哲
骨折のヒーローとなる夏休   道脇(みちわき)長二郎
隊長は独身のおば夏休み   源早苗

▪柴田の歩み
これやろう!(発展から発展させる)

2023年7月2日日曜日

理想の本箱&名言

夏の雨迫りくる山独りぼち
きらきらと揺蕩う(たゆたう)水面夏の月
夏霞日毎に消ゆる記憶かな
亀の子や伝える気持ちなかりけり
合成の誤謬蔓延井水増す

■理想的本箱 君だけのブックガイド
「友達と絶交した時に読む本」

▪「空気」を読んでも従わない 著者 鴻上尚史
「世間」と「社会」
「社会話」をしよう
息苦しさを感じたら緩やかな世間を持つ
知らない人と会話する
「世間」は守って貰えるけれど逃げられない
同調圧力が強い日本 
多様な視点、価値観を持ち心を自由にする
世間と絶交しても社会はあり続ける

▪それから 著者 夏目漱石
「映像の帯」
代助は裕福な家の次男で定職に就かずに
父親のお金で悠々自適な生活をしていた
代助は愛していた三千代を親友の平岡に譲って
結婚をさせてしまう
三千代と再会することで大きく話が進行することになる
人は何を覚悟して絶交するのか?
三千代(末岡いずみ)をめぐって
代助(福士誠治)と平岡(川野直輝)の友情の破綻
代助にとっては人生はじめて自分で舵を人生を決める決断をする

▪おともだち 著者 高野文子
大正時代の港町の女学校が舞台
歌劇「青い鳥」の配役を巡っての物語
繊細に練り上げられた古典的な友情の物語
「映像の帯」
少女ならではの繊細な脆い優しい気持ちが詰まっていました。
心に刺さる言葉が多かった。
露子の笛子に対する憧れ、嫉妬心といったものを
乗り越えて友情と気付くところと
繋ぎとめようとするところが愛おしかった。
心の動きを説明しないそれがこの作品の凄み。
余白と余韻の多い作品。
別れたくないどうしようもない絶交の気持ち。

■名言
ルソー 曰く
「所有している金銭は自由への手段であるが、
 追い求める金銭は隷属への手段である。」

ボーリンクブルック 曰く
「欲望と感情は人間性のバネである。
 理性はそれを統制し、調節するブレーキである。」

アルバート・アインシュタイン 曰く
「想像力は知識よりも重要だ。
 知識は限られているが、
 想像力は世界全体を包み込み、
 進歩を刺激し、進化を生む。 」

2023年7月1日土曜日

格助詞「に」を掘り下げるその②&「梅雨寒し」&「白玉」

夏怒涛レベチまざまざ待ったなし
アッター(とうちゃん)と呼ばれし父よ梅雨の月
陽と空と樹々に囲まれ五月晴
夏未明老いと向き合い今日もまた
深追いはせずPositiveに通し鴨

■夏井いつき俳句チャンネル
格助詞「に」を掘り下げるその②【帰着点・動作の方向/動作・作用の原因/比較・割合】

④帰着点や動作の及ぶ方向を表す
家に辿り着く
車に乗る
危篤に陥る
ヒアシンス国にかへらぬ骨のあり   家藤正人
若葉風会社に戻ることとする   夏井いつき

⑤動作・作用の起こる原因やきっかけを表す
やぶ蚊に苦しむ
恐ろしさにふるえる
前祝いに酒を飲む
山登りに夢中になる
クランチにオーバーワーク虹二重
父の日の酒に溺るるばかりなり

⑥比較・割合の基準を表す
一か月に二日の休み
親に似ぬ子
子に勝る宝はない
春の鳥三月に一度会ふ夫   夏井いつき
黒沢に及ぶ名匠夏の蝶   家藤正人
先生に勝ってじゃんけんしゃぼん玉   夏井いつき③へ
先生に勝る身長竹の春   夏井いつき

■夏井いつき俳句チャンネル
一分季語ウンチク 梅雨寒し

梅雨の頃になるとジメジメと降って
それによって日照時間が短くなり
結果気温が下がっていくと
そういう事象の事を「梅雨寒し」
あるいは「梅雨寒(さむ)」と言ったりします
なんで寒くなるのかっていうことも
日照時間がって考えると納得がいく気がいたします
梅雨期の前半に多い天候になってくるのだそうです
そして東北地方ではこの頃に三陸沖から冷たい北東の風
「やませ」が吹きこむと「梅雨寒」になりやすい
という通説もあるそうです
この「やませ」という風もまた
夏の季語として歳時記には載っています
天候ひとつとってもいろんな季語が絡み合っている
そんな日本の季語でございます

■夏井いつき俳句チャンネル
一分季語ウンチク 白玉

白玉粉に水を入れて練って
お団子状にしたものを茹でて食べる
それが季語「白玉」です
何故夏の季語になっているかというと
手軽で作り易いのもあるでしょうが
「白玉」を氷水などで冷やして
砂糖などをかけてかつては食べたりしたということです
見た目の涼しさと気持ちよさと
喉越しも良いそんなことで夏の季語になっているようです
僕の小学生の頃だとフルーツポンチの中にも
白玉が入っていたりしました
色んな白玉を使った食べ方のバリエーション
そういうものも「白玉」という季語の
傍題として歳時記に収録されています
「白玉ぜんざい」とか「氷白玉」
などという傍題も歳時記に収録されています