ひと眠り元気復活小鳥来る
秋彼岸声なき声と対話せり
涸れはてた涙探して吾亦紅(われもこう)
痛み増す最後の秋を意識せり
秋の蚊や人に疎まれ叩かれて
■夏井いつきのよみ旅!in山梨 後編
笛吹市 大善寺(ぶどう寺) 住職 井上哲秀(てっしゅう)
薬師寺(国宝)1286年建立 関東最古の木造建築物
奈良時代 僧・行基が薬師如来像を安置 ぶどう栽培を伝えた
甲州葡萄根元やさしく糠を撒く 松坂宮子
ボカシ 糠に魚粉などを混ぜ発酵させた肥料 自家製の肥料
糠はボカシの方が良かったといつき先生 洗濯は雨の日
俳句ひとくちMAMO
甲州葡萄…秋の季語「ワイン造る」「葡萄酒醸す」など
秋の虹妻と載(の)つけた論文誌 青柳修平
青柳さんMEMO 妻 暁子さん
学生時代に学んだ新林学を福祉に活用する論文を妻と共著
知的な関係 幸多かれといつき先生
夏富士と共に際立つ吾子(わこ)の笑み 髙野晃太朗
見事な山梨県民といつき先生 郷土愛が素晴らしい
俳句ひとくちMAMO
夏富士は雪が解けた登山シーズンで活気のある姿
秋の季語 富士の初雪は神々しさなどを表す
森田絵美さん マットさん 桃の生産販売をしている
キッチンカーで桃をスムージーにして販売
あかき桃にっこり笑う朝日あび マット
桃うつくし桃いつくしむ目うつくし 夏井いつき
稲妻に鍬持ち走りヒザ打撲 金子寛
金子MEMO
教員時代に妻となる裕子さんを紹介される
走り梅雨ヤングコーンのしづく落つ 福田和秀
ヤングコーン トウモロコシの若い実を早取りしたもの
心の中で美しい光景を美しいってちゃんと
キャッチする人だなって私は思いましたよ といつき先生
■ギュッと!四国 俳句道場 兼題「名月」
陰暦8月15日の月を名月という。
「陰暦8月15日の月」という暦に由来する性質上、必ずしも満月ではない。
ちなみに、今年は翌日が満月だった。
ギュッと!特選
名月や誰にも告げぬ湖の斧 香依蒼(かえそう)
(名月の持つ神秘性
イソップ童話「金の斧銀の斧」を下敷きにしたのではないか?
童話の神秘と、月の神秘。両者が一句の中で調和を生んでいる。)
放送された句
名月に伸ばした両手届くやも ポッキー
(名月を取ってくれろと泣く子かな 小林一茶
発想の下敷きにしている 永遠の定番)
佳作 名月を柔らにきゅっと掴めさう まるかじり
名月ね名月だなあ祖母と祖父 五台山の麓っ子
(正岡子規の句に「毎年よ彼岸の入りに寒いのは」がある。
子規の母である八重さんの発した言葉をそのまま書き留めた句。
この句も、老夫婦の会話が俳句になっている。)
秀作 名月や「きれい」と小さく君の手話 井上れんげ
(最後の二音で見せてくれたのが見事)
名月を君と見たくて団子買ふ 笹木好里
(詩歌に置いて君とは思い人)
佳作 名月にナイフ入れたるパンケーキ 可猫
名月の光と絡むピアノの音 みかを
(ベートーベン「月光ソナタ」からの連想かも❓)
秀作 名月や峡の鶏舎の騒がしく 加田紗智
(名月とは月の神秘・恐ろしさも感じる季語)
秀作 名月や一茶の蔵に窓ひとつ 万里の森
(作者は一茶の故郷である長野県信濃町を吟行にでかけた。
一茶の最後の家となった蔵を取材した実景の一句。
一茶の人生に思いを寄せている)
佳作 #(ハッシュタグ)名月電車から月を くぅ
名月のあかり頼りに魚釣り ラ・クート
(「あかり頼りに」の部分は下手。
名月と魚釣りとの取り合わせは悪くない。)
佳作 名月や古き地蔵は彫り浅し ルック鷹丘
(端正に描写されている。)
正人のもったいない
名月を浴びまどろむや象二頭 かずポン
「季語の本意とは」月を愛でる気持ちがポイント
添削 名月を浴びまどろめる象二頭
名月を浴びまどろみの象二頭
強調・詠嘆の「や」を外す 悪目立ちしないようにする
「まどろむ」姿を描写するだけでよい 視点が定まる
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