2024年9月19日木曜日

夏井いつきのよみ旅!in山梨 前編&コネクト❝原爆俳句❞

骨痩せてほうれい線が星流る
初紅葉❓陽に焼けたのか❓鉢の木々
竹の春舗装突き抜く10センチ
落し水音響きけり子守歌
一夜漬け茄子の彩際立ちて

■夏井いつきのよみ旅!in山梨 前編
甲斐の府中 伝統の技 
夏井いつき ROLAND
武田神社権禰宜(ごんねぎ) 佐野浩一郎
旧堀田古城園

夏の川よどむ想いを受け止めて   加々美美希
過去を詮索していいことはみじんもない   いつき
加々美さんMEMO 山梨県が行う婚活サポート事業で出会う
結婚は努力の結晶   いつき

避暑散歩おはようごいすお馬さん   鈴木明子

夏の朝庭に漂う明治の時空(とき)   田辺真一
八田家 武田家の蔵前奉行を務めた在郷商人
屋敷のルーツは八田家から移築した家だった
襖の裏から見つかった110枚の手紙

甲州印伝 工房 14代 上原勇七
甲州印伝MAMO 鹿皮を漆で装飾した工芸品 
1582年初代・上原勇七によって確立 400年続く伝統の技
勝ち虫 縁起が良いとして好まれている蜻蛉柄
燻(ふす)べ 皮を煙でいぶし染色する技法
1953年会社を創立

富士仰ぐ目に一歩ずつ蟻の道   上原勇七
(蟻というのは本当に小さいですし一歩一歩の歩みは非常に小さい
一歩一歩少しずつでも前進できるような会社でありたい
不易流行 本質的なものを忘れないなかにも新しい変化を重ねていくこと)

台箱の手擦(ず)れよ父の在りし夏   夏井いつき

涙ふく幼なの歩幅夏来たる   長谷部美佐子

出る杭を打たれつつ喜寿酔芙蓉   片田駿三
俳句ひとくちMAMO
酔芙蓉…秋の季語 朝は白く咲き午後には赤く色が変わる

■コネクト 夏井いつき ❝原爆俳句❞を訪ねて
ナレーション 小野文惠 夏井いつき
広藤暁子宅で句集 広島が見つかりました 

烏来て骸(むくろ)に頭なかりけり   金行文子

野の池に死してみな童(こ)ぞ頭(づ)より浸(つ)けて   小崎碇人

「夕凪」昭和29年12月号 「原爆ご広島」の俳句募集
句集「広島」編集委員会

太平洋の水爆実験(1952年11月)
1万1千句が寄せられました その中の1521句が句集に掲載
昭和30年8月6日出版

新庄美奈子(15句掲載されていた)父の名前は増本政次郎
洞(ほら)暑くはだへ爛(ただ)れし父に会ふ   
夏の季語:暑し
くちびりの血膿(ちうみ)よけつゝ瓜食ます
こときれし父を抱きて明易し
被爆直後の体験が生々しく表現されています

汗の手を握り死躰の腕切らんと
(夏井いつき先生が理解できなかった俳句)

国立広島原爆死没者追悼平和祈念館
美奈子との連絡が取れ 当日夜 船舶練習部に収容されたが
すでになすすべなく8月8日未明に(政次郎は)息を引き取った
(軍の)施設内であったため火葬することが許されず、わずかな頭髪と
手首を切離して遺骨としただけで遺体は他の無数の遺体と共に処理された
19歳の美奈子さんにそのような事を…。
詠むことで美奈子さんは生き延びようとした

美奈子さんのご家族が広島に暮らしていることが判明
美奈子さんの長男 新庄洋さんのお宅へ
美奈子と(生き残った)弟2人 当時たぶんですけど
(美奈子さんは)付属小学校の栄養士あか何かをしていたらしく
働いていたんだろうと思います
5年間ぐらいですかね それで弟2人を養っていたようです
26歳の時伍一郎氏と結婚 長男洋さんと長女真紀子さんの
二人の子供に恵まれました
(俳句をやっていたことは)本人からは聞いたことない
原爆については1回も話してもらったことなくて
こういう生々しい当時の様子を再現する句を聞かせていただいて
改めて(原爆は)大変な事だったんだな
もう少し原爆と正面向いて考えていくようにしないといけない
美奈子さんは癌で55歳で亡くなりました
美奈子さんは俳句の代わりに絵画を嗜んでおられました

夏井いつき先生のもうひとり気になる人
熊本から俳句を寄せた 行徳すみ子さん
春泥に馳せくる子あり亡き子かと
行徳すみ子さんの長女行徳功子(10歳)の句
蝉鳴くな正信ちゃんを思い出す   
弟の真白いシャツが眼に残る
弘子ちゃんまた姉ちゃんと遊びましょう
4人とも亡くしたすみ子さん一人が熊本に帰った

「阿蘇」5代目 主宰 岩岡中正さん
留守を娘に今宵の子規忌へと急ぎ
初縫の娘にきびしくも手を添へて
保温器の嬰児(ややこ)の窓の氷雨かな
(孫が生まれたという句)

熊本で亡くした子を思い詠んでいた行徳すみ子さん
応(いら)へなき娘は何思ふ天の川   
子等の忌や白桔梗(きちこう)は寂しすぎ
遺児に泣き遺句に咽(むせ)びぬ秋深む 戦後15年経った時の句

句集のあとがきには願いが込められています
あの日を永遠にとどめよう。
忘れ去られることのないようにー。
忘却が生むおろかな反復によって、
ふたたび、地表の亀裂に、
おびただしい血が
流しこまれることのないようにー。

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