包丁を持つ手変色柿すだれ
渋柿を剥く手真っ黒蒼き空
吊し柿軒下ずしり堂々と
駐車場一人指折り冬の鳥
■10min.ボックス古文・漢文 大鏡
平安時代を舞台にした歴史物語「大鏡(おおかがみ)」
宮廷での権力争い 万寿二年(一〇二五年)
先(さい)つ頃、雲林院(うりんゐん)の菩薩講に詣でてはべりしかば、
例人よりはこよなう年老い、うたてげなる翁二人、
嫗(おうな)といきあひて、同じ所に居ぬめり。
大宅世継(おおやけのよつぎ)
「年頃、昔の人に対面(たいめ)して、いかで世の中の見聞くことをも
聞こえあはせむ、このただ今の入道殿下の御有様をも申しあはせばやと
思ふに、あはれにうれしくも会ひ申したるかな」
道長の魅力 伊周(これちか)との弓争い
「道長が家より帝・后立ちたまふべきものならば、この矢あたれ」
同じものを中心(なから)にはあたるものかは。
「摂政・関白すべきものならば、この矢あたれ」
栓子(せんし)道長の姉
御顔は赤み 濡れつやめかせ たかひながら、御口はこころよく 笑ませたまひて、
「あわや、宣旨(せんじ)下りぬ」とこそ申させたまひけれ。
違う視点からの語り
敦明(あつあきら)親王(東宮)
(侍さむらひ)
「このほどの御ことどもこそ、ことのほかに変はりてはべれ。
なにがしは、いとくはしく うけたまはること はべるものを」
(世継)
「さもはべるらむ。伝はりぬることは、いでいで うけたまはらばや」
「あはれにも、またをかしうも」
■10min.ボックス現代文 手紙
手紙
夏目漱石(一八七六-一九一六)の手紙
(大正二年七月二十一日 寺田寅彦 宛)
きのうは留守に来て菓子を沢山置いて行って下さいまして
まことに難有(ありがと)う存じます
あの菓子は暑中見舞なんだろうと想像しましたがそうなんですか
夫(それ)とも不図(ふと)した出来心から拙宅へ来て
寝転んで食う積(つもり)で買って来たんですか
そうすると大いにあてが外れた訳で恐縮の度を一層強く
することになります 兎に角(とにかく)菓子は食いましたよ
(明治三十四年二月二十日 鏡子宛)
お前でも子供でも死んだら電報くらいは来るだろうと
思って居る夫(それ)だから便りのないのは左程(さほど)
心配にはならない然(しか)し甚(はなは)だ寂(さびし)い
おれの様な不人情なものでも頻(しさ)りに御前が恋しい
是丈(これだけ)は奇特(きとく)と云って褒めて貰わなければならぬ
(明治四十三年九月十一日 筆子、恒子、榮子 宛)
此頃は大分よくなりました。
今に東京へ帰ったらみんなであそびましょう。
三人とも学校がはじまったらべんきょうするんですよ。
御父さまは此手紙あおむけにねていて万年ふででかきました。
からだがつかれて長い御返事が書けません
芥川龍之介(一八九二-一九二七)の手紙
(大正五年八月二十五日 塚本文宛)
貰いたい理由はたった一つあるきりです。
そうして その理由は 僕は 文ちゃんが好きだと 云う事です。
勿論昔から 好きでした。今でも 好きです。
僕のやっている商売は 今の日本で 一番金に ならない商売です。
その上 僕自身も 碌(ろく)に金はありません。ですから
生活の程度から 云えば 何時までたっても 知れたものです。
それでよければ 来て下さい。
僕には 文ちゃん自身の 口から かざり気のない 返事を聞きたいと
思って居ます。繰返して書きますが、理由は 一つしかありません。
僕は文ちゃんが好きです。それだけでよければ来て下さい。
宮沢賢治(一八六九-一九三三)の手紙
(昭和八年九月十一日 柳原昌悦 宛)
風のなかを 自由に歩けるとか、はっきりした声で
何時間も話ができるとか、じぶんの兄弟のために
何円かを手伝えるとか いうようなことは
できないものから見れば 神の技にも均しいものです。
どうか今のご生活を大切に お護(まも)り下さい。
上のそらでなしに、しっかり落ちついて、
一時の感激や興奮を避け、楽しめるものは楽しみ、
苦しまなければ ならないものは苦しんで 生きて行きましょう。
■名言アドバイザー
ショーペンハウアーの名言一覧
https://meigen-adviser.com/person/schopenhauer/
名誉は、外に現れた良心であり、良心は、内に潜む名誉である。
孤独は優れた精神の持ち主の運命である。
虚栄心は人を饒舌にし、自尊心は沈黙にする。
富は海水のようなものだ。飲めば飲むほどに渇きをおぼえる。
渋柿を剥く手真っ黒蒼き空
吊し柿軒下ずしり堂々と
駐車場一人指折り冬の鳥
■10min.ボックス古文・漢文 大鏡
平安時代を舞台にした歴史物語「大鏡(おおかがみ)」
宮廷での権力争い 万寿二年(一〇二五年)
