2025年1月21日火曜日

あの本、読みました? あの本大賞

大寒を岩肌覆うつららかな
雪催(もよい)凍えて揺れるかずら橋
宇治川へ誘う小話雪合羽
冬の靄(もや)どうでも良いの良くないの
冬の月インとアウトの繰り返し

■あの本、読みました?今夜決定!番組を見て読みたくなった本No.1あの本大賞
石原正康 河北壮平 西山奈々子 間室道子 内田剛 

ノミネート作品
「板上に咲く」原田マハ/幻冬舎
「宙わたる教室」伊与原新/文藝春秋
  ジョンキーツ「美しいものはとこしえに歓びである」
  という言葉で知られるイギリス・ロマン派詩人
  リチャード・ドーキンス「原因が分かるからこそ楽しめる理系小説」
「地図と拳」小川哲/集英社
「スピノザの診察室」夏川草介/水鈴社
「近畿地方のある場所について」背筋/KADOKAWA
「スモールワールド」一穂ミチ/講談社
「spring」恩田陸/筑摩書房
「百年の孤独」ガブリエル・ガリシア=マルケス著/鼓直訳/新潮社
「カフネ」阿部暁子/講談社
「小鳥とリムジン」小川糸/ポプラ社

あの本、読みました?大賞
1位 「カフネ」阿部暁子/講談社
2位 「スモールワールド」一穂ミチ/講談社
3位 「百年の孤独」ガブリエル・ガリシア=マルケス著/鼓直訳/新潮社
4位 「宙わたる教室」伊与原新/文藝春秋
5位 「spring」恩田陸/筑摩書房

★「カフネ」の一文 阿部暁子/講談社
せつなが恋人の実家に挨拶に行ったシーン
(薫子の父)
「小野寺さんの手料理を食べてみたいな。春彦にも作ってやっているんだろう?」
(薫子の母)
「そうね。私もプロの方のお料理、ぜひ食べてみたいわ」
(中略)
(せつな)
「かまいませんが、三千円いただきますよ」
(中略)
「それが私の時給なので。本当は交通費もいただくんですけど、
ご挨拶にうかがった身ですから、今回はおまけしておきます」
父も母も絶句していたが、母のほうが立ち直りは早かった。
鉄壁の笑顔を忘れ、噛みつかんばかりの形相になった。
(薫子の母)
「あなた、私たちからお金を取る気なの?」
(せつな)
「プロの料理が食べたいと、今お母さんがおっしゃったのでは」
(中略)
「それなら、私とお母さんの常識は違いますね。わたしはそもそも、
プロの料理人を休日にタダ働きさせようとは思わないので」
平然と言ってのけた小野寺せつなは作法の行き届いた手つきで
母が出したお茶を飲み、「玉露ですね、おいしい」
と何事もなかったかのように感想を述べた

★「宙わたる教室」の一文 伊与原新/文藝春秋
江美子が就職したのは、蒲田にあるタイル工場だった。
(中略)
勤務は二交代制。早番の日は朝五時に起床し、
五分で身支度をして正座で点呼を待つ。
先輩からの指導も厳しく、作業着の着方から部屋の整理整頓まで、
すべて規則通りでないと何度もやり直しをさせられた。
(中略)
「妻は勉強が好きで、高校へ行きたいという気持ちも人一倍強かった。
当時私も蒲田で働いていましたが、あの辺の行員の中には、
定時制高校に行っているものも結構いたんです。
だが妻の職場では、遅番の仕事が夜にかかるので通えない。
昼休みなんかに街角のベンチで教科書を開いている作業着姿の若者を
見かけると、うらやましくて仕方がなかったと言っていました。」

・特別賞
★第1回あの本、読みました?大賞 
「名著に名酒」賞 偽電気ブラン
夜は短し歩けよ乙女 森見登美彦/角川文庫

「夜は短し歩けよ乙女」の一文 森見登美彦/角川文庫
偽電気ブランは甘くもなく辛くもありません。
想像していたような、舌の上に稲妻が走るようなものでもありません。
口に含むたびに花が咲き、それを何ら余計な味を残さずに
お腹の中へ滑ってゆき、小さな温かみに変わります。
それがじつに可愛らしく、まるで 
お腹の中が花畑になっていくようなのです。
飲んでいるうちにお腹の底から幸せになってくるのです。

★第1回あの本、読みました?大賞
鈴木保奈美イッキ読み賞
「なれのはて」加藤シゲアキ/講談社

★第1回あの本、読みました?大賞
文庫解説賞 朝井リョウ

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