2024年9月9日月曜日

兼題「虫」&題「文字」

(内藤礼女史)秋の星記憶のかけら積み重ね
ほしづくよパーツとなった記憶かな
秋の蝉最期の自分と向き合わん
天高し孤独磨きて内面へ
(舟越桂氏)楠に命吹き込む秋の空

■NHK俳句 兼題「虫」
年間テーマ「やさしい手」
選者 西山睦 ゲスト 黒澤麻生子 司会 柴田英嗣

コスモスや急ぐときにもにこにこと   西山睦

▪「やさしい手」俳句三選
透くやうな手を曳いてゆく花辛夷   黒澤麻生子
あたたかや同じ話を聴きにゆく   黒澤麻生子
死の床を正座で囲み秋日和   黒澤真麻生子

「生き余す」ではなく「生き切る」

▪今週の兼題「虫」
虫集く(すだく)コピーの束の淡き熱   砂山恵子
虫の声三交替の裏口に   山口誠
(「裏口」で詠むとしっとりした情景が生まれる)
一日の眼鏡をはづす虫の声   葦屋蛙城(あしやけいじょう)
虫時雨遊具錆びたるニュータウン   西順子
軒の端のカメラが覗(のぞ)く虫の闇   今井赫(かく)
仮眠するサービスエリア虫の声   関美奈子

▪特選三席
一席 夜を唄ひ昼を語らふ虫の原   木村眞実
二席 妻逝きて後手となりたる虫の聲   駒野目信之
三席 高速を虫の中へと減速す   寺尾当卯(あてう)

▪俳句やろうぜ 黒岩徳将
神奈川県平塚市に住む 松尾和希くん(10歳)
出会った感動を素直に描写する小学5年生
俳句の出会い
特に「季語」を入れることは関係なくて
「考えたことを入れればいい」と言われたので
思ったことを手帳に書くようになりました
好きな俳句
をりとりてはらりとおもきすすきかな   飯田蛇笏
音を表現する俳句が好き表現の仕方が面白いなと負った
クロイワ推しの一句
メキメキポッさーバナナはぼくの朝ごはん   松尾和希
耳と目 音に注目した句 音を感じる

▪柴田の歩み
必殺 裏口

■NHK短歌 題「文字」
年間テーマ「光る君へ」
選者 俵万智 ゲスト 根本知(さとし) 司会ヒコロヒー

▪入選九首 テーマ「文字」
二席〈弱い〉って書く手を弓のとこで止め〈強くなれる〉に変えて記す日
ニーナ
❝珈琲❞と書かれたメニューがありそうで蔦にうもれた茶店に入る
谷本和弘
老木がまどろむような夕暮れのシャッター街の張り紙の文字
常田瑛子
一席 彼という文字を散らして波にするように海へと撒かれる遺骨
葉村直
三席 天板(てんばん)にナイフで彫った風の字はあの教室を出られたろうか
前川泰信
忙しくて会えないだけだと思うため字で埋め尽くすスケジュール帳
桜井志乃
いつもならだらけてるけど幼子の前でははねてはらつてとめる
小金森(こがねもり)まき
 クセのない字を書く職場の先輩は南国アロハで今日も出勤
純子
気乗りせぬ会に遅れてメールには慌てたふりの誤字を打ち込む
青木一夫

▪「光る君へ」で短歌を10倍楽しもう!
文字にまつわるシーン 根本知
❝書は人なり❞というところをよく自分は考えるので
道長も感づいたというシーンはとてもうれしい 
文字が主役の場面 俵万智
当時は手紙を開いた瞬間に誰(が書いた)というのが分かる
コミュニケーションの重要なツールだった
平安時代当時の文字の面白さとは? ヒコロヒー
意外ときれいに整っていない
(俳優たちにも)もっと自由に書いていいと話している
模索しながら「この字すてきだな」をまねしていきながら
それを違う人に手紙を書くときに書く
一つのファッション
歌に対する着こなしがすてきだから
お会いしてみようかなと思った女性もたくさんいたと思う

「光る君へ」から学べる 短歌づくりのポイント
万葉に時代は耳から今は目で読む時代
ひらがな・漢字・カタカナのバランスや使い方に
心を砕いて表現の一部と思って文字使いを考えるべき 印象が変わる
一時あけ レイアウト的なことも
現代短歌では試みがされている 視覚を意識

ことの葉の芽吹きののちにむすぶ実は
すぎしあの日のあはれのかたち   根本知



















紀貫之という平安の歌人を大変尊敬している
「古今和歌集仮名序」に
「やまとうたは人の心を種としてよろづの言の葉とぞなれりける」
という文章がある
心が種ならば感動や経験といった栄養源があるだろうと文脈を読んだ

「古今集」の仮名序を長歌としてそれに向けて詠んだ反歌 俵万智
仮名序は「光る君へ」でも登場する
AIは心がない そこ(心)機械と人間の歌の一番の違い
私たち人間にしか詠めないものが歌 俵万智

今の気もちのまま 根本知

▪ことばのバトン
乱反射せよ呪(まじない)いのペン
ニコ・ニコルソン 漫画家

まっさらな白紙を前に全能感(ぜんのうかん)
金子崇 漫画編集者

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