日経CNBC Voice より 文字起こししました。
鎌田泰幸氏 曰く・・・。
ユーロ圏GDPの僅か0.2%程の小国
キプロスが 大きく揺れています。
火種は去年3月に遡ります。
ギリシャの債務再編に伴い ヨーロッパ当局は
ギリシャ国債を保有する 民間金融機関等に
最大50%の元本削減を要請しました。
この結果 キプロスでは大手銀行 Bank of Cyprusや
キプロスポピュラー銀行等が 経営危機に陥りました。
そして 6月に キプロス政府は EUヨーロッパ連合と
IMF国際通貨基金に 銀行の資本注入等を
目的とした 金融支援を要請していました。
しかし 漸く 纏まった 100億ユーロの金融支援が
最大9.9%にのぼる預金課税が条件と為った事で
世界の金融市場は 動揺しました。
キプロス議会は 法案を否決 直近では 国内銀行を
グッドバンク バッドバンクに 色分けする事などで
ヨーロッパ当局と キプロス政府が 合意しました。
ただ ヨーロッパ景気の低迷懸念は根強く
為替のユーロの戻りも 限定されています。
元米国財務長官 ローレンス・サマーズ氏 発言!
キプロスの一件は 戦術ミスであると
同時に 戦略の混迷を示している。
ここ6か月で 欧州情勢は改善してきたが
危機を脱した訳ではない。
金融改革と 財政緊縮策と言う 両方の要望に対し
為すべき事は多い。課題は 山積したままだ。
モラル・ハザードを追究していく内に
小国が真っ先に 犠牲に為っている。
金融危機打開策として 良いアイデアではない。
ATMに行列する人を見れば解る事だ。
取り付け騒ぎで 市民が行列するのは
決して 望ましい姿ではない。
しかし 問題は 今回の取り付け騒ぎではない。
それより怖いのは 次に何か起これば
パニックを招きかねない 一触即発の不安定さだ。
私が 危惧する理由は そこにある。
不安心理は 完全払拭できるものではない。
鎌田泰幸氏 曰く・・・。
今回のキプロスの懸念は ヨーロッパ当局に加え ロシアや
トルコを巻き込み 政治問題化の様相を帯びています。
キプロスの銀行預金 680億ユーロの内 3分の1が
ロシアの法人や個人で キプロスで金融システムが
崩壊すれば ロシアにも影響を及ぼす事に為ります。
キプロスは ロシアにも金融支援を求めていましたが
その際 見返りとして キプロス沖にある 豊富な
天然ガス田の権益を 差し出すとの観測が一時流れました。
黙っていないのがトルコです。
1983年以来 キプロスはトルコ系住民が住む
北キプロストルコ共和国と ギリシャ系住民が住む
南のキプロス共和国に分断されています。
この為 ロイター通信によれば トルコ政府高官の話として
天然ガス田は キプロスだけでなく トルコのものでもあり
勝手な行動は許されない!と発言しました。
天然ガス田を取引の材料とする
キプロスを 強く牽制したのです。
加えて EUヨーロッパ連合にとって キプロスが
ロシアとの関係を深める事は 望ましい事態ではありません。
事態は 尚 流動的ですが ヨーロッパ経済が
低迷している中での今回の事態!
景気回復 財政赤字縮小のシナリオが描けない以上
ヨーロッパの不安は 今後も続きそうです。
0 件のコメント:
コメントを投稿