2024年9月14日土曜日

あの本、読みました?万城目学&青山美智子

海陽へリュウキュウムラサキ羽広ぐ
野の草や風の意のまま身を任せ
秋の雲忙しそうに流れをり
田舎より今日も秋果の届きをり
いま昔夜食を前に丸暗記

■あの本、読みました?
万城目学&青山美智子…中学入試に出る小説は時代を写す鏡!
本と受験 中学入試を知れば今がわかる
鈴木保奈美 角谷暁子 おおたとしまさ 国定栄太

・中学受験で注目されるジェンダー

祇園寺沙織。新船中学校生徒会長兼剣道部副部長
有名人だ。ボーイッシュな雰囲気と整った容姿から、
学校中の女子たちのあこがれの的となっているカリスマ。
通称「ウサギ王子」…。
(中略)
「六年生のころ、友だちになった女の子がいたの。
世間一般に言われている意味で、つまりはそれも偏見だけど、
女の子らしい女の子だった。フリフリしたかわいい服を着て、
絵を描くことと、お菓子作りが好きで。
その子が私にタルトタタンの味を教えてくれた。」
そう言って、祇園寺先輩は、ぎゅっと眉間にしわをよせる。
「その子の家で、その子が作ってくれたタルトタタンを食べたとき。
こんなにおいしいものがあるのかって、そう思った。
だから、そう伝えた。そしたら、あの子、
ほっとしたように笑って、言ったんだ。」
―私さ、羽紗(うさ)ちゃんのこと、ちょっとこわいって思っていたけど、
気のせいだった。
―なあんだ。やっぱり羽紗ちゃんも女の子なんだ。
「その声はひどく弾んでいて。だけど私は
ぶんなぐられたようなショックを受けた」
「きみの話を聞かせてくれよ」の一文 
村上雅郁著 カシワイ絵/フレーベル館

今の中学入試で求められる生徒
重松清の作品が出題される理由
青山美智子の作品が出題される理由

おおたとしまさが保奈美さんに薦める本
「夏草冬濤」井上靖著/新潮文庫

国定栄太が保奈美さんに薦める本
「Blue」川野茅生著/集英社

・中学入試に出た作家2位!青山美智子の描く世界とは?
出題される作家第2位 青山美智子から見た中学入試
出版された作品すべてが出題されている

「パパ来ないんだー。今日は私、パートで延長保育したけど、
たっくんいるからパパに会えるのかと思ったのに」と、
輪の中からあきらかにがっかりな声がして、
私は思わず足を止める。なんだ、人気者なのね、
輝也パパは。振り返らずに私は、再び歩き出した。
「木曜日にはココアを」の一文 青山美智子著/宝島文庫

自分の作品の問題が解けない理由

「サンライズ・クリーニングのカバヒコよね、おばあちゃんは」
雫田(しずくだ)さんがそう言い、おばあさんと顔を見合わせて笑った。
「カバヒコ?」初めて聞いた名前だ。きょとんとしている私に、
雫田さんが説明してくれた。
「その先に日の出公園ってあるんだけど、そこにいるカバ」
「あ、知ってます!」あのオレンジ色のアニマルライドだ。
あの子、カバヒコっていうんだ。
「カバヒコにはね、自分の体の治したいところと同じ部分を触ると
回復するっていう伝説があるのよ」「ええっ」
素直に驚いて、叫び声が出た。おばあさんが大真面目な顔で言う。
「ほんとだよ。あたしなんてカバヒコの腰をなでたら
ヘルニアが治っちゃったんだから」
あんな、ペンキの剥げたカバにそんな力が。
「人呼んで、リカバリー・カバヒコ!」
人差し指を立てた雫田産がドラマチックに言い、
おばあさんがぼそりと続けた。「…カバだけに」
カバだけに、リカバリー・カバヒコ。思わず頬が緩む。
「リカバリー・カバヒコ」青山美智子著/光文社

執筆で意識していること
その①:作中で誰も死なない
その②:ハッピーエンドのちょっと前で止めている
    夢の叶う一歩手前、最高の幸せの直前で止めている
その③最後に驚きを作る
その④:過去作品の登場人物を出す
その⑤:公共性を大事にする

「月の立つ林で」「鎌倉うずまき案内書」はどんでん返しが待っている。
えっ!そうだったのという結末が…。

・遅咲き作家青山美智子 Debutは2017年47歳
33年書きつづけていた 諦めるきっかけがなかった

・青山美智子(SF作家だと思っている)が保奈美さんに薦める本
「137億年の物語 宇宙が始まってから今日までの全歴史」
クリストファー・ロイド著 野中香方子翻訳/文藝春秋
最新刊は「138億年のものがたり」として刊行

青山美智子女史の今年の秋発売される本は
「人魚が逃げた」PHP研究所

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