先(さい)つ頃、雲林院(うりんゐん)の菩薩講に詣でてはべりしかば、
例人よりはこよなう年老い、うたてげなる翁二人、
嫗(おうな)といきあひて、同じ所に居ぬめり。
大宅世継(おおやけのよつぎ)
「年頃、昔の人に対面(たいめ)して、いかで世の中の見聞くことをも
聞こえあはせむ、このただ今の入道殿下の御有様をも申しあはせばやと
思ふに、あはれにうれしくも会ひ申したるかな」
道長の魅力 伊周(これちか)との弓争い
「道長が家より帝・后立ちたまふべきものならば、この矢あたれ」
同じものを中心(なから)にはあたるものかは。
「摂政・関白すべきものならば、この矢あたれ」
栓子(せんし)道長の姉
御顔は赤み 濡れつやめかせ たかひながら、御口はこころよく 笑ませたまひて、
「あわや、宣旨(せんじ)下りぬ」とこそ申させたまひけれ。
違う視点からの語り
敦明(あつあきら)親王(東宮)
(侍さむらひ)
「このほどの御ことどもこそ、ことのほかに変はりてはべれ。
なにがしは、いとくはしく うけたまはること はべるものを」
(世継)
「さもはべるらむ。伝はりぬることは、いでいで うけたまはらばや」
「あはれにも、またをかしうも」
■10min.ボックス現代文 手紙
手紙
夏目漱石(一八七六-一九一六)の手紙
(大正二年七月二十一日 寺田寅彦 宛)
きのうは留守に来て菓子を沢山置いて行って下さいまして
まことに難有(ありがと)う存じます
あの菓子は暑中見舞なんだろうと想像しましたがそうなんですか
夫(それ)とも不図(ふと)した出来心から拙宅へ来て
寝転んで食う積(つもり)で買って来たんですか
そうすると大いにあてが外れた訳で恐縮の度を一層強く
することになります 兎に角(とにかく)菓子は食いましたよ
(明治三十四年二月二十日 鏡子宛)
お前でも子供でも死んだら電報くらいは来るだろうと
思って居る夫(それ)だから便りのないのは左程(さほど)
心配にはならない然(しか)し甚(はなは)だ寂(さびし)い
おれの様な不人情なものでも頻(しさ)りに御前が恋しい
是丈(これだけ)は奇特(きとく)と云って褒めて貰わなければならぬ
(明治四十三年九月十一日 筆子、恒子、榮子 宛)
此頃は大分よくなりました。
今に東京へ帰ったらみんなであそびましょう。
三人とも学校がはじまったらべんきょうするんですよ。
御父さまは此手紙あおむけにねていて万年ふででかきました。
からだがつかれて長い御返事が書けません
芥川龍之介(一八九二-一九二七)の手紙
(大正五年八月二十五日 塚本文宛)
貰いたい理由はたった一つあるきりです。
そうして その理由は 僕は 文ちゃんが好きだと 云う事です。
勿論昔から 好きでした。今でも 好きです。
僕のやっている商売は 今の日本で 一番金に ならない商売です。
その上 僕自身も 碌(ろく)に金はありません。ですから
生活の程度から 云えば 何時までたっても 知れたものです。
それでよければ 来て下さい。
僕には 文ちゃん自身の 口から かざり気のない 返事を聞きたいと
思って居ます。繰返して書きますが、理由は 一つしかありません。
僕は文ちゃんが好きです。それだけでよければ来て下さい。
宮沢賢治(一八六九-一九三三)の手紙
(昭和八年九月十一日 柳原昌悦 宛)
風のなかを 自由に歩けるとか、はっきりした声で
何時間も話ができるとか、じぶんの兄弟のために
何円かを手伝えるとか いうようなことは
できないものから見れば 神の技にも均しいものです。
どうか今のご生活を大切に お護(まも)り下さい。
上のそらでなしに、しっかり落ちついて、
一時の感激や興奮を避け、楽しめるものは楽しみ、
苦しまなければ ならないものは苦しんで 生きて行きましょう。
■名言アドバイザー
ショーペンハウアーの名言一覧
https://meigen-adviser.com/person/schopenhauer/
名誉は、外に現れた良心であり、良心は、内に潜む名誉である。
孤独は優れた精神の持ち主の運命である。
虚栄心は人を饒舌にし、自尊心は沈黙にする。
富は海水のようなものだ。飲めば飲むほどに渇きをおぼえる。
名声についても同じである。
孤独を愛さない人間は、自由を愛さない人間にほかならない。
なぜなら、孤独でいるときにのみ人間は自由なのだから。
永遠は一瞬の中にある。
孤独を愛さない人間は、自由を愛さない人間にほかならない。
なぜなら、孤独でいるときにのみ人間は自由なのだから。
永遠は一瞬の中にある。
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